JP6088799B2 - 光塩基発生剤 - Google Patents

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本発明は光照射によって塩基を発生させる光塩基発生剤に関する。さらに詳しくは光照射によって発生する塩基を利用して硬化させる材料(たとえば、コーティング剤や塗料)、又は露光部、未露光部の現像液への溶解性差を利用したパターニングを経て形成される製品若しくは部材(たとえば、電子部品、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料又は接着剤)の製造に好適に用いられる光塩基発生剤に関する。
第1級アミン又は第2級アミンを発生させる光塩基発生剤(特許文献1及び非特許文献1)では、発生する第1級アミン又は第2級アミンの塩基性が低く(pKa<8)、重合反応用や架橋反応用の触媒としては活性が低く適さない。またこれらのアミンは活性水素原子をもつので、エポキシドやイソシアネートの重合反応や架橋反応に用いると、自らが反応してしまうため、十分な反応を行うためには多量の光塩基発生剤が必要となるという問題があった。
このような問題点を解決すべく、強塩基(第3級アミン、pKa8〜11)や超強塩基(グアニジンやアミジン等、pKa11〜13)を発生させる光塩基発生剤が提案されている(特許文献2〜5及び非特許文献2)。
しかしながら、一般的に広く使用される光源である高圧水銀灯の波長の、i線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)に対し、特許文献2〜4及び非特許文献2に記載された光塩基発生剤では、特に365nmの光の吸収が小さく、感度が不十分であるという問題がある。
また、塗料分野等において、光硬化性組成物に、顔料(たとえば、酸化チタン)や芳香環を持つバインダー等を配合することがあるが、顔料や芳香環を持つバインダーが照射光を吸収してしまうため(たとえば、酸化チタンは380nm以下の光を吸収し、芳香環は365nm付近の光を吸収する。)、従来の光塩基発生剤では硬化できないという問題もある。
また、特許文献4に記載された光塩基発生剤では、カウンターアニオンとしてハロゲンイオンが用いられているが、用途によっては金属腐食の懸念がある。また、特許文献5に記載された光塩基発生剤は、塩基性がブロックされていないため、反応性組成物中に含有させておくと、反応性組成物の貯蔵安定性が低下するという問題がある。
上記の課題を解決する手段として、四級アンモニウム塩型の光塩基発生剤(特許文献6)が報告されており、報告にある光塩基発生剤は、350〜500nmの波長の光を感光して効率よく触媒活性の高いアミン(第3級アミンやアミジン)を発生させることができる。
しかしながら、溶剤{(乳酸エチル、酢酸2−メトキシ−1−メチルエチル(以下、PGMEAと略)等}への溶解性が低く、パターニング部材への使用が困難であり、改善が求められていた。
特開平10−7709号公報 特開2005−107235号公報 特開2005−264156号公報 特開2007−119766号公報 特開2009−280785号公報 WO2005−014696号公報
光応用技術・材料事典、株式会社産業技術サービスセンター、2006年、130頁 J.Photopolym.Sci.Tech.,vol.19.,No.1(81)2006
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、例えば、エポキシ系化合物等の架橋反応に用いることができ、発生する塩基の強度が高く、エポキシ系化合物等に適用した場合には、塩基発生反応が連鎖的に行われ、反応効率に優れ、かつ溶剤への溶解性が高い塩基発生剤及び当該塩基発生剤を含有する感光性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、前記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、優れた特性を有する光塩基発生剤を見出すに至った。
すなわち本発明は、一般式(1)で表されることを特徴とする光塩基発生剤である。
Figure 0006088799
[式(1)中、Arは、炭素数6〜12のアリール基であって、芳香環の水素原子の少なくとも一つが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含む置換基で置換した基であり;Arは炭素数6〜14のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R14CO−で表されるアシル基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく;R〜Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、Ar、R、Rはお互いに結合して環構造を形成していてもよく;Rは炭素数1〜18アルキル基であり;nは1〜4の整数であり、但しnが4の場合は、Arは炭素数6〜12のアリール基であり;R11、R14、R15及びR16は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基;R12及びR13は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;Yは下記一般式(2)又は(3)の何れかで表される第4級アンモニオ基であり;式(2)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよく;Qはメチレン基(−CH−)m、又は下記一般式(4)で表される基であり;mは2又は3の整数であり;式(3)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を有していてもよく;式(4)中、R〜R10は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。]
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
更に本発明は、上記記載の光塩基発生剤と塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする光硬化性組成物である。
更に本発明は、上記光硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化体である。
本発明の光塩基発生剤は、350〜500nmの波長の光を感光して効率よく触媒活性の高いアミン(第3級アミンやアミジン)を発生させることができる。
また、本発明の光塩基発生剤は、カウンターアニオンとしてハロゲンイオン等を含まないため、金属腐食の懸念がない。
また、本発明の光塩基発生剤は、感光前において、塩基性がないため、反応性組成物中に含有させておいても、反応性組成物の貯蔵安定性を低下するということがない。
また、本発明の光塩基発生剤は、熱に対しても安定であり、光を照射しない限り、加熱しても塩基を発生しにくい。
また、本発明の光塩基発生剤は、乳酸エチル、PGMEA等への溶解性が高く、それらの溶剤が必須であるパターニング部材へ用いることが出来る。
また、本発明の感光性樹脂組成物を使った硬化物の製造方法によると、上記の光塩基発生剤を用い、350〜500nmの波長の光を照射するため、効率よく触媒活性の高いアミン(第3級アミンやアミジン)を発生させることができ、効率よく硬化物を製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
光塩基発生剤とは、光照射によりその化学構造が分解し、塩基(アミン)を発生するものをいう。発生した塩基は、エポキシ樹脂の硬化反応、ポリイミド樹脂の硬化反応、イソシアネートとポリオールのウレタン化反応、アクリレートの架橋反応等の触媒として作用することができる。
本発明の光塩基発生剤は、一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 0006088799
