JP6081234B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は、経血やおりもの、尿などを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の吸収性物品であって、特には夜用ナプキンなどのように後方部の長さを長く形成することにより臀部溝にフィットさせやすくした吸収性物品に関する。
従来より、生理用ナプキン、パンティライナー、おりものシート、失禁パッドなどの吸収性物品50としては、例えば図9に示されるように、ポリエチレンシートまたはポリエチレンラミネート不織布などからなる不透液性の裏面シート51と、不織布または透孔性プラスチックシートなどからなる透液性の表面シート52との間に綿状パルプなどからなる吸収体53が介在された本体部分の両側部に夫々、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップ54、54が形成されるとともに、これより後側の前記本体部分の両側部に夫々、装着時に下着の臀部内面側に固定されるヒップホールド用フラップ55、55が形成されたものが知られている。
この種の吸収性物品50では、装着状態時にズレ止めを図るために、例えば前記本体部分の非肌当接面側(裏面シート51の外面)に1または複数条の粘着剤層56…が形成されるとともに、前記ウイング状フラップ54、54及びヒップホールド用フラップ55、55の裏面シート51側の面(外面)にそれぞれ粘着剤層57、57及び58、58が設けられている。
前記吸収性物品50を個装するに際しては、前記粘着剤層56…、57…、58…を紙又はフィルムからなる剥離紙によって被覆するとともに、吸収性物品50の外面側に包装シートを配置し、吸収性物品50、剥離紙及び包装シートを共に長手方向に三つ折り〜五つ折りの複数折りとし、側縁部分をヒートシールするとともに、開封部をタグテープ等により止着するようにしている。
一方、前記吸収性物品50を下着に装着する際には、吸収性物品50を包装シートから取り出し、粘着剤層56、57、58を覆う剥離紙を取り除いた後、図10に示されるように、吸収性物品50を局所にあてがい、側方に突出する前記ウイング状フラップ54、54を下着より取り出し、両ウイング状フラップ54、54を折返し線RL、RLで折返し、下着のクロッチ部分を巻き込むようにしながら前記ウイングズレ止め粘着剤層57、57を下着30の股間部外面に接着すると同時に、前記ヒップホールド用フラップ55、55を臀部部分にて拡げてヒップズレ止め粘着剤層58、58を下着の臀部内面側に接着するようにする。
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、例えば下記特許文献1においては、バックシートの外面には補助シートが設けられ、前記補助シートは、一部が前記バックシートに接合され、他部が前記バックシートに接合されないことにより、前記補助シートと前記バックシートとの間に指を挿入するためのポケットが形成され、前記ポケットが吸収性物品の幅方向中心線の両側に設けられたものが開示されている。
また、下記特許文献2においては、粘着剤層が、長さ方向の前側に位置する前方粘着層と、前記前方粘着層とは離間して長さ方向の後側に位置する後方粘着層とを含み、保護シートが、前記前方粘着層を覆う前方保護シートと、これとは別体であって前記後方粘着層を覆う後方保護シートとを含み、前記前方保護シートが外装材に固着している一方、前記後方保護シートは外装材に固着していない吸収性物品が開示されている。
特開2012−139353号公報 特許第4801400号公報
主に就寝時に使用する夜用ナプキンなどの場合、後方からの漏れを防止するため、後方の長さを長く形成したものが多く市販されている。ところが、このような後方に長い吸収性物品の場合、後方がどのような位置に装着されているのか目視で確認することができないため、吸収性物品が臀部の溝に沿って真っ直ぐに装着するのが難しく、臀部溝の方向に対して左右にずれることが多かった。左右にずれた状態で装着すると、後方部のフィット性が低下するため、後端や後方側部からの漏れが生じる可能性が高かった。また、真っ直ぐに固定できなかったときは、吸収性物品を一度下着から外して再度位置調整をし直して固定する手間がかかるとともに、下着から取り外す際にヒップホールド用フラップに皺が寄って粘着剤層同士がくっついて再度の止着が不可能になったり、粘着剤層の粘着力が低下して装着中にずれやすくなったりする問題があった。
