JP3666089B2 - オゾン発生方法およびオゾン発生装置 - Google Patents

オゾン発生方法およびオゾン発生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気を原料ガスとするオゾン発生方法およびオゾン発生装置に関するもので、特に、高いオゾン変換効率を維持して効率よく高濃度のオゾンを発生させる方法あるいは装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は、例えば特公昭59ー48761号公報に示された従来の同軸円筒型の無声放電式オゾン発生装置を示すものである。
図において、41は内部に冷却水入口49と冷却水出口50を有する接地金属管42を形成し、所定位置に空気または酸素などの原料空気入口51とオゾン気体出口52を形成した缶体、44は上記接地金属管42内に同心的に挿入され、複数のスペーサ53によって所定の放電空隙43を形成するガラス等の誘電体からなる高電圧電極管で、これの内周面には導電被膜45が形成されている。
46は給電線47からブッシング48を経て上記導電被膜45に交流高電圧を印加する給電子である。
なお、このような従来のオゾン発生装置においては、上記接地金属管42と高電圧電極管44は、オゾン発生容量によって多数組のものが缶体41に形成されることは言うまでもない。
【0003】
次に動作について説明する。従来のオゾン発生装置は上記のように構成されており、高電圧電極管44に交流高電圧を印加すると、放電空隙43に無声放電と呼ばれる穏やかなグロー放電が生じて流入した原料空気がオゾン化され、このオゾンを含むガスはオゾン気体出口52から取り出される。
放電空隙43では、放電による発熱があるため有効に冷却してやらないと放電空隙43のガス温度が上昇し、オゾン発生両が減少する。このため接地金属管42が冷却水により冷却される。
【0004】
酸素原子(O)とオゾン(O3 )を放電空間内で同時に発生させる従来の無声放電式オゾン発生装置では、放電空間をオゾン生成に必要な高圧力、低温に維持することが必要とされる。
従って、従来の無声放電式オゾン発生装置は放電空間を低温に保つため、放電空間のギャップを短くして、接地、高圧両電極の一方もしくは両方を水冷するような構造であった。放電空間の短ギャップ化に関しては、円筒形の電極で短ギャップを一様に形成するためには放電管および金属電極管の加工精度が重要となり、装置の初期コストが高くなるという問題があった。
また、電極を冷却するために電極構造が制限されるなど装置が複雑であった。さらに電極が冷却されていても、オゾンの生成効率を考慮すれば放電空間の温度はせいぜい350K以下に抑える必要があるため、高電力密度(放電空間/放電面積)を投入することが困難であり、装置のコンパクト化を実現することが不可能であった。
【0005】
無声放電式オゾン発生装置では放電場内でオゾンを生成するので、生成されたオゾンは放電空間に存在する電子と衝突し、以下に示す反応式からわかるように再び分解される。
3 +e → 0+02 +e
上記の反応の速度は電子エネルギーの関数であり、放電場での電子衝突による酸素分子の解離速度、すなわち酸素原子の生成速度よりも数倍〜数十倍程度速いとされている。
従って、酸素原子とオゾンを放電により同時に発生させる無声放電式オゾン発生装置では、せっかく生成されたオゾンが酸素原子および分子に戻ってしまい、オゾン生成のエネルギー効率が低下する。
さらに、無声放電式オゾン発生装置で空気を原料ガスとして使用した場合には、窒素分子(N2 )と電子との衝突により窒素原子(N)やその励起種が生々されて、これらが酸素原子と反応して窒素酸化物(NOX )が生成され、NOX はオゾンと反応しその結果、オゾンは分解され前述と同様にオゾン生成効率の低下を招く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような酸素原子とオゾンを放電により同時に発生させる従来の無声放電式オゾン発生装置における問題点を列挙すると、
・冷却が必要なため、電極系をはじめとして装置構造が複雑になる。
・高密度電力を投入できないので、装置のコンパクト化が困難である。
・生成されたオゾンが放電場での電子衝突により分解され、生成効率が低い。
・空気原料ではNOX が発生し、オゾンが分解されるためさらに生成効率が低下する。
ことが挙げられる。
【0007】
この発明は上記のような従来の無声放電式オゾン発生装置の問題点を解決するためになされたもので、酸素原子とオゾンの生成を分離することにより、酸素原子を適切な濃度で反応ガスと混合してオゾンの生成効率を高めると共に、更に、生成された酸素原子を複数回にわたって反応ガス中に添加することにより、オゾン変換効率の低下を抑制しながら高濃度のオゾンを効率よく生成することのできるオゾン発生方法あるいはオゾン発生装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の請求項1のオゾン発生方法は、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生工程と、この酸素原子発生工程で生成された酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生工程より高い圧力下で混合し、非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生工程を有したオゾン発生方法において、オゾン発生工程は、第1のガスを複数回の工程に分けて所定の酸素原子濃度で第2のガスに添加してオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積するようにしたものである。
