以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
(実施の形態1)
<半導体装置の回路構成例について>
図1は、本実施の形態の半導体装置の構成例を示す回路ブロック図である。図2は、画素の構成例を示す回路図である。なお、図1では、アレイ状(行列状)に配置された4行4列(4×4)の16個の画素を示すが、画素の配列数はこれに限定されず、種々変更可能であり、例えば、実際にカメラなどの電子機器に使用される画素数は数百万のものがある。
図1に示されるように、画素領域に複数の画素PUがアレイ状に配置され、その周囲には、垂直走査回路VSCや水平走査回路HSCなどの駆動回路が配置されている。各画素(セル、画素ユニット)PUは、選択線SLおよび出力線OLの交点に配置されている。選択線SLは垂直走査回路VSCと接続され、出力線OLはそれぞれ列回路CLCと接続されている。列回路CLCはスイッチSWTを介して出力アンプAPと接続されている。各スイッチSWTは水平走査回路HSCと接続され、水平走査回路HSCにより制御される。
例えば、垂直走査回路VSCおよび水平走査回路HSCにより選択された画素PUから読み出された電気信号は、出力線OLおよび出力アンプAPを介して出力される。
画素PUの構成は、例えば、図2に示されるように、フォトダイオードPDと、4つのトランジスタRST,TX,SEL,AMIとで構成される。これらのトランジスタRST,TX,SEL,AMIは、それぞれnチャネル型のMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)により形成される。このうち、RSTはリセットトランジスタ(リセット用トランジスタ)であり、TXは転送トランジスタ(転送用トランジスタ)であり、SELは選択トランジスタ(選択用トランジスタ)であり、AMIは増幅トランジスタ(増幅用トランジスタ)である。なお、これらのトランジスタの他に、他のトランジスタや容量素子などの素子が組み込まれることもある。また、これらのトランジスタの接続形態には種々の変形・応用形態がある。
図2に示す回路例においては、接地電位(GND)とノードN1との間にフォトダイオードPDと転送トランジスタTXとが直列に接続されている。ノードN1と電源電位(電源電位線)VDDとの間にはリセットトランジスタRSTが接続されている。電源電位VDDと出力線OLとの間には、選択トランジスタSELおよび増幅トランジスタAMIが直列に接続されている。この増幅トランジスタAMIのゲート電極はノードN1に接続されている。また、リセットトランジスタRSTのゲート電極はリセット線LRSTに接続されている。また、選択トランジスタSELのゲート電極は選択線SLと接続され、転送トランジスタTXのゲート電極は転送線(第2選択線)LTXと接続されている。
例えば、転送線LTXおよびリセット線LRSTを立ち上げ(Hレベルとし)、転送トランジスタTXおよびリセットトランジスタRSTをオン状態とする。この結果、フォトダイオードPDの電荷が抜かれて空乏化される。その後、転送トランジスタTXをオフ状態とする。
この後、例えば、カメラなどの電子機器のメカニカルシャッターを開くと、シャッターが開いている間、フォトダイオードPDにおいて、入射光によって電荷が発生し、蓄積される。
次いで、シャッターを閉じた後、リセット線LRSTを立ち下げ(Lレベルとし)、リセットトランジスタRSTをオフ状態とする。さらに、選択線SLおよび転送線LTXを立ち上げ(Hレベルとし)、選択トランジスタSELおよび転送トランジスタTXをオン状態とする。これにより、フォトダイオードPDの電荷が転送トランジスタTXのノードN1側の端部(フローティングディフュージョン、後述のn+型半導体領域SD1に対応)に転送される。即ち、フローティングディフュージョンの電位は、フォトダイオードPDから転送された電荷に応じた値に変化し、この値が、増幅トランジスタAMIにより増幅され出力線OLに表れる。この出力線OLの電位が、電気信号(受光信号)となり、列回路CLCおよびスイッチSWTを介して出力アンプAPから出力信号として読み出される。
<半導体装置の製造工程について>
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程を、図面を参照して説明する。図3〜図5は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す工程フロー図である。図6〜図43は、本実施の形態の半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
本実施の形態の半導体装置を製造するには、まず、図6に示されるように、半導体基板(半導体ウエハ)SUBを準備(用意)する(図3のステップS1)。
半導体基板SUBは、例えば、リン(P)またはヒ素(As)などのn型不純物が導入されたn型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)である。他の形態として、半導体基板SUBを、いわゆるエピタキシャルウエハとすることもできる。半導体基板SUBをエピタキシャルウエハとする場合、例えば、n型不純物(例えばヒ素(As))が導入されたn+型の単結晶シリコン基板の主面上に、n型不純物(例えばリン(P))が導入されたn−型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層を成長させることにより、半導体基板SUBを形成することができる。
次に、半導体基板SUBに受光素子(ここではフォトダイオードPD)を含む半導体素子を形成する(図3のステップS2)。以下、ステップS2について、具体的に説明する。
半導体基板SUBは、フォトダイオードPDが形成される領域であるフォトダイオード形成領域1Bと、転送トランジスタTXが形成される領域である転送トランジスタ形成領域1Cと、画素トランジスタQ1が形成される領域である画素トランジスタ形成領域1Dとを含む画素領域1Aと、論理回路部(ロジック部)などの周辺回路が形成される領域である周辺回路形成領域1Eとを有している。
なお、1つの画素領域1Aが1つの画素(上記画素PUに対応)を形成し、半導体基板SUBの主面には、実際には複数の画素領域1A(すなわち複数の画素PU)がアレイ状(行列状)に配列している。しかしながら、図面の簡略化のために、ここでは代表して1つの画素領域1Aだけを示すものとする。また、実際には、各画素領域1AにフォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXに加えて上記トランジスタRST,SEL,AMIも形成されるが、ここでは上記トランジスタRST,SEL,AMIを代表して1つの画素トランジスタQ1として示すものとする。また、周辺回路形成領域1Eには、実際には複数のトランジスタが形成されるが、ここでは代表して1つの周辺トランジスタQ2だけを示すものとする。また、図6において、画素領域1Aの半導体基板SUBと周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBとを分離して示しているが、実際には、画素領域1Aの半導体基板SUBと周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBとは同一の半導体基板SUBであり、一体的に形成されている。
まず、図7に示されるように、半導体基板SUBの主面に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法などにより、絶縁体(溝に埋め込まれた絶縁体)からなる素子分離領域STを形成する。
すなわち、エッチングなどにより半導体基板SUBの主面に素子分離溝(溝)STaを形成してから、酸化シリコン(例えばオゾンTEOS(Tetraethoxysilane)酸化膜)などからなる絶縁膜を素子分離溝STaを埋めるように半導体基板SUB上に形成する。それから、この絶縁膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法などを用いて研磨することで、素子分離溝STaの外部の不要な絶縁膜を除去し、かつ素子分離溝STa内に絶縁膜を残すことにより、素子分離溝STaを埋める絶縁膜(絶縁体)からなる素子分離領域STを形成することができる。
素子分離領域STによって、半導体基板SUBの活性領域が規定される。画素領域1Aにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにして、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが形成される。すなわち、各画素領域1Aにおいて、フォトダイオード形成領域1Bと転送トランジスタ形成領域1Cとは素子分離領域STによって分離されておらず、フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cの両領域にわたる活性領域に、後述するようにして、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが形成される。また、画素トランジスタ形成領域1Dにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにして、画素トランジスタQ1が形成される。また、周辺回路形成領域1Eにおける素子分離領域STで規定された活性領域に、後述するようにして、周辺回路を形成するための周辺トランジスタQ2が形成される。
次に、半導体基板SUBの主面から所定の深さに渡ってp型ウエル(p型半導体領域)PW1,PW2,PW3を形成する。p型ウエルPW1,PW2,PW3は、半導体基板SUBに、例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成することができる。
p型ウエルPW1は、フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cにわたって形成され、p型ウエルPW2は画素トランジスタ形成領域1Dに形成され、p型ウエルPW3は、周辺回路形成領域1Eに形成される。
なお、本実施の形態では、周辺回路形成領域1Eに形成される周辺トランジスタQ2が、nチャネル型のMISFETの場合について説明しているが、導電型を逆にして、周辺トランジスタQ2をpチャネル型のMISFETとすることもでき、あるいは、nチャネル型のMISFETとpチャネル型のMISFETの両方を周辺回路形成領域1Eに形成することもできる。
p型ウエルPW1の深さ(接合深さ)は、p型ウエルPW2,PW3の深さ(接合深さ)よりも深い。p型ウエルPW1を形成するためのイオン注入は、p型ウエルPW2を形成するためのイオン注入およびp型ウエルPW3を形成するためのイオン注入とは、異なるイオン注入工程として行う。一方、p型ウエルPW2を形成するためのイオン注入と、p型ウエルPW3を形成するためのイオン注入とは、異なるイオン注入で行うか、あるいは、同じイオン注入工程で行う。
次に、図8に示されるように、画素領域1Aにおける半導体基板SUBに、n型半導体領域NRをイオン注入により形成する。n型半導体領域NRは、画素領域1Aの半導体基板SUBにリン(P)またヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって、形成することができる。
n型半導体領域NRは、フォトダイオードPDを形成するためのn型半導体領域であり、主として、画素領域1Aのフォトダイオード形成領域1Bに形成されるが、転送トランジスタTXのソース領域もn型半導体領域NRにより形成されるため、n型半導体領域NRの一部は転送トランジスタ形成領域1Cにも延在している。すなわち、n型半導体領域NRは、主として、画素領域1Aのフォトダイオード形成領域1Bに形成されるが、n型半導体領域NRの一部が、後で形成されるゲート電極GE1と平面的に(平面視で)重なるような位置に、形成される。画素トランジスタ形成領域1Dには、このn型半導体領域NRは形成されない。
n型半導体領域NR(の底面)の深さは、p型ウエルPW1(の底面)の深さよりも浅く、n型半導体領域NRは、p型ウエルPW1に内包されるように形成される。n型半導体領域NRを形成するためのイオン注入の際には、n型半導体領域NR形成予定領域以外の半導体基板SUBは、フォトレジストパターン(図示せず)で覆っておき、n型半導体領域NR形成予定領域に選択的にn型不純物をイオン注入することができる。
次に、フォトダイオード形成領域1Bの半導体基板SUBに、p+型半導体領域PRをイオン注入により形成する。p+型半導体領域PRは、フォトダイオード形成領域1Bの半導体基板SUBにホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することによって、形成することができる。p+型半導体領域PRは、p型不純物が高濃度で導入(ドープ)されたp+型の半導体領域であり、p+型半導体領域PRの不純物濃度(p型不純物濃度)は、p型ウエルPW1の不純物濃度(p型不純物濃度)よりも高い。
p+型半導体領域PR(の底面)の深さは、n型半導体領域NR(の底面)の深さよりも浅い。p+型半導体領域PRは、主として、n型半導体領域NRの表層部分に形成される。このため、半導体基板SUBの厚さ方向に見ると、最上層のp+型半導体領域PRの下にn型半導体領域NRが存在し、n型半導体領域NRの下にp型ウエルPW1が存在する状態となる。p+型半導体領域PRを形成するためのイオン注入の際には、p+型半導体領域PR形成予定領域以外の半導体基板SUBは、フォトレジストパターン(図示せず)で覆っておき、p+型半導体領域PR形成予定領域に選択的にp型不純物をイオン注入することができる。また、n型半導体領域NRが形成されていない領域において、p+型半導体領域PRの一部はp型ウエルPW1に接している。
p型ウエルPW1とn型半導体領域NRとの間には、PN接合が形成される。また、p+型半導体領域PRとn型半導体領域NRとの間には、PN接合が形成される。
p型ウエルPW1(p型半導体領域)とn型半導体領域NRとによって、フォトダイオード(PN接合ダイオード)PDが形成される。そして、n型半導体領域NRの表面の一部にp+型半導体領域PRが形成されている。このp+型半導体領域PRは、半導体基板SUBの表面に多数形成されている界面準位に基づく電子の発生を抑制する目的で形成される領域である。すなわち、半導体基板SUBの表面領域では、界面準位の影響により、光が照射されていない状態でも電子が発生し、暗電流の増加を引き起こすことになる。このため、電子を多数キャリアとするn型半導体領域NRの表面に、正孔(ホール)を多数キャリアとするp+型半導体領域PRを形成することにより、光が照射されていない状態での電子の発生を抑制し、暗電流の増加を抑制することができる。
フォトダイオードPDは、受光素子である。また、フォトダイオードPDは、光電変換素子とみなすこともできる。
また、n型半導体領域NRおよびp+型半導体領域PRを形成した後、結晶欠陥を回復させるためのアニール処理(熱処理)を行うこともできる。
次に、図9に示されるように、転送トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SUB上に転送トランジスタTX用のゲート電極GE1を、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUB上に画素トランジスタQ1用のゲート電極GE2を、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUB上に周辺トランジスタQ2用のゲート電極GE3を、それぞれゲート絶縁膜GIを介して形成する。
具体的には、例えば、半導体基板SUBの主面を洗浄処理などにより清浄化してから、半導体基板SUBの主面にゲート絶縁膜GI用の絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を形成し、この絶縁膜上にゲート電極GE1,GE2,GE3用の導電膜(例えば多結晶シリコン膜)を形成した後、この導電膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングする。これにより、パターニングされた導電膜(例えば多結晶シリコン膜)からなるゲート電極GE1,GE2,GE3を形成することができる。ゲート電極GE1,GE2,GE3の下に残存するゲート絶縁膜GI用の上記絶縁膜が、ゲート絶縁膜GIとなる。また、この導電膜をパターニングするためのドライエッチング、あるいはそのドライエッチングの後のウェットエッチングにより、ゲート電極GE1,GE2,GE3で覆われていない領域のゲート絶縁膜GI用の上記絶縁膜は除去され得る。
ゲート絶縁膜GI用の上記絶縁膜は、例えば酸化シリコン膜からなり、例えば熱酸化法などにより形成することができる。ゲート電極GE1,GE2,GE3用の上記導電膜は、例えば多結晶シリコン膜(ポリシリコン膜)からなり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法などにより形成することができる。この多結晶シリコン膜は、成膜時に不純物をドープするか、あるいは成膜後にイオン注入で不純物を導入することで、ドープトポリシリコン膜とされ、低抵抗の半導体膜(導電性材料膜)とされている。また、この多結晶シリコン膜は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
ゲート電極GE1は、転送トランジスタTXのゲート電極として機能し、転送トランジスタ形成領域1Cにおいて、半導体基板SUB上にゲート絶縁膜GIを介して形成される。ゲート電極GE1の下のゲート絶縁膜GIが、転送トランジスタTXのゲート絶縁膜として機能する。また、ゲート電極GE2は、画素トランジスタQ1のゲート電極として機能し、画素トランジスタ形成領域1Dにおいて、半導体基板SUB上にゲート絶縁膜GIを介して形成される。ゲート電極GE2の下のゲート絶縁膜GIが、画素トランジスタQ1のゲート絶縁膜として機能する。また、ゲート電極GE3は、周辺トランジスタQ2のゲート電極として機能し、周辺回路形成領域1Eにおいて、半導体基板SUB上にゲート絶縁膜GIを介して形成される。ゲート電極GE3の下のゲート絶縁膜GIが、周辺トランジスタQ2のゲート絶縁膜として機能する。
次に、エクステンション領域(ソース・ドレインエクステンション領域)EX1,EX2,EX3を、それぞれイオン注入により形成する。このうち、エクステンション領域EX1は、転送トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。また、エクステンション領域EX2は、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。また、エクステンション領域EX3は、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。
すなわち、エクステンション領域EX1を形成するためのイオン注入において、転送トランジスタ形成領域1Cでは、ゲート電極GE1がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE1の直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、転送トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE1の外側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域EX1が形成される。従って、転送トランジスタ形成領域1Cにおいて、エクステンション領域EX1は、ゲート電極GE1の側壁に自己整合して形成される。
なお、ゲート電極GE1の両側のうち、フォトダイオード形成領域1Bに隣接する側(すなわちn型半導体領域NRが形成されている側)は、エクステンション領域EX1形成用のイオン注入時にフォトレジストパターン(図示せず)で覆われることで、エクステンション領域EX1は形成されない。このため、ゲート電極GE1の両側のうち、フォトダイオード形成領域1Bに隣接しない側(すなわちn型半導体領域NRが形成されている側とは反対側)に、エクステンション領域EX1が形成される。
また、エクステンション領域EX2を形成するためのイオン注入において、画素トランジスタ形成領域1Dでは、ゲート電極GE2がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE2の直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE2の両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域EX2が形成される。従って、画素トランジスタ形成領域1Dにおいて、エクステンション領域EX2は、ゲート電極GE2の側壁に自己整合して形成される。