一方、上記特許文献1記載の吸収性物品では、指を挿入するためのポケットを形成することによって、フラップを容易に立ち上げることができるようにしているが、吸収性物品の幅方向中央部を臀部の溝に沿って位置合わせする機能は備えられていない。
また、上記特許文献2記載の吸収性物品では、個包装体から吸収性物品を取り出すと、前方保護シートは個包装体に固着しているため、前方粘着層が露出し、後方保護シートは個包装体に固着していないため、後方粘着層を覆ったままであるので、後方粘着層の意図しない接着が防止できるようになっているが、吸収性物品の幅方向中央部を身体の中心部に合わせて装着することは困難であった。
そこで本発明の主たる課題は、後方部を身体の中心部に沿って装着できるようにすることにより、フィット性を向上させ、体液の漏れを防止した吸収性物品を提供することにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シート側の面に形成された粘着剤層を剥離可能に覆う剥離材として、長手方向前側に配置された前側剥離材と、長手方向後側に配置された後側剥離材とから構成される吸収性物品であって、
前記裏面シート側の外面であって、前記吸収性物品の後側端部の幅方向中央部に、前側に向けて開口するポケット空間が設けられ、
前記後側剥離材は、前記粘着剤層を覆う被覆部と、前記被覆部の前端部から後側に向けて延びる引張り部とからなり、前記引張り部の端部が前記ポケット空間内に挿入されるとともに前記ポケット空間の端部で折り返され、この折り返し端部が前記開口から前記ポケット空間の外側に突出して設けられていることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、粘着剤層を覆う剥離材が、長手方向前側に配置された前側剥離材と、長手方向後側に配置された後側剥離材とによって構成されているため、吸収性物品の装着に際して、はじめに前側剥離材のみを取り除き、後側の粘着剤層が後側剥離材で覆われたままの状態で、吸収性物品の前側部分を下着の所定位置に固定できる。このため、後側部分の粘着剤層が意図しない部分にくっついたり粘着剤層同士がくっついたりする誤接着が防止できるようになる。
また、前記裏面シート側の面であって、前記吸収性物品の後側端部の幅方向中央部に、前側に向けて開口するポケット空間が設けられている。前記ポケット空間を設けることによって、装着時に、この空間内に指を挿入し、吸収性物品の後側を身体の中心(臀部の溝)に合わせて位置決めすることができるようになるとともに、前記ポケット空間が前側に向けて開口しているため、指を挿入した状態で上側に引き上げるだけで、吸収性物品の後側を臀部の溝に食い込ませるようにして装着できるようになる。なお、このときの位置調整においては、後側剥離材が吸収性物品後側の粘着剤層を覆っているため、下着にくっつくことなく、自由に調整できる。
さらに、前記後側剥離材は、前記粘着剤層を覆う被覆部と、前記被覆部の前端部から後側に向けて延びる引張り部とからなり、前記引張り部の端部が前記ポケット空間内に挿入されるとともに前記ポケット空間の端部で折り返され、この折り返し端部が前記開口から前記ポケット空間の外側に突出して設けられているため、前記ポケット空間に人差し指や中指を挿入した状態で外側から親指を添えると、既に前記引張り部の端部を摘んだ状態となっている。この状態で前述の通り位置決めをした後、後側剥離材を取り除こうとするときには、前述の通り既に引張り部の端部を摘んだ状態であるので、持ち替えることなく、そのまま引張り部の端部を上方に引き上げれば、後側剥離材の前側端部から剥離材が徐々に剥がされ、吸収性物品の後側が身体にフィットした状態のまま下着に固定できるようになる。このため、体液の漏れが防止できるようになる。
請求項2に係る本発明として、前記ポケット空間は、少なくとも前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に前記吸収性物品の外形線より後側に延在させた延在部を設けておき、前記延在部を前記裏面シートの外面側に折り返すことにより形成するか、前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に、別体のポケットシートを配置することにより形成されている請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、前記ポケット空間を形成するための手段について規定してあり、少なくとも前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に前記吸収性物品の外形線より後側に延在させた延在部を設けておき、この延在部を前記裏面シートの外面側に折り返すことにより形成してもよいし、前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に、別体のポケットシートを配置することにより形成してもよい。
