本発明に係る1つの実施例は、撮像装置の駆動方法である。本実施例の駆動方法では、撮像装置の複数の画素の信号に対して移動平均処理を行う。移動平均処理とは、たとえば、複数の信号に対して、加算前(または平均化前)の信号の信号重心のピッチと加算後(または平均化後)の信号の信号重心のピッチとが等しくなるように組み合わせを順次変えながら、加算(または平均化)を行うことである。複数の信号の信号重心のピッチとは、いわゆるサンプリングピッチのことである。あるいは、移動平均処理とは、加算前(または平均化前)の信号と加算後(または平均化後)の信号について単位長さあたりに同じ数の信号重心が位置するように、複数の信号に対して組み合わせを順次変えながら加算あるいは平均化を行うことである。
本実施例の駆動方法は、それぞれの画素において、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって光電変換により生じた電荷に基づく複数の信号が生成されることを特徴としている。換言すると、本実施例の駆動方法は、同じ光電変換期間に光電変換により生じた電荷に基づく信号を1つの画素につき複数回出力することを特徴としている。以下、本発明に係る実施例の要部について図1を用いて説明する。
図1(a)は本発明に係る実施例の要部を示す概念図である。撮像装置は、複数の画素を有する。図1(a)では4つの画素1a〜1dのレイアウトが模式的に示されている。撮像装置は実際にはさらに多くの画素を有しうる。これらの画素は半導体基板に配される。半導体基板は少なくとも1つの主面を有する。複数の画素は、当該主面において1次元状にあるいは2次元状に配置されうる。また、図1(a)では、各画素で光電変換により生じた電荷に基づく第1の信号、および加算あるいは平均化によって生成される第2の信号が矢印で示されている。
なお、図1の説明において、各画素に共通の説明を行う場合は、アルファベットを省略し、単に画素1と称する。一方で個別の画素を区別して説明する場合は、画素1cのようにアルファベットを付して称する。生成される信号および後述する画素の構成要素についても、共通の説明を行う場合は数字のみを付し、個別のものを区別して説明する場合は数字とアルファベットを付す。本図に限らず以降の図においても同様である。
画素1は、光電変換部2を含んで構成される。光電変換部2では、入射した光が電荷に光電変換される。言い換えると、入射した光に基づく信号が生成される。光電変換部2は例えばフォトダイオードである。さらに画素1が、光電変換部2で生じた電荷に基づく増幅信号を出力する増幅部を含んでいてもよい。
本実施例の駆動方法は、複数の光電変換部のそれぞれにおいて、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって光電変換するステップを含む。本実施例の駆動方法は、さらに光電変換によって発生した電荷を蓄積するステップを有していてもよい。このステップでは、第1の時刻以降に発生する電荷が第2の時刻まで継続的に蓄積される。発生した電荷は、光電変換部2に蓄積されてもよい。あるいは、画素1が、光電変換部2とは別に、発生した電荷を蓄積する蓄積部を有していてもよい。
第1の時刻と第2の時刻とは、それぞれの画素1に対して、個別に設定されうる。第1の時刻から第2の時刻までの期間が、撮像装置において露光が行われる際の1回の露光期間であってもよい。第1の時刻は、例えば、メカ的なシャッタが開くタイミング、電気的なシャッタが解除されるタイミングなどの撮像装置の動作に対応した時刻であってもよい。また、第2の時刻は、メカ的なシャッタが閉じるタイミング、蓄積された電荷を転送するタイミングなどの撮像装置の動作に対応した時刻であってもよい。この場合について、それぞれの画素1における第1の時刻から第2の時刻までの期間と、撮像装置の露光期間との関係について説明する。
撮像装置の露光方法には、大きく分けてグローバルシャッタとローリングシャッタとがある。グローバルシャッタは全ての画素1で露光期間の開始と終了とが一致するような露光方法である。このような露光方法では、例えば画素1aの光電変換部2aにおいて光電変換している第1の時刻から第2の時刻までの期間と、画素1bの光電変換部2bにおいて光電変換している第1の時刻から第2の時刻までの期間とが、同一の期間である。つまり、画素11aに対して設定された第1の時刻と、画素1bに対して設定された第1の時刻とが同じ時刻である。そして、画素1aに対して設定された第2の時刻と、画素1bに対して設定された第2の時刻とが同じ時刻である。なお、この期間が、それぞれの光電変換部2a、2bで生じた電荷の蓄積される期間であってもよい。
一方、ローリングシャッタは、それぞれの画素1での露光期間の開始と終了のタイミングが画素1ごとにずれているような露光方法である。したがって、例えば画素1aにおける第1の時刻から第2の時刻までの期間と、画素1bにおける第1の時刻から第2の時刻までの期間とは、完全には一致しない。つまり、画素11aに対して設定された第1の時刻と、画素1bに対して設定された第1の時刻とが互いに異なる時刻である。そして、画素1aに対して設定された第2の時刻と、画素1bに対して設定された第2の時刻とが互いに異なる時刻である。
本実施例の駆動方法は、画素ごとに、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって光電変換により生じた電荷に基づく複数の第1の信号3、4を生成するステップを含む。ここで第1の信号3、4の露光期間の開始時刻、終了時刻は実質的に一致している。そのため、複数の第1の信号3、4は、いずれも同じ期間に光電変換により生じた電荷に基づく信号である。そして、第1の信号3、4は、他の画素1で光電変換により生じた電荷に基づく信号とは加算も平均化もされていない信号である。つまり、第1の信号は加算前あるいは平均化前の信号である。好適には、半導体基板の内部で、複数の第1の信号の生成が行われる。
具体的な生成の方法としては、例えば、発生した電荷を複数の転送先に所定の割合で並行して転送してもよい。あるいは、増幅部から出力された信号を2つの容量にサンプルホールドしてもよい。この場合、2つの容量が、複数の画素に対して1つの割合で配される列回路に含まれてもよいし、もしくは、2つの容量が、それぞれの画素1に含まれてもよい。増幅部を介して出力された増幅信号も、画素1に対して生成された第1の信号である。
さらに別の生成の方法としては、2つのデジタル信号を出力してもよい。たとえば、出力されたアナログ信号に対してアナログデジタル変換(以下、AD変換)を行い、2つのメモリにデジタル信号を保持してもよい。あるいは、1つのメモリに保持されたデジタル信号を、複数回の演算のために複数回出力してもよい。あるいは、2つのカウンタを使って、画素1から出力された1つのアナログ信号に対して2系統のAD変換を並行して行ってもよい。この場合、比較器が出力する複数の比較結果を示す信号が、1つの画素に対して複数生成された複数の第1の信号であってもよい。
本実施例の駆動方法は、1つの画素の複数の第1の信号3、4をそれぞれ別々の画素の第1の信号と加算あるいは平均化することによって、移動平均処理を行うステップを含む。具体的には、画素1aの第1の信号4aと、画素1bの第1の信号3bとを加算あるいは平均化することによって、第2の信号5abを生成する。画素1bの第1の信号4bと画素1cの第1の信号3cとを加算あるいは平均化することによって、第2の信号5bcを生成する。画素1cの第1の信号4cと画素1dの第1の信号3dとを加算あるいは平均化することによって、第2の信号5cdを生成する。そして、画素1dの第1の信号4dは、不図示の画素1eの第1の信号3eと加算または平均化され、第2の信号5deが生成される。このようにして、2つの画素1の第1の信号を加算あるいは平均化することで、複数の第2の信号を生成する。つまり、第2の信号は加算後あるいは平均化後の信号である。なお、個々の第2の信号5について説明する場合、2つの画素1に対応するアルファベットを組み合わせて表記する。
上述の通り、第1の信号3、4は加算前の信号、あるいは平均化前の信号である。そして、第2の信号5は加算後の信号、あるいは平均化後の信号である。本明細書において、特に断りがない限り、加算前の信号および平均前の信号の一方について説明された場合は、他方についても同じ説明がなされたものとする。そのため、「加算前の信号、あるいは平均化前の信号」とは記載せず、単に「加算前の信号」、あるいは「平均化前の信号」とのみ記載する。加算後の信号と平均化後の信号についても同様である。
続いて、移動平均処理を行ったときの、加算前の信号の信号重心のピッチと、加算後の信号の信号重心のピッチとの関係について説明する。移動平均処理においては、第1方向において、加算前の信号の信号重心のピッチと加算後の信号の信号重心のピッチとが等しい。つまり、加算あるいは平均化の前後で、サンプリングピッチが変わらないと言える。別の観点としては、第1方向において、複数の加算前の信号の信号重心が含まれるような単位長さを考えた場合に、当該単位長さあたりに加算後の信号の信号重心が加算前の信号の信号重心と同じ数だけ含まれる。ここで、第1方向は半導体基板の主面に平行な方向である。
図1(a)では、光電変換部2の重心6が黒いドットで示されている。光電変換部2の重心6は、所定の平面における光電変換部2の外縁に基づいて幾何学的に決定されうる。ここで、所定の平面は、半導体基板の主面と平行な平面である。光電変換部2は一般に立体的な構造を有する。そこで、光電変換部2を切断するような平面において光電変換部2の外縁を決めてよい。
光電変換部2の外縁は、例えば光電変換部2を構成する半導体領域のうち、信号電荷が収集される半導体領域のPN接合面である。信号電荷が収集される半導体領域とは、信号電荷が電子の場合、フォトダイオードのN型半導体領域である。また、画素1が光電変換部2からの電荷の転送を制御する転送ゲートを含む場合は、当該転送ゲートの光電変換部2の側の端が、光電変換部2の外縁の一部に含まれてもよい。
撮像装置がフォトリソグラフィープロセスを用いて製造される場合には、当該フォトリソグラフィーに使われるマスクのパターンが、実質的に光電変換部2の外縁を規定している。例えば、信号電荷の収集される半導体領域を形成するプロセスにおけるマスクのパターンが、信号電荷の収集される半導体領域の外縁を実質的に規定しうる。また、転送トランジスタのゲート電極を形成するプロセスにおけるマスクのパターンが、ゲート電極の光電変換部2の側の端を実質的に規定しうる。
なお、所定の平面における光電変換部2の外縁に基づいて重心を決定することが困難な場合、あるいは、一義的には重心が決定されない場合は、光電変換部2の上に配された構造に基づいて重心の位置を決定してもよい。たとえば、平面で見たときに、配線によって1つの光電変換部に対して1つの開口が規定されているならば、当該開口の形状に基づいて重心を決定してもよい。1つの光電変換部に対して1つの開口が規定されていない場合は、例えばマイクロレンズなどの光学素子の重心を、光電変換部の重心としてもよい。
1つの光電変換部2で蓄積された電荷に基づく信号の信号重心は、他の信号と加算も平均化もされていなければ、当該1つの光電変換部2の重心6と同じ位置である。つまり、第1の信号の信号重心は、光電変換部2の重心6と同じ位置である。図1(a)における第1の信号3、4は加算前の信号である。したがって、加算前の信号の信号重心は、光電変換部2の重心6と同じ位置である。1つの光電変換部2の電荷に基づく信号が増幅されても、あるいはAD変換されても、信号重心の位置は変わらない。なお、特に区別する必要がない場合には、第1の信号3、4の信号重心、および光電変換部2の重心について同じ符号を付して説明する。
図1(a)が示す通り、4つの光電変換部2a〜2dの重心6a〜6dは、第1方向に沿ってピッチP1で並んでいる。つまり、加算前の信号の信号重心のピッチはP1である。換言すると、加算前の信号のサンプリングピッチがP1である。隣り合う2つの画素の光電変換部2の間隔が、必ずしもピッチP1と完全に等しい必要はない。たとえば、隣り合う2つの画素の光電変換部2の間隔が撮像装置の製造プロセスに起因してばらついてもよい。
図1(a)には、移動平均処理によって生成される第2の信号5の信号重心7が、白いドットで示されている。第2の信号5の信号重心7は、加算あるいは平均化される2つの第1の信号の信号重心6の中点である。例えば、第2の信号5abの信号重心7abは、画素1aの第1の信号4aの信号重心6aと、画素1bの第1の信号3bの信号重心6bとの中点である。ここで、第1の信号3、4は加算前の信号であり、第2の信号は加算後の信号である。したがって、加算後の信号の信号重心は、加算される2つの加算前の信号の信号重心の中点に位置する。
図1(a)が示す通り、4つの第2の信号5ab、5bc、5cd、5deの信号重心7ab、7bc、7cd、7deは、第1方向に沿ってピッチP2で並んでいる。つまり、加算後の信号の信号重心のピッチはP2である。換言すると、加算後の信号のサンプリングピッチがP2である。
図1(a)が示すように、ピッチP1とピッチP2とは等しい。つまり、本実施例の駆動方法では、加算前の信号の信号重心のピッチP1と加算後の信号の信号重心のピッチP2とが等しくなるように、複数の信号の加算あるいは平均化を行っている。換言すれば、加算前の複数の信号のサンプリングピッチと、加算後の複数の信号のサンプリングピッチとが同じであるように、複数の信号に対して加算あるいは平均化を行っている。このような加算あるいは平均化の処理が、移動平均処理である。なお、ピッチP1とピッチP2とは厳密に等しい必要はない。たとえば撮像装置の製造プロセスに起因するばらつき程度の差があってもよい。
図1(b)に、画素のレイアウトが図1(a)とは異なる例を示す。図1(b)において、図1(a)と同じ機能を有する部材には図1(a)と同じ符号を付している。また、図1(b)においても、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって蓄積された電荷に基づく信号である第1の信号、および複数の画素の第1の信号の加算あるいは平均化によって生成される第2の信号が矢印で示される。
図1(a)では4つの光電変換部2a〜2dの重心6a〜6dが一直線上に並んでいるのに対し、図1(b)では4つの光電変換部2a〜2dの重心6a〜6dがジグザグに配置されている。つまり、図1(b)では複数の画素が一直線上に並んでいない。図1(b)に示されるように、一直線上に配置されていない複数の画素の第1の信号に対して、移動平均処理を行ってもよい。
この場合には、光電変換部2の重心6のピッチおよび第2の信号5の信号重心7のピッチは、第1方向に沿った間隔に基づいて決められる。第1方向は、半導体基板の主面と平行な方向である。例えば、図1(b)において、光電変換部2aと光電変換部2bとが隣り合って配されている。また、第2の信号5abと第2信号5bcとは、互いに隣り合う位置に信号重心を有している。このとき、光電変換部2aの重心6aと光電変換部2bの重心6bとの距離は、第2の信号5abの信号重心7abと第2の信号5bcの信号重心7bcとの距離とは異なっている。しかし、第1方向における光電変換部2aの重心6aと光電変換部2bの重心6bとの距離は、第1方向における信号重心7abと信号重心7bcとの距離と等しい。
