JP6086130B2 - レーザー印字用多層積層フィルム及びそれよりなる印字体 - Google Patents

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本発明は、レーザーにより印字できるレーザー印字用多層積層フィルム及びそれよりなる印字体に関する。
従来より、YAGレーザーまたはYVO4レーザー等を照射することによりフィルム上
へ印字することが知られている。そして、これらのレーザーにより印字できるレーザー印字用多層積層フィルムとしては、レーザー照射により変色する特殊インキを中間層(発色層)として使用するフィルムが知られている(特許文献1)。そしてこのような特殊インキは非常に高価であるため、基材上の印字したい部分のみに、該特殊インキ層を予め設けることが行われている。しかしながら、その場においても位置合わせが難しく、印字位置を容易に変更することもできない。また、印字線が細く、読み取り難いという欠点がある。
また、通常のインキも、YAGまたはYVO4レーザーの照射により若干変色する。し
たがって、このような通常インキを中間層(発色層)として使用することも知られている(特許文献2)。しかしながら、この方法においては強力なレーザー光の照射によって中間層を気化させて、基材を破断することなく変形させることにより印字部を形成するものである。すなわち、十分な視認性を得るために、レーザー照射部分の中間層が、その深さ方向(フィルムの一方の表面から他方の表面に向かう方向)の全厚さにわたって、全て蒸散するまでレーザー出力を高める必要がある。したがって、強力なレーザー光の照射によって、ベースとなるフィルムに穴があくなどの問題がある。また、強力なレーザー光を照射する必要があることから印字スピードが遅いという問題がある。
特開2007−55110号公報 特開2007−217048号公報
本発明は、上記の問題点を解決して、安価な材料からなり、製造が容易であり、印字位置の変更が容易であり、且つ、ベースとなるフィルムにダメージを与えない程度の低出力のレーザーを照射することにより、太くて読み取り易い印字線が得られる、レーザー印字用多層積層フィルム、及びそれを用いた印字体を提供することを目的とする。
本発明者らは、種々研究の結果、視認側となる基材層と印刷層との間のラミネート強度を、印刷層とシーラント層の間のラミネート強度より小さくすることによって、基材層と印刷層との間にのみ、視認側から入力した低出力のレーザー照射により容易に空隙を形成することができ、この空隙の表面に、炭化したインキ組成物が広がり拡散することにより、線の太い鮮明なレーザー印字画像が形成できることを初めて見出した。
すなわち、少なくとも、基材層、印刷層、及びシーラント層からなるレーザー印字用多層積層フィルムであって、該基材層は、樹脂フィルムからなる層であり、該印刷層は、金属酸化物及びバインダー樹脂を含むインキ組成物からなる層であり、該基材層と該印刷層との間のラミネート強度は0.1〜0.4N/15mmであり、該印刷層と該シーラント層
との間のラミネート強度は1N/15mm以上であることを特徴とする、上記レーザー印字用多層積層フィルムが、上記の目的を達成することを見出したものである。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.少なくとも、基材層、印刷層、及びシーラント層からなるレーザー印字用多層積層フィルムであって、該基材層は、樹脂フィルムからなる層であり、該印刷層は、金属酸化物及びバインダー樹脂を含むインキ組成物からなる層であり、該基材層と該印刷層との間のラミネート強度は0.1〜0.4N/15mmであり、該印刷層と該シーラント層との間のラミネート強度は1N/15mm以上であることを特徴とする、上記レーザー印字用多層積層フィルム。
2.前記インキ組成物が、金属酸化物70〜90質量部及びバインダー樹脂10〜30質量部を溶剤希釈した樹脂組成物であることを特徴とする、上記1.に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
3.前記インキ組成物中の金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする、上記1.または2.に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
4.前記印刷層のインキ組成物の塗布量が、乾燥後の塗布量として1.5〜3.5g/m2
であることを特徴とする、上記1.〜3.のいずれかに記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
5.前記印刷層が、少なくとも2層からなることを特徴とする、上記1.〜4.のいずれかに記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
6.前記基材層を形成する樹脂フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルムであり、前記印刷層を形成するインキ組成物中のバインダー樹脂が、ウレタン樹脂であり、前記シーラント層を形成する熱可塑性樹脂がポリプロピレン樹脂であることを特徴とする、上記1.〜5.のいずれかに記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
7.上記1.〜6.のいずれかに記載のレーザー印字用多層積層フィルムに、YAGまたはYVO4レーザー光を基材層側から照射することにより、前記基材層と前記印刷層との