請求項3に係る本発明として、前記前側剥離材は、前記吸収性物品を個装する包装シートに対し堅固に固着されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項3記載の発明では、包装シートによって個装された吸収性物品を取り出す際に、前側剥離材が包装シート側に残って粘着剤層から剥離できるため、吸収性物品を取り出した後に前側剥離材を剥がす手間を省くことができるようになる。
請求項4に係る本発明として、前記被覆部の前側の外形線は、幅方向中央部に向けて漸次幅狭になるように形成されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項4記載の発明では、前記被覆部の前側の外形線を、幅方向中央部に向けて漸次幅狭になるように形成することによって、被覆部の前端部から後側に向けて延びる引張り部を引っ張ったときに、幅方向中央部から徐々に剥離するため、引っ張ったときの抵抗力が低減されスムーズに剥がれるようになるとともに、吸収性物品にも皺がよらないため、しっかりと下着に固定できるようになる。
請求項5に係る本発明として、前記引張り部の先端には摘み用タブが設けられ、前記摘み用タブが前記開口から前記ポケット空間の外側に突出して設けられている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項5記載の発明では、前記引張り部の先端に摘み用タブを設けておき、この摘み用タブをポケット空間の外側に突出して設けておくことによって、装着時に引張り部を引っ張る際、摘み用タブを摘んで引っ張ることができ、引っ張り操作がしやすくなる。
請求項6に係る本発明として、前記後側剥離材が覆う粘着剤層は、前記吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に離間して複数設けられ、幅方向中心側に設けられる前記粘着剤層の前側端部が、幅方向外側に設けられる前記粘着剤層の前側端部より前側に位置するように配置されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項6記載の発明では、前記後側剥離材によって覆われる粘着剤層が、吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に離間して複数設けられる場合、後側剥離材が吸収性物品の前側からスムーズに剥離できるように、幅方向中心側に設けられる粘着剤層の前側端部が、幅方向外側に設けられる粘着剤層の前側端部より前側に位置するように配置している。
請求項7に係る本発明として、前記後側剥離材が覆う粘着剤層は、前記吸収性物品の幅方向に沿うとともに長手方向に離間して複数設けられ、前側に設けられる前記粘着剤層の幅寸法が、後側に設けられる前記粘着剤層の幅寸法より幅狭に形成されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項7記載の発明では、前記後側剥離材によって覆われる粘着剤層が、吸収性物品の幅方向に沿うとともに幅方向に離間して複数設けられる場合、後側剥離材が吸収性物品の前側からスムーズに剥離できるように、前側に設けられる粘着剤層の幅寸法が、後側に設けられる粘着剤層の幅寸法より幅狭に形成されるようにしている。
請求項8に係る本発明として、前記ポケット空間内部の外面側であって、前記吸収性物品の幅方向中央部に、指で触れたときに感知可能な触覚用目印が設けられている請求項1〜7いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項8記載の発明では、装着時に前記ポケット空間に指を入れたとき幅方向中央部分であることが明確に認識できるように、前記ポケット空間内部の外面側であって、吸収性物品の幅方向中央部に、突起やざらつき感のあるもの又は硬さの異なるものなどを配置して、指で触れたときに感知可能な触覚用目印を設けている。
請求項9に係る本発明として、前記引張り部は、前記被覆部と重なる部分及び前記ポケット空間の内側部分に対し、一部で仮止めされている請求項1〜8いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項9記載の発明では、包装シートから吸収性物品を取り出す際や、装着作業中に、引張り部がずれてポケット空間から動いてしまわないように、引張り部の被覆部と重なる部分及びポケット空間の内側部分に仮止めするようにしている。