また、エクステンション領域EX3を形成するためのイオン注入において、周辺回路形成領域1Eでは、ゲート電極GE3がマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE3の直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE3の両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、エクステンション領域EX3が形成される。従って、周辺回路形成領域1Eにおいて、エクステンション領域EX3は、ゲート電極GE3の側壁に自己整合して形成される。
転送トランジスタ形成領域1Cのエクステンション領域EX1と、画素トランジスタ形成領域1Dのエクステンション領域EX2と、周辺回路形成領域1Eのエクステンション領域EX3とは、同じイオン注入工程により形成するか、あるいは、別々のイオン注入により形成することができる。
次に、図10に示されるように、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上に側壁絶縁膜であるサイドウォールスペーサSWを形成する。例えば、半導体基板SUBの主面上に、ゲート電極GE1,GE2,GE3を覆うように、サイドウォールスペーサSW用の絶縁膜(単層または積層の絶縁膜)を形成してから、この絶縁膜を異方性エッチングによりエッチバックして、ゲート電極GE1,GE2,GE3の側壁上にこの絶縁膜を局所的に残すことにより、サイドウォールスペーサSWを形成することができる。
次に、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3を、それぞれイオン注入により形成する。このうち、n+型半導体領域SD1は、転送トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。また、n+型半導体領域SD2は、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。また、n+型半導体領域SD3は、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBに対してn型不純物をイオン注入することにより形成される。
すなわち、n+型半導体領域SD1を形成するためのイオン注入において、転送トランジスタ形成領域1Cでは、ゲート電極GE1とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE1およびその側壁上のサイドウォールスペーサSWの直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、転送トランジスタ形成領域1Cの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE1の側壁上のサイドウォールスペーサSWの外側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n+型半導体領域SD1が形成される。従って、転送トランジスタ形成領域1Cにおいて、n+型半導体領域SD1は、ゲート電極GE1の側壁上のサイドウォールスペーサSWの側面に自己整合して形成される。
なお、ゲート電極GE1の両側のうち、フォトダイオード形成領域1Bに隣接する側(すなわちn型半導体領域NRが形成されている側)は、n+型半導体領域SD1形成用のイオン注入時にフォトレジストパターン(図示せず)で覆われることで、n+型半導体領域SD1は形成されない。このため、ゲート電極GE1の両側のうち、フォトダイオード形成領域1Bに隣接しない側(すなわちn型半導体領域NRが形成されている側とは反対側)に、n+型半導体領域SD1が形成される。
また、n+型半導体領域SD2を形成するためのイオン注入において、画素トランジスタ形成領域1Dでは、ゲート電極GE2とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールスペーサSWの直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールスペーサSWの両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n+型半導体領域SD2が形成される。従って、画素トランジスタ形成領域1Dにおいて、n+型半導体領域SD2は、ゲート電極GE2の側壁上のサイドウォールスペーサSWの側面に自己整合して形成される。
また、n+型半導体領域SD3を形成するためのイオン注入において、周辺回路形成領域1Eでは、ゲート電極GE3とその側壁上のサイドウォールスペーサSWとがマスク(イオン注入阻止マスク)として機能するため、半導体基板SUBにおけるゲート電極GE3およびその側壁上のサイドウォールスペーサSWの直下の領域では、不純物の注入が防止される。このため、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBにおけるゲート電極GE3およびその側壁上のサイドウォールスペーサSWの両側の領域に、n型の不純物がイオン注入されることにより、n+型半導体領域SD3が形成される。従って、周辺回路形成領域1Eにおいて、n+型半導体領域SD3は、ゲート電極GE3の側壁上のサイドウォールスペーサSWの側面に自己整合して形成される。
転送トランジスタ形成領域1Cのn+型半導体領域SD1と、画素トランジスタ形成領域1Dのn+型半導体領域SD2と、周辺回路形成領域1Eのn+型半導体領域SD3とは、同じイオン注入工程により形成するか、あるいは、別々のイオン注入により形成することができる。
n+型半導体領域SD1は、エクステンション領域EX1と同じ導電型(ここではn型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX1よりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高く、かつ、深さ(接合深さ)が深い。
これにより、転送トランジスタ形成領域1Cにおいて、転送トランジスタTXのドレイン領域として機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n+型半導体領域SD1およびエクステンション領域EX1により形成される。このため、転送トランジスタTXのドレイン領域は、エクステンション領域EX1と、それよりも高不純物濃度のn+型半導体領域SD1とにより形成されて、LDD(Lightly doped Drain)構造を有している。また、n+型半導体領域SD1およびエクステンション領域EX1は、転送トランジスタTXのドレイン領域として機能するが、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)とみなすこともできる。
また、n型半導体領域NRは、フォトダイオードPDの構成要素であるが、転送トランジスタTXのソース用の半導体領域としても機能することができる。すなわち、転送トランジスタTXのソース領域は、n型半導体領域NRにより形成される。このため、n型半導体領域NRとゲート電極GE1とは、ゲート電極GE1の一部(ソース側)が、n型半導体領域NRの一部と平面的に(平面視で)重なるような位置関係となっている。
このため、n型半導体領域NRとエクステンション領域EX1とは、転送トランジスタTXのチャネル形成領域(ゲート電極GE1の直下の領域に対応)を挟んで互いに離間するように形成されている。このため、n型半導体領域NRは、転送トランジスタTXのチャネル形成領域にソース側で隣接し、エクステンション領域EX1は、転送トランジスタTXのチャネル形成領域にドレイン側で隣接し、n+型半導体領域SD1は、転送トランジスタTXのチャネル形成領域からエクステンション領域EX1の分だけ離間しかつエクステンション領域EX1に接する位置に形成された状態となる。
また、n+型半導体領域SD2は、エクステンション領域EX2と同じ導電型(ここではn型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX2よりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高く、かつ、深さ(接合深さ)が深い。
これにより、画素トランジスタ形成領域1Dにおいて、画素トランジスタQ1のソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n+型半導体領域SD2およびエクステンション領域EX2により形成される。従って、画素トランジスタQ1のソース領域およびドレイン領域は、LDD構造を有している。このため、画素トランジスタ形成領域1Dの半導体基板SUBにおいて、チャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域に、(一対の)エクステンション領域EX1が形成され、エクステンション領域EX1の外側(チャネル形成領域から離れる側)に、エクステンション領域EX1よりも不純物濃度が高いn+型半導体領域SD2が形成された状態となる。
また、n+型半導体領域SD3は、エクステンション領域EX3と同じ導電型(ここではn型)の半導体領域であるが、エクステンション領域EX3よりも、不純物濃度(n型不純物濃度)が高く、かつ、深さ(接合深さ)が深い。
これにより、周辺回路形成領域1Eにおいて、周辺トランジスタQ2のソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、n+型半導体領域SD3およびエクステンション領域EX3により形成される。従って、周辺トランジスタQ2のソース領域およびドレイン領域は、LDD構造を有している。このため、周辺回路形成領域1Eの半導体基板SUBにおいて、チャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域に、(一対の)エクステンション領域EX2が形成され、エクステンション領域EX2の外側(チャネル形成領域から離れる側)に、エクステンション領域EX2よりも不純物濃度が高いn+型半導体領域SD3が形成された状態となる。
次に、これまでのイオン注入で導入した不純物の活性化のためのアニール処理(熱処理)を行う。
このようにして、半導体基板SUBの各画素領域1Aのフォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1CにフォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXが形成され、画素トランジスタ形成領域1Dに画素トランジスタQ1が形成され、周辺回路形成領域1Eに周辺トランジスタQ2が形成される。
フォトダイオードPDは、入力された光を光電変換して電荷を生成し、生成した電荷を蓄積する機能を有し、転送トランジスタTXは、フォトダイオードPDで蓄積された電荷をフォトダイオードPDから転送する際のスイッチとしての役割を有している。
次に、図11に示されるように、半導体基板SUBの主面上に絶縁膜を形成してから、この絶縁膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、画素領域1Aに保護膜CPを形成する。保護膜CPは、例えば酸化シリコン膜などにより形成することができる。
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3の上部(表層部)や、ゲート電極GE1,GE2,GE3の上部(表層部)などに、低抵抗の金属シリサイド層(図示せず)を形成することもできる。例えば、金属シリサイド層形成用の金属膜を半導体基板SUB上に形成してから、熱処理を行うことにより、その金属膜をn+型半導体領域SD1,SD2,SD3やゲート電極GE1,GE2,GE3の上層部分と反応させてから、金属膜の未反応部分を除去する。これにより、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3の上部(表層部)や、ゲート電極GE1,GE2,GE3の上部(表層部)などに、それぞれ金属シリサイド層(図示せず)を形成することができる。この金属シリサイド層を形成することにより、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3の拡散抵抗やコンタクト抵抗などを低抵抗化することができる。また、この金属シリサイド層は形成しなくともよく、あるいは、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3およびゲート電極GE1,GE2,GE3のうち、金属シリサイド層を形成するものと、形成しないものとを設けることもできる。
ここまでの工程により、ステップS2として、半導体基板SUBに受光素子(ここではフォトダイオードPD)を含む半導体素子(ここではフォトダイオードPD、転送トランジスタTX、画素トランジスタQ1および周辺トランジスタQ2)が形成される。
なお、ここでは、ステップS2として、半導体基板SUBの各画素領域1Aのフォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1CにフォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXを形成し、画素トランジスタ形成領域1Dに画素トランジスタQ1を形成し、周辺回路形成領域1Eに周辺トランジスタQ2を形成する場合について、具体的な一例を説明した。しかしながら、このステップS2は、必要に応じて種々変更可能である。例えば、これまでに不純物のイオン注入工程が複数あるが、それらのイオン注入工程の順序は、上述した順序に制限されるものではない。また、複数の同じ導電型の半導体領域については、共通のイオン注入工程により形成する場合もあり得る。
例えば、素子分離領域STの形成後に、p型ウエルPW1、n型半導体領域NRおよびp+型半導体領域PRを形成する場合について説明したが、他の形態として、素子分離領域STの形成前に、p型ウエルPW1、n型半導体領域NRおよびp+型半導体領域PRを形成することもできる。すなわち、素子分離領域STの形成前に、半導体基板SUBにフォトダイオードPDを形成することもできる。また、ゲート電極GE1,GE2,GE3の形成前にp+型半導体領域PRを形成する場合について説明したが、他の形態として、p+型半導体領域PRを、ゲート電極GE1,GE2,GE3の形成後に形成することもできる。また、ゲート電極GE1,GE2,GE3の形成前にn型半導体領域NRを形成する場合について説明したが、他の形態として、n型半導体領域NRを、ゲート電極GE1,GE2,GE3の形成後に形成することもできる。
このようにして、ステップS2で半導体基板SUBに受光素子(ここではフォトダイオードPD)を含む半導体素子が形成された後、図12に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)IL1を形成する(図3のステップS3)。すなわち、ゲート電極GE1,GE2,GE3、サイドウォールスペーサSWおよび保護膜CPを覆うように、半導体基板SUB上に絶縁膜IL1を形成する。
絶縁膜IL1は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。例えば、絶縁膜IL1は、酸化シリコン膜により形成することができる。この酸化シリコン膜は、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料とした酸化シリコン膜とすることができ、例えばCVD法などにより形成することができる。
絶縁膜IL1の成膜後、絶縁膜IL1の表面(上面)をCMP法により研磨するなどして、絶縁膜IL1の上面を平坦化する。絶縁膜IL1を成膜した段階で、下地段差に起因して絶縁膜IL1の表面に凹凸形状が形成されていても、成膜後に絶縁膜IL1の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜(絶縁膜IL1)を得ることができる。
次に、図13に示されるように、絶縁膜IL1上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜IL1をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL1に開口部としてコンタクトホール(貫通孔、孔、開口部)CTを形成する(図3のステップS4)。
コンタクトホールCTは、絶縁膜IL1を貫通するように形成される。コンタクトホールCTの底部では、半導体基板SUBの主面の一部、例えばn+型半導体領域SD1,SD2,SD3の表面(金属シリサイド層が形成されている場合は金属シリサイド層の表面)の一部や、ゲート電極GE1,GE2,GE3の表面(金属シリサイド層が形成されている場合は金属シリサイド層の表面)の一部などが露出される。
次に、図14に示されるように、プラグPG形成用の導電膜(金属膜)CD1を、コンタクトホールCT内を埋める(満たす)ように、絶縁膜IL1上に形成する(図3のステップS5)。
導電膜CD1は、バリア導体膜(バリア金属膜)BR1と、バリア導体膜BR1上の主導体膜MC1とからなり、主導体膜MC1は、バリア導体膜BR1よりも厚い。バリア導体膜BR1は、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜からなり、例えばスパッタリング法またはプラズマCVD法などによって形成することができる。主導体膜MC1は、タングステン膜などからなり、例えばCVD法などによって形成することができる。
このため、ステップS5の導電膜CD1形成工程は、コンタクトホールCTの内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL1上にバリア導体膜BR1を形成する工程と、該工程の後、主導体膜MC1をバリア導体膜BR1上にコンタクトホールCTを埋めるように形成する工程と、を有している。なお、導電膜CD1は、金属伝導を示す金属または金属化合物により形成されているため、金属膜とみなすことができる。また、窒化チタン膜や窒化タンタル膜などの金属伝導を示す金属化合物膜も、金属膜とみなすことができる。バリア膜BR1は、例えば、導電膜CD1と絶縁膜IL1との密着性を向上させる機能などを有している。
次に、図15に示されるように、導電膜CD1上にフォトレジストパターン(レジストパターン)RP1を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する(図3のステップS6)。フォトレジストパターンRP1は、後述の開口部OP1b形成予定領域に開口部OP1aを有している。フォトレジストパターンRP1の開口部OP1aは、コンタクトホールCTとは平面視で重なっていない。
なお、「平面視」とは、半導体基板SUBの主面に平行な平面でみた場合を言う。また、「平面的に重なる」とは、平面視で重なる場合に対応し、「平面的に重ならない」とは、平面視で重ならない場合に対応する。
次に、図16に示されるように、フォトレジストパターンRP1をマスク(エッチングマスク)として用いて、導電膜CD1をエッチングする(図3のステップS7)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS7では、フォトレジストパターンRP1の開口部OP1aから露出する導電膜CD1がエッチングされ、フォトレジストパターンRP1で覆われる部分の導電膜CD1はエッチングが防止される。このため、ステップS7のエッチングを行うと、フォトレジストパターンRP1の開口部OP1aから露出する領域の導電膜CD1が選択的にエッチングされて、導電膜CD1に開口部OP1bが形成される。この導電膜CD1に形成された開口部OP1bの平面位置および平面形状は、フォトレジストパターンRP1の開口部OP1aの平面位置および平面形状にほぼ一致したものとなる。開口部OP1bは導電膜CD1を貫通するように形成され、導電膜CD1の開口部OP1bの底部では、絶縁膜IL1(の上面)が露出される。ステップS7では、絶縁膜IL1をエッチングストッパとして用いることができる。ステップS7のエッチングの後、フォトレジストパターンRP1は除去される。
