JP6084543B2 - テーピング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、対象物にテープを巻き付けるためのテーピング装置に関する。
導体の表面に絶縁物を施す方式としては、装置内に導体を通過させながら絶縁テープを巻く方式(特許文献1参照)が知られている。
また、大型構造物の導体絶縁においては、予め導体軌道をパラメータ入力し装置軌道を演算しモータを制御するものや、導体中心を実測してテーピングヘッド中心を位置合せしながら補正し、導体と間隔をあけて走行する方式が知られている。
特開2004−273811号公報
装置内に導体を通過させながらテープを巻く方式の場合、対象の導体が大型になると、装置内に導体を通過させるための取扱いが困難となる。あるいはそのための装置が大がかりとなる。
また、予め導体軌道をパラメータ入力し装置軌道を演算しモータを制御するものや、導体中心を実測してテーピングヘッド中心を位置合せしながら補正し、導体と間隔をあけて走行する方式においても、大型構造物の導体の周囲を走行する機構が必要で大規模な設備投資が必要である。このため少量の大型構造物の導体製造に対しては、低コストでの対応が困難であった。
そこで、本発明の実施形態は、大規模な装置によらずに、対象物のテーピングを可能とすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態は、対象物の周囲にテープを巻き付けるテーピング装置であって、前記対象物に支持されて前記対象物の長手方向に沿って走行する走行機構と、前記走行機構により牽引または押されて前記対象物の長手方向に移動しながら前記対象物の周囲にらせん状にテープを巻き付ける巻き付け機構と、前記走行機構の走行速度および前記巻き付け機構の巻き付け速度を制御する制御部と、を備え、前記走行機構は、前記対象物の周囲を囲むように前記対象物の周方向に互いに間隔をあけて設けられ前記対象物の表面に圧着されながら前記対象物の長手方向に沿って回転可能に形成された複数の走行機構ローラと、前記複数の走行機構ローラの少なくとも一部に回転駆動力を供給する走行駆動部と、を有し、前記巻き付け機構は、前記対象物の長手方向に垂直な平面内で板状に拡がり前記対象物の長手方向への移動とともに当該長手方向の回転軸の周りで前記対象物の周りを回転する回転ベースと、前記回転ベースに取り付けられて前記回転ベースの回転軸に対して回転軸が傾くようにテープ供給リールを取り付け可能なテープ供給リール取付け部と、前記回転ベースを駆動する回転駆動部と、を有し、前記制御部は、前記走行駆動部への走行速度指令信号と、前記回転駆動部への回転速度指令信号と、を発する、ことを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、大規模な装置によらずに、対象物のテーピングが可能となる。
第1の実施形態に係るテーピング装置の全体構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置の本体の構成を示す平面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置の本体の構成を示す側面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置の巻き付け機構の構成を示す正面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置の回転ベースの軸受まわりの縦断面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置における巻き付け機構ローラを示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ張力調整機構を示す正面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ張力調整機構を示す縦断面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ残量限界検知機構を示す正面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ残量限界検知機構を示す側面図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置における保持機構を示す斜視図である。 第1の実施形態に係るテーピング装置におけるケーブル張力発生時の処置機構を説明するための斜視図である。 第2の実施形態に係るテーピング装置におけるベクトル補正機構の構成を示す側面図である。 第3の実施形態に係るテーピング装置におけるテーピングヘッドのベクトル補正機構の構成を示す縦断面図である。 