JP6079309B2 - 光制御体、及び道路灯 - Google Patents
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Description
係る道路灯は、従来の防犯灯のように、複数のLEDを光源に備え、それぞれのLEDの照射方向を適宜に設定することで実現できる。
しかしながら、照射方向を等しくした複数のLED、或いは1つのLEDを用いて、これを実現することは困難であった。
防犯灯1は、図1に示すように、所定の幅W1(例えば5メートル)の街路2の路肩3に立設した支柱9に路面4から所定の設置高さH1(例えば4.5メートル)に当該路面4に対面させて設置され、その設置位置から正面の路面4を照明する。この防犯灯1は、路面4の横断方向D2を軸にして、路面4の延在方向である進行方向D1に対称な配光を有する。この配光は、横断方向D2と比較して進行方向D1に沿って延びた照明範囲Rを照明する、いわゆる横長配光である。なお、本実施形態では、進行方向D1、横断方向D2、及び鉛直方向D3は直交するものとして説明する。
街路2には複数の防犯灯1が進行方向D1に沿って互いの照明範囲Rを重ねながら設置されることで、路面4が途切れることなく連続的に照明される。なお、図1では、図面が煩雑になるのを避けるため、1つの防犯灯1の照明範囲Rのみを示している。
鉛直面照度は、街路2の幅中心Wcに設定した鉛直面の照度である。この防犯灯1では、この鉛直面における規定の高さH2(例えば、1.5メートル)の地点(以下、「目標位置」と言う)Paでの照度が所定照度F(例えば、0.5ルクス)以上となっている。この目標位置P、及び所定照度Fは、防犯の観点から必要な明るさが得られるように設定されている。日本国においては、例えば公益社団法人 日本防犯設備協会(JSSA)によって規定されており、この防犯灯1は、JSSAによって規定されたクラスBを満足する性能を有している。
防犯灯1は、図2(A)に示すように、薄い略直方体型の灯具本体10と、支持部材11とを備えている。支持部材11は、支柱9への固定部材であり、灯具本体10の長手方向の後端部10Aに設けられる。灯具本体10は、その長軸Eを横断方向D2に合わせ、底面10Bを路面4に対面させた姿勢で支持部材11によって支柱9に設置される。灯具本体10の底面10Bは平らな面に形成され、その底面10Bには、LED基板12、及びレンズユニット13を重ねて取り付けられ、これらを覆うように透明樹脂製のグローブ41が設けられている。
この防犯灯1では、各レンズ15は1つのレンズユニット13として構成されている。複数のレンズ15を1つのユニットとすることで、LED14ごとにレンズ15を組み付ける手間が省け組立性の向上が図られる。
レンズユニット13は、透明樹脂製の平板部16を有し、その平板部16の表面16Aに上記レンズ15が一体に樹脂成形されている。平板部16は、LED14が並ぶ直線Lに沿って延びる略矩形状を成し、その両端部には、直線Lに沿って突出した取付片17が一体形成されている。それぞれの取付片17にはネジ孔18が形成されており、このネジ孔18にネジを通して灯具本体10の底面10Bにレンズユニット13が固定される。
これに加え、レンズユニット13の平板部16の裏面16Bには、図3(C)に示すように、その面内に複数(図示例では2つ)の位置決めボス19が立設され、またLED基板12の面内には、図4、及び図5に示すように、位置決めボス19を受ける位置決め用孔20が形成されている。これら位置決めボス19、及び位置決め用孔20の係合によって、レンズユニット13とLED基板12が、より正確な位置に位置決めされる。特に、レンズユニット13は、LED14ごとのレンズ15を含むことから、これらのレンズ15の正確な位置決めが一度に行われる。
