JP6089948B2 - 車両の異音判定装置および異音判定方法 - Google Patents

車両の異音判定装置および異音判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、車両の異音判定装置および異音判定方法に関し、特に車両走行時における車室内でのいわゆる低級音と称される異音の発生の有無を判定する装置とその方法に関するものである。
車両走行時における車室内での「びびり音」や「きしみ音」等の異音はいわゆる低級音と称されている。このような低級音に代表されるところの、バックグラウンドノイズ(異音以外の外部環境音とも言うべき車両走行音)に重畳した異音の探知に関しては、バックグラウンドノイズのエネルギーが支配的であるため、音響エネルギーの時系列変化等を観測した上での単純なしきい値判定ではその異音発生の有無の判定が困難である。そのため、ショートタイムFFT(ショートタイムフーリエ変換分析)を適用し、瞬時ごとの周波数スペクトルが判定しきい値レベルを超えた回数を判断することで異音の発生の有無を判定する手法が特許文献1にて提案されている。
特開2010−96547号公報
特許文献1に記載された技術では、異音発生を判定するしきい値ライン(特許文献1の評価ライン)につき、事前に形状を決定した周波数スペクトルでのしきい値ラインを車両の大きさや走行路面等の状況に応じて上下にシフトまたはオフセットさせることで環境変化に対する補正を行っている。しかしながら、補正前のしきい値ラインを決定するためには、多数の車両の走行音データを予め収集する必要があり、走行音データ収集のための工数が増加することとなって好ましくない。
また、例えば車両の内装品の仕様が異なるとバックグラウンドノイズのスペクトルも異なるほか、走行時の車速がしきい値ライン設定時の車速と異なるとバックグラウンドノイズの一部であるロードノイズも変動してしまうことになる。このことは、例えば車両の仕様違いや走行速度のばらつき等に応じてバックグラウンドノイズのスペクトルに差異が生じても、これらの相違に対してしきい値ラインの形状を忠実に追従させることができないことにほかならない。その結果として、異音発生の有無の判定精度の向上に限界があるほか、過検知または未検知等が増加する可能性があり、判定精度の向上の上でなおも改善の余地を残している。
本発明はこのような課題に着目してなされたもので、とりわけ事前の走行音データ収集が不要であり、また異音発生の判定精度の大幅な向上を可能とした車両の異音判定技術を提供するものである。
本発明では、車両走行音に特定の異音が含まれているか否かを判定するに際して、車両走行音の音データを周波数分析して所定の周波数範囲の周波数−音圧レベル波形とし、算出した周波数−音圧レベル波形について各周波数毎の代表値を結んだ線をバックグラウンドノイズ推定値として算出した上で、このバックグラウンドノイズ推定値を上記周波数−音圧レベル波形における音圧レベルの高位側に所定オフセット量だけオフセットさせてしきい値レベルとして設定する。その上で、上記周波数−音圧レベル波形においてしきい値レベルを超えた部分の面積を異音領域に相当する超過面積として算出し、上記超過面積と予め設定されている判定値とを比較して異音の有無を判定するものとした。
本発明によれば、事前に多数の車両の走行音を収集する必要がないため、従来では必須とされた走行音収集のための工数を削減することができる。また、車両走行速度のばらつき、車両仕様の違いなどで車両のバックグラウンドノイズに差異が生じた場合でも、上記ばらつき等に忠実に追従させるべく、個々にばらつきのある車両特性に沿ったしきい値レベルを設定することができるため、過検知または未検知を低減できるとともに、判定精度が大幅に向上する。