第4の実施形態に係るテーピング装置における盤の取り付け状態を示す斜視図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るテーピング装置について説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には、共通の符号を付して、重複説明は省略する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態に係るテーピング装置の全体構成を示す斜視図である。テーピング装置500は、走行機構100、巻き付け機構200および制御部310を有する。走行機構100は、たとえば導体などの対象物1を囲むようにして対象物1に支持されて対象物1の長手方向に沿って走行する。巻き付け機構200は、走行機構100により牽引されて対象物1の長手方向に移動しながら、対象物1の周囲にらせん状にテープ229を巻き付ける。なお、巻き付け機構200は、走行機構100により牽引される場合に限定されない。たとえば、走行機構100により押されて移動することでもよい。
制御部310は、盤300内に設けられている。制御部310は、走行機構100の走行速度および巻き付け機構200の巻き付け速度を制御する。制御部310は盤300内に収納されている。盤300と走行機構100および巻き付け機構200との間は、ケーブル321で接続されている。
図2は、第1の実施形態に係るテーピング装置の本体の構成を示す平面図である。図3は、第1の実施形態に係るテーピング装置の本体の構成を示す側面図である。
走行機構100は、複数の走行機構ローラ110、走行駆動部120を有する。走行機構ローラ110は、対象物1の周囲を囲むように対象物1の周方向に互いに間隔をあけて設けられている。また、走行機構ローラ110は、対象物1の表面に圧着されながら対象物1の長手方向に沿って回転可能に形成されている。
走行機構ローラ110は、回転駆動される走行機構駆動ローラ111と、走行機構駆動ローラ111による対象物1上の移動によって回転させられる走行機構従動ローラ112とを含む。制御部310は、走行速度に見合った回転速度を算出し、走行駆動部120に回転速度を指令する。走行駆動部120は、制御部310からの指令に基づいた回転速度で走行機構駆動ローラ111を回転駆動する。走行駆動部120は、たとえばACサーボモータである。走行機構ローラ110は、金属製ローラの外周部にゴムがマウントされており、対象物1と走行機構ローラ110が滑ることなく走行することを可能にしている。走行駆動部120によって走行機構駆動ローラ111が走行駆動した際に、対象物1からの摩擦力を得て走行機構従動ローラ112が回転させられる。
巻き付け機構200は、巻き付け機構フレーム202、対象物1の周りを回転する回転ベース210(図4)、および回転ベース210を回転駆動する回転駆動部211と、テープ供給リール取付け部220とを有する。巻き付け機構フレーム202は、対象物1を中心に中央がくりぬかれた円板状である。巻き付け機構フレーム202は、走行機構100と結合ピン501aで連結されている。巻き付け機構フレーム202の外周部には回転駆動部211が固定されている。回転駆動部211は、たとえばACサーボモータである。
テープ供給リール取付け部220は、回転ベース210の回転軸に対して回転軸が傾くように回転ベース210に取り付けられている。テープ供給リール228は、テープ供給リール取付け部220に回転可能に取り付けられる。テープ供給リール取付け部220にテープ供給リール228を取り付けた場合、テープ供給リール228も回転ベース210の回転軸に対して回転軸が傾くように取り付けられることになる。
テープ229(図4)は1巻きで前回の1巻きと所定の重なりを持ち、かつ、対象物1の軸方向に垂直な面に対して傾き角度を持った状態で巻き付ける必要がある。このため、対象物1の軸方向に平行な方向からオフセットした方向を軸として取り付けられたテープ供給リール228に巻かれている。
図4は、第1の実施形態に係るテーピング装置の巻き付け機構の構成を示す正面図である。巻き付け機構フレーム202は、巻き付け機構フレーム202と同心の円環状平板である回転ベース210が設けられている。回転ベース210の半径方向内側の環状部分に、互いに周方向に間隔をもって配された複数の回転ベース軸受ユニット214が設けられている。回転ベース210は外周に歯車が形成されており、回転駆動部211に結合した回転ベース駆動歯車213と、外周どうしが噛み合っており、回転駆動部211により回転ベース210が回転駆動される。回転ベース210の外周の回転走行量はエンコーダ215で測定される。回転ベース210の回転速度に対応するエンコーダ215の測定量は、制御部310に入力される。制御部310は、回転ベース210の回転速度に対応して走行機構100の走行速度を算出し、走行駆動部120へ指令する。
対象物1の周囲を囲むように巻き付け機構ローラ230が設けられている。巻き付け機構ローラ230は、すべて、走行機構従動ローラ112と同様に、走行駆動部120によって走行機構駆動ローラ111が走行駆動した際に、対象物1からの摩擦力を得て回転させられる。
