JP6083983B2 - レンズ鏡筒およびそれを備えた撮像装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特に光学レンズの前面を覆って保護するバリア装置を備えたレンズ鏡筒およびそれを備えた撮像装置に関するものである。
近年、レンズの広角化のために、バリア羽根の開放位置において、最も光軸方向被写体側に配置された第1レンズが、光学レンズの前面を覆って保護するバリア羽根の移動領域まで光軸方向に侵入する機構が提案されている。
特許文献1では、バリア羽根が外力で押さえられるなどの原因によりバリア羽根の開放が出来ない場合に、第1レンズ保持枠とバリア駆動リングを接触させる構成が開示されている。
特開2011−154169号公報
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、バリア駆動リングの駆動部を挿通させるために第1レンズ保持枠に設けられた円弧孔に隣接する面で、第1レンズ保持枠の円弧孔周囲をストッパとして利用している。第1レンズから径方向に大きく離れた位置で第1レンズ保持枠とバリア駆動リングが接触するため、当接面の精度が低下する恐れがある。
また、特許文献1では、第1レンズ保持枠の円弧孔周囲をストッパとして利用しているが、この円弧孔はバリア羽根の開閉に必要な角度分形成する必要がある。光軸に略平行な平面で第一レンズ保持枠とバリア駆動リングを当接させるには、光軸中心から等距離の複数箇所にストッパを形成する必要がある。
以上より、第1レンズ保持枠に複数の大きい円弧孔を形成する必要があるため、第1レンズ保持枠の強度の低下が懸念される。
こで、本発明の目的は、撮影時に第1レンズがバリア開閉領域に侵入する構成のレンズ鏡筒において、外力などによってバリア羽根が開かない場合にレンズがバリアに接触することないレンズ鏡筒を提供することである。それとともに、レンズ保持枠の強度の低下を抑えることを可能にしたレンズ鏡筒を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、撮影可能な状態である繰り出し状態と撮影不可能な状態である沈胴状態になるレンズ鏡筒であって、カム筒と、レンズを保持し、駆動部からの駆動力で前記カム筒が回転することで、光軸方向に移動するレンズ保持部材と、前記レンズの光軸方向において前記レンズよりも被写体側に配置されており、前記光軸方向と交差する方向に開閉可能なバリア部材と、前記レンズの光軸方向において前記レンズ保持部材よりも被写体側に配置されており、前記レンズ鏡筒が前記沈胴状態となるときには前記バリア部材が閉状態になり、前記レンズ鏡筒が前記繰り出し状態となるときには前記バリア部材が開状態になるように、前記バリア部材を駆動するバリア駆動部材と、を備え、
前記バリア駆動部材は、前記駆動部からの駆動力で前記カム筒が回転することで、前記バリア駆動部材の像面側に伸びた第1の突起部と前記カム部材の被写体側に伸びた第2の突起部が当接することで前記バリア部材を開閉可能としており、
前記バリア駆動部材には、前記レンズ保持部材に向けて延出されている延出部が形成されており、
前記レンズ保持部材には、前記延出部が当接する当接部が形成されており、
前記延出部は、前記レンズ保持部材を貫通することなく前記当接部に当接しており、
前記延出部は、前記レンズ鏡筒の周方向において、前記第1の突起部と異なる位相に設けられており、
外力が前記バリア部材に加えられた場合、前記バリア部材が前記開状態となるように、前記バリア部材が前記バリア駆動部材に駆動されているとき、前記延出部は前記当接部に当接することなく
外力が前記バリア部材に加えられた場合、前記バリア部材が前記閉状態となるように、前記バリア部材が前記バリア駆動部材に駆動されているとき、前記延出部が前記当接部に当接することを特徴とする。
そこで、本発明の目的は、撮影時に第1レンズがバリア開閉領域に侵入する構成のレンズ鏡筒において、外力などによってバリア羽根が開かない場合にレンズがバリア羽根に接触することのないレンズ鏡筒を提供することができる。それとともに、レンズ保持枠の強度の低下を抑えることを可能にしたレンズ鏡筒を提供することができる。
