JP6088540B2 - 貯蔵品への地震被害を減らす収納棚および可撓性モーメントフレーム - Google Patents

Description

本発明は、貯蔵品の荷台を保持するために用いられる収納棚に関する。特に、しかしこれに限定するものではないが、可撓性モーメントフレームを有する収納棚に関する。可撓性モーメントフレームは、地震時に十分な屈曲や横変位が可能であり、フレームの崩壊や荷台に置かれた貯蔵品の損傷を防ぐ。

地震は世界中で日常的に起こり、地球の地殻のエネルギーの放出によって引き起こされる。このエネルギーの放出は地震波を作り出し、それは地震計を用いて測定される。マグニチュード３またはそれ以下の地震は、微小であるためにほとんど測定できない。しかし、マグニチュード５〜７またはそれ以上の地震は、建物の構造に大きな損傷を起こす可能性がある。本発明は、地震によって引き起こされる地震の横力がかかったときの建物の貯蔵品への損傷の可能性に対処するために考えられた。

大きなフォークリフトは品物を載せた荷台を持ち上げ、12、18、24フィートまたはそれ以上の高さの収納棚に設置することを可能にしたが、大きなフォークリフトの出現により、この高い収納棚は、激しい地震の間に揺れたり、壊れたり、倒れたりしやすく、それ故に貯蔵品への損傷を起こしやすい。

特許文献１と特許文献２には、地震振動を吸収、消失するための、２つの異なるタイプの可撓性収納棚が開示されている。これらの特許文献の一つには、棚のフレームを強固にするために斜材を追加するとともに、振動絶縁装置が棚の底部に導入されている。これらの２つの収納棚は、本発明では必要としないフレームの追加や、底部の構造があるため設計が複雑である。

本発明は、建物の中や建物の外で使用される、従来の大きくて背の高い金属の収納棚では見られない、優れた構造工学の特徴や利点をもち、設計を単純化したものである。

ＵＳ２００６／０２３７３７８ ＵＳ２００２／０１１７４６２

前述の内容を考慮すると、本発明の主な目的は、地震時に屈曲や横変位が可能であり、フレームの崩壊の可能性を減らし、フレーム上の貯蔵品への損傷の可能性を減らし、フレームの隣の空間に存在する人への安全性を大きく向上する、可撓性モーメントフレームを有する高い収納棚を提供することである。

本発明の収納棚の他の目的は、モーメントフレームが、部品の溶接無しに現場で組み立てられることである。また、フレームの部品は取り替え可能であり、さまざまな高さのフレームを組み立てるのに使うことができる。さらに、追加の収納が必要であれば、モーメントフレームの長さや幅を増やすことができる。

本発明のさらに他の目的は、可撓性モーメントフレームは設計を単純化したことである。また、フレームは標準の角状の中空金属の支柱を用いており、フレームは軽く、可撓性は高く、収納棚のコストが下げられる。

収納棚は、貯蔵品を載せた荷台を支える可撓性モーメントフレームを有する。モーメントフレームは、地震等、横力ベクトル“V”がモーメントフレームの長さ方向または幅方向に沿ってかかった時に屈曲または横変位する。フレームは、角状で、中空金属でできている、４つの閉じた側面を有する、互いに離れた第一、第二、第三、第四垂直支柱を有する。垂直支柱の下端は、水平なベースプレートに取り付けられる。ベースプレートは床面に固定される。

一組目のロードビームは、角状で、中空金属でできている、両端を第一、第二垂直支柱に解放可能に取り付けるための“L型”フランジコネクターを有する第一水平ロードビームと、角状で、中空金属でできている、両端を第三、第四垂直支柱に解放可能に取り付けられるための“L型”フランジコネクターを有する第二水平ロードビームを含む。前記第一ロードビームと前記第二ロードビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置される。一組目のロードビームは、前記モーメントフレームの長さ方向に沿って配置される。一組目のクロスビームは、角状で、中空金属でできている、両端を第一、第三垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けるための“U型”サドルコネクターを有する第一水平クロスビームと、角状で、中空金属でできている、両端を第二、第四垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けるための“U型”サドルコネクターを有する第二水平クロスビームを含む。前記第一クロスビームと前記第二クロスビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置される。一組目のクロスビームは、前記モーメントフレームの幅方向に沿って配置される。