対象物1を中心に互いに対称な位置に、回転ベース210の面上に2つのテープ供給リール取付け部220が設けられている。テープ供給リール取付け部220には、図4に示すようにテープ供給リール228が取り付け可能である。対象物1の軸に垂直な平面においての対象物1の中心とテープ供給リール取付け部220の中心を結ぶ線を軸として、テープ供給リール取付け部220は、わずかに傾いている。2つのテープ供給リール取付け部220それぞれの傾きは、対象物1の軸に対して軸対称の方向である。
それぞれのテープ供給リール取付け部220に隣接してテープ張力調整機構240がそれぞれ走行機構駆動ローラ111面上に取り付けられている。テープ供給リール228に巻かれているテープ229は、テープ供給リール228からテープ張力調整機構240を経て、対象物1に巻き付けられる。対象物1へのテープ229の巻き付けは、テープ供給リール取付け部220上に取り付けられたテープ供給リール228が回転可能であることから、回転ベース210の回転により、テープ229の対象物1への螺旋状のテーピングが自動的に行われる。ここで、螺旋の角度は、走行機構100の速度と回転ベース210の回転速度から決定される。すなわち、走行機構100の速度に対して回転ベース210の回転速度が相対的に大きい場合はテーピングの重なりが大きくなる。逆に、走行機構100の速度に対して回転ベース210の回転速度が相対的に小さい場合はテーピングの重なりが小さく、テーピングの傾きが大きくなる。
なお、巻き付け機構200を対象物1の周囲に取り付けるために、後取付け部201が設けられている。後取付け部201は、巻き付け機構フレーム202、回転ベース210およびシャフト214a(図5)のそれぞれの一部を一体化したものである。後取付け部201は、後取付け部201を取り付けた状態で巻き付け機構200が一体として機能するように形成されている。後取付け部201を外した状態で巻き付け機構200を対象物1の周囲に嵌めこんだ後に、後取付け部201を取り付けることによって、巻き付け機構200を対象物1の周囲に取り付けることができる。
図5は、第1の実施形態に係るテーピング装置の回転ベース軸受まわりの縦断面図である。回転ベース210の半径方向内側に配列された複数の回転ベース軸受ユニット214のそれぞれは、回転ベース210の回転軸方向に軸を有するように設けられたシャフト214a、シャフト214aまわりの回転ベース軸受214bを有する。
シャフト214aの一方の端は、それぞれ巻き付け機構フレーム202を貫通しており、シャフト214aはナット214cで巻き付け機構フレーム202に固定されている。また、シャフト214aの他端は円板状で、シャフト214aの他端の外径は回転ベース軸受214bの内径よりも大きく形成されている。また、シャフト214aのこの他端の円盤状の部分は、環状の回転ベース抑え212によって軸方向の移動が拘束されている。
図6は、第1の実施形態に係るテーピング装置における巻き付け機構ローラを示す縦断面図である。巻き付け機構ローラ230は、巻き付け機構ローラ軸231、ローラ軸受232、車輪233を有する。巻き付け機構ローラ軸231の片側端部234が僅かに大きな径となっており、軸受の内輪を抑えている。巻き付け機構ローラ軸231の反対端は、巻き付け機構フレーム202に取り付けられたブラケット202aにより固定されている。ローラ軸受232の外輪側に車輪233が取り付けられており、対象物1に接している。
図7は、第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ張力調整機構を示す正面図である。図8は、第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ張力調整機構を示す縦断面図である。以下、テープ供給リール取付け部220およびテープ張力調整機構240について説明する。
テープ供給リール取付け部220は、テープ供給リール228を支持する。テープ供給リール取付け部220は、軸受221、軸受押え222を有する。軸受221は、テープ供給リール228を回転可能とする。軸受押え222は、軸受221が軸の長手方向に移動するのを拘束するために設けられている。
テープ張力調整機構240は、テープ供給リール取付け部220、ブレーキとしてのブレーキパッド241、第1のガイドローラ242a、第2のガイドローラ242bおよび迂回用リールとしての折り返しローラ243を有する。ブレーキパッド241は円形または環状であり、テープ供給リール取付け部220の背面の中心付近に設置されている。テープ229が巻き付け機構200の反力に対して、回転を抑制する働きを持ち、この反力によりテープ張力が維持されている。第1のガイドローラ242a、第2のガイドローラ242bおよび折り返しローラ243は、テープ供給リール取付け部220と間隔を置いて回転ベース210に取り付けられている。
