図1は、本発明の一実施例であるオルゴール10における演奏機構部100の構成を斜め上方から視た様子を例示する斜視図である。本実施例において、オルゴール10の上方とは、オルゴール10が図示しない設置平面部に設置される際の上方(略鉛直上方)をいう。図1において、この方向を矢印Uで示している。図1に示すように、本実施例のオルゴール10は、第1軸12を中心として回転可能に設けられた複数(例えば、40個)のスターホイール14を備えている。第1軸12に沿って設けられた振動板16を備えている。振動板16には、複数のスターホイール14にそれぞれ対応する複数の振動弁18が第1軸12に沿って設けられている。第1軸12と並んで第2軸26、第3軸20が設けられている。好適には第1軸12と平行に第2軸26、第3軸20が設けられている。第3軸20を中心として回動可能に設けられた、複数のスターホイール14にそれぞれ対応する複数のストッパ22を備えている。複数のストッパ22にそれぞれ対応する複数の電磁石24を備えている。第2軸26に相対回転不能に設けられてその第2軸26と一体的に回転させられる複数のサンホイール28を備えている。複数のサンホイール28は、複数のスターホイール14にそれぞれ対応する。フレーム30により、第1軸12及び第2軸26は、それぞれの軸心まわりの回転可能に支持され、第3軸20は、回転不能に支持される。フレーム30には、複数の電磁石24等が組み付けられる。
オルゴール10は、第1軸12及び第2軸26をそれぞれの軸心まわりに同期して回転駆動するための駆動力を発生させる駆動部としてのモータ32を備えている。モータ32は、例えば、コイルに印加される電圧(コイルに流される電流)に応じてその出力(出力トルク、回転速度)が制御される公知の電動機である。好適には、モータ32の出力軸のトルクが、よく知られたギヤ機構等を介して第1軸12及び第2軸26に伝達される。好適には、モータ32が第2軸26を駆動する。第2軸26と第1軸12は、よく知られたギヤ機構等を介して同期して回転させられるように構成されている。モータ32により第2軸26が駆動されると、第2軸26の駆動に連動して第1軸12が駆動される。モータ32は、好適には、第1軸12及び第2軸26を等しい回転速度(回転角速度)で回転駆動する。すなわち、スターホイール14とサンホイール28とは、モータ32の出力に対応してそれぞれの回転速度が等しくなるように減速比が設定されている。或いは、第1軸12及び第2軸26それぞれに対応して個別のモータが備えられ、それらが同じ回転速度で各軸を回転駆動するものであってもよい。複数の振動弁18は、予め定められた複数の音階にそれぞれ対応し、後述するようにスターホイール14の爪36により弾かれることで対応する音階の音を奏でるように構成されている。オルゴール10において、図1のように構成された演奏機構部100は、フレーム30等が後述する筐体34に組み付けられることで、その筐体34の内部に収容される。
図2は、オルゴール10の演奏機構部100におけるスターホイール14、ストッパ22、及びサンホイール28等の構成を説明するために、それらの構成を第1軸12の軸心方向に視た図である。図3は、図2に示すスターホイール14、ストッパ22、及びサンホイール28等の構成を斜め上方から視た様子を示す斜視図である。図3においては、複数のスターホイール14のうち2つのスターホイール14a、14bと、それらに対応するストッパ22a、22b及び電磁石24a、24b等を例示している。個々のスターホイール14a、14bを特に区別しない場合には単にスターホイール14として図示している。個々のストッパ22a、22bを特に区別しない場合には単にストッパ22として図示している。個々のサンホイール28a、28b、28cを特に区別しない場合には単にサンホイール28として図示している。スターホイール14とストッパ22とが対応するとは、そのストッパ22の停止状態(係止状態)においてそのスターホイール14の回転が停止(係止)されることをいう。スターホイール14とサンホイール28とが対応するとは、そのスターホイール14のギヤ部38とそのサンホイール28の外周歯40とが相互に噛み合うことをいう。図3においては、スターホイール14a、14bに対応するサンホイール28a、28bを例示すると共に、そのサンホイール28bに隣接するサンホイール28cを併せて示している。隣接するサンホイール28とは、第2軸26に沿ってその軸を中心に並んで配置されているサンホイール28をいう。図3においては、振動板16及びフレーム30等の図示を省略すると共に、第1軸12、第3軸20、及び第2軸26それぞれの一部を省略して示している。
図2及び図3に示すように、スターホイール14は、径方向外側に向けて放射状に複数の爪36を備えている。好適には、スターホイール14の周方向に等位相で4つの爪36を備えている。すなわち、スターホイール14の周方向に90°毎に爪36が設けられている。スターホイール14は、爪36よりも内周側(径方向内側)に、径方向外側に向けて複数のギヤ部38を備えている。好適には、各爪36に対応する位置に2歯ずつの突出部としてのギヤ部38を備えている。すなわち、スターホイール14は、ギヤ部38と、径方向外側の周の一部にサンホイール14の歯と噛み合わされない間欠部分39(図4を参照)とを有する間欠歯車を備えている。スターホイール14は、内周側に組付穴を備えており、組付穴に第1軸12が挿入されることで、第1軸12に取り付けられる。ギヤ部38は、複数のスターホイール14が第1軸12に沿って配置される間に配置されている。