JP6087586B2 - 反応性アクリル樹脂の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、反応性アクリル樹脂の製造方法に関する。
近年、工業製品の高機能化や高性能化に伴い、高分子材料にも高い機能が求められている。たとえば、本来熱可塑性を有するアクリル樹脂に対して、成型加工又は塗装した後、光硬化又は熱硬化する機能が求められている。
熱可塑性アクリル樹脂が光硬化又は熱硬化する機能を備えるには、樹脂がその分子内に重合性二重結合を有した構造であること等が必要である。
分子内に重合性二重結合を有するアクリル樹脂(反応性アクリル樹脂)の製造方法としては、酸基含有アクリル系樹脂と脂環式エポキシ基含有不飽和化合物との反応、又は、脂環式エポキシ基含有不飽和樹脂と酸基含有不飽和化合物との反応、を有機溶剤中で行うことにより、樹脂中に硬化可能な二重結合を導入する方法が知られている(特許文献1参照)。
また、特定のホスフィン化合物を触媒として用い、有機溶剤中で、カルボキシ基を有する共重合体のカルボキシ基にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させる製造方法が知られている(特許文献2参照)。
特開平1−289820号公報 特開平10−231318号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法では、有機溶剤中で反応を行う必要があるため、得られる反応物は、反応の際に媒体として用いた有機溶剤を溶媒とするアクリル樹脂溶液となる。
このため、反応性アクリル樹脂を樹脂溶液として用いる場合には、その溶媒が、該アクリル樹脂の製造時に媒体として用いた有機溶剤に制限される、という問題がある。
また、反応性アクリル樹脂の用途が成型加工の場合には、前記アクリル樹脂溶液から有機溶剤を予め除去する操作を要する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、有機溶剤を用いずに、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂を得ること、を課題とする。
本発明は以下の態様を包含する。
[1](メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシ基含有ラジカル重合性単量体とを、水を媒体とした懸濁重合により共重合させてカルボキシ基含有アクリル樹脂を得る工程(1)と、該カルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体とを水媒体中で反応させる工程(2)と、を含む、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂の製造方法。
[2]前記工程(1)及び/又は前記工程(2)でアミン化合物を用いる、[1]に記載の反応性アクリル樹脂の製造方法。
本発明によれば、有機溶剤を用いずに、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂を得ることができる。
ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂(828)(上側)、及び、828とメタクリル酸グリシジルエステル(GMA)との混合物(下側)の赤外吸収スペクトルを示す図である。 GMA(上側)、及び、エチレングリコールジメタクリル酸エステル(下側)の赤外吸収スペクトルを示す図である。 上から順に、実施例1、実施例2、比較例1でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図である。 上から順に、実施例3、実施例4、比較例2でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図である。 実施例6(上側)、及び、実施例7(下側)でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図である。 実施例8(上側)、及び、実施例9(下側)でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図である。 上から順に、アリルグリシジルエーテル、828とアリルグリシジルエーテルとの混合物、実施例5で得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示す図である。
<反応性アクリル樹脂の製造方法>
本発明の反応性アクリル樹脂の製造方法は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシ基含有ラジカル重合性単量体とを、水を媒体とした懸濁重合により共重合させてカルボキシ基含有アクリル樹脂を得る工程(1)と、該カルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体とを水媒体中で反応させる工程(2)と、を含む。
以下、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシ基含有ラジカル重合性単量体、エポキシ基含有ラジカル重合性単量体を、それぞれ単量体(a)、単量体(b)、単量体(c)ともいう。
尚、本発明において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸の総称であり、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」とは、アクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルの総称であり、「(メタ)アクリル酸グリシジルエステル」とは、アクリル酸グリシジルエステル及びメタクリル酸グリシジルエステルの総称であり、「(メタ)アクリロニトリル」とは、アクリロニトリル及びメタクリロニトリルの総称である。
((メタ)アクリル酸アルキルエステル:単量体(a))
本発明で使用できる単量体(a)は、単量体(b)と共重合し得る化合物である。