[式(1)中、Arは、炭素数6〜12のアリール基であって、芳香環の水素原子の少なくとも一つが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含む置換基で置換した基であり;Arは炭素数6〜14のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R14CO−で表されるアシル基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく;R〜Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、Ar、R、Rはお互いに結合して環構造を形成していてもよく;Rは炭素数1〜18アルキル基であり;nは1〜4の整数であり、但しnが4の場合は、Arは炭素数6〜12のアリール基であり;R11、R14、R15及びR16は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基;R12及びR13は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;Yは下記一般式(2)又は(3)の何れかで表される第4級アンモニオ基であり;式(2)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよく;Qはメチレン基(−CH−)m、又は下記一般式(4)で表される基であり;mは2又は3の整数であり;式(3)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を有していてもよく;式(4)中、R〜R10は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。]
一般式(1)において、Arの炭素数1〜18(1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜8である。)のアルキル基としては、直鎖アルキル基(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等)、分岐アルキル基(イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシル、2−エチルヘキシル及び1,1,3,3−テトラメチルブチル等)、シクロアルキル基(シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)及び架橋環式アルキル基(ノルボルニル、アダマンチル及びピナニル等)が挙げられる。
Arの炭素数2〜18(2〜12が好ましく、さらに好ましくは2〜8である。)のアルケニル基としては、直鎖又は分岐のアルケニル基(ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、1−メチル−1−プロペニル、1−メチル−2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル及び2−メチル−2−プロぺニル等)、シクロアルケニル基(2−シクロヘキセニル及び3−シクロヘキセニル等)及びアリールアルケニル基(スチリル及びシンナミル等)が挙げられる。
Arの炭素数2〜18(2〜12が好ましく、さらに好ましくは2〜8である。)のアルキニル基としては、直鎖又は分岐のアルキニル基(エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−メチル−2−プロピニル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、1−ぺンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−メチル−2−ブチニル、3−メチル−1−ブチニル、1−デシニル、2−デシニル、8−デシニル、1−ドデシニル、2−ドデシニル及び10−ドデシニル等)及びアリールアルキニル基(フェニルエチニル等)が挙げられる。アルキニル基としては、以上の他に、アルキニル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18のアルキルチオ基等で置換した置換アルキニル基を用いてもよい。
Arの−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基中の炭素数1〜8(1〜4が好ましい。)のアルキル基としては、上記のアルキル基のうち炭素数1〜8のアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、以上の他に、アルキル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜8のアルキルチオ基等で置換した置換アルキル基を用いてもよい。
Arの−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアリールチオ基中の炭素数6〜14のアリール基としては、下記のアリール基が挙げられる。アリール基としては、以上の他に、アリール基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜8のアルキルチオ基等で置換した置換アリール基を用いてもよい。
−OR11で表されるアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペントキシ、iso−ペントキシ、neo−ペントキシ及び2−メチルブトキシ等が挙げられる。
−NR1213で表されるアミノ基としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジプロピルアミノ及びピペリジノ等が挙げられる。
15COO−で表されるアシロキシ基としては、アセトキシ、ブタノイルオキシ及びベンゾイルオキシ等が挙げられる。
−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基としては、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ベンジルチオ、フェニルチオ、ビフェニルチオ及び4−メチルフェニルチオ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
Ar及びArの炭素数6〜14のアリール基としては、単環式アリール基(フェニル等)、縮合多環式アリール基(ナフチル、アントラセニル、フェナンスレニル、アントラキノリル、フルオレニル及びナフトキノリル等)及び芳香族複素環炭化水素基(チエニル、フラニル、ピラニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル等単環式複素環;及びインドリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、キノリル、イソキノリル、キノキサリニル、キナゾリニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、キサンテニル、チアントレニル、フェノキサジニル、フェノキサチイニル、クロマニル、イソクロマニル、クマリニル、ジベンゾチエニル、キサントニル、チオキサントニル、ジベンゾフラニル等縮合多環式複素環)が挙げられる。
アリール基としては、以上の他に、アリール基中の水素原子の一部が炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R14CO−で表されるアシル基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
置換基のうち、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基としては前記と同じものが挙げられる。
置換基のうち、−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R14CO−で表されるアシル基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基中の炭素数1〜8(1〜4が好ましい。)のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基としては、前記と同じものが挙げられる。
14CO−で表されるアシル基としては、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、ピバロイル及びベンゾイル等が挙げられる。
一般式(1)において、R〜Rのうち、炭素数1〜18(1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜8である。)のアルキル基としては、上記のアルキル基が挙げられる。アルキル基としては、以上の他に、アルキル基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数6〜14のアリール基、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18のアルキルチオ基等で置換した置換アルキル基を用いてもよい。
