以下、本発明に係る放電ランプ点灯装置における一実施形態について、図1〜図6を参酌して説明する。ここで、放電ランプ点灯装置の各構成を説明するのに先立って、放電ランプ点灯装置が交流電流を供給する放電ランプについて説明する。
図1及び図2に示すように、放電ランプ10は、中空状の放電容器11と、放電容器11の内部に対向配置される一対の金属電極12,12とを備えている。放電ランプ10は、放電容器11の両端部に配置される封止部13,13と、封止部13に埋設される金属箔14と、金属箔14に接続される外部リード15とを備えている。
放電容器11は、球形状に形成されている。放電容器11は、透光性を有しており、内部で発生した光を外部に向けて放射する。本実施形態においては、放電容器11は、封止部13と一体成形されており、石英ガラスで形成されている。なお、放電容器11及び封止部13の材料は、石英ガラスに限定されず、他の材料で形成されてもよい。
金属電極12は、放電容器11に収容される頭部12aと、頭部12aよりも小径に形成され、放電容器11に固定される軸部12bとを備えている。金属電極12は、頭部12aの先端に突起12cを備えている。該突起12cは、放電ランプ10が点灯している際に、金属電極12の先端において溶融した電極材料が凝集して形成されるものである。
一対の金属電極12,12(頭部12a,12a)は、例えば、2mm以下という極めて小さい間隔で対向配置している。本実施形態においては、金属電極12は、タングステンで形成されている。なお、金属電極12の材料は、タングステンに限定されず、他の材料で形成されてもよい。
金属箔14は、モリブデン等よりなる導電性を有する材料で形成され、例えば、シュリンクシールにより封止部13の内部に気密に埋設されている。金属箔14の一端部は、金属電極12の軸部12bの他端部に接合されており、金属箔14の他端部は、外部リード15の一端部に接合されている。
放電ランプ10は、放電容器11の内部に、発光ガス、ハロゲンガス、及び希ガスを封入している。発光ガスは、放射光を得るためのものであり、本実施形態においては、水銀としている。ハロゲンガスは、ハロゲンサイクルを利用した放電ランプ10の長寿命化のためであり、本実施形態においては、ヨウ素としている。希ガスは、点灯始動性の改善のためであり、本実施形態においては、アルゴンとしている。なお、封入される各ガスは、上記ガスに限定されず、他のガスでもよい。
水銀は、必要な可視光波長、例えば、波長360〜780nmの放射光を得るためのものである。水銀は、例えば、放電容器11の内部に0.20mg/mm3以上封入されている。斯かる封入量は、温度条件によっても異なるが、点灯時における放電容器11の内部圧力を200気圧以上という高い蒸気圧を実現するものである。また、水銀をより多く封入することにより、点灯時の水銀蒸気圧が250気圧以上又は300気圧以上という高い水銀蒸気圧の高圧放電ランプ10を製作することができ、水銀蒸気圧が高くなるほどプロジェクタに適した光源を実現できる。
ハロゲンガスは、水銀又はその他の金属との化合物形態で、放電容器11の内部に封入されている。ハロゲンガスは、1×10−6μmol/mm3〜1×10−2μmol/mm3の範囲から選択され、放電容器11の内部に封入されている。ハロゲンを封入する最大の理由は、ハロゲンサイクルを利用した放電ランプ10の長寿命化のためであり、また、極めて小型で且つ高い点灯蒸気圧の放電ランプ10においては、放電容器11の失透防止という作用も得られる。
金属電極12,12に対して通電がされると、金属電極12が白熱して高温化され、金属電極12を構成するタングステンが昇華する。昇華したタングステンは、比較的に低温部である放電容器11の内壁面領域において、封入されていたハロゲンガスと結合して、ハロゲン化タングステンを形成する。ハロゲン化タングステンの蒸気圧は、比較的高いことから、ガスの状態で再び金属電極12の先端付近に再び移動する。
そして、この箇所で再度加熱されると、ハロゲン化タングステンは、ハロゲンとタングステンに分離される。このうちタングステンは、金属電極12の先端に戻って凝集され、ハロゲンは、放電容器11の内部のハロゲンガスとして復帰する。斯かる現象は、ハロゲンサイクルと呼ばれる。なお、この凝集されたタングステンが金属電極12の先端近傍に付着することで、突起12cが形成される。
放電ランプ10の一実施例として、放電容器11の最大外径が9.4mmであり、金属電極12,12間の距離が1.0mmであり、放電容器11の内容積が55mm3であり、定格電圧が70Vであり、定格電力(交流)が180Wである放電ランプ10が挙げられる。
図3に示すように、本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1は、放電ランプ10を点灯すべく、外部リード15を経由して放電ランプ10に交流電流を供給する給電部2と、給電部2が放電ランプ10に供給する交流電流を制御する制御部3とを備えている。放電ランプ点灯装置1は、指示を入力される入力部4を備えている。