横力“V”がモーメントフレームにかかった時、モーメントフレームの上部が垂直方向から角度“△Flexible”移動する。この角度は、剛性フレームをもつ同様の収納棚における角度“△Rigid”よりも大きい。このように、可撓性の角度をもつことによって、可撓性モーメントフレームは、収納棚の上の貯蔵品にもたらす損傷の可能性を減らす。

本発明のこれらおよび他の目的は、地震力に耐えるように設計された収納棚とフレームに精通している人々であれば、新しい構造、組み合わせ、要素が記載された、以下の詳細な説明、特にクレームで定義された内容を見れば、明らかになるだろう。本明細書に開示された発明の実施形態における変更は、先行技術によって排除されうることを除いて、特許請求の範囲に含まれることが理解されるべきである。

添付する図面により、可撓性モーメントフレームを有する収納棚の具体的適用の最も良い方式に従って、本発明の完全に好適な実施形態を説明する。

図１は、一方が他方の上に配置され、解放可能に４つの垂直支柱に取り付けられた複数組の水平ロードビームとクロスビームをもつ、可撓性モーメントフレームを有する対象となる収納棚の斜視図である。例として、４組のロードビームが、様々な品物を保持するために木製の荷台を支えている様子が示されている。 図２は、可撓性モーメントフレームの一部の拡大斜視図であり、２つの水平クロスビームが“U型”のサドルコネクターで垂直支柱の両側にボルト止めされている。また、“L型”のフランジコネクターで垂直支柱の側面にボルト止めされている水平ロードビームの一部も示されている。 図３は、図２に示す線3−3に沿った、クロスビームの一つの断面図である。 図４は、図２に示す線4−4に沿った、垂直支柱の一つの断面図である。 図５は、図２に示す線5−5に沿った、垂直支柱のもう一つの断面図である。 図６は、図７に示す剛性フレームか、図８に示す対象となる可撓性モーメントフレームのどちらかと、フレームのロードビームに載せた一連の荷台とその上の品物の正面図である。 図７は、力ベクトル“V”がフレームの幅に沿ってかけられた、剛性フレームの側面図である。剛性フレームは垂直方向から角度“△Rigid”右側に傾いている。 図８は、力ベクトル“V”がフレームの幅に沿ってかけられた、対称となる可撓性モーメントフレームの側面図である。可撓性モーメントフレームはまた垂直方向から角度“△Flexible”右側に傾いている。 図９は、振動の構造周期である“T”を横軸にした、設計応答スペクトルのグラフである。縦軸には“Sa”が示されており、地震時の横力の影響を受ける建物の場所や土壌の種類の係数が書かれている。

図１は、一般参照数字１０で示される対象となる収納棚の斜視図である。収納棚１０は、一般参照数字１２で示す可撓性モーメントフレームを有している。モーメントフレーム１２は、４つの、別々に配置された、垂直支柱１８の側面に解放可能に取り付けられ、一方が他方の上に配置された、複数組の水平ロードビーム１４と水平クロスビーム１６から構成される。支柱１８は、第一支柱２０、第二支柱２２、第三支柱２４、第四支柱２６を有する。

支柱１８の底部は、フレームベースプレート２８に取り付けられ、床面３０に支えられる。４つの上部のロードビーム１４は、それに支えられる木製の荷台３２を有し、さまざまな貯蔵品３４を保持している。貯蔵品３４を荷台３２に載せた例を図６に示す。

矢印３６で示される、フレーム１２の幅に沿った力ベクトル“V”は、フレーム１２に横力をかけることができ、破線３７に示すように“△Flexible”の角度で屈曲または横変位させ、棚１０が崩壊することはない。同じく、矢印３８で示される、フレーム１２の長さに沿った力ベクトル“V”は、フレーム１２に横力をかけることができ、破線３９に示すように“△Flexible”の角度で屈曲または横変位させ、棚１０が崩壊することはない。

この図では、低部の３組のロードビーム１４とクロスビーム１６が荷台を載せることなく各々３６インチずつ離れて配置されている。４組目のロードビーム１４とクロスビーム１６は、床面３０の上方に配置され、荷台３２を保持している。ロードビームとクロスビームの追加の組は、４組目のロードビームとクロスビームの上に配置され、３６インチ、７２インチ、もう一つ７２インチ離れて配置されている。この図から明らかであるように、４つの垂直支柱１８に取り付けられたロードビーム１４とクロスビーム１６の組は任意の数だけ支柱１８の異なる高さに配置することができ、荷台上のさまざま大きさや種類の品物を支えることができる。また、棚１０の幅や長さは支柱やロードビームやクロスビームを追加することによって拡大することができる。

