JP6084740B1 - 層状チタン酸塩及びそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】廃棄処分時に環境へ悪影響を与えるおそれがなく、二次電池の正極活物質として使用した場合に良好な充放電特性を示す層状チタン酸塩と、それを用いた安価な二次電池を提供する。【解決手段】本発明の層状チタン酸塩は、Cs2Ti5O11のCs+を他のアルカリ金属イオンや水素イオンとイオン交換する方法によって容易に生成することが可能であり、その組成式がM2Ti5O11(ただし、Mは1価のアルカリ金属又は水素から選択される1種以上の元素)で表されることを特徴とする。【選択図】図2
Description
本発明は、二次電池の正極活性物質として使用可能な層状チタン酸塩に係り、特に、廃棄処分をする際に環境へ悪影響を与えるおそれのない層状チタン酸塩とそれを用いた二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、当初は容量の小さいものが生産され、主に携帯電話やノート型パソコンに用いられていた。しかし、最近では、ハイブリッド自動車や電気自動車、あるいは家庭用蓄電池など大きな容量を必要とするものにも利用され始めており、さらにはロードレべリング用の大容量電力貯蔵への展開も検討されている。
このような事情から、現在では、リチウムイオン二次電池の生産量が飛躍的に増加している。その結果、リチウム鉱山の買い占めの発生等の影響もあり、世界的規模で元素資源としてのリチウムの安定供給についての問題が懸念されている。
このような事情から、現在では、リチウムイオン二次電池の生産量が飛躍的に増加している。その結果、リチウム鉱山の買い占めの発生等の影響もあり、世界的規模で元素資源としてのリチウムの安定供給についての問題が懸念されている。
リチウムイオン二次電池に代わるものとして、近年、ナトリウムを用いるナトリウムイオン二次電池の研究が進められており、それに関して、既に幾つかの発明が公開されている。
例えば、特許文献1には、「複合金属酸化物、ナトリウム二次電池用正極活物質、ナトリウム二次電池用正極、及びナトリウム二次電池」という名称でナトリウム二次電池の正極に用いられる複合金属酸化物に関する発明が開示されている。
例えば、特許文献1には、「複合金属酸化物、ナトリウム二次電池用正極活物質、ナトリウム二次電池用正極、及びナトリウム二次電池」という名称でナトリウム二次電池の正極に用いられる複合金属酸化物に関する発明が開示されている。
特許文献1に開示された複合金属酸化物は、化学式がNaxMO2(0<x<1)で表され、Mn,Fe,Co,Niから選ばれる少なくとも1種以上の任意の遷移金属であるMの一部がLi,Mg,Alから選ばれる少なくとも1種以上の任意の元素で置換されたP2型の結晶構造を有する化合物であって、この化合物の粉末1gに対して20ccの割合で純水を加え、室温で5分以上撹拌した状態におけるpHが12以下であることを特徴とする。
このような構成の複合金属酸化物は、ナトリウム二次電池の正極材料として用いることができる。しかも、水と反応し難いため、その製造工程を簡素化して生産性を高めることができるという効果を有している。
このような構成の複合金属酸化物は、ナトリウム二次電池の正極材料として用いることができる。しかも、水と反応し難いため、その製造工程を簡素化して生産性を高めることができるという効果を有している。
また、特許文献2には、「複合金属酸化物およびナトリウム二次電池」という名称で、ナトリウム二次電池の正極活物質として用いられる複合金属酸化物に関する発明が開示されている。
特許文献2に開示された複合金属酸化物は、化学式がNa(FexNiyMn1−x−y)O2(0.1≦x≦0.6、0<y<0.9)で表され、(104)面の面間隔が2.16オングストローム以上2.18オングストローム未満のα−NaFeO2型結晶構造を有することを特徴としている。
このような構成の複合金属酸化物においては、二次電池の正極活物質として用いた場合、従来の二次電池とは異なり、Liや希少金属元素であるCoの代わりに資源量が豊富なFeが用いられていることから、LiやCoの使用量が抑制されるというメリットがある。
特許文献2に開示された複合金属酸化物は、化学式がNa(FexNiyMn1−x−y)O2(0.1≦x≦0.6、0<y<0.9)で表され、(104)面の面間隔が2.16オングストローム以上2.18オングストローム未満のα−NaFeO2型結晶構造を有することを特徴としている。
このような構成の複合金属酸化物においては、二次電池の正極活物質として用いた場合、従来の二次電池とは異なり、Liや希少金属元素であるCoの代わりに資源量が豊富なFeが用いられていることから、LiやCoの使用量が抑制されるというメリットがある。
