JP6079515B2 - 二次イオン質量分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、二次イオン質量分析装置に関する。
分析手法の1つとして、二次イオン質量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry;SIMS)が知られている。二次イオン質量分析では、試料に対して一次イオンを照射し、その照射によるスパッタリングに伴って試料から発生する二次イオンを検出することで、試料の表面、更に表面から深さ方向に含まれる元素が分析される。例えば、一次イオンとして酸素イオンを用い、試料から二次イオンとして正イオンを発生させる手法が知られている。
特開2008−215990号公報 特開2013−040835号公報
二次イオン質量分析の一次イオンとして酸素イオンを用いると、その酸素イオンの照射により、試料の表面層が酸化される。酸素イオンの照射による試料のスパッタリングの収率、検出する二次イオンである正イオンのイオン化率は、試料の表面層の酸化状態に依存し、その酸化状態が安定化すると、スパッタリング収率、イオン化率が安定化するようになる。そのため、試料の表面層の酸化状態が安定化するまでの時間が長くなると、その間のスパッタリング収率、イオン化率の変動により、その試料について精度の良い二次イオン質量分析が行えない場合がある。
本発明の一観点によれば、試料に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射する照射部と、前記一次イオンの照射によって前記試料から発生する二次イオンを検出する検出部とを備える二次イオン質量分析装置が提供される。
開示の技術によれば、試料に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射し、試料の表面層の酸化状態を効率的に安定化して、二次イオン質量分析の精度向上を図ることが可能になる。
二次イオン質量分析装置の説明図である。 二次イオン質量分析装置の照射部の構成例を示す図である。 交流パルス式オゾン生成機構の構成例を示す図である。 光照射式オゾン生成機構の構成例を示す図である。 試料に対する一次イオン照射時の様子を模式的に示す図である。 二次イオン強度の検出結果の一例を示す図である。
図1は二次イオン質量分析装置の説明図である。
図1に示す二次イオン質量分析装置100は、照射部200及び検出部300を備えている。尚、図1には、二次イオン質量分析装置100内に、分析対象の試料1をセットした状態を模式的に図示している。また、図1には、二次イオン質量分析装置100による二次イオン質量分析の際の、一次イオンの照射及び二次イオンの発生(放出)を、矢印で模式的に図示している。
二次イオン質量分析装置100の照射部200は、二次イオン質量分析装置100内にセットされる、分析対象の試料1に対し、一次イオンを照射する。尚、一次イオンは、試料1の表面に対して斜めに照射することができるほか、試料1の表面に対して垂直に照射することもできる。
二次イオン質量分析装置100の検出部300は、照射部200によって一次イオンが照射された試料1のスパッタリングに伴って発生する二次イオンを検出する。ここで、検出部300は、質量分析計310及び二次イオン検出器320を有している。試料1から発生し、検出部300に到達した二次イオンは、質量分析計310によって質量分離された後、二次イオン検出器320によって検出される。尚、質量分析計310としては、例えば、二重収束型、飛行時間型、四重極型の質量分析計が用いられる。二次イオン検出器320には、例えば、電子増倍管、マイクロチャンネルプレート、ファラデーカップといった検出器が用いられる。
二次イオン質量分析装置100を用いた分析の際には、真空環境下において、試料1に対する一次イオンの照射、及び、試料1から発生する二次イオンの検出が行われる。
上記のような二次イオン質量分析装置100の照射部200に、ここでは、酸素に比べて酸化力の強いオゾンを生成、イオン化し、一次イオンとして照射可能なものを用いる。
図2は二次イオン質量分析装置の照射部の構成例を示す図である。
照射部200は、オゾン生成部210、プラズマ生成部220、イオン選別部230、電子光学系240、及びチャンバー250を有している。