〜Rのうち、炭素数6〜14のアリール基としては、上記のアリール基が挙げられる。アリール基としては、以上の他に、アリール基の水素原子の一部を水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、炭素数1〜18のアルコキシ基及び/又は炭素数1〜18のアルキルチオ基等で置換した置換アリール基を用いてもよい。
これら置換基R〜R及びArは互いに結合して環構造を形成してもよい。
一般式(1)において、Rのうち、炭素数1〜18(1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜8である。)アルキル基としては、上記R〜Rで挙げられたアルキル基と同じものが挙げられる。
一般式(1)において、nはボレートアニオンに置換するR及びArの数を表し、1〜4の整数である。nが4の場合は、Arは炭素数6〜14のアリール基である。
第4級アンモニオ基(Y)は、光照射によって、対応するアミン(Y)となって脱離し、各種反応触媒として機能する。一方、第4級アンモニオ基(Y)は、光照射する前は塩基性がないため、反応性組成物中に含有させておいても反応性組成物の貯蔵安定性が低下するということがない。
第4級アンモニオ基(Y)は、下記一般式(2)又は一般式(3)の何れかで表される。
一般式(2)におけるR〜Rのうち炭素数1〜18のアルキル基としては、上記のアルキル基と同様であり、炭素数6〜14のアリール基としては、上記のアリール基と同様である。またこれら置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
一般式(2)において、Qはメチレン基(−CH−)m、又は下記一般式(4)で表される基であり、mは2又は3の整数である。
一般式(4)における置換基R〜R10は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、及び炭素数6〜14のアリール基であり、炭素数1〜18のアルキル基としては、上記のアルキル基と同様であり、炭素数6〜14のアリール基としては、上記のアリール基と同様である。またこれら置換基が互いに結合して環構造を形成していてもよい。
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
一般式(3)における置換基R〜Rとしては、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基はそれぞれ上記の炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜14のアリール基と同様である。
一般式(2)で表される第4級アンモニオ基としては、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン−8−イル{化学式(5)で表される基}、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン−5−イル{化学式(6)で表される基}、及び一般式(7)で表される基である。具体的には1−メチルイミダゾール−3−イル、1,2−ジメチルイミダゾール−3−イル、1−メチル−2−エチルイミダゾール−3−イル等が挙げられる。
Figure 0006088799
一般式(7)における置換基R17は炭素数1〜18のアルキル基、R18は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。炭素数1〜18(1〜12が好ましく、さらに好ましくは1〜8である。)のアルキル基としては、上記R〜Rで挙げられたアルキル基と同じものが挙げられる。
炭素数2〜18のアルケニル基としては、上記のアルケニル基が挙げられる。
炭素数6〜14のアリール基としては、上記のアリール基が挙げられる。
一般式(3)で表される第4級アンモニオ基としては、1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル{化学式(8)で表される基}、3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル{化学式(9)で表される基}及び1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル{化学式(10)で表される基}、トリブチルアンモニオ、トリオクチルアンモニオ、オクチルジメチルアンモニオ及びジイソプロピルエチルアンモニオ等が挙げられる。
Figure 0006088799
これらのアンモニオ基のうち、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン−8−イル(化学式(5)で表される基)、1,5−ジアザビシクロ〔4.3.0〕−5−ノネン−5−イル(化学式(6)で表される基)、1−メチルイミダゾール−3−イル、1,2−ジメチルイミダゾール−3−イル、1−メチル−2−エチルイミダゾール−3−イル、1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル(化学式(8)で表される基)、3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル(化学式(9)で表される基)、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン−1−イル(化学式(10)で表される基)トリオクチルアンモニオ及びジイソプロピルエチルアンモニオが好ましく、さらに好ましくは1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン−8−イル(化学式(5)で表される基)及び1,5−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−5−ノネン−5−イル(化学式(6)で表される基)1−メチルイミダゾール−3−イル、1,2−ジメチルイミダゾール−3−イルである。
一般式(1)において、
Arとして好ましいものは、炭素数6〜12のアリール基であって、芳香環の水素原子の少なくとも一つが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含む置換基で置換した基であり、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基であって、芳香環の水素原子の少なくとも二つが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含む置換基で置換した基である。
Arとして好ましいものは、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基であり、特に好ましいものは、置換基を有してもよいフェニル基である。
〜Rとして好ましいものは、水素原子及び炭素数1〜8のアルキル基であり、特に好ましいものは水素原子及びメチル基である。
として好ましいものは、炭素数1〜8のアルキル基であり、特に好ましいものは炭素数4〜6のアルキル基である。
として好ましいものは、一般式(2)で表されものであり、特に好ましいものは式(2)中のR及びRが水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であるものである。
nとしては、n=1〜3が好ましく、さらに好ましくはn=1又は3である。
一般式(1)で表される光塩基発生剤のカチオン構造としては、たとえば、以下の化学式(CA−1)〜(CA−12)で表されるものが好ましく例示できる。
Figure 0006088799
一般式(1)で表される光塩基発生剤のアニオン構造としては、たとえば、以下の化学式(A−1)〜(A−11)で表されるものが好ましく例示できる。
Figure 0006088799
本発明の光塩基発生剤は、公知の方法により製造できる。以下の化学反応式で一例を示す。目的の光塩基発生剤に対応した置換基(Ar、R及びR)を有する、脱離基(Z)が置換した化合物(E)と、第4級アンモニオ基(Y)に対応するアミン(Y)とを直接又は溶媒中で反応させることにより、Zを対アニオンとするカチオン中間体を得る。このカチオン中間体と、別途公知の方法で製造した目的の光塩基発生剤に対応した置換基(Ar、R)を有するボレート金属塩とを有機溶媒もしくは水中でアニオン交換して目的の光塩基発生剤を得ることができる。