単量体(a)としては、たとえば(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸n−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸i−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸t−ブチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ベンジルエステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸イソボニルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステルなどが挙げられる。
単量体(a)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(カルボキシ基含有ラジカル重合性単量体:単量体(b))
本発明で使用できる単量体(b)としては、たとえば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸などが挙げられる。これらの中でも、入手し易く、単量体(a)との共重合性が良いことから、(メタ)アクリル酸が特に好ましい。
単量体(b)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(エポキシ基含有ラジカル重合性単量体:単量体(c))
単量体(c)は、分子内に、エポキシ基と重合性二重結合とを有するものである。かかる単量体(c)を、工程(1)で得られるカルボキシ基含有アクリル樹脂と反応させることで、アクリル樹脂の分子内に重合性二重結合が導入される。
本発明で使用できる単量体(c)としては、たとえば(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、α−エチルアクリル酸グリシジルエステル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジルエステル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
単量体(c)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
[工程(1)]
工程(1)では、単量体(a)と単量体(b)とを、水を媒体とした懸濁重合により共重合させてカルボキシ基含有アクリル樹脂を得る。
一例として、単量体(a)と、単量体(b)と、重合開始剤及び必要に応じてその他成分(以下「重合開始剤等」という)と、を水媒体に分散させて懸濁液を調製し、該懸濁液を加熱することで懸濁重合を行うことができる。
単量体(a)の配合量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量に対して20〜99.9質量%であることが好ましく、40〜99質量%であることがより好ましい。
単量体(a)の配合量を好ましい上限値以下とすることで、導入するカルボキシ基が過少となることなく共重合物を容易に得ることができる。一方、単量体(a)の配合量を好ましい下限値以上とすることで、導入するカルボキシ基が過多となることなく共重合物を容易に得ることができる。
単量体(b)の配合量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量に対して0.1〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。
単量体(b)は水に溶解しやすい。このため、その配合量が50質量%を超えると、懸濁重合の際に、共重合物の粒子が凝集又は固化を生じやすい。一方、単量体(b)の配合量を好ましい下限値以上とすることで、得られる共重合物にカルボキシ基が充分に導入される。
尚、「懸濁重合に用いる重合性単量体」とは、単量体(a)、単量体(b)、これら以外の重合性単量体(後述の単量体(d))を包含する。
単量体(a)と単量体(b)との混合比率は、「単量体(b)の配合量に対する、単量体(a)の配合量」の質量比が、1〜999であることが好ましく、2〜99であることがより好ましく、2〜20であることがさらに好ましい。
該質量比を好ましい上限値以下とすることで、導入するカルボキシ基が過少となることなく共重合物を容易に得ることができる。一方、該質量比を好ましい下限値以上とすることで、懸濁重合の際に、共重合物の粒子が凝集又は固化を生じにくい。加えて、導入するカルボキシ基が過多となることなく共重合物を容易に得ることができる。
懸濁液中の水の含有量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量の1〜10倍に相当する質量であることが好ましい。
懸濁液の調製方法は、たとえば、水媒体に、単量体(a)と単量体(b)と重合開始剤等とを個別に加えて混合する方法;水媒体に、単量体(a)と単量体(b)と重合開始剤等との混合物を加えて混合する方法(後者)などが挙げられる。なかでも、懸濁液の分散安定性又は重合効率が良好なことから、後者の方法が好ましく、予め調製しておいた単量体(a)と単量体(b)と重合開始剤等との混合溶液を水媒体に加えて混合する方法が特に好ましい。
単量体(a)と単量体(b)との懸濁重合を行う際の温度条件は、特に限定されないが、40〜100℃の範囲内とすることが好ましい。重合温度を40℃以上とすることで、比較的短時間で重合を行うことができ、重合温度を100℃以下とすることで、懸濁液の分散安定性を良好に維持しつつ重合を行いやすい。
かかる懸濁重合の間は、重合温度を、一定の温度に保ちながら重合を行ってもよく、連続的に又は段階的に温度を上昇させながら重合を行ってもよい。なかでも、重合効率が良好なことから、連続的に又は段階的に温度を上昇させながら重合を行うことが好ましい。
単量体(a)と単量体(b)との懸濁重合を行う際の反応時間は、温度条件や重合スケール等を考慮して適宜決定すればよく、たとえば1〜20時間とすることが好ましい。
かかる懸濁重合を行う際、懸濁液の撹拌速度は、重合スケール等を考慮して適宜設定すればよく、たとえば撹拌翼の回転速度で20〜1000rpm程度とすることが好ましい。一例として実験室等のフラスコスケールの場合、懸濁液の撹拌速度は、撹拌翼の回転速度で200〜600rpm程度とすることが好ましい。