すなわち、ギヤ部38は、第1軸12の軸方向に関して、爪36とは異なる位置に配置される。具体的には、軸方向に関して相互に隣接する爪36相互間に配置される。サンホイール28は、径方向外側に向けて複数の外周歯40を備えて構成されている。すなわち、外周部に複数の歯を備えた歯車である。図2に示すように、スターホイール14が第1軸12に取り付けられた状態において、爪36は、第1軸12の軸心を中心とするその回転軌跡が対応する振動弁18の少なくとも一部に接触する位置に設けられている。且つ、爪36は、対応するストッパ22の停止状態においてそのストッパ22に停止される位置に設けられている。この停止される位置とは、爪36がストッパ22に当接されられた状態において、スターホイール14の第1軸12の回転への追従回転を阻止する位置である。すなわち、爪36は、振動板16における振動弁18を弾くと共に、ストッパ22と接触することで、係止部材として機能する。係止部材は、スターホイール14の第1軸12の回転に伴う追従回転を阻止する。ギヤ部38は、第1軸12の軸心を中心とするその回転軌跡が対応するサンホイール28の外周歯40と噛み合わされる位置に設けられている。
図2に破線で囲繞した部分を用いて拡大して示すように、サンホイール28の外周歯40には面取り68が付けられている。面取り68は、好適には、外周歯40の先端部における軸方向の両側部に施されたものである。スターホイール14の外周部には面取り70が付けられている。面取り70は、好適には、スターホイール14の外径稜線に施されたものである。スターホイール14の外径稜線とは、スターホイール14における外周面72における軸方向両端部である。サンホイール28及びスターホイール14の回転に従って、サンホイール28の外周歯40のエッジがスターホイール14の外径の稜線に重なる際、面取り68、70が付けられていることで、後述するスターホイール14の外周面72等と相互に干渉することなくスムースに入り込む。サンホイール28の外周歯40のエッジは、外周歯40の軸方向における両端部である。
図4は、サンホイール28の外周歯40とスターホイール14の間欠歯車との位置関係を説明するために、第2軸26の軸心方向に視た図である。図4においては、スターホイール14の間欠歯車における間欠部分39に、ギヤ部38に対応する歯車の歯(実際には歯切りされていない)を破線で図示している。図4に示すように、サンホイール28の外周歯40の歯数は例えば20歯であり、隣り合う2つの歯の間の角度は例えば18°である。スターホイール14の間欠歯車は、間欠部分39に歯が設けられているのであれば20歯の歯車である。すなわち、好適には、サンホイール14の外周歯40の歯数と等しい。好適には、間欠歯車における間欠部分39には、サンホイール28の外周歯40における所定数の歯が収まる。図4においては、4つの歯が収まっている。図4に示す例において、間欠部分39に対応する角度∠a(第1軸12の軸心C1を中心とする中心角)は72°である。90°毎に設けられた各ギヤ部38(2つの歯)に対応する角度∠b(第1軸12の軸心C1を中心とする中心角)は36°である。
図5は、図1に示す本実施例のオルゴール10における演奏機構部100が筐体34内に収容された様子を説明する概略図である。図4に示すように、オルゴール10は、第1軸12、複数のスターホイール14、振動板16、第3軸20、複数のストッパ22、複数の電磁石24、第2軸26、複数のサンホイール28等の構成を収容する筐体34を備えている。すなわち、図1のように構成された演奏機構部100は、フレーム30等が筐体34に組み付けられることで、筐体34の内部に収容されている。図5に一点鎖線Lで示すように、好適には、第3軸20の中心と、複数の電磁石24のうち少なくとも一部は、筐体34の底面34aに沿った同一平面上に配置されたものである。筐体34の上側平面部には、その筐体34内部の様子を視認するためののぞき窓34bが設けられている。こののぞき窓34bには、ガラス板等の透明な材料による蓋部(非図示)が設けられる。
図2に示すように、ストッパ22は、好適には、ストッパ22が第3軸20を中心としてスターホイール14に向けて回動させられることでスターホイール14における少なくとも1つの爪36に当接させられる板部材50を備えている。電磁石24の励磁状態において、その電磁石24の磁力によりストッパ22を第1回動方向すなわちスターホイール14から離隔させられる方向へ回動させる作用を発生させる磁性部材52を備えている。磁性部材52は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル等の鉄属元素を主成分とする金属である。磁性部材52は、好適には特に磁化されていない鉄板であるが、磁化された所謂永久磁石であってもよい。ストッパ22において、磁性部材52は、板部材50と一体的に設けられたエンジニアリングプラスチック等の合成樹脂部材54にインサート成形されたものである。
電磁石24は、好適には、鉄等の磁性材料である鉄芯の周囲に円筒状のコイルを備えている。電磁石24は、そのコイルに電流が流されることで励磁状態とされ、磁場(磁界)が発生される。磁界が発生されることにより、電磁石24は磁力を発生する。一方、コイルに電流が流されないと非励磁状態とされるよく知られた一般的な電磁石である。本実施例においては、電磁石24のコイルに電流が流された状態が第1状態に相当する。電磁石24のコイルに電流が流されない状態が、少なくとも第1励磁状態より磁力が弱い例えば非励磁状態である第2状態に相当する。