本発明に係る異音判定装置を実施するための具体的な形態として、その概略構造を示す説明図。 車両の後部から発生する異音(低級音)検出に際して、図1の判定装置の搭載状態の一例を示す説明図。 車両走行音をショートFFT分析処理して周波数−音圧レベル特性として求めた周波数スペクトラムの一例を示す説明図。 図3の周波数スペクトラムのうち異音(低級音)発生のない部位の音圧レベル−頻度特性として求めた音圧ヒストグラム。 図3の周波数スペクトラムのうち異音(低級音)発生のある部位の音圧レベル−頻度特性として求めた音圧ヒストグラム。 図3の周波数スペクトラムのうち低周波領域の音圧レベル−頻度特性として求めた音圧ヒストグラム。 図6の音圧ヒストグラムでの周波数−標準偏差特性を示す特性図。 図3と同様の周波数−音圧レベル特性として求めた周波数スペクトラムの説明図。 図8に基づき算出した各周波数毎のしいき値超え面積の和を示す説明図。 図9のしいき値超え面積に関する係数の説明図。 図1〜10で説明した事項の一連の処理手順を示すフローチャート。
図1〜11は本発明に係る車両の異音判定装置を実施するためのより具体的な形態を示し、特に図1は異音判定装置の概略構造を、また図2は異音判定装置の車両への搭載例を示している。
図1に示した異音判定装置は、集音手段としてのマイクロホン3およびA/D変換器2のほか、主要素であるデータ処理装置1にて構成されている。データ処理装置1は可搬性を考慮して例えばノートタイプあるいはタブレットタイプのパーソナルコンピュータをもって構成される。このパーソナルコンピュータからなるデータ処理装置1は、周知のようにCPU4、ROM5、RAM6のほかハードディスク等の記憶装置7を内蔵していて、例えば(ショートタイム)FFT解析ツールを含む各種のデータ処理ソフトウェアが予めインストールされているとともに、入力装置8としての図示外のキーボードやマウスのほか表示手段としてのディスプレイ9が付帯している。さらに、必要に応じて、図示しないプリンタや外部記憶装置が付帯することもある。そして、周知のように、入出力インターフェース10を介してデータ処理装置1のそれぞれの構成要素間で必要な情報の授受が行われることになる。
車両走行音の収集にあたっては、図2に示すように、例えば車両11の後部から発生する異音(低級音)の検出に使用する場合には、マイクロホン3を後部座席中央部の乗員頭部相当部付近に設置するとともに、A/D変換器2おびデータ処理装置1は容易に落下することがないように後部座席に設置するものとする。
その上で、路面状況毎に、例えば舗装路、石畳路、砂利路等毎に実際に車両11を所定速度で走行させるととともに、集音手段であるマイクロホン3をONにして、車両走行中の走行音を集音するべく、その走行音をA/D変換器2にてA/D変換しながらリアルタイムでデータ処理装置1に録音(収録)する。
データ処理装置1に録音した走行音の音データのうち例えば特定の路面状況に応じた走行音を切り出し、時間的に変化している音データを周波数毎に整理し直して支配的な周波数に含まれる低級音等の異音を探査するべく、ショートタイムFFT処理(ショートタイム高速フーリエ変換分析)すると、各ウインドごとの周波数−音圧レベル特性が図3に示すような周波数スペクトルとして得られる。そして、図3では、黒く塗りつぶされている波形の大部分を占めている部分が車両走行時の支配的なバックグラウンドノイズ(求めようとする異音以外の外部環境音とも言うべき車両走行音で、ロードノイズが主とされる。)であり、黒く塗りつぶされた部分(バックグラウンドノイズ)から上方に鋸歯状に飛び出している部分が検出しようとする低級音等の異音が発生している部位となる。
その一方、図3の周波数スペクトルについて周波数毎の音圧レベルの頻度に着目すると、図4に示すように各周波数毎の音圧レベルが正規分布に近い状態で分布しており、その分布状況から各周波数毎のバックグラウンドノイズを推定し、その各周波数毎のバックグラウンドノイズ同士を結んだ線を図3の周波数スペクトルに重ね描きするように描画することで、これをバックグラウンドノイズ推定値Gとする。
そして、図3の周波数スペクトルにおいて、上記バックグラウンドノイズ推定値Gを上方に所定のオフセット量eだけオフセット(またはシフト)させて、これをバックグラウンドノイズと低級音等の異音とを識別するためのしきい値レベルSとして設定する。これにより、バックグラウンドノイズと異音識別のためのしきい値レベルSとを形状的にマッチングさせることができる。
その上で、図3の周波数スペクトルについて、先に述べたようにしきい値レベルSを上方に超えている部分を異音が発生している部位とするならば、各ウインド毎のしきい値レベルSを超えている部分の面積の総和が低級音等の異音の発生回数とその大きさを反映していることになる。
