JP6082531B2 - 冷却容器 - Google Patents

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Description

容器内で液体の冷媒を介して被冷却物の冷却を行う冷却容器に関する。
SMES(Superconducting Magnetic Energy Storage:超電導磁気エネルギー貯蔵装置)、超電導変圧器、超電導限流器、NMR(Nuclear Magnetic Resonance:核磁気共鳴)、半導体引上げ装置等に強磁場の発生源となる超電導マグネット等の分野では、ニオブ・チタン(NbTi)を代表とする金属系の超電導線材が使用されている。しかしながら、金属系の超電導線を超電導化するにはヘリウムの沸点温度(4K)程度に冷却しなければならず、そのため冷凍機の冷却効率(COP)が非常に低くなり多くの電力を消費してしまう問題と、ヘリウムはそれ自体が高価であるという問題があった。
通常、超電導線材はコイル化され、冷却するためクライオスタットと呼ばれる真空断熱化された冷却容器に収納される。このクライオスタットの断熱性能が機器の運転コストを大きく左右する。一般的にヘリウム冷凍機の冷凍能力は1W程度であり、クライオスタットへの侵入熱がこれより大きいと複数台の冷凍機を搭載することになり電力使用量が大幅に増加する。増設しない場合はヘリウムが徐々に蒸発して抜けていき、非常に高価なヘリウムの補充費用がかかってくる。
従って、エネルギーコストや運用コストの低減のために、現在開発が進められている高温超電導線材(酸化物系)へ転換するための研究が進められつつある。この高温超電導線材を利用すれば、より高温下で超電導が実現され、冷媒としてヘリウムではなく、より安価な窒素を利用することが可能となるからである。
しかしながら、いずれの冷媒を利用するにも、できるだけ侵入熱の小さいクライオスタットの開発が望まれていた。
特許文献1に示す、従来の冷却容器では、冷媒である液体窒素及び超電導コイルを格納する内槽と、内槽全体を格納する外槽と、冷凍ヘッドが内槽の内側まで延出された冷凍機とを備えており、内槽と外槽との間を真空化して真空断熱構造を構成し、熱侵入を防止している。
また、特許文献2に示す、従来の冷却容器では、内壁と外壁との間を真空化し、上部が開放された二重壁面構造の冷媒槽に液体窒素を貯留し、冷媒槽の上部を閉塞する蓋板に冷凍機を装備してその冷却ヘッドから液面近くまで伝熱部材を吊下して冷却を行っている。
特開2006−165418号公報 特開2009−283679号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の冷却容器は、冷凍機の冷却ヘッドや超電導コイルが開閉困難な内槽の内側に配設されていることから、定期的にメンテナンスが必要な冷凍機の取り付け、取り外しや超電導コイルのメンテナンスが極めて困難であった。
さらに、この冷却容器は、その冷却ヘッドを液体窒素に浸漬して冷却する構造であるため、冷凍機が停止した場合に冷却ヘッドを通じて熱侵入が生じ、槽内が昇温してしまうという問題があった。
一方、特許文献2に記載の冷却容器は、冷媒槽が蓋板を備え、これを開放することで冷媒槽の内部にアクセスすることが可能となり、これによりメンテナンス性能を高めている。
また、冷凍機の冷却ヘッド及びこれに吊下装備された伝熱部材はいずれも液面に接触させない構成が例示されており、この例の場合には、冷凍機からの熱侵入を抑制する効果がある。
しかしながら、引用文献2の構造の場合、冷却ヘッド及び伝熱部材に接触している冷媒ガスが液化し、そのため周囲の冷媒ガスが集結してくるため、それにより冷媒槽の内部に対流が発生する。その結果、真空断熱構造を施されていない蓋板付近の温かい冷媒ガスも対流により冷却ヘッドと伝熱部材に集結するため、冷凍機は室温付近に温まった冷媒ガスを沸点近くまで冷却するための仕事と液化させるための気化潜熱分の仕事とをする必要があり、結果的に冷凍機に大きな冷凍能力が必要となるという問題があった。
また、対流が発生すると蓋板が冷却され、外部の空気中の水分が蓋板の上面で結露する。そして、この蓋板に冷却容器内で冷却する超電導線材に通電を行うための電流リード等が設けられていると、結露した水分により絶縁低下が起きる可能性があるという問題もあった。
本発明は、メンテナンスが容易で熱侵入が少なく冷却効率の高い冷却容器の提供を図ることをその目的とする。
本発明は、内側容器と外側容器とを有し、これら相互間が真空断熱されると共に上部に開口部を有する冷媒容器と、前記冷媒容器の開口部を閉塞可能な蓋体と、前記蓋体に支持された冷凍機と、を備え、前記冷媒容器の内側容器内に液体冷媒が収容され、前記蓋体を貫通する前記冷凍機の冷却部は、前記内側容器内の液体冷媒の液面上方で垂下支持され、前記内側容器内おいて、前記垂下支持された冷却部を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽する隔壁部を備えることを特徴とする。
また、前記隔壁部は、前記冷却部の周囲を覆う側壁部を有する構成しても良い。
さらに、前記隔壁部は、前記冷却部の上方を覆う天板部を有する構成しても良い。
また、前記側壁部の上端部は前記蓋体の下面に接しており、当該側壁部と前記蓋体との協働により前記冷却部の周囲及び上方を囲繞する構成としても良い。
また、前記冷凍機の冷却部の周囲を前記内部容器の内壁に至る範囲まで断熱材料で満たす構成としても良い。