このように、第1方向における間隔を基準とすると、光電変換部2a〜2dのピッチP1と信号重心7ab〜7deのピッチP2は等しい。つまり、一直線上に配置されていない複数の画素の第1の信号に対して、移動平均処理が行われている。
図1(a)および(b)では、隣り合う2つの画素の光電変換部2は、いずれもピッチP1で配されている。しかし、本実施例の駆動方法を適用しうる撮像装置は、このようなレイアウトを有する撮像装置に限られることはない。複数の画素を1つの繰り返し単位として、複数の光電変換部2が周期的に配置されるレイアウトであってもよい。たとえば、図1(a)において、重心6aと重心6bとの間隔、および重心6cと重心6dとの間隔が第1の距離であり、重心6bと重心6cとの間隔、および重心6dと重心6eとの間隔が第1の距離とは異なる第2の距離であってもよい。これは、2つの画素を1つの繰り返し単位として、周期的に光電変換部2が配置される例である。
また、図1(a)および(b)では、簡便のために、加算後の信号(第2の信号)の信号重心が、2つの加算前の信号(第1の信号)の信号重心の中点である例を説明した。しかし、例えば加重平均を行う場合には、加重の度合いに応じて中点からオフセットした位置に信号重心が配置されうる。
さらに本発明に係る別の実施例では、3つ以上の画素の第1の信号を加算あるいは平均化する。3つ以上の画素の第1の信号を加算あるいは平均化する場合でも、加算前の信号の信号重心の位置に基づいて加算後の信号の信号重心が決められる。そのために、本明細書では中点の意味が通常より広く解釈される。具体的には、3つ以上の加算前の信号の信号重心のそれぞれに、半導体基板の主面と平行な平面における2次元座標、例えばXY座標を割り当てる。このとき、X座標の平均値およびY座標の平均値が、それぞれ加算後の信号の信号重心のX座標およびY座標であってもよい。
光電変換部2が等間隔に配置されない撮像装置において移動平均処理が行われる場合や、加重平均が行われる場合には、加算前の信号の信号重心のピッチと、加算後の信号の信号重心のピッチとが一致しない可能性がある。しかし、別の観点として、加算あるいは平均化を行った結果、第1方向に沿った単位長さあたりにおける複数の加算前の信号の信号重心の数と、第1方向に沿った同じ単位長さあたりにおける複数の加算後の信号の信号重心の数とが等しければ、移動平均処理が行われたと言える。
具体的な例として、図1(a)において、光電変換部2aの重心6aから光電変換部2dの重心6dまでの距離を単位長さとする。そうすると、この単位長さあたりに、信号重心6aおよび6dを含む4つの信号重心6a〜6dが位置する。一方で、図1では、第2の信号5abの信号重心7abから第2の信号5deの信号重心7deまでの距離が光電変換部2aの重心6aから光電変換部2dの重心6dまでの距離と等しい。つまり、単位長さあたりに、信号重心7abおよび7deを含む4つの信号重心が含まれる。
このように、加算前の信号と加算後の信号について単位長さあたりに同じ数の信号重心が位置するように、複数の信号に対して組み合わせを順次変えながら加算あるいは平均することも、移動平均処理に含まれる。
以下では、本発明の実施例についてさらに詳細に説明する。以上の説明は、後述する実施例についても同様である。なお、本発明は以下に説明される実施例のみに限定されない。本発明の趣旨を超えない範囲で以下に説明される実施例の一部の構成が変更された変形例も、本発明の実施例である。また、以下のいずれかの実施例の一部の構成を、他の実施例に追加した例、あるいは他の実施例の一部の構成と置換した例も本発明の実施例である。
本発明の実施例について説明する。本実施例に係る撮像装置では、各画素が光電変換部と、増幅部と、2つの容量とを有する。光電変換部で第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって光電変換が行われる。光電変換により発生した電荷は光電変換部に蓄積される。蓄積された電荷に基づく第1の信号が、画素の増幅部から2つの容量のそれぞれに出力される。2つの容量のそれぞれは、出力された第1の信号を保持する。そして、2つの容量に保持された第1の信号を用いて、移動平均処理が行われる。具体的には、各画素の、第1の容量に保持された第1の信号と、第2の容量に保持された第1の信号とが、異なる組み合わせの画素の信号と平均化されることによって、複数の第2の信号を生成している。なお、本実施例では、露光期間が全画素で一致している。いわゆるグローバルシャッタ動作が行われる。
図2は、本実施例の撮像装置の全体ブロック図である。撮像装置101は半導体基板を用いて1つのチップで構成することができる。撮像装置101は、撮像領域102に配された複数の画素を有している。更に、撮像装置101は制御部103を有している。制御部103は、垂直走査部104、信号処理部105及び出力部106に制御信号、電源電圧等を供給する。
垂直走査部104は撮像領域102に配された複数の画素に駆動信号を供給する。垂直走査部104は画素行ごともしくは複数の画素行ごとに駆動信号を供給する。垂直走査部104はシフトレジスタもしくはアドレスデコーダにより構成することができる。
信号処理部105は、列回路、水平走査回路、水平出力線を含んで構成される。列回路は、各々が、複数の回路ブロックを含んで構成されうる。回路ブロックは、信号保持部、列増幅回路、ノイズ除去部、AD変換部などである。水平走査回路はシフトレジスタもしくはアドレスデコーダにより構成することができる。水平出力線に出力される信号は、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
出力部106は水平出力線を介して伝達された信号を撮像装置101外に出力する。出力部106は、バッファもしくは増幅回路を含んで構成されている。
垂直走査部104、信号処理部105、出力部106は撮像領域102の外側に配される。つまり、撮像領域102の境界は、画素に含まれる素子と、垂直走査部104、信号処理部105、または出力部106を構成する素子との間にある。例えば、もっとも外周に配された画素に含まれる素子と、垂直走査部104、信号処理部105、または出力部106を構成する素子との間の素子分離部が撮像領域102の境界であってもよい。
図3に本実施例の撮像装置の等価回路を示す。図3では、16個の画素201が示されている。撮像領域102が更に多数の画素201を含んで構成されていてもよい。本実施例では、これらの画素201が行列状に配される。上述の16個の画素201が4行4列の行列を構成している。垂直走査部によって並行に制御されうる画素群が行である。列は、行とは異なる方向に配された画素群であって、1本もしくは複数本の出力線を共有している画素群である。なお、複数の画素は必ずしも行列状に配される必要はなく、撮像領域102に1次元状、あるいは2次元状に複数の画素が配置されればよい。また、図3において隣り合って示された2つの画素が、必ずしも実際の装置において隣り合って配されている必要はない。
なお、図3において、複数の画素201のそれぞれに含まれ、互いに同様の機能を有する素子には、同じ数字の符号が付されている。個別の素子を区別して説明する際には、当該個別の素子が含まれる画素に対応したアルファベットを、数字の後に付して標記する。例えば、画素201aに含まれる素子は、数字の符号の後にアルファベットのaを付す。これは以降の図においても同様である。
図3において、画素201a、201b、201c、201dが第1行に含まれる。画素201e、201f、201g、201hが、第1行の隣の第2行に含まれる。そして、画素201i、201j、201k、201lが第3行に含まれ、画素201m、201n、201o、201pが第4行に含まれる。また、画素201a、201e、201i、201mが第1列に含まれる。画素201b、201f、201j、201nが、第1列の隣の第2列に含まれる。そして、画素201c、201g、201k、201oが第3列に含まれ、画素201d、201h、201l、201pが第4列に含まれる。
次に撮像装置の各部を詳細に説明する。画素201は、光電変換部202、リセットトランジスタ203、第1増幅トランジスタ204、電流源205、第1容量206、第2容量207、第1サンプルホールドスイッチ(以下、SHスイッチ)208、第2SHスイッチ209を含む。図3において、ノードVSSには、基準電圧(例えばグラウンド電圧)が供給される。ノードVDDには電源電圧が供給される。
光電変換部202は入射光を信号電荷(電子、あるいは正孔)に変換する。光電変換部202の例としてフォトダイオードを示している。リセットトランジスタ203は、光電変換部202および第1増幅トランジスタ204の入力ノードの電圧をリセットする。第1増幅トランジスタ204は、電流源205とともにソースフォロア回路を構成する。第1増幅トランジスタ204の出力ノードは、第1SHスイッチ208を介して、第1容量206に接続される。これにより、第1増幅トランジスタ204から出力された第1の信号が、第1容量206に保持されうる。また、第1増幅トランジスタ204の出力ノードは、第2SHスイッチ209を介して第2容量207に接続される。これにより、第1増幅トランジスタ204から出力された第1の信号が、第2容量207に保持されうる。画素201のメモリ部は、第1および第2容量206、207と第1および第2SHスイッチ208、209とを含んで構成される。
本実施例においては、画素201が第1および第2容量206、207を含んでいる。そのため、画素201において、同一の期間に光電変換部202に蓄積された電荷に基づく2つの第1の信号を並行して出力することができる。つまり、1つの画素201に対して複数の第1の信号が生成される。具体的な動作例については後述する。
本実施例では、4つの画素201に1つの割合で、第2増幅トランジスタ210、第3増幅トランジスタ211、第1選択トランジスタ212、第2選択トランジスタ213が配される。
第2増幅トランジスタ210は、出力線216に接続される。出力線216には電流源214が接続される。第2増幅トランジスタ210は電流源214とともにソースフォロア回路を構成する。そして、第2増幅トランジスタ210は、第1容量206に保持された信号に基づく増幅信号を出力線216に出力する。第1選択トランジスタ212は、増幅信号を出力する1つの第2増幅トランジスタ210を選択する。
第3増幅トランジスタ211は、出力線217に接続される。出力線217には電流源215が接続される。第3増幅トランジスタ211は電流源215とともにソースフォロア回路を構成する。そして、第3増幅トランジスタ211は、第2容量207に保持された信号に基づく増幅信号を出力線217に出力する。第2選択トランジスタ213は、増幅信号を出力する1つの第3増幅トランジスタ211を選択する。
本実施例では、リセットトランジスタ203、第1乃至第3増幅トランジスタ204、210、211、第1および第2SHスイッチ208、209、第1および第2選択トランジスタ212、213は、それぞれMOSトランジスタである。なお、これらのトランジスタが、バイポーラトランジスタなど、別の種類のトランジスタで構成されてもよい。
リセットトランジスタ203、第1および第2SHスイッチ208、209、第1および第2選択トランジスタ212、213の制御ノードには、それぞれ不図示の制御線が接続される。制御線は垂直走査部104に接続される。垂直走査部104は、上述の各トランジスタを駆動するための駆動信号を制御線に供給する。
本実施例の撮像装置は、複数のスイッチADD1(第1のスイッチ群)および複数のスイッチADD2(第2のスイッチ群)を含んで構成された接続部を備える。スイッチADD1は、2つの画素201の第1容量206を互いに接続する。スイッチADD2は、2つの画素201の第2容量207を互いに接続する。スイッチADD1、またはスイッチADD2がオンになると、接続される2つの容量の大きさが同じ場合には、2つの容量の保持する電圧が平均化される。2つの容量の大きさが異なる場合には、容量比に応じて加重平均される。なお、第1容量206および第2容量207の大きさは、それらに接続されたスイッチがすべてオフの状態のとき等しいことが好ましい。しかし、製造プロセスに起因するばらつきによって、容量の大きさが異なっていてもよい。個々の容量の絶対値としては、製造プロセスに起因するばらつきが十分無視できる程度に大きいことが好ましい。
ここで、接続部によって接続される複数の画素201の組み合わせについて説明する。本実施例では、2行2列ごとの4つの画素201の第1の信号を平均化することによって、移動平均処理を行う。信号が平均化される画素の組み合わせを破線218〜221および一点鎖線222で示している。本実施例において、各画素201は、第1の組み合わせと第2の組み合わせの両方に含まれる。破線218、219、220、221がそれぞれ囲んでいる4つの画素201が、第1の組み合わせの複数の画素である。例えば、画素201a、201b、201e、201fが第1の組み合わせである。一点鎖線222が囲んでいる4つの画素201が、第2の組み合わせの複数の画素である。なお、一点鎖線222で囲まれていない画素201も、不図示の画素とともに、第2の組み合わせに含まれている。例えば、画素201bおよび画素201cは、2つの不図示の画素とともに、第2の組み合わせを構成する。
第1の組み合わせの複数の画素201の第1の信号が平均化された第2の信号は出力線216に出力される。第2の組み合わせの複数の画素201の第1の信号が平均化された第2の信号は出力線217に出力される。出力線216、217に出力された第2の信号は、後段の信号処理部105に伝達される。
スイッチADD1は、第1の組み合わせの複数の画素201のメモリ部を互いに接続する。破線218で囲まれた4つの画素201a、201b、201e、201fにおいて、画素201aの第1容量206aと画素201bの第1容量206bとがスイッチADD1を介して接続される。また、画素201aの第1容量206aと画素201eの第1容量206eとがスイッチADD1を介して接続される。そして、画素201eの第1容量206eと画素201fの第1容量206fとがスイッチADD1を介して接続される。破線219、破線220、破線221のそれぞれに囲まれた4つの画素201についても、第1容量206がスイッチADD1によって互いに接続される。
スイッチADD2は、第2の組み合わせの複数の画素201のメモリ部を互いに接続する。一点鎖線222で囲まれた4つの画素201f、201g、201j、201kにおいて、画素201fの第2容量207fと画素201gの第2容量207gとがスイッチADD2を介して接続される。また、画素201fの第2容量207fと画素201jの第2容量207jとがスイッチADD2を介して接続される。そして、画素201jの第2容量207jと画素201kの第2容量207kとがスイッチADD2を介して接続される。
このように、本実施例では、複数のスイッチADD1と複数のスイッチADD2によって、異なる組み合わせの複数の画素201のメモリ部が接続される。これにより、第1の組み合わせの複数の画素201からの第1の信号は、スイッチADD1によって平均化され、平均化によって得られた第2の信号が出力線216に出力される。また、第2の組み合わせの複数の画素201からの第1の信号は、スイッチADD2によって平均化され、平均化によって生成された第2の信号が出力線217に出力される。