次に、図17に示されるように、導電膜CD1をマスク(エッチングマスク)として用いて、絶縁膜IL1をエッチングする(図3のステップS8)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS8では、導電膜CD1の開口部OP1bから露出する絶縁膜IL1がエッチングされ、導電膜CD1で覆われる部分の絶縁膜IL1はエッチングが防止される。このため、ステップS8のエッチングを行うと、導電膜CD1の開口部OP1bから露出する領域の絶縁膜IL1が選択的にエッチングされて、絶縁膜IL1に開口部(窪み部、凹部、穴部、溝部)OP2が形成される。この絶縁膜IL1に形成された開口部OP2の平面位置および平面形状は、導電膜CD1の開口部OP1bの平面位置および平面形状にほぼ一致している。
但し、絶縁膜IL1の開口部OP2は絶縁膜IL1を貫通しておらず、開口部OP2の底部では絶縁膜IL1の一部が残存している。つまり、開口部OP2における絶縁膜IL1の厚さは、開口部OP2以外の領域での絶縁膜IL1の厚さよりも薄くなっている。このため、ステップS8では、エッチング時間を調整するなどして、絶縁膜IL1のエッチング量(エッチング深さ)を制御し、開口部OP2の底部で所定の厚さの絶縁膜IL1が残存するようにすることが好ましい。開口部OP2は、窪み部または凹部とみなすこともできる。
なお、本実施の形態では、フォトレジストパターンRP1を除去してから、ステップS8で導電膜CD1をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL1をエッチングして開口部OP2を形成している。他の形態として、フォトレジストパターンRP1を除去せずに、ステップS8でこのフォトレジストパターンRP1をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL1をエッチングして開口部OP2を形成し、その後にフォトレジストパターンRP1を除去することもできる。
次に、図18に示されるように、絶縁膜IL2を、絶縁膜IL1の開口部OP2と導電膜CD1の開口部OP1bとを埋める(満たす)ように、導電膜CD1上に形成する(図3のステップS9)。
絶縁膜IL2は、絶縁膜IL1の開口部OP2の埋め込み材として用いる絶縁膜であり、好ましくは、絶縁膜IL1よりも光(フォトダイオードPDに入射させる光)の屈折率および透光性が高い。
ここで、2つの膜の透光性の高低を比べる場合、その2つの膜の厚みが同じと仮定した場合に光の透過率が高い方を、透光性が高いと判断することができる。すなわち、光が2つの膜中を同じ距離だけ通過したときに(2つの膜への入射光の強度は同じとする)、光強度の減衰が小さい方の膜が、透光性が高いと言うことができる。
絶縁膜IL2としては、窒化シリコン膜を好適に用いることができる。絶縁膜IL2は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
次に、図19に示されるように、CMP法により絶縁膜IL2および導電膜CD1を研磨することにより、開口部OP2の外部の絶縁膜IL2と、コンタクトホールCTの外部の導電膜CD1とを除去する(図3のステップS10)。
このステップS10のCMP工程により、絶縁膜IL1の上面が露出され、絶縁膜IL1のコンタクトホールCT内に導電膜CD1が埋め込まれて残存し、絶縁膜IL1の開口部OP2内に絶縁膜IL2が埋め込まれて残存し、それ以外の導電膜CD1および絶縁膜IL2が除去される。
絶縁膜IL1のコンタクトホールCT内に埋め込まれて残存する導電膜CD1により、プラグPGが形成され、絶縁膜IL1の開口部OP2内に埋め込まれて残存する絶縁膜IL2により、埋込絶縁膜BF1が形成される。つまり、ステップS10のCMP工程を行うと、絶縁膜IL1のコンタクトホールCTにプラグPGが埋め込まれ、絶縁膜IL1の開口部OP2に埋込絶縁膜BF1が埋め込まれた構造が得られる。
プラグPGは、コンタクトホールCT内に埋め込まれた導電膜CD1により形成されるが、導電膜CD1はバリア導体膜BR1および主導体膜MC1により形成されているため、プラグPGは、側面および底面がバリア導体膜BR1により構成され、それよりも内側は主導体膜MC1により構成される。
埋込絶縁膜BF1は、受光素子であるフォトダイオードPDに入射させる光の導波路として機能するものである。このため、埋込絶縁膜BF1は、受光素子の上方に形成することが好ましい。また、光学的特性としては、埋込絶縁膜BF1は、埋込絶縁膜BF1が埋め込まれている層間絶縁膜(ここでは絶縁膜IL1)に比べて、屈折率が高く、かつ、光(フォトダイオードPDに入射させる光)を透過しやすい性質(高い透光性)を有していることが好ましい。
次に、図20に示されるように、プラグPGおよび埋込絶縁膜BF1が埋め込まれた絶縁膜IL1上に、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)IL3を形成する(図4のステップS11)。絶縁膜IL3は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。例えば、絶縁膜IL3は、酸化シリコン膜により形成することができるが、酸化シリコンよりも誘電率を低くするために、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のうちの一種以上を含有する酸化シリコン膜とすることもできる。
次に、図21に示されるように、絶縁膜IL3上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜IL3をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL3に開口部として配線溝(配線開口部)WT1を形成する(図4のステップS12)。
配線溝WT1は、後述の配線M1を埋め込むための溝であり、絶縁膜IL3を貫通するように形成される。配線溝WT1は、配線M1を埋め込むための開口部(配線開口部)とみなすこともできる。プラグPGは、平面視で配線溝WT1と重なっており、プラグPGの上面は、配線溝WT1から露出される。一方、埋込絶縁膜BF1の上方には配線溝WT1は形成されないため、埋込絶縁膜BF1は、配線溝WT1から露出されない。すなわち、配線溝WT1は、平面視で埋込絶縁膜BF1と重ならないように、形成される。
次に、図22に示されるように、配線M1形成用の導電膜(金属膜)CD2を、配線溝WT1内を埋める(満たす)ように、絶縁膜IL3上に形成する(図4のステップS13)。
導電膜CD2は、バリア導体膜(バリア金属膜)BR2と、バリア導体膜BR2上の主導体膜MC2とからなり、主導体膜MC2は、バリア導体膜BR2よりも厚い。バリア導体膜BR2は、例えば、タンタル膜、窒化タンタル膜、あるいはそれらの積層膜からなり、例えばスパッタリング法またはプラズマCVD法などによって形成することができる。主導体膜MC2は、銅を主成分とする銅(Cu)膜などからなり、メッキ法(例えば電解メッキ法)などにより形成することができる。
このため、ステップS13の導電膜CD2形成工程は、配線溝WT1の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL3上にバリア導体膜BR2を形成する工程と、該工程の後、主導体膜MC2をバリア導体膜BR2上に配線溝WT1を埋めるように形成する工程と、を有している。なお、導電膜CD2は、金属伝導を示す金属または金属化合物により形成されているため、金属膜とみなすことができる。また、バリア膜BR2は、例えば、導電膜CD2と層間絶縁膜(絶縁膜IL3)との密着性の向上や、主導体膜CD2中の銅が層間絶縁膜(絶縁膜IL3)中へ拡散するのを防止する機能などを有している。これは、後述のバリア膜BR3,BR4も同様である。
また、ステップS13では、まず、配線溝WT1の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜IL3上にバリア導体膜BR2を形成した後、バリア導体膜BR2上に銅のシード層をCVD法またはスパッタリング法などにより形成してから、電解メッキ法などを用いてシード層上に銅メッキ膜を形成して、配線溝WT1を埋め込むこともできる。この場合、銅のシード層と銅メッキ膜とを合わせたものが、主導体膜MC2となる。
次に、図23に示されるように、導電膜CD2上にフォトレジストパターン(レジストパターン)RP2を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する(図4のステップS14)。フォトレジストパターンRP2は開口部OP3aを有している。フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aは、配線溝WT1とは平面視で重なっていない。
フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aは、上記フォトレジストパターンRP1の上記開口部OP1aとほぼ一致する平面位置および平面形状を有している。このため、フォトレジストパターンRP2と上記フォトレジストパターンRP1とは、塗布したフォトレジスト層を露光する露光工程の際に同じフォトマスクを用いることができ、これにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
次に、図24に示されるように、フォトレジストパターンRP2をマスク(エッチングマスク)として用いて、導電膜CD2をエッチングする(図4のステップS15)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS15では、フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aから露出する導電膜CD2がエッチングされ、フォトレジストパターンRP2で覆われる部分の導電膜CD2はエッチングが防止される。このため、ステップS15のエッチングを行うと、フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aから露出する領域の導電膜CD2が選択的にエッチングされて、導電膜CD2に開口部OP3bが形成される。この導電膜CD2に形成された開口部OP3bの平面位置および平面形状は、フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aの平面位置および平面形状にほぼ一致したものとなる。開口部OP3bは導電膜CD2を貫通するように形成され、導電膜CD2の開口部OP3bの底部では、絶縁膜IL3(の上面)が露出される。ステップS15では、絶縁膜IL3をエッチングストッパとして用いることができる。ステップS15のエッチングの後、フォトレジストパターンRP2は除去される。
次に、図25に示されるように、導電膜CD2をマスク(エッチングマスク)として用いて、絶縁膜IL3をエッチングする(図4のステップS16)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS16では、導電膜CD2の開口部OP3bから露出する絶縁膜IL3がエッチングされ、導電膜CD2で覆われる部分の絶縁膜IL3はエッチングが防止される。このため、ステップS16のエッチングを行うと、導電膜CD2の開口部OP3bから露出する領域の絶縁膜IL3が選択的にエッチングされて、絶縁膜IL3に開口部OP4が形成される。この絶縁膜IL3に形成された開口部OP4の平面位置および平面形状は、導電膜CD2の開口部OP3bの平面位置および平面形状にほぼ一致している。
絶縁膜IL3の開口部OP4は絶縁膜IL3を貫通しており、開口部OP4の底部では埋込絶縁膜BF1(の上面)が露出される。これは、絶縁膜IL3の開口部OP4の平面位置および平面形状が、埋込絶縁膜BF1が埋め込まれている開口部OP2の平面位置および平面形状とほぼ一致しているためである。すなわち、絶縁膜IL3の開口部OP4は、平面視で絶縁膜IL1の開口部OP2と重なるように形成される。つまり、絶縁膜IL3の開口部OP4は、絶縁膜IL1の開口部OP2(あるいは開口部OP2に埋め込まれた埋込絶縁膜BF1)の上部に形成される。これを実現するためには、上述のように、上記フォトレジストパターンRP2の上記開口部OP3aについて、上記フォトレジストパターンRP1の上記開口部OP1aとほぼ一致する平面位置および平面形状を有したものとすればよい。
なお、本実施の形態では、フォトレジストパターンRP2を除去してから、ステップS16で導電膜CD2をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL3をエッチングして開口部OP4を形成している。他の形態として、フォトレジストパターンRP2を除去せずに、ステップS16でこのフォトレジストパターンRP2をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL3エッチングして開口部OP4を形成し、その後にフォトレジストパターンRP2を除去することもできる。
次に、図26に示されるように、絶縁膜IL4を、絶縁膜IL3の開口部OP4と導電膜CD2の開口部OP3bとを埋める(満たす)ように、導電膜CD2上に形成する(図4のステップS17)。
絶縁膜IL4は、絶縁膜IL3の開口部OP4の埋め込み材として用いる絶縁膜であり、好ましくは、絶縁膜IL3よりも光(フォトダイオードPDに入射させる光)の屈折率および透光性が高い。絶縁膜IL4としては、窒化シリコン膜を好適に用いることができる。また、絶縁膜IL4は、上記絶縁膜IL2と同じ材料により形成することが好ましい。このため、絶縁膜IL4と上記絶縁膜IL2とは、どちらも窒化シリコン膜であれば、より好ましい。絶縁膜IL4は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
次に、図27に示されるように、CMP法により絶縁膜IL4および導電膜CD2を研磨することにより、開口部OP4の外部の絶縁膜IL4と、配線溝WT1の外部の導電膜CD2とを除去する(図4のステップS18)。
このステップS18のCMP工程により、絶縁膜IL3の上面が露出され、絶縁膜IL3の配線溝WT1内に導電膜CD2が埋め込まれて残存し、絶縁膜IL3の開口部OP4内に絶縁膜IL4が埋め込まれて残存し、それ以外の導電膜CD2および絶縁膜IL4が除去される。
絶縁膜IL3の配線溝WT1内に埋め込まれて残存する導電膜CD2により、配線(埋込配線)M1が形成され、絶縁膜IL3の開口部OP4内に埋め込まれて残存する絶縁膜IL4により、埋込絶縁膜BF2が形成される。つまり、ステップS18のCMP工程を行うと、絶縁膜IL3の配線溝WT1に配線M1が埋め込まれ、絶縁膜IL3の開口部OP4に埋込絶縁膜BF2が埋め込まれた構造が得られる。
配線M1は、配線溝WT1内に埋め込まれた導電膜CD2により形成されるが、導電膜CD2はバリア導体膜BR2および主導体膜MC2により形成されているため、配線M1は、側面および底面がバリア導体膜BR2により構成され、それよりも内側は主導体膜MC2により構成される。
配線M1およびプラグPGの形成位置は、プラグPGが配線M1と平面視で重なるように設計されている。このため、プラグPGは、その上面が配線M1に接することで、配線M1に電気的に接続されている。配線M1は、プラグPGに接続され、プラグPGを介して、n+型半導体領域SD1,SD2,SD3またはゲート電極GE1,GE2,GE3などと電気的に接続される。
埋込絶縁膜BF2は、埋込絶縁膜BF1上に形成され、埋込絶縁膜BF2の底面は、埋込絶縁膜BF1の上面に接している。埋込絶縁膜BF2の平面位置および平面形状は、埋込絶縁膜BF1の平面位置および平面形状とほぼ一致している。すなわち、開口部OP4は、開口部OP2と平面視で重なっており、埋込絶縁膜BF2は、埋込絶縁膜BF1と平面視で重なっている。
埋込絶縁膜BF2は、埋込絶縁膜BF1とともに、受光素子であるフォトダイオードPDに入射させる光の導波路として機能するものである。このため、埋込絶縁膜BF1は、フォトダイオードPDの受光素子の上方に配置されている埋込絶縁膜BF1上に形成することが好ましい。また、光学的特性としては、埋込絶縁膜BF2は、埋込絶縁膜BF2が埋め込まれている層間絶縁膜(ここでは絶縁膜IL3)に比べて、屈折率が高く、かつ、光(フォトダイオードPDに入射させる光)を透過しやすい性質(高い透光性)を有していることが好ましい。
次に、図28に示されるように、配線M1および埋込絶縁膜BF2が埋め込まれた絶縁膜IL3上に、層間絶縁膜として絶縁膜(層間絶縁膜)IL5を形成する(図4のステップS19)。絶縁膜IL5は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。例えば、絶縁膜IL5は、酸化シリコン膜により形成することができるが、酸化シリコンよりも誘電率を低くするために、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のうちの一種以上を含有する酸化シリコン膜とすることもできる。
次に、図29に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いることにより、絶縁膜IL5に開口部として配線開口部WT2を形成する(図4のステップS20)。
配線開口部WT2は、配線溝WT2aと孔部WT2bとを有している。このうち、配線溝WT2aは、後述の配線M2を埋め込むための溝であり、孔部WT2bは、後述の配線M2と配線M1とを接続するためのビア部を埋め込むための孔である。配線溝WT2aは絶縁膜IL5を貫通しておらず、配線溝WT2aの底面は絶縁膜IL5の厚みの途中に位置する。孔部WT2bは、平面視で配線溝WT2aに内包されるように形成され、配線溝WT2aの底部から絶縁膜IL5を貫通するように形成される。孔部WT2bの底部では、配線M1の上面が露出される。一方、埋込絶縁膜BF2の上方には配線開口部WT2は形成されないため、埋込絶縁膜BF2は、配線開口部WT2から露出されない。すなわち、配線開口部WT2は、平面視で埋込絶縁膜BF2と重ならないように、形成される。
次に、図30に示されるように、配線M2形成用の導電膜(金属膜)CD3を、配線開口部WT2内を埋める(満たす)ように、絶縁膜IL5上に形成する(図5のステップS21)。すなわち、配線溝WT2aと孔部WT2bとを埋める(満たす)ように、絶縁膜IL5上に導電膜CD3を形成する。
導電膜CD3は、上記導電膜CD2と同様の構成を有している。すなわち、導電膜CD3は、バリア導体膜(バリア金属膜)BR3と、バリア導体膜BR3上の主導体膜MC3とからなり、主導体膜MC3は、バリア導体膜BR3よりも厚い。上記バリア導体膜BR2と同様に、バリア導体膜BR3は、例えば、タンタル膜、窒化タンタル膜、あるいはそれらの積層膜からなり、例えばスパッタリング法またはプラズマCVD法などによって形成することができる。上記主導体膜MC2と同様に、主導体膜MC3は、銅を主成分とする銅(Cu)膜などからなり、メッキ法(例えば電解メッキ法)などにより形成することができる。このため、ステップS21の導電膜CD3形成工程は、配線開口部WT2の内部(配線溝WT2aの底部および側壁上と孔部WT2bの底部および側壁上)を含む絶縁膜IL5上にバリア導体膜BR3を形成する工程と、該工程の後、主導体膜MC3をバリア導体膜BR3上に配線開口部WT2を埋めるように形成する工程と、を有している。なお、導電膜CD3は、金属伝導を示す金属または金属化合物により形成されているため、金属膜とみなすことができる。
また、ステップS21では、まず、配線開口部WT2の内部(配線溝WT2aの底部および側壁上と孔部WT2bの底部および側壁上)を含む絶縁膜IL5上にバリア導体膜BR3を形成した後、バリア導体膜BR3上に銅のシード層をCVD法またはスパッタリング法などで形成してから、電解メッキ法などを用いてシード層上に銅メッキ膜を形成して、配線開口部WT2を埋め込むこともできる。この場合、銅のシード層と銅メッキ膜とを合わせたものが、主導体膜MC3となる。
次に、図31に示されるように、導電膜CD3上にフォトレジストパターン(レジストパターン)RP3を、フォトリソグラフィ法を用いて形成する(図5のステップS22)。フォトレジストパターンRP3は開口部OP5aを有している。フォトレジストパターンRP3の開口部OP5aは、配線開口部WT2とは平面視で重なっていない。
フォトレジストパターンRP3の開口部OP5aは、上記フォトレジストパターンRP2の開口部OP3aや上記フォトレジストパターンRP1の上記開口部OP1aとほぼ一致する平面位置および平面形状を有している。このため、フォトレジストパターンRP3と上記フォトレジストパターンRP2と上記フォトレジストパターンRP1とは、塗布したフォトレジスト層を露光する露光工程の際に同じフォトマスクを用いることができ、これにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