さらに、前記断熱材は、前記蓋体又は前記隔壁部に固定されている構成としても良い。
また、前記隔壁部の側壁部を、下方に向かうに従って拡径する形状としても良い。
また、前記液体冷媒を液体窒素としても良い。
また、前記超電導機器に通電を行うための電流リードを前記蓋体に貫通装備しても良い。
本発明は、冷媒容器に開閉可能な蓋体を備えるので、内部へのアクセスが容易となり、冷凍機の冷却部や内部に収容される被冷却物に関するメンテナンス作業を容易に行うことが可能である。
また、冷凍機の冷却部を内側容器内の液体冷媒の液面上方で垂下支持しているので、冷却部と液体冷媒を非接触とし、冷凍機から熱侵入を防止することが可能である。
なお、ここで「冷却部」とは冷凍機において外部に対して冷却効果を生じる低温部位をいう。例えば、シリンダを用いた蓄冷式冷凍機の場合には、シリンダにおける低温側の端部を示す。
さらに、本発明は、隔壁部を備えるので、垂下支持された冷却部に対して周囲及び上方からの対流冷媒ガスを遮断することができ、これにより、内部容器内における冷媒ガスの対流の発生を抑制すると共に、蓋体付近で暖められた冷媒ガスを沸点近くまで冷却するための仕事分の冷却能力が不要となり、効率的な冷却を行うことが可能となる。また、これにより、冷凍機をより能力の小さい小型ものに替えることも可能となる。
また、冷凍機は蓋体に貫通し、その冷凍機の端部に冷却部が支持され、隔壁部は冷却部の周囲を覆うように装備されているので、これらを一体的に取り外しが可能であり、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
また、冷凍機の冷却部の周囲を内部容器の内壁に至る範囲まで断熱材で満たす構成とした場合には、蓋体からの熱侵入を効果的に防止することができる。
また、断熱材を蓋体又は隔壁部に固定した場合には、これらを一体的に取り外しが可能であり、メンテナンス時の作業性を向上することができる。
隔壁部の側壁部を下方に向かうに従って拡径する形状とした場合、液体冷媒の液面から気化した冷媒ガスを冷却部に効果的に導くことができ、蓋体近辺に達して暖められる前に液化することができ、効率良く冷却を行うことが可能となる。
液体冷媒を液体窒素とした場合、ヘリウムを冷媒とする場合よりも冷却温度を高く設定することができ、また、熱侵入の熱量の許容幅も大きくなるので、冷凍機をより能力の小さい小型ものに替えることも可能となる。また、消費しやすく高価なヘリウムと異なり、液体窒素は消費を抑え安く廉価であることから、ランニングコストの低減を図ることも可能となる。
超電導機器の電流リードを蓋体に装備する構成とした場合、超電導機器に対する配線作業、定期検査、修理等のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
また、蓋体に電流リードを貫通装備する構成とした場合であっても、隔壁部により冷媒ガスの対流を抑制することで蓋体上面での冷却による結露の発生を低減し、絶縁低下の防止を図ることが可能となる。
発明の実施形態に係るクライオスタットの垂直平面に沿った断面図である。 比較例としてのクライオスタットの垂直平面に沿った断面図である。 隔壁部の他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 隔壁部のさらに他の例を示す一部構成を省略した断面図である。 図2のクライオスタットにおける冷媒容器内の冷媒ガス温度、液体冷媒液面温度、熱交換器の表面温度の温度変化及び冷媒ガス圧力変化を示した線図である。 図1のクライオスタットにおける冷媒容器内の冷媒ガス温度、液体冷媒液面温度、熱交換器の表面温度の温度変化及び冷媒ガス圧力変化を示した線図である。 図9のクライオスタットにおける冷媒容器内の冷媒ガス温度、液体冷媒液面温度、熱交換器の表面温度の温度変化及び冷媒ガス圧力変化を示した線図である。
[実施形態の概略]
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
この実施形態では、超電導機器としての超電導コイル90を収容して冷却を図る冷却容器としてのクライオスタット10について説明するものとする。図1はクライオスタット10の垂直平面に沿った断面図である。
このクライオスタット10は、液体冷媒である液体窒素と被冷却物としての超電導コイル90とを収容する冷媒容器20と、上部が開口した冷媒容器20の上部開口を閉塞可能な蓋体30と、冷媒容器20の内部を冷却する冷凍機40と、冷凍機40の冷却部の周囲及び上方からの対流する冷媒ガスを遮断する隔壁部50と備えている。
[冷媒容器]
冷媒容器20は、内側容器21と外側容器22とからなり、これら相互間が真空断熱された二重壁面構造の有底容器である。
内側容器21は、上下方向に沿った円筒状であって、下端部が閉塞されて底部をなし、上端部が開放されている。
外側容器22と、やはり上下方向に沿った円筒状であって、下端部が閉塞されて底部をなし、上端部が開放されている。そして、この外側容器22は、内側容器21よりに一回り大きく形成され、内側容器21を内側に格納している。さらに、内側容器21の外周面及び底部下面と外側容器22の内周面及び底部上面とが相互に隙間空間を形成するように、内側容器21と外側容器22の上端部同士が接合されて一体化されている。また、内側容器21と外側容器22の互いの隙間空間は真空引きが行われた状態で密閉状態を維持しつつ接合が行われる。