スイッチADD1およびスイッチADD2は例えばMOSトランジスタである。それぞれのゲートに不図示の制御線が接続される。制御線は垂直走査部104に接続される。垂直走査部104は、スイッチADD1、ADD2の状態(オンまたはオフ)を制御するための駆動信号を制御線に供給する。つまり、本実施例では、垂直走査部104および垂直走査部104を制御する制御部103が、接続部を制御している。具体的に、制御部103および垂直走査部104は、第1の組み合わせの複数の画素201のメモリ部が互いに接続されるように、複数のスイッチADD1をオンに制御する。そして、制御部103および垂直走査部104は、第2の組み合わせの複数の画素201のメモリ部が互いに接続されるように、複数のスイッチADD2をオンに制御する。
続いて、本実施例における、第1の信号の信号重心および第2の信号の信号重心について図4を用いて説明する。図4は、光電変換部202のレイアウトを模式的に示している。また、図4には、光電変換部202の重心6が黒いドットで示されている。光電変換部202の重心6の位置が、当該光電変換部202を含む画素201の第1の信号の信号重心6の位置である。また、図4は複数の画素201の第1の信号が平均化された第2の信号の信号重心7の位置が白いドットで示されている。
第2列に含まれる画素を例に説明する。画素201bの第1の信号(平均化前の信号)の信号重心は、光電変換部202bの重心6bの位置である。同様に、画素201f、201j、201nの第1の信号の信号重心は、それぞれ光電変換部202f、202j、202nの重心6f、6j、6nの位置である。これらの光電変換部202b、202f、202j、202nは、列方向に沿って所定のピッチP1で配されている。そのため、平均化前の信号の信号重心のピッチはP1である。この実施例では列方向が第1方向である。
信号重心7A〜7Eは、第2の信号(平均化後の信号)の信号重心である。信号重心7Aは、画素201bの第1の信号と、画素201cの第1の信号と、さらに不図示の2つの画素の第1の信号とが平均化されたことで生成される第2の信号の信号重心を示している。信号重心7Bは、図3の破線218で囲まれた4つの画素の第1の信号が平均化されたことで生成される第2の信号の信号重心である。信号重心7Cは、図3の一点鎖線222で囲まれた4つの画素の第1の信号が平均化されたことで生成される第2の信号の信号重心である。信号重心7Dは、図3の破線220で囲まれた4つの画素の第1の信号が平均化されたことで生成される第2の信号の信号重心である。信号重心7Eは、画素201nの第1の信号と、画素201oの第1の信号と、さらに不図示の2つの画素の第1の信号とが平均化されたことで生成される第2の信号の信号重心を示している。列方向において、信号重心7A〜7EはピッチP2で配されている。
図4が示す通り、ピッチP1とピッチP2は等しい。言い換えると、列方向におけるサンプリングピッチが平均化の前後で変わっていない。このように、本実施例では、第2列に含まれる複数の画素の第1の信号に対して、移動平均処理が行われている。その結果として、列方向の解像度を大幅に落とすことなくモアレを低減した信号を得ることができる。
また、本実施例では、行方向に沿って配された複数の画素の信号についても、移動平均処理が行われている。例えば、光電変換部202e〜202hの重心6a〜6dのピッチが、複数の第2の信号の信号重心7F、7B、7C、7G、7Hの行方向のピッチと等しい。その結果として、行方向の解像度を大幅に落とすことなくモアレを低減した信号を得ることができる。
なお、第1の組み合わせでの平均化によって生成された第2の信号の信号重心(例えば図4の信号重心7B)と、第2の組み合わせでの平均化によって生成された第2の信号の信号重心(例えば図4の信号重心7C)とは、行方向および列方向に1画素ずつずれている。そのため、これらの第2の信号に基づく補完処理を行ってもよい。例えば、それぞれが信号重心7A、7B、7C、7Gを有する4つの第2の信号を用いて、図4の点線で示されたドット8の位置に信号重心を有する第3の信号を合成してもよい。このような補完処理によって、モアレなど高周波成分に起因するノイズが低減された、高い解像度の画像を得ることができる。
続いて、本実施例の駆動方法について詳細に説明する。図5(a)、(b)は、駆動信号のタイミングチャート図である。駆動信号RESは、リセットトランジスタ203に接続された制御線に供給される。駆動信号S/H1は、第1SHスイッチ208に接続された制御線に供給される。駆動信号S/H2は、第2SHスイッチ209に接続された制御線に供給される。駆動信号ADD1は、スイッチADD1に接続された制御線に供給される。駆動信号ADD2は、スイッチADD2に接続された制御線に供給される。駆動信号SELは、第1選択トランジスタ212に接続された制御線、および第2選択トランジスタ213に接続された制御線に供給される。
本実施例では、駆動信号RES、駆動信号S/H1、駆動信号S/H2、駆動信号ADD1、駆動信号ADD2が、全ての画素に同期して供給される。駆動信号SEL(n)と、駆動信号SEL(n+1)は異なる行の選択トランジスタの制御線に供給される。例えば、駆動信号SEL(n)が第1選択トランジスタ212b、212dに供給され、駆動信号SEL(n+1)が第2選択トランジスタ213b、213dに供給される。さらに、図5には示されていないが、駆動信号SEL(n+2)が第1選択トランジスタ212j、212lに供給され、駆動信号SEL(n+3)が第2選択トランジスタ213j、213lに供給されうる。
駆動信号はハイレベルとローレベルの少なくとも2つの値を取りうる。ハイレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオンとなる。ローレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオフとなる。
図5(a)を使って、第1の動作例を説明する。図5(a)の時刻T1より前には、駆動信号RESがハイレベルであり、他の駆動信号は全てローレベルである。リセットトランジスタ203がオンしているので、光電変換部202には、リセット電位が供給されている。この時、第1増幅トランジスタ204は、光電変換部202がリセットされた状態に応じた信号を出力している。なお、リセットトランジスタ203がオンしているときは、電子的なシャッタが動作しているときである。
時刻T1において、駆動信号RESがハイレベルからローレベルに遷移する。リセットトランジスタ203がオフすることにより、電子的なシャッタが解除され、光電変換が開始される。つまり、時刻T1に露光期間が開始される。露光期間には、第1増幅トランジスタ204が光電変換部202で発生した電荷の量に応じた信号を出力している。時刻T1が、本実施例における第1の時刻である。なお、露光期間の開始は、メカ的なシャッタによって制御されてもよい。また、時刻T1に光電変換部202で電荷の蓄積が開始される。
時刻T2において、駆動信号S/H1および駆動信号S/H2がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、光電変換部202で発生した電荷の量に応じた信号(第1の信号)が、第1および第2容量206、207の両方に出力される。時刻T2から所定の時間が経過したのちに、駆動信号S/H1および駆動信号S/H2がハイレベルからローレベルに遷移する。これにより、光電変換部202で発生した電荷の量に応じた信号が、第1および第2容量206、207の両方に保持される。このように、各画素201において、同一の期間に生じた電荷に基づく複数の第1の信号が出力される。第1SHスイッチ208および第2SHスイッチ209がオフした時点で、露光期間を終了してもよい。第1SHスイッチ208および第2SHスイッチ209がオフした時刻が、本実施例における第2の時刻である。
時刻T3において、駆動信号RESがローレベルからハイレベルに遷移する。リセットトランジスタ203がオンすることで、光電変換部202に蓄積された電荷が排出される。なお、リセットトランジスタ203がオンするタイミングは時刻T3に限られず、リセットトランジスタ203は次の露光期間が開始される前までにオンすればよい。
時刻T4において、駆動信号ADD1および駆動信号ADD2がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、スイッチADD1およびスイッチADD2がオンする。スイッチADD1がオンすることにより、第1の組み合わせの複数の画素201の第1容量206に保持された第1の信号が平均化される。また、スイッチADD2がオンすることにより、第2の組み合わせの複数の画素201の第2容量207に保持された第1の信号が平均化される。この動作によって、複数の画素の信号に対して移動平均処理が行われる。この実施例では、全ての画素の信号について、一括して移動平均処理を行っている。つまり、この実施例では、複数の平均化の動作を並行して行っている。
その後、平均化によって得られた第2の信号が順次読み出される。時刻T5において、駆動信号SEL(n)がローレベルからハイレベルに遷移する。これによって、駆動信号SEL(n)が供給される第1選択トランジスタがオンする。例えば、画素201bに含まれる第1選択トランジスタ212bと、画素201dに含まれる第1選択トランジスタ212dとがオンする。そして、オンとなった選択トランジスタに対応する第2増幅トランジスタ210が、それぞれ第2の信号を増幅して出力線216に出力する。出力線216に出力された信号は、信号処理部105に伝達され、所定の信号処理がなされる。時刻T5から所定の時間が経過した後、駆動信号SEL(n)がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T6において、駆動信号SEL(n+1)がローレベルからハイレベルに遷移する。これによって時刻T5にオンした駆動信号SEL(n+1)が供給される第2選択トランジスタがオンする。例えば、画素201bに含まれる第2選択トランジスタ213bと、画素201dに含まれる第2選択トランジスタ213dとがオンする。そして、オンとなった選択トランジスタに対応する第3増幅トランジスタ211が、それぞれ第2の信号を増幅して出力線217に出力する。出力線217に出力された信号は、信号処理部105に伝達され、所定の信号処理がなされる。時刻T6から所定の時間が経過した後、駆動信号SEL(n+1)がハイレベルからローレベルに遷移する。
以上の動作により、複数のスイッチADD1と複数のスイッチADD2によって、異なる組み合わせの複数の画素201のメモリ部が接続される。その結果、第1の組み合わせの複数の画素201からの第1の信号が、スイッチADD1によって平均化される。そして、平均化によって得られた第2の信号が出力線216に出力される。また、第2の組み合わせの複数の画素201からの信号が、スイッチADD2によって平均化される。そして、平均化によって得られた第2の信号が出力線217に出力される。
なお、平均化によって得られた第2の信号が読み出されている間に、次の露光期間が開始されてもよい。このような第2の動作例について、図5(b)を用いて説明する。図5(b)では、時刻T1bに駆動信号RESがハイレベルからローレベルに遷移する。そして、この時点から次の露光期間が開始される。このように、第2の信号が読み出されている間に露光期間が開始されることで、フレームレートを高くすることが可能である。
以上に説明した通り、本実施例では、複数の画素の第1の信号に対して移動平均処理を行っている。具体的には、平均化で得られる第2の信号の信号重心が、画素の配列と同じピッチで並ぶように、異なる4つの組み合わせで画素の第1の信号を平均化している。
このような構成によれば、モアレなどの、高周波成分に起因するノイズを低減した信号を得ることができる。
さらに、本実施例では、同一の期間に生じた電荷に基づく複数の第1の信号を並行して出力している。そのため、第1の組み合わせでの平均化に用いられる信号と、第2の組み合わせでの平均化に用いられる信号とが、同じ蓄積期間に得られた電荷に基づく信号である。このような構成によれば、露光期間の異なる信号を用いて移動平均処理を行う場合に比べて画質の低下を抑制することができる。
また、本実施例では撮像装置の内部において、移動平均処理を行っている。撮像装置の内部とは、図2の出力部106より前段のことである。そのため、撮像装置から出力された画像信号に対する付加的な処理を省略することができる。結果として、撮像動作を高速化することができる。あるいは、撮像システム全体の構成を小型化することができる。
また、本実施例の撮像装置の動作では、全ての画素が同期して駆動される。つまり、全ての画素において露光期間が一致しているグローバルシャッタ動作を行っている。このような構成によれば、高速で移動する被写体のひずみを低減することができるため、画質を向上させることができる。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例では、画素にカラーフィルタが設けられている点が、実施例1と異なる。そして、本実施例では、同じ色のカラーフィルタが配された複数の画素の第1の信号に対して移動平均処理を行う。本実施例において特に説明のない部分は、実施例1と同様である。
図6(a)は、本実施例の撮像装置が有する複数の画素を模式的に示している。1つの小さい四角形が、図2の撮像領域102における1つの画素が配される領域を模式的に表している。図3の回路図において1つの画素201に含まれる素子として示された一群の素子が、この1つの四角形の中に配される。
なお、図6では、画素を四角形で模式的に示している。しかし、1つの画素の領域は、必ずしも四角形である必要はない。また、図6は、複数の画素が正方格子に配された例を示している。しかし、必ずしも正方格子に限られず、複数の画素が2次元状に周期的に配されていればよい。
図6に示された画素の回路構成は、実施例1と同様である。本発明に係る撮像装置はスイッチと配線を含んで構成された接続部を有するため、画素201aと画素201bとの間に、当該2つの画素201a、201bとは接続されない別の画素を配置することができる。つまり、間に別の画素を挟んで配置された2つの画素のメモリ部を容易に接続することができるのである。そのため、ベイヤー配列のように、隣り合う画素で異なる色のカラーフィルタが配される場合でも、同じ色の複数の画素のメモリ部を接続することができる。
本実施例の撮像装置は3色のカラーフィルタを有する。図6(a)は、各画素に配されたカラーフィルタの色を示している。Rは、第1の波長帯、例えば赤色のカラーフィルタが配されていることを示す。GrおよびGbは、第2の波長帯、例えば緑色のカラーフィルタが配されていることを示す。Bは、第3の波長帯、例えば青色のカラーフィルタが配されていることを示す。本実施例の撮像装置は、図が示す通り、いわゆるベイヤー配列のカラーフィルタを備えている。しかし、カラーフィルタの配列はこれに限られない。少なくとも2色以上のカラーフィルタが配されていればよい。
図6(a)において、接続部によって互いのメモリ部が接続される画素の組み合わせが、実線301〜312および一点鎖線313〜324で示される。そして、本実施例の接続部は、実線あるいは一点鎖線で囲まれた複数の画素のうち、同じ色のカラーフィルタが配された複数の画素のメモリ部を互いに接続する。つまり、同じ色のカラーフィルタが配された複数の画素の第1の信号を平均化する。
