JP2004211123A - 荷電粒子照射装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】荷電粒子照射装置1は、外側電極としてのケーシング3と、内側電極としての金属メッシュ4を備えており、上記ケーシング3内に原料ガスGを介在させている。
導電体の物品2に金属メッシュ4を被せてあり、ケーシング3と金属メッシュ4に電圧を印加して、プラズマ化した原料ガスGを物品2の表面に付着させる。その際、物品2は金属メッシュ4で覆ってあるため、物品2の角部に電気力線が集中するのを防止できる。
【効果】立体形状の物品2の表面に均一な膜厚と膜質の薄膜コーティングを施すことが出来る。
【選択図】 図1
導電体の物品2に金属メッシュ4を被せてあり、ケーシング3と金属メッシュ4に電圧を印加して、プラズマ化した原料ガスGを物品2の表面に付着させる。その際、物品2は金属メッシュ4で覆ってあるため、物品2の角部に電気力線が集中するのを防止できる。
【効果】立体形状の物品2の表面に均一な膜厚と膜質の薄膜コーティングを施すことが出来る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は荷電粒子照射装置に関し、より詳しくは、例えば立体形状の物品の表面に薄膜のコーティングを施す場合などに好適な荷電粒子照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、荷電粒子照射装置を用いて物品の表面に薄膜コーティングを施す技術は知られているが、一般に知られる成膜装置では上下位置の電極が平行に配置されているので、立体形状の物品に薄膜コーティングを施そうとする場合には、上記両電極間のイオンはマイナス電極に引き寄せられるように運動して物品に付着することになる。そのため、物品が立体形状である場合には、その上面には薄膜コーティングを施すことが出来るが、側面に薄膜コーティングを施すことが出来ないという欠点があった。
そこで、上下位置に相互に離隔させて一対の電極を配置するとともに、両電極間に立体形状の物品を正立させて配置した装置が提案されている(例えば特許文献1)。この従来の装置では、上記両電極によって物品の周囲を取り巻くように電界を形成するとともに、上方側の電極を水平面で回転させるようにしている。それによって、物品の上面及び側面に均一な薄膜コーティングが得られるように意図している。
【特許文献1】
特開平10−259479号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の装置においては、上方側の電極を回転させることにより、薄膜コーティングの厚さが均一となることを意図しているが、薄膜コーティングの厚さのむらを完全に解消することは出来なかった。そして、そのような薄膜コーティングの厚さのむらは、製品として許容できる程度のものではなかった。
さらに、上記従来の装置においては、上方側の電極を回転させるための回転機構が必要になり、かつその回転機構を設置するための設置スペースが必要になる。そのため、該装置の製造コストが高くなり、しかも装置が大型化するという欠点があった。
そこで、本発明の目的は、簡略な構成でありながら、立体形状の物品に対して均一に荷電粒子を照射することが可能な荷電粒子照射装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、荷電粒子を含む雰囲気中に電界を作用させて物品に向けて所定の荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置において、
上記物品から離隔させて該物品を囲繞する網状の内側電極を設けるとともに、この内側電極の外側に外側電極を設け、上記両電極間に電位差を設けて所定の荷電粒子を物品に照射するようにしたものである。
このような構成によれば、例えば立体形状の物品に薄膜コーティングを施す場合においては、上記網状の内側電極が物品から離隔して設けてあるので、荷電粒子は物品の全域に対して均一に照射されることになる。つまり、物品の側部に対しても均一な薄膜コーティングを施すことが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図示実施例について、本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は荷電粒子照射装置であり、本実施例においては、荷電粒子照射装置1を用いて立体の物品2の表面に薄膜コーティングを施すようにしている。
この荷電粒子照射装置1は、外側電極としての箱型のケーシング3と、内側電極としての金属メッシュ4とを備えている。
外側電極としてのケーシング3は直方体の金属からなり、その内部空間を密封できるようになっている。そして、この外側電極としてのケーシング3をアースしている。このケーシング3の内部空間には、薄膜コーティングの原料となる原料ガスGを充満させている。ケーシング3内の天井には、RFアンテナ5を下方に向けて水平に取り付けてあり、このRFアンテナ5にRF電源6を接続している。このRF電源6からRFアンテナ5に電圧を印加することで、ケーシング3内の原料ガスGをプラズマ状態に出来るようになっている。