間に空隙を形成し、炭化したインキ組成物が前記基材及び前記印刷層の表面に広がり、レーザー印字画像を有することを特徴とする、印字体。
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムは、レーザー印字のための特殊インキを用いる必要がない。例えば、包装フィルムの印刷時の下地として普通に用いられる白色インキを、本発明において印刷層を形成するためのインキ組成物として用いることができる。したがって、安価な材料から製造することができ、また、フィルム製造工程において、レーザー印字のためのさらなる層を設ける必要がない。
また、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムに、YAGまたはYVO4レーザーを
、基材層側から照射することにより、印刷層を形成するインキ組成物がガス化する。次いで、このガスは、特定のラミネート強度で積層されている基材層と印刷層との境界に蓄積し、ここに空隙を形成する。これにより、レーザー照射によって炭化したインキ組成物が、基材と印刷層との境界に広がるため弱い出力で、すなわち、印刷層を全層厚にわたって全て蒸散させるまでレーザー出力を高める必要なしに、基材層側からの視認性に優れたレーザー印字画像を鮮明に形成することができる。
さらに、本発明の印字体は、レーザー印字画像が、そのフィルム表面ではなく、内部、すなわち基材層と印刷層との間に施される。したがって、この画像は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、その改ざんを効果的に防止することができる。
これらの利点から、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムは、食料品等の包装材料
として好適に用いられ、賞味期限、製造日、製造番号、検査結果等の情報をレーザー印字画像として記録することができる。
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明のレーザー印字用多層積層フィルムの層構成について、その一例を示す概略的断面図である。 本発明の印字体の層構成について、その一例を示す概略的断面図である。
本発明について以下に詳しく説明する。
<I>本発明のレーザー印字用多層積層フィルム及び印字体の層構成
図1は、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムの層構成についてその一例を示す概略的断面図である。
図1に示されるように、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムは、基材層1、印刷層2及びシーラント層3からなる構成を基本とする。
別の態様においては図2に示されるように、印刷層2は、それぞれ同じかまたは異なるインキ組成物からなる印刷層を、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。
また、印刷層とシーラント層とのラミネート強度を調整するために、必要に応じて、いずれかの表面に、積層前に所望の表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
またさらに、印刷層とシーラント層との間に、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層等を設けてもよい。
図3に示されるように、本発明の印字体は、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムに、YAGまたはYVO4レーザーを基材層側から照射することにより製造されるもので
あって、印刷層の表面に、炭化したインキ組成物が広がった印字部を有する。
<II>基材層
本発明において、基材層は、その使用目的、用途等に応じた樹脂フィルムであって、且つ、印刷層を積層した際に、該印刷層とのラミネート強度が0.1〜0.4N/15mmとなる任意の樹脂フィルムを使用することができる。
具体的には、基本素材となり、更に、印字後は、表面保護層を構成し、かつ、レーザー印字画像等を透視し得るものであることから、機械的、物理的、化学的等において優れた強度を有し、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、透明性等に優れた樹脂フィルムを使用することができる。
本発明において、このような樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂等の各種の樹脂フィルムから選択することができる。
上記の樹脂フィルムとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂フィルムの厚さとしては強度、耐突き刺し性等につい
て、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するという欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性等が抵下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約3μm〜100μm、好ましくは約5μm〜50μmが最も望ましい。