次に、図32に示されるように、フォトレジストパターンRP3をマスク(エッチングマスク)として用いて、導電膜CD3をエッチングする(図5のステップS23)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS23では、フォトレジストパターンRP3の開口部OP5aから露出する導電膜CD3がエッチングされ、フォトレジストパターンRP3で覆われる部分の導電膜CD3はエッチングが防止される。このため、ステップS23のエッチングを行うと、フォトレジストパターンRP3の開口部OP5aから露出する領域の導電膜CD3が選択的にエッチングされて、導電膜CD3に開口部OP5bが形成される。この導電膜CD3に形成された開口部OP5bの平面位置および平面形状は、フォトレジストパターンRP3の開口部OP5aの平面位置および平面形状にほぼ一致したものとなる。開口部OP5bは導電膜CD3を貫通するように形成され、導電膜CD3の開口部OP5bの底部では、絶縁膜IL5(の上面)が露出される。ステップS23では、絶縁膜IL5をエッチングストッパとして用いることができる。ステップS23のエッチングの後、フォトレジストパターンRP3は除去される。
次に、図33に示されるように、導電膜CD3をマスク(エッチングマスク)として用いて、絶縁膜IL5をエッチングする(図5のステップS24)。このエッチングは、ある程度、異方性のエッチングとすることが好ましいため、ドライエッチングを用いることが好ましい。
ステップS24では、導電膜CD3の開口部OP5bから露出する絶縁膜IL5がエッチングされ、導電膜CD3で覆われる部分の絶縁膜IL5はエッチングが防止される。このため、ステップS24のエッチングを行うと、導電膜CD3の開口部OP5bから露出する領域の絶縁膜IL5が選択的にエッチングされて、絶縁膜IL5に開口部OP6が形成される。この絶縁膜IL5に形成された開口部OP6の平面位置および平面形状は、導電膜CD3の開口部OP5bの平面位置および平面形状にほぼ一致している。
絶縁膜IL5の開口部OP6は絶縁膜IL5を貫通しており、開口部OP6の底部では埋込絶縁膜BF2(の上面)が露出される。これは、絶縁膜IL5の開口部OP6の平面位置および平面形状が、埋込絶縁膜BF2が埋め込まれている開口部OP4の平面位置および平面形状とほぼ一致しているためである。すなわち、絶縁膜IL5の開口部OP6は、平面視で絶縁膜IL3の開口部OP4と重なるように形成される。つまり、絶縁膜IL5の開口部OP6は、絶縁膜IL3の開口部OP4(あるいは開口部OP4に埋め込まれた埋込絶縁膜BF2)の上部に形成される。これを実現するためには、上述のように、上記フォトレジストパターンRP3の上記開口部OP5aについて、上記フォトレジストパターンRP2の上記開口部OP3aとほぼ一致する平面位置および平面形状を有したものとすればよい。
なお、本実施の形態では、フォトレジストパターンRP3を除去してから、ステップS24で導電膜CD3をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL5をエッチングして開口部OP6を形成している。他の形態として、フォトレジストパターンRP3を除去せずに、ステップS24でこのフォトレジストパターンRP3をエッチングマスクとして用いて絶縁膜IL5エッチングして開口部OP6を形成し、その後にフォトレジストパターンRP3を除去することもできる。
次に、図34に示されるように、絶縁膜IL6を、絶縁膜IL5の開口部OP6と導電膜CD3の開口部OP5bとを埋める(満たす)ように、導電膜CD3上に形成する(図5のステップS25)。
絶縁膜IL6は、絶縁膜IL5の開口部OP6の埋め込み材として用いる絶縁膜であり、好ましくは、絶縁膜IL5よりも光(フォトダイオードPDに入射させる光)の屈折率および透光性が高い。絶縁膜IL6としては、窒化シリコン膜を好適に用いることができる。また、絶縁膜IL6は、上記絶縁膜IL2,IL4と同じ材料により形成することが好ましい。このため、絶縁膜IL6と上記絶縁膜IL4と上記絶縁膜IL2とは、いずれも窒化シリコン膜であれば、より好ましい。絶縁膜IL6は、例えばCVD法などを用いて形成することができる。
次に、図35に示されるように、CMP法により絶縁膜IL6および導電膜CD3を研磨することにより、開口部OP6の外部の絶縁膜IL6と、配線開口部WT2の外部の導電膜CD3とを除去する(図5のステップS26)。このステップS26のCMP工程により、絶縁膜IL5の上面が露出され、絶縁膜IL5の配線開口部WT2内に導電膜CD3が埋め込まれて残存し、絶縁膜IL5の開口部OP6内に絶縁膜IL6が埋め込まれて残存し、それ以外の導電膜CD3および絶縁膜IL6が除去される。
絶縁膜IL5の配線開口部WT2内に埋め込まれて残存する導電膜CD3により、配線(埋込配線)M2が形成される。配線M2は、配線開口部WT2のうちの配線溝WT2a内に埋め込まれた配線部と、配線開口部WT2のうちの孔部WT2b内に埋め込まれたビア部とを一体的に有している。また、絶縁膜IL5の開口部OP6内に埋め込まれて残存する絶縁膜IL6により、埋込絶縁膜BF3が形成される。つまり、ステップS26のCMP工程を行うと、絶縁膜IL5の配線開口部WT2に配線M2が埋め込まれ、絶縁膜IL5の開口部OP6に埋込絶縁膜BF3が埋め込まれた構造が得られる。
配線M2は、配線開口部WT2内に埋め込まれた導電膜CD3により形成されるが、導電膜CD3はバリア導体膜BR3および主導体膜MC3により形成されているため、配線M2は、側面および底面がバリア導体膜BR3により構成され、それよりも内側は主導体膜MC3により構成される。
配線M2の形成位置は、配線M2のビア部が配線M1と平面視で重なるように設計されている。このため、配線M2は、ビア部の底面が配線M1に接することで、配線M1に電気的に接続されている。このため、配線M2は、ビア部を介して配線M1に接続される。
埋込絶縁膜BF3は、埋込絶縁膜BF2上に形成され、埋込絶縁膜BF3の底面は、埋込絶縁膜BF2の上面に接している。埋込絶縁膜BF3の平面位置および平面形状は、埋込絶縁膜BF2の平面位置および平面形状とほぼ一致している。すなわち、開口部OP6は、開口部OP4と平面視で重なっており、埋込絶縁膜BF3は、埋込絶縁膜BF2と平面視で重なっている。
従って、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは、ほぼ同じ平面位置および平面形状を有しており、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは平面視で互いに重なっている。そして、埋込絶縁膜BF1上に埋込絶縁膜BF2が形成され、埋込絶縁膜BF2上に埋込絶縁膜BF3が形成され、埋込絶縁膜BF1(の上面)は埋込絶縁膜BF2(の底面)に接し、埋込絶縁膜BF2(の上面)は埋込絶縁膜BF3(の底面)に接している。
埋込絶縁膜BF3は、埋込絶縁膜BF2,BF1とともに、受光素子であるフォトダイオードPDに入射させる光の導波路として機能するものである。このため、埋込絶縁膜BF3は、フォトダイオードPDの受光素子の上方に配置されている埋込絶縁膜BF2上に形成することが好ましい。また、光学的特性としては、埋込絶縁膜BF3は、埋込絶縁膜BF3が埋め込まれている層間絶縁膜(ここでは絶縁膜IL5)に比べて、屈折率が高く、かつ、光(フォトダイオードPDに入射させる光)を透過しやすい性質(高い透光性)を有していることが好ましい。
次に、図36に示されるように、配線M2および埋込絶縁膜BF3が埋め込まれた絶縁膜IL5上に、絶縁膜(層間絶縁膜)IL7を形成する(図5のステップS27)。絶縁膜IL7は、単体膜(単体絶縁膜)または積層膜(積層絶縁膜)とすることができる。例えば、絶縁膜IL7は、酸化シリコン膜により形成することができるが、酸化シリコンよりも誘電率を低くするために、炭素(C)、窒素(N)およびフッ素(F)のうちの一種以上を含有する酸化シリコン膜とすることもできる。
次に、図37に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いることにより、絶縁膜IL7に配線開口部WT3を形成する(図5のステップS28)。配線開口部WT3は、周辺回路形成領域1Eに形成するが、画素領域1Aには形成しない。
配線開口部WT3は、配線溝WT3aと孔部WT3bとを有している。このうち、配線溝WT3aは、後述の配線M3を埋め込むための溝であり、孔部WT3bは、後述の配線M3と配線M2とを接続するためのビア部を埋め込むための孔である。配線溝WT3aは絶縁膜IL7を貫通しておらず、配線溝WT3aの底面は絶縁膜IL7の厚みの途中に位置する。孔部WT3bは、平面視で配線溝WT3aに内包されるように形成され、配線溝WT3aの底部から絶縁膜IL7を貫通するように形成される。孔部WT3bの底部では、配線M2の上面が露出される。一方、埋込絶縁膜BF3の上方には配線開口部WT3は形成されないため、埋込絶縁膜BF2は、配線開口部WT3から露出されない。すなわち、配線開口部WT3は、平面視で埋込絶縁膜BF3と重ならないように、形成される。
次に、図38に示されるように、配線M3形成用の導電膜CD4を、配線開口部WT3内を埋める(満たす)ように、絶縁膜IL7上に形成する(図5のステップS29)。すなわち、配線溝WT3aと孔部WT3bとを埋める(満たす)ように、絶縁膜IL7上に導電膜CD4を形成する。
導電膜CD4は、上記導電膜CD3と同様の構成を有している。すなわち、導電膜CD4は、上記バリア導体膜BR3と同様のバリア導体膜(バリア金属膜)BR4と、上記主導体膜MC3と同様の主導体膜MC4とからなる。ステップS29の導電膜CD4形成工程は、上記ステップS21の導電膜CD3形成工程とほぼ同様に行うことができる。このため、ステップS29の導電膜CD4形成工程は、配線開口部WT3の内部(配線溝WT3aの底部および側壁上と孔部WT3bの底部および側壁上)を含む絶縁膜IL7上にバリア導体膜BR4を形成する工程と、該工程の後、主導体膜MC4をバリア導体膜BR4上に配線開口部WT3を埋めるように形成する工程と、を有している。
次に、図39に示されるように、CMP法により導電膜CD4を研磨することにより、配線開口部WT3の外部の導電膜CD4を除去する(図5のステップS30)。このステップS30のCMP工程により、絶縁膜IL7の上面が露出され、絶縁膜IL7の配線開口部WT3内に導電膜CD4が埋め込まれて残存し、それ以外の導電膜CD4が除去される。
絶縁膜IL7の配線開口部WT3内に埋め込まれて残存する導電膜CD4により、配線(埋込配線)M3が形成される。配線M3は、配線開口部WT3のうちの配線溝WT3a内に埋め込まれた配線部と、配線開口部WT3のうちの孔部WT3b内に埋め込まれたビア部とを一体的に有している。つまり、ステップS30のCMP工程を行うと、絶縁膜IL7の配線開口部WT3に配線M3が埋め込まれた構造が得られる。
配線M3は、配線開口部WT3内に埋め込まれた導電膜CD3により形成されるが、導電膜CD4はバリア導体膜BR4および主導体膜MC4により形成されているため、配線M3は、側面および底面がバリア導体膜BR4により構成され、それよりも内側は主導体膜MC4により構成される。
配線M3は、周辺回路形成領域1Eに形成されており、配線M3の形成位置は、配線M3のビア部が配線M2と平面視で重なるように設計されている。このため、配線M3は、ビア部の底面が配線M2に接することで、配線M2に電気的に接続されている。このため、配線M3は、ビア部を介して配線M2に接続される。
次に、図40に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いることにより、画素領域1Aにおける絶縁膜IL7を除去する。この際、周辺回路形成領域1Eをフォトレジストパターン(図示せず)で覆った状態で、画素領域1Aの絶縁膜IL7をエッチングすることで、画素領域1Aの絶縁膜IL7を除去し、周辺回路形成領域1Eの絶縁膜IL7および配線M3を残存させる。実際には、画素領域1Aはアレイ状に配列しているため、アレイ状に配列された複数の画素領域1A全体にわたって絶縁膜IL7が除去される。画素領域1Aでは、絶縁膜IL7を除去するため、配線M3は予め形成していない。
次に、図41に示されるように、半導体基板SUBの主面上に、絶縁膜IL8を形成する。絶縁膜IL8は、例えば酸化シリコン膜により形成することができる。画素領域1Aでは、絶縁膜IL8は絶縁膜IL5上に形成され、周辺回路形成領域1Eでは、絶縁膜IL8は絶縁膜IL7上に形成される。
次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いることにより、絶縁膜IL8に開口部OP7を形成する。開口部OP7は、画素領域1Aには形成されず、周辺回路形成領域1Eに形成される。開口部OP7の底部では、配線M3(の上面)が露出される。
次に、開口部OP7内を含む絶縁膜IL8上に、導電膜(例えばアルミニウムを主体とする導電膜)を形成してから、この導電膜をフォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いてパターニングすることで、パッド電極PAを形成する。パッド電極PAは、画素領域1Aには形成されず、周辺回路形成領域1Eに形成される。パッド電極PAは、開口部OP7を平面的に内包しており、開口部OP7から露出する配線M3に接して電気的に接続される。
次に、図42に示されるように、絶縁膜IL8上に、パッド電極PAを覆うように、絶縁膜IL9を形成する。絶縁膜IL9は、例えば酸化シリコン膜により形成することができる。
次に、図43に示されるように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術などを用いて、絶縁膜IL9および絶縁膜IL8に、開口部OP8を形成する。開口部OP8は、画素領域1Aごとにフォトダイオード形成領域1Bに形成される。すなわち、埋込絶縁膜BF3上に開口部OP8が形成され、開口部OP8の底部で埋込絶縁膜BF3が露出される。
その後、半導体基板SUBをダイシングにより各半導体装置領域(そこから個々の半導体チップが取得される領域)に個片化して、個々の半導体装置(半導体チップ)が取得される。
このようにして製造された半導体装置においては、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、フォトダイオードPDに入射する光の導波路として機能する。すなわち、開口部OP8から入射された光は、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1を通り、更に埋込絶縁膜BF1の下に位置する部分の絶縁膜IL1および保護膜CPを通って、受光素子であるフォトダイオードPDに入射する(照射される)。フォトダイオードPDでは、照射された光を光電変換して電荷(キャリア)を発生させる。フォトダイオードPDで発生した電荷は、上述のように転送トランジスタTXによって転送される。
このため、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、受光素子であるフォトダイオードPDの上方に位置していることが好ましい。また、埋込絶縁膜BF2は埋込絶縁膜BF1上に位置していることが好ましく、埋込絶縁膜BF3は埋込絶縁膜BF2上に位置していることが好ましい。
光の導波路を設けることで、受光素子(フォトダイオードPD)への光の収集効率を向上させることができる。このため、受光素子(フォトダイオードPD)の感度を向上することができ、半導体装置の性能を向上させることができる。
また、本実施の形態の半導体装置は、固体撮像装置(固体撮像素子)とみなすこともできる。
図44は、本実施の形態の半導体装置の要部平面図であり、2×2の合計4つの画素PUが形成された領域が示されている。なお、図44では、各画素PUについて、フォトダイオードPDおよび転送トランジスタTXを示し、他のトランジスタ(上記トランジスタRST,SEL,AMI)は図示を省略している。
図44にも示されるように、半導体基板SUBの主面には複数の画素PU(画素領域1A)がアレイ状に配列し、各画素PU(画素領域1A)は受光素子であるフォトダイオードPDを含んでいる。このため、半導体基板SUBの主面には、複数のフォトダイオードPDもアレイ状に配列した状態になっている。
上記図3〜図43を参照して説明したように、フォトダイオードPDの上方(上記n型半導体領域NRの上方)に、開口部OP2,OP4,OP6,OP8および埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3が形成される。図44に示されるように、半導体基板SUBの主面には、複数のフォトダイオードPDがアレイ状に配列しているため、アレイ状に配列したそれぞれのフォトダイオードPDの上方に、開口部OP2,OP4,OP6,OP8および埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3が形成される。
また、開口部OP2,OP4,OP6,OP8および埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、平面視で、フォトダイオードPDに重なっている。但し、あるフォトダイオードPDの上方に形成されている開口部OP2,OP4,OP6,OP8および埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、他のフォトダイオードPDとは平面視で重なっていない。つまり、あるフォトダイオードPD(これを第1のダイオードとする)の上方に形成されている開口部OP2,OP4,OP6,OP8および埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、そのフォトダイオードPD(第1のダイオード)と平面視で重なっているが、それ以外のフォトダイオードPD(第1のダイオード以外のフォトダイオードPD)とは平面視で重なっていない。
上述のように、埋込絶縁膜BF1は開口部OP2に埋め込まれ、埋込絶縁膜BF2は開口部OP4に埋め込まれ、埋込絶縁膜BF3は開口部OP6に埋め込まれているため、埋込絶縁膜BF1と開口部OP2とは、平面視で一致しており、埋込絶縁膜BF2と開口部OP4とは、平面視で一致しており、埋込絶縁膜BF3と開口部OP6とは、平面視で一致している。各フォトダイオードPDの上方に形成されている開口部OP2,OP4,OP6,OP8同士は、平面視で重なっており、従って、各フォトダイオードPDの上方に形成されている埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3同士も、平面視で重なっている。
このため、開口部OP8から入射した光が、埋込絶縁膜BF3、埋込絶縁膜BF2、埋込絶縁膜BF1、絶縁膜IL1(埋込絶縁膜BF1の下の絶縁膜IL1)および保護膜CPを通って、フォトダイオードPDに入射できるようになっている。
また、各フォトダイオードPDの上方に形成されている埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3同士は、平面視でほぼ一致するような位置および平面形状を有していることが好ましい。これにより、埋込絶縁膜BF3、埋込絶縁膜BF2および埋込絶縁膜BF1を通ってフォトダイオードPDにより効率的に光を入射することができるようになる。このため、開口部OP2,OP4,OP6同士は、平面視でほぼ一致するような位置および平面形状を有していることが好ましい。
<第1検討例について>
次に、本発明者が検討した第1検討例について説明する。図45〜図48は、第1検討例の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。なお、図45〜図48には、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の断面図が示されている。
第1検討例の製造工程では、上記図14の構造を得るまで(すなわち上記ステップS5で導電膜CD1を形成するまで)は、本実施の形態の製造工程とほぼ同様である。それから、第1検討例の製造工程では、本実施の形態とは異なり、上記ステップS6〜S9を行うことなく、導電膜CD1をCMP法により研磨することにより、コンタクトホールCTの外部の導電膜CD1を除去して、図45に示されるように、コンタクトホールCT内にプラグPG101を形成する。このため、第1検討例の製造工程では、上記開口部OP2および上記埋込絶縁膜BF1に相当するものは形成されない。
それから、プラグPG101が埋め込まれた絶縁膜IL1上に絶縁膜IL103を形成し、この絶縁膜IL103に配線溝WT101を形成する。絶縁膜IL103および配線溝WT101は、それぞれ上記絶縁膜IL3および配線溝WT1に相当するものである。それから、この配線溝WT101内を埋めるように上記導電膜CD2に相当する導電膜を絶縁膜IL103上に形成してから、上記ステップS14〜S17を行うことなく、その導電膜をCMP法により研磨して配線溝WT101の外部の導電膜を除去することで、図45に示されるように、配線溝WT101内に配線M101を形成する。配線M101は上記配線M1に相当するものである。このため、第1検討例の製造工程では、上記開口部OP4および上記埋込絶縁膜BF2に相当するものは形成されない。