【0009】
この発明の請求項2のオゾン発生方法は、請求項1のオゾン発生工程において、第1のガスを20回以下の工程に分けて所定の酸素原子濃度で第2のガスに添加してオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積するようにしたものである。
【0010】
この発明の請求項3のオゾン発生装置は、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、この酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成する複数のオゾン発生部と、この酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の上記所定の低圧力に減圧すると共に、第1のガスを減圧状態を維持して複数のオゾン発生部にそれぞれ送給する減圧送給手段を備え、上記複数のオゾン発生部を直列に配設し、前段のオゾン発生部で生成されたオゾンを含有する第2のガスを後段のオゾン発生部に順次送給し、それぞれのオゾン発生部で生成されたオゾンが累積されるように構成したものである。
【0011】
この発明の請求項4のオゾン発生装置は、請求項3発明において、複数のオゾン発生部は、個別の酸素原子発生部がそれぞれ近接して設けらたものである。
【0012】
この発明の請求項5のオゾン発生装置は、請求項3の発明において、複数のオゾン発生部は、それぞれに対応する各減圧送給手段の減圧室を酸素原子発生部として用いことにより酸素原子発生部と減圧送給手段とを含めて一体化された構成としたものである。
【0013】
この発明の請求項6のオゾン発生装置は、請求項3乃至5のいずれかの発明において、直列に配設される複数のオゾン発生部は、20段以下としたものである。
【0014】
この発明の請求項7のオゾン発生装置は、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生部と、酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の所定の低圧力に減圧すると共に、第1のガスを減圧状態を維持してオゾン発生部に送給する減圧送給手段とを備えたオゾン発生装置において、オゾン発生部は第2のガスが流れる方向に所定の距離を隔てて設けられた複数列の穴部を有し、減圧送給手段は第1のガスを減圧状態を維持して上記複数列の穴部よりオゾン発生部の内部に送給するように構成したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、上述した従来のオゾン発生装置の問題点を解決するために本願発明者が先に出願した特願平7−251018号(平成7年9月28日付け出願)にて提案したオゾン発生装置の一例を示すものである。
この例においては、図11に示した従来装置のように酸素原子とオゾンの生成を放電場で同時に行うのではなく、酸素原子生成室とオゾンの生成室を分離し、酸素原子およびオゾンの生成に対して最適な条件を独立して制御できるように構成したものである。
また、酸素原子生成室で生成された酸素原子を含有したガスの圧力を減圧し、減圧された状態のまま酸素原子ガスをオゾン生成室へ送給するための減圧送給手段としてエジェクタ方式を用いている。
【0016】
図において、1は酸素を含有する反応ガスの入口、2はノズル、3はスロート、4はディフューザー、5はオゾン含有ガスの出口であり、これらはエジェクタを構成する基本構成部材である。ノズル2とスロート3の間には、ギャップ10が設けられる。
6は内部に放電室7を備えた酸素原子発生器であり、原料気体入口8より供給された酸素を含有する原料ガスから酸素原子を生成するための装置である。
9は酸素原子発生器6で生成された酸素原子含有ガスを低圧力を維持したままディフューザー部まで導くための減圧室であり、そこでの圧力は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に維持される。
【0017】
次に動作について説明する。ノズル2には酸素を含有した反応ガス(例えば、空気)がコンプレッサーあるいはフロアー等で加圧されて流れており、スロート3に流れ込むが、この時ノズル2とスロート3との間に設けられたギャップ10から減圧室9に存在する気体を巻き込むため、減圧室9および酸素原子発生器6の内部の放電室7は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に減圧される。
このような低圧力下で、原料気体入口8より酸素含有ガスが供給されている放電室7内では、
2 + e → O + O + e ・・・(1)
の反応が起こり、酸素原子Oが発生する。上式でeは電子を表す。
【0018】
(1)式で生成された酸素原子Oは、
O + O2 + M → O3 + M ・・・(2)
の反応によりオゾンに変換されるか、あるいは、
O + O + M → O2 + M ・・・(3)
の反応により酸素分子に戻るため、消滅する。 但し、Mは第3物体を表す。
(2)、(3)式はいわゆる三体衝突反応であるため、圧力の2乗に比例して反応が進むため低圧力放電場では(2)、(3)式の反応はきわめて遅いことになる。
ここで、O濃度に対してO2 濃度が充分高いと、(2)式で表されたオゾン生成反応が大部分を占め、(3)式の反応は無視できる。
【0019】
従って、図1で例示した装置のように、オゾン生成室と分離した酸素原子生成室において低圧力下で放電させると、(1)式の反応で生じる酸素原子が(2)、(3)式によって殆ど消滅しないため、高い電気効率(酸素原子発生個数/放電電力)で酸素原子を得ることができる。