さらに、特許文献3には、「非水電解質二次電池用正極活物質」という名称で、二次電池の正極活物質として用いられ、主にナトリウムとニッケルと4価の金属が含有された複合酸化物に関する発明が開示されている。
特許文献3に開示された発明は、六方晶の結晶構造からなる複合酸化物であって、主としてナトリウム及びニッケルと、チタン、マンガン及びスズからなる群より選択される1種以上の4価の金属を含有し、かつ、鉄を含有しないことを特徴とする。
このような構成の複合酸化物を二次電池の正極活物質として用いた場合、埋蔵量が少なく高価なLiやCoを用いた二次電池に比べて製造コストを安くすることができる。
特許文献3に開示された発明は、六方晶の結晶構造からなる複合酸化物であって、主としてナトリウム及びニッケルと、チタン、マンガン及びスズからなる群より選択される1種以上の4価の金属を含有し、かつ、鉄を含有しないことを特徴とする。
このような構成の複合酸化物を二次電池の正極活物質として用いた場合、埋蔵量が少なく高価なLiやCoを用いた二次電池に比べて製造コストを安くすることができる。
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、二次電池の電極に使用した場合、重金属であるMnやNiが含まれる可能性があるため、使用後に廃棄する際に環境へ悪影響を与える可能性が高い。また、この二次電池は、図2に示されるように充放電曲線が滑らかでなく、電圧が急激に変化している箇所が複数存在していることから、実際に使用した場合、電圧が安定せず、それに接続された機器が故障してしまうおそれがある。一方、上述の電極がMnやNiではなく、Coを含む場合には、二次電子の製造コストが高くなることが予想される。
これに対し、MnやNi、あるいはCoの代わりにFeのみが電極に含まれる場合には、廃棄する際に環境へ与える影響が少ないが、明細書には、MnやNi、あるいはCoのいずれもが含まれない場合についての記載がないため、Fe以外のこれらの物質が含まれない状態で二次電池として十分な特性が得られるかについては不明である。
これに対し、MnやNi、あるいはCoの代わりにFeのみが電極に含まれる場合には、廃棄する際に環境へ与える影響が少ないが、明細書には、MnやNi、あるいはCoのいずれもが含まれない場合についての記載がないため、Fe以外のこれらの物質が含まれない状態で二次電池として十分な特性が得られるかについては不明である。
また、特許文献2や特許文献3に記載された発明では、Niが含まれているため、二次電池の電極に使用した場合、廃棄する際に環境へ悪影響を与える可能性が高い。
本発明は、このような従来の事情に対処してなされたものであり、廃棄処分時に環境へ悪影響を与えるおそれがなく、二次電池の正極活物質として使用した場合に良好な充放電特性を示す層状チタン酸塩と、それを用いた安価な二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る層状チタン酸塩は、二次電池の正極に用いられる化合物であって、1価のアルカリ金属又は水素から選択される1種以上の元素Mを含み、組成式がM2Ti5O11で表されることを特徴とするものである。
このような組成の層状チタン酸塩を正極活物質として用いると、従来の二次電池とは異なり、MnやNi、あるいはCoのいずれをも含まず、しかも充放電曲線が滑らかで平坦部を有するという特性を備えた二次電池が形成される。
また、第2の発明は、第1の発明において、負極にLi又はNaが用いられる二次電池の正極に用いられることを特徴とするものである。
このような組成の層状チタン酸塩を正極に用いることによれば、従来のリチウム二次電池やナトリウム二次電池とは異なり、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有するリチウム二次電池やナトリウム二次電池が形成されるという作用を有する。
このような組成の層状チタン酸塩を正極に用いることによれば、従来のリチウム二次電池やナトリウム二次電池とは異なり、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有するリチウム二次電池やナトリウム二次電池が形成されるという作用を有する。
さらに、第3の発明に係る二次電池は、1価のアルカリ金属又は水素から選択される1種以上の元素Mを含み、組成式がM2Ti5O11で表される層状チタン酸塩を正極に用いたことを特徴とするものである。
第3の発明においては、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有する二次電池が安価に形成されるという作用を有する。