以上詳説のとおり本発明によれば、後方部を身体の中心部に沿って装着できるようになるとともに、フィット性が向上でき、体液の漏れが防止できるようになる。
本発明に係る生理用ナプキン1の裏面側の展開図である。 装着要領を示す図1のII−II線矢視図である。 後側剥離材11の展開図である。 他の形態例に係る後側剥離材11の展開図である。 他の形態例に係る生理用ナプキン1の要部拡大図である。 (A)、(B)は、ポケット空間13の製造工程を示す要部拡大図である。 触覚用目印19の配置要領を示す要部拡大図である。 他の形態例に係る生理用ナプキン1の裏面側の展開図である。 従来の生理用ナプキン50を示す表面側の展開図である。 生理用ナプキン50の装着状態図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔生理用ナプキン1の基本構造〕
本発明に係る生理用ナプキン1は、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシートなどからなる不透液性の裏面シート2と、経血やおりものなどを速やかに透過させる透液性の表面シート3と、これら両シート2,3間に介在された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4とによって構成された本体部分の長手方向両側縁部に、前記裏面シート2と表面シート3との貼り合わせ部分により側方に突出し、装着時に下着のクロッチ部分を巻き込むようにして固定されるウイング状フラップW、Wが形成されるとともに、これより後側の前記本体部分の長手方向両側縁部には、同様に前記裏面シート2と表面シート3との貼り合わせ部分により側方に突出し、装着時に下着の臀部内面側に固定されるヒップホールド用フラップW、Wが形成されている。なお、表面両側部には、それぞれ長手方向に沿ってサイド不織布を形成しても良く、この場合には前記ウイング状フラップW、W及びヒップホールド用フラップW、Wは、裏面シート2とサイド不織布との貼り合わせ部分によって形成されるようになる。前記サイド不織布によって、立体ギャザーを形成することも可能である。また、前記吸収体4は形状保持および拡散性向上のためにクレープ紙で囲繞することができる。
前記ウイング状フラップW、Wの裏面シート2側の面(裏面)には、ウイングズレ止め粘着剤層8、8が形成されるとともに、ヒップホールド用フラップW、Wの裏面シート2側の面(裏面)には、ヒップズレ止め粘着剤層9、9が形成されている。また、前記表面シート3と裏面シート2との間に吸収体4が介在された本体部分の裏面には、下着に対する固定のために適宜の塗布パターンによって複数条の、図示例では2条の本体ズレ止め粘着剤層7,7が形成されている。
以下、さらに前記生理用ナプキン1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。前記不透液性裏面シート2の非肌当接面側(外面側)には1または複数条の粘着剤層(図示せず)が形成され、身体への装着時に生理用ナプキン1を下着に固定するようになっている。前記不透液性裏面シート2としては、プラスチックフィルムと不織布とを積層させたポリラミ不織布を用いてもよい。
図2に示されるように、前記裏面シート2の外面であって、生理用ナプキン1の後側端部の幅方向中央部に、前側に向けて開口する開口部12を備えたポケット空間13が設けられている。このポケット空間13については、後段で詳述する。
次いで、前記透液性表面シート3は、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。前記透液性表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、経血やおりもの等(以下、まとめて体液という。)が速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。
前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との間に介在される吸収体4は、たとえばフラッフ状パルプと吸水性ポリマーとにより構成されている。前記吸水性ポリマーは吸収体を構成するパルプ中に、例えば粒状粉として混入されている。前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。吸収体4を囲繞するクレープ紙を設ける場合には、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間にクレープ紙が介在することになり、吸収性に優れる前記クレープ紙によって体液を速やかに拡散させるとともに、これら経血等の逆戻りを防止するようになる。