テープ供給リール228に巻かれていたテープ229は、第1のガイドローラ242aを経て、折り返しローラ243で方向を逆転し、第2のガイドローラ242bを経て、対象物1に巻き付く。また、テープリール部の背面のブレーキ241は、ばたつきが出ない程度にブレーキ力が調整されている。
テープ供給リール228に一定のブレーキ圧を付与したままテーピングを続けた場合、テープ残量が少なくなると腕の長さすなわち半径が減少するので、摩擦抵抗に対して、テープによるテープ供給リール228の回転トルクが低下する。この事象を緩和するためテープ供給リール228から直接テープ229を巻かずに、テープ張力調整機構240の作用を用いながら対象物1に巻き付けることにより、テープ張力をほぼ一定に保つことが可能となる。
図9は、第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ残量限界検知機構を示す正面図である。また、図10は、第1の実施形態に係るテーピング装置におけるテープ残量限界検知機構を示す側面図である。テープ残量限界検知機構は、レーザ変位計251、光電センサ252および回転ベース210に形成された孔253を有する。
回転ベース210に形成された孔253が光電センサ252の位置に到達するごとに、制御部310の接点ユニット(図示せず)に検出信号を発信する。すなわち、孔253が光電センサ252の位置に到達することを検出する機構は、回転ベース210の回転の特定の位相を検出する位相検知部ということになる。
なお、光電式には限定されない。たとえば、検出用の部材を設けて、1回転ごとにこれを磁気的に検出する方法でもよい。検出信号と同期するように、対象物1の中心とテープ供給リール228の中心を結ぶ方向にレーザ変位計251が向くようにして、テープ229の巻き付け部の半径、すなわちテープ残量を測定することができる。レーザ変位計251による計測結果は、制御部310の入力ユニット(図示せず)に入力され、テープ半径が所定の値より小さくなった状態、すなわちテープ残量が所定の値未満となった状態を検知した場合には、テーピング装置500を停止する。
図11は、第1の実施形態に係るテーピング装置における保持機構を示す斜視図である。保持機構502は、テーピング装置500のテーピング装置本体501、すなわち対象物1に装着される走行機構100および巻き付け機構200の前方において対象物1を保持する保持部材502a、および後方において対象物1を保持する保持部材502bを有する。それぞれの保持部材502aは、対象物1を下側から支持するように上下に延びており、上端は対象物1を保持できるような形状に形成されている。
なお、図11では、説明の便宜のために保持部材502aおよび502bが、テーピング装置本体501のすぐ前後にあるような図となっているが、実際には、保持部材502a、502b間には、テーピング装置本体501が走行する適切な間隔が確保される。なお、テーピング装置本体501が保持部材502bに近接した場合は、保持部材502aおよび502bをテーピング装置本体501の進行方向に順次ずらしていく。
また、テーピング装置本体501にテーピング装置本体501の進行方向を監視する干渉物検出部であるエリアセンサ503が取り付けられている。エリアセンサ503は、帯状レーザ光線を出しこの戻り光を検知する安全装置である。この代用として安価な光電センサを用いて、制御部310と連携してエラーを判別することも可能である。エリアセンサ503によりテーピング装置本体501の進行方向に障害物が存在するとの検知がなされた場合は、検知信号が制御部310に出力され、制御部310はテーピング装置本体501の動作を停止する指令をテーピング装置本体501に発する。
対象物1が、積層構造等の場合、そのままでは対象物1の周囲にテーピング装置本体501を装着するスペースがなく、テーピングを施すことができない。一方、本実施形態においては、保持機構502を設けることによって、対象物1の周囲にテーピング装置本体501を装着するスペースを確保することができる。また、エリアセンサ503を設け障害物がある場合はテーピング装置本体501を停止することによって、テーピング装置500と保持部材502bその他の障害物との間に作業者の手等が挟まれるなどの事故の発生を抑制することができる。
図12は、第1の実施形態に係るテーピング装置におけるケーブル張力発生時の処置機構を説明するための斜視図である。テーピング装置本体501とケーブル321の接合部にワイヤ式エンコーダ322が設けられており、ワイヤ式エンコーダ322とケーブル321間にワイヤ式エンコーダワイヤ323が張られている。ワイヤ式エンコーダ322は、ワイヤ式エンコーダワイヤ323の引き出し量によりパルスをカウントする。パルス信号は制御部310のパルス入力モジュール370に入力される。パルス数が規定数以上となった場合は、制御部310は、テーピング装置本体501の動作を停止する指令をテーピング装置本体501に発する。また、表示灯303での点滅等により注意を喚起する。
以上のように構成された本実施形態に係るテーピング装置500によれば、大規模な装置によらずに、対象物1のテーピングが可能となる。