また、内側容器21と外側容器22との隙間空間には、円筒部及び底部の全域に渡って、アルミニウムを蒸着させたポリエステルフィルムが積層されてなるスーパーインシュレーション材23が介在し、外部からの輻射熱の遮断を図っている。
[蓋体]
内側容器21と外側容器22の接合部は水平に平滑化されており、このリング状の平滑面上に円板状の蓋体30が載置装備されている。
この蓋体30は、冷媒容器20内へのアクセスができるように、冷媒容器20からの着脱が可能な状態で取り付けられている。例えば、蓋体30と冷媒容器20の相互間の凹凸形状による嵌合構造或いはボルト止め等周知の方法で蓋体30が冷媒容器20に対して固定される。
なお、この蓋体30は、冷凍機40を載置し、超電導コイル90を吊下支持するので、これらを支持することが可能な強度を有しつつも断熱性が極力高い材料から形成される。
また、前述した内側容器21の内部には超電導機器としての超電導コイル90が収容される。そして、蓋体30には、超電導コイル90に接続される二つの電流リード91,91が上下に貫通した状態で固定装備されている。各電流リード91,91は、一端が図示しない超電導コイル90の電源装置に接続され、他端が冷媒容器20内の超電導コイル90から引き出されたケーブルにそれぞれが接続されている。そして、各電流リード91,91は、その表面にエポキシ等により絶縁被膜が形成されており、当該被膜を介して蓋体30に密着装備されていることから、蓋体30を冷媒容器20から取り外すことにより、電流リード91,91を通じて超電導コイル90を冷媒容器20内から取り出すことができ、超電導コイル90に対するメンテナンスを容易に行うことが可能である。
[冷凍機]
冷凍機40は、蓄冷式のいわゆるGM冷凍機であり、蓄冷材を内部に保有するディスプレーサ容器を上下に往復させるシリンダ部41と、ディスプレーサ容器に上下の移動動作を付与するモータを駆動源とするクランク機構が格納された駆動部42と、シリンダ部41において最も低温となる低温伝達部43に設けられた熱交換部材としての熱交換器44とを備えている。
また、上記冷凍機40には、図示しないコンプレッサ等が接続され、その内部に対して冷媒ガスの吸排気が行われるようになっている。
上記冷凍機40は、蓋体30の上面中央に駆動部42が取り付けられ、シリンダ部41は蓋体30を貫通して冷媒容器20の内側に垂下されている。
シリンダ部41ではその内部で冷媒ガスが下方に移動する過程で断熱圧縮と吸熱が行われ、その下端部が最も低温状態となる。
そして、この最も低温となるシリンダ部41の下端部に低温伝達部43が形成されている。この低温伝達部43は、シリンダ部41の下部よりも底面積が大きな円形の平板状に形成されており、周囲との熱伝導性が高められている。
熱交換器44は、シリンダ部41と同等又はそれ以上の熱伝導率の高い素材で形成されている。また、熱交換器44の上部は低温伝達部43の底面に密着し、下部は下方に延びる複数のフィンが形成されている。この構造により、熱交換器44は、周囲の冷媒ガスとの接触面積を拡張し、冷媒ガスとの熱伝導性がより高められており、冷媒ガスに対する高い冷却効果が得られる構造となっている。
そして、上記低温伝達部43と熱交換器44とが、冷凍機40の冷却部として機能する。
[隔壁部]
隔壁部50は、冷媒容器20内において、冷凍機40のシリンダ部41に固定支持され、冷却部である低温伝達部43及び熱交換器44の上側とその周囲とを囲繞して、下方を除く全方向からの冷媒ガスを遮断している。
この隔壁部50は、シリンダ部41が貫通した状態で当該シリンダ部41に固定された天板部51と円筒状の側壁部52とからなり、側壁部52の上端部を塞ぐように天板部51が一体的に接合されている。また、この隔壁部50は、低温伝達部43及び熱交換器44よりも熱伝導率の低い、例えば、ステンレス材、或いは、いわゆる発泡樹脂断熱材、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレンや、FRP、低温耐性のある樹脂等から形成されている。
隔壁部50の天板部51は、外径が低温伝達部43より幾分大きく且つ当該低温伝達部43の上面に接触しないよう隙間を形成した状態でシリンダ部41に固定されている。
側壁部52は、上端部に天板部51が設けられ、下端部が開放されている。そして、その内径が低温伝達部43及び熱交換器44の外径よりも幾分大きく、これらに接触しないように内包した状態となっている。
また、側壁部52と前述した熱交換器44は、その下端部が、冷媒容器20内の液体冷媒60の液面61の上限高さに近接し且つ液面61の上限高さに届かない高さに設定されている。即ち、この冷媒容器20に収容される液体冷媒60の量は、液面61が規定の上限高さを超えないよう管理される。
また、冷媒容器20内に液体冷媒60を自動的に補充する補充装置を設ける場合には、液面高さの検出装置を冷媒容器20に設け、液面61が規定の上限高さを超えないように補充装置を制御することが望ましい。
[実施形態の技術的効果]
