JP6081214B2 - 非接触給電装置 - Google Patents
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Description
図10は、車両の二次電池を充電する非接触給電装置を模式的に示している。地上側は、商用電源の交流を直流に変換する整流器51と、直流から高周波交流を生成するインバータ52と、インバータ52から高周波交流が供給される非接触給電トランスの一次側コイル(送電コイル)53とを有し、車両側は、非接触給電トランスの二次側コイル(受電コイル)54と、二次側コイル54で受電した高周波交流を整流して二次電池に供給する整流器55とを有している。地上側から車両への非接触給電は、車両の床面に搭載された二次側コイル54と、地上側の一次側コイル53とが対向する状態で行われる。
また、給電効率を高めるため、非接触給電トランスの一次側コイル53とインバータ52との間に直列コンデンサCsが接続され、非接触給電トランスの二次側コイル54と整流器(倍電圧整流器)55との間に並列コンデンサCpが接続されている。
1/(ω0Cp)=xp=x0 '+x2
と表され、一次側の直列コンデンサCsの容量値は、
1/(ω0Cs')=xs '={x0 'x2/(x0 '+x2)}+x1 '
と表される。
こうしたインバータの進相状態での運転を回避するため、IH調理器や蛍光灯インバータ点灯装置等の分野では、インバータの進相状態を検知して、インバータの運転を停止したり、出力周波数を変更したりすることが行われている(下記特許文献1)。
この場合、インバータ3の出力電流IINは、高周波トランス部4に供給される電流I3にリアクトルLpを流れる電流ILが加わったものとなる(IIN=IL+I3)。
また、リアクトルLpに流れる電流ILは、インバータ出力電圧をVIN、インバータ3の駆動周波数をfsoとすると、IL=VIN/(2×fso×Lp)で決まるピーク電流を持つ三角波状の電流である。
インバータ3の出力電流IINの位相は、電流I3に対して三角波状の電流ILが加わることにより、インバータ出力電圧VINの位相よりも遅れ位相となる。
図14は、標準ギャップ長が100mmの非接触給電装置において、ギャップ長が70mmの場合(a)、100mmの場合(b)及び130mmの場合のインバータ52の出力電流IIN及び出力電圧VINの位相を示している。ギャップ長が標準ギャップ長である場合(b)は、出力電流IIN及び出力電圧VINの位相が略一致しているが、ギャップ長が標準ギャップ長より短くなると、出力電流IINの位相が進み、進相状態となる(a)。また、ギャップ長が標準ギャップ長より長い場合は、出力電流IINの位相が出力電圧VINの位相よりも遅れる(c)。
また、ギャップ長が短くなっても進相状態が生じないように、予め、出力電流IINの位相を出力電圧VINの位相より十分に遅らせることも考えられるが、こうした場合は、インバータのスイッチング損失が増加し、効率が低下することになる。
インバータの出力電流は、非接触給電トランスの一次側コイルに流れる電流と、リアクトル及び電子スイッチの直列接続回路に流れる三角波状の電流との和であり、この三角波状電流の発生タイミングやピーク値は、電子スイッチのオンオフのタイミングを変えて変更できる。そのため、インバータの出力電流の進み位相に応じた三角波状電流を発生させることで、インバータの出力電流の進相状態が回避できる。
この電子スイッチは、双方向スイッチであり、自己消弧型半導体素子の一方がオン、他方がオフのとき、オンの自己消弧型半導体素子とオフ側の逆並列ダイオードとを通じて電流が流れる。
正(または負)方向の電流の通過を許容する双方向スイッチのオン期間と、正(または負)方向の電流を生成するインバータのスイッチング素子のオン期間とが重なると、リアクトル及び電子スイッチの直列接続回路に直線状に増加する電流が流れてリアクトルにエネルギーが蓄積される。また、双方向スイッチのオン期間中に前記スイッチング素子のオン期間が終了すると、リアクトルに蓄積されたエネルギーが放出され、リアクトル及び電子スイッチの直列接続回路に流れる電流が直線状に減少する。双方向スイッチのオン期間とインバータのスイッチング素子のオン期間との重なる時間幅を変えれば、直線的に増加減少する三角波状電流の発生タイミング及びピーク値を変えることができ、その時間幅を調整してインバータの出力電流の進み位相に応じた三角波状電流を発生させることができる。