Figure 0006088799
[式中、Ar、Ar、R、R、R、Y、は一般式(1)と同様であり、Zは脱離基であり、Zは脱離により生成する対アニオンであり、Yは第4級アンモニウムに相当するアミンであり、Mは金属カチオンである。]
アミン(Y)としては、化学式(11)で示されるアミン{1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン−7(DBU;「DBU」はサンアプロ株式会社の登録商標である。)}、化学式(12)で示されるアミン{1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−ノネン−5(DBN)}、化学式(13)で示されるアミン{各記号は化学式(3)と同じである。たとえば、1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ〔2.2.2〕オクタン及び1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン等環状アミン及びトリアルキルアミン(トリブチルアミン、トリオクチルアミン、オクチルジメチルアミン及びジイソプロピルエチルアミン等)、トリアルケニルアミン(トリアリルアミン等)及びトリアリールアミン(トリフェニルアミン、トリp−トリルアミン及びジフェニルp−トリルアミン等鎖状アミン等}及び化学式(14)で表されるアミン{各記号は化学式(7)と同じである。たとえば1−メチルイミダゾール−3−イル、1,2−ジメチルイミダゾール−3−イル、1−メチル−2−エチルイミダゾール−3−イル)等}が含まれる。
Figure 0006088799
脱離基(Z)としては、ハロゲン原子(塩素原子及び臭素原子等)、スルホニルオキシ基(トリフルオロメチルスルホニルオキシ、4−メチルフェニルスルホニルオキシ及びメチルスルホニルオキシ等)及びアシロキシ(アセトキシ及びトリフルオロメチルカルボニルオキシ等)が含まれる。これらのうち、製造しやすさ等の観点から、ハロゲン原子及びスルホニルオキシ基が好ましい。
溶媒としては、水や有機溶剤を使用できる。有機溶剤としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン及びジオキサン等)、塩素系溶剤(クロロホルム及びジクロロメタン等)、アルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)、ニトリル(アセトニトリル等)及び極性有機溶剤(ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン等)が含まれる。これらの溶剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
カチオン中間体の原料となる化合物(E)とアミン(Y)との反応温度(℃)としては、−10〜100が好ましく、さらに好ましくは0〜80である。化合物(E)を有機溶剤に溶解しておいて、これにアミンを加えることが好ましい。アミンの加え方は、滴下してもよいし、有機溶剤で希釈してから滴下してもよい。
上記化合物(E)は公知の方法により製造できる。化合物(E)は芳香環基(Ar)が置換したα位炭素をハロゲン化(好ましくは臭素化)することにより得ることができる。ハロゲン化(臭素化が好ましい)は種々の方法で行うことができるが、ハロゲン(臭素が好ましい)を用いる方法又はラジカル発生剤を併用したN−ブロモスクシンイミドを用いた方法が簡便で好ましい(第4版実験化学講座19日本化学会編p422)。
アニオン成分であるボレート金属塩は公知の方法(例えば、Journal of Polymer Science:PartA:Polymer Chemistry、vol34、2817(1996)等が参考となる)を用いて、アルキル又はアリール有機金属化合物とアルキル又はアリールホウ素化合物、あるいはハロゲン化ホウ素化合物とを有機溶媒中で反応させることにより得られる。用いる有機金属化合物としては、アルキルリチウムやアリールリチウムなどのリチウム化合物、アルキルマグネシウムハライドやアリールマグネシウムハライドなどのマグネシウム化合物(グリニヤール試薬)が好適に用いられる。
ホウ素化合物と有機金属化合物の反応は、−80℃〜100℃、好ましくは−50℃〜50℃、最も好ましくは−30℃〜30℃である。用いる有機溶媒としては、炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等)、環状エーテル(テトラヒドロフラン及びジオキサン等)、塩素系溶剤(クロロホルム及びジクロロメタン等)が好適に用いられる。
上記で得られるボレート金属塩は安定性や溶解性の観点からアルカリ金属塩であることが好ましい。グリニヤール試薬で反応させる場合は反応中もしくは反応後に塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム等を加え、金属交換を行うことが好ましい。さらに引き続き行うアニオン交換反応の簡便さから、水溶液として得ることが好ましい。水溶液で得るには、反応で用いた有機溶媒を留去することで一旦固体として得、水で溶解させてもよく、分液法により水層へ溶解させてもよい。
アニオン交換は、上記で得られたボレート金属塩の水溶液と、中間体を含む有機溶剤又は水溶液と混合することにより行われる。
なお、中間体を得てから引き続き、アニオン交換を行ってもよいし、中間体を単離・精製してから、再度、有機溶剤に溶解して、アニオン交換を行ってもよい。
以上のようにして得られる光塩基発生剤は、有機溶剤から分離してから精製してもよい。有機溶剤からの分離は、光塩基発生剤を含む有機溶剤溶液に対して直接(又は濃縮した後)、貧溶剤を加えて光塩基発生剤を析出させることにより行うことができる。ここで用いる貧溶剤としては、鎖状エーテル(ジエチルエーテル及びジプロピルエーテル等)、エステル(酢酸エチル及び酢酸ブチル等)、脂肪族炭化水素(へキサン及びシクロヘキサン等)及び芳香族炭化水素(トルエン及びキシレン等)が含まれる。
光塩基発生剤が油状物の場合、析出した油状物を有機溶剤溶液から分離し、さらに油状物に含有する有機溶剤を留去することにより、本発明の光塩基発生剤を得ることができる。一方、光塩基発生剤が固体の場合、析出した固体を有機溶剤溶液から分離し、さらに、固体に含有する有機溶剤を留去することにより、本発明の光塩基発生剤を得ることができる。
精製は、再結晶(冷却による溶解度の差を利用する方法、貧溶剤を加えて析出させる方法及びこれらの併用)によって精製することができる。また、光塩基発生剤が油状物である場合(結晶化しない場合)、油状物を水又は貧溶媒で洗浄する方法により精製できる。
本発明の光塩基発生剤は、潜在性塩基触媒(光が照射される前は、触媒作用はないが、光照射によって塩基触媒の作用を発現する触媒)等に適用でき、塩基反応性化合物、たとえば、光硬化性樹脂組成物等の感光性樹脂組成物の硬化触媒として使用でき、350〜500nmの光を照射すると、硬化する光硬化性樹脂組成物用の硬化触媒として好適である。たとえば、塩基で硬化が促進する基本樹脂及び本発明の光塩基発生剤、並びに必要に応じて、溶剤及び/又は添加剤を含んでなる光硬化性樹脂組成物を容易に構成できる。このような光硬化性樹脂組成物は、本発明の光塩基発生剤を含有するため、保存安定性に優れている他、硬化性にも優れている。すなわち、本発明の光塩基発生剤を含有する光硬化性樹脂組成物に350〜500nmの波長の光を照射することによって塩基を発生させ、硬化反応を促進させて、硬化物を得ることができる。したがって、このような硬化物の製造方法としては、本発明の光塩基発生剤に対し、350〜500nmの波長の光を照射することによって塩基を発生させる工程を含むことが好ましい。なお、硬化反応の際には必要に応じて加熱してもよい。
また、本発明の光塩基発生剤は、乳酸エチル、PGMEAへの溶解性が高く、それらの溶剤が必須であるパターニング部材へ使用が可能である。
光照射により発生する塩基で硬化が促進する感光性樹脂組成物は、塩基によって硬化する光硬化性樹脂であれば制限がなく、たとえば、硬化性ウレタン樹脂{(ポリ)イソシアネートと硬化剤(ポリオール及びチオール等)とからなる樹脂等}、硬化性エポキシ樹脂{(ポリ)エポキシドと硬化剤(酸無水物、カルボン酸、(ポリ)エポキシド及びチオール等)とからなる樹脂や、エピクロルヒドリンとカルボン酸とからなる樹脂等}、硬化性アクリル樹脂{アクリルモノマー及び/又はアクリルオリゴマーと硬化剤(チオール、マロン酸エステル及びアセチルアセトナート等)}、ポリシロキサン(硬化して架橋ポリシロキサンとなる。)、ポリイミド樹脂、及び特許文献3に記載された樹脂である。