そこで、本実施の形態では、後述するように、図3の周波数スペクトルのうちしきい値レベル2を超えている部分の面積を超過面積として求めることで異音発生の有無を判定するものとする。すなわち、上記しきい値レベルSよりも上側の超過面積を算出した上で、予め設定してある判定値と比較することで、低級音に代表される異音の発生の有無またはその大きさを特定することができる。
ここで、上記バックグラウンドノイズ推定値Gの推定または決定にあたって、図4の分布状況における各周波数毎のバックグラウンドノイズの平均値あるいは中央値に基づいてバックグラウンドノイズ推定値Gの推定または決定したのでは、そのバックグラウンドノイズ推定値Gの精度または信頼性に限界がある。例えば、図5に示すように特定の周波数で異音が発生している場合には、その影響で平均値あるいは中央値が上方にオフセット(シフト)している可能性が高く、上記バックグラウンドノイズ推定値Gへの影響を無視することができない。そこで、本実施の形態では、図4の分布特性について、分布の最頻値(ピーク値)の標準偏差をその周波数でのハックグラウンドノイズとしている。そして、各周波数でのハックグラウンドノイズを図3の横軸である周波数方向で結線することでバックグラウンドノイズ推定値Gとしている。
また、先に述べたバックグラウンドノイズのレベル変動が大きい場合には、バックグラウンドノイズ推定値G自体がしきい値レベルSを超えてしますおそれがある。そこで、しきい値レベルSの設定のためのバックグラウンドノイズ推定値Gのオフセット量eをバックグラウンドノイズの状態に合わせて調整する必要がある。そこで、以下の手法にて車両走行条件等に応じて上記のオフセット量eを調整するものとする。
図6は音圧レベル−頻度特性として図4と同様の音圧ヒストグラム(ただし、図4と比べ比較的低周波領域のものを示している。)を示していて、同図に示すように、異音が発生していない周波数領域での音圧レベルの頻度分布形状は正規分布に近く、その標準偏差でバックグラウンドノイズの変動のばらつきを定量化することが可能である。周波数毎の標準偏差の分布を観察すると、図7に示すように、低周波領域では異音が発生している領域に比較してバックグラウンドノイズが支配的であるため、異音の有無での標準偏差の差異は発生していない。そこで、異音の有無での標準偏差の差異が発生していない当該低周波領域での標準偏差を先に述べたオフセット量として設定することを前提としつつ、異音発生領域での標準偏差との相関を考慮して、上記低周波領域での標準偏差に所定の定数を乗じた値を上記オフセット量eとして設定するものとする。
さらに、人間の聴覚は特に高周波領域で低下する傾向にある。そこで、先に決定したしきい値レベルSを超えた面積、すなわち図3のしきい値レベルSよりも上側の超過面積を算出する前に、図8,9に示すように各周波数毎にしきい値レベルSを超えた面積を一旦積算する一方で、図10に示すように、高周波領域での聴覚感度低下の影響を低減するべく人間の聴覚特性に基づいた係数Cを予め定めておき、この係数Cを各周波数毎にしきい値レベルSを超えた積算面積に乗じた上で、図3,8のしきい値レベルSよりも上側の超過面積を算出するものとする。
この係数Cの値は、図10に示すように、例えば周波数fが基準周波数fcよりも小さい場合(f<fc)にはC=1.0とし、周波数fが基準周波数fcよりも大きい場合(f≧fc)にはC=傾き−D[dB/dec]とする。このように、各周波数毎のしきい値レベルSを超えた積算面積に係数Cを乗じることは、当該各周波数毎のしきい値レベルSを超えた積算面積に補正を加えるべくいわゆる重み付け処理を施したことにほかならず、ここでの上記fcおよびDの値は官能実験で予め求めた値を用いている。
ここで、これまでの一連の説明を図1のデータ処理装置1による処理手順としてフローチャート化したものを図11に示す。
図11に示すように、ステップS1〜ステップS4での処理はいわゆる前処理に相当していて、特にステップS1〜ステップS3までの処理は図1のマイクロホン3によるリアルタイムでの収録に相当している。また、ステップS4は後述する各種演算に必要な設定値であるところのオフセット量データおよび判定値データ等をデータ処理装置1の所定の格納部位から読み出す処理に相当している。