(重合開始剤)
懸濁重合の際に使用できる重合開始剤としては、たとえば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ジベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピヴァレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。
重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の配合量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量を100質量部とした際、これに対して0.01〜20質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
(その他成分)
懸濁重合の際に使用できるその他成分としては、たとえば、単量体(a)及び単量体(b)以外の重合性単量体(以下「単量体(d)」ともいう)、重合調整剤、分散剤などが挙げられる。
単量体(a)及び単量体(b)以外の重合性単量体(単量体(d)):
単量体(d)としては、単量体(a)及び単量体(b)と共重合し得る不飽和化合物が挙げられ、反応性アクリル樹脂に要求される特性等によって適宜選択できる。単量体(d)を併用することにより、反応性アクリル樹脂の有機溶剤への溶解性、硬化物とした際の物性(粘着性等)などを制御できる。
単量体(d)として具体的には、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレンなどを使用できる。
単量体(d)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
単量体(d)を用いる場合、単量体(d)の配合量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量に対して1〜30質量%であることが好ましい。
重合調整剤:
懸濁重合の際に重合調整剤を用いることにより、工程(1)で得られるカルボキシ基含有アクリル樹脂の重合度を制御できる。
重合調整剤としては、たとえばt−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン等のメルカプタン類;α−メチルスチレンダイマーなどを使用できる。
重合調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合調整剤を用いる場合、重合調整剤の配合量は、懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量を100質量部とした際、これに対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることがより好ましい。
分散剤:
懸濁重合の際に使用できる分散剤としては、たとえばデンプン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子;炭酸カルシウム、ベントナイト、リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、硫酸バリウム等の難溶性微粉末などが挙げられる。
分散剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
分散剤を用いる場合、分散剤の配合量は、懸濁液中の濃度で0.0001〜30質量%であることが好ましい。分散剤の懸濁液中の濃度を0.0001質量%以上とすることで、懸濁重合時の分散安定性が良好となる傾向にある。一方、分散剤の懸濁液中の濃度を30質量%以下とすることで、反応性アクリル樹脂の洗浄性、脱水性、乾燥性が良好となる傾向にある。
(カルボキシ基含有アクリル樹脂)
懸濁重合の後、懸濁液から固液分離により、固体状のカルボキシ基含有アクリル樹脂を分離回収できる。
工程(1)においては、たとえば、酸価が5〜200KOHmg/g程度のカルボキシ基含有アクリル樹脂が容易に得られる。本発明において「酸価」は、JIS K 0070(中和滴定法)に準じて測定される値を示す。
懸濁重合の後は、該懸濁重合により生成するカルボキシ基含有アクリル樹脂を、懸濁液から固液分離し、取り出したカルボキシ基含有アクリル樹脂を単量体(c)と反応させてもよく(前者);懸濁重合後の懸濁液に、続けて単量体(c)を加えて反応を行ってもよい。
前者の場合、取り出したカルボキシ基含有アクリル樹脂を洗浄して乾燥した後、単量体(c)と反応させてもよく;取り出したカルボキシ基含有アクリル樹脂を洗浄も乾燥もせずに、単量体(c)と反応させてもよい。
[工程(2)]
工程(2)では、前記工程(1)で得たカルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体(単量体(c))とを水媒体中で反応させる。
たとえば、カルボキシ基含有アクリル樹脂と必要に応じて分散剤等とを水媒体に分散させた混合液に、単量体(c)を加え、加熱することで反応を行うことができる。又は、前記工程(1)での懸濁重合後の懸濁液に、もしくは該懸濁液に必要に応じて分散剤等を添加した混合液に、単量体(c)を加え、加熱することで反応を行うことができる。
かかる反応により、カルボキシ基含有アクリル樹脂中のカルボキシ基と、単量体(c)中のエポキシ基と、が結合して、カルボキシ基含有アクリル樹脂に、単量体(c)が有する重合性二重結合が導入され、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂が得られる。
単量体(c)の配合量は、懸濁重合に用いた単量体(b)の1モルに対して0.01〜5モルであることが好ましい。
単量体(c)の配合量を0.01モル以上とすることで、分子内に所望の割合で重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂が得られやすい。一方、単量体(c)の配合量を5モル以下とすることで、未反応の単量体(c)をより低減できる。
カルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応において、媒体として存在する水の量は、該反応に用いるカルボキシ基含有アクリル樹脂の質量の1〜10倍に相当する質量とすることが好ましい。
前記の混合液に、又は、懸濁液に、単量体(c)を加えた後、温度を好ましくは0〜100℃の範囲に制御して反応系内の均質化を図ることが好ましい。これにより、カルボキシ基含有アクリル樹脂に単量体(c)が充分に接触(含浸)することで反応効率が高まる。
カルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応を行う際の温度条件は、特に限定されないが、50〜100℃の範囲内とすることが好ましい。反応温度を50℃以上とすることで、比較的短時間で付加反応を行うことができ、反応温度を100℃以下とすることで、反応液の分散安定性がより良好に維持される。加えて、単量体(c)が有する重合性二重結合の安定性もより良好となり、反応性アクリル樹脂が安定に得られやすくなる。
カルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応を行う際の反応時間は、温度条件や反応スケール等を考慮して適宜決定すればよく、たとえば1〜20時間とすることが好ましい。
カルボキシ基含有アクリル樹脂とともに必要に応じて用いてもよい分散剤としては、前述した分散剤と同様のものを用いることができる。
また、本工程(2)においては、カルボキシ基含有アクリル樹脂に導入された二重結合間の重合反応によって、最終的に得られる反応生成物がゲル化するのを抑制するため、重合禁止剤又は捕捉剤を用いることができる。この重合禁止剤又は捕捉剤としては、たとえばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、フェノチアジン、4−ターシャル−ブチルカテコール、ジブチルヒドロキシトルエンなどが挙げられる。
前述したように、本発明の反応性アクリル樹脂の製造方法によれば、有機溶剤を用いずに、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂を得ることができる。
また、工程(2)において、カルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応後に得られる反応物は、反応生成物(反応性アクリル樹脂)の水分散液である。このため、反応性アクリル樹脂を、該反応物から固体状の樹脂として容易に分離回収することができる。加えて、従来、有機溶剤を溶媒とするアクリル樹脂溶液から有機溶剤を除去する操作が必要であったところ、本発明の製造方法によれば、該操作は不要である。さらに、前記アクリル樹脂溶液から有機溶剤を除去する際には、加熱等によって反応性アクリル樹脂内の二重結合間の重合反応が進んでしまうおそれがあったが、本発明の製造方法においては、水を媒体とした反応であることからそのおそれがなく、反応性アクリル樹脂を安定に得ることができる。
また、本発明の製造方法によれば、懸濁重合を採用していることにより、反応性アクリル樹脂の高分子量化を容易に図れる。
本発明の反応性アクリル樹脂の製造方法は、前述した実施態様に限定されず、さらに、前記工程(1)及び/又は前記工程(2)でアミン化合物を用いることが好ましい。アミン化合物を用いることにより、工程(1)で得られるカルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応効率が向上する。
アミン化合物は、工程(1)において、懸濁液を調製する際に単量体(a)及び単量体(b)とともに配合することが好ましい。また、工程(2)において、単量体(c)を配合する前に、又は単量体(c)と同時に配合することが好ましい。
(アミン化合物)
本発明で使用できるアミン化合物としては、たとえば2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の第1級アミン化合物;トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、アミノエチルピペラジン等の第3級アミン化合物などが挙げられる。これらの中でも、低揮発性で毒性が少ない点から、イミダゾール化合物が特に好ましい。
アミン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アミン化合物を用いる場合、アミン化合物の配合量は、単量体(c)100質量部に対して1〜100質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。
アミン化合物の配合量を好ましい上限値以下とすることで、残存する未反応のアミン化合物をより低減でき、反応性アクリル樹脂の着色等を抑えることができる。一方、アミン化合物の配合量を好ましい下限値以上とすることで、カルボキシ基含有アクリル樹脂と単量体(c)との反応効率がより向上する。
尚、本発明の製造方法では、反応性アクリル樹脂を製造するために有機溶剤を必要としないが、原材料に既に有機溶剤が含まれる場合、又は、カルボキシ基含有アクリル樹脂に単量体(c)が含浸し難い場合などには、有機溶剤を使用することも可能である。かかる場合、この有機溶剤を、工程(2)の反応中に蒸留して反応系外へ排出することで、又は乾燥除去することで、有機溶剤を含有しない反応性アクリル樹脂を製造できる。この際に使用できる有機溶剤としては、特に限定されないが、カルボキシ基含有アクリル樹脂及び単量体(c)との相溶性が高いものが好ましく、たとえばアセトン、メチルエチルケトン、トルエン、酢酸エチル、酢酸メチル、ヘキサン、ヘプタンなどが挙げられる。
(反応性アクリル樹脂)
前述した本発明に係る製造方法により製造される反応性アクリル樹脂は、その分子内に重合性二重結合を有するものである。
また、本発明に係る製造方法により、従来よりも高分子量の反応性アクリル樹脂が容易に得られる。このため、硬化させた際、より強靭な硬化物が得られやすい。得られる反応性アクリル樹脂の平均分子量は、好ましくは2万から100万程度である。特に平均分子量が7万から100万程度の反応性アクリル樹脂、さらには平均分子量が30万から100万程度の高分子量の反応性アクリル樹脂が容易に得られる。本発明において「平均分子量」は、JIS K 7252に準じて測定される質量平均分子量を示す。