給電部2は、供給される直流電圧を所望の直流電圧に降圧する降圧チョッパ部21と、降圧チョッパ部21で降圧された直流電圧を所望の周波数の交流電圧に変換するDC/AC変換部22とを備えている。給電部2は、放電ランプ10が始動(点灯)する際に、DC/AC変換部22から供給される交流電圧を昇圧して放電ランプ10に供給するスタータ部23を備えている。
制御部3は、降圧チョッパ部21を制御することにより、放電ランプ10に供給する電力値(電圧値、電流値)を制御する電力制御部31を備えている。制御部3は、DC/AC変換部22にパルス信号を出力するパルス発生部32と、放電ランプ10に供給する交流電流の周波数を制御する周波数制御部33とを備えている。該周波数制御部33は、パルス発生部32で発生するパルスの周波数を制御している。
入力部4は、放電ランプ10を点灯させる指示を入力するための点灯指示入力部41と、放電ランプ10を消灯させる指示を入力するための消灯指示入力部42とを備えている。点灯指示入力部41は、指示が入力された際に、制御部3に向けて点灯信号を送信し、消灯指示入力部42は、指示が入力された際に、制御部3に向けて消灯信号を送信する。
本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1の具体的な回路構成を説明する。なお、本発明に係る放電ランプ点灯装置1の回路構成は、斯かる構成に限られず、他の回路構成でもよい。
降圧チョッパ部21は、スイッチング素子Qx、リアクトルLx、ダイオードDx、平滑コンデンサCx、及び抵抗Rxを備えている。
スイッチング素子Qxは、直流電圧Vdcが供給される+側電源端子に一端が接続され、他端がリアクトルLxの一端に接続される。ダイオードDxは、カソード端子がスイッチング素子Qx及びリアクトルLxの接続点に接続され、アノード端子が−側電源端子に接続される。平滑コンデンサCxは、一端がリアクトルLxの出力側端子に接続され、他端(−側端子)が抵抗Rxの出力側端子に接続される。抵抗Rxは、平滑コンデンサCxの−側端子とダイオードDxのアノード端子の間に接続され、電流検出の機能を実現している。
スイッチング素子Qxは、電力制御部31が出力するゲート信号Gxによって駆動される。このゲート信号Gxのデューティにより、降圧チョッパ部21は、入力直流電圧Vdcをこのデューティに応じた電圧に降圧して後段のDC/AC変換部22に出力する。
DC/AC変換部22は、ブリッジ状に接続したスイッチング素子Q1〜Q4を備えている(フルブリッジ回路)。
スイッチング素子Q1は、ドライバ22aから出力されるゲート信号G1により駆動される。同様に、スイッチング素子Q2は、ゲート信号G2により駆動され、スイッチング素子Q3は、ゲート信号G3により駆動され、スイッチング素子Q4は、ゲート信号G4により駆動される。ドライバ22aは、対角に配置されたスイッチング素子Q1及びQ4の組と、スイッチング素子Q2及びQ3の組に対して、交互にオン/オフを繰り返すようにゲート信号を出力する。これにより、スイッチング素子Q1及びQ2の接続点と、スイッチング素子Q3及びQ4の接続点の間に、矩形波状の交流電圧が発生する。
スタータ部23は、コイルLh及びコンデンサChを備えている。放電ランプ10が始動する際に、コイルLh、コンデンサChからなるLC直列回路の共振周波数近傍の高いスイッチング周波数(例えば数百kHz)の交流電圧がDC/AC部22から印加されることにより、スタータ部23の2次側において放電ランプ10の始動に必要な高い電圧が生成され、これが放電ランプ10に供給される。なお、放電ランプ10が点灯した後は、DC/AC部22から供給される交流電圧の周波数を通常の周波数(例えば、10Hz〜1000Hz)に移行し、通常点灯が行われる。
なお、上記回路において、スタータ部23に供給される交流電圧の周波数の変更は、DC/AC部22におけるスイッチング素子Q1及びQ4の組と、スイッチング素子Q2及びQ3の組のオン/オフ切替の周期を調整することで達成できる。また、スタータ部23に供給される交流電圧の波高値の変更は、降圧チョッパ部21におけるスイッチング素子Qxの動作デューティを調整することで達成できる。
即ち、降圧チョッパ部21のスイッチング素子Qxは、電力制御部31が出力するゲート信号Gxのデューティに応じたスイッチング周波数でオン/オフし、これにより、放電ランプ10に供給される電力が変化する。例えば、放電ランプ10への供給電力を上昇させる場合には、電力制御部31は、所望の電力値となるようにゲート信号Gxのデューティを下げる制御を行う。
本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1の制御及びそれによる作用について、図4〜図6を参酌して説明する。
図4に示すように、点灯指示入力部41が点灯指示を入力されると、点灯指示入力部41が制御部3に向けて点灯信号を送信するため、制御部3が点灯信号を受信する。これにより、給電部2が放電ランプ10に交流電流を供給するため、放電ランプ10が点灯する。