実線301に囲まれた16個の画素を例に説明する。接続部は、画素A1、画素A3、画素C1、画素C3のメモリ部を接続する。つまり、画素A1、画素A3、画素C1、画素C3のメモリ部にそれぞれ保持された4つの第1の信号が平均化される。これにより赤色(カラーフィルタR)に対応した第2の信号が得られる。その他の色に関しても同様である。ここで、Grで示された画素と、Gbで示された画素には、いずれも緑色のカラーフィルタが配されている。しかし、上述の通り、異なる組み合わせとして、第1の信号が平均化される。
他の実線302〜312、および一点鎖線313〜324で囲まれた16個の画素についても、同じ色の画素同士で、メモリ部が接続される。なお、図6において、一点鎖線316、320〜324に囲まれた画素の数は16個より少ない。しかし、実際には、不図示の画素を含めた複数の画素のメモリ部が接続されうる。
本実施例では、実線301〜312で囲まれた複数の画素が、第1の組み合わせである。一方、一点鎖線313〜324で囲まれた複数の画素が、第2の組み合わせである。第1の組み合わせに含まれる複数の画素の第1の信号の平均化と、第2の組み合わせに含まれる複数の画素の第1の信号の平均化とを行うことで、移動平均処理が行われる。上述の通り、同じ色のカラーフィルタが配された複数の画素の第1の信号を平均化する。そのため、同じ色のカラーフィルタが配された複数の画素の信号に対して移動平均処理が行われる。
具体例として、画素C3の信号の平均化について説明する。実線301で囲まれた画素A1、画素A3、画素C1、画素C3の4つの信号が平均化される。一方で、一点鎖線313で囲まれた画素C3、画素C5、画素E3、画素E5の4つの信号が平均化される。
図6(b)は、平均化により得られた第2の信号の信号重心を示している。図6(b)では、平均化により得られた第2の信号の信号重心が位置する画素を、R、Gb、Gr、またはBで示している。例えば、図6(a)の画素A1、画素A3、画素C1、画素C3の第1の信号が平均化されたことによって得られた第2の信号の信号重心は、画素B2の領域に位置する。
図6(a)と図6(b)とを参照して、平均化前の信号の信号重心のピッチと平均化後の信号の信号重心のピッチの関係を説明する。図6(a)において、例えば6列目に含まれる画素A6、C6、E6、G6、I6、K6には、緑色のカラーフィルタGrが配されている。これらの画素A6、C6、E6、G6、I6、K6は、2画素分のピッチで配されている。つまり、画素A6、C6、E6、G6、I6、K6の第1の信号の信号重心は、列方向において2画素分のピッチで並んでいる。本実施例では列方向が第1方向である。
画素A6、C6、E6、G6、I6、K6の信号に対する移動平均処理として、実線302、306、310、および一点鎖線313、317、321が示す組み合わせで、同じ緑色のカラーフィルタGrが配された画素の第1の信号の平均化が行われる。図6(b)において、上述の組み合わせでの平均化で得られた第2の信号の信号重心は、それぞれ、画素B7、D5、F7、H5、J7、L5の位置にある。つまり、緑色のカラーフィルタGrに対応する第2の信号の信号重心は、列方向において2画素分のピッチで並んでいる。このように、本実施例では、同じ色の複数の画素の信号に対して移動平均処理が行われている。
以上に述べた通り、本実施例では、複数の色のカラーフィルタを有する撮像装置において、色ごとに移動平均処理を行っている。このような構成によれば、実施例1の効果に加えて、混色を低減することができる。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例では、移動平均処理を行う画素の組み合わせが実施例1および実施例2と異なる。具体的には、1つの画素の第1の信号について、4通りの組み合わせの平均化が行われる。そのために、1つの画素において、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって蓄積された電荷に基づく第1の信号を4回出力している。つまり、1つの画素につき4つの第1の信号が出力される。本実施例において特に説明のない部分は、実施例1あるいは実施例2と同様である。
図7(a)は、本実施例の撮像装置が有する複数の画素を模式的に示している。画素の位置の標記は図6と同じである。また、本実施例の画素には、カラーフィルタが配されている。
本実施例では、1つの画素について、当該1つの画素を含む4つの異なる組み合わせにおいて、第1の信号の平均化を行う。4つの組み合わせは、実線401、破線402、一点鎖線403、二点鎖線404が示す画素の組み合わせである。
具体的に、画素C3を例に説明する。第1の組み合わせとして、画素A1、画素A3、画素C1、画素C3の4つの画素のメモリ部が接続される。第2の組み合わせとして、画素A3、画素A5、画素C3、画素C5の4つの画素のメモリ部が接続される。第3の組み合わせとして、画素C1、画素C3、画素E1、画素E3の4つの画素のメモリ部が接続される。そして、第4の組み合わせとして、画素C3、画素C5、画素E3、画素E5の4つの画素のメモリ部が接続される。他の色のカラーフィルタが配された画素についても、ある画素に着目した場合に、当該画素を含む4つの異なる組み合わせで、第1の信号の平均化が行われる。
上述のような移動平均処理を行うために、1つの画素のメモリ部が4つの容量を含んで構成されてもよい。つまり、1つの画素の4つの第1の信号が並行して出力されてもよい。それぞれの容量が、異なる組み合わせの複数の画素のメモリ部と接続される。具体的に、画素C3のメモリ部が第1ないし第4の4つの容量を含んで構成される例を説明する。接続部は、第1の容量を、画素A1、画素A3、画素C1のメモリ部と接続するための一群のスイッチADD1(第1のスイッチ群)を含む。また、接続部は、第2の容量を、画素A3、画素A5、画素C5のメモリ部と接続するための一群のスイッチADD2(第2のスイッチ群)を含む。さらに、接続部は、第3の容量を、画素C1、画素E1、画素E3のメモリ部と接続するための一群のスイッチADD3(第3のスイッチ群)を含む。そして、接続部は、第4の容量を、画素C5、画素E3、画素E5のメモリ部と接続するための一群のスイッチADD4(第4のスイッチ群)を含む。
図7(b)は、平均化によって得られた複数の第2の信号の信号重心を示している。図7(b)では、第2の信号の信号重心が位置する画素を、R、Gb、Gr、またはBで示している。例えば、図7(a)の画素A1、画素A3、画素C1、画素C3の第1の信号が平均化されたことで得られる第2の信号の信号重心は、画素B2の領域に位置する。
本実施例では、1つの画素の第1の信号について、4つの異なる組み合わせで平均化を行っている。そのため、平均化で得られる第2の信号をより多く得ることができる。図6(a)と図7(a)とを比較すると、画素の配列は実施例2と実施例3とで同じである。しかし、実施例2では、図6(b)の画素B4、B5、C4、C5など、平均化後の信号の信号重心が配されない画素がある。これに対して、本実施例では、図7(b)が示すように、外周の画素を除いて平均化後の信号の信号重心が配される。つまり、平均化後の信号である第2の信号をより多く得ることができる。結果として、解像度の高い画像を得ることができる。
なお、実施例1あるいは実施例2において、複数の第1の信号の平均化によって得られた複数の第2の信号に基づいて補完処理を行うことで解像度の高い画像を得ることができる。これに対して、本実施例によれば、そのような補完処理を省略することができる。
以上に述べた通り、本実施例によれば、実施例1あるいは実施例2の効果に加えて、解像度の高い画像を得ることができる。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例に係る撮像装置では、各画素が光電変換部と、光電変換部から電荷を転送する転送部とを有する。転送部は、1つの光電変換部で生じた電荷を2つの転送先に並行して転送する。別の観点で言えば、転送部は、1つの光電変換部に蓄積された電荷を2つの転送先に分配する。電荷を2つの転送先に並行して転送する、あるいは、電荷を2つの転送先に分配することで、第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたる光電変換によって生じた電荷に基づく2つの第1の信号を出力している。そして、電荷の転送先となるノードにおいて、電荷の加算が行われる。これによって、移動平均処理が行われる。なお、本実施例では、露光期間が全画素で一致している。いわゆるグローバルシャッタ動作が行われる。
図2は、本実施例の撮像装置の全体ブロック図である。撮像装置101は半導体基板を用いて1つのチップで構成することができる。撮像装置101は、撮像領域102に配された複数の画素を有している。本実施例では、撮像領域102に配される画素の構成が、実施例1と異なっている。制御部103、垂直走査部104、信号処理部105及び出力部106の構成は実施例1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図8に本実施例の撮像装置の等価回路を示す。図8では、12個の画素201が示されている。撮像領域102が更に多数の画素201を含んで構成されていてもよい。本実施例では、これらの画素201が行列状に配される。上述の12個の画素201が3行4列の行列を構成している。垂直走査部によって並行に制御され得る画素群が行である。列は、行とは異なる方向に配された画素群であって、1本もしくは複数本の出力線を共有している画素群である。なお、複数の画素は必ずしも行列状に配される必要はなく、撮像領域102に1次元状、あるいは2次元状に複数の画素が配置されればよい。
図8において、画素201a、201b、201c、201dが第1行に含まれる。画素201e、201f、201g、201hが、第1行の隣の第2行に含まれる。そして、画素201i、201j、201k、201lが第3行に含まれる。また、画素201a、201e、201iが第1列に含まれる。画素201b、201f、201jが、第1列の隣の第2列に含まれる。そして、画素201c、201g、201kが第3列に含まれ、画素201d、201h、201lが第4列に含まれる。
次に撮像装置の各部を詳細に説明する。画素201は、光電変換部202、第1転送トランジスタ261、第2転送トランジスタ262を含む。また、撮像装置は、撮像領域102に、第1増幅トランジスタ263、リセットトランジスタ267、クランプトランジスタ264、第2増幅トランジスタ265、選択トランジスタ266を備える。第1増幅トランジスタ263、リセットトランジスタ267、クランプトランジスタ264、第2増幅トランジスタ265、選択トランジスタ266は、複数の画素によって共有される。これらの複数の画素に共有される素子が、複数の画素のそれぞれに含まれた素子であるとしてもよい。つまり、画素増幅型の撮像装置としてもよい。
光電変換部202は入射光を信号電荷(電子、あるいは正孔)に変換する。光電変換部202の例としてフォトダイオードを示している。第1転送トランジスタ261、および第2転送トランジスタ262は、それぞれ光電変換部202の電荷を転送する。第1転送トランジスタ261および第2転送トランジスタ262のそれぞれの制御ノード(転送ゲート)に供給される電圧によって、光電変換部202からの電荷の転送が制御される。第1転送トランジスタ261および第2転送トランジスタ262は転送部を構成する。
第1増幅トランジスタ263は、電流源とともにソースフォロア回路を構成する。第1増幅トランジスタ263は入力ノード260を有する。
第1増幅トランジスタ263の出力ノードは、クランプ容量を介して第2増幅トランジスタ265の入力ノードに電気的に接続される。クランプ容量は、第1増幅トランジスタ263から出力された信号をクランプする。第1増幅トランジスタ263の入力ノード260がリセットされたときに出力される電圧をクランプ容量にクランプすることで、リセットノイズを除去することができる。
第2増幅トランジスタ265の出力ノードは、選択トランジスタ266を介して出力線272、273に電気的に接続される。出力線272および出力線273のそれぞれには不図示の電流源が接続される。第2増幅トランジスタ265は、出力線272あるいは出力線273に接続された電流源とともにソースフォロア回路を構成する。
リセットトランジスタ267は、第1増幅トランジスタ263の入力ノード260の電圧をリセットする。クランプトランジスタ264は、第2増幅トランジスタ265の入力ノードに所定の電圧を供給する。選択トランジスタ266は、増幅信号を出力する1つの第2増幅トランジスタを選択する。
本実施例では、リセットトランジスタ267、第1増幅トランジスタ263、第2増幅トランジスタ265、クランプトランジスタ264、選択トランジスタ266は、それぞれMOSトランジスタである。なお、これらのトランジスタが、バイポーラトランジスタなど、別の種類のトランジスタで構成されてもよい。
第1および第2転送トランジスタ261、262、リセットトランジスタ267、クランプトランジスタ264、選択トランジスタ266の制御ノードには、それぞれ制御線が接続される。制御線は垂直走査部104に電気的に接続される。垂直走査部104は、上述の各トランジスタを駆動するための駆動信号を制御線に供給する。
本実施例においては、第1の時刻から第2の時刻までの期間に光電変換部202に蓄積された電荷が、2つの転送先に転送される。この点について、画素201fを例に説明する。第1転送トランジスタ261fは、光電変換部202fの電荷を第1増幅トランジスタ263aの入力ノード260aに転送する。第2転送トランジスタ262fは、光電変換部202fの電荷を第1増幅トランジスタ263fの入力ノード260fに転送する。つまり、画素の転送部が、光電変換部202の電荷を2つのノードに転送する。
第1転送トランジスタ261によって転送される電荷、および第2転送トランジスタ262によって転送される電荷が、それぞれ、第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく第1の信号である。例えば、光電変換部202fから入力ノード260aに転送される電荷が、画素201fの複数の第1の信号の1つである。また、光電変換部202fから入力ノード260fに転送される電荷が、画素201fの複数の第1の信号の別の1つである。
本実施例では、第1転送トランジスタ261の制御ノードと、第2転送トランジスタ262fの制御ノードとが互いに接続されている。このため、電荷を転送するための駆動信号が転送ゲートに供給されると、第1および第2転送トランジスタ261、262が並行してオンする。これにより、光電変換部202において第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって蓄積された電荷は、2つの転送先にほぼ均等に転送される。言い換えると、光電変換部202において第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって蓄積された電荷が2つの転送先に分配される。2つの転送先は、例えば画素201fでは、入力ノード260aと入力ノード260fである。
このように、本実施例では、転送部によって第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく2つの第1の信号を出力している。本実施例では、電荷の転送動作が、信号の出力動作に相当する。