このようにして生成された酸素原子は、低圧力に保たれたまま減圧室9からノズル2とスロート3の間のギャップ10へと吸い込まれ、ノズル2内を流れてきた酸素を含む反応ガス(例えば空気)とスロート3およびディフューザ4よりなるオゾン生成室において混合され、反応ガス中の酸素と(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
【0020】
図2は、上述した図1に示した構造によるオゾン発生装置の効果を推定するために、混合後のガス中の酸素原子の濃度を変化させてシミュレーションを行い、そのオゾン生成効率を求めた結果を示したものである。
従来装置のオゾン生成効率については、空気および純酸素を原料ガスとした近年の円筒型無声放電式オゾン発生装置の標準的な運転条件での実験値を示す。
この結果より、酸素原子とオゾンの生成を放電場で同時に行う従来装置に比べて、酸素原子生成室とオゾンの生成室を分離し、酸素原子およびオゾンの生成をそれぞれ最適な条件に独立して制御できる構造を採用することにより、特に、2〜3g/Nm3 程度以下の低オゾン濃度域において高いオゾン生成効率を達成できることが判った。
しかし、図1のようなオゾン発生装置の構成では生成するオゾン濃度を高くしょうとするとオゾン生成効率は低下してくることを、図2は示している。
【0021】
図3は、図1に示した装置において、放電により生成された酸素原子が大気圧、350Kの空気と混合されてオゾンに変換されていく過程について、最終的にオゾンに変換された酸素原子の割合(生成オゾン分子数/初期酸素原子数、即ち、オゾン変換効率)を縦軸に、オゾン生成室に注入され、反応ガスと混合された時の酸素原子の濃度を横軸にとって示したものである。
図3より、最終的にオゾンに変換された酸素原子の割合は酸素原子の注入濃度が0.01%、0.1%、1%、10%、20%である場合に、それぞれおよそ99%、95%、64%、20%、13%と求められ、この結果よりも酸素原子からオゾンへの変換効率は、酸素原子濃度の増加に伴い急激に減少していくことが判る。
これは、酸素原子濃度が上昇することにより、前記(3)式で示された酸素原子の再結合反応の速度が増加し、放電により生成された酸素原子が酸素分子に戻ってしまうことが原因である。
すなわち、生成された酸素原子を効率よくオゾンに変換するためには、混合する反応ガスに対して、添加する酸素原子の濃度を小さく抑える必要があることが判る。
【0022】
以上のように、図11に示した従来装置の問題点を酸素原子生成室とオゾンの生成室を分離することにより改善した図1に示したようなオゾン発生装置においては、放電場にオゾンやNOX は存在しないので、電子衝突やNOX によるオゾンの分解が起こらず、高効率でオゾンを生成できるのであるが、これはオゾン生成室において空気などの反応ガスと混合された時の酸素原子の濃度が低い場合に限られている。
反応ガスと混合時の酸素原子濃度も濃くなると、上記(3)式に示した酸素原子の再結合反応が支配的になってオゾン変換効率が急激に減少し、その結果、生成するオゾン濃度の高い領域では、オゾン生成に対するエネルギー効率が低下するという問題を抱えていた。
この発明はこのような問題点を更に解決するためになされたもので、酸素原子とオゾンの生成室を分離すると共に、酸素原子生成室で生成した酸素原子を所定の低濃度で複数回に分けてオゾン生成室の反応ガス中に添加することにより、高濃度のオゾンを高効率で発生することができるようにしたものである。
【0023】
実施の形態1.
放電により生成された酸素原子がオゾンに変換される場合の主反応と、その競合反応は前述の(2)、(3)式に示したとおりである。
ここで、それぞれの反応の反応速度定数をkn 4、kn 5とすると、放電により生成された酸素原子がオゾンに変換される際の効率ηは、次式により表される。
【0024】
【数1】
Figure 0003666089
【0025】
(4)式から、オゾン変換効率は酸素原子と酸素分子の濃度比の関数であり、酸素原子濃度が増加すると、オゾン変換効率ηは減少する。
これより、比較的高濃度のオゾンを得るために、高濃度の酸素原子を一度に酸素分子を含んだ反応ガス中に添加した場合には、オゾン変換効率が低下することにより高効率でオゾンを生成することが不可能であることが判る。
酸素原子からオゾンへの変換効率は、(4)式のように酸素原子濃度の増加とともに低下するため、比較的高濃度のオゾンをできる限り効率よく生成する方法としては、オゾン変換効率の高い低濃度酸素原子を複数回に分けて、順次反応ガス中に添加する方法が考えられる。
【0026】
尚、酸素原子を放電により発生する放電室とは別に設けられたオゾン生成室内では、前記(2)、(3)式で示したオゾン生成、分解反応に加えて、
O + O3 → O2 + O2 ・・・(7)
で表わされる反応が起こる。
(3)式の反応は、低濃度の酸素原子を添加する場合には無視できるので、放電により生成された酸素原子は効率よくオゾンに変換され、また、(7)式の反応の速度は極めて遅いため、オゾン生成室で生成されたオゾンはほとんど分解されない。
【0027】
従って、オゾン生成室内で反応ガス中に低濃度で酸素原子を添加して効率よくオゾンに変換してオゾン含有ガスを生成し、この生成されたオゾンを含有する反応ガス中にさらに低濃度で酸素原子を添加する操作を繰り返せば、生成されたオゾンは短時間ではほとんど分解されないので、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで、最終的に生成されるオゾンの濃度はオゾン含有ガス中に低濃度で酸素原子を添加する回数に応じて累積されて増加することになる。