制御部3が点灯信号を受信した後(で且つ消灯信号を受信する前)の期間において、給電部2は、放電ランプ10に対して、第1周波数f1の交流電流と、第1周波数f1よりも低い周波数である第2周波数f2の交流電流とを供給している。即ち、第1周波数f1の交流電流が所定時間だけ放電ランプ10に供給された後、第2周波数f2の交流電流が当該時間よりも短い時間だけ放電ランプ10に供給される、というサイクルを繰り返す。
ここで、第1周波数f1は、放電ランプ10を定常的に点灯する際の基本周波数に相当し、200Hz〜1000Hz(パルス幅(半波):0.5ms〜2.5ms)、より好ましくは220Hz〜500Hz(パルス幅(半波):1.0ms〜2.27ms)の範囲から選択された一の周波数である。また、第2周波数f2は、所定時間経過後に間欠的に挿入される低周波であり、その周波数は、第1周波数f1よりも低周波である10Hz〜300Hz(パルス幅(半波):1.7ms〜50ms)、より好ましくは17Hz〜250Hz(パルス幅(半波):2.0ms〜30ms)の範囲から選択された一の周波数である。
第2周波数f2は、0.01秒〜120秒の間隔で挿入されることが好適であり、特に、0.01秒〜2秒の間隔で挿入されることがより好適である。第2周波数f2を挿入する間隔が小さ過ぎる場合には、アークの起点となる突起12cが加熱され過ぎることにより、その形状が変形したり消滅したりする場合がある。反対に、第2周波数f2を挿入する間隔が大き過ぎる場合には、突起12cの周辺位置に生じる微小突起が残る状態で維持されるため、微小突起を起点とするアークが発生する場合がある。
斯かる第1周波数f1及び第2周波数f2の交流電流が放電ランプ10に供給されている際は、図5に示すように、一対の金属電極12,12間に、発光ガスの熱対流が生じる。しかしながら、一対の金属電極12,12間から離れた位置、具体的には、金属電極12の基端側の位置(図5における網掛け部)においては、発光ガスの熱対流が生じ難いため、金属電極12から蒸発した金属(タングステン)が滞留し易く、また、低温領域となり易い。
図4に戻り、消灯指示入力部42が消灯指示を入力されると、消灯指示入力部42が制御部3に向けて消灯信号を送信するため、制御部3が消灯信号を受信する。これにより、給電部2は、放電ランプ10に対して、第2周波数f2よりも低い周波数である第3周波数f3の交流電流を供給する。
具体的には、給電部2は、一対の金属電極12,12がそれぞれ一回ずつ各極性(陽極及び陰極)となるように、第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する。なお、第3周波数f3は、第2周波数f2よりも低周波である0.5Hz〜16Hz(パルス幅(半波):30ms〜1000ms)、より好ましくは0.8Hz〜8Hz(パルス幅(半波):60ms〜600ms)の範囲から選択された一の周波数である。第3周波数f3は、通常の点灯時の周波数f1,f2に対して、1/2〜1/20の周波数となるように設定されている。
斯かる第3周波数f3の交流電流が放電ランプ10に供給されている際は、図6に示すように、一対の金属電極12,12間だけでなく、各金属電極12の基端側の位置(例えば、金属電極12の軸部12bの周辺位置)においても、発光ガスの熱対流が生じる。これにより、各金属電極12の基端側の位置に滞留している蒸発した金属(タングステン)が拡散され、また、斯かる位置の温度が上昇する。その状態になった後、給電部2は、放電ランプ10に交流電流を供給することを停止する。
次に、本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1の効果について、図7を参酌して説明する。
放電ランプ点灯装置1を用いて、放電ランプ10の点灯試験を行った。点灯試験は、定格電力250Wのショートアーク型放電ランプに対して、5分間の通常点灯と5分間の消灯とを1テスト回数として、複数回数だけ繰り返した。なお、通常点灯は、第1周波数f1を、370Hz(パルス幅(半波):1.35ms)とし、そして、第2周波数f2を、50HZ(パルス幅(半波):10ms)として10秒の間隔で挿入した。
そして、実施例1〜3は、消灯する際に、最も周波数の低い第3周波数f3である交流電流を放電ランプ10に供給した後、放電ランプ10に交流電流を供給することを停止した。実施例1は、20.8Hz(パルス幅(半波):24ms)、実施例2は、6.9Hz(パルス幅(半波):72ms)、実施例3は、2.3Hz(パルス幅(半波):216ms)の周波数を、それぞれ最も周波数の低い第3周波数f3とした。また、比較例は、単に、通常点灯と消灯とを繰り返した。
また、評価は、テストを所定回数だけ行った状態において、放電ランプ10の放電容器11の表面における黒化の状態を観察し、その黒化度(%)で評価した。なお、黒化度(%)は、放電容器11の内表面積に対する、タングステンが付着して黒化した部分の面積の比率を概ね表したものであり、放電ランプ10を視覚的に観察することにより得られたものである。