本発明において、基材層を形成する樹脂フィルムとしては、延伸ポリプロピレンフィルムを特に好適に用いることができる。該延伸ポリプロピレンフィルムは、特に包装材料としての用途において、安定性、加工性、コスト、耐熱性及び耐薬品性等の面で優れており、また、後述の印刷層として好適に使用されるインキ組成物を積層する際に、該印刷層との好ましいラミネート強度を得ることができる。
<III>印刷層
本発明において、印刷層は、金属酸化物とバインダー樹脂を含むインキ組成物を、基材層上に印刷や塗布等により積層して設けられる層である。
本発明において、インキ組成物を構成する金属酸化物としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素等を用いることができる。特に、包装フィルムの印刷下地として用いられる白色インキ中の白色顔料として多用される酸化チタンが、好適に使用される。
また、インキ組成物を構成するバインダー樹脂としては、従来公知のものであって、基材層上に積層した際に、該基材層とのラミネート強度が0.1〜0.4N/15mmとなる任意のバインダー樹脂を使用することができる。
具体的には、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で、または2種以上混合して使用される。特に、印刷下地として用いられる白色インキにおいて、バインダー樹脂として多用されるウレタン樹脂が、好適に使用される。該ウレタン樹脂は、また、上述の基材層として好適に使用される延伸ポリプロピレンフィルム上に積層する際に、該基材層との好ましいラミネート強度を与える。
本発明のインキ組成物は、印刷下地として従来から使用される任意の白色インキを好適に使用することができるが、その組成として、特に好適には、金属酸化物の含有量が70〜90質量部、より好ましくは75〜85質量部であり、バインダー樹脂の含有量が10〜30質量部、より好ましくは15〜25質量部である。これらを、必要に応じて慣用の溶剤で希釈し、基材層上に印刷または塗布することにより、印刷層を形成することができる。金属酸化物が上記範囲より多いと、フィルムがレーザー照射によるダメージを受け易くなる。逆に、金属酸化物が上記範囲より少ないと、印字画像が不明瞭になり易い。
基材層と印刷層とのラミネート強度を所望の範囲に調整するために、必要に応じて、インキ組成物中に、任意の添加剤を添加してもよい。この例としては、例えばラミネート強度を低下させるために、ブロッキング防止剤、硬化剤等を添加することが挙げられる。その他、顔料分散剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、シランカップリング剤、防腐剤、防錆剤、可塑剤、難燃剤、顕色剤等の添加剤を加えてもよい。これら添加剤は、特に印刷適性、印刷効果等の改善を目的に使用され、その種類、使用量は、印刷方法、印刷基材、印刷条件により適宜選択できる。
また、基材層の積層面にコロナ処理等の表面処理を施したり、または無処理の面上に印刷層を積層すること等により、該ラミネート強度を調整してもよい。
また、本発明において、印刷層は、それぞれ同じかまたは異なるインキ組成物からなる印刷層を、2層またはそれ以上積層した構成であってもよい。ここで、基材層と接する側の印刷層を形成するインキ組成物は、該基材層との間のラミネート強度が、レーザー印字用多層積層フィルム中で最も弱くなるように、且つ0.1〜0.4N/15mmの範囲となるように、バインダー樹脂の種類、含有量、積層方法等を選択する。また、シーラント層と接する側の印刷層を形成するインキ組成物は、該シーラント層との間のラミネート強度がより強くなるように、且つ1N/15mm以上となるように、同様に調整する。当該構成により、レーザー照射時に、基材層と印刷層との境界に確実に空隙が形成され、且つ、印刷層とシーラント層とのデラミネーションを防ぐことができる。
印刷層の総厚としては、インキ組成物の塗布量が、乾燥後の塗布量として1.5〜3.5g/m2、より好ましくは2.7〜3.3g/m2であることが好ましい。これよりも印刷層が厚いと、フィルムがレーザー照射によるダメージを受け易くなる。逆に、これよりも薄いと、印字画像が不明瞭になり易い。
印刷層の積層方法は、特に限定されないが、インクジェット、浸漬、スピンコーティング、印刷などの方法を用いることができる。本発明においては印刷により積層する方法が好ましい。特に、印刷下地として全面または一部にベタ印刷することにより、製造工程を簡略化できる。
<IV>シーラント層
本発明において、シーラント層は、シーラント層として慣用の熱可塑性樹脂からなる層、または該樹脂のフィルムからなる層である。
該熱可塑性樹脂としては、具体的には、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体等の樹脂を、単独で、または2種又はそれ以上を混合して使用することができる。該シーラント層を形成する熱可塑性樹脂中には、印刷層とのラミネート強度を調整する等の各種目的のために、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加することができる。
包装材料としての用途において、内容品と接する最内層となるため、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィンが好適に使用される。