また、本発明に係る製造方法により、たとえば、酸価が4〜190KOHmg/g程度の反応性アクリル樹脂が容易に得られる。
かかる反応性アクリル樹脂は、従来とは異なり、有機溶剤を除去する必要がなく、シート状などに容易に成型加工することができる。加えて、かかる反応性アクリル樹脂は、任意の有機溶剤に溶解させて用いることができる。このため、産業上の利用可能性が高い。
任意の有機溶剤としては、たとえばアセトン、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール;メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸n−ブチルエステル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;トリプロピレングリコールジアクリル酸エステル等の多官能アクリル系モノマーなどが挙げられる。
さらに、かかる反応性アクリル樹脂を、成型加工又は塗装した後、光照射又は加熱を施すことにより、二重結合間の重合反応が進行することで光硬化又は熱硬化して硬化物が得られる。たとえば、該反応性アクリル樹脂を任意の有機溶剤に溶解し、この溶液にラジカル重合開始剤を添加したものに対し、光照射又は加熱を施すことで、該反応性アクリル樹脂が重合することにより硬化物が得られる。
反応性アクリル樹脂の重合に使用できるラジカル重合開始剤としては、たとえば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;ジベンゾイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピヴァレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物系重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn−プロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾフェノン、アセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン等の光重合開始剤などが挙げられる。
ラジカル重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の配合量は、反応性アクリル樹脂100質量部に対して0.01〜20質量部とすることが好ましい。
また、本発明に係る製造方法により製造される反応性アクリル樹脂は、その用途に応じて、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤、可塑剤、レベリング剤等の合成樹脂添加剤を併用することができる。該合成樹脂添加剤は、反応性アクリル樹脂を製造する際に添加してもよく、反応性アクリル樹脂を溶解した樹脂溶液に添加してもよく、反応性アクリル樹脂を熱溶融する際に添加してもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例中、断りがなければ「%」は質量%を示し、「部」は質量部を示す。
<反応性アクリル樹脂の製造例>
(実施例1)
工程(1):
メタクリル酸メチルエステル823.5部と、アクリル酸エチルエステル337.5部と、メタクリル酸189部と、n−ドデシルメルカプタン6.75部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.725部と、を容器に採り、これらを予め40℃以下の温度で溶解させた(以下この溶液を「混合溶液A」という)。
そして、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底5Lフラスコに、水3375部と、分散剤としてポリビニルアルコール14部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、予め溶解しておいた前記混合溶液Aを一括投入して懸濁液を調製した。次いで、撹拌継続下に、この懸濁液の反応系内を65℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。その後、90℃まで昇温させて2時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥した。乾燥の後、常温で粉末状のカルボキシ基含有アクリル樹脂を得た(不揮発分98.3%、酸価91.7KOHmg/g、得量1303.1部)。
工程(2):
次いで、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底1Lフラスコに、水600部と、分散剤としてポリビニルアルコール2部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、工程(1)で得たカルボキシ基含有アクリル樹脂200部を加えて分散させ、さらに、アミン化合物として2−メチルイミダゾール2部を添加して混合した。
その後、撹拌継続下に、この混合物の反応系内を50℃まで昇温させて1時間その温度を一定に保った。
次いで、メタクリル酸グリシジルエステル40部(工程(1)で用いたメタクリル酸の1モルに対して0.87モル)を投入し、反応系内を50℃として1時間その温度を一定に保ちながら該混合物にメタクリル酸グリシジルエステルを含浸させつつ、反応系内の均質化を図った。その後、90℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥し、粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例2)
実施例1において、メタクリル酸グリシジルエステル40部を20部に変更した以外は、実施例1と同様にして粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(比較例1)
実施例1において、メタクリル酸グリシジルエステル40部を0部(配合せず)に変更した以外は、実施例1と同様にして粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例3)
工程(1):