本実施形態に係るレンズ鏡筒を有する撮像装置の外観斜視図である。 本実施形態に係るレンズ鏡筒のうちバリア機構と1群レンズ鏡筒周辺の分解斜視図である。 本実施形態に係るレンズ鏡筒のうちバリア駆動リング2の斜視図である。 (a)本実施形態に係るレンズ鏡筒のうちバリア保持枠1の斜視図である。(b)本実施形態に係るレンズ鏡筒のうちバリア保持枠1の光軸方向撮像素子側から見た図である。 本実施形態に係るレンズ鏡筒のうち第1レンズ保持枠8の斜視図である。 本実施形態に係るレンズ鏡筒の光軸を通る断面図である。 本実施形態に係るレンズ鏡筒のうちカム筒9の外周展開図である。 (a)本実施形態に係るレンズ鏡筒が沈胴状態のときの光軸方向被写体側から見たレンズ接触防止機構の断面図である。(b)本実施形態に係るレンズ鏡筒の繰り出し状態(撮影可能状態)のときの光軸方向被写体側から見たレンズ接触防止機構の断面図である。
以下、本発明の実施例について、図1〜8を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明を実施したレンズ鏡筒を有する撮像装置としてのデジタルカメラ100を説明する図である。図1は、撮影可能な状態の一例である電源オン状態を示している。この状態では、レンズ鏡筒110は繰り出し状態(撮影可能状態)となる。電源オフ状態や画像を再生する再生モードに設定した時には、レンズ鏡筒110は沈胴状態(撮影不可能状態)となる。
デジタルカメラ100には、カメラ本体101に沈胴式のレンズ鏡筒110が設けられている。レンズ鏡筒110には撮影光学系をなすレンズ群がレンズの光軸方向に移動することで、撮影可能な状態である繰り出し状態と撮影不可能な状態である沈胴状態とを変位するレンズ鏡筒である。カメラ本体101には、メインスイッチ102、撮影スイッチ103(レリーズスイッチ)、ズームレバー107が配置されている。
メインスイッチ102は、電源のオン及びオフを切り替えるスイッチである。撮影スイッチ103は、半押し操作(SW1押下)によって測光、オートフォーカス(AF)などの撮影準備動作を行わせ、全押し操作(SW2押下)によって画像の撮影動作(いわゆる本露光)及び記録動作を行わせるスイッチである。フラッシュ部104は、暗いときに発光させるフラッシュである。さらに、カメラ本体101内には、レンズ鏡筒110の撮影光学系により形成された被写体像を光電変換するCCDやCMOSセンサなどの撮像素子が搭載されている。
図2は、デジタルカメラ100のレンズ鏡筒110のうち、バリア機構および1群レンズ鏡筒周辺の部材の分解斜視図である。本実施形態では、光軸方向被写体側を前側、光軸方向撮像素子側を後側あるいは像面側と記載する。
レンズ鏡筒110は、バリア保持枠1(バリア保持部材)、第1レンズ保持枠8(レンズ保持部材)、1群レンズとしての第1レンズ9、カム筒10、バリア駆動リング2(バリア駆動部材)、バリア羽根3〜5、付勢部材6、バリアカバー7を備える。第1レンズ9は、バリア保持枠1に保持されていれば、レンズ群であっても1枚のレンズであっても良い。バリア羽根3,4,5はそれぞれ第1のバリア羽根3、第2のバリア羽根4、第3のバリア羽根5からなる。また、第1のバリア羽根3、第2のバリア羽根4、第3のバリア羽根5、ばねなどの付勢部材6は、それぞれ、1群レンズである第1レンズ9の光軸を中心に点対称に一対が配置される。
付勢部材6の付勢力によって、バリア駆動リング2はバリア羽根3〜5が閉じる方向に付勢されており、またバリア羽根3〜5が閉状態ではカム筒10の作動壁10cと当接した状態となっている。第1〜3のバリア羽根3〜5は、光軸と交差する方向に開閉し、レンズ鏡筒110の沈胴状態で閉状態となりレンズ鏡筒110の繰り出し状態で開状態となる。なお、本実施例においては、小型化の観点から第1〜3のバリア羽根3〜5は光軸と直交する方向に開閉するものとするが、設計によっては光軸に対して所定の角度傾いて開閉しても良い。
バリアカバー7は、レンズ鏡筒110の最も前側(光軸方向被写体側)に配置され、バリア保持枠1に固定されて、バリア羽根3〜5を保護している。また、バリアカバー7は、1群レンズである第1レンズ9を介して撮像素子に入射する光束を遮らないように開けられた光入射開口7aを有する。
図3は、バリア駆動リング2の斜視図である。図3(a)は光軸方向被写体側(前側)から見た図で、図3(b)は光軸方向撮像素子側(像面側)から見た図である。