また、前記吸収体4に合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、体液に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
前記ズレ止め粘着剤層7,8,9を形成する粘着剤としては、たとえばスチレン系ポリマー、粘着付与剤、可塑剤のいずれかが主成分であるものが好適に使用される。前記スチレン系ポリマーとしては、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソブチレン−スチレン共重合体等が挙げられるが、これらのうち1種のみを使用しても、二種以上のポリマーブレンドであってもよい。この中でも熱安定性が良好であるという点で、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体が好ましい。また、前記粘着付与剤および可塑剤としては、常温で固体のものを好ましく用いることができ、粘着付与剤ではたとえばC5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、前記可塑剤では例えば、リン酸トリフレシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル等のモノマー可塑剤の他、ビニル重合体やポリエステルのようなポリマー可塑剤が挙げられる。
前記本体ズレ止め粘着剤層7は、ナプキン前側に配置される前側粘着剤層7a、7aと、前記前側粘着剤層7aの後側に離間して、ナプキン後側に配置される後側粘着剤層7b、7bとから構成されている。
前記ズレ止め粘着剤層7、8、9は、生理用ナプキン1の個装時に、図1に示されるように所定形状の剥離材によって覆われる。この剥離材としては、ズレ止め粘着剤層7、8、9に対する当接面に対し、例えばシリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、または四フッ化エチレン系樹脂などの離型処理液を塗工するかスプレー塗布し離型処理した紙またはプラスチックシートを用いることができる。なお、特別に離型処理をしなくても、実質的に粘着力の低下を招かないものであれば、フィルムそのものであっても、不織布そのものであっても良い。
前記ズレ止め粘着剤層7、8、9を剥離可能に覆う剥離材としては、ナプキン前側に配置された粘着剤層を覆う前側剥離材10と、ナプキン後側に配置された粘着剤層を覆う後側剥離材11とから構成されている。このように、粘着剤層を覆う剥離材を前側剥離材10と後側剥離材11に分割して設けることによって、生理用ナプキン1の装着に際して、はじめに前側剥離材10のみを取り除き、後側剥離材11が後側の粘着剤層7b、9を覆ったままの状態で、生理用ナプキン1の前側部分を下着の所定位置に固定できるので、後側部分の粘着剤層が意図しない部分にくっついたり粘着剤層同士がくっついたりする誤接着が防止できるようになる。
前記前側剥離材10は、図1に示されるように、前記前側粘着剤層7a、7a及びウイングズレ止め粘着剤層8、8を一体的に覆っている。図示例では、前記前側剥離材10は、前側粘着剤層7a、7aを覆うようにナプキン長手方向に沿って配置された第1剥離材10aと、前記ウイングズレ止め粘着剤層8、8を覆うようにナプキン幅方向に沿って配置された第2剥離材10bとからなり、これらの重なり部分において堅固に固着され、一体化されている。なお、前記前側剥離材10は、1枚の剥離材によって形成することも可能である。
前記前側剥離材10は、生理用ナプキン1を個装する包装シート(図示せず)に堅固に固着することが好ましい。これにより、包装シートから生理用ナプキン1を取り出す際、前側剥離材10が包装シート側に残って、ナプキンから剥離されるため、生理用ナプキン1から前側剥離材10を剥がす手間が省けるようになる。
一方、前記後側剥離材11は、図1に示されるように、前記後側粘着剤層7b、7b及びヒップズレ止め粘着剤層9、9を一体的に覆う被覆部14と、前記被覆部14の前端部に連設され、この前端部から後側に向けて延びる引張り部15とから構成されている。
前記被覆部14は、ナプキン幅方向に離間してナプキン長手方向に沿って形成された前記粘着剤層7b、9を完全に一体的に覆う大きさで形成され、平面形状としては全体的にナプキン幅方向に長い略矩形状に形成されている。