具体的には、レンズ15は、図4、及び図5に示すように、凸形状の出射面15Aを有し、この出射面15Aに対して凸状(すなわち底面視で凹状)に湾曲する入射面15Bを有し、この入射面15Bによってレンズ15の裏面に凹部22が形成されている。この凹部22にはLED14が入り込み、この凹部22に設定されている設計基準位置PaにLED14の発光部の中心である発光点Qが配置される。設計基準位置Paは、レンズ15の光学設計における光源の配置位置であり、このレンズ15は、この設計基準位置Paに理想的な点光源が配置されるものとして、上記横長配光が得られるように光学設計されている。
具体的には、レンズ15は、図5に示すように、進行方向D1に沿った図3(A)のB−B断面では、入射面15Bが凹面形状に形成されており、これにより、発光点Qの光線C1を進行方向D1に拡げて出射する。一方、横断方向D2に沿った図3(A)のA−A断面では、入射面15Bが凸面形状に形成されており、発光点Qの光線C2を横断方向D2に狭めて(集光して)出射する。
そこで、このレンズ15は、進行方向D1に指向する主光線Cmが路面4に沿った両側の目標位置Pに向けて指向するように制御している。主光線Cmは、レンズ15の配光分布において大きな光量を有し、比較的大きな光量が最遠方Reに振り分けられることで最遠方Reでの鉛直面照度が高められるようになっている。これにより、防犯灯1の正面から隣の防犯灯1の間に亘って、鉛直面照度が一定のレベル以上に維持されることとなる。
上述の通り、このレンズ15は、目標位置Pに主光線Cmが振り分ける配光を有する。ここで、目標位置Pは、街路2の幅中心Wcに設定されていることから、目標位置Pを通る横断方向D2において光量を幅中心Wcに集めることで当該目標位置Pに主光線Cmが振り分けられる。
しかしかしながら、防犯灯1からみて幅中心Wcを越えた箇所に向かう光を、それよりも手前に位置する幅中心Wcに振り分けると、防犯灯1からの距離が遠いこと等から幅中心Wcを超えた箇所での照度低下が顕著になってしまう。この結果、防犯灯1の対向側で照度が不足し、防犯効果が薄れてしまう。
係る配光を制御するレンズ15は、図6に示すように、設計基準位置Paから路肩側に向かう光成分の一部を、目標位置Pを指向する主光線Cmに振り分けるように制御する。
係る配光のレンズ15の平面視の外観形状は、目標位置Pを通る進行方向D1の軸線(以下、「進行方向軸線」と言う)U1に対して平面視で線対称な形状ではなく、設計基準位置Paを起点とした主光線Cmの軸(以下、「主光線軸」と言う)U2に対して線対称な形状となる。進行方向軸線U1と主光線軸U2が成す角度αは、防犯灯1と目標位置Pの位置関係によって決定されている。
また、進行方向軸線U1よりも路肩側の出射面15Aの領域15A1から出射される光成分を主光線軸U2に積極的に振り分けるべく、この領域15A1は、目標位置Pを通る横断方向D2の軸線(以下、「横断方向軸線」と言う)U3に対し、上記角度αだけ正面側に全体的に片寄らせた形状とされている。
なお、レンズ15は、横断方向軸線U3については線対称形状を成し、防犯灯1からみて正面の路面4を左右対称に照射する。
そこで、多数のLED素子を集積して構成したCOB型LEDのような高出力型LEDを光源に用いることも考えられるが、そうすると、設計基準位置Paでの発光点Qが点光源よりも非常に大きくなってしまうため、それに合わせてレンズも大型化する必要が生じ、本実施例のコンパクトでスリムな灯具には不向きである。
これに対して本実施形態の防犯灯1では、同一配光のLED14、及びレンズ15の複数の対を横断方向D2に並べることで、それぞれの対による照明の重ね合わせによって、十分な光量が得られるようになっている。
特に、このレンズユニット13では、図3に示すように、レンズ15のそれぞれの間に、並びの直線Lに沿って連通路27が一体に設けられることで、それぞれのレンズ15での熱籠もりが、より一層防止される。