オゾン生成部210は、後述するようなオゾン生成機構を用いて、オゾン(O3)を生成する。
プラズマ生成部220は、オゾン生成部210で生成されたオゾンを用い、オゾンイオンを含むプラズマを生成する。
イオン選別部230は、プラズマ生成部220で生成されたプラズマから、それに含まれるオゾンイオンを選別する。
電子光学系240は、イオン選別部230で選別されたオゾンイオンをビーム状に収束し、収束したオゾンイオンのビームを照射部200の外部へ、例えば試料1の表面に対して斜め或いは垂直に、出射する。
オゾン生成部210の一部(後述の第2オゾン生成機構212)と、それより後段のプラズマ生成部220、イオン選別部230及び電子光学系240は、チャンバー250内に収容される。照射部200から一次イオンとしてオゾンイオンを照射する際、チャンバー250の内部は真空環境とされる。
以下、照射部200のオゾン生成部210、プラズマ生成部220、イオン選別部230及び電子光学系240について、より詳細に説明する。
まず、オゾン生成部210について説明する。
オゾン生成部210は、図2に示すように、第1オゾン生成機構211及び第2オゾン生成機構212を有している。
第1オゾン生成機構211は、酸素を含むガス源213に配管214で接続され、その配管214を通じて供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する。ガス源213には、酸素ボンベ、例えば、高純度酸素(純度99.9%以上)が圧縮充填された酸素ボンベを用いることができる。
尚、ここでは図示を省略するが、ガス源213の出口や配管214の途中には、第1オゾン生成機構211へのガスの供給量を調整するバルブを設けることができる。
第2オゾン生成機構212は、第1オゾン生成機構211に配管215で接続され、その配管215を通じて供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する。例えば、第2オゾン生成機構212は、第1オゾン生成機構211で生成されたオゾンが第2オゾン生成機構212に到達するまでの間に分解することで生じた酸素、第1オゾン生成機構211でオゾン化されなかった酸素を用いて、オゾンを生成する。
尚、オゾンの生成は、例えば次式(1),(2)で表され、オゾンの分解は、例えば次式(3),(4)で表される。
2+E1→O+O・・・(1)
O+O2+M→O3+M・・・(2)
3+E2→O2+O・・・(3)
O+O3→O2+O2・・・(4)
式(1)〜(4)において、O2は酸素分子、Oは酸素原子、O3はオゾンであり、E1,E2はエネルギー、Mは第3体(酸素等)である。
図2に示すように、第1オゾン生成機構211と第2オゾン生成機構212を繋ぐ配管215の途中には、バルブ216が設けられている。バルブ216の開度を調整することで、第1オゾン生成機構211から第2オゾン生成機構212へ供給されるガス量が調整される。
上記のような第1オゾン生成機構211及び第2オゾン生成機構212のうち、例えば図2に示すように、第1オゾン生成機構211は、チャンバー250の外部に配置され、第2オゾン生成機構212は、チャンバー250の内部に配置される。第2オゾン生成機構212は、配管217により、同じくチャンバー250の内部に配置されるプラズマ生成部220に接続される。
一次イオン照射時に真空環境とされるチャンバー250の、外部に配置される第1オゾン生成機構211と、内部に配置される第2オゾン生成機構212には、例えば、異なる機構で酸素をオゾン化するものを用いることができる。ここでは一例として、第1オゾン生成機構211に、交流パルス式オゾン生成機構を用い、第2オゾン生成機構212に、光照射式オゾン生成機構を用いる。
図3は交流パルス式オゾン生成機構の構成例を示す図である。
図3に示すオゾン生成機構410は、容器411、電極対412及び交流パルス電圧生成回路413を有している。
容器411は、オゾンの生成に用いられる酸素を含むガスが流入する入口411a、及び、容器411内で酸素を用いて生成されたオゾンを含むガスが流出する出口411bを有している。
電極対412は、容器411の内部に、所定のギャップを設けて対向配置されている。電極対412は、例えば、その一方又は双方が誘電体で覆われる。