ステップS5では、オペレータの操作により計測対象路面データを読み出す。例えば先に述べた舗装路、石畳路、砂利路等のような路面状況毎の車両走行音のうち特定の音データを読み出した上で、ステップS6〜ステップS9の処理としてショートタイムFFT処理を実行し、各周波数毎の算出エネルギーをストアし、図3のような周波数スペクトラムを作成する。この場合において、並行して以降の処理に必要な図4〜7のような音圧ヒストグラム等を演算・作成するものとする。
これにより、ステップS6〜ステップS9での処理は、車両走行音の音データを周波数分析して所定の周波数範囲の周波数−音圧レベル波形として算出する周波数分析手段としての機能に相当することになる。
そして、ステップS10の処理として、図4〜6の音圧ヒストグラムに基づいて各周波数毎の分布の最頻値(ピーク値)を算出するとともに、ステップS11の処理として、低級音(異音)成分抽出のための周波数特性を決定する。すなわち、図3に示すように、各周波数毎の代表値を横軸方向に結んで線状のものとし、これをもってバックグラウンドノイズ推定値Gとして推定または決定する。ここで、各周波数毎の代表値を横軸方向に結んだ線をバックグラウンドノイズ推定値Gとして推定または決定している、としているのは、各周波数毎の最頻値(ピーク値)を横軸方向に結んだ線のほか、各周波数ごとの平均値をスムージングして得られた線をもバックグラウンドノイズ推定値Gとして推定または決定して使用することができるためである。
さらに、続くステップS12の処理として、図3におけるバックグラウンドノイズ推定値Gを予め設定されているオフセット量eだけ上方にオフセットさせ、このオフセット後のバックグラウンドノイズ推定値Gをしきい値レベルSとして設定する。
この場合において、図6,7に示すように、異音が発生していない周波数領域での音圧レベルの頻度分布形状は正規分布に近く、その標準偏差でバックグラウンドノイズの変動のばらつきを定量化することが可能であることは先に述べた。そして、周波数毎の標準偏差の分布を観察すると、図7に示すように、低周波領域では異音が発生している領域に比較してバックグラウンドノイズが支配的であるため、異音の有無での標準偏差の差異は発生していないので、異音の有無での標準偏差の差異が発生していない当該低周波領域での標準偏差を先に述べたオフセット量として設定することを前提としつつ、異音発生領域での標準偏差との相関を考慮して、上記低周波領域での標準偏差に所定の定数を乗じた値を上記オフセット量eとして設定するものとする。そのため、後述するように、バックグラウンドノイズのレベルのばらつきが大きい場合に、そのばらつきに応じたしきい値レベルSを設定できるため、異音である低級音の過剰検知を回避できるようになる。
これにより、ステップS11,S12での処理は、上記周波数−音圧レベル波形について各周波数毎の代表値を結んだ線をバックグラウンドノイズ推定値Gとして算出した上で、このバックグラウンドノイズ推定値Gを上記周波数−音圧レベル波形における音圧レベルの高位側に所定オフセット量eだけオフセットさせてしきい値レベルSとして設定するしきい値設定手段としての機能に相当することになる。
ステップS13では、公知の特徴抽出の手法により、図3の周波数スペクトラムに基づいて検出対象とする低級音(異音)以外の特徴的な音の有無を判断し、かかる低級音(異音)以外の特徴的な音が含まれている場合には、ステップS14の処理として当該特徴的な音をカットする。このように検出対象とする低級音(異音)以外の特徴的な音をカットするのは、検出対象とする低級音の識別・抽出精度を高めるためにほかならず、検出対象とする低級音(異音)以外の特徴的な音とは、例えば石跳ね(チッピング)音、あるいはシートその他のビニール類の擦れ音等を挙げることができる。