バリア駆動部材としてのバリア駆動リング2は、バリア保持部材としてのバリア保持枠1に回転可能に保持される。バリア駆動リング2には、光軸方向の像面側に延出し、斜面形状(テーパ形状)にカットされたフォロアアーム2a(駆動部)が設けられる。駆動部としてのフォロアアーム2aが、カム筒10に設けられた回動当接部としての作動壁10c(図2に示されている)と接触する。そしてカム筒10が回動することで、作動壁10cと当接しているフォロアアーム2aが回転し、バリア駆動リング2全体が回転する仕組みとなっている。この動作については後述する。
図3(b)に示すように、バリア駆動リング2には、さらに、光軸方向の像面側に延出する延出部2bが複数設けられる。延出部2bの外周の一部にはバリア保持枠1との摺動面2b1が複数形成される。摺動面2b1は延出部2bの他の外周面に対し、凸形状となっている。また、延出部2bの像面側の端面には当接面2b2が形成されるが、当接面2b2の作用については後述する。
図4は、(a)が本発明の一実施の形態に係るバリア保持枠1の斜視図、及び(b)が像面側から見た図である。バリア保持枠1には、バリア駆動リング2に設けられたフォロアアーム2aが貫通する円弧孔1a、及び、バリア駆動リング2の摺動をガイドする延出部1bが設けられる。
バリア駆動リング2に形成されている摺動面2b1が、バリア保持枠1の開口内周面に設けられた延出部1bに沿って摺動することにより、バリア駆動リング2が滑らかに回動できる。なお、本実施例においては、摺動面2b1が周方向に間隔が等しくなるように6箇所形成されている。また、バリア保持枠1には、第1のバリア羽根3の回動軸が挿通される穴1c、1d及び、第3のバリア羽根5の回動穴を挿通する軸1e、1fが設けられる。
図5は、本実施例に係る第1レンズ保持枠8の斜視図である。第1レンズ9は、レンズ保持部材である第1レンズ保持枠8の加締め部8aを熱で加締めることにより保持される。第1レンズ保持枠8には、バリア駆動リング2に設けられたフォロアアーム2aが貫通する貫通部としての円弧孔8bが設けられている。さらに、第1レンズ保持枠8には、侵入した異物(砂塵、ゴミなど)を像面側へと侵入させないための異物受け溝部8cが、第1レンズ保持部の外側円周上に光軸方向撮像素子側に深さをもって形成されている。
バリア駆動リング2の延出部2b及びバリア保持枠1の延出部1bは、バリア羽根3〜5が開状態のときに異物受け溝部8cに挿入される。また、異物受け溝部8cの一部には、異物受け溝部8cよりも光軸方向に突出している当接部8dが、周方向に間隔が等しくなるように複数形成されている(本実施例では3箇所形成されている)。また、当接部8dは、フォロアアーム2aが貫通する貫通部としての円弧孔8bよりも第1レンズ9の光軸中心に近い側に(鏡筒の径方向中心側に)複数形成されている。当接部8dの作用については後述する。
また、図5に示すように、第1レンズ保持枠8の加締め部8aは当接部8dを除いた位置に形成されている。なぜなら当接部8dの内周にて第1レンズ9を保持した場合には、加締め部8aが加熱された際に当接部8dにはみ出す可能性がある。この場合、第1レンズ保持枠8の当接部8dとバリア駆動リング2の当接面2b2との距離が変化するため、後述するストッパ(レンズ接触防止機構)としての精度が低下する。よって、本実施例のように、当接部8d以外の部分に加締め部8aを形成することで、ストッパ(レンズ接触防止機構)としての精度の低下を防ぐことができる。
なお、本実施例ではレンズを加締めにより保持する構成について示したが、接着による保持を行っても問題はない。この場合、接着材が当接部8dにはみ出す可能性があり、後述するストッパ(レンズ接触防止機構)としての精度が低下することが起こりうるため、レンズ枠の当接部8d以外の内周部にてレンズの接着を行うことが好ましい。
図6,7を用い、第1レンズ保持枠8及びバリア保持枠1の繰り出し機構について説明する。図6は鏡筒の光軸断面図である。図6(a)は鏡筒の沈胴状態の横断面図を示し、図6(b)は繰り出し状態(バリア羽根の開状態)の横断面図を示し、図6(c)は繰り出し状態(撮影可能状態)を示す。図7はカム筒10の展開図であり、カム溝10a,10bの形状を表した図である。