前記被覆部14のナプキン前側の外形線14aは、ナプキン幅方向中央部に向けて漸次幅狭になるように形成されている。すなわち、幅方向中心側から外側に向けてナプキン後側に直線的に傾斜する略台形状に形成されている。
また、前記引張り部15は、前記被覆部14のナプキン前側の幅方向中央部から連続的に延びる帯状の部材で、前記被覆部14より幅寸法が短く形成されている。前記引張り部15は、展開状態では、図3に示されるように前記被覆部14の前側に延びるように形成されているが、ナプキンに取り付けた状態では、図1に示されるように前記被覆部14と引張り部15との境界位置で前記被覆部14の外面側に折り返され、この折り返し状態で前記引張り部15の先端部分が前記被覆部14の後側外形線14bより後側に延在する長さで形成されている。
前記引張り部15の端部は、図2に示されるように、前記開口12からポケット空間13内に挿入されるとともに、ポケット空間13の内面に沿って配置され、且つポケット空間13の端部でナプキン外側に折り返され、この折り返し端部が前記開口12から前記ポケット空間13の外側に突出して設けられている。
本生理用ナプキン1の装着に際しては、前述の通り、個装状態から取り出した生理用ナプキン1の前側剥離材10のみを取り除き、生理用ナプキン1の前側部分を下着に固定する。次に、図2に示されるように、前記ポケット空間13内に人差し指又は中指を挿入した状態で、この挿入した指を身体の中心(臀部の溝)に合わせて位置決めする。すなわち、この操作だけで、生理用ナプキン1の後側部分が身体の中心に沿って配置されるようになる。また、このとき、前記ポケット空間13の開口12がナプキン前側に向けて設けられているため、ポケット空間13に指を挿入した状態で上方に引き上げれば、生理用ナプキン1の後側部分を簡単に臀部の溝に食い込ませて装着できるようになる。なお、このときの位置調整においては、後側剥離材11が粘着剤層7b、9を覆っているため、下着にくっつくことなく、自由な調整が可能である。
更に、前記引張り部15の端部がポケット空間13内に挿入されるとともに、ポケット空間13の端部で折り返され、この折り返し端部が開口12からポケット空間13の外側に突出して設けられているため、ポケット空間13に人差し指や中指を挿入した状態で外側から親指を添えると、既にポケット空間13から突出した引張り部15の端部を摘んだ状態となっている。この状態で上述の位置調整を行った後、後側剥離材11を取り除いてナプキン後側部分を下着に固定しようとするときは、前述の通り既に位置調整している手が引張り部15の端部を摘んだ状態であるので、手を持ち替えることなく、そのまま引張り部15の端部を上方に引き上げれば、被覆部14の前側端部から徐々に剥がされて、ナプキン後側が身体にフィットした状態のまま下着に固定できるようになる。従って、体液の漏れが防止できるようになる。
このとき、前記被覆部14の前側外形線14aが幅方向中央部に向けて漸次幅狭に形成されているため、後側剥離材11を取り除くに当たって、前記引張り部15を引っ張ったとき、前記被覆部14の幅方向中央部から後側に向けて徐々に剥離範囲が拡大するように剥離されるため、引張り部15を引っ張るときの初動の抵抗力が軽減されスムーズな剥離が可能になるとともに、生理用ナプキン1にも皺がよりにくくなるため、しっかりと下着に固定できるようになる。
ところで、前記引張り部15の先端には、図1及び図2に示されるように、摘み用タブ16を設けることができる。前記摘み用タブ16を設けたときは、この摘み用タブ16をポケット空間13の外側に突出して設けておくようにすることが好ましい。前記摘み用タブ16は、引張り部15を引っ張って後側剥離材11を剥離する際に、手で摘みやすくするとともに、引張り部15の剛性を高めて引っ張りやすくするためのものである。
前記摘み用タブ16の剛性を高める手段としては、次の3通りの方法が考えられる。(1)引張り部15の先端を折り返して2重以上の多層構造とする。(2)引張り部15の端部にエンボスを付与する。(3)引張り部15の先端に別部材を貼付する。前記(3)の別部材を貼付する場合について詳しく説明すると、前記摘み用タブ16は、引張り部15の一方面側に接着した別部材を先端から更に外側に突出して設けるとともに、突出部分の先端で折り返し、引張り部15の他方面側に接着することにより二重シート状としたものである。別部材からなる摘み用タブ16の素材としては、不織布やプラスチックフィルムなどを用いることができる。