具体的には、黒化度が「0%」は、黒化がなく正常な状態であり、黒化度が「30%」は、点灯が行えるものの得られる照度が不足している状態であり、黒化度が「60%」は、点灯始動自体が安定して行えない状態であり、黒化度が「80%」は、使用に耐えられない状態であり、黒化度が「100%」は、ランプとして使用できない状態である。
そして、点灯試験の結果を、図7に示した。比較例の結果は、実線のグラフG0で示し、実施例1の結果は、破線のグラフG1で示し、実施例2の結果は、1点鎖線のグラフG2で示し、そして、実施例3の結果は、2点鎖線のグラフG3で示している。
比較例においては、テスト回数を重ねるごとに放電容器11が黒化し、テスト回数が3000回の時点に、黒化度が100%に達した。実施例1においては、テスト回数が500回〜1500回の範囲では、比較例に対して黒化度が10%程度改善された。したがって、実施例1において、黒化を抑制する効果があったと言える。
実施例2においては、テスト回数が1000回を超えても、黒化が進行することがなく、テスト回数が3000回の時点でも、黒化度が50%に留まった。実施例3においては、黒化の進行がさらに抑制され、3000回の時点でも、黒化度が30%に留まった。このように、実施例2及び3において、黒化を抑制する効果が著しく向上したと言える。
以上より、本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1によれば、制御部3が消灯信号を受信することにより、給電部2は、放電ランプ10に供給する交流電流のうち、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する。これにより、通常点灯時に発光ガスの熱対流が生じ難い領域においても、発光ガスの熱対流が生じることになる。
したがって、斯かる領域に滞留している蒸発した金属(タングステン)が拡散されたり、斯かる領域の温度が上昇したりする。その状態になった後、給電部2が放電ランプ10に交流電流を供給することを停止するため、通常点灯時に発光ガスの熱対流が生じ難い領域において、蒸発した金属(タングステン)が放電容器11の内面に付着することを抑制できる。
また、本実施形態に係る放電ランプ点灯装置1によれば、一対の金属電極12,12がそれぞれ一回ずつ各極性(陽極及び陰極)となるように、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流が放電ランプ10に供給される。これにより、放電容器11の内部全体に亘って、蒸発した金属(タングステン)が拡散されたり、放電容器11の内部の全体に亘って、温度が上昇したりする。
なお、本発明に係る放電ランプ点灯装置は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、本発明に係る放電ランプ点灯装置は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、電流値が一定となるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。
例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、制御部3の電力制御部31が制御することにより、図8に示すように、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、電流値が次第に小さくなるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成でもよい。
斯かる構成によれば、放電ランプ10に供給する交流電流の電流値が次第に小さくなるように、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流が放電ランプ10に供給される。これにより、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流が放電ランプ10に供給される一方、放電ランプ10が照射する光量は、徐々に少なくなる。したがって、消灯信号を受信した後も、放電ランプ10が暫く点灯しているが、放電ランプ10が徐々に消灯に向かっていることを、使用者に認識させることができる。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、一対の金属電極12,12がそれぞれ一回ずつ各極性となるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。
例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、一対の金属電極12,12が各極性の一方となるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成でもよい。また、図9に示すように、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、一対の金属電極12,12がそれぞれ複数回(二回以上)ずつ各極性となるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、停止信号を受信する前後で電流値が同じとなるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。