第3の発明においては、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有する二次電池が安価に形成されるという作用を有する。
第4の発明は、第3の発明において、負極にLi又はNaが用いられることを特徴とするものである。
第4の発明においては、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有するリチウム二次電池やナトリウム二次電池が安価に形成されるという作用を有する。
第4の発明においては、重金属であるMn、Ni及びCoが含まれず、かつ、充放電曲線が滑らかで平坦部を有するリチウム二次電池やナトリウム二次電池が安価に形成されるという作用を有する。
以上説明したように、第1の発明によれば、重金属であるMn、Ni及びCoを含んでいないため、正極活物質として用いると、廃棄した際に環境へ悪影響を与えるおそれがなく、使用時の電圧が安定し、充放電特性に優れる二次電池を安価に製造することができる。
第2の発明によれば、重金属であるMn、Ni及びCoを含んでいないため、廃棄した際に環境へ悪影響を与えるおそれがなく、使用時の電圧が安定し、充放電特性に優れるリチウム二次電池又はナトリウム二次電池を安価に製造することが可能である。
第3の発明に係る二次電池は、廃棄処分時に環境へ悪影響を与えるおそれがなく、使用時の電圧が安定し、充放電特性に優れるという効果を奏する。
第4の発明に係るリチウム二次電池又はナトリウム二次電池は、使用時の電圧が安定し、充放電特性に優れるとともに、廃棄処分時に環境へ悪影響を与えるおそれがないという効果を有している。
本発明の層状チタン酸塩は、水素又は1価のアルカリ金属から選択される1種以上の元素Mを含み、その組成式がM2Ti5O11で表されることを特徴とする。
そして、この層状チタン酸塩は、Cs2Ti5O11のCs+を他のアルカリ金属イオンや水素イオンとイオン交換反応によって交換する方法により容易に生成される。
そして、この層状チタン酸塩は、Cs2Ti5O11のCs+を他のアルカリ金属イオンや水素イオンとイオン交換反応によって交換する方法により容易に生成される。
図1(a)及び図1(b)はそれぞれTiO6八面体及びCs2Ti5O11の結晶構造を模式的に示した図である。
これらの図に示すように、Cs2Ti5O11では、5個のTiO6八面体が稜を共有するように連なっており、それらがさらに連結されて、積み重なりの単位となる一枚の層を形成している。そして、個々の層は負に帯電しており、この電荷が各層間に存在する1価のCs+の正電荷によって補償されることで、この化合物の電気的な中性が保たれている。
これらの図に示すように、Cs2Ti5O11では、5個のTiO6八面体が稜を共有するように連なっており、それらがさらに連結されて、積み重なりの単位となる一枚の層を形成している。そして、個々の層は負に帯電しており、この電荷が各層間に存在する1価のCs+の正電荷によって補償されることで、この化合物の電気的な中性が保たれている。
図1(b)に示したCs2Ti5O11は、合成後に冷却される過程において、大気中の水分が層間に吸収されるため、層間にCs+と水分子が共存した状態となり、その組成式はCs2Ti5O11(1+x)H2O(0.5<x<1)で表される。なお、層間に存在するCs+は、水分子と共存しているか否かに関わらず、イオン交換反応によって、他のアルカリ金属イオンや水素イオンと容易に交換することが可能である。
つぎに、本発明の層状チタン酸塩とそれを用いた二次電池の実施例について、詳細に説明する。なお、本実施例で示した層状チタン酸塩の製造方法は、一例であって、加熱や混合の条件、あるいは測定機器等は必ずしも以下に示したものに限定されるものではなく、適宜変更可能である。
(Cs2Ti5O11の生成)
Cs2CO3とTiO2(IV)を所定の割合で混合し、900℃で20時間加熱した後、粉砕混合した。これを再び900℃で20時間加熱し、得られた試料について、理学電機製RINT−Ultima+を用いて粉末X線回折測定(XRD)を行った。
Cs2CO3とTiO2(IV)を所定の割合で混合し、900℃で20時間加熱した後、粉砕混合した。これを再び900℃で20時間加熱し、得られた試料について、理学電機製RINT−Ultima+を用いて粉末X線回折測定(XRD)を行った。
Li+及びNa+のイオン交換には、LiNO3とNaNO3の水溶液(各1.0mol/L)を用い、3日ごとに新しいものと交換しながら、60℃で9日間反応させた。
一方、H+のイオン交換には、H2SO4の水溶液(0.05mol/L)を用い、毎日、新しいものと交換しながら室温で3日間反応させた。