本実施例においては、物品2の表面に施したいと希望する薄膜コーティングの材質に応じて原料ガスGを適宜選択するようにしている。例えば物品2の表面に窒化チタン膜を施したい場合には、窒素とチタン含有ガスをケーシング3内に供給する。また、物品2にDLC膜を施したい場合には、ベンゼンやトルエン、メタンをケーシング3内に供給するようにしている。
【0006】
次に、内側電極としての金属メッシュ4は、底面が開いた直方体に形成してあり、この内側電極としての金属メッシュ4に高圧パルス電源7を接続している。そして、この内側電極である金属メッシュ4はマイナス電位となるように設定している。本実施例では、外側電極としてのケーシング3を零Vとしたときに、内側電極である金属メッシュ4は、−10kVに設定するようにしている。
なお、物品2が導電体の場合には、物品2と内側電極である金属メッシュ4とを同電位となるように、電気的に接続するようにしている。
【0007】
以上の構成において、荷電粒子照射装置1によって、直方体で、かつ導電体の物品2における底面を除いた表面に薄膜コーティングを施す場合の作動を説明する。
この場合には、先ず、物品2をケーシング3の中央に位置させるとともに、該物品2に内側電極としての金属メッシュ4を被せて、該物品2の上面及び側面を金属メッシュ4で覆う。その際、金属メッシュ4と物品2とが接触しないように、所要の間隔(1〜2cm程度)を設ける。
この後、上記ケーシング3の内部空間を真空にした後に、所定の原料ガスGをケーシング3内に導入する(S1)。なお、本実施例では、ケーシング3内を真空にする際の真空度は、0.7Pa程度にしている。
次に、RF電源6からRFアンテナ5に電圧を印加して、ケーシング3内の原料ガスGにエネルギーを付与して、それをプラズマ状態にする(S2)。このプラズマ化した原料ガスによって物品2および金属メッシュ4は覆われることになる。
次に、内側電極である金属メッシュ4にパルス電源7から−10kVのパルス電圧を3kHzのパルスで印加する(S3)。
【0008】
ここで、本実施例においては、金属メッシュ4と、それを被せた導電体の物品2とを、接触させないで所要の距離を維持させている。また、それらに電位差が無いように設定している。
そのため、図3に平面図として示すように、ケーシング3と金属メッシュ4との間に介在するプラズマ中のプラスイオンは、マイナス電位である金属メッシュ4に引き寄せられる。そして、金属メッシュ4の網目を通過して、電位差のない領域、すなわち金属メッシュ4と物品2の上面(側面)との間の領域に突入し、所定のエネルギーを有するプラスイオンは、そのままの運動を継続して、物品2の上面及び側面に付着して薄膜となる。一方、所定のエネルギーを有しないプラスイオンは、金属メッシュ4を通過した後、物品2に到達する前に金属メッシュ4側へ逆戻りすることになる。これにより、物品2に付着するプラスイオンは、ある程度エネルギーのそろったものとなる。
本実施例においては、導電体である物品2をそれとは離隔させて金属メッシュ4で覆ってあるので、この図3に示すように、電気力線は金属メッシュ4の角部に対して集中する。しかしながら、金属メッシュ4と物品2との間の領域は、電位差が無いので、物品2の角部に対しては、電気力線が集中することは無い。そのため、角部及びそれ以外の部分に対して、均一な膜を施すことが出来る。なお、両電極間に存在する荷電粒子は、電気力線の方向に沿って運動し、電位差がない領域に突入すると、それまでの電気力線の延長線上を運動しようとする。
また、プラズマ中に存在する電気的に中性の活性種は、運動するイオンと衝突すると突き飛ばされて物品2の上面および側面に付着して膜となる。なお、プラズマ中の電子は、逆方向のイオンや活性種の運動を妨げる運動をするが、プラズマ中の電子の質量は非常に小さいので、問題は生じない。
【0009】
上記処理工程S3におけるイオンの照射状況を説明すると上述したようになる。
そして、上記処理工程S1〜S3を、物品2に形成される薄膜が所定の膜厚となるまで繰り返す。あるいは、上記処理工程S1〜S3を繰り返すことなく、そのままに放置しても、所定時間経過させることにより物品2に所定の膜厚の薄膜コーティングを施すことが出来る。
上述した本実施例に対して、図4に示すように、金属メッシュを用いることなく立体形状の物品に薄膜コーティングを施す場合には、物品の角部に電気力線が集中することになる。このように、角部に電気力線が集中すると、その角部とそれ以外の部分とに薄膜コーティングの膜厚および膜質にむらが生じることになる。しかも、上記角部に対して電界が集中しすぎた場合には、該角部が破損するおそれがあった。
これに対して、上述したように、本実施例においては、金属メッシュ4を設けてあるので、物品2の角部に電気力線が集中することを防止できる。そのため、該物品2における底面を除いた表面全域に均一な膜厚と膜質とで薄膜コーティングを施すことが出来る。