本発明の光塩基発生剤は、400nm以上の波長の光にも感光するので、一般的に使用されている高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)が使用できる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されることは意図するものではない。なお、以下特記しない限り、%は重量%を意味する。
製造例1 リチウムn−ヘキシルトリフェニルボレート:の合成

窒素置換した4つ口反応容器に0.25molL−1トリフェニルボランテトラヒドロフラン溶液(アルドリッチ製)を100mL加え、−20℃まで冷却した。そこへ2.3molL−1ヘキシルリチウムヘキサン溶液(アルドリッチ製)11mLを徐々に滴下した。滴下後室温で2時間攪拌した後、さらにヘキサン100mLを加え、濾過を行った。有機層を濃縮し白色固体を得た。ただちに水33.4gで溶解しリチウムn−ヘキシルトリフェニルボレート20%水溶液を得た。
製造例2〜4
製造例1において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、リチウムsec−ブチルトリフェニルボレート20%水溶液、リチウムn−ブチルトリフェニルボレート20%水溶液、リチウムエチルトリフェニルボレート20%水溶液を得た。
製造例5 リチウムジn−ブチルジフェニルボレート:の合成
4つ口反応容器にクロロボランメチルスルフィド錯体(アルドリッチ製)2.7gを加え、テトラヒドロフラン100mLを加えた。そこへ1−へキセン(東京化成製)を5gを少しずつ加えた。室温で1時間反応後−20℃に冷却し、2.0molL−1ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(アルドリッチ製)50mLを滴下した。滴下後室温で2時間攪拌した後、さらにヘキサン100mLを加え、濾過を行った。有機層を濃縮し白色固体を得た。ただちに水28.6gで溶解しリチウムジn−ブチルジフェニルボレート20%水溶液を得た。
製造例6〜10
製造例1において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、リチウムジシクロヘキシルジリフェニルボレート20%水溶液、リチウムジn−ブチルジメシチルボレート20%水溶液、リチウムトリn−ブチルフェニルボレート20%水溶液、リチウムn−ブチルトリp−アニシルボレート20%水溶液、リチウムn−ブチルトリp−フルオロフェニルボレート20%水溶液を得た。
製造例11 リチウムテトラn−ブチルボレート:の合成
4つ口反応容器に三フッ化ホウ素エーテル錯体3.5gを加え、さらにテトラヒドロフラン100mLを加え攪拌した。−20℃へ冷却し、そこへ2.0molL−1ブチルリチウムシクロヘキサン溶液(アルドリッチ製)50mLを滴下した。滴下後室温で2時間攪拌し、ヘキサン100mLを加え濾過を行った。有機層を濃縮し得られた白色固体を速やかに水24.6gで溶解させ、リチウムテトラn−ブチルボレート20%水溶液を得た。
実施例1
化合物a101の合成
(1)2−メチルチオキサントン(中間体a−1)
硫酸140gを三角フラスコに仕込み、そこへジチオサリチル酸(和光純薬工業株式会社製)10gを加え1時間室温で攪拌した。氷浴で冷却し20℃以下を保ちながらトルエン25gを滴下した。滴下後室温に戻しさらに2時間攪拌を行った。この反応液を氷水800gへ注ぎ込んだ。析出した黄色固体をろ別し、ジクロロメタン200gにて溶解後水洗を行った。有機層を濃縮することで黄色固体9gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(a−1)であることを確認した。
(2)2−ブロモメチルチオキサントンの合成(中間体a−2)
還流管付反応容器にて、中間体(a−1)2gをシクロヘキサン100mLに溶解し、これにN−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業株式会社製)8g、過酸化ベンゾイル0.1gを加え還流下4時間反応させた。溶剤を留居し、そこへクロロホルム50mLを加えて残渣を溶解、3回水洗を行った。有機層を濃縮することで褐色固体2gを得た。酢酸エチルにて再結晶を行い、黄色固体1.8gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(a−2)であることを確認した。
(3)中間体(a−3)の合成
ジクロロメタン85gに中間体(a−2)1gを溶解させ、これに1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gを滴下し、室温下2時間攪拌した。溶媒を留去し白色固体を得た。この白色固体をテトラヒドロフラン/ジクロロメタンにて再結晶を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−3)であることを確認した。
(4)化合物(a101)の合成
製造例1で合成したリチウムn−ヘキシルトリフェニルボレート(5g)の水溶液に、あらかじめクロロホルム50gに溶解させた中間体(a−3)1.0gを少量ずつ添加し、室温で1時間攪拌した。水洗を3回行い、有機層を濃縮することにより黄色固体を得た。この黄色固体をアセトニトリル/エーテルにて再結晶を行い、微黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの微黄色固体が化合物(a101)であることを確認した。化合物(a101)の構造は表1に記載した。
実施例2〜11
実施例1において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a102)〜(a111)を得た。化合物(a102)〜(a111)の構造は表1に記載した。
実施例12
化合物a201の合成
(1)中間体(a−4)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gを1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(サンアプロ製)0.4gとした以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−4)であることを確認した。
(2)化合物a201の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(a−4)1.0gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、微黄色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(a201)であることを確認した。化合物(a201)の構造は表1に記載した。
実施例13〜22
実施例12において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a202)〜(a211)を得た。化合物(a202)〜(a211)の構造は表1に記載した。
実施例23
化合物a301の合成
(1)中間体(a−5)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gを1−メチルイミダゾール(東京化成製)2.0gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−5)であることを確認した。
(2)化合物a301の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(a−5)0.9gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、微黄色固体1.3gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(a301)であることを確認した。化合物(a301)の構造は表1に記載した。
実施例24〜33
実施例23において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a302)〜(a311)を得た。化合物(a302)〜(a311)の構造は表1に記載した。
実施例34
化合物a401の合成