バリア保持枠1は、レンズ鏡筒110の前端部(光軸方向被写体側)に配置される。バリア保持枠1の内周部には第1レンズ保持枠8が設けられ、第1レンズ保持枠8の内周部にはカム筒10が配置される。
第1レンズ保持枠8の繰り出し機構について説明する。第1レンズ保持枠8に圧入されているフォロアピン11がカム筒10のカム溝10aに係合する。フォロアピン11は、周方向に間隔が等しくなるように3箇所形成され、第1レンズ保持枠8に圧入されている。そして、不図示の駆動手段としてのズームモータにより、カム筒10が回転駆動されることで、フォロアピン11がカム溝10aをトレースして第1レンズ保持枠8がカム筒10に対して相対的に移動する。さらに、第1レンズ保持枠8は、カム筒10の内周に設けられた直進案内筒により回転方向の移動が規制されることで、光軸方向に直進移動する。
次に、バリア保持枠1の繰り出し機構について説明する。バリア保持枠1に圧入されているフォロアピン12がカム筒10のカム溝10bに係合する。フォロアピン12は、周方向に間隔が等しくなるように3箇所形成され、バリア保持枠1に圧入されている。そして、不図示の駆動手段としてのズームモータにより、カム筒10が回転駆動されることで、フォロアピン12がカム溝10bをトレースしてバリア保持枠1がカム筒10に対して相対的に移動する。さらに、バリア保持枠1は第1レンズ保持枠8に設けられた不図示の直進案内部により回転方向の移動が規制されることで光軸方向に直進移動する。
以上のように、第1レンズ保持枠8とバリア保持枠1が異なるカム溝に倣って光軸方向に直進移動する構成をとることにより、第1レンズ保持枠8とバリア保持枠1の相対位置を可変としている。
次に、カメラの電源がオフの状態から電源をオンした後の挙動について説明する。
まず、図6(a)から図6(b)に至る過程、すなわち、鏡筒の沈胴状態(バリア羽根の閉状態)から撮影可能状態(バリア羽根の開状態)へ至る過程について説明する。
図6(a)に示すように、カメラの電源がオフの状態では、レンズ鏡筒110は沈胴状態となっていて、バリア羽根3〜5は閉状態となっている。この状態からメインスイッチ102をオンすると、不図示のズームモータによってカム筒10が回転駆動され、バリア保持枠1は第1レンズ保持枠8に設けられた不図示の直進案内部により回転方向の移動が規制されることで光軸方向に直進移動する。
図6(a)に示すように、レンズ鏡筒の沈胴状態においては、第1レンズ保持枠8の当接部8dの前側(光軸方向被写体側)に、バリア駆動リング2の当接面2b2が位置している。また、バリア駆動リング2の当接面2b2と第1レンズ保持枠8の当接部8dの光軸方向の距離が、第1レンズ9と第1バリア羽根3の光軸方向の距離よりも小さく設定されている。そのため、もしバリア羽根3〜5が動かずに第1レンズが光軸方向に移動することがあっても、第1レンズ9とバリア羽根3〜5に接触するよりも先に、バリア駆動リング2の当接面2b2と第1レンズ保持枠8の当接部8dが当接する。これによって、第1レンズ9の光軸方向の移動に制限をかけ、第1レンズ9とバリア羽根3〜5への接触を防いでいる。この構成は図8を用いて後述する。
電源オフの状態では、付勢部材6で付勢されているバリア駆動リング2が、バリア駆動リング2のフォロアアーム2aと作動壁10cとが当接した状態となり、バリア駆動リング2の回転が規制されている。しかし、電源がオンされ、カム筒10が回転することで、バリア駆動リング2のフォロアアーム2aもばねなどの付勢部材6の力により追従して回転する。バリア駆動リング2の回転により、バリア羽根3〜5のすべてが開方向に回転移動する。バリアが開状態となるとバリア駆動リング2の回転が停止され、バリア羽根3〜5が開状態に維持される。
図7において、鏡筒の沈胴状態(バリア閉状態)からバリア開状態への移動区間を第1の区間S1とする。図7に示すように、第1の区間S1において、カム溝10a及び10bは略平行に形成される。そのため、第1の区間S1における第1レンズ保持枠8の光軸方向の移動量X1とバリア保持枠1の光軸方向の移動量Y1は同一であり、第1レンズ保持枠8とバリア保持枠1の相対位置は同一の状態が保持される。
次に、図6(b)から図6(c)に至る過程、すなわち、バリア羽根の開状態からレンズ鏡筒の繰り出し状態(撮影可能状態)へ至る過程について説明する。