ステップS15では、後述するステップS21での判定処理に必要な判定値を初期化して保持する。判定値とは、図3の周波数スペクトラムのうちしきい値レベルSを上方側に超えている超過面積についてその適否判定をする際の基準値である。先のステップS4の初期設定値読み込みの際に判定値が読み込まれているが、ステップS4で読み込まれた判定値は一サイクル前のサイクルの判定の際に既に補正が加えられているので、次のサイクルの判定の際にそのまま使用することは好ましくない。そこで、前のサイクルで補正した補正代分をキャンセルするべく、判定値について予め設定されている設定値に戻すべく一旦初期化するものとする。
ステップS16およびS17では、先のステップS8でストアしたFFTストアデータについて、図3の周波数スペクトラムのうちしきい値レベルSを上方側に超えている部分の面積を超過面積として算出する。この超過面積は、先に述べたようにバックグラウンドノイズに含まれている低級音等の異音の発生回数とその大きさを反映しているものにほかならない。
そして、この超過面積の算出に際しては、先に述べたように、超過面積を算出する前に、図8,9に示すように各周波数毎にしきい値レベルSを超えた面積を一旦積算する一方で、図10に示すように、高周波領域での聴覚感度低下の影響を低減するべく人間の聴覚特性に基づいた係数Cを予め定めておき、この係数Cを各周波数毎にしきい値レベルSを超えた積算面積に乗じた上で、図3のしきい値レベルSよりも上側の全体の超過面積を算出するものとする。これにより、超過面積を算出する前に、各周波数毎のしきい値レベルSを超えた積算面積に補正を加えるべくいわゆる重み付けが付加されたことになる。言い換えるならば、算出された全体の超過面積には官能評価に即した重み付けが予め付加されていることになる。そのため、後述するように算出する超過面積を官能評価結果と同等の精度で求めることが可能となる。
これにより、ステップS17,S18での処理は、上記周波数−音圧レベル波形においてしきい値レベルSを超えた部分の面積を異音領域に相当する超過面積として算出する面積算出手段としての機能に相当することになる。
そして、ステップS19では、ステップS18と同じ重み付け付加をステップS15で初期化した判定値についても施すものとし、この判定値に関して予め設定されている設定値について、ステップS18での重み付けと同様の補正を加えるものとする。
この後、先のFFTストアデータについての処理をステップS20で終えたならば、次のステップS21では、図3の周波数スペクトラムにおける超過面積をステップS19の処理で補正されたステップS15の判定値と比較して、その適否判定、すなわち低級音(異音)の発生の有無の判定を行うものとする。すなわち、算出した図3の超過面積が判定値を超えていなければステップS22のように「OK(低級音の発生なし)」と判定され、他方、算出した図3の超過面積が判定値を超えている場合にはステップS23のように「NG(低級音の発生あり)」と判定されることになる。そして、これらの判定結果を図1のディスプレイ9に表示したり、あるいは必要に応じて記憶装置7に記憶処理するものとする。
これにより、ステップS21での処理は、上記超過面積と予め設定されている判定値とを比較して異音の有無を判定する判定手段としての機能に相当することになる。
このように本実施の形態によれば、多数の車両の走行音を収集することなしに、図3のようにバックグラウンドノイズの波形に対してしきい値レベルSを形状的にほぼ一致させることが可能である。つまり、本実施の形態によれば、従来のように事前に多数の車両の走行音を収集する必要がないため、走行音収集のための工数を廃止することができる。
その上、車両走行速度のばらつき、車両仕様の違いなどで車両のロードノイズを主としたバックグラウンドノイズに差異が生じた場合でも、上記ばらつき等に忠実に追従させるべく、個々にばらつきのある車両特性に沿ったしきい値レベルSを設定することができる。そのため、異音である低級音の発生を見逃すことがないように例えばしきい値レベルを低めに設定してとしても、過検知または未検知を低減できるとともに、異音である低級音の発生の有無の判定精度が大幅に向上し、その信頼性も高いものとなる。
また、バックグラウンドノイズ推定値Gを所定オフセット量eだけオフセットさせてしきい値レベルSとして設定する際に、図6,7に基づいて説明したように、所定の周波数範囲の頻度分布の標準偏差に定数を乗じた値を所定オフセット量eとして設定しているため、バックグラウンドノイズのレベルのばらつきが大きい場合に、そのばらつきに応じたしきい値レベルSを設定できるため、異音である低級音の過剰検知を回避できる利点がある。