また、本実施例によれば、物品2を回転させる必要が無く、また内側電極としての金属メッシュ4および外側電極としてのケーシング3を回転させる必要が無い。したがって、そのような物品や両電極を回転させるための回転機構を設けていた従来と比較すると、本実施例の荷電粒子照射装置1は、製造コストが安く、かつ、設置スペースも減少させることが出来る。
次に、絶縁体の物品2に薄膜コーティングを施す場合について説明する。この場合には、導電体の物品2の場合と同様に、外側電極であるケーシング3をアースし、内側電極である金属メッシュ4をマイナス電位にするが、金属メッシュ4を物品2と電気的に接続する必要がない。金属メッシュ4を通過した所定のエネルギーを有するプラス電位のイオンは、その慣性力により物品2に向けて移動して物品2の表面に衝突して薄膜となる。そのため、絶縁体である物品2であっても、底面を除いた表面全域に均一な膜厚と膜質の薄膜コーティングを施すことが出来る。ここで、絶縁体の物品2は浮遊電位となり、パルス電圧の電圧印加時には表面に付着するプラスイオンによってチャージアップされるが、無印加時には雰囲気中の電子によって元の浮遊電位にリセットされることになる。
【0010】
なお、上述した実施例においては、RFアンテナ5とRF電源6を用いてケーシング3内の原料ガスGをプラズマ状態としているが、原料ガスGをプラズマ化する手段としては、上述した実施例のものに限定されるものではなく、他の高周波電力を投入しても良い。
また、上記実施例では、ケーシング3は外側電極を兼ねていたが、ケーシング3とは別に、金属メッシュ4を覆ってケーシング3の内部に外側電極を設けても良い。又、上記実施例においては、物品2の上下左右、前後を内側電極としての金属メッシュ4で全て囲繞するようにしていたが、物品2の周囲だけ、つまり上面および底面を除く部分(側面)を内側電極としての金属メッシュ4で囲繞しても良い。また、外側電極をアースしていたが、プラスイオンを所定の速度で物品に付着させることが出来れば良く、内側電極よりも高電位のマイナス電位であっても、もちろんプラス電位に設定しても良い。
さらに、金属メッシュ4の角部を断面円弧状に形成したり、物品2の形状に応じて金属メッシュ4を形成したりすれば、より均一な薄膜コーティングを施すことが可能となる。
また、上記実施例は、物品2に薄膜コーティングを施す場合に付いて説明したが、荷電粒子照射装置1を殺菌装置としても用いることができる。例えば、内側電極をマイナス電位とするとともに外側電極をアース若しくは、内側電極より高電位に設定し、かつ殺菌ガスとして酸素をケーシング内に導入して、酸素をプラズマ状態として発生したプラスのオゾンイオンを物品に照射することができる。また、他の例としては、内側電極をプラス電位とし、外側電極をアース若しくは内側電極より低電位に設定すれば、物品に電子を照射して殺菌することができる。
【0011】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、立体形状の物品に対して均一に荷電粒子を照射することが可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略の構成図。
【図2】図1に示したケーシング、金属メッシュおよび物品の位置関係を示す概略の斜視図。
【図3】図1に示した装置によって物品に薄膜コーティングを施す際の電気力線の分布と電位勾配を示す部分平面図。
【図4】従来の方法によって物品に薄膜コーティングを施す際の電気力線の分布と電位勾配を示す部分平面図。
【符号の説明】
1…荷電粒子照射装置 2…物品
3…ケーシング(外側電極) 4…金属メッシュ(内側電極)
5…RFアンテナ 6…RF電源
7…高圧パルス電源 G…原料ガス
【発明の属する技術分野】
本発明は荷電粒子照射装置に関し、より詳しくは、例えば立体形状の物品の表面に薄膜のコーティングを施す場合などに好適な荷電粒子照射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、荷電粒子照射装置を用いて物品の表面に薄膜コーティングを施す技術は知られているが、一般に知られる成膜装置では上下位置の電極が平行に配置されているので、立体形状の物品に薄膜コーティングを施そうとする場合には、上記両電極間のイオンはマイナス電極に引き寄せられるように運動して物品に付着することになる。そのため、物品が立体形状である場合には、その上面には薄膜コーティングを施すことが出来るが、側面に薄膜コーティングを施すことが出来ないという欠点があった。
そこで、上下位置に相互に離隔させて一対の電極を配置するとともに、両電極間に立体形状の物品を正立させて配置した装置が提案されている(例えば特許文献1)。この従来の装置では、上記両電極によって物品の周囲を取り巻くように電界を形成するとともに、上方側の電極を水平面で回転させるようにしている。それによって、物品の上面及び側面に均一な薄膜コーティングが得られるように意図している。