交流パルス電圧生成回路413は、容器411の外部に設けられ、容器411の内部に設けられた電極対412に接続されている。交流パルス電圧生成回路413は、例えば高周波の交流パルス電圧信号を電極対412に供給し、電極対412の間に交流パルス電圧を印加し、電極対412の間に放電(無声放電)412aを生じさせる。
尚、ここでは一例として、一組の電極対412を示したが、容器411の内部に、複数組の電極対412を設け、各電極対412に交流パルス電圧生成回路413から交流パルス電圧信号を供給し、放電を生じさせるようにしてもよい。
図3に示すオゾン生成機構410では、酸素を含むガスが、容器411の入口411aから流入し、電極対412の間(ギャップ)を流れる。電極対412には、交流パルス電圧生成回路413によって交流パルス電圧が印加され、電極対412の間に放電が生じる。この放電により、入口411aから流入して電極対412の間を流れるガスに含まれる酸素からオゾンが生成される。生成されたオゾンは、容器411の出口411bから流出する。
このようなオゾン生成機構410が、例えば、上記の図2に示したような真空環境外(チャンバー250の外部)に置かれる第1オゾン生成機構211に用いられる。
この場合、オゾン生成機構410の入口411aを、上記のガス源213に繋がる配管214と接続し、出口411bを、上記の第2オゾン生成機構212に繋がる配管215と接続する。第1オゾン生成機構211は、ガス源213から供給されるガスに含まれる酸素から、放電を利用してオゾンを生成し、生成したオゾンを含むガスを、第2オゾン生成機構212側に供給する。
このような放電を利用したオゾン生成機構410は、例えば、常温、大気圧環境下でオゾンを生成することが可能であり、真空環境外の、チャンバー250の外部に配置するような第1オゾン生成機構211に、好適に使用することができる。
また、図4は光照射式オゾン生成機構の構成例を示す図である。
図4に示すオゾン生成機構420は、容器421、ランプ422及び電源423を有している。
容器421は、オゾンの生成に用いられる酸素を含むガスが流入する入口421a、及び、容器421内で酸素を用いて生成されたオゾンを含むガスが流出する出口421bを有している。
ランプ422には、例えば波長300nm以下といった短波長(高エネルギー)の光が照射可能なものが用いられる。ランプ422には、例えば、所定波長の紫外線を照射する水銀ランプ、重水素ランプ等の紫外線ランプを用いることができる。
電源423は、ランプ422に接続され、ランプ422を発光させるための電源を供給する。
尚、ここでは一例として、容器421の内部にランプ422を設ける場合を示したが、容器421を、ランプ422から照射される光が容器421の内部に届くような材料を用いて形成し、そのような容器421の外部にランプ422(図4に点線で図示)を設けるようにしてもよい。
また、ここでは3つのランプ422を例示したが、ランプ422の数はこれに限定されるものではない。
図4に示すオゾン生成機構420では、酸素を含むガスが、容器421の入口421aから流入する。電源423によりランプ422が発光し、ランプ422による光の照射により、入口421aから容器421の内部に流入したガスに含まれる酸素からオゾンが生成される。生成されたオゾンは、容器421の出口421bから流出する。
このようなオゾン生成機構420が、例えば、上記の図2に示したような真空環境下(チャンバー250の内部)に置かれる第2オゾン生成機構212に用いられる。
この場合、オゾン生成機構420の入口421aを、上記の第1オゾン生成機構211に繋がる配管215と接続し、出口421bを、上記のプラズマ生成部220に繋がる配管217と接続する。第2オゾン生成機構212は、第1オゾン生成機構211側から供給されるガスに含まれる酸素から、光照射を利用してオゾンを生成し、生成したオゾンを含むガスを、プラズマ生成部220側に供給する。
尚、第1オゾン生成機構211側から供給されるガスに含まれる酸素は、例えば、第1オゾン生成機構211で生成されたオゾンの分解で生じた酸素、第1オゾン生成機構211でオゾン化されなかった酸素である。