本実施例では、複数の光電変換部202から転送されてきた電荷が、第1増幅トランジスタ263の入力ノード260で加算される。複数の光電変換部からの電荷の転送を同時に行うことで、それぞれの光電変換部から転送されてきた電荷を加算しうる。あるいは、一方の光電変換部からの電荷を先に転送し、そして、先に転送された電荷を保持したまま他方の光電変換部12から電荷を転送することで、それぞれの光電変換部から転送されてきた電荷を加算しうる。
例えば、第1増幅トランジスタ263aの入力ノード260aには、4つの光電変換部202a、202b、202e、202fの電荷が転送される。そして、入力ノード260aにおいて、上述の4つの光電変換部202a、202b、202e、202fからの電荷が加算される。そのため、第1増幅トランジスタ263aは4つの光電変換部202a、202b、202e、202fから入力ノード260aに転送される電荷の総量に基づいた信号を出力する。また、第1増幅トランジスタ263fの入力ノード260fには、4つの光電変換部202f、202g、202j、202kの電荷が転送され、そして入力ノード260fにおいて加算される。そのため、第1増幅トランジスタ263fは4つの光電変換部202f、202g、202j、202kから入力ノード260fに転送される電荷の総量に基づいた信号を出力する。このように、第1増幅トランジスタ263は、複数の第1の信号が加算されたことで得られる第2の信号を出力する。
図8において、電荷が加算される画素の組み合わせを破線270および一点鎖線271で例示している。それぞれの第1増幅トランジスタ263の入力ノード260において、4つの光電変換部からの電荷が加算される。
入力ノード260はフローティングディフュージョン領域(以下、FD領域)を含んで構成される。光電変換部202の電荷は、転送トランジスタを介してFD領域に転送される。入力ノード260が1つのFD領域のみを含んで構成されてもよい。この場合は、画素に占める光電変換部の面積の割合を大きくできるため、感度や飽和を向上させることができる。あるいは、入力ノード260が配線によって電気的に接続された複数のFD領域を含んで構成されてもよい。この場合は、配線によって任意のFD領域を電気的に接続できるため、特にカラーの撮像装置に本発明を実施する場合に用いられるとよい。また、入力ノード260が、FD領域と第1増幅トランジスタのゲート電極との間の電気的経路を構成する配線を含んで構成されてもよい。
このように、ある光電変換部から分配された電荷と、別の光電変換部から分配された電荷とが加算されることが本実施例の特徴である。この電荷の加算によって、移動平均処理が行われる。
続いて、移動平均処理によって得られる第2の信号の信号重心について、図9を用いて説明する。図9は、光電変換部202のレイアウトを模式的に示している。また、図9には、光電変換部202の重心6が黒いドットで示されている。光電変換部202の重心6の位置が、当該光電変換部202を含む画素201の第1の信号の信号重心6の位置である。画素201の第1の信号は、当該画素201の光電変換部202において第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積され、光電変換部202から転送される電荷である。画素201の第1の信号は、加算前の信号である。
また、図9では、複数の画素201の第1の信号が加算されたことで得られる第2の信号の信号重心7の位置が白いドットで示されている。第2の信号は、入力ノード260で加算された電荷の総量に基づいて、第1増幅トランジスタ263が出力する増幅信号、あるいはその増幅信号が第1増幅トランジスタ263の後段で増幅された信号である。
第2列に含まれる画素を例に説明する。画素201bの第1の信号(加算前の信号)の信号重心は、光電変換部202bの重心6bの位置である。同様に、画素201f、201jの信号の信号重心は、それぞれ光電変換部202f、202jの重心6f、6jの位置である。これらの光電変換部202b、202f、202jは、列方向に沿って所定のピッチP1で配されている。つまり、加算前の信号の信号重心のピッチはP1である。この実施例では列方向が第1方向である。
信号重心7A〜7Dは、複数の光電変換部からの第1の信号が加算されたことで得られる第2の信号(加算後の信号)の信号重心である。信号重心7Aは、画素201bの第1の信号と、画素201cの第1の信号と、さらに不図示の2つの画素の第1の信号とが加算されたことで得られる第2の信号の信号重心を示している。信号重心7Bは、図8の破線270で囲まれた4つの画素の第1の信号が加算されたことで得られる第2の信号の信号重心である。信号重心7Cは、図8の一点鎖線271で囲まれた4つの画素の第1の信号が加算されたことで得られる第2の信号の信号重心である。信号重心7Dは、画素201iの第1の信号と、画素201jの第1の信号と、さらに不図示の2つの画素の第1の信号とが平均化されたことで得られる第2の信号の信号重心を示している。列方向において、信号重心7A〜7DはピッチP2で配されている。
図9が示す通り、ピッチP1とピッチP2は等しい。言い換えると、加算の前後でサンプリングピッチが変わっていない。つまり、第2列に含まれる画素の信号が移動平均処理されている。そのため、列方向の解像度を大幅に落とすことなくモアレを低減した信号を得ることができる。
また、本実施例では、行方向に沿って配された複数の画素の第1の信号についても、移動平均処理が行われている。例えば、光電変換部202e〜202hの重心6a〜6dのピッチが、加算後の信号の信号重心7F、7B、7C、7G、7Hの行方向のピッチと等しい。そのため、行方向の解像度を大幅に落とすことなくモアレを低減した信号を得ることができる。
なお、本実施例の移動平均処理によれば、それらの信号重心が行方向および列方向に1画素ずつずれている複数の第2の信号が得られる。そこで、複数の第2の信号に基づく補完処理を行ってもよい。例えば、それぞれが信号重心7A、7B、7C、7Gを有する4つの第2の信号を用いて、図9の点線で示されたドット8の位置に信号重心を有する第3の信号を合成してもよい。このような補完処理によって、モアレなど高周波成分に起因するノイズが低減された、高い解像度の画像を得ることができる。
あるいは、加算後の信号(第2の信号)に対して移動平均処理を行ってもよい。例えば、信号重心7Bを有する第2の信号を、周囲の4つ第2の信号と加算あるいは平均化することで、それぞれが黒いドット6a、6b、6e、6fの位置に信号重心を有する4つの第4の信号を得ることができる。このように、繰り返し移動平均処理を行うことで、モアレなど高周波成分に起因するノイズをさらに低減することができる。
上述の補完処理や、加算後の信号に対する移動平均処理は、信号処理部105に含まれる列回路で行われうる。特に、加算後の信号に対する移動平均処理は、後述の実施例5として説明する方法により行われる。
続いて、本実施例の駆動方法について詳細に説明する。図10(a)、(b)は、駆動信号のタイミングチャート図である。駆動信号RESは、リセットトランジスタ267に接続された制御線に供給される。駆動信号TXは、第1転送トランジスタ261の制御ノードおよび第2転送トランジスタ262の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号CLAMPは、クランプトランジスタ264の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号SELは、選択トランジスタ266の制御ノードに接続された制御線に供給される。
本実施例では、駆動信号RES、駆動信号TX、駆動信号CLAMPは、全ての画素に同期して供給される。駆動信号SEL(n)、駆動信号SEL(n+1)、駆動信号SEL(n+2)は異なる行の選択トランジスタの制御線に供給される。
駆動信号はハイレベルとローレベルの少なくとも2つの値を取りうる。ハイレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオンとなる。ローレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオフとなる。
図10(a)の駆動信号による動作を説明する。図10(a)の時刻T1より前には、全ての駆動信号がローレベルである。時刻T1において、駆動信号RESおよび駆動信号TXがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、光電変換部202がリセットされる。その後、駆動信号RESおよび駆動信号TXがハイレベルからローレベルに遷移する。この時点から、光電変換部2で電荷の蓄積が開始される。つまり露光期間が開始される。本実施例では、第1の時刻は、時刻T1の後に第1転送トランジスタ261および第2転送トランジスタ262がオフする時刻である。
時刻T2において、駆動信号RESおよび駆動信号CLAMPがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、第1増幅トランジスタ263の入力ノード260、および第2増幅トランジスタ265の入力ノードの電圧がリセットされる。時刻T2から所定の時間が経過した後、駆動信号RESおよび駆動信号CLAMPがハイレベルからローレベルに遷移する。これにより、リセットノイズを除去することができる。
時刻T3において、駆動信号TXがローレベルからハイレベルへ遷移する。このとき、各画素の光電変換部202に蓄積された電荷が2つの入力ノード260に並行して転送される。別の観点では、各画素の光電変換部202に蓄積された電荷が2つの入力ノード260に分配される。また、このとき入力ノード260には複数の光電変換部202から転送されてくるため、それらの電荷が入力ノード260において加算される。そして、転送された電荷の総量に基づいて、第1増幅トランジスタ263の出力ノードの電圧が変化する。時刻T3から所定の時間が経過した後、駆動信号TXがハイレベルからローレベルに遷移する。なお、本実施例では、第2の時刻は、第1転送トランジスタ261および第2転送トランジスタ262がオンする時刻である。
このように、本実施例では、転送部によって、第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく第1の信号が2回出力される。また、入力ノード260で転送された電荷が加算されるため、第1および第2転送トランジスタ261、262がオンすることで、移動平均処理も並行して行われる。駆動信号TXはすべての画素に同期して供給されるため、全ての画素の信号について、一括して移動平均処理が行われる。つまり、複数の加算動作が並行して行われる。
時刻T4以降は、順次駆動パルスSEL(n)、SEL(n+1)、SEL(n+2)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、複数の第2の信号が、出力線272、273に順次出力される。出力線272、273に出力された第2の信号は、信号処理部105に伝達され、所定の信号処理がなされる。
選択トランジスタ266aと選択トランジスタ266fは異なる出力線に接続されるため、図10(a)では、駆動信号SEL(n)と駆動信号SEL(n+1)が同期している。このような駆動によって、高速に信号を読み出すことができる。
図10(b)に示すように、駆動信号SEL(n)と駆動信号SEL(n+1)とが順次ハイレベルに遷移してもよい。図10(b)に示す駆動信号による動作では、2つの出力線272、273のうち一方にのみ第2の信号が出力される。そのため、2つ列回路に同じ第2の信号を入力することができる。したがって、信号処理部105で移動平均処理を行うことが容易となる。
以上に説明した通り、本実施例では、複数の画素の第1の信号に対して移動平均処理を行っている。具体的には、加算によって得られる複数の第2の信号の信号重心が画素の配列と同じピッチで並ぶように、画素の信号を平均化している。このような構成によれば、モアレなどの、高周波成分に起因するノイズを低減した信号を得ることができる。
さらに、本実施例では、同一の露光期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号を並行して出力している。具体的には、1つの光電変換部において第1の時刻から第2の時刻までの期間にわたって蓄積された電荷を2つの入力ノードに分配している。そして複数の画素から分配された電荷を加算している。そのため、移動平均処理に用いられる信号が、同じ蓄積期間に得られた電荷に基づく信号である。このような構成によれば、露光期間の異なる信号を用いて移動平均処理を行う場合に比べて画質の低下を抑制することができる。
また、本実施例では各画素において、移動平均処理、具体的には電荷の加算を行っている。そのため、撮像装置から出力された画像信号に対する付加的な処理を省略することができる。結果として、撮像動作を高速化することができる。あるいは、撮像システム全体の構成を小型化することができる。
また、本実施例の撮像装置の動作では、全ての画素が同期して駆動される。つまり、全ての画素において露光期間が一致しているグローバル電子シャッタ動作を行っている。このような構成によれば、高速で移動する被写体のひずみを低減することができるため、画質を向上させることができる。なお、本実施例の変形例では、ローリングシャッタによる露光を行ってもよい。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例は、実施例1〜4において移動平均処理によって得られた複数の第2の信号に対して、信号処理部で移動平均処理を行うところが特徴である。そこで、以下では信号処理部の構成と、その信号処理について説明する。他の構成は、全て実施例1〜4と同様である。
図2は、本実施例の撮像装置の全体ブロック図である。撮像装置101は半導体基板を用いて1つのチップで構成することができる。撮像装置101は、撮像領域102に配された複数の画素を有している。本実施例では、撮像領域102、制御部103、垂直走査部104、及び出力部106の構成は実施例1〜4と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図11は、信号処理部105の一部を示す等価回路である。図11では、信号処理部105に含まれる列回路と水平出力線が示されている。図11では2列分の列回路が示されている。実際には、撮像領域102に配された画素列に対応してさらに多数の列回路が配される。
出力線530a、530bには、撮像領域102における移動平均処理によって得られた第2の信号が出力される。撮像領域102が図3の構成の場合には、出力線530a、530bは、それぞれ図3の出力線216、217である。あるいは、撮像領域102が図8の構成の場合には、出力線530a、503bは、それぞれ出力線272、273である。
列増幅回路600a、600bは、それぞれ出力線530a、530bの信号を増幅した増幅信号を出力する。列増幅回路600a、600bは、オペアンプ660、容量610、容量680、帰還スイッチ670を含んで構成される。
出力線530は、容量610を介してオペアンプ660の反転入力端子に電気的に接続される。オペアンプ660の非反転入力端子には所定の電圧VC0Rが供給される。オペアンプ660の反転入力端子と出力端子との間の電気的経路に、帰還スイッチ670と容量680とが並列に配される。帰還スイッチ670の制御ノードには制御線が接続される。帰還スイッチ670の制御ノードには駆動信号PC0Rが供給される。