特に、上記基材層が延伸ポリプロピレンフィルムからなり、上記インキ組成物中のバインダー樹脂として、ウレタン樹脂が使用されている場合は、シーラント層を形成する樹脂として、ポリプロピレンを使用し、これを、印刷層上に押出コーティング法により積層することにより、該印刷層との好適なラミネート強度が得られ、レーザー照射によって明瞭な印字画像が得られる。
シーラント層の層厚は、レーザー印字用多層積層フィルムの用途に応じて適宜に設定することができるが、好ましくは3〜100μmであり、更に好ましくは5〜50μmである。
印刷層とシーラント層とのラミネート強度を調整するために、必要に応じて、いずれかの表面に、積層前に所望の表面処理を施すことができる。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理等の前処理を施すことができる。
さらに、印刷層とシーラント層との間に、例えば、プライマーコート剤層、アンダーコ
ート剤層、アンカーコート剤層等を設けてもよい。
シーラント層の積層方法は、特に限定されないが、シーラント層を形成する熱可塑性樹脂を、印刷層上に押出コーティングすることにより積層することができる。また、該熱可塑性樹脂からなるフィルムを、ドライラミネートまたはサンドイッチラミネート法等により積層してもよい。
ドライラミネート用接着剤としては、ウレタン系接着剤、ビニル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤等を用いることができる。また、サンドイッチラミネート用接着性樹脂としては、任意の熱可塑性樹脂を用いることができる。
本発明においては、レーザー印字用多層積層フィルムの用途に応じて、印刷層とシーラント層との間に、任意の機能層、例えばガスバリア性フィルム、及び延伸ポリアミド系樹脂フィルム等を任意の積層方法、例えばドライラミネート法等により設けてもよい。
いずれの場合においても、印刷層とのラミネート強度が1N/15mm以上となるように、樹脂の種類の組み合わせ、積層方法、接着剤の種類、表面処理方法等を選択する。
<V>ラミネート強度
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は0.1〜0.4N/15mmであり、より好ましくは0.25〜0.35N/15mmであり、且つ、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は1N/15mm以上であり、より好ましくは1.8N/15mm以上である。この範囲のラミネート強度となる
構成によってのみ、レーザー印字が最適に行われる。基材層と印刷層との間のラミネート強度が0.1N/15mm未満であると、レーザー照射部以外でデラミネーションを引き
起こし、0.4N/15mmを超えると、基材/印刷層間の空隙が発生せず、印字画像が
不明瞭になる。また、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度が1N/15mmより小さいと、基材/印刷層間での空隙の確実な形成が損なわれる。また、包装材料として好ましくないデラミネーションを引き起こす。
本発明において、ラミネート強度は、移動速度50mm/minとし、測定サンプルの幅を15mmとし、その他の条件をJIS K6854に準拠して実施するT型剥離接着
強さ試験で測定される値である。
上記ラミネート強度を達成するには、基材層を形成する樹脂フィルムの種類、印刷層を形成するインキ組成物中のバインダー樹脂の種類、及びシーラント層を形成する樹脂の種類の組み合わせにより、当該範囲の強度が得られるような組み合わせを見出すことが好ましい。しかしながら、意図的にラミネート強度を低くするためにコロナ処理を施さない面上に印刷層を積層したり、インキ組成物に密着を防止する材料たとえばブロッキング防止剤を加えてもよい。
<VI>印字
本発明において、印字は、YAG(イットリウム(Y)・アルミニウム(A)・ガーネット(G))レーザー光線(波長=1.064μm)、または、YVO4(イットリウム・バナデート)レーザー光線(波長=1.064μm)を用いて行うことが好ましい。これ
らのレーザーは、透明体を透過する性質を有し、その性質を利用し、さらに、印字時の煙等の発生が抑えられ、また、発色濃度やフィルムに与える影響等を調整することができる。その結果、レーザー印字画像を形成しても穴あき等がない極めて鮮明なレーザー印字画像を形成することができる。
これらのレーザーを、基材層側から照射することにより、低出力で、フィルムに与えるダメージを最小限に抑えつつ、印刷層のインキ組成物をガス化及び炭化させて、基材層と
印刷層との間に空隙を形成し、印刷層表面に、レーザー印字画像を効率よく形成することができる。
そして、レーザー印字画像が、印刷層表面に形成されることにより、基材層側からの視認性に優れる。
本発明において、このような印字を行うパルス条件としては、例えば、YVO4レーザ
ー機(キーエンス MD−V9600)にて平均出力0.8〜5W、より好ましくは1.2〜2W、Qスイッチ周波数10〜30KHz、スキャンスピード300〜4000mm/s、より好ましくは1500〜4000mm/sのパルス条件が使用される。この条件下で印字を行うことにより、レーザー印字用多層積層フィルムに穴をあけることなく、高速印字が可能であり、且つ、明瞭な印字画像が得られる。
<VII>印字体
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムへの印字工程において、レーザーの平均出力を低く設定しても、または、スキャンスピードを速く設定しても、鮮明な印字画像、例えば太くて明瞭な文字を印字することができる。