【特許文献1】
特開平10−259479号
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の装置においては、上方側の電極を回転させることにより、薄膜コーティングの厚さが均一となることを意図しているが、薄膜コーティングの厚さのむらを完全に解消することは出来なかった。そして、そのような薄膜コーティングの厚さのむらは、製品として許容できる程度のものではなかった。
さらに、上記従来の装置においては、上方側の電極を回転させるための回転機構が必要になり、かつその回転機構を設置するための設置スペースが必要になる。そのため、該装置の製造コストが高くなり、しかも装置が大型化するという欠点があった。
そこで、本発明の目的は、簡略な構成でありながら、立体形状の物品に対して均一に荷電粒子を照射することが可能な荷電粒子照射装置を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、荷電粒子を含む雰囲気中に電界を作用させて物品に向けて所定の荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置において、
上記物品から離隔させて該物品を囲繞する網状の内側電極を設けるとともに、この内側電極の外側に外側電極を設け、上記両電極間に電位差を設けて所定の荷電粒子を物品に照射するようにしたものである。
このような構成によれば、例えば立体形状の物品に薄膜コーティングを施す場合においては、上記網状の内側電極が物品から離隔して設けてあるので、荷電粒子は物品の全域に対して均一に照射されることになる。つまり、物品の側部に対しても均一な薄膜コーティングを施すことが可能となる。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下図示実施例について、本発明を説明すると、図1ないし図2において、1は荷電粒子照射装置であり、本実施例においては、荷電粒子照射装置1を用いて立体の物品2の表面に薄膜コーティングを施すようにしている。
この荷電粒子照射装置1は、外側電極としての箱型のケーシング3と、内側電極としての金属メッシュ4とを備えている。
外側電極としてのケーシング3は直方体の金属からなり、その内部空間を密封できるようになっている。そして、この外側電極としてのケーシング3をアースしている。このケーシング3の内部空間には、薄膜コーティングの原料となる原料ガスGを充満させている。ケーシング3内の天井には、RFアンテナ5を下方に向けて水平に取り付けてあり、このRFアンテナ5にRF電源6を接続している。このRF電源6からRFアンテナ5に電圧を印加することで、ケーシング3内の原料ガスGをプラズマ状態に出来るようになっている。
本実施例においては、物品2の表面に施したいと希望する薄膜コーティングの材質に応じて原料ガスGを適宜選択するようにしている。例えば物品2の表面に窒化チタン膜を施したい場合には、窒素とチタン含有ガスをケーシング3内に供給する。また、物品2にDLC膜を施したい場合には、ベンゼンやトルエン、メタンをケーシング3内に供給するようにしている。
【0006】
次に、内側電極としての金属メッシュ4は、底面が開いた直方体に形成してあり、この内側電極としての金属メッシュ4に高圧パルス電源7を接続している。そして、この内側電極である金属メッシュ4はマイナス電位となるように設定している。本実施例では、外側電極としてのケーシング3を零Vとしたときに、内側電極である金属メッシュ4は、−10kVに設定するようにしている。
なお、物品2が導電体の場合には、物品2と内側電極である金属メッシュ4とを同電位となるように、電気的に接続するようにしている。
【0007】
以上の構成において、荷電粒子照射装置1によって、直方体で、かつ導電体の物品2における底面を除いた表面に薄膜コーティングを施す場合の作動を説明する。
この場合には、先ず、物品2をケーシング3の中央に位置させるとともに、該物品2に内側電極としての金属メッシュ4を被せて、該物品2の上面及び側面を金属メッシュ4で覆う。その際、金属メッシュ4と物品2とが接触しないように、所要の間隔(1〜2cm程度)を設ける。
この後、上記ケーシング3の内部空間を真空にした後に、所定の原料ガスGをケーシング3内に導入する(S1)。なお、本実施例では、ケーシング3内を真空にする際の真空度は、0.7Pa程度にしている。
次に、RF電源6からRFアンテナ5に電圧を印加して、ケーシング3内の原料ガスGにエネルギーを付与して、それをプラズマ状態にする(S2)。このプラズマ化した原料ガスによって物品2および金属メッシュ4は覆われることになる。
次に、内側電極である金属メッシュ4にパルス電源7から−10kVのパルス電圧を3kHzのパルスで印加する(S3)。
【0008】
ここで、本実施例においては、金属メッシュ4と、それを被せた導電体の物品2とを、接触させないで所要の距離を維持させている。また、それらに電位差が無いように設定している。