即ち、高濃度のオゾンを得る場合にも、オゾン変換効率の低下を抑制することが可能となる。
【0028】
図4は、反応ガスに対して添加される酸素原子の総添加濃度をパラメータとして、酸素原子の分割して注入される回数とオゾン変換効率の関係を示したものである。
酸素原子の総添加濃度が、0.1%、1.0%、10%、20%の場合に対応するものであり、それぞれの1回あたりの添加濃度は総添加濃度を添加回数で割った値に相当する。
例えば、Aのグラフは反応ガスに対して酸素原子の総添加濃度が1.0%の場合について、1.0%の濃度の酸素原子を1度に添加した場合と、2回(0.5%×2)、10回(0.1%×10)、20回(0.05%×20)と複数回にわけて添加した場合のオゾン変換効率ηを添加回数を横軸にとって示したものである。
【0029】
この図より、反応ガスに対する酸素原子の総添加濃度を一定にした場合、1回当たりの添加濃度を減らし、添加回数を増加させることによりオゾン変換効率ηを改善することが可能であることがわかる。
ただし、添加回数が10回を超えるとオゾン変化効率の改善は飽和現象がみられ、添加回数が20回を超えるとオゾン変化効率の改善はほとんど期待できないと思われる。
図5は、図4に示した結果を生成されるオゾン濃度を横軸(対数目盛り)にとり、生成オゾン濃度とオゾン変換効率の関係に焼き直したものである。
図5において、A群は酸素原子の総濃度が0.1%の場合、B群は酸素原子の総濃度が1.0%の場合、C群は酸素原子の総濃度が10%の場合、また、D群は酸素原子の総濃度が20%の場合のデータを示している。
また、図6は、縦軸および横軸の両軸を線形目盛り( Liner Scale)で書き換えたものである。
【0030】
図5または図6より、例えば、反応ガスへの酸素原子の総添加濃度を1.0%としてオゾンを生成する場合(即ち、B群のデータ)を例に取ると、1度の添加回数で反応させると生成されるオゾン濃度は約11g/Nm3 であり、この時のオゾン変換効率は65%程度であるが、酸素原子の添加濃度を0.05%として20回に分けて添加すると生成されるオゾン濃度は約14g/Nm3 に増加し、この時のオゾン変換効率は80%程度にまで改善されることが判る。
以上のことより、オゾン生成室内で反応ガスに対して数%以下の低濃度で酸素原子を添加して効率よくオゾンに変換してオゾン含有ガスを生成し、この生成されたオゾンを含有する反応ガス中にさらに低濃度の酸素原子を添加する操作を複数回繰り返すことによって、酸素原子からオゾンへの変換効率の低下を抑制し、かつ、最終的に一度に酸素原子を反応ガス中に添加する場合よりも高濃度のオゾンの生成が可能であることが裏付けられた。
【0031】
この発明は、以上の知見の結果に基づくものであり、酸素原子とオゾンの生成室を分離させたオゾン発生装置において、低圧力下で放電により生成された酸素原子含有ガスを酸素分子を含んだ反応ガスに一度に添加するのではなく、反応ガス(例えば、空気)を複数段に分けたオゾン生成室に順次送給すると共に、それぞれのオゾン生成室に酸素原子含有ガスを低圧状態を維持したまま送給し、かつ、オゾン生成室において反応ガスと混合された時の酸素原子が所定の低濃度になるように構成したものである。
【0032】
以下、この発明の実施の形態1について具体的に説明する。
図7は、この発明の実施の形態1によるオゾン発生装置の概略構成を示す図である。尚、図1と同一符号のものは図1のものと同一または相当のものであることを表わす。
図7において、100は第1段のオゾン発生部、200は第1段のオゾン発生部100の後部に配置された第2段のオゾン発生部、300は第N段目のオゾン発生部である。
本実施の形態1においても、減圧送給手段は、図1に示したオゾン発生装置と同様のエジェクタ方式を用いた装置構成としている。
各段のオゾン発生部は、図1の装置と同様にノズル2、スロート3、ディフューザー4、減圧室9、ギャップ10を備えている。
6は内部に放電室7を備えた酸素原子発生器であり、原料気体入口8より供給された酸素を含有する原料ガスから酸素原子を発生させるための装置である。
400は酸素原子発生器6において発生した酸素原子を各段のオゾン発生部へ送給するための酸素原子送給管である。
また、11はコンプレッサーあるいはブロワー等の加圧手段である。
【0033】
次に動作について説明する。第1段のオゾン発生部100に設けられたノズル2には、その入口部1より加圧手段11によって加圧された反応ガスが流れ込んでおり、加圧された反応ガスはスロート3に吹き出される。
この時ノズル2とスロート3との間に設けられたギャップ10から減圧室9に存在する気体を巻き込むため、減圧室9および酸素原子発生器6内部の放電室7は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に減圧される。
このような低圧力下で、原料気体入口8より酸素含有ガスが供給されている放電室7内では(1)式に示した、
2 + e → O + O +e
の反応が起こり、酸素原子Oが発生する。上式でe は電子を表す。
【0034】
(1)式で生成された酸素原子Oは、(2)式に示した、
O + O2 + M → O3 + M
の反応によりオゾンに変換されるか、あるいは(3)式に示した、
O + O + M → O2 + M
の反応により酸素分子に戻るため、消滅する。但し、M は第3物体を表す。
【0035】