前記後側剥離材11の平面形状について図3に基づいて詳しく説明すると、展開状態で、引張り部15のナプキン長手方向と、被覆部14の前側外形線14aとの成す角αは、90°〜160°、好ましくは110°〜150°とするのがよい。これにより、被覆部14の初動のめくれが生じやすくなる。前記被覆部14のナプキン長手方向の長さLは、被覆する粘着剤層7b、9の長さによって異なるが、60mm〜120mm、好ましくは70mm〜100mmとするのがよい。つまり、ナプキン後側に配置される粘着剤層7b、9は、この被覆部14が覆う範囲内に配置するようにする。これにより、ナプキン後側の粘着剤層7b、9を下着に強固に固定できる。
前記後側剥離材11を構成する素材としては、引張り部15の端部を指で摘んで引き上げて被覆部14を前側端部から折り返すように剥離させるため、柔軟性を有する素材を用いることができるが、適度な引張強度を有するプラスチックフィルムを用いるのがよい。また、プラスチックフィルムを用いた方が、紙よりもガサガサ音が低く抑えられるため、装着時の作業音が低減できる。
前記後側剥離材11は、図4に示されるように、種々の形態で形成することが可能である。同図4(A)は被覆部14の前側形状線14aをナプキン幅方向中央部に頂点を有する円弧状に形成したもの、(B)は引張り部15の幅寸法が基端部側に向けて漸次拡大するとともに、引張り部15の側部外形線を内側に凸の円弧状に形成したもの、(C)は引張り部15の幅寸法が基端部側に向けて漸次拡大するとともに、引張り部15の側部外形線を直線状に形成したものである。また、前記後側剥離材11は、被覆部14と引張り部15とが明確に区別されていなくても、図4(D)、(E)に示されるように、ナプキン後側に折り返した部分が引張り部15として作用し、この引張り部15が基端側の被覆部14より幅狭になるように形成されるようにしてもよい。
ナプキン後側に配置される粘着剤層7b、9の配置形態としては、図1に示されるように、それぞれナプキン長手方向に沿うとともに、幅方向に離間して複数配設される場合、ナプキン幅方向中心側に設けられる粘着剤層7bの前側端部が、幅方向外側に設けられる粘着剤層の前側端部よりナプキン前側に位置するように配置されるようにすることが好ましい。これにより、被覆部14の剥離が前側の中央部から徐々に幅方向外側に拡がっていくようになるため、後側剥離材11のよりスムーズな剥離が可能になる。
一方、図5に示されるように、ナプキン後側に配置される粘着剤層が、前記本体ズレ止め粘着剤層7b、ヒップズレ止め粘着剤層9の区別なく、それぞれナプキン幅方向に沿うとともにナプキン長手方向中心線に整列して、ナプキン長手方向にほぼ等間隔で離間して複数の粘着剤層17、17…が設けられ、ナプキン前側に配置される粘着剤層17の幅寸法が、後側に配置される粘着剤層17の幅寸法より幅狭になるように形成してもよい。これによって、上記と同様に後側剥離材11のよりスムーズな剥離が可能になる。
前記ポケット空間13を形成するには、図6に示されるように、裏面シート2の後側端部の幅方向中央部に生理用ナプキン1の外形線より後側に延在させた延在部18を設けておき、この延在部18を裏面シート2の外面側に折り返した後、同図(B)に示されるように両側部を接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合する。前記延在部18は、裏面シート2及び表面シート3の貼り合わせ部分を延在させ、これらシート2、3の貼り合わせ部分によって形成してもよい。
また、前記ポケット空間13は、図示しないが、裏面シート2の後側端部の幅方向中央部であって、裏面シート2の外面側に、別体のポケットシートを配置し、両側部及び生理用ナプキン1の外縁部を接着剤やヒートシール等の接合手段によって接合することによって形成することもできる。
前記ポケット空間13の開口12からの奥行き(ナプキン長手方向寸法)は、人差し指又は中指の第1関節が挿入可能な寸法とするのがよく、具体的には25mm〜40mmが好ましく、25mm〜30mmがより好ましい。また、ポケット空間13の幅(ナプキン幅方向寸法)は、指が1本又は2本挿入可能な幅とするのがよく、具体的には20mm〜40mmが好ましく、20mm〜25mmがより好ましい。前記開口12の辺の形状は、直線でも内側又は外側に凸の曲線でもよい。
図7に示されるように、前記ポケット空間13内部の外面側であって、生理用ナプキン1の幅方向中央部に、突起やざらつき感のあるメカニカルテープのようなもの又は硬さの異なるものなど、指で触れたときに感知可能な触覚用目印19を設けておくことが好ましい。前記触覚用目印19を設けることによって、装着時にポケット空間13に指を入れたとき幅方向中央部分であることが明確に認識できるようになる。