図2に示すように、電磁石24は、各ストッパ22に対応して設けられている。ストッパ22における磁性部材52の近傍に設けられている。電磁石24は、磁性部材52と非接触に設けられている。すなわち、電磁石24とストッパ22とは、相互に最も接近した状態において非接触とされるものである。換言すれば、ストッパ22は、後述する停止状態及び非停止状態の何れにおいても、磁性部材52と電磁石24との間に所定の間隔があくように構成されたものである。この間隔は、好適には、電磁石24の励磁状態において、その電磁石24の磁力作用を磁性部材52に及ぼし得る範囲内とされる。例えば、電磁石24とストッパ22とが相互に最も離隔させられた状態においても、電磁石24の励磁状態においてはその電磁石24の磁力により磁性部材52が引き寄せられるように間隔が設計される。すなわち、ストッパ22をスターホイール14から離隔させる方向に回動させる引力が発生させられるように、間隔が設計される。電磁石24の軸心(鉄芯の中心軸)は、ストッパ22の回動中心すなわち第3軸20の軸心と交わる位置関係とされる。
図2及び図3に示すように、ストッパ22は、好適には、スナップばね(ねじりコイルばね)56を備えている。スナップばね56は、ストッパ22をスターホイール14に向けて回動させる方向に付勢する付勢部材である。ストッパ22及び板部材50は、好適には、電磁石24の非励磁状態においては、スナップばね56により付勢されることでスターホイール14に向けて回動させられる。非励磁状態とは、電磁石24が、コイルに電流が流されない状態の他、スナップばね56によりストッパ22が回動させられる付勢力よりも小さい磁力が発生される程度の電流がコイルに流された状態であってもよい。そして、板部材50は、スターホイール14に設けられた複数の爪36の少なくとも1つを停止する停止状態とされる。この停止状態が、スターホイール14の爪36が所定の位置で停止する待機位置に相当する。一方、電磁石24の励磁状態においては、ストッパ22及び板部材50は、電磁石24の磁力によりスナップばね56による付勢に逆らって第3軸20を中心として第1回動方向、すなわち、スターホイール14から離隔させられる方向に回動させられる。そして、電磁石24による磁力に応じた磁性部材52を引き寄せる力(引力)とスナップばね56の付勢力が釣り合った位置においてストッパ22が停止される。すなわち、板部材50による爪36の停止が解除される非停止状態とされる。この非停止状態が、ストッパ22によるスターホイール14の停止が解除された状態に相当する。
図2及び図3に示すように、複数の電磁石24及び各電磁石24に対応するストッパ22は、好適には、第1群に属する複数の電磁石24及びストッパ22と、第2群に属する複数の電磁石24及びストッパ22とが、第1軸12の軸心を中心とする周方向に90°の位相差で(すなわち相互に90°の角度を成す位置に)配設されている。好適には、複数の電磁石24のうち最も端に設けられた電磁石24から他端側へ向かって1からn(他端における電磁石24に対応)までの数値を付した場合、奇数を付された複数の電磁石24が前記第1群に、偶数を付された複数の電磁石24が前記第2群にそれぞれ属する。すなわち、本実施例のオルゴール10において、好適には、例えば図3に示すスターホイール14a、14bのように、相互に隣接するスターホイール14にそれぞれ対応する電磁石24(図3においては電磁石24a、24b)が、第1軸12の軸心を中心とする周方向に90°の位相差で交互に配設されている。
以上のように構成されたオルゴール10における演奏機構部100の具体的な作動について説明する。オルゴール10による演奏時において、第1軸12及び第2軸26は、モータ32の駆動により常時それぞれの軸心まわりに同期的に回転させられている。第1軸12及び第2軸26は、相互に逆回りに回転駆動されており、好適には、第1軸12はスターホイール14に設けられた爪36が振動板16の振動弁18を下方から上方に向けて弾く方向に回転される。第2軸26はサンホイール28の外周歯40とスターホイール14のギヤ部38とが噛み合った状態において、スターホイール14を回転駆動する方向にそれぞれ回転させられている。複数のサンホイール28は、第2軸26に対して相対回転不能に設けられているため、オルゴール10による演奏時においては、第2軸26の軸心まわりの回転に伴い常時それぞれの軸心まわりに回転させられている。
対応する電磁石24に対する通電が行われず、電磁石24が非励磁状態とされている場合には、ストッパ22の板部材50は、スナップばね56により付勢される。これにより、ストッパ22は、スターホイール14側に回動させられ、スターホイール14に設けられた複数の爪36の少なくとも1つを停止する停止状態とされる。すなわち、複数の爪36の少なくとも1つにおける第1軸12の回転方向側(回転が進む側)に、板部材50における先端部が当接させられる。スターホイール14は、第1軸12との接触部位における摩擦力により、第1軸12に追従回転させられるように構成されている。ストッパ22が停止状態とされている場合には、接触部位における摩擦力に逆らってスターホイール14の第1軸12に対する追従回転が阻止される。換言すれば、第1軸12の軸心を中心とするスターホイール14の位相(振動弁18等に対する位置関係)が固定されたまま、そのスターホイール14における組付穴と第1軸12との接触面が軽い負荷をもって滑りつつそれらが相対回転させられる状態となる。斯かる状態においては、スターホイール14におけるギヤ部38はサンホイール28における外周歯40と噛み合わない位置とされ、サンホイール28の回転はスターホイール14の回転に影響しない。すなわち、第1軸12を中心に回転するスターホイール14がストッパ22により待機位置で停止させられるとき、サンホイール28の外周歯40は、スターホイール14の間欠部分39において空転させられる。