このような光照射を利用したオゾン生成機構420は、真空環境下でオゾンを生成することが可能であり、真空環境内の、チャンバー250の内部に配置するような第2オゾン生成機構212に、好適に使用することができる。例えば、光照射を利用したオゾン生成機構420は、照射する光として真空紫外線(Vacuum Ultra Violet;VUV)を用いるような場合にも、第2オゾン生成機構212に好適に使用することができる。
このようなオゾン生成機構410、オゾン生成機構420を用いることのできる第1オゾン生成機構211と第2オゾン生成機構212とを繋ぐ配管215の途中には、上記のようにバルブ216が設けられる。
例えば、このバルブ216の開度を小さくし、第1オゾン生成機構211へのガスの流入量に対して流出量を少なくする。それにより、第1オゾン生成機構211内のガスの滞留時間を長くし、ガスが上記のような放電に晒される時間を長くすることで、第1オゾン生成機構211内のガスに含まれるオゾンの高濃度化を図ることが可能になる。
その結果、第2オゾン生成機構212に流入するガスに含まれるオゾンの高濃度化、或いはオゾンが分解されずに残る割合の増加が図られ、更に第2オゾン生成機構212から流出するガスに含まれるオゾンの高濃度化が図られるようになる。
上記の図2に示す照射部200では、このように第1オゾン生成機構211及び第2オゾン生成機構212の、2段のオゾン生成機構を設ける。これにより、ガス源213のガスに含まれる酸素からのオゾンの生成効率を高め、或いは生成されたオゾンの酸素への分解割合を抑えて、一定濃度以上のオゾンをプラズマ生成部220に供給することが可能になる。
次に、プラズマ生成部220について説明する。
上記の図2に示すように、プラズマ生成部220は、イオン化室221、引き出し電極222及び加速電極223を有している。
イオン化室221は、オゾン生成部210の第2オゾン生成機構212に配管217で接続されている。イオン化室221は、第2オゾン生成機構212から配管217を通じて供給されるガスを、電界を印加することでプラズマ化し、そのガスに含まれる成分のプラズマを生成する。生成されるプラズマには、例えば、酸素原子イオン、酸素分子イオン、オゾンイオンが含まれる。
イオン化室221で生成されたプラズマは、引き出し電極222によって引き出される。引き出し電極222によって引き出されたプラズマは、加速電極223により、例えば、使用する一次イオン照射エネルギーに相当する加速電圧、或いは、一次イオン照射エネルギーを基に設定される加速電圧で、加速される。
次に、イオン選別部230について説明する。
プラズマ生成部220で生成され加速されたプラズマ中には、上記のように、オゾンイオンのほか、酸素原子イオン、酸素分子イオンが含まれ得る。イオン選別部230は、加速されたプラズマ中に含まれるオゾンイオンを、質量分離によって分離する。
このようにイオン選別部230は、オゾンイオンを質量分離によって選別する、所謂マスフィルターとして機能する。イオン選別部230には、例えば、二重収束型、飛行時間型、四重極型のマスフィルターを用いることができる。
次に、電子光学系240について説明する。
上記の図2に示すように、電子光学系240は、コンデンサーレンズ241、ビームブランキング242、対物レンズ243及びスキャンレンズ244を有している。
上記のイオン選別部230で選別されたオゾンイオンは、コンデンサーレンズ241で収束され、更に偏向器等のビームブランキング242で不要な成分が遮断されて、ビーム状となり、対物レンズ243に入射する。対物レンズ243を通過したオゾンイオンのビーム260は、スキャンレンズ244(fθレンズ)により、照射部200の外部の、所定の方向に出射されるように調整される。
以上説明したような構成を有する照射部200により、試料1(図1)に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射する。
図5は試料に対する一次イオン照射時の様子を模式的に示す図である。尚、図5(A)は一次イオンの照射開始直後の様子を模式的に示す図、図5(B)は一次イオンの照射開始から一定時間経過後の様子を模式的に示す図である。
図5(A)及び図5(B)には、元素Aを含む試料1に対し、上記の図1に示したような照射部200からオゾンイオンを照射した時の様子を模式的に示している。尚、元素Aは、正の二次イオンとなる元素とする。また、ここでは図示を省略するが、試料1には、元素A以外の元素が含まれていてもよい。