前記生理用ナプキン1を製造するには、予め、必要に応じて引張り部15の先端部に前記摘み用タブ16が備えられた後側剥離材11の前記引張り部15を、被覆部14の非剥離面側に折り返しておく。このとき図8に示されるように、引張り部15と被覆部14との積層部分で両者を仮止めする仮止め部20を設けておくことが好ましい。その後、後側剥離材11の被覆部14の剥離面側であってナプキン後側の本体ズレ止め粘着剤層のうちの後側粘着剤層7b及びヒップズレ止め粘着剤層9に相当する部分にそれぞれ接着剤を塗布しておき、裏面シート2の外面に載置して各接着剤を転写させる。このとき同図8に示されるように、前記裏面シート2の延在部18(該延在部18を折り返してポケット空間13を形成した状態でポケット空間13の内側となる部分)と引張り部15との積層部分で両者を仮止めする仮止め部21を設けておくことが好ましい。しかる後、前記延在部18を引張り部15とともに折り返し両側部を接合して、裏面シート2の外面側にポケット空間13を形成する。
1…生理用ナプキン、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、7…本体ズレ止め粘着剤層、8…ウイングズレ止め粘着剤層、9…ヒップズレ止め粘着剤層、10…前側剥離材、11…後側剥離材、12…開口、13…ポケット空間、14…被覆部、15…引張り部、16…摘み用タブ

Claims (9)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記裏面シート側の面に形成された粘着剤層を剥離可能に覆う剥離材として、長手方向前側に配置された前側剥離材と、長手方向後側に配置された後側剥離材とから構成される吸収性物品であって、
    前記裏面シート側の外面であって、前記吸収性物品の後側端部の幅方向中央部に、前側に向けて開口するポケット空間が設けられ、
    前記後側剥離材は、前記粘着剤層を覆う被覆部と、前記被覆部の前端部から後側に向けて延びる引張り部とからなり、前記引張り部の端部が前記ポケット空間内に挿入されるとともに前記ポケット空間の端部で折り返され、この折り返し端部が前記開口から前記ポケット空間の外側に突出して設けられていることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記ポケット空間は、少なくとも前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に前記吸収性物品の外形線より後側に延在させた延在部を設けておき、前記延在部を前記裏面シートの外面側に折り返すことにより形成するか、前記裏面シートの後側端部の幅方向中央部に、別体のポケットシートを配置することにより形成されている請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記前側剥離材は、前記吸収性物品を個装する包装シートに対し堅固に固着されている請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記被覆部の前側の外形線は、幅方向中央部に向けて漸次幅狭になるように形成されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記引張り部の先端には摘み用タブが設けられ、前記摘み用タブが前記開口から前記ポケット空間の外側に突出して設けられている請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記後側剥離材が覆う粘着剤層は、前記吸収性物品の長手方向に沿うとともに幅方向に離間して複数設けられ、幅方向中心側に設けられる前記粘着剤層の前側端部が、幅方向外側に設けられる前記粘着剤層の前側端部より前側に位置するように配置されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記後側剥離材が覆う粘着剤層は、前記吸収性物品の幅方向に沿うとともに長手方向に離間して複数設けられ、前側に設けられる前記粘着剤層の幅寸法が、後側に設けられる前記粘着剤層の幅寸法より幅狭に形成されている請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
  8. 前記ポケット空間内部の外面側であって、前記吸収性物品の幅方向中央部に、指で触れたときに感知可能な触覚用目印が設けられている請求項1〜7いずれかに記載の吸収性物品。
  9. 前記引張り部は、前記被覆部と重なる部分及び前記ポケット空間の内側部分に対し、一部で仮止めされている請求項1〜8いずれかに記載の吸収性物品。
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