アクリル酸n−ブチルエステル116部と、アクリル酸エチルエステル50部と、アクリロニトリル20部と、メタクリル酸14部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7部と、を容器に採り、これらを予め40℃以下の温度で溶解させた(以下この溶液を「混合溶液B」という)。
そして、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底1Lフラスコに、水600部と、分散剤としてポリビニルアルコール2部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、予め溶解しておいた前記混合溶液Bを一括投入して懸濁液を調製した。次いで、撹拌継続下に、この懸濁液の反応系内を65℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。その後、90℃まで昇温させて2時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。
工程(2):
次いで、室温(約25℃)まで冷却した後、アミン化合物として2−メチルイミダゾール2部を添加して混合した。
その後、撹拌継続下に、この混合物の反応系内を50℃まで昇温させて1時間その温度を一定に保った。
次いで、メタクリル酸グリシジルエステル40部(工程(1)で用いたメタクリル酸の1モルに対して1.73モル)を投入し、反応系内を50℃として1時間その温度を一定に保ちながら懸濁重合物にメタクリル酸グリシジルエステルを含浸させつつ、反応系内の均質化を図った。その後、90℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した。
該洗浄の後、反応生成物を、ポリエチレンフィルム上に、均一な厚さとなるように手で押し広げ、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥し、シート状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例4)
実施例3において、メタクリル酸グリシジルエステル40部を20部に変更した以外は、実施例3と同様にしてシート状の反応性アクリル樹脂を得た。
(比較例2)
実施例3において、メタクリル酸グリシジルエステル40部を0部(配合せず)に変更した以外は、実施例3と同様にしてシート状のアクリル樹脂を得た。
(実施例5)
実施例1において、メタクリル酸グリシジルエステル40部を、アリルグリシジルエーテル40部(工程(1)で用いたメタクリル酸の1モルに対して1.08モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例6)
実施例1において、2−メチルイミダゾール2部を、ジエチレントリアミン2部に変更した以外は、実施例1と同様にして粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例7)
実施例1において、2−メチルイミダゾール2部を0部(配合せず)に変更した以外は、実施例1と同様にして粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例8)
工程(1):
メタクリル酸メチルエステル244部と、アクリル酸エチルエステル100部と、アクリル酸56部と、n−ドデシルメルカプタン2部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.4部と、を容器に採り、これらを予め40℃以下の温度で溶解させた(以下この溶液を「混合溶液C」という)。
そして、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底2Lフラスコに、水1200部と、分散剤としてポリビニルアルコール4部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、予め溶解しておいた前記混合溶液Cを一括投入して懸濁液を調製した。次いで、撹拌継続下に、この懸濁液の反応系内を65℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。その後、90℃まで昇温させて2時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥した。乾燥の後、常温で粉末状のカルボキシ基含有アクリル樹脂を得た(不揮発分97.3%、酸価69.0KOHmg/g、得量360.7部)。
工程(2):
次いで、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底1Lフラスコに、水600部と、分散剤としてポリビニルアルコール2部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、工程(1)で得たカルボキシ基含有アクリル樹脂200部を加えて分散させ、さらに、アミン化合物として2−メチルイミダゾール2部を添加して混合した。
その後、撹拌継続下に、この混合物の反応系内を50℃まで昇温させて1時間その温度を一定に保った。
次いで、メタクリル酸グリシジルエステル40部(工程(1)で用いたアクリル酸の1モルに対して0.72モル)を投入し、反応系内を50℃として1時間その温度を一定に保ちながら該混合物にメタクリル酸グリシジルエステルを含浸させつつ、反応系内の均質化を図った。その後、90℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥し、粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
(実施例9)
工程(1):
メタクリル酸メチルエステル122部と、アクリル酸エチルエステル50部と、メタクリル酸28部と、n−ドデシルメルカプタン1部と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7部と、アミン化合物として2−メチルイミダゾール2部と、を容器に採り、これらを予め40℃以下の温度で溶解させた(以下この溶液を「混合溶液D」という)。