さらに、図8のほか図9,10に基づいて説明したように、しきい値レベルSの上側の超過面積の算出に際して、いわゆる官能評価に即した重み付けが予め付加されているために、算出する超過面積を官能評価結果と同等の精度で求めることができる。例えば高周波領域が主体の低級音(異音)の場合、官能評価に比較して各周波数毎の積算面積であるところの超過面積が大きくなる傾向にあったが、先に述べた適切なfcおよびDの値を設定することで、低級音の音色にかかわらず、官能評価結果と高い相関をもって超過面積を求めることができ、結果として低級音の発生の有無の判定結果の精度が高くなり、その判定結果の信頼性も高いものとなる。
1…データ処理装置
2…A/D変換器
3…マイクロホン
e…オフセット量
G…バックグラウンドノイズ推定値
S…しきい値レベル

Claims (8)

  1. 車両の走行に伴って発生する車両走行音に特定の異音が含まれているか否かを判定する装置であって、
    上記車両走行音が音データとして記憶されている記憶手段と、
    上記音データを周波数分析して所定の周波数範囲の周波数−音圧レベル波形として算出する周波数分析手段と、
    上記周波数−音圧レベル波形について各周波数毎の代表値を結んだ線をバックグラウンドノイズ推定値として算出した上で、このバックグラウンドノイズ推定値を上記周波数−音圧レベル波形における音圧レベルの高位側に所定オフセット量だけオフセットさせてしきい値レベルとして設定するしきい値設定手段と、
    上記周波数−音圧レベル波形においてしきい値レベルを超えた部分の面積を異音領域に相当する超過面積として算出する面積算出手段と、
    上記超過面積と予め設定されている判定値とを比較して異音の有無を判定する判定手段と、
    を備えていることを特徴とする車両の異音判定装置。
  2. 上記しきい値設定手段では、上記所定の周波数範囲の頻度分布の標準偏差に定数を乗じた値を所定オフセット量として設定するものであることを特徴とする請求項1に記載の車両の異音判定装置。
  3. 上記面積算出手段で算出される超過面積には官能評価に即した重み付けが予め付加されていることを特徴とする請求項2に記載の車両の異音判定装置。
  4. 上記車両走行音は集音手段によって集音されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両の異音判定装置。
  5. 車両の走行に伴って発生する車両走行音に特定の異音が含まれているか否かを判定する方法であって、
    上記車両走行音の音データを周波数分析して所定の周波数範囲の周波数−音圧レベル波形として算出する工程と、
    算出した周波数−音圧レベル波形について各周波数毎の代表値を結んだ線をバックグラウンドノイズ推定値として算出した上で、このバックグラウンドノイズ推定値を上記周波数−音圧レベル波形における音圧レベルの高位側に所定オフセット量だけオフセットさせてしきい値レベルとして設定する工程と、
    上記周波数−音圧レベル波形においてしきい値レベルを超えた部分の面積を異音領域に相当する超過面積として算出する工程と、
    上記超過面積と予め設定されている判定値とを比較して異音の有無を判定する工程と、
    を含むことを特徴とする車両の異音判定方法。
  6. 上記バックグラウンドノイズ推定値をオフセットさせてしきい値レベルとして設定する際の所定オフセット量は、上記所定の周波数範囲の頻度分布の標準偏差に定数を乗じた値であることを特徴とする請求項5に記載の車両の異音判定方法。
  7. 上記超過面積の算出に際して官能評価に即した重み付けを予め付加することを特徴とする請求項6に記載の車両の異音判定方法。
  8. 上記車両走行音は集音手段によって集音されたものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の車両の異音判定方法。
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