それから、配線M101が埋め込まれた絶縁膜IL103上に絶縁膜IL105を形成し、この絶縁膜IL105に配線開口部WT102を形成する。絶縁膜IL105および配線開口部WT102は、それぞれ上記絶縁膜IL5および配線開口部WT2に相当するものである。それから、この配線開口部WT102内を埋めるように上記導電膜CD3に相当する導電膜を絶縁膜IL105上に形成してから、上記ステップS22〜S25を行うことなく、その導電膜をCMP法により研磨して配線開口部WT102の外部の導電膜を除去することで、図45に示されるように、配線開口部WT102内に配線M102を形成する。配線M102は上記配線M2に相当するものである。このため、第1検討例の製造工程では、上記開口部OP6および上記埋込絶縁膜BF3に相当するものは形成されない。
このようにして、図45の構造が得られるが、この段階では、フォトダイオードPDの上方において、上記開口部OP2,OP4,OP6および上記埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3に相当するものは形成されていない。
それから、図46に示されるように、絶縁膜IL105上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜IL105,IL103,IL1をドライエッチングすることにより、絶縁膜IL105,IL103,IL1に開口部OP101を形成する。開口部OP101は絶縁膜IL105および絶縁膜IL103を貫通しているが、絶縁膜IL1は、その厚みの途中までエッチングされて開口部OP101の底部では、絶縁膜IL1の一部が残存している。
それから、図47に示されるように、配線開口部WT102内を埋めるように絶縁膜IL106を絶縁膜IL105上に形成する。絶縁膜IL106は、窒化シリコン膜からなり、CVD法などにより形成することができる。
それから、図48に示されるように、絶縁膜IL106をCMP法により研磨することにより、開口部OP101の外部の絶縁膜IL106を除去して、開口部OP101内に埋込絶縁膜BF101を形成する。埋込絶縁膜BF101は、絶縁膜IL105,IL103,IL1の開口部OP101内に埋め込まれて残存する絶縁膜IL106からなる。この図48の段階が、上記図35の段階に相当し、埋込絶縁膜BF101は、上記埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3を合わせたものに相当している。上記図36以降の工程(すなわち上記ステップS27以降の工程)が行われて、第1検討例の半導体装置が製造される。
埋込絶縁膜BF101は、上記埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3と同様に、フォトダイオードPDに入射する光の導波路として機能するものである。このため、埋込絶縁膜BF101は、絶縁膜IL105,IL103,IL1よりも屈折率および透光性が高く、好ましくは窒化シリコンにより形成されている。
しかしながら、第1検討例の製造工程では、絶縁膜IL105,IL103,IL1にわたって形成された開口部OP101に絶縁膜IL106を形成してから、この絶縁膜IL106をCMP処理することで埋込絶縁膜BF101を形成している。開口部OP101は、絶縁膜IL105,IL103,IL1にわたって形成されているため、深さが深く、深さが深い分、開口部OP101のアスペクト比(深さを幅で割った値)が大きくなってしまう。このため、絶縁膜IL106を形成する際に、図47に示されるように、開口部OP101内を絶縁膜IL106で完全には埋め込むことができずに、開口部OP101を埋める絶縁膜IL106中にボイド(空隙)VD101が発生する虞がある。
また、このようなボイドVD101の発生は、絶縁膜IL106の成膜法によらず生じ得るが、絶縁膜IL106をCVD法で成膜する場合に特に生じやすい。
開口部OP101を埋める絶縁膜IL106中にボイドVD101が発生することは、図48に示されるように、埋込絶縁膜BF101中にボイドVD101が存在することにつながる。埋込絶縁膜BF101中にボイドVD101が存在すると、そのボイドVD101が、埋込絶縁膜BF101を光が通過(透過)するのを妨げるように作用する。すなわち、埋込絶縁膜BF101中にボイドVD101が有るか無いかで、その埋込絶縁膜BF101の透光性が変わってしまう。このため、フォトダイオードPDへの光の入射量が、ボイドVD101の有無により変動してしまう。このため、埋込絶縁膜BF101中にボイドVD101が存在すると、受光素子(ここではフォトダイオードPD)を有する半導体装置の性能が低下したり、あるいは、製造歩留まりが低下することにつながってしまう。このため、埋込絶縁膜BF101中にボイドVD101が発生するのをできるだけ抑制または防止することが望まれる。
開口部OP101のアスペクト比が大きくなるほど、開口部OP101を埋める絶縁膜IL106中にボイドVD101が発生しやすくなるため、ボイドVD101の発生を防止するには、開口部OP101のアスペクト比を小さくすることが有効である。しかしながら、開口部OP101の幅は、フォトダイオードPDの面積に応じて設定されており、開口部OP101の幅をフォトダイオードPDの面積に比べて小さくしすぎると、フォトダイオードPDに入射する光の量が少なくなるため、各画素の感度が低下してしまう。
また、開口部OP101の深さは、絶縁膜IL105,IL103,IL1の厚さに応じて設定されている。絶縁膜IL105,IL103の各厚さを薄くすることは、配線M101,M102の厚さを薄くすることにつながるため、配線M101,M102の抵抗の増大を招き、また、絶縁膜IL1の厚さを薄くしすぎることは、半導体装置の信頼性上、好ましくない。このため、絶縁膜IL105,IL103,IL1にわたって形成された開口部OP101のアスペクト比を小さくするのは、制限が多い。
このため、受光素子(ここではフォトダイオードPD)に入射する光の導波路として機能する埋込絶縁膜中にボイドが形成されないようにして、受光素子(ここではフォトダイオードPD)を有する半導体装置の性能を向上させることが望まれる。また、受光素子(ここではフォトダイオードPD)を有する半導体装置の製造歩留まりを向上させることが望まれる。
<本実施の形態の主要な特徴と効果について>
本実施の形態の製造工程では、受光素子(ここではフォトダイオードPD)に入射する光の導波路を、複数層の埋込絶縁膜(ここでは埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3)を積み重ねることで形成し、各埋込絶縁膜は、導電性プラグまたは埋込配線を形成する際に、そのプラグまたは埋込配線と一緒に形成することを主要な特徴の一つとしている。
具体的には、プラグPGを形成する際に一緒に埋込絶縁膜BF1も形成し、配線M1を形成する際に一緒に埋込絶縁膜BF2も形成し、配線M2を形成する際に一緒に埋込絶縁膜BF3も形成している。このため、埋込絶縁膜BF1を埋め込むための開口部OP2の深さと、埋込絶縁膜BF2を埋め込むための開口部OP4の深さと、埋込絶縁膜BF3を埋め込むための開口部OP6の深さとを、それぞれ浅く(上記開口部OP101の深さよりも浅く)することができる。これにより、開口部OP2のアスペクト比を小さく(上記開口部OP101のアスペクト比よりも小さく)することができ、開口部OP4のアスペクト比を小さく(上記開口部OP101のアスペクト比よりも小さく)することができ、開口部OP6のアスペクト比を小さく(上記開口部OP101のアスペクト比よりも小さく)することができる。アスペクト比が小さくなるほど、その開口部を絶縁膜で埋める際に、その絶縁膜中にボイドが形成されにくくなる。
このため、開口部を埋込絶縁膜形成用の絶縁膜で埋める際に、その絶縁膜中にボイドが発生するのを抑制または防止でき、それによって、埋込絶縁膜中にボイドが生じるのを抑制または防止できる。具体的には、開口部OP2を埋込絶縁膜BF1形成用の絶縁膜IL2で埋める際に、その絶縁膜IL2中にボイドが発生するのを抑制または防止できる。また、開口部OP4を埋込絶縁膜BF2形成用の絶縁膜IL4で埋める際に、その絶縁膜IL4中にボイドが発生するのを抑制または防止できる。また、開口部OP6を埋込絶縁膜BF3形成用の絶縁膜IL6で埋める際に、その絶縁膜IL6中にボイドが発生するのを抑制または防止することができる。従って、埋込絶縁膜BF1中にボイドが生じるのを抑制または防止でき、また、埋込絶縁膜BF2中にボイドが生じるのを抑制または防止することができ、また、埋込絶縁膜BF3中にボイドが生じるのを抑制または防止することができる。
このように、本実施の形態では、各埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)を、プラグ(PG)または配線(M1,M2)を形成する際に一緒に形成しているが、具体的には次のような手法を採用している。
すなわち、上記ステップS3〜S10により、プラグPGと埋込絶縁膜BF1とが形成され、上記ステップS11〜S18により、配線M1と埋込絶縁膜BF2とが形成され、上記ステップS19〜S26により、配線M1と埋込絶縁膜BF2とが形成される。上記ステップS3〜S10の一連の工程と、上記ステップS11〜S18の一連の工程と、上記ステップS19〜S26の一連の工程とは、基本的には共通の流れ(フロー)であり、次の工程P1〜P7として集約して示すことができる。
工程P1:層間絶縁膜IL21を形成する工程。
工程P2:層間絶縁膜IL21に開口部OP21を形成する工程。
工程P3:開口部OP21を埋めるように、層間絶縁膜IL21上に金属膜CD21を形成する工程。
工程P4:金属膜CD21に開口部OP22を形成する工程。
工程P5:開口部OP22から露出する層間絶縁膜IL21をエッチングして、層間絶縁膜IL21に開口部OP23を形成する工程。
工程P6:開口部OP23および開口部OP22を埋めるように、金属膜CD21上に絶縁膜IL22を形成する工程。
工程P7:絶縁膜IL22および金属膜CD21を研磨することにより、開口部OP21の外部の金属膜CD21と開口部OP23の外部の絶縁膜IL22とを除去し、開口部OP21内に金属膜CD21を残し、開口部OP23内に絶縁膜IL22を残す工程。
ここで、工程P1は上記ステップS3,S11,S19に対応するものであり、工程P1で形成する層間絶縁膜IL21は、ステップS3の場合は絶縁膜IL1に対応し、ステップS11の場合は絶縁膜IL3に対応し、ステップS19の場合は絶縁膜IL5に対応する。このため、層間絶縁膜IL21自体は、図示されていない。
また、工程P2は上記ステップS4,S12,S20に対応するものであり、工程P2で形成する開口部OP21は、ステップS4の場合はコンタクトホールCTに対応し、ステップS12の場合は配線溝WT1に対応し、ステップS20の場合は配線開口部WT2に対応する。このため、開口部OP21自体は、図示されていない。
また、工程P3は上記ステップS5,S13,S21に対応するものであり、工程P3で形成する金属膜CD21は、ステップS5の場合は導電膜CD1に対応し、ステップS13の場合は導電膜CD2に対応し、ステップS21の場合は導電膜CD3に対応する。このため、金属膜CD21自体は、図示されていない。
また、工程P4は上記ステップS7,S15,S23に対応するものであり、工程P4で形成する開口部OP22は、ステップS7の場合は開口部OP1bに対応し、ステップS15の場合は開口部OP3bに対応し、ステップS23の場合は開口部OP5bに対応する。このため、開口部OP22自体は、図示されていない。
また、工程P5は上記ステップS8,S16,S24に対応するものであり、工程P5で形成する開口部OP23は、ステップS8の場合は開口部OP2に対応し、ステップS16の場合は開口部OP4に対応し、ステップS24の場合は開口部OP6に対応する。このため、開口部OP23自体は、図示されていない。
また、工程P6は上記ステップS9,S17,S25に対応するものであり、工程P6で形成する絶縁膜IL22は、ステップS9の場合は絶縁膜IL2に対応し、ステップS17の場合は絶縁膜IL4に対応し、ステップS25の場合は絶縁膜IL6に対応する。このため、絶縁膜IL22自体は、図示されていない。
また、工程P7は上記ステップS10,S18,S26に対応するものである。工程P7では、開口部OP21内に金属膜CD21を残し、開口部OP23内に絶縁膜IL22を残すが、工程P7がステップS10の場合は、開口部OP21内に残存する金属膜CD21によりプラグPGが形成され、開口部OP23内に残存する絶縁膜IL22により埋込絶縁膜BF1が形成される。また、工程P7がステップS18の場合は、開口部OP21内に残存する金属膜CD21により配線M1が形成され、開口部OP23内に残存する絶縁膜IL22により埋込絶縁膜BF2が形成される。また、工程P7がステップS26の場合は、開口部OP21内に残存する金属膜CD21により配線M2が形成され、開口部OP23内に残存する絶縁膜IL22により埋込絶縁膜BF3が形成される。
本実施の形態では、工程P1〜P7を行うことにより、プラグ(PG)または配線(M1,M2)を形成する際に、一緒に埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)を形成することができる。そして、この工程P1〜P7を1サイクルとして、これを複数サイクル(すなわち2サイクル以上)行うことにより、受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方において、複数層の埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)を積み上げる(積み重ねる)ことができる。これにより、上記図45〜図48の第1検討例のように一度に埋込絶縁膜BF101を形成する場合に比べて、個々の埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)の厚さを薄くすることができる。このため、埋込絶縁膜形成用の絶縁膜(IL2,IL4,IL6)の形成時にボイドが生じるのを抑制または防止でき、従って、埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)中にボイドが発生するのを抑制または防止することができる。
なお、本実施の形態では、工程P1〜P7を1サイクルとして、これを3サイクル行うことにより、受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方において、3層の埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3を積み上げている。これにより、3層の埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3を合わせたものを一度に形成する場合(上記図45〜図48の第1検討例に対応)に比べて、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3中にボイドが形成されにくくなる。
他の形態として、工程P1〜P7を1サイクルとして、これを2サイクル行うことにより、受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方において、2層の埋込絶縁膜を積み上げることもでき、また、更に他の形態として、4サイクル以上行うことにより、受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方において、4層以上の埋込絶縁膜を積み上げることもできる。
工程P1〜P7を1サイクルとして、これを2サイクル行う場合は、上記ステップS3〜S10を行ってプラグPGと埋込絶縁膜BF1とを形成してから、上記ステップS11〜S18を行って配線M1と埋込絶縁膜BF2とを形成することができ、それによって、受光素子(フォトダイオードPD)の上方において、2層の埋込絶縁膜BF1,BF2を積み上げることができる。この場合も、2層の埋込絶縁膜BF1,BF2を合わせたものを一度に形成する場合に比べて、埋込絶縁膜BF1,BF2中にボイドが形成されにくくなる。
また、工程P1〜P7を1サイクルとして、これを2サイクル行う場合は、上記ステップS11〜S18を行って配線M1と埋込絶縁膜BF2とを形成してから、上記ステップS19〜S26を行って配線M2と埋込絶縁膜BF3とを形成することができ、それによって、受光素子(フォトダイオードPD)の上方において、2層の埋込絶縁膜BF2,BF3を積み上げることができる。この場合も、2層の埋込絶縁膜BF2,BF3を合わせたものを一度に形成する場合に比べて、埋込絶縁膜BF2,BF3中にボイドが形成されにくくなる。
また、工程P1〜P7を1サイクルとして、これを4サイクル行う場合は、上記ステップS3〜S10を行い、上記ステップS11〜S18を行い、上記ステップS19〜S26を行った後に、更に工程P1〜P7をもう1サイクル行えばよい。
また、工程P7で開口部OP23内に埋め込まれた絶縁膜IL22(埋込絶縁膜)は、受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方に位置し、工程P1〜P7を複数サイクル行ったときの埋込絶縁膜(工程P7で開口部OP23内に埋め込まれた絶縁膜IL22)同士は、下層側の埋込絶縁膜上にそれよりも上層の埋込絶縁膜が位置するようにする。具体的には、埋込絶縁膜BF1は受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方に位置し、埋込絶縁膜BF2は埋込絶縁膜BF1上に位置し、埋込絶縁膜BF3は埋込絶縁膜BF2上に位置するようにする。こうすることで、受光素子(フォトダイオードPD)の上方に、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3の積層構造が配置されることになる。これにより、受光素子(フォトダイオードPD)の上方に積み重ねられた埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)を通して、受光素子(フォトダイオードPD)に光を入射することができる。
また、工程P4では、開口部OP22は受光素子(ここではフォトダイオードPD)の上方に形成することが好ましい。これにより、工程P5で、開口部OP23も受光素子の上方に形成されることになり、従って、工程P7で開口部OP23内に残存する絶縁膜IL22(埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3)も受光素子の上方に形成されることになる。
また、工程P7で開口部OP23内に埋め込まれた絶縁膜IL22(埋込絶縁膜)、より特定的には埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3は、受光素子(ここではフォトダイオードPD)に入射する光の導波路として機能する。このため、光導波路として的確に作用できるようにする必要がある。
このため、工程P6で形成する絶縁膜IL22の屈折率は、工程P1で形成する層間絶縁膜IL21の屈折率よりも高いことが好ましい。具体的には、ステップS9で形成する絶縁膜IL2の屈折率は、ステップS3で形成する絶縁膜IL1の屈折率よりも高く、ステップS17で形成する絶縁膜IL4の屈折率は、ステップS11で形成する絶縁膜IL3の屈折率よりも高く、ステップS25で形成する絶縁膜IL6の屈折率は、ステップS19で形成する絶縁膜IL5の屈折率よりも高いことが好ましい。つまり、埋込絶縁膜BF1の屈折率は、絶縁膜IL1の屈折率よりも高く、埋込絶縁膜BF2の屈折率は、絶縁膜IL3の屈折率よりも高く、埋込絶縁膜BF3の屈折率は、絶縁膜IL5の屈折率よりも高いことが好ましい。