一方、H+のイオン交換には、H2SO4の水溶液(0.05mol/L)を用い、毎日、新しいものと交換しながら室温で3日間反応させた。
その後、180℃で1時間、真空中で加熱して水分を除去し、得られたLi2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11の組成からなる3種類の試料について、熱重量示差熱分析計(セイコー電子工業製TG/DTA32)を用いて、脱水過程を調べた。ただし、加熱温度は800℃とし、昇温速度は10℃/minに設定した。
(ナトリウム二次電池の作成)
電池の正極には、各試料10mgに対して導電材及び成形剤としてアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレンを1.25mgずつ混合したものを使用した。また、負極にはナトリウム金属を用い、電解質溶液にはNaClO4のプロピレンカーボネート溶液(1.0mol/L)を用いた。なお、電流密度は0.1mA/cm2とし、電池の組み立ては、アルゴンガスを満たしたドライボックスの中で行った。
電池の正極には、各試料10mgに対して導電材及び成形剤としてアセチレンブラックとポリテトラフルオロエチレンを1.25mgずつ混合したものを使用した。また、負極にはナトリウム金属を用い、電解質溶液にはNaClO4のプロピレンカーボネート溶液(1.0mol/L)を用いた。なお、電流密度は0.1mA/cm2とし、電池の組み立ては、アルゴンガスを満たしたドライボックスの中で行った。
図2〜図4はLi2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11を正極に用いたナトリウム二次電池について、充放電評価を行った結果を示している。
ただし、図2では、まず電圧が1.0Vに達するまで定電流放電を行った。その後、電圧が4.0Vに達するまで定電流充電を行った。なお、充放電評価を開始する前の正極の電位(以下、開回路電圧という。)は2.8Vであった。また、10サイクル後の容量維持率は、最初の充電容量を基準とした場合、75%であった。
ただし、図2では、まず電圧が1.0Vに達するまで定電流放電を行った。その後、電圧が4.0Vに達するまで定電流充電を行った。なお、充放電評価を開始する前の正極の電位(以下、開回路電圧という。)は2.8Vであった。また、10サイクル後の容量維持率は、最初の充電容量を基準とした場合、75%であった。
図3及び図4ではまず電圧が1.0Vに達するまで定電流放電を行った。その後、電圧が3.5Vに達するまで定電流充電を行った。なお、図3の場合、開回路電圧は2.8Vであり、10サイクル後の容量維持率は82%であった。また、図4の場合、開回路電圧は2.9Vであり、10サイクル後の容量維持率は72%であった。
このように、本発明の層状チタン酸塩は、ナトリウム二次電池の正極活物質として用いることができる。この場合、当該ナトリウム二次電池は、使用時の電圧が安定しており、充放電特性に優れるという特性を有する。また、このナトリウム二次電池は、MnやNi、あるいはCo等の重金属を含んでいないため、廃棄した際に環境へ悪影響を与えるおそれがない。さらに、正極にはLi及びCoが含まれておらず、また、負極にはLiの代わりに、埋蔵量が多く、安価なNaが用いられる構造であるため、製造コストを安くすることが可能である。
(リチウム二次電池の作成)
実施例1と同様の条件で、Li2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11を正極とするリチウム二次電池を作成した。ただし、負極にはリチウム金属を用い、電解質溶液にはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを溶媒とするLiPF6溶液(1.0mol/L)を用いた。また、電流密度は0.1mA/cm2とした。
実施例1と同様の条件で、Li2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11を正極とするリチウム二次電池を作成した。ただし、負極にはリチウム金属を用い、電解質溶液にはエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを溶媒とするLiPF6溶液(1.0mol/L)を用いた。また、電流密度は0.1mA/cm2とした。
図5〜図7はLi2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11を正極に用いたリチウム二次電池について、充放電評価を行った結果を示している。