図2は上記クライオスタット10から隔壁部50を除去した比較例としてのクライオスタット10Xを示している。このクライオスタット10Xのように、隔壁部50が存在しない場合には、冷媒容器20内の液体冷媒60は蓋体30側からの熱侵入や超電導コイル90から発生する熱により気化して冷媒ガスが発生する。そして、かかる状態で冷凍機40による冷却が行われると、冷媒ガスは低温伝達部43及び熱交換器44の周囲で冷却され、液化して下方の液体冷媒60に戻される。これにより、蓋体30の近傍で暖められた冷媒ガスも低温伝達部43及び熱交換器44に引き寄せられ、図2に示す矢印Yのように液面61から上昇した冷媒ガスが蓋体30の下面に沿って冷凍機40側に集まり、シリンダ部41に沿って下降する冷媒ガスの対流が形成される。これにより、蓋体30の下側で暖められた冷媒ガスを液化温度まで冷却し、さらに、気体を液化させるための仕事を必要とするため、多大な冷却能力が必要となる。
一方、クライオスタット10では、隔壁部50が低温伝達部43及び熱交換器44の上方及び周囲を囲んでいるので、隔壁部50の下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、クライオスタット10Xのような冷媒ガスの対流が発生せず、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、蓋体30の裏で暖められた冷媒ガスを冷却液化させるような状態が発生し難くなり、必要となる冷却能力を低減することが可能となる。そして、これにより、冷凍機40をより能力の小さい小型ものに替えることも可能となる。また、冷凍機40の電力消費を低減することも可能となる。
また、上記隔壁部50を断熱材料で形成しているため、隔壁部50内の冷媒ガスが外側の冷媒ガスにより暖められて冷却の効率を損なうことが回避され、効率良く冷却を行うことが可能となる。
また、隔壁部50は、天板部51及び側壁部52がいずれも低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
その他、クライオスタット10は、蓋体30に電流リード91,91を固定装備し、蓋体30は冷媒容器20から取り外し可能であるため、超電導コイル90や冷媒容器20内へのアクセスが容易となり、メンテナンス性を向上させることが可能である。
さらに、蓋体30に電流リード91,91が設けられているが、隔壁部50による冷媒ガスの対流が押さえられるので、蓋体30そのものに対する冷却が押さえられ、その上面での結露が低減し、各電流リード91,91の絶縁低下の防止を実現することが可能となる。
また、冷媒容器20に収容する液体冷媒を液体窒素としているので、ヘリウムを冷媒とする場合よりも冷却温度を高く設定することができ、また、熱侵入の熱量の許容幅も大きくなるので、冷凍機40をより能力の小さい小型ものに替えることが可能となる。また、消費しやすく高価なヘリウムと異なり、液体窒素は消費を抑え安く廉価であることから、ランニングコストの低減を図ることも可能となる。
[隔壁部の他の例(1)]
図3は他の例としての隔壁部50Aを備えるクライオスタット10Aを一部省略して図示している。クライオスタット10Aにおいて隔壁部50A以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
この隔壁部50Aは、天板部51を有しておらず、上下が開口した円筒状の側壁部のみからなり、その上端部は蓋体30の下面に固着され、下端部は液体冷媒60の液面61の上限高さ近くまで延びた状態で垂下されている。また、この隔壁部50Aは前述した隔壁部50と同一材料から形成されている。また、この隔壁部50Aの内径は低温伝達部43及び熱交換器44の外径よりも幾分大きく且つこれらとの非接触状態を維持できる値に設定されている。
つまり、この隔壁部50Aは、蓋体30との協働により、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50Aの下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、上記隔壁部50Aを断熱材料で形成することで冷却効率を高めることが可能となる。
また、隔壁部50Aは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、隔壁部50Aは、円筒状の部材からなり、蓋体30に固着すれば良いので、製造及び組み立てが容易にとなる利点がある。
また、隔壁部50Aは、冷凍機40のシリンダ部41に支持される構造ではないので、当該シリンダ部41に負担を与えず、冷凍機40の耐久性の向上を図ることが可能となる。
[隔壁部の他の例(2)]
図4は他の例としての隔壁部50Bを備えるクライオスタット10Bを一部省略して図示している。クライオスタット10Bにおいて隔壁部50B以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
この隔壁部50Bは、冷媒容器20内における液体冷媒60の液面61の上限高さより上側のほぼ全体の領域を埋める、隔壁部50はステンレス材、或いは、いわゆる発泡樹脂断熱材、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレンや、FRP、低温耐性のある樹脂等からなり、冷凍機40のシリンダ部41、低温伝達部43及び熱交換器44を挿通する上下に貫通した挿通穴53Bを有している。この隔壁部50Bは、その上端部は蓋体30の下面に固着され、下端部は液面61の上限高さの近くまで迫るようにその厚みが設定されている。
また、挿通穴53Bの内径は、低温伝達部43及び熱交換器44の外径よりも幾分大きく且つこれらとの非接触状態を維持できる値に設定されている。