例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、図10に示すように、制御部3の電力制御部31が制御することにより、給電部2は、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する際に、停止信号を受信する前の電流値よりも受信した後の電流値の方が大きくなるように、放電ランプ10に交流電流を供給する、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、制御部3が消灯信号を受信することにより、制御部3が消灯信号を受信する前に供給していた第1及び第2周波数f1,f2の交流電流よりも、周波数の低い第3周波数f3の交流電流を放電ランプ10に供給する、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。
例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、図11に示すように、給電部2は、制御部3が消灯信号を受信することにより、制御部3が消灯信号を受信する前に供給していた第2周波数f2の交流電流と同じ周波数f2の交流電流を放電ランプ10に供給する、という構成でもよい。即ち、給電部2は、点灯信号を受信した後で且つ消灯信号を受信する前の期間において、所定の時間が経過することにより、最も周波数の低い第2周波数f2の交流電流と同じ第2周波数f2の交流電流を、放電ランプ10に供給する、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、点灯信号を受信した後で且つ前記消灯信号を受信する前の期間において、2種類の周波数f1,f2の交流電流を放電ランプ10に供給する、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、給電部2は、点灯信号を受信した後で且つ前記消灯信号を受信する前の期間において、1種類又は3種類以上の周波数の交流電流を放電ランプ10に供給する、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1は、制御部3に信号(点灯信号、消灯信号)を送信する入力部4を備えている、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、制御部3は、外部から送信される信号(点灯信号、消灯信号)を受信する、という構成でもよい。
また、上記実施形態に係る放電ランプ点灯装置1においては、最も周波数の低い第3周波数f3の交流電流は、極性を維持した状態で、第3周波数f3に相当する波長のパルス幅を有するパルス波である、という構成である。しかしながら、本発明に係る放電ランプ点灯装置1は、斯かる構成に限られない。
例えば、本発明に係る放電ランプ点灯装置1においては、第3周波数f3の交流電流によるパルス波は、第3周波数f3に相当する波長のパルス幅を有するパルス波の中に、極性を逆転する微小なパルス幅(例えば、第1周波数f1やそれよりも高い周波数に相当する波長のパルス幅)を有するパルス波を例外的に1〜2周期程度だけ挿入する、という構成でもよい。斯かる構成は、第3周波数f3をより低い周波数にしたい場合に採用される構成であって、例えば、以下のような目的で採用される構成である。
図3に示すように、DC/AC変換部22がフルブリッジ・インバータ回路である場合には、ハイサイドのスイッチング素子Q1及びQ4を駆動するための電源が必要となる。この電源として、例えば、ブートストラップ回路を用いることができ、ハイサイドのスイッチング素子Q1及びQ4がOFFの際に、不図示のブートストラップ用コンデンサに充電を行う。
但し、このコンデンサの充電量が不足すると、電源電圧が不足することでスイッチング素子Q1及びQ4をON駆動できなくなる。このため、当該コンデンサを充電する目的で、最も周波数の低い第3周波数f3に相当する波長のパルス幅を有するパルス波の中に、極性を逆転する微小なパルス幅を有するパルス波を例外的に1〜2周期程度だけ挿入する構成としてもよい。
別の目的としては、本発明の放電ランプ点灯装置1を含む光源が例えばDLP(登録商標)方式のプロジェクタに用いられる場合に関するものである。斯かるDLP方式のプロジェクタにおいては、映し出される映像に悪影響が及ばないように、カラーホイールの動きに応じて極性を反転させる制御が行われるのが通常であり、この極性反転時にコンデンサへの充電が行われる。
そして、上記と同様の理由により、点灯開始からの経過時間が長くなり、コンデンサへの充電量が不足することでスイッチング素子Q1及びQ4をON駆動できなくなる。このため、当該コンデンサを充電する目的で、最も周波数の低い第3周波数f3に相当する波長のパルス幅を有するパルス波の中に、極性を逆転する微小なパルス幅を有するパルス波を例外的に1〜2周期程度だけ挿入する構成としてもよい。