図6(b)に示すバリア羽根の開状態から、カム筒10が所定量回動することにより、図6(c)に示すように、バリア保持枠1と第1レンズ保持枠8は撮影可能位置まで繰り出される。図7において、バリア羽根3〜5の開位置から撮影可能位置への移動区間を第2の区間S2とする。第2の区間S2において、カム溝10aの光軸方向の変化量X2が、カム溝10bの光軸方向の変化量Y2よりも大きく形成されている。これにより、第1レンズ保持枠8はバリア筒1に対し、光軸方向の繰り出し量が多くなり、第1レンズ9がバリア羽根3〜5の駆動軌跡まで侵入する。このような構成を取ることにより、撮影可能状態における第1レンズ9とバリアカバー7の光軸方向の間隔が少なくなるため、光入射開口7aにより遮蔽されない光線の角度を広くすることが出来る。すなわち、より広角の光学系を実現できるという効果が得られる。
ところで、バリア羽根の開放動作の際にユーザがバリア羽根3〜5を押さえるなどにより、バリア羽根3〜5の閉位置から開位置への移動が妨げられた場合には、第1レンズ保持枠8の繰り出し量によっては、第1レンズ9がバリア羽根3〜5に接触しうる。なぜなら、第1レンズ保持枠8の繰り出し量がバリア保持枠1の繰り出し量よりも多い構成であり、第1レンズ9がバリア開閉領域に侵入するためである。そこで、本実施例では、バリア羽根3〜5の閉位置から開位置への移動が妨げられた場合に、以下に述べるような第1レンズ9がバリア羽根3〜5に接触することを防ぐためのレンズ接触防止機構を採用している。
本発明の実施の形態に係る、第1レンズ保持枠8の当接部8dとバリア駆動リング2の当接面2b2で構成されているレンズ接触防止機構について、図8を用いて説明する。
図8は被写体側から見たレンズ接触防止機構の光軸方向から見た断面図である。図8(a)はレンズ鏡筒の沈胴状態を示し、図8(b)はレンズ鏡筒の繰り出し状態(撮影可能状態)を示す。ただし、バリア羽根3〜5に外力が加わっていないものとする。
図6(a)及び図8(a)に示すように、レンズ鏡筒の沈胴状態においては、第1レンズ保持枠8の当接部8dの前側(光軸方向被写体側)に、バリア駆動リング2の当接面2b2が位置している。本実施例においては、当接面2b2は周方向に間隔が等しくなるように3箇所配置されている。
一方で、バリア駆動リング2が回転すると、バリア羽根3〜5に外力が加わっていない場合は、バリア羽根3〜5が閉状態から開状態になる。図8(b)に示すように、バリア駆動リング2が回転することで、バリア駆動リング2の当接面2b2の回転位置(光軸周り方向の位置)が変化し、当接面2b2が異物受け溝部8cへと収まる。そのため、この状態で第1レンズ保持枠8が直進して繰り出されても、当接部8dとの当接面2b2の接触は起こらない。つまり、バリア羽根3〜5が開状態の時、当接部8dとの当接面2b2は互いに対向しない位置関係となる。
一方で、外力が加えられるなどにより、バリア羽根3〜5の開閉が出来ない場合には、図8(a)の位置からバリア駆動リング2の回転が規制される。つまり、本来ならばバリア駆動リング2の当接面2b2が異物受け溝部8cへ収まる位置まで回転するはずが、外力によって回転が妨げられるので、回転が不十分になる。そのため、バリア駆動リング2の当接面2b2の位置が、第1レンズ保持枠8の当接部8dの位置と光軸方向から見て重なることになる。よってバリア羽根3〜5が閉状態もしくは開閉できない時、当接部8dとの当接面2b2は互いに対向する位置関係となる。
この状態で第1レンズ保持枠8が直進して繰り出されると、第1レンズ9とバリア羽根3が接触するよりも先に、第1レンズ保持枠8の当接部8dがバリア駆動リング2の当接面2b2に接触する。つまり、バリア駆動リング2の当接面2b2がストッパとなって、直進しようとする第1レンズ保持枠8の当接部8dに接触し、第1レンズ保持枠8の直進を妨げる。
これによって、第1レンズ保持枠8の直進が妨げられ、第1レンズ9とバリア羽根3〜5の接触を防ぐことができる。バリア駆動リング2の当接面2b2と第1レンズ保持枠8の当接部8dの光軸方向の距離が、第1レンズ9と第1バリア羽根3の光軸方向の距離よりも小さく設定されているため、この効果を得られる。