ここで(2)、(3)式はいわゆる三体衝突反応であるため、圧力の2乗に比例して反応が進むため低圧力放電場では(2)、(3)式の反応はきわめて遅いことになる。ここで、O濃度に対してO2 濃度が充分高いと(2)式で表されたオゾン生成反応が大部分を占め、(3)式の反応は無視できる。
従って、この発明のように低圧力下で放電させると、(1)式の反応で生じる酸素原子が(2)、(3)式によって殆ど消滅しないため、高い電気効率(酸素原子発生個数/放電電力)で酸素原子を得ることができる。
このようにして生成された酸素原子は、低圧力に保たれたまま酸素原子供給管400を経由して減圧室9からノズル2とスロート3の間のギャップ10へと吸い込まれ、ノズル2内を流れてきた酸素を含む反応ガスとスロート3およびディフューザー4で構成されるオゾン生成室内で反応ガスと所定の低濃度で混合され、反応ガス中の酸素分子と(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
なお、所定の濃度で酸素原子を反応ガスに添加するためには、酸素原子発生器6における酸素原子の発生量を制御するか、あるいは酸素原子供給管に酸素原子含有ガスの流量を制御するバブル等を適宜設ければよい。
【0036】
このようにして第1段目のオゾン発生部100で得られたオゾン含有ガス(生成されたオゾンを含む反応ガス)は、加圧された状態のまま更にオゾン含有ガスの出口5から第2段目のオゾン発生部200のノズル2に導入される。
第2段目のオゾン発生部200においては、第1段目のオゾン発生部100と同様に、酸素原子発生器6において生成された酸素原子含有ガスは、酸素原子供給管400を経由して低圧力に保たれたまま減圧室9からノズル2とスロート3の間のギャップ10へと吸い込まれ、スロート3およびディフューザー4で構成されるオゾン生成室内でノズル2内を流れてきた第1段目のオゾン生成室で得られたオゾンを含有した反応ガスと所定の濃度で混合され、反応ガス中の酸素分子と(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
【0037】
なお、前述したように、オゾン生成室内では、前記(2)、(3)式で示したオゾン生成、分解反応に加えて、(7)式で表わされる反応が起こるが、この反応の速度は極めて遅いため、オゾン生成室で生成されたオゾンはほとんど分解されないので、第2段目のオゾン発生部200においては第1段目のオゾン発生部100で生成されたオゾンと第2段目のオゾン発生部200で生成されたオゾンとが累積されることになる。
本実施の形態のように、複数段(N段)のオゾン発生部を直列に配設し、加圧手段によって第1段目のオゾン発生部に反応ガスを送給し、オゾン生成室内で反応ガス中に所定の低濃度で酸素原子を添加して効率よくオゾンに変換してオゾン含有ガスを生成し、この生成されたオゾン含有ガスに対してさらに次段のオゾン発生部で所定の低濃度で酸素原子を添加してオゾンを発生させる操作を繰り返すことによって、生成されたオゾンはどんどん累積されるてゆくので、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで、高濃度なオゾンを得ることができる。
【0038】
即ち、本実施の形態においては、従来のオゾン発生装置と同様に低圧下で酸素ガスを解離させるため、酸素原子の寿命が長くなり、その結果酸素原子を効率よく生成できる。
酸素原子生成室は放電を安定に保ち、効率よく酸素原子を生成できる条件だけを満足すればよいので、生成室内部は高温でよく、電極を冷却する必要もないので、放電電極系の構成自由度が高くなりシンプルな構造で安価な装置を提供することができる。また、高電力密度を投入することができるので装置のコンパクト化が可能となる。
さらに、酸素原子発生室で発生した酸素原子含有ガスを、複数回にわけて酸素分子を含む反応ガスと所定の低濃度で反応させるように構成したので、オゾン変換効率の低下を抑制し、かつ、従来のオゾン発生装置に比べて高濃度のオゾンを生成することができる。
【0039】
実施の形態2.
図8は、本発明の実施の形態2によるオゾン発生装置の概略構成を示す図である。本実施の形態も、実施の形態1と同様に減圧送給手段としてエジェクタ方式を用いた装置構成としている。尚、図1と同一符号は図1のものと同一あるいは相当のものであることを表わす。
図において、1は酸素を含有する反応ガスの入口、2はノズル、3はスロート、4はディフューザー、5はオゾン含有ガスの出口である。これらがエジェクタを構成する基本構成部材である。
本実施の形態では、縦列に配設された第1段のオゾン発生部100、第2段のオゾン発生部200および第N段のオゾン発生部300のそれぞれについて酸素原子発生器6を個別に設けたことを特徴とする。
各段のオゾン発生部は、図1の装置と同様にノズル2、スロート3、ディフューザ4、減圧室9、ギャップ10を備えている。
減圧室9は酸素原子発生器6で生成された酸素原子含有ガスを低圧力を維持したまま、反応ガスとの混合点まで導くために、そこでの圧力は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に維持される。
【0040】
次に動作について説明する。第1段のオゾン発生部100に設けられたノズル2には、その入口部1より加圧手段11によって加圧された反応ガスが流れ込んでおり、加圧された反応ガスはノズル2よりスロート3に吹き出される。
この時ノズル2とスロート3との間に設けられたギャップ10から減圧室9に存在する気体を巻き込むため、第1段のオゾン発生部100に対して設けられた酸素原子発生器6の放電室7の圧力も大気圧以下、具体的には減圧室9と同等の数Torr〜数百Torr程度に減圧される。