前記状態から、電磁石24に対する通電が行われると、通電された電磁石24が励磁状態とされる。そして、ストッパ22の板部材50が電磁石24の磁力によりスナップばね56による付勢に逆らって第3軸20を中心としてスターホイール14から離隔させられる方向(第1回動方向)に回動させられる。これにより、板部材50による爪36の停止が解除される非停止状態とされる。すなわち、スターホイール14が、第1軸12との接触部位における摩擦力によりその第1軸12に追従回転させられる状態とされる。
ストッパ22が非停止状態とされ、スターホイール14が、第1軸12との接触部位における摩擦力によりその第1軸12に追従回転させられる。すると、複数の爪36のうち1つの爪36が振動板16の振動弁18に接触させられる位相付近において、爪36に隣接する回転方向側(すなわち回転方向に90°の位相差で設けられた)の爪36に対応するギヤ部38がサンホイール28の外周歯40と噛み合わされる。この状態においては、サンホイール28の回転によりスターホイール14が、爪36が振動板16の振動弁18を下方から上方に向けて弾く方向に駆動される。すなわち、サンホイール28の外周歯40とスターホイール14のギヤ部38とが噛み合わされた状態において、スターホイール14の爪36が対応する振動弁18を弾く。斯かる作動によって振動弁18が爪36により弾かれ、振動弁18に対応する音階の音が奏でられる。そのようにして振動弁18を弾いた後、スターホイール14が更に第1軸12に追従回転させられ、サンホイール28が、第2軸26に追従回転させられることでギヤ部38とサンホイール28の外周歯40とが再び噛み合わない状態となる。ギヤ部38と外周歯40とが噛み合った状態から、噛み合わない状態への移行過程において電磁石24の通電が停止され、電磁石24が非励磁状態とされる。これにより、スナップばね56の付勢によりストッパ22がスターホイール14に向けて回動させられ、再び前記停止状態に復帰させられる。
図5に示すように、オルゴール10は、複数の電磁石24それぞれの励磁乃至非励磁を切り替える制御をはじめとする、オルゴール10の作動に関する各種制御を行う制御部60を備えている。この制御部60は、オルゴール10のコンピュータに対応する。
図6は、オルゴール10の電気的構成図である。オルゴール10は、筐体34内に、制御部60を備える。制御部60は、図6に示すように、CPU65と、フラッシュメモリ67と、RAM66とを備える。CPU65は、例えばASICなどの集積回路であってもよい。また、複数の電磁石24と、モータ32と、フラッシュメモリ67と、RAM66と、SDカードリーダ63と、電源200とが、CPU65に接続される。フラッシュメモリ67には、CPU65により実行されるプログラムが記憶される。なお、プログラムは、所定のサーバによりダウンロードされて、フラッシュメモリ67に記憶されても良い。フラッシュメモリ67に記憶されるプログラムに従って、CPU65は、オルゴール10を動作させる。RAM66は、CPU65により演算されるデータが一時的に記憶される。
SDカードリーダ63は、SDカード(Secure Digital Card)61から情報の読み出し、又は、SDカード61への情報の書き込みを行う。CPU65からの指令に従って、SDカードリーダ63は、SDカード61からの情報の読み出し、又は、SDカード61への情報の書き込みを行う。SDカードリーダ63には、SDカード61が挿入される。SDカード61には、楽曲データベース(楽曲DB)62が記憶される。楽曲データベース62には、複数の楽曲データが記憶される。本実施形態では、楽曲データは、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)データである。MIDIデータは、予め定められた複数種類の楽器毎に、その楽器に対応する音の出力タイミング及び音階等が定められた複数のチャンネルを含む。楽曲の演奏速度に対応するテンポに関する情報を含んでいる。以下、楽曲データとして、MIDIデータを用いた例を説明する。CPU65は、SDカードリーダ63により、SDカード61等の記憶媒体に記録されたデータを読み取り可能である。
オルゴール10は、モータ32の回転(出力軸の回転)を検知する検知部64を備えている。検知部64は、例えば、モータ32に備えられた公知のレゾルバ(resolver)である。検知部64は、少なくともモータ32が回転しているか否かを検知する。換言すれば、モータ32の回転停止を検知する。好適には、モータ32の回転量(出力軸の回転量、回転角)を検知する。検知部64は、公知のエンコーダ(フィードバックエンコーダ)であってもよい。例えば、光学式或いは磁気式のロータリエンコーダであってもよい。第2軸26の回転を検出するものであってもよい。すなわち、第2軸26の回転が停止した場合にモータ32の回転停止を検知するものであってもよい。第2軸26の回転量を検知することで、その回転量に基づいてモータ32の回転量を検知するものであってもよい。