[第2の実施形態]
図13は、第2の実施形態に係るテーピング装置におけるベクトル補正機構の構成を示す側面図である。本実施形態は、第1の実施形態の変形である。すなわち、第1の実施形態における走行機構ローラ110に代えて、本第2の実施形態における走行機構100は、走行機構ローラセット410を有する。走行機構ローラセット410は、走行機構対向ローラ411、第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bからなる。第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bは対象物1の凸側に設けられている。また、走行機構対向ローラ411は、この第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bと対向する対象物1の凹側に設けられている。走行機構対向ローラ411は、第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bの対象物1の長手方向の中央となる位置に設けられている。第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bは固定ブロック413により所定の間隔で固定されている。
対象物1の曲率半径が小さくなるほど、図13に示す第1の走行機構離間ローラ412aおよび第2の走行機構離間ローラ412bの対象物1側の接線と走行機構対向ローラ411間の間隔dが小さくなる。すなわち、走行機構対向ローラ411は、対象物1に向かう方向に移動する。走行機構対向ローラ411はブラケット414内に固定されたコイルばね415で保持され対象物1に押し付けられている。走行機構対向ローラ411の対象物1に向かう方向の移動量は、変位測定部である接触式変位計416で測定される。接触式変位計416で測定したデータは制御部310の入力ユニット314に取り込まれる。
制御部310では、対象物1の曲率半径を算出し、曲げ半径からテーピング1周ごとに進む走行距離を決定する。曲率半径をR、走行機構対向ローラ411の半径をr、2つの走行機構従動ローラ412の間の距離をL、対象物1の幅をWとし、計測された走行機構従動ローラ412と走行機構対向ローラ411間の距離をdとした場合、L、rおよびWは定数であるため、d値より、対象物1の曲率半径Rを求めることができる。
対象物1の曲率半径が一様ではない場合に、一定ピッチでテーピングを行うとテープ229の重なりが増したり、逆に減少したりと一様なテーピングが行えなくなる。一方、本第2の実施形態では、この処理を連続的に行うことにより、曲率半径が変化してもテーピングピッチを自動調整することが可能となる。
また、走行機構対向ローラ411と対象物1間の摩擦力の強弱により走行機構対向ローラ411の推力が影響を受ける可能性がある。このため走行機構対向ローラ411と対象物1の摩擦を一定に保つ方法として、コイルばね415の強さを一定に調整し、導体径の変化や曲げ半径によって影響を受けないような設定圧力とする。対象物1が、たとえば直径40mmの導体であり、コイルばね415のばね定数を10N/mmとし、初期推力100Nを加えた場合に滑りが出ないとすると、摩擦力の変動や導体表面の状態を考慮して約2倍の200Nを加えるように設定する。この場合、対象物1がテーピングにより複数回巻き付けされて直径が1mm増加したとしても10N増加し210Nの推力を出すことになる。このようにコイルばね415を緩衝体として走行機構対向ローラ411を押し付けることにより、対象物1と走行機構対向ローラ411の摩擦力の変動を小さく抑えることが可能となる。
[第3の実施形態]
図14は、第3の実施形態に係るテーピング装置におけるテーピングヘッドのベクトル補正機構の構成を示す縦断面図である。本実施形態は、第2の実施形態の変形である。
巻き付け機構ローラセット420は、巻き付け機構対向ローラ421、第1の巻き付け機構離間ローラ422aおよび第2の巻き付け機構離間ローラ422bからなる巻き付け機構ローラセット420を有する。第1の巻き付け機構離間ローラ422aおよび第2の巻き付け機構離間ローラ422bは対象物1の凸側に設けられている。また、巻き付け機構対向ローラ421は、対象物1を挟んでこの第1の巻き付け機構離間ローラ422aおよび第2の巻き付け機構離間ローラ422bと対向する対象物1の凹側に設けられている。巻き付け機構対向ローラ421は、第1の巻き付け機構離間ローラ422aおよび第2の巻き付け機構離間ローラ422bの対象物1の長手方向の中央となる位置に設けられている。第1の巻き付け機構離間ローラ422aおよび第2の巻き付け機構離間ローラ422bは固定ブロック423により所定の間隔で固定されている。また、巻き付け機構対向ローラ421は、ブラケット424内に収納されたコイルばね425で保持され対象物1に押し付けられている。