インバータの出力電流の位相と出力電圧の位相とを一致させることでインバータの効率(出力/入力)が向上する。
この装置は、図11の回路と比べて、二つのIGBTモジュール11、12とリアクトル10との直列接続回路が、インバータ52の出力に並列に接続されている点で相違している。その他の構成は変わりがない。
IGBTモジュール11及びIGBTモジュール12は、双方向の電子スイッチを構成しており、IGBTモジュール11がオンでIGBTモジュール12がオフの場合、IGBTモジュール12の逆並列ダイオードとIGBTモジュール11のIGBT素子とを通過する電流が許容され、逆方向の電流が遮断される。また、IGBTモジュール11がオフでIGBTモジュール12がオンの場合、IGBTモジュール11の逆並列ダイオードとIGBTモジュール12のIGBT素子とを通過する電流が許容され、逆方向の電流が遮断される。
ゼロクロス回路30は、インバータの出力電流IINのゼロクロス点を検知して、出力電流IINの位相信号を出力する。
位相比較回路70は、ゼロクロス回路30から送られてくるインバータ出力電流の位相信号を基準値と比較してインバータ出力電流が正のときに1を、負のときに0を出力するコンパレータ71と、インバータのスイッチング素子(1)の組のゲート駆動信号と基準値とを比較してゲート駆動信号がオンのときに1を、オフのときに0を出力するコンパレータ72と、コンパレータ71、72の出力の排他的論理和を出力する排他的論理和回路73とを有している。
なお、インバータのスイッチング素子に加えられるゲート駆動信号の位相は、インバータの出力電圧VINの位相に対応している。
直流電圧発生回路81は、位相比較回路70の排他的論理和回路73の出力から高周波ノイズを除去するデジタルローパスフィルタ811と、デジタルローパスフィルタ811の出力に比例積分処理を行って進相状態にあるインバータの出力電流IINと出力電圧VINとの位相差に比例した値を出力するPI処理部812とを備えている。
比較器824の出力は、IGBTモジュール11のゲート信号IN1として使用され、比較器824の出力をNOT回路61で反転した信号がIGBTモジュール12のゲート信号IN2として使用される。
この図において、(a)は、のこぎり波発生回路821から出力されるのこぎり波、(b)は、インバータのスイッチング素子(1)の組のゲート駆動信号、(c)は、インバータのスイッチング素子(2)の組のゲート駆動信号、(d)は、双方向電子スイッチのIGBTモジュール12のゲート信号IN2、そして(e)は、双方向電子スイッチのIGBTモジュール11のゲート信号IN1を示している。
図4(a)において、矢印で示す一点鎖線までの大きさは、直流電圧発生回路81から出力される位相差を示している。
双方向電子スイッチのIGBTモジュール11、12のゲート信号(d)(e)における立上がり時点、及び、立下がり時点は、一点鎖線がのこぎり波と交差する時点に合わせて設定される。
図5において、(a)は、インバータの出力電圧VINとリアクトル10の直列接続回路を流れる電流ILとを示している。また、(b)は、インバータのスイッチング素子(1)の組のゲート駆動信号、(c)は、双方向電子スイッチのIGBTモジュール12のゲート信号IN2、(d)は、インバータのスイッチング素子(2)の組のゲート駆動信号、そして、(e)は、双方向電子スイッチのIGBTモジュール11のゲート信号IN1を示している。
双方向電子スイッチのIGBTモジュール12がオンの状態でインバータのスイッチング素子(1)の組がオフに変わると、リアクトル10に蓄積された電流が放出され、リアクトル10の直列接続回路に流れる電流が直線状に減少する。
図6、図7、図8は、位相差βが異なるときのリアクトル10の直列接続回路に流れる三角波状電流ILと、三角波状電流ILにより位相が変化するインバータの出力電流IINを示している。
図6は、位相差βを90°に設定した場合、図7は、位相差βを50°に設定した場合、また、図8は、位相差βを20°に設定した場合を示している。
図6、図7、図8から、インバータの出力電流IINの位相と出力電圧VINの位相との位相差は、βの大きさによって変わることが分かり、位相差βを適切に選択すれば、インバータの出力電流IIN及び出力電圧VINの位相を一致させられることが分かる。
図9(a)は、150mmの標準ギャップ長を有する図11の非接触給電装置を用いて、ギャップ長を50mmに縮めて非接触給電を行ったときのインバータの出力電流IIN及び出力電圧VINを示している。