好適には、制御部60を演奏制御部、モータ回転制御部、検知判断部、回転判断部、及び時間判断部等の各制御部として機能させるプログラムが、フラッシュメモリ67に記憶されている。フラッシュメモリ67に記憶されたプログラムが読み出され、そのプログラムに基づいて、オルゴール10のコンピュータである制御部60(CPU65)が、前記各制御部として機能させられる。前記各制御部の一部乃至全部が、制御部60とは別個の制御装置として備えられたものであってもよい。それぞれ個別の制御装置として備えられ、相互に通信を行うことで以下に詳述する制御を行うものであってもよい。
CPU65は、演奏制御部として、オルゴール10の演奏機構部100による演奏を制御する。具体的には、複数のストッパ22それぞれによるスターホイール14における爪36の係止を解除するタイミングを判定する。換言すれば、複数のストッパ22それぞれに対応する電磁石24の励磁乃至非励磁を切り替えるタイミング(電磁石24の通電を実行乃至停止するタイミング)を判定する。例えば、楽曲データベース62に記憶された複数の楽曲データのうち所定の楽曲データに対応する曲の演奏において、その楽曲データに定められた音の出力タイミング及び音階に基づいて前記判定を行う。具体的には、各音階に対応する複数の振動弁18を楽曲データに定められた出力タイミングで弾くために、ストッパ22によるスターホイール14における爪36の係止を解除するタイミングを判定する。この判定結果に基づいて、複数の電磁石24それぞれの励磁乃至非励磁を切り替える。すなわち、複数の電磁石24それぞれの通電を実行乃至停止する制御を行う。具体的には、ストッパ22によるスターホイール14における爪36の係止を解除するタイミングが判定された場合、そのタイミングで対応する電磁石24を非励磁状態から励磁状態へ切り替える。すなわち、斯かるタイミングで電磁石24の通電を開始する。好適には、電磁石24を非励磁状態から励磁状態へ切り替えた後、予め定められた規定時間経過後にその電磁石24を励磁状態から非励磁状態へ切り替える。すなわち、斯かるタイミングで電磁石24の通電を停止させる。
CPU65は、モータ回転制御部として、モータ32の回転を制御する。具体的には、モータ32のコイルに所定の電圧を印加(供給)することで、モータ32を回転させる。換言すれば、モータ32に印加する電圧を制御することで、モータ32の出力(出力トルク、回転速度)を制御する。基本的には、モータ32に印加される電圧が大きいほど、モータ32の出力は大きくなる。CPU65は、モータ回転制御部として、必要に応じてモータ32を逆回転させる制御を行う。スターホイール14に設けられた爪36が振動弁18を下方から上方に向けて弾く方向に第1軸12を回転させる方向が、モータ32の順回転方向(正回転方向)に対応する。その逆方向すなわちスターホイール14に設けられた爪36が振動弁18を上方から下方に向けて弾く(乗り上げる)方向に第1軸12を回転させる方向が、モータ32の逆回転方向に対応する。
CPU65は、演奏制御部として、楽曲データに定められたテンポに基づいて、モータ32により駆動される第1軸12及び第2軸26の回転速度を制御する。すなわち、楽曲データに定められたテンポに基づいてモータ32の回転速度を制御する。具体的には、楽曲データベース62に記憶された所定の楽曲データに対応する演奏に際して、その楽曲データに定められたテンポに基づく速度で第1軸12及び第2軸26が回転させられるようにモータ32の回転速度を制御する。演奏対象となる楽曲データにおけるテンポが速いほど、モータ32の回転速度が速くなるように制御する。換言すれば、第1軸12及び第2軸26は、楽曲データが演奏されるテンポに基づく速度で回転させられる。好適には、演奏テンポ毎に、各テンポに対応するモータ32の回転速度が所定の速度制御テーブル(非図示)に定められて記憶されている。CPU65は、演奏制御部として、斯かる速度制御テーブルから、演奏対象となる楽曲データに定められた演奏テンポに基づいてモータ32の回転速度を導出し、その回転速度となるようにモータ32の駆動を制御する。予め定められた計算式等から、演奏対象となる楽曲データに定められた演奏テンポに基づいてモータ32の回転速度を算出するものであってもよい。
図7は、スターホイール14とサンホイール28との噛み合いにずれが生じる様子を説明する図である。図8は、図7における破線で囲繞された部分を拡大して示す図である。演奏機構部100においては、スターホイール14とサンホイール28との噛み合いにずれが発生するおそれがある。例えば、図8に示す例では、スターホイール14におけるギヤ部38の山と、サンホイール28における外周歯40の山とがぶつかる状態となっている。このままスターホイール14及びサンホイール28が回転を続け、ギヤ部38及び外周歯40が図8に破線矢印で示す方向に進行すると、ギヤ部38と外周歯40との衝突が生じる。ギヤ部38と外周歯40との衝突が発生した場合、モータ32を順回転方向に回転させる所定の電圧がモータ32に印加されているにもかかわらず、モータ32が回転を停止(或いは、回転速度が0に近い値まで低下)する状態となる。