列増幅回路600a、600bの出力ノードは、それぞれサンプルホールドスイッチ(以下、SHスイッチ)700a、700bを介してノード620sに電気的に接続される。ノード620sには、第1〜第3のメモリ選択スイッチ630a、630b、630cを介して、容量C1、容量C2、容量C3が電気的に接続される。
ノード620sは、水平転送スイッチ650を介して、水平出力線570sに電気的に接続される。水平転送スイッチ650は、不図示の水平走査回路から供給される駆動信号CSELによって制御される。水平出力線570sは、出力部106に電気的に接続される。
続いて、本実施例の駆動方法について詳細に説明する。図12は、駆動信号のタイミングチャート図である。図12の駆動信号SEL(n)、SEL(n+1)は、図5および図10の駆動信号SEL(n)、SEL(n+1)である。つまり、図12の駆動信号SEL(n)、SEL(n+1)はそれぞれ撮像領域102の選択トランジスタに供給される。図12では、図5および図10において駆動信号SEL(n)、SEL(n+1)がハイレベルとなる期間の前後のタイミングチャートを示している。
図12において、駆動信号PC0Rは、帰還スイッチ670に接続された制御線に供給される。駆動信号SHA、駆動信号SHBはそれぞれSHスイッチ700a、700bの制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号SW1〜SW3は、それぞれメモリ選択スイッチ630a、630b、630cの制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号CSEL(m)は水平転送スイッチ650の制御ノードに接続された制御線に供給される。
本実施例では制御部103が、駆動信号PC0R、駆動信号SHA、駆動信号SHB、駆動信号SW1〜SW3を供給する。また、水平走査回路が駆動信号CSEL(m)を供給する。
駆動信号はハイレベルとローレベルの少なくとも2つの値を取りうる。ハイレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオンとなる。ローレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオフとなる。
時刻T1より前に、移動平均処理が行われているものとする。つまり、時刻T1より前に、図5の時刻T1から時刻T5までの動作、あるいは、図10(b)の時刻T1から時刻T4までの動作が行われているものとする。また、容量C1および容量C2には前の読み出し行である(n−1)行の信号が保持されている。
時刻T1において、駆動信号PC0Rがローレベルからハイレベルに遷移する。他の駆動信号はローレベルである。これにより、列増幅回路600a、600bがリセットされる。なお、このときは出力線530a、530bに所定の電圧が供給されている。時刻T1から所定の時間が経過した後、駆動信号PC0Rがハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T2において駆動信号SEL(n)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、出力線530aに撮像領域102での移動平均処理によって得られた第2の信号が出力される。
続いて、時刻T3に駆動信号SHA、駆動信号SW1、駆動信号SW3がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、列増幅回路600aが、出力線530aの第2の信号を増幅し、増幅信号をノード620sに出力する。そして、列増幅回路600aから出力された増幅信号が、容量C1および容量C3に保持される。時刻T3から所定の時間が経過した後、駆動信号SHA、駆動信号SW1、駆動信号SW3がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T4において、駆動信号SW1、および駆動信号SW2がローレベルからハイレベルに遷移する。これによって、容量C1に保持された信号(第2の信号に基づく増幅信号)と、容量C2に保持された信号(第2の信号に基づく増幅信号)とがノード620sにおいて平均化される。このとき、容量C1には時刻T3で読み出された信号が保持されている。そして、容量C2には前の読み出し行である(n−1)行の信号が保持されている。つまり、時刻T4において、(n−1)行の第2の信号とn行の第2の信号とが平均化される。時刻T4から所定の時間が経過した後、駆動信号SW1、および駆動信号SW2がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T5から水平転送期間が開始される。具体的には、水平走査回路が駆動信号CSELを順次出力する。これにより、ノード620sの信号が容量分割によって水平出力線570sに出力される。水平出力線570sに出力された信号は、出力部106によって撮像装置の外部に出力される。
次に時刻T6において駆動信号PC0Rがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、帰還スイッチ670がオンし、列増幅回路600a、600bがリセットされる。なお、このときは出力線530a、530bに所定の電圧が供給されている。時刻T6から所定の時間が経過した後、駆動信号PC0Rがハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T7において駆動信号SEL(n+1)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、出力線530bに撮像領域102での移動平均処理によって得られた信号が出力される。
続いて、時刻T8に駆動信号SHB、駆動信号SW1、駆動信号SW2がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、列増幅回路600bが、出力線530bの第2の信号を増幅し、増幅信号をノード620sに出力する。そして、列増幅回路600bから出力された増幅信号が、容量C1および容量C2に保持される。時刻T8から所定の時間が経過した後、駆動信号SHB、駆動信号SW1、駆動信号SW2がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T9において、駆動信号SW1、および駆動信号SW3がローレベルからハイレベルに遷移する。これによって、容量C1に保持された信号(第2の信号に基づく増幅信号)と、容量C3に保持された信号(第2の信号に基づく増幅信号)とがノード620sにおいて平均化される。このとき、容量C1には時刻T8で読み出された信号が保持されている。そして、容量C2には時刻T3で読み出された、前の読み出し行であるn行の信号が保持されている。つまり、時刻T4において、n行の第2の信号と(n+1)行の第2の信号とが平均化される。時刻T4から所定の時間が経過した後、駆動信号SW1、および駆動信号SW2がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T10から水平転送期間が開始される。具体的には、水平走査回路が駆動信号CSELを順次出力する。これにより、ノード620sの信号が容量分割によって水平出力線570sに出力される。水平出力線570sに出力された信号は、出力部106によって撮像装置の外部に出力される。
ここで、駆動信号SEL(n−1)、SEL(n)、SEL(n+1)、SEL(n+2)・・・、が順次ハイレベルになることで、撮像領域102から出力される第2の信号をSn−1、Sn、S+1、Sn+2・・・、とする。本実施例では、信号処理部において、信号Sn−1と信号Snとを平均化した第3の信号、信号Snと信号Sn+1とを平均化した第3信号、信号Sn+1と信号Sn+2とを平均化した第3の信号・・・、を順次出力している。すなわち、移動平均処理を行っている。
以上に説明したように、本実施例では、撮像領域102での移動平均処理によって得られた複数の第2の信号が、信号処理部105においてさらに移動平均処理される。このような構成によれば、実施例1〜4のいずれかの効果に加えて、さらにモアレなどの高周波成分を低減することができる。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例では、撮像領域から信号処理部へ加算ないしは平均化のいずれもなされていない第1の信号を出力し、信号処理部において移動平均処理を行う点が特徴である。本実施例では、それぞれの列回路が少なくとも2つの容量を有する。そして、画素からの第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく第1の信号が、2つの容量に並行して出力される。なお、本実施例では、露光期間が行ごとにずれている。いわゆるローリングシャッタ動作が行われる。そのため、全画素の信号に対して一括して移動平均処理を行うのではなく、信号処理部において行順次に移動平均処理を行う。
図13は、本実施例の撮像装置の全体ブロック図である。撮像装置101は半導体基板を用いて1つのチップで構成することができる。撮像装置101は、撮像領域102に配された複数の画素を有している。更に、撮像装置101は制御部103を有している。制御部103は、垂直走査部104、信号処理部105及び出力部106に制御信号、電源電圧等を供給する。
図13は、撮像領域102に9個の画素500a〜500iが配された例を示している。撮像領域102が更に多数の画素500を含んで構成されていてもよい。本実施例では、これらの画素500が行列状に配される。上述の9個の画素500a〜500iが3行3列の行列を構成している。垂直走査部によって並行に制御されうる画素群が行である。列は、行とは異なる方向に配された画素群であって、1本もしくは複数本の出力線を共有している画素群である。なお、複数の画素は必ずしも行列状に配される必要はなく、撮像領域102に1次元状、あるいは2次元状に複数の画素が配置されればよい。
垂直走査部104は撮像領域102に配された複数の画素に駆動信号を供給する。垂直走査部104は画素行ごともしくは複数の画素行ごとに駆動信号を供給する。垂直走査部104はシフトレジスタもしくはアドレスデコーダにより構成することができる。
信号処理部105は、列回路、水平走査回路560、水平出力線を含んで構成される。列回路は、各々が、1つまたは複数の回路ブロックを含んで構成されうる。回路ブロックは、信号保持部、列増幅回路、ノイズ除去部、AD変換部などである。水平走査回路560はシフトレジスタもしくはアドレスデコーダにより構成することができる。水平出力線に出力される信号は、アナログ信号でもデジタル信号でもよい。
出力部106は水平出力線を介して伝達された信号を撮像装置101外に出力する。出力部106は、バッファもしくは増幅回路を含んで構成されている。
垂直走査部104、信号処理部105、出力部106は撮像領域102の外側に配される。つまり、撮像領域102の境界は、画素に含まれる素子と、垂直走査部104、信号処理部105、または出力部106を構成する素子との間にある。例えば、もっとも外周に配された画素に含まれる素子と、垂直走査部104、信号処理部105、または出力部106を構成する素子との間の素子分離部が撮像領域102の境界であってもよい。
なお、図13において、個別の画素を区別して説明する場合は、画素500aのように、数字の符号と図に示されたアルファベットとを組み合わせて表記する。特に個別の画素を区別する必要がない場合は、画素500のように、単に数字のみの符号で表記する。また、複数の画素500のそれぞれに含まれ、互いに同様の機能を有する素子には、同じ数字の符号が付されている。個別の素子を区別して説明する際には、当該個別の素子が含まれる画素に対応したアルファベットを、数字の後に付して標記する。例えば、画素500aに含まれる素子は、数字の符号の後にアルファベットのaを付す。
図13には、画素500の等価回路が示されている。画素500aの等価回路が例示されている。他の画素の等価回路は画素500aの等価回路と同じである。
画素500は、光電変換部501、転送トランジスタ502、増幅トランジスタ503、リセットトランジスタ504、選択トランジスタ505を含む。図13において、ノードVDDには電源電圧が供給される。
電変換部501は入射光を信号電荷(電子、あるいは正孔)に変換する。光電変換部501の例としてフォトダイオードを示している。転送トランジスタ502は、光電変換部501の電荷を増幅トランジスタ503の入力ノード506に転送する。増幅トランジスタ503は、電流源回路540に含まれる電流源とともに、ソースフォロア回路を構成する。リセットトランジスタ504は、増幅トランジスタ503の入力ノード506の電圧をリセットする。選択トランジスタ505は、第1の信号を出力する画素を選択する。増幅トランジスタ503の入力ノード506は、フローティングディフュージョン領域(以下、FD領域)を含んで構成される。光電変換部501の電荷は、転送トランジスタを介してFD領域に転送される。また、入力ノード506が、FD領域に接続された配線を含んで構成されてもよい。
本実施例では、転送トランジスタ502、増幅トランジスタ503、リセットトランジスタ504、および選択トランジスタ505は、それぞれMOSトランジスタである。なお、これらのトランジスタが、バイポーラトランジスタなど、別の種類のトランジスタで構成されてもよい。
転送トランジスタ502、リセットトランジスタ504、および選択トランジスタ505のそれぞれの制御ノードには、制御線が接続される。制御線には、垂直走査部104から駆動信号TX、駆動信号RES、駆動信号SELがそれぞれ供給される。なお、図13の(n)、(n+1)などは、それぞれn行目の画素、n+1行目の画素に供給される駆動信号であることを示している。
撮像領域102には複数の出力線530が配される。複数の出力線530は、それぞれの出力線530に複数の画素500からの第1の信号が時分割で出力されるように構成される。また出力線530には、電流源回路540に含まれる電流源が電気的に接続される。さらに出力線530は後段の信号処理部105に電気的に接続されている。
次に列回路の詳細な構成について説明する。図14は、列回路の等価回路を示している。図14では、2列分の列回路が示されている。実際には、撮像領域102に配された画素列に対応して、さらに多数の列回路が配される。なお、図14において、図13と同一の部材には同じ符号を付してある。
出力線530には、撮像領域102の各画素500からの第1の信号が出力される。列増幅回路600は、出力線530の第1の信号を増幅し、増幅信号を後段に出力する。列増幅回路600が出力する増幅信号も第1の信号である。列増幅回路600は、オペアンプ660、容量610、容量680、帰還スイッチ670を含んで構成される。
出力線530は、容量610を介してオペアンプ660の反転入力端子に電気的に接続される。オペアンプ660の非反転入力端子には所定の電圧VC0Rが供給される。オペアンプ660の反転入力端子と出力端子との間の電気的経路に、帰還スイッチ670と容量680とが並列に配される。帰還スイッチ670の制御ノードには制御線が接続される。帰還スイッチ670の制御ノードには駆動信号PC0Rが供給される。列増幅回路600の出力ノードは、サンプルホールドスイッチ(以下、SHスイッチ)700を介して信号保持部に電気的に接続される。