そして、撹拌機を備えたガラス製の四口丸底1Lフラスコに、水600部と、分散剤としてポリビニルアルコール2部と、を添加して溶解し、撹拌翼により400rpmで撹拌しつつ、そこへ、予め溶解しておいた前記混合溶液Dを一括投入して懸濁液を調製した。次いで、撹拌継続下に、この懸濁液の反応系内を65℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。その後、90℃まで昇温させて2時間その温度を一定に保ちながら反応(懸濁重合)させた。
工程(2):
次いで、室温(約25℃)まで冷却した後、メタクリル酸グリシジルエステル40部(工程(1)で用いたメタクリル酸の1モルに対して0.87モル)を投入し、反応系内を50℃まで昇温させて1時間その温度を一定に保ちながら懸濁重合物にメタクリル酸グリシジルエステルを含浸させつつ、反応系内の均質化を図った。その後、90℃まで昇温させて3時間その温度を一定に保ちながら反応させた。
その後、室温(約25℃)まで冷却した。次いで、反応生成物を固液分離し、水で充分に洗浄した後、乾燥機を用いて40℃で24時間乾燥し、粉末状の反応性アクリル樹脂を得た。
<反応性アクリル樹脂の物性測定>
得られた各アクリル樹脂について、以下に示す物性測定を行った。その結果を表1、2に示す。
[加熱減量(%)]
105℃で2時間の加熱処理前後の質量変化の割合を、JIS K 5101−15−1に準じて測定した。
[酸価(KOHmg/g)]
JIS K 0070(中和滴定法)に準じて測定した。
[粘度(mPa・s)]
JIS K 5101−6−2(回転粘度計法)に準じて測定した。具体的には、固形分30%のアセトン溶液の粘度を25℃にて測定した。
[質量平均分子量]
JIS K 7252に準じて測定した。
[未反応の単量体(c)(%)]
JIS K 0114に準じて、未反応のメタクリル酸グリシジルエステル、又は未反応のアリルグリシジルエーテルを測定した。表1、2中、「ND」は、検出限界以下であったことを示す。
Figure 0006087586
表1から、メタクリル酸グリシジルエステルの配合により、工程(1)で得られたカルボキシ基含有アクリル樹脂の側鎖に存在するカルボキシル基とエポキシ基とが結合するため、実施例1、2は比較例1に比べて、実施例3、4は比較例2に比べて、それぞれ得量は高い値を、酸価は低い値を示していることが確認できる。
Figure 0006087586
実施例1と実施例7との対比から、アミン化合物を用いていない実施例7は、アミン化合物を用いた実施例1に比べて、得量は低い値を、酸価は高い値を示していることが確認できる。これより、アミン化合物を用いることで、カルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体との反応効率が高まっていることが分かる。
<反応性アクリル樹脂中の重合性二重結合の存在についての評価>
得られたアクリル樹脂(実施例1〜9、比較例1〜2)及び比較試料について、以下に示す赤外分光分析を行った。その結果を図1〜7に示す。
[赤外分光分析]
JIS K 0117に準じて、アクリル樹脂中の重合性二重結合の有無について確認した。
赤外分光分析に用いた比較試料:
・828(三菱化学株式会社製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂)。
・メタクリル酸グリシジルエステル(GMA)。
・エチレングリコールジメタクリル酸エステル。
・828/GMA=200/30(質量比)の混合物。
・アリルグリシジルエーテル
・828/アリルグリシジルエーテル=200/40(質量比)の混合物。
図1は、828(上側)、及び、828とGMAとの混合物(下側)の赤外吸収スペクトルを示している。図2は、GMA(上側)、及び、エチレングリコールジメタクリル酸エステル(下側)の赤外吸収スペクトルを示している。
図2におけるGMA及びエチレングリコールジメタクリル酸エステルの赤外吸収スペクトルにおいて、1638cm−1付近に、重合性二重結合に由来するピークが認められる。したがって、実施例1〜4、6〜9では、赤外吸収スペクトルにおける1638cm−1付近のピークの有無を確認することにより、アクリル樹脂中の重合性二重結合の存在について評価した。
図3は、上から順に、実施例1、実施例2、比較例1でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示している。図4は、上から順に、実施例3、実施例4、比較例2でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示している。
図3及び図4において、GMAの配合部数に相応して1638cm−1付近にピークが認められる。すなわち、図3において、実施例1、実施例2については、1638cm−1付近にピークが認められ、比較例1についてはピークが認められなかった。図4において、実施例3、実施例4については、1638cm−1付近にピークが認められ、比較例2についてはピークが認められなかった。これより、実施例1〜4で得られたアクリル樹脂は重合性二重結合を有していること、が確認された。
加えて、実施例1〜4については、GMAの配合部数が多いほど、1638cm−1付近のピーク強度が高い。これより、GMAの配合部数が多いほど、アクリル樹脂中に重合性二重結合が多く存在していることが分かる。
図5は、実施例6(上側)、及び、実施例7(下側)でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示している。図6は、実施例8(上側)、及び、実施例9(下側)でそれぞれ得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示している。
図5及び図6において、実施例6〜9でそれぞれ得られた反応性アクリル樹脂についても、各赤外吸収スペクトルにて1638cm−1付近にピークが認められる。これより、実施例6〜9で得られたアクリル樹脂は重合性二重結合を有していること、が確認された。
図7は、上から順に、アリルグリシジルエーテル、828とアリルグリシジルエーテルとの混合物、実施例5で得られたアクリル樹脂の赤外吸収スペクトルを示している。