CPU65は、検知判断部として、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったかどうかを判断する。換言すれば、検知部64によりモータ32の回転停止が検知されたか否かを判断する。演奏が行われている際、モータ32に対してモータ32を順回転方向に回転させる所定の電圧が印加されているにもかかわらず、モータ32が回転を停止したか否かを判断する。換言すれば、モータ32が回転すべき状態であるにもかかわらず、モータ32が回転を停止したか否かを判断する。すなわち、オルゴール10による演奏中におけるモータ32の異常停止を判断する。好適には、モータ32の回転が完全停止(回転速度が0)しているか否かを判断するものであるが、検知部64により検知されるモータ32の回転速度が規定の閾値(0に近い所定値)未満である場合に、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったかと判断するものであってもよい。
CPU65は、モータ回転制御部として、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったことが判断されたとき、モータ32を逆回転させる。すなわち、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、モータ32の順回転を停止させ、モータ32を逆回転させる電圧を、モータ32に印加する。具体的には、モータ32を所定の回転量Aだけ逆回転させる。モータ32を所定の回転量Aだけ逆回転させた後、モータ32の逆回転を停止させ、モータ32を順回転させる制御を再開する。モータ32を逆回転させる際の回転速度(逆回転速度)は、好適には、予め定められた一定値である。
図8に示すような噛み合いずれを解消するため、モータ32が逆回転させられると、それに応じて第1軸12及び第2軸26も逆回転させられる。前述のように、スターホイール14は、第1軸12との接触部位における摩擦力により、第1軸12に追従回転させられるように構成されている。第1軸12の順方向回転に関して、ストッパ22が停止状態とされている場合、接触部位における摩擦力に逆らってスターホイール14の第1軸12に対する追従回転が阻止されることは前記の通りである。第1軸12の逆方向回転に関して、スターホイール14の爪36が振動弁18に当接した場合、スターホイール14は必ずしも第1軸に対する摩擦力に逆らって空転しない。更に、スターホイール14の爪36が振動弁18付近に位置する場合、ギヤ部38と外周歯40とが噛み合うことでサンホイール28によりスターホイール14が駆動される可能性がある。従って、所定のスターホイール14及びサンホイール28に係る噛み合いのずれを解消するために、モータ32が逆回転させられると、他のスターホイール14の爪36が上方から振動弁18に当たる(当接する)おそれがある。更にモータ32が逆回転し続けると、爪36が振動弁18の上方から下方に向けて駆動されることで、爪36が上方から振動弁18に乗り上げ、振動弁18に無理な力が加わる。場合によっては振動弁18が破損するおそれがある。このため、本実施例において、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったことが判断されたとき、モータ32を逆回転させる所定の回転量Aは、噛み合いを解消させるのに必要十分な回転量であり、且つ、爪36により振動弁18に無理な力が加わらない範囲で、予め定められる。
所定の回転量Aは、好適には、モータ32の逆回転量に応じて定まるスターホイール14(第1軸12)の逆回転量に基づいて予め定められる。好適には、CPU65は、モータ回転制御部として、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったことが判断されたとき、所定の回転量Aとして、その逆回転量Aに応じて定まるスターホイール14の逆回転量が、スターホイール14の爪36の配置間隔より少ない回転量となるように逆回転させる。すなわち、本実施例においては、モータ32の逆回転に応じたスターホイール14の逆回転量が90°未満となるように所定の回転量Aが定められる。
所定の回転量Aは、好適には、その逆回転量Aに応じて定まるスターホイール14の逆回転量が、所定角度毎に設けられた各ギヤ部38に対応する角度∠b(図4を参照)となる回転量である。すなわち、本実施例においては、モータ32の逆回転に応じたスターホイール14の逆回転量が36°となるように所定の回転量Aが定められる。所定の回転量Aは、好適には、その逆回転量Aに応じて定まるスターホイール14の逆回転量が、ギヤ部38における各歯車(ひとつの歯車)に対応する角度となる回転量である。すなわち、本実施例においては、モータ32の逆回転に応じたスターホイール14の逆回転量が18°となるように所定の回転量Aが定められる。所定の回転量Aは、好適には、例えば2°〜10°程度の予め定められた一定値である。
CPU65は、回転判断部として、モータ32が、所定の回転量Aだけ逆回転したか否かを判断する。換言すれば、CPU65は、モータ32の逆回転制御において、モータ32の逆回転量が所定の回転量Aに達したか否かを判断する。モータ32を所定の回転量Aだけ逆回転させた後、モータ32の逆回転を停止させ、モータ32を順回転させる制御を再開したとき、CPU65は、検知判断部として、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったかどうかを再度判断する。この再度の判断において、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、モータ32を所定の回転量Aだけ逆回転させた後、モータ32を順回転させる。すなわち、モータ32を所定の回転量Aだけ逆回転させた後、モータ32の逆回転を停止させ、モータ32を順回転させる制御を再度実行する。斯かる制御においては、モータ32の逆回転制御が、検知判断部としてのCPU65の判断が否定されるまで複数回繰り返される。予め定められた回数(例えば、3回)を限度に、斯かる制御を中止する(打ち切る)ものであってもよい。逆回転制御の実行回数に応じて、所定の回転量Aを変更するものであってもよい。例えば、モータ32の逆回転制御の回数が増えるほど、所定の回転量Aを増加させるものであってもよい。すなわち、モータ32の逆回転と順回転とを繰り返す際に、n+1回目の逆回転制御における所定の回転量Aを、n回目の逆回転制御における所定の回転量Aよりも大きくするものであってもよい。