試料1に対し、一次イオンとして酸素イオン又はオゾンイオンが照射されると、試料1の表面層(一次イオン照射時の表面或いは表面とその深さ方向近傍の領域(極表面))に、酸素Oが導入され、試料1の表面層が酸化される。このような試料1の表面層の酸化は、一次イオンの照射開始直後から起こり(図5(A))、その後も一次イオンの照射に伴い進行する(図5(B))。試料1は、一次イオンの照射によりスパッタリングされ、そのスパッタリングにより、例えば、元素Aと酸素Oを含む分子イオン、元素Aと酸素Oを含む分子の解裂等で生じる原子イオンや分子イオンが、二次イオンとして放出される。尚、スパッタリングの際には、このような二次イオンのほか、中性粒子や電子も放出され得る。
放出された二次イオンは、上記の図1に示したような検出部300に取り込まれ、質量分析計310によって質量分離された後、二次イオン検出器320によって検出される。例えば、二次イオン検出器320により、質量数毎の単位時間あたりの二次イオン個数(二次イオン強度)が検出される。
試料1に対し、一次イオンであるオゾンイオンの照射によるスパッタリングを進めながら二次イオンの検出を行っていくことで、試料1を構成する元素の深さ方向の濃度分布を知ることができる。
ところで、二次イオン質量分析において、一次イオンの照射開始直後から、その照射によるスパッタリングが安定的に進行するまでには、一定の時間を要する。一次イオンの照射により、試料1の表面層に一定量の酸素が供給され、スパッタリングと共に図5(A)のような状態から図5(B)のような状態になる、即ち試料1の表面層の酸化状態が安定化する(酸化膜が形成される)と、スパッタリングが安定的に進行する。試料1の表面層の酸化状態が安定化し、スパッタリングが安定的に進行するようになるまでは、スパッタリング収率、二次イオンのイオン化率(二次イオン化率)が変動し得る。スパッタリング収率、二次イオン化率の変動は、二次イオン強度の検出結果に影響を及ぼす。
尚、スパッタリング収率とは、1個のイオンが衝突することによってスパッタされる原子又は分子の個数である。二次イオン化率とは、二次イオンの個数をスパッタされた全原子の個数で割った値、或いは、特定種の二次イオンの個数をスパッタされた同種の全原子の個数で割った値である。
一次イオンの照射開始からスパッタリングが安定的に進行するまでの時間を短縮することで、精度良く二次イオン強度を検出することが可能になる。上記のように、一次イオンとしてオゾンイオンを用いると、酸素に比べて強いオゾンの酸化力により、試料1の表面層の酸化状態をより効率的に安定化し、スパッタリングが安定的に進行するまでの時間を短縮することが可能になる。
図6は二次イオン強度の検出結果の一例を示す図である。
図6には、試料1としてシリコン(Si)基板を用い、一次イオンとして酸素イオン、オゾンイオンを用いたそれぞれの場合の二次イオン強度の検出結果を示している。一次イオンとして酸素イオン、オゾンイオンのいずれを用いた場合についても、二次イオンとして、16+30Si+28Si16+28Si2 +を検出している。
尚、図6では、一次イオンとして酸素イオンを用いた場合に検出される二次イオンを、それぞれ16+(酸素イオン),30Si+(酸素イオン),28Si16+(酸素イオン),28Si2 +(酸素イオン)と示している。また、図6では、一次イオンとしてオゾンイオンを用いた場合に検出される二次イオンを、それぞれ16+(オゾンイオン),30Si+(オゾンイオン),28Si16+(オゾンイオン),28Si2 +(オゾンイオン)と示している。
図6に示すように、一次イオンとして酸素イオンを用いた場合、二次イオンとして検出される16+30Si+28Si16+28Si2 +のいずれも、二次イオン強度が安定化するまで(スパッタリングが安定的に進行するまで)に、一定の時間を要している。一次イオンとして、酸素イオンに替えてオゾンイオンを用いると、16+30Si+28Si16+28Si2 +のいずれの二次イオンについても、二次イオン強度が安定化するまで(スパッタリングが安定的に進行するまで)の時間が短縮されるようになる。
酸素よりも酸化力の強いオゾンをイオン化し、二次イオン質量分析の一次イオンに用いることで、図6に示すように、シリコン基板の表面層の酸化状態をより効率的に安定化することができ、スパッタリングが安定的に進行するまでの時間を短縮することができる。一次イオンとしてオゾンイオンを用いることで、一次イオン照射開始直後の上記図5(A)のような状態から、より短時間で上記図5(B)のような安定な酸化状態に移行させ、より早くスパッタリングを安定的に進行させることが可能になる。