絶縁膜IL5の開口部OP6に埋め込まれた埋込絶縁膜BF3の屈折率が絶縁膜IL5の屈折率よりも高いことにより、埋込絶縁膜BF3に入射された光が、開口部OP6の側壁を構成する絶縁膜IL5の側面に当たると、その絶縁膜IL5の側面で反射される。また、絶縁膜IL3の開口部OP4に埋め込まれた埋込絶縁膜BF2の屈折率が絶縁膜IL3の屈折率よりも高いことにより、埋込絶縁膜BF2に入射された光が、開口部OP4の側壁を構成する絶縁膜IL3の側面に当たると、その絶縁膜IL3の側面で反射される。また、絶縁膜IL1の開口部OP2に埋め込まれた埋込絶縁膜BF1の屈折率が絶縁膜IL1の屈折率よりも高いことにより、埋込絶縁膜BF1に入射された光が、開口部OP2の側壁を構成する絶縁膜IL2の側面に当たると、その絶縁膜IL2の側面で反射される。このため、埋込絶縁膜BF3に入射した光は、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1を通り、受光素子(フォトダイオードPD)に効率的に入射されるようになる。つまり、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1と絶縁膜IL5,IL3,IL1との屈折率の関係を上述のようにすることで、埋込絶縁膜BF3に入射された光は、開口部OP6,OP4,OP2の側壁を構成する絶縁膜IL5,IL3,IL1の側面に向かったとしても、そこで反射して埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1内を通過でき、受光素子に的確に入射させることができる。このため、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。これは、受光素子の感度の向上につながり、半導体装置の性能を向上させることができる。
なお、屈折率や透光性を言うときは、受光素子(ここではフォトダイオードPD)に入射させる光(受光素子で光電変換させる光)についての屈折率や透光性を指す。例えば、可視光を受光素子(ここではフォトダイオードPD)に入射させる(受光素子で光電変換させる)場合であれば、ある特定の波長域にて(一般的には0.4μm〜1.1μm)、基準値以下の光の屈折率や透光性が必要とされる。
また、工程P6で形成する絶縁膜IL22の透光性は、工程P1で形成する層間絶縁膜IL21の透光性よりも高いことが好ましい。具体的には、ステップS9で形成する絶縁膜IL2の透光性は、ステップS3で形成する絶縁膜IL1の透光性よりも高く、ステップS17で形成する絶縁膜IL4の透光性は、ステップS11で形成する絶縁膜IL3の透光性よりも高く、ステップS25で形成する絶縁膜IL6の透光性は、ステップS19で形成する絶縁膜IL5の透光性よりも高いことが好ましい。つまり、埋込絶縁膜BF1の透光性は、埋込絶縁膜BF1が埋め込まれている絶縁膜IL1の透光性よりも高く、埋込絶縁膜BF2の透光性は、埋込絶縁膜BF2が埋め込まれている絶縁膜IL3の透光性よりも高く、埋込絶縁膜BF3の透光性は、埋込絶縁膜BF3が埋め込まれている絶縁膜IL5の透光性よりも高いことが好ましい。これにより、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1を通過する際の光の減衰(吸収)を抑制することができる。このため、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。これは、受光素子の感度の向上につながり、半導体装置の性能を向上させることができる。
なお、上述したように、2つの膜の透光性の高低を比べる場合、その2つの膜の厚みが同じと仮定した場合に光の透過率が高い方を、透光性が高いと判断することができる。すなわち、光が2つの膜中を同じ距離だけ通過したときに(2つの膜への入射光の強度は同じとする)、光強度の減衰が小さい方の膜が、透光性が高いと言うことができる。このため、例えば、絶縁膜IL22の透光性が層間絶縁膜IL21の透光性よりも高いと言う場合は、絶縁膜IL22の厚さを層間絶縁膜IL21の厚さと同じにしたと仮定した場合に、その絶縁膜IL22の光の透過率が層間絶縁膜IL21の光の透過率よりも高くなることを意味する。また、埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)の透光性が、その埋込絶縁膜が埋め込まれている層間絶縁膜(IL1,IL3,IL5)の透光性よりも高いと言う場合は、その埋込絶縁膜の厚さを層間絶縁膜の厚さと同じにしたと仮定した場合に、その埋込絶縁膜の光の透過率が層間絶縁膜の光の透過率よりも高くなることを意味する。
なお、埋込絶縁膜BF2は、絶縁膜IL3を貫通する開口部OP4に埋め込まれているため、埋込絶縁膜BF2の厚さは、絶縁膜IL3の厚さと概ね同じである。また、埋込絶縁膜BF3は、絶縁膜IL5を貫通する開口部OP6に埋め込まれているため、埋込絶縁膜BF3の厚さは、絶縁膜IL5の厚さと概ね同じである。このため、好ましくは、埋込絶縁膜BF2の光の透過率は、絶縁膜IL3の光の透過率よりも高く、また、埋込絶縁膜BF3の光の透過率は、絶縁膜IL5の光の透過率よりも高い。
ここで、ある膜に光を入射したときの入射光の強度をI0、透過光の強度をIとすると、次式
I=I0×exp(−α×z) ・・・(1)
が成り立つ。ここで、式(1)中のαは吸収係数であり、zは経路長(ここでは光を透過させた膜の厚さに対応)である。
透過光の強度Iを入射光の強度I0で割った値(すなわちI/I0)を百分率表示したものが、透過率に対応している。
吸収係数αは、次式
α=4πk/λ ・・・(2)
で表される。ここで、式(2)中のkは消衰係数(減衰係数)であり、λは光の波長である。
これらの式からも分かるように、消衰係数kが小さいほど、透光性が高いことになる。つまり、透光性が高いことは、消衰係数kが小さいことに対応している。このため、絶縁膜IL2,IL4,IL6や埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3と絶縁膜IL5,IL3,IL1との透光性の上述の関係を、消衰係数kで表現すると、次のようになる。
すなわち、工程P6で形成する絶縁膜IL22の消衰係数kは、工程P1で形成する層間絶縁膜IL21の消衰係数kよりも小さい(低い)ことが好ましい。具体的には、絶縁膜IL2の消衰係数kは、絶縁膜IL1の消衰係数kよりも小さく(低く)、絶縁膜IL4の消衰係数kは、絶縁膜IL3の消衰係数kよりも小さく(低く)、絶縁膜IL6の消衰係数kは、絶縁膜IL5の消衰係数kよりも小さい(低い)ことが好ましい。つまり、埋込絶縁膜BF1の消衰係数kは、絶縁膜IL1の消衰係数kよりも小さく(低く)、埋込絶縁膜BF2の消衰係数kは、絶縁膜IL3の消衰係数kよりも小さく(低く)、埋込絶縁膜BF3の消衰係数kは、絶縁膜IL5の消衰係数kよりも小さい(低い)ことが好ましい。これにより、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1を通過する際の光の減衰(吸収)を抑制することができ、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。これは、受光素子の感度の向上につながり、半導体装置の性能を向上させることができる。
また、埋込絶縁膜BF2(の底面)は、埋込絶縁膜BF1(の上面)に接することが好ましい。また、埋込絶縁膜BF3(の底面)は、埋込絶縁膜BF2(の上面)に接することが好ましい。これにより、積み重ねられた埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1により光の導波路を的確に形成できるようになる。つまり、埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1の間に他の膜が介在しなくなるため、積み重ねられた埋込絶縁膜BF3,BF2,BF1中を光が的確に通過(透過)することができるようになる。このため、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。
また、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2とは、同じ絶縁材料からなることが好ましい。また、埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは、同じ絶縁材料からなることが好ましい。つまり、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは、同じ絶縁材料からなることが好ましい。これにより、埋込絶縁膜BF3と埋込絶縁膜BF2との間に異なる材料層による界面が形成されず、また、埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF1との間に異なる材料層による界面が形成されなくなる。このため、埋込絶縁膜BF3と埋込絶縁膜BF2との間の界面や、埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF1との間の界面で、光の反射が生じるのを防止しやすくなる。従って、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。これを実現するため、絶縁膜IL2と絶縁膜IL4と絶縁膜IL6とは、同じ絶縁材料からなることが好ましい。
また、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは、屈折率が同じであることが好ましい。これにより、埋込絶縁膜BF3と埋込絶縁膜BF2との間の界面や、埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF1との間の界面で、光の反射が生じるのを防止することができる。従って、受光素子(フォトダイオードPD)への入射光の強度を確保しやすくなる。
また、埋込絶縁膜BF1と埋込絶縁膜BF2と埋込絶縁膜BF3とは、窒化シリコン(窒化シリコン膜)からなることが好ましい。すなわち、絶縁膜IL2と絶縁膜IL4と絶縁膜IL6とは、それぞれ窒化シリコン膜からなることが好ましい。窒化シリコン膜は、酸化シリコン系の絶縁膜に比べて、屈折率や透光性を高くしやすい。また、窒化シリコン膜は、膜質や組成を制御することで、屈折率や透光性を制御しやすい。このため、絶縁膜IL2,IL4,IL6にそれぞれ窒化シリコン膜を用いることで、窒化シリコンで構成される埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3の屈折率や透光性を高くし、また、屈折率や透光性を所望の値に制御しやすくなる。このため、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3が光の導波路としての機能を、より的確に発揮できるようになる。
また、絶縁膜IL2,IL4,IL6を、それぞれ窒化シリコン膜とする場合、その窒化シリコン膜はCVD法で形成することが好ましい。CVD法では、例えば、シランとアンモニアとを含む成膜用ガスを用いて窒化シリコン膜を成膜することができる。この際、シランガスとアンモニアガスとの流量を制御することなどにより、窒化シリコン膜の組成比(Si(シリコン)とN(窒素)との組成比)を制御することができ、それによって、その窒化シリコン膜の屈折率や透光性を制御することができる。
また、工程P6で絶縁膜IL22を形成する手法(すなわちステップS9,S17,S25で絶縁膜IL2,IL4,IL6を形成する手法)としては、塗布法やCVD法が考えられる。塗布法とCVD法とを比べた場合、上記図45〜図48の第1検討例で説明したようなボイドVD101は、CVD法の方が発生しやすい。しかしながら、本実施の形態では、上述のように、複数層の埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3を積み重ねることで光の導波路を形成することで、埋込絶縁膜中にボイドが生じるのを抑制または防止できる。このため、工程P6で絶縁膜IL22を形成する際に(すなわちステップS9,S17,S25で絶縁膜IL2,IL4,IL6を形成する際に)たとえCVD法を用いたとしても、埋込絶縁膜(BF1,BF2,BF3)中にボイドが生じるのを抑制または防止できる。このため、本実施の形態は、工程P6で絶縁膜IL22を形成する際に(すなわちステップS9,S17,S25で絶縁膜IL2,IL4,IL6を形成する際に)にCVD法を用いる場合に適用すれば、その効果は極めて大きい。
また、工程P6で絶縁膜IL22を形成する手法(すなわちステップS9,S17,S25で絶縁膜IL2,IL4,IL6を形成する手法)として、塗布法を用いた場合よりも、CVD法を用いた場合の方が、絶縁膜IL22(絶縁膜IL2,IL4,IL6)の膜質を制御しやすく、光の導波路に相応しい特性(屈折率や透光性)に調整しやすくなる。このため、工程P6で絶縁膜IL22を形成する手法(すなわちステップS9,S17,S25で絶縁膜IL2,IL4,IL6を形成する手法)としては、CVD法を用いることが、より好ましい。
また、酸化シリコン系の絶縁膜は、層間絶縁膜として好適である。このため、工程P1で形成する層間絶縁膜IL21(すなわちステップS3,S11,S19で形成する絶縁膜IL1,IL3,IL5)は、酸化シリコン系の絶縁膜を含むことが好ましい。ここで、酸化シリコン系の絶縁膜とは、シリコン(Si)と酸素(O)とを主体とする絶縁膜であるが、シリコン(Si)と酸素(O)以外にフッ素(F)、炭素(C)または窒素(N)のうちの一種以上を含むこともできる。工程P1で形成する層間絶縁膜IL21(すなわちステップS3,S11,S19で形成する絶縁膜IL1,IL3,IL5)が酸化シリコン系の絶縁膜を含む場合、工程P7で形成される埋込絶縁膜(すなわちステップS10,S18,S26で形成される埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3)を窒化シリコン膜とすることで、この埋込絶縁膜を光の導波路として的確に機能させることができる。
また、本実施の形態では、上記フォトレジストパターンRP1,RP2,RP3を形成するための各露光工程で使用するフォトマスクとして、共通のフォトマスク(同じフォトマスク)を用いることができる。すなわち、ステップS6で上記フォトレジストパターンRP1を形成する際の露光工程と、ステップS14で上記フォトレジストパターンRP2を形成する際の露光工程と、ステップS22で上記フォトレジストパターンRP3を形成する際の露光工程とで、共通の(同じ)フォトマスクを用いることができる。このため、複数層の埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3を積み重ねるのに、フォトマスクを増加させずに済む。これにより、半導体装置の製造コストを低減することができる。
また、上記図45〜図48の第1検討例の製造工程では、開口部OP101の深さが深いため、開口部OP101形成のために絶縁膜IL105,IL103,IL1をエッチングする際に、エッチング量(エッチング深さ)が多くなる。エッチング量(エッチング深さ)が大きくなるほど、エッチング量(エッチング深さ)のばらつき(変動)は大きくなる。このため、第1検討例における開口部OP101を形成するエッチング工程では、エッチング量(エッチング深さ)のばらつき(変動)が大きくなり、開口部OP101の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さが、半導体ウエハ間でばらつく(変動する)虞がある。開口部OP101の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さは、受光素子(フォトダイオードPD)に入射する光の強度に影響を与えるため、これがばらつく(変動する)と、受光素子の感度のばらつき(変動)につながってしまう。これは、半導体装置の性能や信頼性を低下させる虞がある。また、半導体装置の製造歩留まりを低下させる虞がある。このため、開口部OP101の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さがばらつく(変動する)ことは、できるだけ抑制することが望まれる。
それに対して、本実施の形態では、ステップS8で絶縁膜IL1をエッチングして開口部OP2を形成するため、この開口部OP2の深さは、上記開口部OP101の深さよりも浅くなる。このため、開口部OP2を形成するために絶縁膜IL1をエッチングする際のエッチング量(エッチング深さ)は、上記開口部OP101を形成するために絶縁膜IL105,IL103,IL1をエッチングする際のエッチング量(エッチング深さ)よりも小さくなる。エッチング量(エッチング深さ)が小さくなるほど、エッチング量(エッチング深さ)のばらつき(変動)は小さくなるため、本実施の形態では、開口部OP2を形成するエッチング工程において、エッチング量(エッチング深さ)のばらつき(変動)を小さくすることができる。このため、本実施の形態では、開口部OP2の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さがばらつく(変動する)のを、抑制または防止することができる。これにより、半導体装置の性能や信頼性を向上させることができる。また、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
開口部OP2の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さがばらつく(変動する)のを、更に抑制できる手法として、次の変形例を適用することもできる。
<変形例について>
図49〜図52は、本実施の形態の変形例の製造工程中の要部断面図である。
まず、上記ステップS8(開口部OP2形成工程)までの工程を行って上記図17と同様の図49の構造を得る。それから、開口部OP2の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さT1を測定する。この厚さT1は、例えば光学的に測定することができる。
厚さT1の測定の結果、この厚さT1が許容範囲内と判断された場合(例えば厚さT1が所定の厚さ(予め設定していた基準厚さ)T2以上の場合)は、上記ステップS9(絶縁膜IL2形成工程)に移行して、上記図18の構造を得る。以降は、上記ステップS10とそれ以降の工程を上述の通り行えばよい。
一方、厚さT1の測定の結果、この厚さT1が薄すぎると判断された場合(例えば厚さT1が上記厚さT2未満であった場合)は、厚さT1の測定後、ステップS9(絶縁膜IL2形成工程)を行う前に、図50に示されるように、絶縁膜IL1aを形成する工程を追加する。
すなわち、図50に示されるように、開口部OP2の底面および側壁(側面)上と開口部OP1bの側壁(側面)上とを含む導電膜CD1上に、絶縁膜IL1aを形成する。この絶縁膜IL1aは、絶縁膜IL1と同じ絶縁材料により形成することが好ましく、特に、開口部OP2の底面で露出する部分の絶縁膜IL1と同じ絶縁材料により形成することが好ましい。このため、絶縁膜IL1を酸化シリコン膜により形成した場合は、絶縁膜IL1aも酸化シリコン膜により形成する。
厚さT1の測定の結果、この厚さT1が薄すぎると判断された場合は、開口部OP2の深さが深すぎた(絶縁膜IL1がエッチングされ過ぎた)ことを意味する。このため、開口部OP2の底部でエッチングされ過ぎた絶縁膜IL1を補うために、絶縁膜IL1aを形成する。なお、絶縁膜IL1aを形成しても、開口部OP2内は絶縁膜IL1aでは完全には満たされず、絶縁膜IL1aは、開口部OP2の底面の絶縁膜IL1上および開口部OP2の側壁の絶縁膜IL1上に厚さT3で形成された状態となる。
絶縁膜IL1aは、厚さ(形成膜厚)T3で形成する。測定された厚さT1にこの厚さT3を加えた値が、開口部OP2の底部で残存する層間絶縁膜の厚さとして相応しい値になるように、絶縁膜IL1aの厚さT3を設定すればよい。
例えば、絶縁膜IL1aの厚さT3は、測定された厚さT1と上記厚さT2の差に設定することができる(すなわちT3=T2−T1)。これにより、開口部OP2の底部において、絶縁膜IL1と絶縁膜IL1aとの合計の厚さは、T1+T3となるが、これは、上記厚さT2にほぼ等しいものとなる。すなわち、開口部OP2の底部において、絶縁膜IL1と絶縁膜IL1aとの積層膜が、上記厚さT2にほぼ等しい厚さで形成された状態となる。
絶縁膜IL1aの形成工程の後、上記ステップS9(絶縁膜IL2形成工程)に移行して、図51に示されるように、絶縁膜IL1の開口部OP2と導電膜CD1の開口部OP1bとを埋める(満たす)ように、絶縁膜IL2を導電膜CD1上に形成する。その後、ステップS10のCMP工程を行って、図52の構造を得る。すなわち、図52に示されるように、CMP法により絶縁膜IL2,IL1aおよび導電膜CD1を研磨することにより、開口部OP2の外部の絶縁膜IL2,IL1aと、コンタクトホールCTの外部の導電膜CD1とを除去する。このステップS10のCMP工程により、絶縁膜IL1の上面が露出され、絶縁膜IL1のコンタクトホールCT内に導電膜CD1が埋め込まれて残存してプラグPGとなり、絶縁膜IL1の開口部OP2内に絶縁膜IL2,IL1aが埋め込まれて残存し、それ以外の導電膜CD1および絶縁膜IL2,IL1aが除去される。