このような低圧力下で、原料気体入口8より酸素含有ガスが供給されている各酸素原子発生器6の放電室7内では、実施の形態1で説明したのち同様の反応が起こり、高い電気効率(酸素原子発生個数/放電電力)で酸素原子を得ることができる。
このようにして生成された酸素原子は、低圧力に保たれたまま減圧室9を経由してノズル2とスロート3の間のギャップ10へと吸い込まれ、ノズル2内を流れてきた酸素を含む反応ガスとスロート3およびディフューザー4で構成されるオゾン生成室内で反応ガス中の酸素分子と前述の(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
【0041】
このようにして第1段目のオゾン発生不100で得られたオゾン含有ガス(生成されたオゾンを含む反応ガス)は、加圧された状態のまま更にオゾン含有ガスの出口5から第2段目のオゾン発生部200のノズル2に導入される。
第2段目のオゾン発生部200においては、第1段目のオゾン発部と同様に、第2段目のオゾン発生部200に個別に設けられた酸素原子発生器6で生成された酸素原子含有ガスは、同様に低圧力に保たれたまま減圧室9からノズル2とスロート3の間のギャップ10へと吸い込まれ、ノズル2内を流れてきた第1段目のオゾン生成室で得られたオゾン含有ガスとスロート3およびディフューザー4で構成されるオゾン生成室内で反応ガス中の酸素分子と(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
このように、第2段目のオゾン発生不部200では、第1段目のオゾン発生部100で生成されたオゾンと第2段目のオゾン生成部200で生成されたオゾンとが累積される。
【0042】
実施の形態2においても、酸素原子発生部とオゾン発生部とは分離して設けられており、さらに複数段(N段)のオゾン発生部が直列に配設されているので、実施の形態1と同様にそれぞれのオゾン生成室内で反応ガス中に所定の低濃度で酸素原子を添加して効率よくオゾンに変換してオゾン含有ガスを生成し、この生成されたオゾン含有ガスに対してさらに次段のオゾン発生部で所定の低濃度で酸素原子を添加してオゾンを発生させる操作を繰り返すことが可能となり、生成されたオゾンはどんどん累積されるので、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで、高濃度なオゾンを得ることができる。
さらに、実施の形態2では、各段に設けられた酸素原子発生器6より供給される酸素原子含有ガスは、実施の形態1の場合と異なり、酸素原子供給管などの比較的長い流路を介さず短い供給管によって即座に反応ガスと混合されるので、寿命の短い酸素原子が反応ガスと混合される以前に再結合等で壊れる確率も小さく、酸素原子発生器6で生成された酸素原子は一層効率よく反応ガスと混合される、とう特長がある。
【0043】
実施の形態3.
前記実施の形態1あるいは2では、酸素原子発生器6と減圧室9とを分離した構成としているが、本実施の形態では酸素原子発生器と減圧室とを一体化した一体型オゾン発生部を直列に複数段配設した構成としたものである。
図9は、実施の形態3によるオゾン発生装置の要部の概略構成を示す図であり、図9(a)はその縦断面構成図、図9(b)は図7(a)のA−A’線断面図である。
図において、1は酸素を含有する反応ガスの入口、2はノズル、3はスロート、4はディフューザー、5はオゾン含有ガスの出口であり、これらがエジェクタを構成する基本構成部材である。
本実施の形態における各段の一体型オゾン発生部は、低圧無声放電式の酸素原子発生器と減圧送給手段であるエジェクタとが一体に形成されている。
8は酸素を含有する原料気体入口、20はガラス等の誘電体管、21は給電電極、22は高圧の交流電源、23は放電場であり、これらにより酸素原子発生器が構成される。本実施の形態では、このような一体型オゾン発生部が、酸素原子含有ガスの添加回数(N)に応じて直列にN段配設されている。
【0044】
各段の一体型オゾン発生部は、実施の形態1あるいは2における酸素原子発生器6と減圧室9とを含めてオゾン発生部に一体化されたものであり、その基本的な動作は前述の実施の形態1あるいは2と同様である。
放電場23で生成された酸素原子は低圧力に保たれたまま減圧部からノズル2とスロート3の間へと吸い込まれ、ノズル内を流れてきた酸素を含む反応ガスと混合され、1段目のオゾン生成室内で反応ガス中の酸素分子と前述の(2)式に示された反応により高圧力下で効率よくオゾンに変換される。
第1段目の一体型オゾン発生部で得られたオゾン化ガスは、オゾン化ガス出口5から第2段目の一体型オゾン発生部のエジェクタの入口、即ち、ノズル2に導入され、第2段目の一体型オゾン発生部のオゾン生成室へと供給される。
【0045】
そして、第2段目の一体型オゾン発生部で生成された酸素原子含有ガスと第1段目の一体型オゾン発生部より供給されたオゾン化ガスとが第2段目のオゾン生成室で混合されることにより、さらにオゾンへと変換されて、第1段目よりもオゾン濃度の高められたオゾン化ガスが生成される。
2段以上の構成にした場合には、第3段目以降は第2段目と同様の過程を経てオゾンが生成され、全段部で生成されたオゾンに累積されてゆく。
前述の実施の形態1あるいは2に示したオゾン発生装置と同様に、低濃度の酸素原子含有ガスを複数回に分けて順次反応ガスに添加できる構成し、かつ、各段のオゾン発生部は酸素原子発生器と減圧室とを含めて一体化されているので、生成された酸素原子は非常に短時間で反応ガスと混合され、放電により生成された酸素原子が再結合により酸素分子に戻ることによるロスが非常に小さく、特に発生オゾン濃度が高い領域においてもオゾン生成効率の高い装置を実現することができる。
【0046】
実施の形態4.