尚、図6には、試料1としてシリコン基板を用いた場合の結果を示したが、オゾンイオンを一次イオンに用いることで、様々な試料1について、上記のような表面層の酸化状態の効率的な安定化、スパッタリングの安定的な進行までの時間の短縮を図ることができる。
このように試料1の表面層の酸化状態を効率的に安定化し、スパッタリングが安定的に進行するまでの時間を短縮することで、試料1の極表面(例えば試料1の表面から深さ数nm程度の領域)から、スパッタリング収率、二次イオン化率の安定化を図ることが可能になる。これにより、二次イオン質量分析の精度向上を図ることが可能になる。
尚、シリコン基板については、その表面に形成される酸化シリコン膜の構造の一例として、シリコン基板表面に、比較的密度の高い酸化シリコン膜(界面遷移層)を介して、バルクの酸化シリコン膜(バルク酸化膜)が形成される構造が知られている。
シリコン基板をオゾンで酸化した場合には、酸素で酸化した場合に比べて、シリコン基板表面に、より密度の高いバルク酸化膜を形成することができる。更に、シリコン基板をオゾンで酸化した場合には、酸素で酸化した場合に比べて、界面遷移層を、より薄く形成することができる。更にまた、シリコン基板のオゾンによる酸化は、酸素による酸化に比べて、より低温で、上記のような界面遷移層が薄く、バルク酸化膜の密度の高い酸化シリコン膜を形成することができる。
このように、シリコン基板表面の酸化にオゾンを用いる場合には、密度が高く、均一性の良い酸化シリコン膜を形成することができる。二次イオン質量分析において、その一次イオンにオゾンイオンを用いることで、酸素を用いる場合に比べて、密度が高く、均一性の良い酸化シリコン膜を形成することが可能になり、シリコン基板内の元素(正の二次イオンとなる元素)を精度良く検出することが可能になる。
尚、以上の説明では、照射部200に、第1オゾン生成機構211と第2オゾン生成機構212の2段のオゾン生成機構を設け、それらのオゾン生成機構でオゾンを生成する場合を例示した。ここで、第1オゾン生成機構211と第2オゾン生成機構212には、異なる機構でオゾンを生成するもののほか、同じ機構でオゾンを生成するものを用いることもできる。
このほか、チャンバー250の内部又は外部に、1段のオゾン生成機構(例えば図3,図4に示したようなオゾン生成機構410,420)を設け、そのオゾン生成機構でオゾンを生成することも可能である。また、チャンバー250の内部又は外部に、3段以上のオゾン生成機構(例えば図3,図4に示したようなオゾン生成機構410,420)を設けることも可能である。或いはまた、チャンバー250の内部と外部に所定数ずつ、計3段以上のオゾン生成機構(例えば図3,図4に示したようなオゾン生成機構410,420)を設けることも可能である。
以上説明した実施の形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 試料に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射する照射部と、
前記一次イオンの照射によって前記試料から発生する二次イオンを検出する検出部と
を備えることを特徴とする二次イオン質量分析装置。
(付記2) 前記照射部は、
オゾンを生成する第1生成部と、
前記第1生成部で生成されたオゾンを用い、オゾンイオンを含むプラズマを生成する第2生成部と、
前記第2生成部で生成された前記プラズマからオゾンイオンを選別する選別部と、
前記選別部で選別されたオゾンイオンをビーム状に収束し照射する電子光学系と
を含むことを特徴とする付記1に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記3) 前記第1生成部は、
酸素を含むガス源に第1配管で接続され、前記第1配管から供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する第1オゾン生成機構と、
前記第1オゾン生成機構に第2配管で接続され、前記第2配管から供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する第2オゾン生成機構と