(1)中間体(a−6)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gを1,2−ジメチルイミダゾール(東京化成製)2.1gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−6)であることを確認した。
(2)化合物a401の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(a−6)0.9gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、微黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(a401)であることを確認した。化合物(a401)の構造は表1に記載した。
実施例35〜44
実施例34において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a402)〜(a411)を得た。化合物(a402)〜(a411)の構造は表1に記載した。
実施例45
化合物a501の合成
(1)中間体(a−7)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gをキヌクリジン(アルドリッチ製)0.4gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−7)であることを確認した。
(2)化合物a501の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(a−7)0.9gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、微黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(a501)であることを確認した。化合物(a501)の構造は表2に記載した。
実施例46〜55
実施例45において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a502)〜(a511)を得た。化合物(a502)〜(a511)の構造は表2に記載した。
実施例56
化合物a601の合成
(1)中間体(a−8)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU、サンアプロ製)0.5gをジイソプロピルエチルアミン(東京化成製)0.5gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(a−8)であることを確認した。
(2)化合物a601の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(a−8)1.0gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、微黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(a601)であることを確認した。化合物(a601)の構造は表2に記載した。
実施例57〜66
実施例56において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(a602)〜(a611)を得た。化合物(a602)〜(a611)の構造は表2に記載した。
実施例67
化合物b101の合成
(1)中間体(b−1)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において中間体(a−2)1gを3,4−ジメトキシ−2ニトロベンジルブロミド(アルドリッチ製)0.9gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(b−1)であることを確認した。
(2)化合物b101の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(b−1)0.9gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、黄色固体1.0gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(b101)であることを確認した。化合物(b101)の構造は表2に記載した。
実施例68〜72
実施例67において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(b201)〜(a601)を得た。化合物(a201)〜(a601)の構造は表2に記載した。
実施例73〜78
実施例67〜72において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(b107)〜(b607)を得た。化合物(b107)〜(b607)の構造は表2に記載した。
実施例79〜84
実施例67〜72において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(b108)〜(b608)を得た。化合物(b108)〜(b608)の構造は表2に記載した。
実施例85〜90
実施例67〜72において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(b111)〜(b611)を得た。化合物(b111)〜(b611)の構造は表2に記載した。
実施例91
化合物c101の合成
(1)中間体(c−1)の合成
4−フェニルジフェニルスルフィド26gをジクロロメタン100gに溶解させ、そこへ塩化アルミニウム30gを加え攪拌した。氷浴で冷却しながらp−トリルベンゾイルクロリド(東京化成製)を滴下した。そのまま6時間反応させ、氷水500gへ投入した。有機層を3回水洗し、濃縮することで白色固体32gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(c−1)であることを確認した。
(2)中間体(c−2)の合成
還流管付反応容器にて、中間体(c−1)15gをシクロヘキサン100mLに溶解し、これにN−ブロモスクシンイミド(和光純薬工業株式会社製)8g、過酸化ベンゾイル0.1gを加え還流下4時間反応させた。溶剤を留去し、そこへクロロホルム50mLを加えて残渣を溶解、3回水洗を行った。有機層を濃縮することで褐色固体18gを得た。酢酸エチルにて再結晶を行い、白色固体14gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(c−2)であることを確認した。
(3)中間体(c−3)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において中間体(a−2)1gを中間体(c−2)1.5gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.8gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(c−3)であることを確認した。
(4)化合物c101の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(c−3)1.3gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、黄色固体1.6gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(c101)であることを確認した。化合物(c101)の構造は表3に記載した。
実施例92〜96
実施例91において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(c201)〜(c601)を得た。化合物(c201)〜(c601)の構造は表3に記載した。
実施例97〜103
実施例91〜96において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(c107)〜(c607)を得た。化合物(c107)〜(c607)の構造は表3に記載した。
実施例103〜108
実施例91〜96において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(c108)〜(c608)を得た。化合物(c108)〜(c608)の構造は表3に記載した。
実施例109〜114
実施例91〜96において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(c111)〜(c611)を得た。化合物(c111)〜(c611)の構造は表3に記載した。