図10は、本発明の実施の形態4によるオゾン発生装置の概略構成を示す図である。
図において、図7乃至図9で説明したものと同一もしくは相当部材については同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施の形態では、放電により生成した酸素原子含有ガスを複数回にわけて反応ガス中に添加する方法として、オゾン生成室を構成するディフューザー部周辺に穴を設け、この穴より酸素原子含有ガスを注入するようにしたものである。
【0047】
図10において、500は、スロート3およびディフューザー4から構成されるオゾン生成室であり、ディフューザー4の周辺の壁には501に示すような複数の穴が設けられている。
502は酸素原子発生器6で生成された酸素原子含有ガスを低圧力を維持したままディフューザ4の外壁部まで導くための酸素原子供給路503を備えた減圧室であり、オゾン生成室500のスロート3およびディフューザ4の外部を覆うように形成されている。
減圧室502における圧力は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に維持される。
【0048】
次に動作について説明する。酸素原子発生器6における酸素原子の生成方法については、実施の形態1に示したオゾン発生装置と全く同様である。
この酸素原子含有ガスと混合される反応ガスは、加圧手段(図示せず)で加圧された後、スロート3を経てディフューザー4へと噴射される。
この時、ディフューザー4に設けられた穴501から減圧室502に存在する酸素原子含有ガスを巻き込むため、減圧室502および酸素原子発生器6内部の放電室7は大気圧以下、具体的には数Torr〜数百Torr程度に減圧される。
ディフューザー4に設けられた多数の穴501は、反応ガスの流れの方向に対し第1列目の穴から注入された酸素原子がオゾンに変換されるのに十分な時間(例えば、1ms程度)を経た後、第2列目の穴から酸素原子が注入されるような距離を隔てて設けられる。
2段階以上の注入を行う場合には、第3列目以降の穴も同様の距離を隔てて設けられることは言うまでもない。
【0049】
このように、所定の低濃度の酸素原子を順次複数回に分けてオゾン生成室500に注入することによって、ディフューザー4内において前述の(2)式で示された反応により効率よくオゾンに変換できる。
以上のように構成されたオゾン発生装置では、酸素原子発生部とオゾン生成部とは分離されているので、実施の形態1に示されたオゾン発生装置と同様に酸素原子室は低圧力(数Torr〜数百Torr)、高温、オゾン生成室は高圧力(760Torr程度、もしくはそれ以上)、低温(400K程度以下)というように、それぞれの生成に最適な条件を独立に設定することができるため、高効率で酸素原子およびオゾンを生成することができる。
【0050】
さらに、低濃度の酸素原子含有ガスを複数回にわけて順次反応ガスに添加するように構成したので、放電により生成された酸素原子が再結合によって酸素分子に戻ることによるロスが小さく、従来のオゾン発生装置に比べて特に発生オゾン濃度が高い領域において、さらにオゾン生成効率の高い装置を実現することができる。
また、酸素原子を複数回に分けて反応ガス中に添加するために、ディフューザーに設けられる穴の列数を複数段にすればよいだけであるので、オゾン発生室は添加回数分には関係なく1つだけでよく、非常に簡単な構造をしたコンパクトな多段添加型のオゾン発生装置を実現できる。
【0051】
尚、上述した実施の形態1乃至4においては、酸素を解離して酸素原子を発生する方法として単に放電によることしか記載していないが、前記した本願と同一発明者の先願である特願平7−251018号に詳述しているように、放電の具体的な方法として、グロー放電、無声放電、マスクロ波放電等の非平衡放電、あるいはアーク放電、高周波放電等の熱プラズマのいずれの方法を用いても同様の効果を得ることは言うまでもない。
【0052】
【発明の効果】
この発明の請求項1によれば、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生工程と、この酸素原子発生工程で生成された酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生工程より高い圧力下で混合し、非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生工程を有したオゾン発生方法において、オゾン発生工程は、第1のガスを複数回の工程に分けてオゾン変換効率の高い所定の酸素原子濃度で第2のガスに添加して効率よくオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積するようにしたので、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで、高濃度なオゾンを得ることができるオゾン発生方法を提供できるという効果がある。
【0053】
この発明の請求項2によれば、オゾン発生工程において、第1のガスを20回以下の工程に分けて所定の酸素原子濃度で第2のガスに添加してオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積するようにしたので、むやみにオゾン発生工程を煩雑にすることなく、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで、高濃度なオゾンを得ることができるオゾン発生方法を提供できるという効果がある。
【0054】
この発明の請求項3によれば、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、この酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成する複数のオゾン発生部と、この酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の上記所定の低圧力に減圧すると共に、第1のガスを減圧状態を維持して複数のオゾン発生部にそれぞれ送給する減圧送給手段を備え、上記複数のオゾン発生部を直列に配設し、前段のオゾン発生部で生成されたオゾンを含有する第2のガスを後段のオゾン発生部に順次送給し、それぞれのオゾン発生部で生成されたオゾンが累積されるように構成したので、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで高濃度なオゾンを得ることができるオゾン発生装置を提供できるという効果がある。
【0055】
この発明の請求項4によれば、複数のオゾン発生部は個別の酸素原子発生部がそれぞれ近接して設けられ、生成された酸素原子は短時間で反応ガスと混合されるので、寿命の短い酸素原子が反応ガスと混合される以前に再結合等で壊れる確率が小さくなり、生成された酸素原子は一層効率よく反応ガスと混合されるという効果がある。
【0056】
この発明の請求項5によれば、複数のオゾン発生部は、それぞれに対応する各減圧送給手段の減圧室を酸素原子発生部として用いことにより酸素原子発生部と減圧送給手段とを含めて一体化された構成としたので、生成された酸素原子は非常に短時間で反応ガスと混合され、放電により生成された酸素原子が再結合により酸素分子に戻ることによるロスが非常に小さく、特に発生オゾン濃度が高い領域においてもオゾン生成効率が高く、かつ、構造の簡単な小型化されたオゾ発生装置を提供できるという効果がある。