本発明の印字体において、レーザーのスポット照射により、基材層と印刷層との間に形成される空隙の直径は、望ましくは40μm〜1mm、より好ましくは400〜700μmである。この空隙に炭化したインキ組成物が広がって、明瞭な印字画像が得られる。空隙の直径がこれよりも小さいと、印字画像の欠損や、線幅の細りが発生し、視認性を欠く。逆にこれよりも大きいと、画像がつぶれる等のため好ましくない。
本発明において、レーザー印字画像は、文字、数字、記号、図柄等を含むが、これらに限定されない。
また、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムに印字して得られる印字体は、各種包装材料、ラベル類、カード類等に適用することができる。
本発明のレーザー印字用多層積層フィルムにおいて、印刷層は、印刷下地として機能する白色インキからなってよい。したがって、該印刷層を下地として、レーザー印字を施さない部分に、所望のカラー印刷層を設けることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらは本発明を制限するものではない。
[実施例1]
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製OP−M1)の一方の面上に、グラビア印刷機を用いて、以下の組成よりなるインキ組成物を塗布量2.7g
/m2(乾燥時)となるように塗布し、印刷層を設けた。
インキ組成物
酸化チタン 40質量%
ウレタン樹脂 10質量%
混合溶剤 50質量%
(混合溶剤は、メチルエチルケトン:酢酸n−プロピル:イソプロピルアルコール=3:5:2(質量比)である)
次いで、該印刷層上に、ポリプロピレン樹脂を押出コーティング法により、厚さ13μmとなるように積層し、シーラント層を設けた。これにより、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムを得た。該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、0.3N/15mmであり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、4N/
15mmであった。
[実施例2]
厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ(株)製OP−M1)の一方の面上に、グラビア印刷機を用いて、上記実施例1で用いたインキ組成物を塗布量1.3
g/m2(乾燥時)となるように塗布し、第1の印刷層を設けた。
次いで、該第1の印刷層上に、グラビア印刷機を用いて、酸化チタン及びバインダー樹脂として塩素化ポリプロピレン系樹脂を含む第2のインキ組成物(東洋インキ(株)製NEWMAX)を塗布量1.3g/m2(乾燥時)となるように塗布し、第2の印刷層を設けた。
次いで、該第2の印刷層上に、ポリプロピレン樹脂を押出コーティング法により、厚さ50μmとなるように積層し、シーラント層を設けた。これにより、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムを得た。該フィルムにおいて、基材層と第1の印刷層との間のラミネート強度は、0.2N/15mmであり、第2の印刷層とシーラント層との間のラミネ
ート強度は、6.5N/15mmであった。
[実施例3]
厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製E5100)の未処理面上に、グラビア印刷機を用いて、上記実施例1で用いたインキ組成物を塗布量2.7g/m2(乾燥時)となるように塗布し、印刷層を設けた。
次いで、該印刷層上に、ウレタン接着剤(DICグラフィックス(株)製LX703、塗布量3g/m2(乾燥時))を介して、延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製ON
BCRT、厚さ15μm)をドライラミネートして、中間層を設けた。
次いで、該中間層上に、ウレタン接着剤(DICグラフィックス(株)製LX703、塗布量3g/m2(乾燥時))を介して、ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(
株)製ZK93K、60μm)をドライラミネートして、シーラント層を設けた。これにより、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムを得た。該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、0.2N/15mmであり、印刷層と中間層との間の
ラミネート強度は、6N/15mmであった。
[実施例4]
インキ組成物の塗布量を1.2g/m2(乾燥時)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムを製造した。
該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、0.18N/15m
mであり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、5N/15mmであった。
[実施例5]
インキ組成物の塗布量を4.0g/m2(乾燥時)とした以外は、実施例1と同様にして、本発明のレーザー印字用多層積層フィルムを製造した。