CPU65は、時間判断部として、モータ32の逆回転制御が開始されてからの経過時間が、所定時間B以上となったかを判断する。回転判断部としてのCPU65が所定の回転量Aを逆回転したと判断しなかったとき、モータ32の逆回転が開始されてから所定時間Bを経過したかを判断する。所定時間Bは、好適には、所定の回転量Aに応じて予め定められる。モータ32を逆回転させる際の回転速度は、好適には、予め定められた一定値である。従って、所定の回転量Aを回転させるために要する時間は、逆回転速度に応じて算出される。所定時間Bは、好適には、所定の回転量Aを回転させるために要する時間に、所定の余裕時間を加算した値である。モータ32の逆回転制御が、検知判断部としてのCPU65の判断が否定されるまで複数回繰り返される場合に、好適には、初回のモータ32の逆回転制御が開始されてからの経過時間(累積時間)が、所定時間B以上となったかを判断する。また好適には、各回のモータ32の逆回転制御が開始されてからの経過時間(n回目の逆回転制御においては、そのn回目の逆回転制御が開始されてからの経過時間)が、所定時間B以上となったかを判断する。
CPU65は、モータ回転制御部として、好適には、時間判断部としてのCPU65が所定時間Bを経過したと判断したとき、モータ32を順回転させる。すなわち、回転判断部としてのCPU65が、所定の回転量Aを逆回転したと判断しなかったとき、時間判断部としてのCPU65によりモータ32の逆回転が開始されてから所定時間Bを経過したと判断される場合には、モータ32の逆回転を停止させ、モータ32を順回転させる。換言すれば、モータ32が所定の回転量Aだけ逆回転させられていない状態であっても、モータ32の逆回転制御開始から所定時間Bが経過した場合には、モータ32の逆回転を停止させ、モータ32を順回転させる。斯かる制御により、モータ32の逆回転に際して爪36により振動弁18に無理な力が加わることを更に好適に抑制できる。
CPU65は、モータ回転制御部として、好適には、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、楽曲データに従ってモータ32を順回転させる電圧より大きい逆電圧を、モータ32にかける。楽曲データに従ってモータ32を順回転させる電圧とは、例えば、演奏制御に際して、演奏対象となる楽曲データに定められたテンポに基づいて、モータ32を所定の回転速度で順回転させる電圧である。すなわち、演奏制御に際して、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、演奏対象となる楽曲データに定められたテンポに基づいて、モータ32を所定の回転速度で順回転させていた電圧よりも大きい電圧を、モータ32を逆回転させる逆電圧としてモータ32に印加する。
CPU65は、モータ回転制御部として、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、楽曲データに従ってモータ32を順回転させる電圧より大きい逆電圧を、モータ32への初動出力にかける。モータ32への初動出力とは、例えば、モータ32を回転させる指令が出力された直後における、モータ32の回転出力(出力トルク、回転速度)に対応する。すなわち、CPU65は、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断された直後、演奏対象となる楽曲データに定められたテンポに基づいて、モータ32を所定角度で順回転させていた電圧よりも大きい電圧を印加することで、モータ32を逆回転させる。
図9は、演奏制御時におけるモータ32の順回転制御に係るモータ32への初動出力について説明するタイムチャートである。図9に示す例では、時点t1において、モータ32を、所定の電圧Vaに対応する回転速度(出力トルク)で順回転させる指令が出力され
ている。演奏制御時において、モータ32が順回転させられる際、CPU65は、図9に示すように、モータ32に印加される電圧を漸増させ、所定時間経過後の時点t2において、所定の電圧Vaがモータ32に印加されるように制御する。図10は、ホイールの噛み合いずれ解消のための、モータ32の逆回転制御時におけるモータ32への初動出力について説明する図である。図10に示す例では、時点t1において、モータ32を、所定の電圧(逆電圧)Vaに対応する回転速度(出力トルク)で逆回転させる指令が出力されている。検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったと判断されたとき、CPU65は、図10に示すように、モータ32に印加される電圧を、逆回転制御開始と略同時に所定の電圧Vaまで増加させる制御を行う。斯かる制御により、モータ32を可及的速やかに逆回転させることで、ホイール間の噛み合いを速やかに解消することができる。