実施例115
化合物d101の合成
(1)中間体(d−1)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において中間体(a−2)1gを4−ブロモメチル−6,7−ジメトキシクマリン(東京化成製)1.0gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、白色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの白色固体が中間体(d−1)であることを確認した。
(2)化合物d101の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(d−1)1.0gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(d101)であることを確認した。
実施例116〜120
実施例115において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(d201)〜(d601)を得た。化合物(d201)〜(d601)の構造は表3に記載した。
実施例121〜126
実施例115〜120において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(d107)〜(d607)を得た。化合物(d107)〜(d607)の構造は表3に記載した。
実施例127〜132
実施例115〜120において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(d108)〜(d608)を得た。化合物(d108)〜(d608)の構造は表3に記載した。
実施例133〜138
実施例115〜120において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(d111)〜(d611)を得た。化合物(d111)〜(d611)の構造は表3に記載した。
実施例139
化合物e101の合成
(1)中間体(e−1)の合成
3,4−ジメトキシ−6−ニトロベンゾフェノン(アルドリッチ製)20gをエタノール500mLに溶解させ、そこへ水素化ホウ素ナトリウムを5g徐々に加えた。10時間室温で反応させた。反応液を濃縮し、酢酸エチルで再結晶することで赤色固体12gを得た。1H−NMRによりこの赤色固体が中間体(e−1)であることを確認した。
(2)中間体(e−2)の合成
中間体(e−1)10gをトルエンにさせ、そこに三臭化リン10gを加えた。さらにピリジン15gを加え24時間反応させた。有機層を5回水洗し、濃縮し、残渣をエーテルで再結晶を行い、黄色固体8gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(e−2)であることを確認した。
(3)中間体(e−3)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において中間体(a−2)1gを中間体(e−2)1gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、黄色固体1.3gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(e−3)であることを確認した。
(4)化合物e101の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(e−3)1.0gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、黄色固体1.2gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(e101)であることを確認した。
実施例140〜144
実施例139において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(e201)〜(e601)を得た。化合物(e201)〜(e601)の構造は表4に記載した。
実施例145〜150
実施例139〜144において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(e107)〜(e607)を得た。化合物(e107)〜(e607)の構造は表4に記載した。
実施例151〜156
実施例139〜144において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(e108)〜(e608)を得た。化合物(e108)〜(e608)の構造は表4に記載した。
実施例157〜162
実施例139〜144において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(e111)〜(e611)を得た。化合物(e111)〜(e611)の構造は表4に記載した。
実施例163
化合物f101の合成
(1)中間体(f−1)の合成
実施例1−(2)中間体(a−2)の合成において中間体(a−1)1gを2−イソプロピルチオキサントン(東京化成製)2gとする以外は実施例1−(2)と同様の操作を行い、黄色固体2.3gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が中間体(f−1)であることを確認した。
(2)中間体(f−2)の合成
実施例1−(3)中間体(a−3)の合成において中間体(a−2)1gを中間体(f−1)1.2gとする以外は実施例1−(3)と同様の操作を行い、淡褐色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの淡褐色固体が中間体(f−2)であることを確認した。
(3)化合物f101の合成
実施例1−(4)において中間体(a−3)1.0gを中間体(f−2)1.1gとした以外は実施例1−(4)と同様の操作を行い、黄色固体1.1gを得た。1H−NMRによりこの黄色固体が化合物(f101)であることを確認した。
実施例164〜168
実施例163において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(f201)〜(f601)を得た。化合物(f201)〜(f601)の構造は表4に記載した。
実施例169〜174
実施例163〜168において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(f107)〜(f607)を得た。化合物(f107)〜(f607)の構造は表4に記載した。
実施例175〜180
実施例163〜168において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(f108)〜(f608)を得た。化合物(f108)〜(f608)の構造は表4に記載した。
実施例181〜186
実施例163〜168において、反応条件、原料を代える以外は同様の方法で、化合物(f111)〜(f611)を得た。化合物(f111)〜(f611)の構造は表4に記載した。
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
表1〜6中の芳香環基A,B,C,D及びアミンAの構造は以下の通りである。
Figure 0006088799
比較例1
特許文献6(WO2005−014696号公報)に記載の下記光塩基発生剤(H−1)を作成した。
Figure 0006088799
<有機溶媒への溶解性評価>
実施例1〜138の光塩基発生剤(a101〜a111、a201〜a211、a301〜a311、a401〜a411、a501〜a511、a601〜a611、b101〜b601、b107〜b607、b108〜b608、b111〜b611、c101〜c601、c107〜c607、c108〜c608、c111〜c611、d101〜d601、d107〜d607、d108〜d608、d111〜d611、e101〜e601、e107〜e607、e108〜e608、e111〜e611、f101〜f601、f107〜f607、f108〜f608、f111〜f611)と比較例1の比較光塩基発生剤(H−1)を、それぞれ有機溶媒(乳酸メチル、PGMEA)に1〜5wt%添加したときの外観を目視にて確認し、以下の基準により評価した。その結果を表5〜8に記載した。
(判定基準)
◎:透明、均一(5%以上溶解)
○:透明、均一(1〜5%溶解)
×:白濁、又は相分離