開口部OP2内に残存する絶縁膜IL2により埋込絶縁膜BF1が形成されるが、絶縁膜IL1a形成工程を行っていた場合は、この埋込絶縁膜BF1は、絶縁膜IL1の開口部OP2内に絶縁膜IL1aを介して埋め込まれた状態となる。絶縁膜IL1aは、絶縁膜IL1と同じ絶縁膜材料により形成されているため、絶縁膜IL1の一部として機能することができる。以降は、上記ステップS11とそれ以降の工程を上述の通り行えばよい。
このような変形例によれば、ステップS8で開口部OP2を形成した後に、開口部OP2の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さT1を測定する工程を行い、この測定で厚さT1が薄すぎると判断された場合は、絶縁膜IL1aを形成する工程を追加することで開口部OP2の底部での絶縁膜IL1の厚さを絶縁膜IL1aで補ってから、次のステップS10に移行する。これにより、開口部OP2の底面の下に残存する層間絶縁膜の厚さがばらつく(変動する)のを、的確に抑制または防止することができる。また、半導体ウエハ間で、開口部OP2の底面の下に残存する層間絶縁膜の厚さがばらつく(変動する)のを、的確に抑制または防止することができる。
また、更に他の変形例として、厚さT1の測定の結果、この厚さT1が厚すぎると判断された場合は、厚さT1の測定後、ステップS9(絶縁膜IL2形成工程)を行う前に、開口部OP2の底部の絶縁膜IL1を更にエッチングすることにより、開口部OP2の底面の下に残存する絶縁膜IL1の厚さT1を薄くする工程を追加することもできる。
なお、本実施の形態では、固体撮像装置としてCMOSイメージセンサに適用した場合について説明したが、受光素子を有する他の半導体装置、例えばCCDイメージセンサなどに適用することもできる。これは、以下の実施の形態2についても、同様である。
(実施の形態2)
本実施の形態2は、上記実施の形態1における上記ステップS10,S18,S26のCMP工程に関連して、更なる工夫を施した場合に対応している。
図53〜図56は、上記実施の形態1の上記ステップS18のCMP工程の説明図である。なお、図53〜図56には、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の要部断面図が示されている。
ステップS18では、上述したように、CMP法により絶縁膜IL4および導電膜CD2を研磨することにより、開口部OP4の外部の絶縁膜IL4と、配線溝WT1の外部の導電膜CD2とを除去する。このCMP工程は、導電膜CD2(の上面)が露出するまでは、絶縁膜IL4のみが研磨され、導電膜CD2(の上面)が露出されてからは、導電膜CD2と絶縁膜IL4の両方が研磨される。
すなわち、ステップS18のCMP工程の前に、ステップS17で、図53に示されるように、絶縁膜IL4を、絶縁膜IL3の開口部OP4と導電膜CD2の開口部OP3bとを埋める(満たす)ように、導電膜CD2上に形成する。この図53は、上記図26の段階に対応している。それから、ステップS18のCMP工程を行うが、このCMP工程では、まず、図54に示されるように、導電膜CD2(の上面)が露出するまで、絶縁膜IL4を研磨(CMP処理)する。導電膜CD2(の上面)が露出した後、更に、図55に示されるように、絶縁膜IL3(の上面)が露出するまで、導電膜CD2と絶縁膜IL4とを研磨(CMP処理)する。この2段階のCMP処理により、開口部OP4の外部の絶縁膜IL4と配線溝WT1の外部の導電膜CD2とを除去し、絶縁膜IL3の配線溝WT1内に導電膜CD2を残して配線M1とし、絶縁膜IL3の開口部OP4内に絶縁膜IL4を残して埋込絶縁膜BF2とすることができる。この図55は、上記図27の段階に対応している。
しかしながら、導電膜CD2のCMP処理と絶縁膜IL4のCMP処理との両方に適したスラリ(CMP用の研磨液)を選択するのは容易ではない。このため、ステップS18のCMP処理において、途中でスラリ(CMP用の研磨液)を変えることが考えられる。
すなわち、導電膜CD2(の上面)が露出するまで(図53の構造から図54の構造になるまで)は、絶縁膜IL4のみを研磨すればよいため、絶縁膜IL4に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行う。そして、導電膜CD2(の上面)が露出した後(図54の構造になった後)は、導電膜CD2と絶縁膜IL4との両方を研磨するが、絶縁膜IL4に比べて導電膜CD2の方が面積が大きい(従って研磨量が多い)ため、導電膜CD2に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行う。つまり、図53から図54までは、絶縁膜IL4に適したスラリを用いてCMP処理を行い、図54から図55までは、導電膜CD2に適したスラリを用いてCMP処理を行うことになる。また、絶縁膜IL3上に導電膜CD2の研磨残りが生じた場合は、この研磨残りが導電性を有しているため、ショートまたはリークの原因となる虞がある。この観点でも、ステップS18のCMP工程で導電膜CD2を研磨している段階では、導電膜CD2に適したスラリを用いることが好ましい。
しかしながら、このようにスラリを使い分けた場合、ステップS18のCMP処理を終了した段階で、図56に示されるように、絶縁膜IL3の上面や配線M1の上面に比べて、埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がってしまう。このときの埋込絶縁膜BF2の上面は、ディッシングとは逆の状態であり、絶縁膜BF2の上面の中央側が外周部側よりも高くなった(盛り上がった)状態になっている。
これは、導電膜CD2(の上面)が露出した後(図54の構造になった後)に、導電膜CD2に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行うと、導電膜CD2の研磨速度に比べて絶縁膜IL4の研磨速度が小さく(遅く)なり、導電膜CD2が研磨されて絶縁膜IL3が露出した段階になっても、絶縁膜IL4の研磨があまり進行していないためである。
図56に示されるように、絶縁膜IL3の上面や配線M1の上面に比べて埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がった場合には、その後の製造工程が行いにくくなるため、埋込絶縁膜BF2のそのような盛り上がりは、できるだけ抑制することが望ましい。
例えば、埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がっていると、その上に形成する絶縁膜IL5にも、埋込絶縁膜BF2の盛り上がりを反映した凹凸が生じてしまい、配線M2や埋込絶縁膜BF3などが形成しにくくなる。
そこで、本実施の形態2では、図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がってしまう現象を抑制できるいくつかの手法(第1〜第3の手法)について説明する。
<第1の手法>
まず、第1の手法について、図57〜図59を参照して説明する。図57〜図59は、第1の手法の説明図である。上記図53〜図56と同様、図57〜図59も、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の要部断面図が示されている。
まず、ステップS18のCMP工程の前に、ステップS17で、図57に示されるように、絶縁膜IL4を、絶縁膜IL3の開口部OP4と導電膜CD2の開口部OP3bとを埋める(満たす)ように、導電膜CD2上に形成する。この図57は、上記図26の段階に対応している。
第1の手法では、ステップS18のCMP工程において、まず、第1CMP処理として、絶縁膜IL4に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行う。この第1CMP処理では、絶縁膜IL4に適したスラリを用いるため、導電膜CD2の研磨速度よりも絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。特に、導電膜CD2の主導体膜MC2の研磨速度よりも、絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。このため、第1CMP処理に要する時間を短縮することができる。図58は、第1CMP処理を終了した段階が示されている。第1CMP処理は、導電膜CD2(の上面)が露出するまで行うが、第1の手法の場合、導電膜CD2(の上面)が露出した後も第1CMP処理を継続して開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4にディッシングが生じるようにする。すなわち、第1CMP処理では、導電膜CD2(の上面)が露出しかつ開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4にディッシングが生じるまで、絶縁膜IL4を研磨する。つまり、第1CMP処理において、導電膜CD2が露出した後も絶縁膜IL4を過剰に研磨することで、開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4に、わざとディッシングを生じさせるのである。
ディッシングの程度は、第1CMP処理で用いるスラリの組成や、第1CMP処理をどの程度過剰に行うか(導電膜CD2が露出した後にどの程度第1CMP処理を継続するか)などにより、制御することができる。
ここで、開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4にディッシングが生じていることは、開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4の上面に皿状の凹部(窪み)が生じていることに対応している。すなわち、開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4の上面において、外周部よりも中央部が窪んだ(低くなった)状態になる。
第1CMP処理の後、研磨用のスラリを導電膜CD2に適したスラリ(CMP用の研磨液)に変えて、ステップS18のCMP工程における第2CMP処理を行う。この第2CMP処理では、導電膜CD2に適したスラリを用いるため、絶縁膜IL4の研磨速度よりも導電膜CD2の研磨速度が速くなる。特に、絶縁膜IL4の研磨速度よりも、導電膜CD2の主導体膜MC2の研磨速度が速くなる。このため、第2CMP処理に要する時間を短縮することができる。図59は、第2CMP処理を終了した段階(すなわちステップS18のCMP工程が終了した段階)が示されている。第2CMP処理は、絶縁膜IL3(の上面)が露出するまで行う。第1CMP処理を終了した段階では、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に導電膜CD2が層状に残存していたが、第2CMP処理を行うことにより、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上から導電膜CD2を除去し、配線溝WT1内に導電膜CD2を残して配線M1を形成することができる。そして、第2CMP処理後に開口部OP4内に残存する絶縁膜IL4により、埋込絶縁膜BF2が形成される。以降の工程は、上記実施の形態1で説明した通りである。
第2CMP処理では、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくいため、上記図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がることが懸念される。しかしながら、第1の手法では、第2CMP処理を始める段階で、開口部OP3b,OP4内の絶縁膜IL4にディッシングを生じさせており、このディッシングが生じている分、第2CMP処理後の埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを、抑制または防止することができる。つまり、第1CMP処理により絶縁膜IL4にわざとディッシングを生じさせ、このディッシングで、埋込絶縁膜BF2の上面の凸状の盛り上がりを相殺させることで、埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを抑制または防止することができる。従って、以降の製造工程を行いやすくなり、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、第1の手法の変形例として、第2CMP処理を、導電膜CD2の主導体膜MC2のCMP処理とその後のバリア導体膜BR2のCMP処理とに分けることもでき、その場合、主導体膜MC2のCMP処理とバリア導体膜BR2のCMP処理とで研磨用のスラリを変えることもできる。
<第2の手法>
次に、第2の手法について、図60〜図65を参照して説明する。図60〜図65は、第2の手法の説明図である。上記図53〜図59と同様、図60〜図65も、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の要部断面図が示されている。
図60は、上記図22の段階に対応している。まず、上記ステップS13(導電膜CD2形成工程)までの工程を行って、上記図22に対応する図60の構造を得る。
それから、第2の手法では、図61に示されるように、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行う。すなわち、上記ステップS13(導電膜CD2形成工程)の後で、かつ、上記ステップS14(フォトレジストパターンRP2形成工程)の前に、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を追加する。具体的には、導電膜CD2の主導体膜MC2をCMP法で研磨することにより、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上での導電膜CD2の厚みを薄くする。図60に示されるように、ステップS13で導電膜CD2を形成した段階では、導電膜CD2は厚さT4を有していたが、その後、導電膜CD2の主導体膜MC2をCMP法で研磨することにより、導電膜CD2は、厚さT4よりも薄い厚さT5を有するものとなる(T5<T4)。ここで、厚さT4,T5は、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上での導電膜CD2の厚さである。
それから、上記ステップS14(フォトレジストパターンRP2形成工程)、上記ステップS15(導電膜CD2エッチング工程)、および上記ステップS16(絶縁膜IL3エッチング工程)を上記実施の形態1と同様に行うことで、図62に示されるように、導電膜CD2に開口部OP3bを形成し、絶縁膜IL3に開口部OP4を形成する。それから、上記ステップS17(絶縁膜IL4形成工程)を上記実施の形態1と同様に行うことで、図63に示されるように、絶縁膜IL4を、絶縁膜IL3の開口部OP4と導電膜CD2の開口部OP3bとを埋めるように、導電膜CD2上に形成する。
それから、ステップS18のCMP工程を行う。
ステップS18のCMP工程において、まず、第1CMP処理として、絶縁膜IL4に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行う。この第1CMP処理では、絶縁膜IL4に適したスラリを用いるため、導電膜CD2の研磨速度よりも絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。特に、導電膜CD2の主導体膜MC2の研磨速度よりも、絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。このため、第1CMP処理に要する時間を短縮することができる。図64は、第1CMP処理を終了した段階が示されている。第1CMP処理は、導電膜CD2(の上面)が露出するまで行う。
第1CMP処理の後、研磨用のスラリを導電膜CD2に適したスラリ(CMP用の研磨液)に変えて、ステップS18のCMP工程における第2CMP処理を行う。この第2CMP処理では、導電膜CD2に適したスラリを用いるため、絶縁膜IL4の研磨速度よりも導電膜CD2の研磨速度が速くなる。特に、絶縁膜IL4の研磨速度よりも、導電膜CD2の主導体膜MC2の研磨速度が速くなる。このため、第2CMP処理に要する時間を短縮することができる。図65は、第2CMP処理を終了した段階(すなわちステップS18のCMP工程が終了した段階)が示されている。第2CMP処理は、絶縁膜IL3(の上面)が露出するまで行う。第1CMP処理を終了した段階では、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に導電膜CD2が層状に残存していたが、第2CMP処理を行うことにより、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上から導電膜CD2を除去し、配線溝WT1内に導電膜CD2を残して配線M1を形成することができる。そして、第2CMP処理後に開口部OP4内に残存する絶縁膜IL4により、埋込絶縁膜BF2が形成される。以降の工程は、上記実施の形態1で説明した通りである。
第2CMP処理では、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくいため、上記図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がることが懸念される。しかしながら、第2の手法では、ステップS13で配線溝WT1を埋めるように導電膜CD2を形成した後に、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行っている。このため、ステップS18のCMP処理を始める段階で、絶縁膜IL3上での導電膜CD2の厚みが、既に薄くなっている(厚さT4よりも薄い厚さT5になっている)。従って、第2CMP処理における導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)を少なく(薄く)することができる。すなわち、導電膜CD2の形成後に導電膜CD2を薄くする工程を行わなかった場合は、第2CMP処理では厚さT4の分だけ導電膜CD2を研磨する必要があるが、導電膜CD2の形成後に導電膜CD2を薄くする工程を行った場合は、第2CMP処理では厚さT4よりも薄い厚さT5の分だけ導電膜CD2を研磨すればよい。
上記図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がる現象は、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくいことに起因して発生する現象であり、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくい第2CMP処理において導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)が大きい(厚い)ほど、より顕著に発生する現象である。このため、第2の手法では、導電膜CD2の形成後に導電膜CD2を薄くする工程を行っていることで、第2CMP処理での導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)を少なく(薄く)することができる分、第2CMP処理後の埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを、抑制または防止することができる。
つまり、ステップS13では、配線溝WT1を確実に埋め込むことができるだけの厚さT4を有した導電膜CD2を形成するが、その後に導電膜CD2の主導体膜MC2をCMP法で研磨して導電膜CD2の厚みを薄くすることで、ステップS18のCMP工程における導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)を少なく(薄く)する。これにより、埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを抑制または防止することができる。従って、以降の製造工程を行いやすくなり、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、第2の手法の変形例として、第2CMP処理を、導電膜CD2の主導体膜MC2のCMP処理とその後のバリア導体膜BR2のCMP処理とに分けることもでき、その場合、主導体膜MC2のCMP処理とバリア導体膜BR2のCMP処理とで研磨用のスラリを変えることもできる。
<第3の手法>