すなわち、レンズ15のそれぞれは、図3(C)、及び図5に示すように、その裏面の側にLED14の発光点Qと、有効入射面15B1の境界部32とを結ぶ面Vから下の部位に肉盗み部30を設けて樹脂成形されている。有効入射面15B1とは、入射面15Bのうち、光学設計が成された入射面であり、この有効入射面15B1に入射する光線はレンズ15によって制御される。
ここで、LED14を収める凹部22を裏側に有するレンズを、金型を用いた樹脂成形によって製造する場合、凹部22の開口端側は、金型が抜ける形状である必要があるため、この凹部22の開口端側の形状には自由度が少ない。したがって、入射面15Bを凹部22の開口端側まで延びていても、開口端側の範囲は、専ら金型を抜くための形状とされ、この範囲の形状について光学設計は成されておらず、この範囲に入射した光は無制御の光を発生することとなる。一方、この範囲よりも凹部22に入り込んだ範囲については光学設計が成されており、この範囲が上記有効入射面15B1である。
また、レンズ15において、発光点Qと有効入射面15B1の境界部32を結ぶ面Vよりも上側の領域が、発光点Qから放射された光を制御可能な領域である。換言すれば、この面Vよりも下側の領域は、発光点Qの放射光の制御には有効ではない領域である。したがって、このレンズ15では、図5に示すように、レンズ15の裏面の側に、この面Vに沿って肉盗み部30を大きく設けることとし、樹脂材の量をより少なくしている。また、レンズ15の裏側に肉盗み部30が設けられるため、レンズ15の実質的な厚みが肉盗み部30の分だけ減り、樹脂成形時の硬化速度が速められ生産性が高められる。
これにより、路面4の幅中心Wcを越えた側での照度を確保して防犯効果を維持しつつ、鉛直面照度が高められ設置スパンSも拡げられる。また、路面4の幅中心Wcよりも手前側の光量が主光線Cmに振り分けられるから、防犯灯1が設置されている路肩3の側に向かう迷光も抑制される。
例えば、上述した実施形態において、発光素子の一例としてLED14を例示したが、これに限らず、任意の発光素子を用いることができる。
また例えば、道路灯の一例として防犯灯を例示したが、路面を照明する灯具であれば、任意の灯具に本発明を適用できる。
2 街路
3 路肩
4 路面
10 灯具本体
12 LED基板
13 レンズユニット
14 LED(発光素子、光源)
15 レンズ(光制御体)
15A 出射面
15B 入射面
C1、C2 進行方向に向かう光線
Cm 主光線
D1 進行方向
D2 横断方向
D3 鉛直方向
P 目標位置
Pa 設計基準位置
Q 発光点
R 照明範囲
Re 最遠方
S 設置スパン
U1 進行方向軸線
U2 主光線軸
U3 横断方向軸線
Claims (3)
- 路面を照明する灯具に設けられ、当該灯具の光源の光を前記路面の進行方向に拡げる光制御体において、
平面視の形状は、
前記灯具から進行方向の側に所定距離だけ離れた路面内であって所定の高さに設定された目標位置を通る横断方向の軸線について線対称形状を成し、
前記光源の発光点を起点とした主光線の軸に対して線対称な形状を成し、かつ、
前記目標位置を通る進行方向の軸線よりも前記路面の路肩側の出射面の領域が、前記目標位置を通る横断方向の軸線に対し前記灯具の正面の側に片寄った形状を成しており、
前記進行方向を指向する主光線を、前記目標位置に指向させ、かつ、前記目標位置にける前記路面の横断方向の光量分布において前記光源からみて前記目標位置よりも灯具の側に向かう光を前記主光線に割り当てる
ことを特徴とする光制御体。 - 前記光源を覆うレンズで構成したことを特徴とする請求項1に記載の光制御体。
- 光源を有し、路面に面して設置され当該路面を照明する道路灯において、請求項1または2に記載の光制御体を備えたことを特徴とする道路灯。
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