該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、0.23N/15m
mであり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、5N/15mmであった。
[比較例1]
バインダー樹脂としてウレタン樹脂を含むインキ組成物の代わりに、バインダー樹脂として塩素化ポリプロピレン系樹脂を含むインキ組成物(東洋インキ(株)製NEWMAX)を用いる以外は、実施例1と同様にして、レーザー印字用多層積層フィルムを製造した。
該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、1.3N/15mm
であり、印刷層とシーラント層との間のラミネート強度は、7N/15mmであった。
[比較例2]
印刷層を、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製E5100)のコロナ処理面上に設けた以外は、実施例3と同様にして、レーザー印字用多層積層フィルムを製造した。
該フィルムにおいて、基材層と印刷層との間のラミネート強度は、2.3N/15mm
であり、印刷層と中間層との間のラミネート強度は、6N/15mmであった。
[レーザー印字方法]
実施例1〜5及び比較例1〜2のレーザー印字用多層積層フィルムについて、下記条件下で、基材層側からYVO4レーザー光を照射し、レーザー印字画像を形成して印字体を
得た。
レーザー照射条件
YVO4レーザー機((株)キーエンス製 MD−V9600にて平均出力2.4W、Qスイッチ周波数10KHz、スキャンスピード1500mm/s
[評価]
得られたレーザー印字画像について、着色線幅を測定した。また、レーザー照射後の外観を確認した。
結果を以下の表1に示す。
Figure 0006086130
実施例1〜3のレーザー印字用多層積層フィルムは、低出力のレーザー照射により、太い線幅で濃くくっきりとした印字画像を形成した。実施例4のレーザー印字用多層積層フィルムは、実施例1〜3と比べて細い線幅の印字画像を形成し、印字色も薄く、視認性が若干劣るものであった。実施例5のレーザー印字用多層積層フィルムは、良好な線幅及び印字色の印字画像を形成したが、包材の一部にダメージがあった。
比較例1〜2のレーザー印字用多層積層フィルムは、細い線幅の印字画像しか形成されず、基材層側からの視認性に劣るものであった。
1.基材層
2.印刷層
2a.印刷層
2b.印刷層
3.シーラント層
4.印字部
A.空隙の直径

Claims (7)

  1. 少なくとも、基材層、印刷層、及びシーラント層からなるレーザー印字用多層積層フィルムであって、
    該基材層は、樹脂フィルムからなる層であり、
    該印刷層は、金属酸化物及びバインダー樹脂を含むインキ組成物からなる層であって、基材層と隣接する第1の印刷層と、シーラント層と隣接する第2の印刷層との少なくとも2層からなり、
    該第2の印刷層において、バインダー樹脂は、塩素化ポリプロピレン系樹脂であり、
    該第1の印刷層において、バインダー樹脂は、塩素化ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂であり、
    該シーラント層は、ポリプロピレン樹脂からなる層であり、
    該基材層と該第1の印刷層との間のラミネート強度は0.1〜0.4N/15mmであり、該第2の印刷層と該シーラント層との間のラミネート強度は1N/15mm以上であることを特徴とする、上記レーザー印字用多層積層フィルム。
  2. 前記インキ組成物が、金属酸化物70〜90質量部及びバインダー樹脂10〜30質量部を溶剤希釈した樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
  3. 前記インキ組成物中の金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする、請求項1または2に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
  4. 前記第1及び第2の印刷層のインキ組成物の塗布量の合計が、乾燥後の塗布量として1.5〜3.5g/m2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
  5. 前記基材層を形成する樹脂フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルムであり、
    前記第1の印刷層を形成するインキ組成物中のバインダー樹脂が、ウレタン樹脂であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のレーザー印字用多層積層フィルム。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー印字用多層積層フィルムの前記基材層と前記第1の印刷層との間にレーザー印字画像を有することを特徴とする、印字体。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のレーザー印字用多層積層フィルムに、YAGまたはYVO 4 レーザー光を基材層側から照射し、前記基材層と前記第1の印刷層との間にレーザー印字画像を形成することを特徴とする、レーザー印字方法。
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