【0057】
この発明の請求項6によれば、直列に配設される複数のオゾン発生部を20段以下としたので、むやみに装置構造を複雑にすることなく、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで高濃度なオゾンを得ることができるオゾン発生装置を提供できるという効果がある。
【0058】
この発明の請求項7によれば、供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む第1のガスと加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生部と、酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の所定の低圧力に減圧すると共に、第1のガスを減圧状態を維持してオゾン発生部に送給する減圧送給手段とを備えたオゾン発生装置において、オゾン発生部は第2のガスが流れる方向に所定の距離を隔てて設けられた複数列の穴部を有し、減圧送給手段は第1のガスを減圧状態を維持して上記複数列の穴部よりオゾン発生部の内部に送給するように構成したので、
非常に簡単な構造で、かつ、酸素原子からオゾンへの変換は高効率を維持したままで高濃度なオゾンを得ることができるオゾン発生装置を提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に関連するオゾン発生装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】 シミュレーション結果から図1のオゾン発生装置と従来の無声放電式オゾン発生装置のオゾン生成効率を比較した図である。
【図3】反応ガスに添加される酸素原子の濃度とオゾン変換効率の関係を示す図である。
【図4】 反応ガスに対して添加される酸素原子の総濃度をパラメータとして、酸素原子の分割注入回数とオゾン変換効率の関係を示す図である。
【図5】 図4のデータを生成されるオゾン濃度を横軸(対数目盛り)にとって示した図である。
【図6】 図5を両軸を線形目盛りで書き換えた図である。
【図7】 本発明の実施の形態1の概略構成を示す断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態2の概略構成を示す断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態3の概略構成を示す断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態4の概略構成を示す断面図である。
【図11】 従来のオゾン発生装置の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 反応ガス入口 2 ノズル 3 スロート
4 ディフューザー 5 オゾン含有ガス出口 6 酸素原子発生器
7 放電室 8 原料ガス入口 9 減圧室
10 ギャップ 11 加圧手段 20 誘電体管
21 給電電極 22 交流電源 23 放電場
100 第1段目のオゾン発生部 200 第2段目のオゾン発生部
300 第N段目のオゾン発生部 400 酸素原子供給管
500 オゾン生成室 501 穴
502 減圧室 503 酸素原子供給路

Claims (7)

  1. 供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生工程と、
    上記酸素原子発生工程で生成された酸素原子を含む第1のガスと、加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを上記酸素原子発生工程より高い圧力下で混合し、非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生工程を有したオゾン発生方法において、
    上記オゾン発生工程は、上記第1のガスを複数回の工程に分けて所定の酸素原子濃度で上記第2のガスに添加してオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積することを特徴とするオゾン発生方法。
  2. オゾン発生工程は、第1のガスを20回以下の工程に分けて所定の酸素原子濃度で第2のガスに添加してオゾンを生成し、それぞれの工程で生成されたオゾンを累積することを特徴とする請求項1に記載のオゾン発生方法。
  3. 供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、
    上記酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む上記第1のガスと、加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを上記酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成する複数のオゾン発生部と、
    上記酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の上記所定の低圧力に減圧すると共に、上記第1のガスを減圧状態を維持して上記複数のオゾン発生部にそれぞれ送給する減圧送給手段を備え、
    上記複数のオゾン発生部を直列に配設し、前段のオゾン発生部で生成されたオゾンを含有する上記第2のガスを後段のオゾン発生部に順次送給し、それぞれのオゾン発生部で生成されたオゾンが累積されるようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
  4. 複数のオゾン発生部は、個別の酸素原子発生部がそれぞれ近接して設けられていることを特徴とする請求項3に記載のオゾン発生装置。
  5. 複数のオゾン発生部は、それぞれに対応する各減圧送給手段の減圧室を酸素原子発生部として用いことにより酸素原子発生部と減圧送給手段とを含めて一体化されたことを特徴とする請求項3に記載のオゾン発生装置。
  6. 直列に配設される複数のオゾン発生部は、20段以下としたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載のオゾン発生装置。
  7. 供給された酸素ガスを大気圧以下の所定の低圧力下で解離させて酸素原子を含む第1のガスを生成する酸素原子発生部と、
    上記酸素原子発生部より送給される酸素原子を含む上記第1のガスと、加圧して供給される酸素を含む第2のガスとを上記酸素原子発生部より高い圧力下で混合し、所定の酸素原子濃度において非放電で反応させてオゾンを生成するオゾン発生部と、
    上記酸素原子発生部内の圧力を大気圧以下の上記所定の低圧力に減圧すると共に、上記第1のガスを減圧状態を維持して上記オゾン発生部に送給する減圧送給手段とを備えたオゾン発生装置において、
    上記オゾン発生部は、上記第2のガスが流れる方向に所定の距離を隔てて設けられた複数列の穴部を有し、
    上記減圧送給手段は、上記第1のガスを減圧状態を維持して上記複数列の穴部より上記オゾン発生部の内部に送給するようにしたことを特徴とするオゾン発生装置。
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