そのため、図3に平面図として示すように、ケーシング3と金属メッシュ4との間に介在するプラズマ中のプラスイオンは、マイナス電位である金属メッシュ4に引き寄せられる。そして、金属メッシュ4の網目を通過して、電位差のない領域、すなわち金属メッシュ4と物品2の上面(側面)との間の領域に突入し、所定のエネルギーを有するプラスイオンは、そのままの運動を継続して、物品2の上面及び側面に付着して薄膜となる。一方、所定のエネルギーを有しないプラスイオンは、金属メッシュ4を通過した後、物品2に到達する前に金属メッシュ4側へ逆戻りすることになる。これにより、物品2に付着するプラスイオンは、ある程度エネルギーのそろったものとなる。
本実施例においては、導電体である物品2をそれとは離隔させて金属メッシュ4で覆ってあるので、この図3に示すように、電気力線は金属メッシュ4の角部に対して集中する。しかしながら、金属メッシュ4と物品2との間の領域は、電位差が無いので、物品2の角部に対しては、電気力線が集中することは無い。そのため、角部及びそれ以外の部分に対して、均一な膜を施すことが出来る。なお、両電極間に存在する荷電粒子は、電気力線の方向に沿って運動し、電位差がない領域に突入すると、それまでの電気力線の延長線上を運動しようとする。
また、プラズマ中に存在する電気的に中性の活性種は、運動するイオンと衝突すると突き飛ばされて物品2の上面および側面に付着して膜となる。なお、プラズマ中の電子は、逆方向のイオンや活性種の運動を妨げる運動をするが、プラズマ中の電子の質量は非常に小さいので、問題は生じない。
【0009】
上記処理工程S3におけるイオンの照射状況を説明すると上述したようになる。
そして、上記処理工程S1〜S3を、物品2に形成される薄膜が所定の膜厚となるまで繰り返す。あるいは、上記処理工程S1〜S3を繰り返すことなく、そのままに放置しても、所定時間経過させることにより物品2に所定の膜厚の薄膜コーティングを施すことが出来る。
上述した本実施例に対して、図4に示すように、金属メッシュを用いることなく立体形状の物品に薄膜コーティングを施す場合には、物品の角部に電気力線が集中することになる。このように、角部に電気力線が集中すると、その角部とそれ以外の部分とに薄膜コーティングの膜厚および膜質にむらが生じることになる。しかも、上記角部に対して電界が集中しすぎた場合には、該角部が破損するおそれがあった。
これに対して、上述したように、本実施例においては、金属メッシュ4を設けてあるので、物品2の角部に電気力線が集中することを防止できる。そのため、該物品2における底面を除いた表面全域に均一な膜厚と膜質とで薄膜コーティングを施すことが出来る。
また、本実施例によれば、物品2を回転させる必要が無く、また内側電極としての金属メッシュ4および外側電極としてのケーシング3を回転させる必要が無い。したがって、そのような物品や両電極を回転させるための回転機構を設けていた従来と比較すると、本実施例の荷電粒子照射装置1は、製造コストが安く、かつ、設置スペースも減少させることが出来る。
次に、絶縁体の物品2に薄膜コーティングを施す場合について説明する。この場合には、導電体の物品2の場合と同様に、外側電極であるケーシング3をアースし、内側電極である金属メッシュ4をマイナス電位にするが、金属メッシュ4を物品2と電気的に接続する必要がない。金属メッシュ4を通過した所定のエネルギーを有するプラス電位のイオンは、その慣性力により物品2に向けて移動して物品2の表面に衝突して薄膜となる。そのため、絶縁体である物品2であっても、底面を除いた表面全域に均一な膜厚と膜質の薄膜コーティングを施すことが出来る。ここで、絶縁体の物品2は浮遊電位となり、パルス電圧の電圧印加時には表面に付着するプラスイオンによってチャージアップされるが、無印加時には雰囲気中の電子によって元の浮遊電位にリセットされることになる。
【0010】
なお、上述した実施例においては、RFアンテナ5とRF電源6を用いてケーシング3内の原料ガスGをプラズマ状態としているが、原料ガスGをプラズマ化する手段としては、上述した実施例のものに限定されるものではなく、他の高周波電力を投入しても良い。
また、上記実施例では、ケーシング3は外側電極を兼ねていたが、ケーシング3とは別に、金属メッシュ4を覆ってケーシング3の内部に外側電極を設けても良い。又、上記実施例においては、物品2の上下左右、前後を内側電極としての金属メッシュ4で全て囲繞するようにしていたが、物品2の周囲だけ、つまり上面および底面を除く部分(側面)を内側電極としての金属メッシュ4で囲繞しても良い。また、外側電極をアースしていたが、プラスイオンを所定の速度で物品に付着させることが出来れば良く、内側電極よりも高電位のマイナス電位であっても、もちろんプラス電位に設定しても良い。
さらに、金属メッシュ4の角部を断面円弧状に形成したり、物品2の形状に応じて金属メッシュ4を形成したりすれば、より均一な薄膜コーティングを施すことが可能となる。