アリルグリシジルエーテルの赤外吸収スペクトルにおいて、1647cm−1付近に、重合性二重結合に由来するピークが認められる。また、アリルグリシジルエーテルの配合部数に相応して1647cm−1付近にピークが認められる。したがって、実施例5では、赤外吸収スペクトルにおける1647cm−1付近のピークの有無を確認することにより、アクリル樹脂中の重合性二重結合の存在について評価した。
図7において、実施例5については、1647cm−1付近にピークが認められる。これより、実施例5で得られたアクリル樹脂は重合性二重結合を有していること、が確認された。
以上より、本発明の反応性アクリル樹脂の製造方法によれば、有機溶剤を用いずに、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂が得られること、が確認できた。
<反応性アクリル樹脂の溶解性についての評価>
得られた反応性アクリル樹脂(実施例2、実施例4)について、以下に示す溶解性の評価を行った。その結果を表3、4に示す。
表3、4中、溶解性の評価結果を示す○、△、×は、○であるほど溶解性が良好であり、×であるほど難溶・不溶であることを意味する。
[実施例2で得られた粉末状の反応性アクリル樹脂についての溶解性]
(配合例1)
実施例2で得た反応性アクリル樹脂20部を150mLマヨネーズビンに採り、そこへアセトン80部を加えた。そして、このマヨネーズビンを40℃の温水浴に浸し、時々攪拌棒で攪拌しながら混合し、この混合物が溶解して均一な溶液となっているか否か、について確認した。
尚、かかる操作中は、混合物の合計が常に100部となるように、該確認の度にアセトン(他の配合例においては変更後の溶媒)を加えることで調整した。
(配合例2)
配合例1において、アセトン80部を、トルエン80部に変更した以外は、配合例1と同様にして溶解性を評価した。
(配合例3)
配合例1において、アセトン80部を、メタクリル酸メチルエステル80部に変更した以外は、配合例1と同様にして溶解性を評価した。
(配合例4)
配合例1において、アセトン80部を、アクリル酸n−ブチルエステル80部に変更した以外は、配合例1と同様にして溶解性を評価した。
(配合例5)
配合例1において、アセトン80部を、トリプロピレングリコールジアクリル酸エステル80部に変更した以外は、配合例1と同様にして溶解性を評価した。
[実施例4で得られたシート状の反応性アクリル樹脂についての溶解性]
(配合例6)
実施例4で得た反応性アクリル樹脂20部を150mLマヨネーズビンに採り、そこへアセトン80部を加えた。そして、このマヨネーズビンを40℃の温水浴に浸し、時々攪拌棒で攪拌しながら混合し、この混合物が溶解して均一な溶液となっているか否か、について確認した。
尚、かかる操作中は、混合物の合計が常に100部となるように、該確認の度にアセトン(他の配合例においては変更後の溶媒)を加えることで調整した。
(配合例7)
配合例6において、アセトン80部を、トルエン80部に変更した以外は、配合例6と同様にして溶解性を評価した。
(配合例8)
配合例6において、アセトン80部を、メタクリル酸メチルエステル80部に変更した以外は、配合例6と同様にして溶解性を評価した。
(配合例9)
配合例6において、アセトン80部を、アクリル酸n−ブチルエステル80部に変更した以外は、配合例6と同様にして溶解性を評価した。
(配合例10)
配合例6において、アセトン80部を、トリプロピレングリコールジアクリル酸エステル80部に変更した以外は、配合例6と同様にして溶解性を評価した。
Figure 0006087586
Figure 0006087586
表3、4より、反応性アクリル樹脂を製造する際、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、又はその他重合性単量体の種類を選択することにより、反応性アクリル樹脂の有機溶剤に対する溶解性を制御できることが分かる。
<硬化試験>
得られた反応性アクリル樹脂(実施例2、実施例4)について、以下に示す硬化試験を行った。かかる硬化試験においては、光重合開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(商品名:イルガキュア184)を用いた。その結果を表5に示す。
[硬化試験(1)]
実施例2で得た粉末状の反応性アクリル樹脂の20%アセトン溶液(前記配合例1の溶液)10部をアルミシャーレに採り、そこへ光重合開始剤0.06g(反応性アクリル樹脂100質量部に対して3質量部)を添加して溶解し、25℃で24時間乾燥させた後、乾燥機を用いて80℃で2時間乾燥させた。その後、UVランプを用い、紫外線を照射して光硬化させた。紫外線の照射後、乾燥機を用い、80℃で2時間加熱して熱硬化させることにより硬化物を得た。
得られた硬化物1部を200mLビーカーに採り、さらにアセトン100mLを加え、25℃で48時間浸漬し続けたが、この硬化物はアセトンに溶解しなかった。
[硬化試験(2)]
前記硬化試験(1)において、前記配合例1の溶液10部を、実施例4で得たシート状の反応性アクリル樹脂の20%アセトン溶液(前記配合例6の溶液)10部に変更した以外は、前記硬化試験(1)と同様にして硬化物を得た。
得られた硬化物1部を200mLビーカーに採り、さらにアセトン100mLを加え、25℃で48時間浸漬し続けたが、この硬化物もアセトンに溶解しなかった。
Figure 0006087586

Claims (2)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステルとカルボキシ基含有ラジカル重合性単量体とを、水を媒体とした懸濁重合により共重合させてカルボキシ基含有アクリル樹脂を得る工程(1)と、
    該カルボキシ基含有アクリル樹脂とエポキシ基含有ラジカル重合性単量体とを水媒体中で反応させる工程(2)と、
    を含み、
    前記懸濁重合は、前記懸濁重合に用いる重合性単量体の総質量の1〜10倍に相当する質量の水を媒体とする、分子内に重合性二重結合を有する反応性アクリル樹脂の製造方法。
  2. 前記工程(1)及び/又は前記工程(2)でアミン化合物を用いる、請求項1に記載の反応性アクリル樹脂の製造方法。
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