信号保持部は、ノード620、ノード630、ノード631、ノード640、容量C1〜C3、第1乃至第4スイッチSW1〜SW4を含んで構成される。列増幅回路600の出力ノードは、SHスイッチ700を介してノード620に電気的に接続される。ノード620には容量C1の一方の端子が電気的に接続される。容量C1の他方の端子にはグラウンド電圧が供給される。
ノード620とノード630の間の電気的経路には、第1スイッチSW1が配される。また、ノード620とノード631との間の電気的経路には、第2スイッチSW2が配される。ノード630には容量C2の一方の端子が電気的に接続される。容量C2の他方の端子にはグラウンド電圧が供給される。ノード631には容量C3の一方の端子が電気的に接続される。容量C3の他方の端子にはグラウンド電圧が供給される。そして、ノード630は第3スイッチSW3を介してノード640に電気的に接続される。ノード631は第4スイッチSW4を介してノード640に電気的に接続される。
ノード640は、水平転送スイッチ650を介して、水平出力線570sに電気的に接続される。水平転送スイッチ650は、図13の水平走査回路560から供給される駆動信号CSELによって制御される。水平出力線570sは、出力部106に電気的に接続される。
続いて、本実施例における移動平均処理の方法について図15を用いて説明する。図15は、図13の画素500a、500d、500gおよび、図13には図示されていない画素500jのレイアウトを模式的に示している。画素500a、500d、500gおよび画素500jは、1つの列に含まれる複数の画素である。画素500aが第(n−1)行に含まれ、以下、画素500dが第n行に、画素500gが第(n+1)行に、そして、画素500jが第(n+2)行にそれぞれ含まれる。
本実施例では、画素500aにおいて第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号S(n−1)が、画素500aから出力される。そして、第1の信号S(n−1)は列回路の容量C1と容量C2に保持される。つまり、同じ期間に蓄積された電荷に基づく第1の信号S(n−1)を2回出力する。
次に、画素500dにおいて第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号Snが、画素500dから出力される。第1の信号Snは、容量C1と容量C3に保持される。このように、画素500dからの第1の信号Snも、2回出力される。
このとき、容量C2には、1つ前の行である第(n−1)行の画素の第1の信号S(n−1)が保持されている。そこで、容量C2に保持された第1の信号S(n−1)と容量C1に保持された第1の信号Snとを平均化する。これにより第2の信号S(n−1)+Snが得られる。
次に、画素500gにおいて第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号S(n+1)が、画素500gから出力される。第1の信号S(n+1)は、容量C1と容量C2に保持される。このように、画素500gからの第1の信号S(n+1)も、2回出力される。
このとき、容量C3には、1つ前の行である第n行の画素の第1の信号Snが保持されている。そこで、容量C3に保持された第1の信号Snと容量C1に保持された第1の信号S(n+1)とを平均化する。これにより第2の信号Sn+S(n+1)が得られる。
このように、各画素からの信号の読み出しにおいては、3つの容量のうち、2つの容量に第1の信号を出力する。そして、1つ前の読み出し行の第1の信号と新たに読み出した行の第1の信号とを平均化することで、移動平均処理が行われる。その結果、複数の第2の信号が得られる。
なお、図15には、各信号の信号重心を黒いドット6および白いドット7で示してある。平均化前の信号である第1の信号S(n−1)、Sn、S(n+1)、S(n+2)は、それぞれ信号重心6a、6b、6c、6dを有する。そして、平均化後の信号である第2の信号S(n−1)+Sn、Sn+S(n+1)、S(n+1)+S(n+2)は、それぞれ信号重心7ab、7bc、7cdを有する。図15が示すように、平均化前の信号の信号重心6のピッチP1と、平均化後の信号の信号重心7のピッチP2とは等しい。換言すると、平均化の前後でサンプリングピッチが変わらない。別の観点では、列方向に沿った単位長さあたりに含まれる、平均化前の信号の信号重心6の数と、平均化後の信号の信号重心7の数とが等しい。
本実施例の移動平均処理を行うための具体的な駆動方法について、図16を用いて説明する。図16は、本実施例の駆動信号のタイミングチャート図である。駆動信号SELは、選択トランジスタ505の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号RESは、リセットトランジスタ504の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号TXは、転送トランジスタ502の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号CLAMPは、クランプトランジスタ264の制御ノードに接続された制御線に供給される。
駆動信号PC0Rは、帰還スイッチ670に接続された制御線に供給される。駆動信号SHはSHスイッチ700の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号SW1〜SW4は、それぞれ第1乃至第4スイッチSW1〜SW4の制御ノードに接続された制御線に供給される。駆動信号CSELは水平転送スイッチ650の制御ノードに接続された制御線に供給される。
本実施例では垂直走査部104が、駆動信号SEL、駆動信号RES、駆動信号TXを供給する。制御部103が、駆動信号PC0R、駆動信号SH、駆動信号SW1〜SW4を供給する。また、水平走査回路が駆動信号CSELを供給する。
駆動信号はハイレベルとローレベルの少なくとも2つの値を取りうる。ハイレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオンとなる。ローレベルの駆動信号が供給されると、トランジスタあるいはスイッチがオフとなる。
時刻T1より前に、第n行の画素(図13の画素500d〜500f)、および第n+1行の画素(図13の画素500g〜500i)の光電変換部501では、電荷が蓄積されている。それぞれの画素で、電荷が蓄積が開始される時刻が、第1の時刻である。また、容量C3には、前の行である第n−1行の画素の第1の信号S(n−1)が保持されている。そして、第n行の画素の第1の信号Snを読み出すために、駆動信号SEL(n)がローレベルからハイレベルに遷移する。他の駆動信号はローレベルである。
時刻T1から時刻T6において、第n行の画素の第1の信号が、列回路に読み出される。時刻T1において、駆動信号RES(n)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、リセットトランジスタ504d〜504fがオンし、増幅トランジスタ503d〜503fの入力ノード506d〜506fの電圧がリセットされる。時刻T1から所定の時間が経過したあと、駆動信号RES(n)がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T2において、駆動信号PC0Rがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、帰還スイッチ670がオンし、列増幅回路600がリセットされる。時刻T2から所定の時間が経過したあと、駆動信号PC0Rがハイレベルからローレベルに遷移する。このとき、出力線530には、リセットされた状態の画素の信号(リセットレベル信号)が出力されている。帰還スイッチ670がオフすることで、リセットレベル信号が容量610にクランプされる。
時刻T3において、駆動信号TX(n)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより光電変換部501d〜501fに蓄積された電荷が転送される。そして、増幅トランジスタ503d〜503fは、転送された電荷に基づく信号を出力線530に出力する。つまり、第1の信号が出力線530に出力される。時刻T3から所定の時間が経過したあと、駆動信号TX(n)がハイレベルからローレベルに遷移する。転送トランジスタ502d〜502fがオフした時刻が、画素500d〜500fに対して設定された第2の時刻である。
時刻T4において、駆動信号SHおよび駆動信号SW2がローレベルからハイレベルに遷移する。これによりSHスイッチ700と第2スイッチSW2がオンする。そして、列増幅回路600が、第n行の画素からの第1の信号Snを容量C1および容量C3に出力する。このとき、容量C2には前の行の第1の信号S(n−1)が保持されている。時刻T4から所定の時間が経過したあと、駆動信号SHおよび駆動信号SW2がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T5において、駆動信号SW1および駆動信号SW3がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより第1スイッチSW1と第3スイッチSW3がオンする。そのため、容量C2に保持された前の行の第1の信号S(n−1)と、時刻T4で容量C1に保持された第n行の画素の第1の信号Snとが、ノード640において容量分割により平均化される。これにより第2の信号が得られる。時刻T5から所定の時間が経過したあと、駆動信号SW1および駆動信号SW3がハイレベルからローレベルに遷移する。
その後、時刻T6から水平転送期間が開始される。駆動信号CSELが順次ハイレベルに遷移することで、複数の第2の信号が水平出力線570sに出力される。なお、水平転送期間が開始される前に、駆動信号SEL(n)がハイレベルからローレベルに遷移する。
続いて時刻T7から時刻T12において、第(n+1)行の画素の第1の信号が、列回路に読み出される。時刻T7において、駆動信号RES(n+1)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、リセットトランジスタ504g〜504iがオンし、増幅トランジスタ503g〜503iの入力ノード506g〜506iの電圧がリセットされる。時刻T1から所定の時間が経過したあと、駆動信号RES(n+1)がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T8において、駆動信号PC0Rがローレベルからハイレベルに遷移する。これにより、帰還スイッチ670がオンし、列増幅回路600がリセットされる。時刻T8から所定の時間が経過したあと、駆動信号PC0Rがハイレベルからローレベルに遷移する。このとき、出力線530には、リセットされた状態の画素の信号(リセットレベル信号)が出力されている。帰還スイッチ670がオフすることで、リセットレベル信号が容量610にクランプされる。
時刻T9において、駆動信号TX(n+1)がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより光電変換部501g〜501iに蓄積された電荷が転送される。そして、増幅トランジスタ503g〜503iは、転送された電荷に基づく信号を出力線530に出力する。つまり、第1の信号が出力線530に出力される。時刻T3から所定の時間が経過したあと、駆動信号TX(n+1)がハイレベルからローレベルに遷移する。転送トランジスタ502g〜502iがオフした時刻が、画素500g〜500iに対して設定された第2の時刻である。
時刻T10において、駆動信号SHおよび駆動信号SW1がローレベルからハイレベルに遷移する。これによりSHスイッチ700と第1スイッチSW1がオンする。列増幅回路600が、第(n+1)行の画素からの第1の信号S(n+1)を容量C1および容量C2に出力する。このとき、容量C3には前の行の信号Snが保持されている。時刻T10から所定の時間が経過したあと、駆動信号SHおよび駆動信号SW1がハイレベルからローレベルに遷移する。
時刻T11において、駆動信号SW2および駆動信号SW4がローレベルからハイレベルに遷移する。これにより第2スイッチSW2と第4スイッチSW4がオンする。そのため、容量C3に保持された前の行の第1の信号Snと、時刻T10で容量C1に保持された第(n+1)行の画素の第1の信号S(n+1)とが、ノード640において容量分割により平均化される。これにより第2の信号が得られる。時刻T11から所定の時間が経過したあと、駆動信号SW2および駆動信号SW4がハイレベルからローレベルに遷移する。
その後、時刻T12から水平転送期間が開始される。駆動信号CSELが順次ハイレベルに遷移することで、複数の第2の信号が水平出力線570sに出力される。なお、水平転送期間が開始される前に、駆動信号SEL(n+1)がハイレベルからローレベルに遷移する。以降の行では、上記の時刻T1から時刻T12までの動作が繰り返される。
以上に説明した通り、本実施例では、複数の画素の第1の信号に対して移動平均処理を行っている。具体的には、平均化によって得られる第2の信号の信号重心が画素の配列と同じピッチで並ぶように、2つの画素の信号を平均化している。このような構成によれば、モアレなどの、高周波成分に起因するノイズを低減した信号を得ることができる。
さらに、本実施例では、同一の露光期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号を出力している。そのため、平均化に用いられる複数の第1の信号が、同じ蓄積期間に得られた電荷に基づく信号である。このような構成によれば、露光期間の異なる信号を加算あるいは平均化する場合に比べて画質の低下を抑制することができる。
また、本実施例では撮像装置の内部において、移動平均処理を行っている。撮像装置の内部とは、図13の出力部106より前段のことである。そのため、撮像装置から出力された画像信号に対する付加的な処理を省略することができる。結果として、撮像動作を高速化することができる。あるいは、撮像システム全体の構成を小型化することができる。
また、本実施例では、信号処理部において、移動平均処理を行っている。このような構成によれば、画素の構成によらずに移動平均処理を行うことができる。つまり、画素の設計自由度が向上するため、感度や飽和などの性能を向上させることができる。
なお、本実施例では、第n−1行から第n+2行までの駆動を示している。nは任意の整数である。また、ここでは隣り合う2行で平均化を行う例を示した。実施例2、3のように、m行ごとに平均化を行ってもよい。特にカラーの撮像装置では、m行ごとの平均化が用いられる。mは任意の自然数である。
本発明の別の実施例について説明する。本実施例では、撮像領域から加算ないしは平均化のいずれもなされていない信号を出力し、信号処理部において移動平均処理を行う点が特徴である。本実施例では、信号処理部が少なくとも2つの容量を有する。そして、画素からの第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく信号が、当該2つの容量に並行して出力される。なお、本実施例では、露光期間が行ごとにずれている。いわゆるローリングシャッタ動作が行われる。そのため、全画素の信号に対して一括して移動平均処理を行うのではなく、信号処理部において行順次に移動平均処理を行う。