また、その外周面は内側容器21の内面に対して多少の隙間が形成されており、これにより、蓋体30の取り外し等の作業性の向上を図っている。なお、冷媒ガスの対流防止の観点から、上記隙間は小さい方が良い。
また、隔壁部50Bには二つの電流リード91,91を通す貫通穴が形成されている。
かかる構造により、隔壁部50Bは、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50Bの下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、隔壁部50Bは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、隔壁部50Bは、液体冷媒60の液面61より上の領域全体を埋めているので、蓋体30の下面に到達する冷媒ガスを極力低減し、冷媒ガス温度の上昇を効果的に抑制する。また、隔壁部50Bは、液体冷媒60の液面61より上の領域全体を埋めているので、液面から気化した冷媒ガスのほぼ全体が挿通穴53B内に導かれ、発生する冷媒ガスのほとんどを低温伝達部43及び熱交換器44にて冷却することができ、より高効率の冷却を行うことが可能となる。このため、さらに小型の冷凍機40を使用することが可能となる。
また、隔壁部50Bは、断熱材料からなるので、蓋体30からの熱侵入を効果的に防止することが可能である。また、隔壁部50Bは、冷媒ガスの対流の発生空間を埋めているので、対流を効果的に防止することが可能である。
なお、低温伝達部43の上面から蓋体30の下面までの空間も隔壁部50Bの断熱材料で埋めても良い。かかる構造により、低温伝達部43の上方への冷媒ガスの回り込み量を低減し、冷却効率を高めることが可能となる。なお、その場合、断熱材料と低温伝達部43の上面との間には隙間を設けることが望ましい。
[隔壁部の他の例(3)]
図5は他の例としての隔壁部50Cを備えるクライオスタット10Cを一部省略して図示している。クライオスタット10Cにおいて隔壁部50C以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
この隔壁部50Cは、熱交換器44の下部の周囲に設けられ、上下が開口した円筒状の側壁部52Cと、冷媒容器20内における側壁部52Cの上端位置より上側のほぼ全体の領域を埋める断熱ブロック54Cからなり、これらは隔壁部50と同一材料から形成されている。
側壁部52Cは、その上端部は断熱ブロック54Cの下面に固着され、下端部は液体冷媒60の液面61の上限高さ近くまで延びた状態で垂下されている。また、この側壁部52Cの内径は低温伝達部43及び熱交換器44の外径よりも幾分大きく且つこれらとの非接触状態を維持できる値に設定されている。
断熱ブロック54Cは、冷凍機40のシリンダ部41、低温伝達部43及び熱交換器44を挿通する上下に貫通した挿通穴53Cを有しており、側壁部52Cの内部と一体的に連通している。また、この断熱ブロック54Cは、その上端部は蓋体30の下面に固着され、下端部は側壁部52Cの上端部の高さとなるようにその厚みが設定されている。
なお、この隔壁部50Cの例では、側壁部52Cと断熱ブロック54Cがほぼ同じ厚さに設定されているが、これらの高さ比率は適宜変更しても良い。
また、断熱ブロック54Cの外周面は内側容器21の内面に対して多少の隙間が形成されており、これにより、蓋体30の取り外し等の作業性の向上を図っている。なお、冷媒ガスの対流防止の観点から、上記隙間は小さい方が良い。
また、断熱ブロック54Cには二つの電流リード91,91を通す貫通穴が形成されている。
かかる構造により、隔壁部50Cは、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50Cの下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、隔壁部50Cは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、断熱ブロック54Cは、蓋体30の下側の領域全体を埋めているので、蓋体30の下面に到達する冷媒ガスを極力低減し、冷媒ガス温度の上昇を効果的に抑制する。また、断熱ブロック54Cは、断熱材料からなるので、蓋体30からの熱侵入を効果的に防止することが可能である。これにより、冷媒ガスの対流の発生を効果的に抑制し、冷媒ガスの冷却を効果的に行うことが可能となる。このため、冷凍機40の小型化を図ることが可能となる。また、隔壁部50Cは、冷媒ガスの対流の発生空間を広範囲で埋めているので、対流を効果的に防止することが可能である。
なお、低温伝達部43の上面から蓋体30の下面までの空間も隔壁部50Cの断熱材料で埋めても良い。かかる構造により、低温伝達部43の上方への冷媒ガスの回り込み量を低減し、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。なお、その場合、断熱材料と低温伝達部43の上面との間には隙間を設けることが望ましい。
[隔壁部の他の例(4)]
図6は他の例としての隔壁部50Dを備えるクライオスタット10Dを一部省略して図示している。クライオスタット10Dにおいて隔壁部50D以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