図9(b)は、この非接触給電装置に、図1に示すリアクトル10及びIGBT11、12の直列接続回路を加え、図2及び図3の制御機構でIGBT11、12のオンオフを制御しながら、ギャップ長を50mmに縮めて非接触給電を行ったときのインバータの出力電流IIN及び出力電圧VINを示している。
図9(a)には、インバータの進相運転の状態が現われているが、図9(b)では、インバータの出力電流IINの位相と出力電圧VINの位相とが一致している。
また、ここでは、リアクトルと直列接続する双方向電子スイッチに、自己消弧型半導体素子であるIGBT素子を用いる場合について説明したが、FETなど、その他の自己消弧型半導体素子を用いても良い。
4 高周波トランス部
10 リアクトル
11 IGBTモジュール
12 IGBTモジュール
20 インバータ制御回路
30 ゼロクロス回路
51 整流器
52 インバータ
53 一次側コイル(送電コイル)
54 二次側コイル(受電コイル)
55 整流器
60 電子スイッチ制御部
61 NOT回路
70 位相比較回路
71 コンパレータ
72 コンパレータ
73 排他的論理和回路
80 ゲート信号作成部
81 直流電圧発生回路
82 ゲート信号作成回路
811 デジタルローパスフィルタ
812 PI処理部
821 のこぎり波発生回路
822 加算器
823 切替回路
824 比較器
Claims (9)
- 非接触給電トランスの一次側に接続された高周波信号を生成するインバータと、
前記インバータの出力に並列に接続された、リアクトル及び電子スイッチの直列接続回路と、
前記非接触給電トランスの一次側に接続されたコンデンサと、
前記電子スイッチのオンオフを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記インバータのゲート駆動信号と前記インバータの出力電流の位相信号とに基づいて前記電子スイッチのオンオフを制御し、前記インバータの出力電流の位相が出力電圧の位相より進まないように、前記直列接続回路に流れる電流を調整することを特徴とする非接触給電装置。 - 請求項1に記載の非接触給電装置であって、前記電子スイッチが、ダイオードを逆並列に接続した自己消弧型半導体素子を、逆方向に二つ直列に接続して構成されることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項2に記載の非接触給電装置であって、前記制御部は、前記二つの自己消弧型半導体素子に対し、前記ゲート駆動信号と周期が同一であって位相が所定量ずれた信号を与えて、前記二つの自己消弧型半導体素子を交互にオンオフさせることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項3に記載の非接触給電装置であって、前記制御部は、前記インバータの出力電流の位相が出力電圧の位相と略一致するように前記二つの自己消弧型半導体素子のオンオフを制御することを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項2から4のいずれかに記載の非接触給電装置であって、前記自己消弧型半導体素子がIGBTまたはFETであることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項2に記載の非接触給電装置であって、前記ダイオードが前記自己消弧型半導体素子のボディダイオードであることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項2に記載の非接触給電装置であって、前記ダイオードが前記自己消弧型半導体素子に外付けされていることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項1に記載の非接触給電装置であって、前記インバータが、フルブリッジインバータまたはハーフブリッジインバータであることを特徴とする非接触給電装置。
- 請求項1に記載の非接触給電装置であって、前記コンデンサが、前記非接触給電トランスの一次側コイルに直列に接続され、前記非接触給電トランスの二次側コイルには、コンデンサが並列に接続されていることを特徴とする非接触給電装置。
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