走行機構100内の走行機構ローラセット410の固定ブロック413には走行機構側歯車418が設けられている。また、巻き付け機構200内の巻き付け機構ローラセット420の固定ブロック423には巻き付け機構側歯車428が設けられている。走行機構側歯車418と巻き付け機構側歯車428とは互いにかみ合っている。走行機構ローラセット410と巻き付け機構ローラセット420は、それぞれの走行機構側歯車418および巻き付け機構側歯車428を介して互いに係合し、この係合部に対して鏡面対称に形成されている。
曲率半径を算出するための走行機構ローラセット410の対象物1の軸方向位置と、テープ供給リール228(図8)の対象物1の軸方向位置にずれがある場合には、適切にテーピングがなされなくなる。すなわち、走行機構ローラセット410の対象物1の軸方向位置における対象物1の軸の方向を有する第1方向ベクトルと、テープ供給リール228の対象物1の軸方向位置における対象物1の軸の方向を有する第2方向ベクトルとは、曲率半径が有限の場合には一致しない。この結果、張力変動が大きくなり、テーピングされたテープにしわが発生してしまう。
一方、本第3の実施形態においては、第1ベクトルの逆方向ベクトルと第2ベクトルとは走行機構側歯車418と巻き付け機構側歯車428の係合部を中心に互いに鏡面対称に形成されている。走行駆動部120によって走行機構対向ローラ411が走行駆動した際に、走行機構側歯車418は走行機構100内の走行機構ローラセット410の第1ベクトル方向から、巻き付け機構200内の巻き付け機構ローラセット420の第2ベクトルの方向を算出することができる。これにより対象物1により近づいた姿勢を確保し、テーピングを行うことが可能となる。
[第4の実施形態]
図15は、第4の実施形態に係るテーピング装置における盤の取り付け状態を示す斜視図である。本第4の実施形態は、第1の実施形態の変形である。
本第4の実施形態に係るテーピング装置500は、盤300が走行機構100と一体で移動するように、盤300が走行機構100と結合している。盤300内には、制御部310とともに電源301が設けられている。電源301はたとえば、バッテリーである。また、盤300には、表示および操作を行う表示部としてタッチパネル302が取り付けられている。
第1の実施形態で説明したように、テーピング装置500はケーブル張力発生時の処置機構を有し、ケーブルの損傷を防止しているが、ワイヤ式エンコーダ322の故障や、ワイヤ式エンコーダワイヤ323に不具合が生じた場合には適切な検知ができない可能性がある。一方、本第4の実施形態においては、走行機構100および巻き付け機構200と盤300間の接続ケーブル321も、走行機構100とともに移動するので、ケーブルの引っ掛かりによるケーブルの損傷などの可能性を低減することができる。また電源はカセット交換可能な構造とすることで現場作業性をさらに改善することができる。
[その他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、各実施形態の特徴を組み合わせてもよい。たとえば、第4の実施形態の特徴と、第2または第3の実施形態の特徴を組み合わせてもよい。
さらに、これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…対象物、100…走行機構、110…走行機構ローラ、111…走行機構駆動ローラ、112…走行機構従動ローラ、120…走行駆動部、200…巻き付け機構、201…後取付け部、202…巻き付け機構フレーム、202a…ブラケット、210…回転ベース、211…回転駆動部、212…回転ベース抑え、213…回転ベース駆動歯車、214…回転ベース軸受ユニット、214a…シャフト、214b…回転ベース軸受、214c…ナット、215…エンコーダ、220…テープ供給リール取付け部、221…軸受、222…軸受押え、228…テープ供給リール、229…テープ、230…巻きつけ機構ローラ、231…巻きつけ機構ローラ軸、232…ローラ軸受、233…車輪、240…テープ張力調整機構、241…ブレーキパッド(ブレーキ)、242a…第1のガイドローラ、242b…第2のガイドローラ、243…折り返しローラ(迂回用リール)、251…レーザ変位計、252…光電センサ、253…孔、300…盤、301…電源、302…タッチパネル(表示部)、303…表示灯(表示部)、310…制御部、314…入力ユニット、321…ケーブル、322…ワイヤ式エンコーダ、323…ワイヤ式エンコーダワイヤ、370…パルス入力モジュール、410…走行機構ローラセット、411…走行機構対向ローラ、412a…第1の走行機構離間ローラ、412b…第2の走行機構離間ローラ、413…固定ブロック、414…ブラケット、415…コイルばね、416…接触式変位計(変位測定部)、418…走行機構側歯車、420…巻き付け機構ローラセット、421…巻き付け機構対向ローラ、422a…第1の巻き付け機構離間ローラ、422b…第2の巻き付け機構離間ローラ、423…固定ブロック、424…ブラケット、425…コイルばね、428…巻き付け機構側歯車、500…テーピング装置、501…テーピング装置本体、501a…結合ピン、502…保持機構、502a、502b…保持部材、503…エリアセンサ(干渉物検出部)