可撓性モーメントフレーム１２を現場で、床面３０上で組み立てる時には、一組目のロードビーム１４とクロスビーム１６を解放可能に垂直支柱１８に取り付ける。まず、第一ロードビームの両側の端を、図５に示されるようにボルト４０を用いて、第一垂直支柱２０、第二垂直支柱２２に解放可能に取り付ける。次に、第二ロードビームの両側の端を、第三垂直支柱２４、第四垂直支柱２６に解放可能に取り付ける。第一ロードビームと第二ロードビームは互いに並行であり、床面３０から同じ高さに配置する。

そして一組目のクロスビーム１６を垂直支柱１８に、ロードビーム１４の下方か上方に取り付ける。まず、第一クロスビーム１６の両側の端を、第一垂直支柱２０、第三垂直支柱２４に解放可能に取り付ける。次に、第二クロスビーム１６の両側の端を、第二垂直支柱２２、第四垂直支柱２６に解放可能に取り付ける。第一クロスビーム１６と第二クロスビーム１６は互いに並行であり、床面３０から同じ高さに配置する。この組立は、４つの垂直支柱の高さに沿って、ロードビームとクロスビームの組が任意の数だけ繰り返され、ロードビームの上に荷台が置かれる。

図２は、可撓性モーメントフレームの一部の拡大斜視図であり、２つの水平クロスビーム１６の両端が“U型”のサドルコネクター４２で垂直支柱１８の両側面にボルト止めされている。また、水平ロードビームの一部は“L型”のフランジコネクター４４で垂直支柱１８の側面にボルト止めされている。ここで留意すべきことは、垂直支柱１８は、取り付けボルト４０を支えるために、複数の対となるボルト穴４６を長さ方向に、側面に有している。ボルト穴４６は２インチ離れて位置しており、支柱の隣接した側面の穴とずれている。

“U型”のサドルコネクター４２をクロスビーム１６の両端に用い、“L型”のフランジコネクター４４をロードビーム１４の両端に使うことによって、垂直支柱１８に対する曲げ抵抗が与えられる。この曲げ抵抗は、力ベクトル“V”が収納棚１０にかかった時に、モーメントフレーム１２の可撓性を増加させる。

もう一つ重要なことは、“U型”のサドルコネクター４２は、望まれない偏心接続とは対照的に、クロスビーム１６と支柱１８とクロスビーム１６の間で対称な負荷接合を確保する。本発明と同様な収納棚で偏心接続があったならば、水平ビームと垂直支柱のねじれをひきおこし、それによってフレームの定格荷重容量を低下してしまう。また、各々のサドルコネクター４２は支柱を貫通する一対のボルト４０を支え、クロスビームと垂直支柱の間の荷重接続の強度と剛性を高める。

図３は、図２に示される線３−３に沿った、クロスビーム１６の一つの断面図である。クロスビーム１６は中空のスチール金属でできており、幅は２インチで高さは４〜５インチである。

図４は、図２に示される線４−４に沿った、垂直支柱１８の一つの断面図である。垂直支柱１８は中空のスチール金属でできており、３×３幅の正方形である。この図では、２つのクロスビーム１６の一部がU型のサドルコネクター４２で支柱１８の両側にボルト４０とねじナット４８を用いてボルト付けされ固定されている。

図５は、図２で示される線５−５に沿った、垂直支柱１８の一つの、もう一つの断面図である。この図では、ロードビーム１４の一つの一部がL型のフランジコネクター４４で支柱１８の一面にボルト４０とねじナット４８を用いてボルト付けされ取り付けられている。

図６は、図７に一般参照数字５０で示す剛性フレームか、図８に示す、対象となる可撓性モーメントフレーム１２のどちらかの正面図である。フレームは、フレームのロードビームに支えられた一連の荷台３２と貯蔵品３４とともに示されている。フレーム１２またはフレーム５０は例えば１４４インチの長さ、４２インチの幅をもつことができる。

図７は、矢印３６で示される力ベクトル“V”がかけられた、剛性フレーム５０の側面図である。剛性フレームは垂直方向から角度“△Rigid”右側に傾いている。この図において、留意すべきことは、剛性フレームはフレームに剛性を与えるために斜材５２を有している。対象となる可撓性モーメントフレーム１２では、追加の斜材５２は必要としない。なぜなら、斜材は、力ベクトルがかけられた時に、モーメントフレームの屈曲や横変位を妨げるからである。