この隔壁部50Dは、天板部51を有しておらず、上下が開口した円筒状の側壁部52Dと、側壁部52Dの下端部から内側容器21の内周面までの全域を覆う底板部55Dを備え、この隔壁部50Dの全体は前述した隔壁部50と同一材料から形成されている。
上記側壁部52Dの上端部は蓋体30の下面に固着され、下端部は液体冷媒60の液面61の上限高さの近くまで垂下されている。また、この側壁部52Dの内径は低温伝達部43及び熱交換器44の外径よりも幾分大きく且つこれらとの非接触状態を維持できる値に設定されている。
また、底板部55Dは、側壁部52Dの下端部から外側に向かって内側容器21の内面近くまで広がっており、熱交換器44の直下となる部分を除いて、液体冷媒60の液面61の全体を覆っている。なお、底板部55Dの外周は内側容器21の内面との間に隙間を形成しているが、当該隙間は冷媒ガスの対流を生じさせるのでより狭くすることが望ましい。
また、隔壁部50Dの底板部55Dには二つの電流リード91,91を通す貫通穴が形成されている。
かかる構造により、隔壁部50Dは、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50Dの下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、隔壁部50Dは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、隔壁部50Dは、底板部55Dが液体冷媒60の液面61のほぼ全体を覆っているので、蓋体30の下面に到達する冷媒ガスを極力低減し、冷媒ガス温度の上昇を効果的に抑制する。また、底板部55Dにより、液面から気化した冷媒ガスのほぼ全体が側壁部52Dの内側に導かれ、発生する冷媒ガスのほとんどを低温伝達部43及び熱交換器44にて冷却することができ、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。このため、さらに小型の冷凍機40を使用することが可能となる。
なお、低温伝達部43の上面から蓋体30の下面までの空間も隔壁部50Dの断熱材料で埋めても良い。かかる構造により、低温伝達部43の上方への冷媒ガスの回り込み量を低減し、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。なお、その場合、断熱材料と低温伝達部43の上面との間には隙間を設けることが望ましい。
また、或いは、隔壁部50Dの側壁部52Dの上端部に、隔壁部50と同様に天板部51を設け、当該天板部51により、隔壁部50D全体を冷凍機40のシリンダ部41に固定支持させる構造としても良い。この場合も、低温伝達部43の上方への冷媒ガスの回り込み量を低減し、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。
[隔壁部の他の例(5)]
図7と図8とは、それぞれ、他の例としての隔壁部50E,50Fを備えるクライオスタット10E,10Fを一部省略して図示している。クライオスタット10E及び10Fにおいて隔壁部50E及び50F以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
これらの隔壁部50E,50Fは、いずれも、冷凍機40のシリンダ部41,低温伝達部43及び熱交換器44の周囲を囲繞する側壁部からなり、当該側壁部の上端部は蓋体30の下面に固着され、当該側壁部の下端部は下方に向かうに従って拡径して、内側容器21の内面に近接している。また、隔壁部50E,50Fの下端部は液体冷媒60の液面61の上限高さ近くまで下方に延びている。
また、これらの隔壁部50E,50Fは前述した隔壁部50と同一材料から形成されており、これらの隔壁部50E,50Fの上端部の内径はシリンダ部41の外径よりも幾分大きく設定され且つシリンダ部41との非接触状態を維持できる値に設定されている。また、隔壁部50E,50Fの下端部の外周は内側容器21の内面との間に隙間を形成しているが、当該隙間は冷媒ガスの対流を生じさせるのでより狭くすることが望ましい。
そして、隔壁部50Eはストレートに傾斜して拡径する形状であり、隔壁部50Fはその断面形状が内側に凹となるように湾曲して拡径する形状となっている。
また、隔壁部50E,50Fにはいずれも二つの電流リード91,91を通す貫通穴が形成されている。
かかる構造により、隔壁部50E,50Fは、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50E,50Fの下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、隔壁部50E,50Fは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、隔壁部50E,50Fは、その下端部が液体冷媒60の液面61のほぼ全体を覆っているので、蓋体30の下面に到達する冷媒ガスを極力低減し、冷媒ガス温度の上昇を効果的に抑制する。また、その下端部により、液面から気化した冷媒ガスのほぼ全体を低温伝達部43及び熱交換器44に導いて冷却することができ、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。このため、さらに小型の冷凍機40を使用することが可能となる。
また、隔壁部50E,50Fは、その下端部が拡径している形状であり、その外周面は内側容器21の内面に対して多少の隙間が形成されており、これにより、蓋体30の取り外し等の作業性の向上を図っている。なお、冷媒ガスの対流防止の観点から、上記隙間は小さい方が良い。