Claims (6)

  1. 対象物の周囲にテープを巻き付けるテーピング装置であって、
    前記対象物に支持されて前記対象物の長手方向に沿って走行する走行機構と、
    前記走行機構により牽引または押されて前記対象物の長手方向に移動しながら前記対象物の周囲にらせん状にテープを巻き付ける巻き付け機構と、
    前記走行機構の走行速度および前記巻き付け機構の巻き付け速度を制御する制御部と、
    を備え、
    前記走行機構は、
    前記対象物の周囲を囲むように前記対象物の周方向に互いに間隔をあけて設けられ前記対象物の表面に圧着されながら前記対象物の長手方向に沿って回転可能に形成された複数の走行機構ローラと、
    前記複数の走行機構ローラの少なくとも一部に回転駆動力を供給する走行駆動部と、
    を有し、
    前記巻き付け機構は、
    前記対象物の長手方向に垂直な平面内で板状に拡がり前記対象物の長手方向への移動とともに当該長手方向の回転軸の周りで前記対象物の周りを回転する回転ベースと、
    前記回転ベースに取り付けられて前記回転ベースの回転軸に対して回転軸が傾くようにテープ供給リールを取り付け可能なテープ供給リール取付け部と、
    前記回転ベースを駆動する回転駆動部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記走行駆動部への走行速度指令信号と、前記回転駆動部への回転速度指令信号と、を発する、
    ことを特徴とするテーピング装置。
  2. 前記走行機構ローラは、前記対象物の長手方向に間隔をおいてそれぞれ設けられた第1の走行機構離間ローラおよび第2の走行機構離間ローラと、前記対象物の長手方向に前記第1の走行機構離間ローラと前記第2の走行機構離間ローラに挟まれて前記第1の走行機構離間ローラおよび前記第2の走行機構離間ローラに対向して前記対象物の反対側に位置するように設けられた走行機構対向ローラを有する少なくとも1組の走行機構ローラセットを含み、
    前記走行機構は、前記走行機構対向ローラの前記対象物の中心方向に向かう変位を測定する変位測定部をさらに備え、
    前記制御部は、前記変位測定部により得られた変位に基づいて前記対象物の曲率半径を算出し、前記曲率半径が小さいほど、前記回転速度指令信号の大きさに対する前記走行速度指令信号の大きさの比を小さくすることを特徴とする請求項1に記載のテーピング装置。
  3. 前記走行機構対向ローラは、前記第1の走行機構離間ローラおよび前記第2の走行機構離間ローラの長手方向の中央位置に設けられており、
    前記巻き付け機構は、前記対象物の長手方向に間隔を置いてそれぞれ設けられた第1の巻き付け機構離間ローラおよび第2の巻き付け機構離間ローラと、前記対象物の長手方向に前記第1の巻き付け機構離間ローラと前記第2の巻き付け機構離間ローラに挟まれて前記第1の巻き付け機構離間ローラおよび前記第2の巻き付け機構離間ローラに対向するように設けられた巻き付け機構対向ローラとからなる少なくとも1組の巻き付け機構ローラセットを有し、
    前記第1の巻き付け機構離間ローラ、前記第2の巻き付け機構離間ローラおよび前記巻き付け機構対向ローラは、前記対象物の表面に圧着されながら前記対象物の長手方向に沿って回転可能に形成され、
    前記走行機構ローラセットと前記巻き付け機構ローラセットとは、ギアを介して隣接しており、前記ギアを挟んで鏡面対称に形成されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のテーピング装置。
  4. 前記巻き付け機構は、前記テープ供給リールから供給されて前記対象物に巻き付けられる前記テープが通過する迂回用リールと、前記テープ供給リールおよび前記迂回用リールの回転に対する抵抗力を生ずるブレーキと、を有して前記テープの張力を調整するテープ張力調整機構をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のテーピング装置。
  5. 前記制御部は、当該テーピング装置を停止すべき状態が発生したと判定したときには、前記走行駆動部および前記回転駆動部に停止指令を出力することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載のテーピング装置。
  6. 前記回転駆動部および前記走行駆動部用の電源ならびに前記制御部は、前記走行機構とともに移動することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のテーピング装置。
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