また、第1レンズ9とバリア羽根3〜5の接触をより高い精度で防ぐために、当接部8dは第1レンズ9から近い位置(第1レンズ9の外側周辺部)に形成される。また、当接部8dは、フォロアアーム2aが貫通する貫通部としての円弧孔8bよりも光軸に近い側に(鏡筒の径方向中心側に)複数形成している。
これによって、当接面2b2が第1レンズ9の光軸中心からの距離が遠い位置で当接部8dに接触するときよりも、駆動力がかかることによる部材の撓みなどの影響で第1レンズ9とバリア羽根3〜5が接触してしまう事態を高い確率で回避することができる。
本実施例では、当接部(当接面2b2、当接部8d)が周方向に間隔が等しくなるように3箇所形成されているため、高い精度で当接を実現することができる。また、当接部8dは第1レンズ9から近い位置(第1レンズ9の外周部)にあって、第1レンズ9から近い位置で接触防止機構が作用するため、撓みなどの影響でレンズとバリアが接触することも起こりにくい。よって、高い精度で接触防止が実現できる。
本実施例では、上述したように、第1レンズ9に隣接する異物受け溝部8cに形成された当接部8dと、バリア駆動リング2の当接面2b2により、第1レンズ9の第1バリア羽根3への接触防止を行っている。第1レンズ9から非常に近い位置において、接触防止機構が作用するため、高い精度で接触防止が実現できる。また、円弧孔1a、8bをあけることによるバリア保持枠1及び第1レンズ保持枠8の強度低下を最小限に抑えることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
2 バリア駆動リング
2a フォロアアーム
2b 延出部
8 第1レンズ保持枠
8c 異物受け溝
8d 当接部

Claims (5)

  1. 撮影可能な状態である繰り出し状態と撮影不可能な状態である沈胴状態になるレンズ鏡筒であって、
    カム筒と、
    レンズを保持し、駆動部からの駆動力で前記カム筒が回転することで、光軸方向に移動するレンズ保持部材と、
    前記レンズの光軸方向において前記レンズよりも被写体側に配置されており、前記光軸方向と交差する方向に開閉可能なバリア部材と、
    前記レンズの光軸方向において前記レンズ保持部材よりも被写体側に配置されており、前記レンズ鏡筒が前記沈胴状態となるときには前記バリア部材が閉状態になり、前記レンズ鏡筒が前記繰り出し状態となるときには前記バリア部材が開状態になるように、前記バリア部材を駆動するバリア駆動部材と、を備え、
    前記バリア駆動部材は、前記駆動部からの駆動力で前記カム筒が回転することで、前記バリア駆動部材の像面側に伸びた第1の突起部と前記カム部材の被写体側に伸びた第2の突起部が当接することで前記バリア部材を開閉可能としており、
    前記バリア駆動部材には、前記レンズ保持部材に向けて延出されている延出部が形成されており、
    前記レンズ保持部材には、前記延出部が当接する当接部が形成されており、
    前記延出部は、前記レンズ保持部材を貫通することなく前記当接部に当接しており、
    前記延出部は、前記レンズ鏡筒の周方向において、前記第1の突起部と異なる位相に設けられており、
    外力が前記バリア部材に加えられた場合、前記バリア部材が前記開状態となるように、前記バリア部材が前記バリア駆動部材に駆動されているとき、前記延出部は前記当接部に当接することなく
    外力が前記バリア部材に加えられた場合、前記バリア部材が前記閉状態となるように、前記バリア部材が前記バリア駆動部材に駆動されているとき、前記延出部が前記当接部に当接することを特徴とするレンズ鏡筒。
  2. 前記レンズ保持部材には、前記レンズを保持する保持部が形成されており、
    前記保持部は前記当接部を除いた位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
  3. 前記レンズ鏡筒が前記繰り出し状態となるときには、前記バリア部材が開閉する際の移動軌跡に前記レンズが侵入することを特徴とする請求項1または2に記載のレンズ鏡筒。
  4. 前記延出部は、前記レンズ鏡筒の径方向において、前記第1の突起部よりも内側に設けられている請求項1乃至3の何れか一項に記載のレンズ鏡筒。
  5. 請求項1乃至4の何れか一項に記載のレンズ鏡筒を有する撮像装置。
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