また、本実施例では、信号処理部が有する信号保持部の構成が実施例6と異なる。具体的には、列増幅回路のオフセットを除去するため、列増幅回路がリセットされたときの出力を保持するように信号保持部が構成される。そこで、本実施例では、主に実施例6と異なる点を説明し、実施例6と同じ部分については説明を省略する。
本実施例の撮像装置の全体構成は実施例6と同じである。つまり、図13が、本実施例の撮像装置の全体ブロック図である。また、撮像領域102の構成、および画素500の構成も実施例6と同じである。
次に列回路の詳細な構成について説明する。図17は、列回路の等価回路を示している。図17では、1列分の列回路が示されている。実際には、撮像領域102に配された画素列に対応して、さらに多数の列回路が配される。なお、図17において、図14と同一の部材には同じ符号を付してある。
出力線530には、撮像領域102の各画素500からの信号が出力される。列増幅回路600は、出力線530の信号を増幅した増幅信号を後段に出力する。列増幅回路600は、オペアンプ660、容量610、容量680、帰還スイッチ670を含んで構成される。列増幅回路600の構成は図14と同じなので説明を省略する。
本実施例では、信号保持部が、ノード620s、ノード620n、容量C1s、C2s、C3s、C1n、C2n、C3n、メモリ選択スイッチ630a〜630cを含んで構成される。
列増幅回路600の出力ノードは、SHスイッチ700を介してノード620sに電気的に接続される。また、列増幅回路600の出力ノードは、SHスイッチ701を介してノード620nに電気的に接続される。
ノード620sには、容量C1s、C2s、C3sがそれぞれメモリ選択スイッチ630a〜630cを介して電気的に接続される。ノード630nには、容量C1n、C2n、C3nがそれぞれメモリ選択スイッチ630a〜630cを介して電気的に接続される。
ノード620sは、水平転送スイッチ650sを介して、水平出力線570sに電気的に接続される。ノード620nは、水平転送スイッチ650nを介して、水平出力線570nに電気的に接続される。水平転送スイッチ650s、650nは、図13の水平走査回路560から供給される駆動信号CSELによって制御される。水平出力線570sおよび水平出力線570nは、それぞれ出力部106に電気的に接続される。出力部106において、水平出力線570sの信号と水平出力線570nの信号との差分処理が行われる。
本実施例においては、2つのSHスイッチ700、701を制御することで、信号保持部に列増幅回路がリセットされた状態の信号(オフセット信号)と、列増幅回路が画素からの信号に基づいて出力する増幅信号とを保持することができる。出力部106において、増幅信号とオフセット信号との差分処理を行うことにより、出力される信号から列増幅回路のオフセット成分を除去することができる。その結果、ノイズを低減することができる。
続いて、本実施例における移動平均処理の方法については、実施例6と同様である。つまり、図15に本実施例における移動平均処理の方法が示されている。ここでは図15の詳細な説明は省略するが、本実施例において、3つの容量のうち、2つの容量に各画素からの信号を出力する。そして、1つ前の読み出し行の信号と新たに読み出した行の信号とを平均化することで、移動平均処理が行われる。
本実施例では、メモリ選択スイッチSW1〜SW3によって、信号処理部が有する3つの容量C1〜C3のうち、列増幅回路600が出力している信号を保持する2つの容量を選択する。また、メモリ選択スイッチSW1〜SW3によって、平均化を行う2つの信号を選択する。これらの動作は、メモリ選択スイッチSW1〜SW3の制御ノードに供給される駆動信号SW1〜SW3に基づいて行われる。
なお、図15には、各信号の信号重心を黒いドット6および白いドット7で示してある。平均化前の信号である信号S(n−1)、Sn、S(n+1)、S(n+2)は、それぞれ信号重心6a、6b、6c、6dを有する。そして、平均化後の信号である信号S(n−1)+Sn、Sn+S(n+1)、S(n+1)+S(n+2)は、それぞれ信号重心7ab、7bc、7cdを有する。図15が示すように、平均化前の信号の信号重心6のピッチP1と、平均化後の信号の信号重心7のピッチP2とは等しい。別の観点では、列方向に沿った単位長さあたりに含まれる、平均化前の信号の信号重心6の数と、平均化後の信号の信号重心7の数とが等しい。
以上に述べた通り、本実施例では、列増幅回路のオフセットを除去するため、列増幅回路がリセットされたときの出力を保持するように信号保持部が構成される。そのため、実施例6の効果に加えて、ノイズを低減することができる。
本発明の別の実施例を説明する。本実施例では、信号処理部がアナログデジタル変換部(以下、AD変換部)を有する。AD変換部によってデジタル信号に変換された第1の信号が、2回出力される。そしてデジタル信号が加算されることで移動平均処理が行われる。
本実施例に係る撮像装置の全体構成は実施例1〜7と同じである。例えば図13が、撮像装置の全体の構成を示すブロック図である。本実施例では、信号処理部105の構成が異なっている。そこで、主として信号処理部105の構成およびその動作について説明し、他の構成は説明を省略する。
図18(a)は、本実施例に係る撮像装置の信号処理部105のブロック図である。2列分の列回路が示されている。実際には、撮像領域102に配された複数の列に対応して、さらに多数の列回路が配される。
列回路はAD変換部801、出力選択器802、メモリM1、M2、加算器803、水平出力バス850を有する。AD変換部801は、画素から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換する。出力選択器802は、AD変換部801が出力するデジタル信号をメモリM1に出力するか、メモリM2に出力するかを選択する。メモリM1、M2はデジタル信号を保持する。加算器803は、メモリM1、M2に保持されたデジタル信号を加算する。水平出力バス850には加算器803で加算されたデジタル信号が出力される。
本実施例の駆動方法を説明する。まず、第n行の画素(例えば、図13の画素500d〜500f)からのアナログ信号Snが、各列のAD変換部801によってデジタル信号SDnに変換される。
出力選択器802は、デジタル信号SDnをメモリM1に出力する。メモリM1はデジタル信号SDnを保持する。ここで、他方のメモリM2には、前の行の画素のデジタル信号SD(n−1)が保持されている。
次に加算器803が、デジタル信号SDnとデジタル信号SD(n−1)とを加算する。そのために、デジタル信号SDnがメモリM1から加算器803に出力される。そして、デジタル信号SD(n−1)がメモリM2から加算器803に出力される。これによって、水平出力バス850に、加算されたデジタル信号SD(n−1)+SDnが出力される。
続いて、第(n+1)行の画素(例えば図13の画素500g〜500i)からのアナログ信号S(n+1)が、各列のAD変換部801によってデジタル信号SD(n+1)に変換される。
出力選択器802は、デジタル信号SD(n+1)をメモリM2に出力する。メモリM2はデジタル信号SD(n+1)を保持する。ここで、他方のメモリM1には、前の行の画素のデジタル信号SDnが保持されている。
次に、加算器803が、デジタル信号SDnとデジタル信号SD(n+1)とを加算する。そのために、デジタル信号SDnがメモリM1から加算器803に出力される。そして、デジタル信号SD(n+1)がメモリM2から加算器803に出力される。これによって、水平出力バス850に、加算されたデジタル信号SDn+SD(n+1)が出力される。
このように、メモリM1に保持されたデジタル信号SDnが加算器803に2回出力される。このデジタル信号SDnが第1の信号である。以上に述べた通り、本実施例では、第1の時刻から第2の時刻までの期間に各画素で蓄積された電荷に基づく第1の信号が、メモリから加算器へ、2回出力される。そして、加算器によって移動平均処理が行われる。
図18(b)は、本実施例に係る撮像装置の変形例である。列回路が、AD変換部801、出力選択器802、および加算器803a、803bを含む。図18(b)の例では、出力選択器802が、AD変換部によってデジタル信号に変換された第1の信号を加算器803a、803bの両方に出力する。そして、加算器803a、803bをリセットするタイミングによって、移動平均処理を行う。
図18(b)における駆動を簡単に説明する。出力選択器802が第n行の画素のデジタル信号SDnを出力する前に、加算器803a、803bの一方をリセットする。例えば、加算器803aをリセットする。このとき、加算器803bには前の行の画素からのデジタル信号SD(n−1)が保持されている。
続いて、出力選択器802が、AD変換されたデジタル信号SDnを2つの加算器803a、803bの両方に出力する。そうすると、リセットされた加算器803aにはデジタル信号SDnが保持される。一方、加算器803bでは、デジタル信号SDnとデジタル信号SD(n−1)とが加算されることで得られるデジタル信号SD(n−1)+SDnが保持される。ここで、デジタル信号SD(n−1)+SDnを水平出力バス850に出力する。
次に、加算器803bをリセットする。そして、出力選択器802が、AD変換されたデジタル信号SD(n+1)を2つの加算器803a、803bの両方に出力する。そうすると、リセットされた加算器803bにはデジタル信号SD(n+1)が保持される。一方、加算器803aには、デジタル信号SDnとデジタル信号SD(n+1)とが加算されたことで得られるデジタル信号SDn+SD(n+1)が保持される。
このように、本実施例では、出力選択器802が、AD変換されたデジタル信号を2つの加算器803a、803bの両方に出力することで、第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号が出力される。そして、加算器803a、803bにおいて移動平均処理が行われる。
また、本実施例のさらに別の変形例について図19を用いて説明する。この変形例では、画素からの第1の信号が、2系統のAD変換が行われることで、2つのデジタル信号が第1の信号として出力される。
図19は、AD変換部801の構成を示すブロック図である。AD変換部801は、比較器805、カウンタ804a、804b、および入力選択器807を含んで構成される。
比較器805は画素からのアナログ信号と、参照信号とを比較する。比較器805は、比較の結果に基づいて、カウンタ804a、804bをラッチするためのラッチパルスを出力する。カウンタ804a、804bは、ラッチパルスが入力された時点のカウント値を保持する。入力選択器807は、カウンタ804a、804bのカウント値のいずれかを選択して後段の回路に出力する。
図19の例では、カウンタ804a、804bをリセットするタイミングによって、移動平均処理を行う。例えば、第n行の画素からのアナログ信号に対してAD変換を行う前に、カウンタ804aをリセットする。このとき、カウンタ804bには、前の行のデジタル信号が保持されている。それから、2つのカウンタ804a、804bでカウントを開始する。比較器805からラッチパルスが出力されたときには、カウンタ804aにはデジタル信号SDnに対応するカウント値、カウンタ804bには加算されたデジタル信号SDn+SD(n−1)に対応するカウント値が保持されている。そして、次の第(n+1)行の画素からのアナログ信号に対してAD変換を行う前に、カウンタ804bのみをリセットする。そうすることで、第(n+1)行の画素からのアナログ信号に対してAD変換が行われると、カウンタ804aには、加算されたデジタル信号SDn+SD(n+1)に対応するカウント値が保持される。一方で、カウンタ804bには、デジタル信号SD(n+1)に対応するカウント値が保持される。
このように、図19の撮像装置における駆動では、1つのアナログ信号に対して2系統のAD変換を行うことで、第1の時刻から第2の時刻までの期間に蓄積された電荷に基づく複数の第1の信号を出力している。また、2画素分のAD変換を行う期間にわたって、カウンタをリセットせず、カウントを継続している。これにより、AD変換とデジタル信号の加算を並行して行っている。
以上に述べた通り、本実施例では複数のデジタル信号に対して移動平均処理を行っている。そのため、撮像装置の高速な駆動が可能である。また、デジタル信号に対して移動平均処理を行うため、アナログノイズの影響を低減することができる。その結果、画質を向上させることができる。
本発明に係る撮像システムの実施例について説明する。撮像システムとして、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などがあげられる。図20に、撮像システムの例としてデジタルスチルカメラのブロック図を示す。
図20において、1001はレンズの保護のためのバリア、1002は被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ、1003はレンズ1002を通った光量を可変するための絞りである。1004は上述の各実施例で説明した撮像装置であって、レンズ1002により結像された光学像を画像データとして変換する。ここで、撮像装置1004の半導体基板にはAD変換部が形成されているものとする。1007は撮像装置1004より出力された撮像データに各種の補正やデータを圧縮する信号処理部である。そして、図20において、1008は撮像装置1004および信号処理部1007に、各種タイミング信号を出力するタイミング発生部、1009はデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御部である。1010は画像データを一時的に記憶する為のフレームメモリ部、1011は記録媒体に記録または読み出しを行うためのインターフェース部、1012は撮像データの記録または読み出しを行う為の半導体メモリ等の着脱可能な記録媒体である。そして、1013は外部コンピュータ等と通信する為のインターフェース部である。ここで、タイミング信号などは撮像システムの外部から入力されてもよく、撮像システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された撮像信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
本実施例では、撮像装置1004とAD変換部とが同一の半導体基板に形成されている構成を説明した。しかし、撮像装置1004とAD変換部とが別の半導体基板に設けられていてもよい。また、撮像装置1004と信号処理部1007とが同一の基板上に形成されていてもよい。
本実施例において、撮像装置1004は、実施例1乃至実施例8のいずれかの駆動方法によって駆動される。このように、実施例1乃至実施例8のいずれかの駆動方法を撮像システムに適用することが可能である。撮像システムにおいて本発明に係る実施例を適用することにより、モアレなどの高周波成分に起因するノイズを低減するとともに、画質を向上させることができる。