なお、隔壁部50E,50Fの上端部に、隔壁部50と同様に天板部51を設け、当該天板部51により、隔壁部50E,50F全体を冷凍機40のシリンダ部41に固定支持させる構造としても良い。かかる構造により、低温伝達部43の上方への冷媒ガスの回り込み量を低減し、液面に対する熱回収の交換率を高めることが可能となる。
[隔壁部の他の例(6)]
図9は他の例としての隔壁部50Gを備えるクライオスタット10Gを一部省略して図示している。クライオスタット10Gにおいて隔壁部50G以外の構成についてはクライオスタット10と同一である。
この隔壁部50Gは、前述した隔壁部50と、隔壁部50の外周から内側容器21の内周面に至るまでのほぼ全体の領域を埋める断熱材53Gとから構成されている。
断熱材53Gの穴径は隔壁部50の外径と略一致し、断熱材53Gの内周面と隔壁部50の外周面とが隙間なく密着している。
また、断熱材53Gは、その上端面は蓋体30の下面に密着し、下端面は隔壁部50の高さ方向の中間位置より幾分下に位置している。なお、この断熱材53Gの下端部の高さは適宜変更しても良い。例えば、より液面近くとしても良い。
また、断熱材53Gの外周面は内側容器21の内面に対して多少の隙間が形成されており、これにより、蓋体30の取り外し等の作業性の向上を図っている。なお、冷媒ガスの対流防止の観点から、上記隙間は小さい方が良い。
また、断熱材53Gには二つの電流リード91,91を通す貫通穴が形成されている。
また、この断熱材53Gは、隔壁部50若しくは蓋体30の何れか一方又は双方に対して固着して一体的に連結しても良い。
かかる構造により、隔壁部50Gは、冷凍機40の低温伝達部43及び熱交換器44を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽することができ、また、隔壁部50の下方から内側に入ってくる冷媒ガスが主に冷却され、液体冷媒に戻されるため、冷媒ガスの対流が発生し難くなり、液面と熱交換器44との間で小さな対流が主に生じる。従って、必要となる冷却能力を低減し、冷凍機40を小型化し、冷凍機40の電力消費の低減を図ることを可能とする。
また、隔壁部50Gは、低温伝達部43と熱交換器44に接触又は密着していないので、低温伝達部43及び熱交換器44の表面全体で効率良く冷媒ガスの冷却を行うことが可能である。
また、断熱材53Gは、蓋体30の下側の領域全体を埋めているので、蓋体30の下面に到達する冷媒ガスを極力低減し、冷媒ガス温度の上昇を効果的に抑制する。また、断熱材53Gは、断熱材料からなるので、蓋体30からの熱侵入を効果的に防止することが可能である。これにより、冷媒ガスの対流の発生を効果的に抑制し、冷媒ガスの冷却を効果的に行うことが可能となる。このため、冷凍機40の小型化を図ることが可能となる。また、断熱材53Gは、冷媒ガスの対流の発生空間を広範囲で埋めているので、対流を効果的に防止することが可能である。
[その他]
なお、上述した隔壁部50〜50Gは、低温伝達部43に熱交換器44を設けない冷凍機に適用することも可能である。その場合には、冷凍機40の低温伝達部43の底面高さを液体冷媒60の液面61の上限高さに近接し且つ幾分上方とすることが望ましい。
また、上述した冷凍機40は、冷凍機GM冷凍機以外の他の蓄冷式の冷凍機や蓄冷式以外の冷凍機を利用することも可能である。
さらに、上述した冷却容器としてのクライオスタット10〜10Gが冷却を行う被冷却物は、超電導コイルに限らず、その他のあらゆる超電導機器を対象とすることが可能である。
[性能比較]
図10は上記比較例のクライオスタット10X(以下、図2のクライオスタットとする)における冷媒容器20内の冷媒ガス温度Th1、液体冷媒温度Th2、熱交換器44の表面温度Th3の温度変化(摂氏)及び内部圧力の変化Phを示した線図であり、図11はクライオスタット10(図1のクライオスタットとする)における冷媒容器20内の冷媒ガス温度Tj1、液体冷媒液面温度Tj2、熱交換器44の表面温度Tj3の温度変化(摂氏)及び内部圧力の変化Pjを示した線図である。また、発明を適用した他の例として図9に示すクライオスタット10Gを用意し、これによる冷媒容器20内の冷媒ガス温度Tk1、液体冷媒液面温度Tk2、熱交換器44の表面温度Tk3の温度変化(摂氏)及び内部圧力の変化Pkの線図を図12に示す。なお、これらのクライオスタットは装置における各温度の測定位置を同一とし、冷媒ガスの圧力Ph1、Pj1、Pk1は、槽内の同一位置で測定を行っている。
なお、上記各クライオスタット10,10X、10Gにおける冷媒ガス温度の測定位置は、冷却部とリード線91の間の位置であって、高さとしては図9に示す断熱材53Gの直下となる程度の高さである。
図10に示すように図2のクライオスタットでは、冷媒ガスの温度は、液体冷媒の温度変化に追従して+10度程度の差を維持しつつ同様に冷却が行われているが、図1のクライオスタットと図9のクライオスタットでは、図11及び図12に示すように、液体冷媒が緩やかに冷却されるのに対して冷媒ガスは当初のみ冷却され、途中からは冷却が進まずむしろ緩やかに温度上昇が生じているのが分かる。
つまり、図2のクライオスタットでは冷媒ガスの対流が生じて冷凍機40から離れた冷媒ガスまで冷却が行われており、図1のクライオスタットと図9のクライオスタットでは冷媒ガスの対流が生じないため、冷凍機40から離れている場所では冷媒ガスは冷却されず、冷媒ガス温度が上昇に転じていることが観測された。