なお、いずれの場合も、電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った後、電圧が4.0Vに達するまで定電流充電を行った。
なお、いずれの場合も、電圧が1.5Vに達するまで定電流放電を行った後、電圧が4.0Vに達するまで定電流充電を行った。
図5では、開回路電圧は3.1V、5サイクル後の容量維持率は85%であり、図6では、開回路電圧は3.1V、5サイクル後の容量維持率は98%であった。また、図7では、開回路電圧は3.3V、5サイクル後の容量維持率は98%であった。
このように、本発明の層状チタン酸塩は、リチウム二次電池の正極活物質として用いることができる。そして、そのリチウム二次電池は、使用時の電圧が安定しており、優れた充放電特性を有している。また、MnやNi、あるいはCo等の重金属を含んでいないため、廃棄した際に環境へ悪影響を与えるおそれがない。
なお、実施例1や実施例2で用いたLi2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11は、前述のとおり、Cs2Ti5O11結晶を合成した後、その結晶層間に存在するCs+をそれぞれH+やLi+、あるいはNa+と交換することによって得られる。このうち、Li+やNa+は、いずれも1価のアルカリ金属イオンであることから、他の1価のアルカリ金属イオンであるK+やRb+についても上記Cs+とのイオン交換が可能であり、このようにして得られたK2Ti5O11やRb2Ti5O11についても実施例1及び実施例2で説明した作用及び効果が同様に発揮されるものと推察される。
なお、上述のイオン交換反応によって得られた層状チタン酸塩において、わずかにCsが残っていた場合、充放電特性は幾分低下するものの、二次電池の正極材料として用いることは可能である。
また、Fr+イオンは、Cs+イオンより大きいため、上述のイオン交換反応によってFr2Ti5O11を生成することは困難であるが、上記層状チタン酸塩にFrが混入していたとしても少量であれば、問題はないものと考えられる。
なお、上述のイオン交換反応によって得られた層状チタン酸塩において、わずかにCsが残っていた場合、充放電特性は幾分低下するものの、二次電池の正極材料として用いることは可能である。
また、Fr+イオンは、Cs+イオンより大きいため、上述のイオン交換反応によってFr2Ti5O11を生成することは困難であるが、上記層状チタン酸塩にFrが混入していたとしても少量であれば、問題はないものと考えられる。
以上説明したように、本発明の層状チタン酸塩は、実施例1及び実施例2で示したものに限らず、1価のアルカリ金属から選択される1種以上の元素Mを含み、組成式がM2Ti5O11で表されるものであれば、Li2Ti5O11、Na2Ti5O11及びH2Ti5O11以外の化合物であっても良い。
また、実施例1及び実施例2では、二次電池の負極にNaやLiを用いる場合を例に挙げているが、本発明の層状チタン酸塩が正極に用いられる二次電池の負極には、これらの物質に限らず、K、Rb、Cs、Mg、Caや水素吸蔵合金(正極がH2Ti5O11の場合)を用いることもできる。さらに、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池の負極として用いられる材料を用いることができる。
また、実施例1及び実施例2では、二次電池の負極にNaやLiを用いる場合を例に挙げているが、本発明の層状チタン酸塩が正極に用いられる二次電池の負極には、これらの物質に限らず、K、Rb、Cs、Mg、Caや水素吸蔵合金(正極がH2Ti5O11の場合)を用いることもできる。さらに、リチウムイオン電池やナトリウムイオン電池の負極として用いられる材料を用いることができる。
本発明の層状チタン酸塩を用いた二次電池は、携帯電話やノート型パソコンの他、ハイブリッド自動車や電気自動車及び家庭用蓄電池や大容量の電力貯蔵用蓄電池等に用いることができる。
Claims (4)
- 二次電池の正極に用いられる化合物であって、
1価のアルカリ金属又は水素から選択される1種以上の元素Mを含み、組成式がM2Ti5O11で表されることを特徴とする層状チタン酸塩。 - 負極にLi又はNaが用いられる前記二次電池の正極に用いられることを特徴とする請求項1記載の層状チタン酸塩。
- 1価のアルカリ金属又は水素から選択される1種以上の元素Mを含み、組成式がM2Ti5O11で表される層状チタン酸塩を正極に用いたことを特徴とする二次電池。
- 負極にLi又はNaが用いられることを特徴とする請求項3記載の二次電池。
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