図８は、矢印３６で示される力ベクトル“V”がかけられた、対称となる可撓性モーメントフレーム１２の側面図である。可撓性モーメントフレーム１２はまた垂直方向から角度“△Flexible”右側に傾いている。フレーム１２を構成する部品の構造実験によって、角度“△Flexible”は角度“△Rigid”に比べて格段に大きいことが発見された。構造的剛性“K”は、△分の１に等しい。従って、可撓性モーメントフレーム１２の剛性は剛性フレーム５０の剛性よりも小さい。また、棚システムの振動の基本周期“T”は質量Mを伴う
に等しい。

図９では、基本周期“T”を知ることによって、設計に基づくせん断“Sa、地震時に横力抵抗システムにかかる、後の設計の力”が決定される。図９に示されるグラフでは、SDSとSDIが収納棚１０の位置と土壌の種類に応じて固有のものである。これらの係数やパラメータは米国地質調査（the United States Geological Survey）によって提供されている。それらは、以下のように表される。
[式１]

本発明は好適な実施形態とその変形例を参照して詳細に記載、説明してきたが、先行技術に記載されている場合を除き、本発明の真の意図や範囲を逸脱することなくなされた形態および詳細における同等な変化がなされ得るということを当業者には理解されるべきである。

独占権と財産権が要求される本発明の実施形態は次のように定義される。

Claims (3)

1. 現地で取り付ける、可撓性モーメントフレームを有する収納棚であって、
   前記モーメントフレームは貯蔵品を載せた荷台を支えるものであり、
   前記モーメントフレームは地震時など横力“V”が前記モーメントフレームの長さ方向または幅方向に沿ってかかった時に屈曲または横変位するものであり、
   前記モーメントフレームは、
   角状で、中空金属でできている、４つの閉じた側面を有する、互いに離れて配置された、下端が床面に支えられた水平なベースプレートに取り付けられた第一、第二、第三、第四垂直支柱と、
   角状で、中空金属でできている、両端には前記第一、第二垂直支柱に解放可能に取り付けられるための“L型”フランジコネクターを有する第一水平ロードビームと、角状で、中空金属でできている、両端には前記第三、第四垂直支柱に解放可能に取り付けられるための“L型”フランジコネクターを有する第二水平ロードビームを有し、前記第一ロードビームと前記第二ロードビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置され、前記モーメントフレームの長さ方向に沿って配置された一組目のロードビームと、
   角状で、中空金属でできている、両端には前記第一、第三垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けられるための“U型”サドルコネクターを有する第一水平クロスビームと、角状で、中空金属でできている、両端には前記第二、第四垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けられるための“U型”サドルコネクターを有する第二水平クロスビームを有し、前記第一クロスビームと前記第二クロスビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置され、前記モーメントフレームの幅方向に沿って配置された一組目のクロスビームと
   を有し、
   横力“V”がモーメントフレームにかけられた時、モーメントフレームの上部が垂直方向から角度“△Flexible”移動し、この角度は、剛性フレームをもつ同様の収納棚における角度“△Rigid”よりも大きく、それ故にモーメントフレームの“△Flexible”は、収納棚の上の貯蔵品への損傷の可能性を減らす、収納棚。
2. 前記垂直支柱の側面には複数の、離れて配置されたボルト穴を有し、前記ロードビームと前記クロスビームが垂直支柱の側面に取り付けられる際にボルトを支える、請求項１に記載された収納棚。
3. 角状で、中空金属でできている、両端には前記第一、第二垂直支柱に解放可能に取り付けられるための“L型”フランジコネクターを有する第一水平ロードビームと、角状で、中空金属でできている、両端には前記第三、第四垂直支柱に解放可能に取り付けられるための“L型”フランジコネクターを有する第二水平ロードビームを有し、前記第一ロードビームと前記第二ロードビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置され、前記モーメントフレームの長さ方向に沿って配置された二組目のロードビームと、
   角状で、中空金属でできている、両端には前記第一、第三垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けられるための“U型”サドルコネクターを有する第一水平クロスビームと、角状で、中空金属でできている、両端には第二、第四垂直支柱に解放可能に対称的に取り付けられるための“U型”サドルコネクターを有する第二水平クロスビームを有し、前記第一クロスビームと前記第二クロスビームが互いに平行で床面から同じ高さに配置され、前記モーメントフレームの幅方向に沿って配置された二組目のクロスビームとをさらに有する請求項１に記載された収納棚。