つまり、クライオスタット10では、液体冷媒は正常に温度が低下していくことから、隔壁部50の外側の冷媒ガスは冷却が進まないが、隔壁部50内では冷媒ガスが適正に冷却されて液体冷媒に戻されていることが分かる。
また、図1のクライオスタットと図9のクライオスタットとで冷媒ガスの温度を比較した場合、図9のクライオスタットの方が液体冷媒や熱交換器との温度差が大きく、また、温度の上昇率も若干高くなっている。つまり、図9のクライオスタットでは、その隔壁部50Gが断熱材53G(図9参照)を備えているので、
より効果的に冷媒ガスの対流が抑制され、冷凍機40から離れている場所では冷媒ガス温度が上昇しやすく、その一方で、冷凍機40の冷却部は液体冷媒に対してより効率良く冷却を行っていることが観測された。
また、図2のクライオスタットに比べて図1のクライオスタットは、液体冷媒が効率的に冷却されるので冷媒ガスの液化が進み、冷媒ガスの圧力が時間と共に効率良く低下しており、図9のクライオスタットは、液体冷媒がより効率的に冷却されるので、冷媒ガスの圧力がより顕著に低下観測された。
10,10A,10B,10C,10D,10E,10F,10G クライオスタット(冷却容器)
20 冷媒容器
30 蓋体
40 冷凍機
43 低温伝達部(冷却部)
44 熱交換器(冷却部)
50,50A,50B,50C,50D,50E,50F 隔壁部
51 天板部
52,52C側壁部
52D 側壁部
53G 断熱材
54C 断熱ブロック
55D 底板部
60 液体冷媒
61 液面
90 超電導コイル(超電導機器)
91,91 電流リード

Claims (9)

  1. 内側容器と外側容器とを有し、これら相互間が真空断熱されると共に上部が開口した冷媒容器と、
    前記冷媒容器の開口を閉塞可能な蓋体と、
    前記蓋体に支持された冷凍機と、
    を備え、
    前記冷媒容器の内側容器内に液体冷媒が収容され、
    前記冷凍機は前記蓋体を貫通し、
    前記冷凍機の冷却部は、前記内側容器内の液体冷媒の液面上方で垂下支持され、
    前記内側容器内おいて、前記垂下支持された冷却部を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽する隔壁部を備え
    前記隔壁部は、前記冷凍機又は前記蓋体に固定され、かつ前記冷却部の周囲を覆う側壁部と、前記冷却部の上方を覆う天板部とを有することを特徴とする冷却容器。
  2. 内側容器と外側容器とを有し、これら相互間が真空断熱されると共に上部が開口した冷媒容器と、
    前記冷媒容器の開口を閉塞可能な蓋体と、
    前記蓋体に支持された冷凍機と、
    を備え、
    前記冷媒容器の内側容器内に液体冷媒が収容され、
    前記冷凍機は前記蓋体を貫通し、
    前記冷凍機の冷却部は、前記内側容器内の液体冷媒の液面上方で垂下支持され、
    前記内側容器内おいて、前記垂下支持された冷却部を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽する隔壁部を備え、
    前記隔壁部は、前記冷凍機又は前記蓋体に固定され、かつ前記冷却部の周囲を覆う側壁部を有し、
    前記側壁部の上端部は前記蓋体の下面に接しており、当該側壁部と前記蓋体との協働により前記冷却部の周囲及び上方を囲繞することを特徴とする冷却容器。
  3. 前記冷凍機の冷却部の周囲を前記内部容器の内壁に至る範囲まで断熱材で満たすことを特徴とする請求項1又は2記載の冷却容器。
  4. 前記断熱材は、前記蓋体又は前記隔壁部に固定されていることを特徴とする請求項3記載の冷却容器。
  5. 内側容器と外側容器とを有し、これら相互間が真空断熱されると共に上部が開口した冷媒容器と、
    前記冷媒容器の開口を閉塞可能な蓋体と、
    前記蓋体に支持された冷凍機と、
    を備え、
    前記冷媒容器の内側容器内に液体冷媒が収容され、
    前記冷凍機は前記蓋体を貫通し、
    前記冷凍機の冷却部は、前記内側容器内の液体冷媒の液面上方で垂下支持され、
    前記内側容器内おいて、前記垂下支持された冷却部を、その周囲及び上方からの対流する冷媒ガスから遮蔽する隔壁部を備え、
    前記隔壁部は、前記冷凍機又は前記蓋体に固定され、かつ前記冷却部の周囲を覆う側壁部を有し、
    前記隔壁部の側壁部が、下方に向かうに従って拡径する形状であることを特徴とする冷却容器。
  6. 前記隔壁部は、前記冷却部の上方を覆う天板部を有することを特徴とする請求項5記載の冷却容器。
  7. 前記側壁部の上端部は前記蓋体の下面に接しており、当該側壁部と前記蓋体との協働により前記冷却部の周囲及び上方を囲繞することを特徴とする請求項5記載の冷却容器。
  8. 前記液体冷媒を液体窒素としたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の冷却容器。
  9. 前記超電導機器に通電を行うための電流リードが前記蓋体に貫通装備されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の冷却容器。
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