また、上記実施例は、物品2に薄膜コーティングを施す場合に付いて説明したが、荷電粒子照射装置1を殺菌装置としても用いることができる。例えば、内側電極をマイナス電位とするとともに外側電極をアース若しくは、内側電極より高電位に設定し、かつ殺菌ガスとして酸素をケーシング内に導入して、酸素をプラズマ状態として発生したプラスのオゾンイオンを物品に照射することができる。また、他の例としては、内側電極をプラス電位とし、外側電極をアース若しくは内側電極より低電位に設定すれば、物品に電子を照射して殺菌することができる。
【0011】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、立体形状の物品に対して均一に荷電粒子を照射することが可能となるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略の構成図。
【図2】図1に示したケーシング、金属メッシュおよび物品の位置関係を示す概略の斜視図。
【図3】図1に示した装置によって物品に薄膜コーティングを施す際の電気力線の分布と電位勾配を示す部分平面図。
【図4】従来の方法によって物品に薄膜コーティングを施す際の電気力線の分布と電位勾配を示す部分平面図。
【符号の説明】
1…荷電粒子照射装置 2…物品
3…ケーシング(外側電極) 4…金属メッシュ(内側電極)
5…RFアンテナ 6…RF電源
7…高圧パルス電源 G…原料ガス
Claims (3)
- 荷電粒子を含む雰囲気中に電界を作用させて物品に向けて所定の荷電粒子を照射する荷電粒子照射装置において、
上記物品から離隔させて該物品を囲繞する網状の内側電極を設けるとともに、この内側電極の外側に外側電極を設け、上記両電極間に電位差を設けて所定の荷電粒子を物品に照射するようにしたことを特徴とする荷電粒子照射装置。 - 上記雰囲気は成膜用の原料ガスをプラズマ化したものであって、上記内側電極をマイナス電位にするとともに外側電極をアースすることで、上記物品に薄膜コーティングを施すように構成したことを特徴とする請求項1に記載の荷電粒子照射装置。
- 上記物品が導電体である場合には、該物品と上記内側電極とを電気的に接続し、上記物品と上記内側電極との間の領域における電位勾配を無くすように構成したことを特徴とする請求項2に記載の荷電粒子照射装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002379447A JP2004211123A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 荷電粒子照射装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002379447A JP2004211123A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 荷電粒子照射装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004211123A true JP2004211123A (ja) | 2004-07-29 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002379447A Pending JP2004211123A (ja) | 2002-12-27 | 2002-12-27 | 荷電粒子照射装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004211123A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015052561A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-03-19 | 富士通株式会社 | 二次イオン質量分析装置 |
JP2016106359A (ja) * | 2010-07-15 | 2016-06-16 | 太陽誘電ケミカルテクノロジー株式会社 | プラズマ発生方法及びそのための装置 |
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2002
- 2002-12-27 JP JP2002379447A patent/JP2004211123A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016106359A (ja) * | 2010-07-15 | 2016-06-16 | 太陽誘電ケミカルテクノロジー株式会社 | プラズマ発生方法及びそのための装置 |
JP2015052561A (ja) * | 2013-09-09 | 2015-03-19 | 富士通株式会社 | 二次イオン質量分析装置 |
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