次に、第3の手法について、図66〜図71を参照して説明する。図66〜図71は、第3の手法の説明図である。上記図53〜図65と同様、図66〜図71も、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の要部断面図が示されている。
図66は、上記図22の段階に対応している。まず、上記ステップS13(導電膜CD2形成工程)までの工程を行って、上記図22に対応する図66の構造を得る。
それから、第3の手法では、図67に示されるように、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行う。すなわち、上記ステップS13(導電膜CD2形成工程)の後で、かつ、上記ステップS14(フォトレジストパターンRP2形成工程)の前に、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を追加する。しかしながら、この導電膜CD2の厚みを薄くする工程については、上記第2の手法と第3の手法とで、一部相違している。
すなわち、上記第2の手法の場合は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程においては、導電膜CD2の主導体膜MC2をCMP法で研磨することにより、導電膜CD2の厚みを薄くする。このため、第2の手法の場合は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行っても、上記図61に示されるように、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上において、バリア導体膜BR2だけでなく、主導体膜MC2も層状に残存する(すなわちバリア導体膜BR2上に主導体膜MC2が層状に残存する)。つまり、第2の手法の場合の導電膜CD2の厚みを薄くする工程では、バリア導体膜BR2が露出する前に導電膜CD2の主導体膜MC2の研磨を終了する。このため、第2の手法の場合は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行うと、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上において、導電膜CD2の主導体膜MC2は、CMP処理により研磨されて厚みが薄くなるが、厚み全部が除去される訳ではなく、バリア導体膜BR2(の上面)は露出されない。
それに対して、第3の手法の場合は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程においては、導電膜CD2の主導体膜MC2をCMP法で研磨することにより、図67に示されるように、バリア導体膜BR2を露出させる。つまり、第3の手法の場合の導電膜CD2の厚みを薄くする工程では、バリア導体膜BR2が露出した段階で、導電膜CD2の研磨を終了させる。この際、バリア導体膜BR2をCMP処理のストッパ膜として機能させることができる。つまり、バリア膜BR2(の上面)が露出した後で、かつ絶縁膜IL3(の上面)が露出する前に、導電膜CD2の研磨を終了させ、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3が露出しないようにする。
このため、第3の手法の場合は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行うと、図67に示されるように、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上においては、バリア導体膜BR2だけが層状に残存し、主導体膜MC2は全厚みが除去されることで残存していない状態になる。つまり、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上において、バリア導体膜BR2の上面が露出された状態になり、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上における導電膜CD2の厚みは、バリア導体膜BR2だけの厚みになる。
導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行った後、上記ステップS14(フォトレジストパターンRP2形成工程)、上記ステップS15(導電膜CD2エッチング工程)、および上記ステップS16(絶縁膜IL3エッチング工程)を上記実施の形態1とほぼ同様に行うことで、図68に示されるように、導電膜CD2に開口部OP3bを形成し、絶縁膜IL3に開口部OP4を形成する。但し、導電膜CD2の厚みを薄くする工程で配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上の導電膜CD2のうち、主導体膜MC2は全厚みを除去していたため、上記ステップS15(導電膜CD2エッチング工程)では、導電膜CD2のバリア導体膜BR2をエッチングしてバリア導体膜BR2に開口部OP3bを形成することになる。
それから、上記ステップS17(絶縁膜IL4形成工程)を上記実施の形態1とほぼ同様に行うことで、図69に示されるように、絶縁膜IL4を、絶縁膜IL3の開口部OP4と導電膜CD2の開口部OP3bとを埋めるように、導電膜CD2上に形成する。
それから、ステップS18のCMP工程を行う。
ステップS18のCMP工程において、まず、第1CMP処理として、絶縁膜IL4に適したスラリ(CMP用の研磨液)を用いてCMP処理を行う。この第1CMP処理では、絶縁膜IL4に適したスラリを用いるため、導電膜CD2の研磨速度よりも絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。この場合、導電膜CD2の主導体膜MC2およびバリア導体膜BR2の研磨速度よりも、絶縁膜IL4の研磨速度が速くなる。このため、第1CMP処理に要する時間を短縮することができる。図70は、第1CMP処理を終了した段階が示されている。第1CMP処理は、導電膜CD2(の上面)が露出するまで行う。第1CMP処理を終了した段階では、図70に示されるように、配線溝WT1内では導電膜CD2のうちの主導体膜MC2が主として露出し、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上ではバリア導体膜BR2が露出し、開口部OP3b,OP4内では絶縁膜IL4が露出した状態になる。
第1CMP処理の後、研磨用のスラリを導電膜CD2に適したスラリ(CMP用の研磨液)に変えて、ステップS18のCMP工程における第2CMP処理を行う。この第2CMP処理では、導電膜CD2に適したスラリ(より特定的にはバリア膜BR2に適したスラリ)を用いるため、絶縁膜IL4の研磨速度よりも導電膜CD2の研磨速度が速くなる。特に、絶縁膜IL4の研磨速度よりも、導電膜CD2のバリア導体膜BR2の研磨速度が速くなる。このため、第2CMP処理に要する時間を短縮することができる。図71は、第2CMP処理を終了した段階(すなわちステップS18のCMP工程が終了した段階)が示されている。第2CMP処理は、絶縁膜IL3(の上面)が露出するまで行う。第1CMP処理を終了した段階では、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に導電膜CD2のバリア導体膜BR2が層状に残存していたが、第2CMP処理を行うことにより、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上から導電膜CD2(のバリア導体膜BR2)を除去し、配線溝WT1内に導電膜CD2を残して配線M1を形成することができる。そして、第2CMP処理後に開口部OP4内に残存する絶縁膜IL4により、埋込絶縁膜BF2が形成される。以降の工程は、上記実施の形態1で説明した通りである。
第2CMP処理では、導電膜CD2(特にバリア導体膜BR2)に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくいため、上記図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がることが懸念される。しかしながら、第3の手法では、ステップS13で配線溝WT1を埋めるように導電膜CD2を形成した後に、導電膜CD2の厚みを薄くする工程を行っている。このため、ステップS18のCMP処理を始める段階で、絶縁膜IL3上での導電膜CD2の厚みが、既に薄くなっている(バリア導体膜BR2の厚さとなっている)。従って、第2CMP処理における導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)を少なく(薄く)することができ、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上から、バリア導体膜BR2を除去できるだけの研磨量ですむ。
上記図56のように埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がる現象は、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくいことに起因して発生する現象であり、導電膜CD2に比べて絶縁膜IL4が研磨されにくい第2CMP処理において導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)が大きい(厚い)ほど、より顕著に発生する現象である。このため、第3の手法では、導電膜CD2の形成後に導電膜CD2を薄くする工程を行っていることで、第2CMP処理での導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)を少なく(薄く)することができる分、第2CMP処理後の埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを、抑制または防止することができる。従って、以降の製造工程を行いやすくなり、半導体装置の製造歩留まりを向上させることができる。
また、上記第2の手法と第3の手法とを比べた場合、第2CMP処理での導電膜CD2の研磨量(研磨厚さ)は第3の手法の方が少ない(薄い)。このため、第2CMP処理後の埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを抑制または防止できる効果は、第3の手法の方が有利である。
一方、上記第2の手法では、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に残存する主導体膜MC2を第2CMP処理で研磨して除去することに伴い、配線溝WT1内の主導体膜MC2の上部も、第2CMP処理である程度の厚さの分だけ研磨して除去される。このため、配線溝WT1内の主導体膜MC2の上面が第1CMP処理によりダメージを受けたとしても、このダメージを受けた部分は、第2CMP処理で十分に除去されるため、配線M1の上面は、第1CMP処理でダメージを受けていない主導体膜MC2の表面により構成することができる。このため、配線M1の信頼性を、より向上させることができる。この観点では、第2CMP処理における主導体膜MC2の研磨量が大きな第2の手法の方が、第3の手法よりも有利である。
また、第2の手法および第3の手法は、上記第1の手法に比べて、制御がしやすい。一方、第2の手法および第3の手法に比べて、上記第1の手法は、導電膜CD2の厚みを薄くする工程が不要なので、製造工程数を抑制することができる。
また、上記第1の手法、上記第2の手法および第3の手法では、埋込絶縁膜BF2の上面が凸状に盛り上がるのを防止する手法について説明したが、これらの手法は、埋込絶縁膜BF1や埋込絶縁膜BF3にも適用することができる。すなわち、埋込絶縁膜BF1,BF2,BF3のうちの1つ以上に適用することができる。
上記第1〜3の手法は、埋込絶縁膜BF3に適用する場合も、埋込絶縁膜BF2に適用する場合と基本的には同じである。但し、上記第1〜3の手法について上述した説明は、導電膜CD2が導電膜CD3となり、バリア導体膜BR2がバリア導体膜BR3となり、主導体膜MC2が主導体膜MC3となり、絶縁膜IL4が絶縁膜IL6となり、絶縁膜IL3が絶縁膜IL5となり、配線M1が配線M2となり、埋込絶縁膜BF2が埋込絶縁膜BF3となる。また、開口部OP3bが開口部OP5bとなり、開口部OP4が開口部OP6となり、配線溝WT1が配線開口部WT2となる。
また、上記第1〜3の手法は、埋込絶縁膜BF1に適用する場合も、埋込絶縁膜BF2に適用する場合と基本的には同じである。但し、上記第1〜3の手法について上述した説明は、導電膜CD2が導電膜CD1となり、バリア導体膜BR2がバリア導体膜BR1となり、主導体膜MC2が主導体膜MC1となり、絶縁膜IL4が絶縁膜IL2となり、絶縁膜IL3が絶縁膜IL1となり、配線M1がプラグPGとなり、埋込絶縁膜BF2が埋込絶縁膜BF1となる。また、開口部OP3bが開口部OP1bとなり、開口部OP4が開口部OP2となり、配線溝WT1がコンタクトホールCTとなる。
また、第2の手法は、第1の手法と組み合わせることもできる。また、第3の手法は、第1の手法と組み合わせることもできる。
また、図56のように埋込絶縁膜の上面が凸状に盛り上がってしまう現象は、銅配線と一緒に埋込絶縁膜を形成する場合に特に生じやすい。このため、埋込銅配線である配線M1や配線M2と一緒に形成する埋込絶縁膜BF2や埋込絶縁膜BF3に上記第1〜3の手法を適用すれば、その効果は特に大きい。
<第2検討例について>
次に、本発明者が検討した第2検討例について、図72〜図76を参照して説明し、あわせて、上記第2の手法および第3の手法の有用性について更に説明する。図72〜図76は、第2検討例の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。上記図53〜図71と同様、図72〜図76も、上記フォトダイオード形成領域1Bおよび転送トランジスタ形成領域1Cに相当する領域の断面図が示されている。
図72は、上記図22の段階に対応している。まず、上記ステップS13(導電膜CD2形成工程)までの工程を行って、上記図22に対応する図72の構造を得る。
それから、第2検討例では、図73に示されるように、CMP法により導電膜CD2を研磨することにより、配線溝WT1の外部の導電膜CD2を除去する。この際、絶縁膜IL3の上面が露出されるまで、導電膜CD2を研磨し、絶縁膜IL3の配線溝WT1内に残存する導電膜CD2により配線M201を形成し、それ以外の導電膜CD2は除去する。
上記第2の手法、上記第3の手法、および第2検討例のいずれにおいても、導電膜CD2の形成後にこの導電膜CD2をCMP処理する点は共通である。しかしながら、上記第2の手法および上記第3の手法では、導電膜CD2のCMP処理後に、上記図61や図67に示されるように、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に導電膜CD2が層状に残存していた(第2の手法ではバリア導体膜BR2と主導体膜MC2の積層膜が残存し、第3の手法ではバリア導体膜BR2のみが残存していた)。それに対して、第2検討例では、導電膜CD2のCMP処理後に、上記図73に示されるように、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に導電膜CD2は残存させない。このため、図73の時点(導電膜CD2のCMP処理を終了した時点)で、配線溝WT1に埋め込まれた配線M201は、ほぼ完成している。
次に、図74に示されるように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて、絶縁膜IL3に開口部OP104を形成する。この開口部OP104は、上記開口部OP4に相当するものであり、上記開口部OP4とほぼ同じ位置にほぼ同じ平面形状で形成される。
次に、図75に示されるように、絶縁膜IL104を、絶縁膜IL3の開口部OP104を埋める(満たす)ように、絶縁膜IL3および配線M201上に形成する。この絶縁膜IL104は、上記絶縁膜IL4に相当するものである。
次に、図76に示されるように、CMP法により絶縁膜IL104を研磨することにより、開口部OP104の外部の絶縁膜IL104を除去し、開口部OP104内に絶縁膜IL104を残して埋込絶縁膜BF102を形成する。埋込絶縁膜BF102は、上記埋込絶縁膜BF2に相当するものである。
このような第2検討例の製造工程では、図73の導電膜CD2のCMP工程により配線M201を形成し、図76の絶縁膜IL104のCMP工程により、埋込絶縁膜BF102を形成している。しかしながら、このような第2検討例の場合、図76の絶縁膜IL104のCMP工程において、配線M201の上面にダメージが入る虞がある。
すなわち、図76の絶縁膜IL104のCMP工程を行う直前の段階で、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上には導電膜CD2が存在せず、配線溝WT1内に埋め込まれた配線M201はほぼ完成した状態となっている。このため、図76の絶縁膜IL104のCMP工程では、絶縁膜IL104をCMP処理して研磨すればよい。しかしながら、図76の絶縁膜IL104のCMP工程では、絶縁膜IL3(の上面)が露出するまで絶縁膜IL104のCMP処理を継続し、しかも、絶縁膜IL104に適したスラリを用いていることになるため、配線M201の上面にダメージが入りやすい。配線M201にダメージが入ると、配線M1の信頼性の低下につながり、ひいては、半導体装置の信頼性の低下につながる虞がある。
それに対して、上記第2の手法および第3の手法では、ステップS13で、配線溝WT1を埋め込むことができるだけの厚みを有した導電膜CD2を形成してから、その後に導電膜CD2をCMP法で研磨するが、この際、第2検討例とは異なり、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上に、導電膜CD2の一部が層状に残存するようにしている。つまり、上記第2の手法および第3の手法では、導電膜CD2の形成後に、導電膜CD2を薄くする工程を行うのであり、配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上で導電膜CD2の厚みをゼロにする(すなわち導電膜CD2が存在しなくなる)のではない。
このため、配線M1が完成するのは、ステップS18のCMP工程であり、しかも、第2CMP処理である。すなわち、ステップS18のCMP工程では、第1CMP処理で絶縁膜IL4を研磨し、導電膜CD2は第2CMP処理で研磨される。このため、絶縁膜IL4を研磨するための第1CMP処理で導電膜CD2の上面にダメージが入ったとしても、その後の第2CMP処理で導電膜CD2を研磨するため、ダメージが入った部分は第2CMP処理で除去される。そして、配線M1の上面は、絶縁膜IL4を研磨するための第1CMP処理ではなく、導電膜CD2を研磨するための第2CMP処理により形成された研磨表面で構成されることになる。このため、配線M1の上面にダメージが入るのを防止しやすい。これにより、配線M1の信頼性を向上させることができ、ひいては、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
また、上記第1の手法や、上記実施の形態1においても、同様の理由により、配線M1の上面にダメージが入るのを防止しやすい。このため、配線M1の信頼性を向上させることができ、ひいては、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
つまり、第2検討例における図73の段階での配線M201の上面のダメージは、ステップS18のCMP工程を終了した段階での配線M1の上面のダメージとほぼ同程度と考えられるが、第2検討例では、図76の絶縁膜IL4のCMP工程が配線M201の上面にも加わるため、その分、図76の段階での配線M201の上面のダメージは大きくなってしまう。このため、本実施の形態2および上記実施の形態1では、配線M1と埋込絶縁膜BF2とを形成するのに、配線M1を略完成させてから埋込絶縁膜BF2を形成するのではなく、ステップS18のCMP工程で配線M1と埋込絶縁膜BF2との両方を形成する。しかも、このステップS18のCMP工程の直前の段階で、開口部OP4および配線溝WT1の外部の絶縁膜IL3上には、下層側に配線M1用の導電膜CD2があり、上層側に埋込絶縁膜BF2用の絶縁膜IL4が存在している。このため、ステップS18のCMP工程では、絶縁膜IL上において、先に絶縁膜IL4の研磨が行われ、その後に導電膜CD2の研磨が行われることになる。このため、導電膜CD2を研磨するためのCMP処理による研磨面で、配線M1の上面が形成され、配線M1の上面のダメージを抑制または防止することができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。