図11は、オルゴール10の制御部60による噛み合いずれからの復帰制御の一例の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、モータ32の回転が停止しているか否かが判断される。すなわち、検知部64によりモータ32の回転が検知されなかったか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、モータ32の順回転が停止させられ、モータ32を逆回転させる制御が開始される。好適には、モータ32を逆回転させる逆電圧として、モータ32を順回転させていた電圧よりも大きい電圧が、S1の判断直後にモータ32に印加される。次に、S3において、検知部64による検知結果に基づいて、モータ32の逆回転量が所定の閾値Aに達したか否かが判断される。このS3の判断が肯定される場合には、S5以下の処理が実行されるが、S3の判断が否定される場合には、S4において、S2にてモータ32の逆回転制御が開始されてから所定時間Bが経過したか否かが判断される。このS4の判断が否定される場合には、S3以下の処理が再び実行されるが、S4の判断が肯定される場合には、S5において、モータ32の逆回転が停止させられ、モータ32を順回転させる制御が開始される。次に、S6において、モータ32が正常に回転させられているか否かが判断される。すなわち、モータ32を順回転させる制御の開始後、検知部64によりモータ32が正しい回転速度で回転(空回り)していることが検知されたか否かが判断される。このS6の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられ、オルゴール10による正常な演奏が再開されるが、S6の判断が否定される場合には、S7において、確認回数は3回以内か否かが判断される。すなわち、S2にてモータ32の逆回転制御が開始された回数が3回以内か否かが判断される。このS7の判断が肯定される場合には、S2以下の処理が再び実行されるが、S7の判断が否定される場合には、振動弁18等の損傷を防ぐため、ホイール間の噛み合いは解消されないまま、本ルーチンが終了させられる。
以上の制御において、S2及びS5が前記モータ回転制御部(制御部)の動作に、S1及びS6が前記検知判断部の動作に、S3が前記回転判断部の動作に、S4が前記時間判断部の動作に、S1が検知ステップ及び検知判断ステップに、S2及びS5が制御ステップに、それぞれ対応する。
本実施例によれば、スターホイール14とサンホイール28との間の噛み合いずれが発生して、モータ32の回転が停止したことが判断された場合、モータ32を予め定められた回転量Aだけ逆回転させた後、順回転させる制御を行う。これにより、スターホイール14の爪36により振動弁18に無理な力がかかり振動弁18が破損することを抑制しつつ、スターホイール14とサンホイール28との間の噛み合いずれを好適に解消することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
本発明は、図1〜図11等を用いて前述した構成に限定されるものではない。例えば、スターホイール14に設けられる爪36の数は4つには限定されず、周方向に90°毎に設けられたものでなくともよい。スターホイール14におけるギヤ部38は、必ずしも爪36に対応する位置に設けられたものでなくともよく、周方向に位相の異なる位置に設けられたものであってもよい。第1群に属する複数の電磁石24及びストッパ22と、第2群に属する複数の電磁石24及びストッパ22とが、第1軸12の軸心を中心とする周方向に90°の位相差で配設されたものでなくともよく、例えば全ての電磁石24が同一平面上に一列に配設されたものであってもよい。逆に、爪36がスターホイール14の周方向に5つ以上設けられている場合等において、スターホイール14に設けられた爪36の数に応じて、複数の電磁石24及びストッパ22が、第1軸12の軸心を中心とする周方向に所定の位相差で3つ以上の位相に対応する位置に配設されたものであってもよい。スターホイール14を係止させるための構成として、各スターホイール14に対応して2つ以上のストッパ22が設けられたものであってもよい。制御部60がインターネット等の通信回線に接続され、その通信回線を介して楽譜データをダウンロードして楽曲データベース62に蓄積するものであってもよい。その他、スターホイール14の形状、ストッパ22の構成(板部材50の形状)、及び各構成の相対位置等は、オルゴールの設計に応じて適宜変更される。例えば、ギヤ部38は、必ずしも2歯ずつ設けられるものでなくともよく、爪36が対応する振動弁18を弾くために十分な距離及び時間だけサンホイール28から駆動されればよく、1歯或いは3歯以上のギヤ部が設けられたものであってもよい。ストッパ22は、電磁石24の励磁状態において、電磁石24の磁力によりストッパ22を第1回動方向へ回動させる作用を発生させる磁性部材として永久磁石を備えても良い。永久磁石は、好適には、電磁石24が励磁状態とされた場合に電磁石24との間で反発力(同種の磁極間の斥力)が発生する位置で、板部材50と一体的に設けられた合成樹脂部材54にインサート成形されても良い。ストッパ22の板部材50が電磁石24の磁力すなわちその電磁石24と永久磁石との間の斥力によりスナップばね56による付勢に逆らう。これにより、ストッパ22は、第2軸20を中心としてスターホイール14から離隔させられる方向(第1回動方向)に回動させられ、板部材50による爪36の係止が解除される非係止状態とされる。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。