を含むことを特徴とする付記2に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記4) 前記第1オゾン生成機構は、真空環境外に配置され、
前記第2オゾン生成機構、前記第2生成部、前記選別部及び前記電子光学系は、真空環境内に配置されることを特徴とする付記3に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記5) 前記第2配管に設けられたバルブを有し、
前記バルブを調整することによって、前記第1オゾン生成機構側のガスに含まれるオゾン濃度が調整されることを特徴とする付記3又は4に記載の二次イオン質量分析装置。
(付記6) 前記第1オゾン生成機構は、前記第1配管から供給されるガスに電圧を印加することによってオゾンを生成することを特徴とする付記3乃至5のいずれかに記載の二次イオン質量分析装置。
(付記7) 前記第2オゾン生成機構は、前記第2配管から供給されるガスに光を照射することによってオゾンを生成することを特徴とする付記3乃至6のいずれかに記載の二次イオン質量分析装置。
(付記8) 一次イオンを照射する照射部と、二次イオンを検出する検出部とを備える二次イオン質量分析装置を用いた二次イオン質量分析方法であって、
前記照射部により、試料に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射し、
前記検出部により、前記一次イオンの照射によって前記試料から発生する二次イオンを検出することを特徴とする二次イオン質量分析方法。
1 試料
100 二次イオン質量分析装置
200 照射部
210 オゾン生成部
211 第1オゾン生成機構
212 第2オゾン生成機構
213 ガス源
214,215,217 配管
216 バルブ
220 プラズマ生成部
221 イオン化室
222 引き出し電極
223 加速電極
230 イオン選別部
240 電子光学系
241 コンデンサーレンズ
242 ビームブランキング
243 対物レンズ
244 スキャンレンズ
250 チャンバー
260 ビーム
300 検出部
310 質量分析計
320 二次イオン検出器
410,420 オゾン生成機構
411,421 容器
411a,421a 入口
411b,421b 出口
412 電極対
412a 放電
413 交流パルス電圧生成回路
422 ランプ
423 電源

Claims (5)

  1. 試料に対し、一次イオンとしてオゾンイオンを照射する照射部と、
    前記一次イオンの照射によって前記試料から発生する二次イオンを検出する検出部と
    を備えることを特徴とする二次イオン質量分析装置。
  2. 前記照射部は、
    オゾンを生成する第1生成部と、
    前記第1生成部で生成されたオゾンを用い、オゾンイオンを含むプラズマを生成する第2生成部と、
    前記第2生成部で生成された前記プラズマからオゾンイオンを選別する選別部と、
    前記選別部で選別されたオゾンイオンをビーム状に収束し照射する電子光学系と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の二次イオン質量分析装置。
  3. 前記第1生成部は、
    酸素を含むガス源に第1配管で接続され、前記第1配管から供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する第1オゾン生成機構と、
    前記第1オゾン生成機構に第2配管で接続され、前記第2配管から供給されるガスに含まれる酸素を用いてオゾンを生成する第2オゾン生成機構と
    を含むことを特徴とする請求項2に記載の二次イオン質量分析装置。
  4. 前記第1オゾン生成機構は、前記第1配管から供給されるガスに電圧を印加することによってオゾンを生成することを特徴とする請求項3に記載の二次イオン質量分析装置。
  5. 前記第2オゾン生成機構は、前記第2配管から供給されるガスに光を照射することによってオゾンを生成することを特徴とする請求項3又は4に記載の二次イオン質量分析装置。
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