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
Figure 0006088799
表5〜8の結果から、本発明の光塩基発生剤は乳酸エチル、PGMEAへの溶解性が高い。パターニング部材へ光塩基発生剤を使用する場合、乳酸エチルやPGMEA等への溶解性が高い必要があり、本発明の光塩基発生剤は優れている。一方、比較例1の光塩基発生剤(H−1)は、溶解性が低く、パターニング部材への使用が困難である。
〔光分解性評価〕
<光塩基発生剤含有溶液の調製>
実施例1〜186の光塩基発生剤をモル濃度7.00×10−6mol/gとなるようにクロロホルム溶液を作成した。(例えば実施例1の光塩基発生剤(a101)0.0037gをクロロホルム0.75gに溶解させる。)同様に比較例1の塩基発生剤についても同一モル濃度になるように塩基発生剤含有溶液を得た。
<光分解性評価>
上記で得た本発明の光塩基発生剤含有溶液をNMRチューブに充填し、ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社、ECS−151U)で露光(365nmの積算光量で2J/cm)した。なお、露光波長を制御するために300〜450nmの波長の光を透過するフィルター(アイグラフィックス株式会社、365フィルター)を使用した。
その後、内部標準としてジクロロメタン10mgを添加し、H−NMR(300MHz)分析を行い、本発明の光塩基発生剤が分解することを確認した{塩基に隣接する−CH−のプロトンのシグナル4.60ppm(s、2H)の減少を確認}。
その結果を表5〜8に示した。なお、未露光のものついてはいずれも分解率は0%であった。分解率は下記算出式によった。
同様に、比較の光塩基発生剤含有溶液も同様に操作を行い、比較の光塩基発生剤(H−1)が分解することを確認した。
分解率は以下の算出式で得た。なお、積分値は、内部標準であるジクロロメタンを基準として得た値を用いた。
分解率(%)=[{(未露光溶液の塩基に隣接する−CH−のプロトンの積分値)−(露光溶液の塩基に隣接する−CH−のプロトンの積分値)}/(未露光溶液の塩基に隣接する−CH−のプロトンの積分値)]×100
表5〜8の結果から、実施例1〜186の光塩基発生剤は比較例1の光塩基発生(H−1)に比べ効率的に光によって分解することを確認した。
〔塩基発生の確認〕
上記光塩基発生剤含有溶液にBTB液を添加し、塩基の発生の有無を確認した。その結果、露光した光塩基発生剤含有溶液は、青色になり、塩基の発生を確認した。一方、未露光の溶液は、黄色であり、塩基を発生していないことがわかった。
この結果から、実施例1〜186の光塩基発生剤、比較例1の光塩基発生(H−1)は、光によって分解し、塩基を発生する。
〔樹脂硬化性確認〕
実施例ならびに比較例の塩基発生剤の効果を確認するため、以下のような光硬化性樹脂組成物を調製し、表面タックの有無により硬化性を確認した。
(樹脂組成物)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂 100g
(JER−828;ジャパンエポキシレジン製)
酸無水物 (HN5500E;日立化成製) 90g
溶剤(PGMEA) 200g
光塩基発生剤 5g

(試験方法)
上記組成物を均一に混合し、ガラス基板(100mm×100mm)にバーコーターで均一塗布、乾燥後ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社、ECS−151U)で露光(露光波長を制御するため300−450nmを透過するフィルター(アイグラフィックス株式会社、365フィルター)を使用した)し、塩基を発生させた。150℃に加熱したホットプレートで30分加熱を行い、表面タック有無を確認した。
実施例の塩基発生剤では、透明な硬化物が得られたのに対し、比較例の塩基発生剤では、溶解性が乏しいため硬化物表面にタックはなくなるものの、不透明で表面がざらついた外観の硬化物が得られた。また光照射なしで加熱した場合では、150℃で30分加熱しても硬化していなかった。
この結果から、実施例の塩基発生剤は溶剤溶解性が高く、特にパターニング材料で必須となるような溶剤を含む光硬化性組成物で好適に使用できる。
本発明の光塩基発生剤は、光照射によって発生する塩基を利用して硬化させる材料(たとえば、コーディング剤や塗料)、又は露光部、未露光部の現像液への溶解性差を利用したパターニングを経て形成される製品若しくは部材(たとえば、電子部品、光学製品、光学部品の形成材料、層形成材料又は接着剤)の製造に好適に用いられる。

Claims (9)

  1. 一般式(1)で表されることを特徴とする光塩基発生剤。
    Figure 0006088799
    [式(1)中、Arは、炭素数6〜12のアリール基であって、芳香環の水素原子の少なくとも一つが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を含む置換基で置換した基であり;Arは炭素数6〜14のアリール基であって、アリール基中の水素原子の一部が、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数2〜18のアルキニル基、炭素数6〜14のアリール基、ニトロ基、水酸基、シアノ基、−OR11で表されるアルコキシ基、−NR1213で表されるアミノ基、R14CO−で表されるアシル基、R15COO−で表されるアシロキシ基、−SR16で表されるアルキルチオ基若しくはアリールチオ基、又はハロゲン原子で置換されていてもよく;R〜Rは水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、Ar、R、Rはお互いに結合して環構造を形成していてもよく;Rは炭素数1〜18アルキル基であり;nは1〜4の整数であり、但しnが4の場合は、Arは炭素数6〜12のアリール基であり;R11、R14、R15及びR16は炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基;R12及びR13は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数6〜14のアリール基であり;Yは下記一般式(2)又は(3)の何れかで表される第4級アンモニオ基であり;式(2)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよく;Qはメチレン基(−CH−)m、又は下記一般式(4)で表される基であり;mは2又は3の整数であり;式(3)中、R〜Rは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を有していてもよく;式(4)中、R〜R10は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。]
    Figure 0006088799
    Figure 0006088799
    Figure 0006088799
  2. 一般式(1)において、R 、R が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である請求項1に記載の光塩基発生剤。
  3. 一般式(1)において、Arが置換基を有していてもよいフェニル基又はナフチル基である請求項1又は2に記載の光塩基発生剤。
  4. 一般式(1)において、Rが炭素数1〜8のアルキル基である請求項1〜のいずれかに記載の光塩基発生剤。
  5. 一般式(1)において、nが1又は3である請求項1〜のいずれかに記載の光塩基発生剤。
  6. が、一般式(2)で表されものである請求項1〜のいずれかに記載の光塩基発生剤。
  7. が、下式(5)〜(7)の群より選ばれる請求項に記載の光塩基発生剤。
    Figure 0006088799
    [式(7)中、R17は炭素数1〜18のアルキル基、R18は炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基又は炭素数6〜14のアリール基であり、互いに結合して環構造を形成していてもよい。]
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の光塩基発生剤と塩基反応性化合物とを含有することを特徴とする光硬化性組成物。
  9. 請求項に記載の光硬化性組成物を硬化して得られることを特徴とする硬化体。
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