JP6078973B2 - 質量分析装置 - Google Patents
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Description
スプレー15は、二重管構造になっており、サンプル溶液は円管159の内側から噴出される。一方、窒素ガスは円管159と円管形状のノズル152との間から噴射される。このようにすることにより、噴出されたサンプル溶液は、円管159の周囲に噴射される窒素ガスとの衝突作用により霧状態となって噴霧される。また、ノズル152の先端に電圧源(図示せず)から数kVの高電圧が印加されるように配線(図示せず)が接続されており、イオン化が行われるようになっている。
そこで、血液中の特定の成分の含有量を正確に算出するには、適切な分析条件に設定したり、大気圧イオン化質量分析装置101自体の状態を良好にしたりする必要があるため、血液中の特定の成分の含有量を算出するだけではなく、検査員等が特定の成分の含有量が極端に異なるサンプルを見つけ出しやすいように、各サンプルに関するトータルイオンクロマトグラムを一致させた後、複数のサンプルに関するm/zのマスクロマトグラムを表示させることにした。
そこで、フローインジェクション法を用いてサンプルを導入し、トータルイオンクロマトグラムを用いて、m/zのマスクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間を、トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間と同一とすることにより、m/zのマスクロマトグラムにおけるピークを検出することにした。
また、本発明の質量分析装置において、前記イオン化室は、カラムによる成分の分離を行わずに導入された前記試料をイオン化するようにしてもよい。
また、本発明の質量分析装置は、基準試料が分析された際に得られた基準トータルイオンクロマトグラム及びm/zの基準マスクロマトグラムを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間が、前記基準トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間と同一となるように変換するための時間補正値を算出するとともに、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値が、前記基準トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と同一となるように変換するための検出強度補正値を算出する算出部と、前記マスクロマトグラムにおけるm/zのイオンの検出強度と時間との関係を、前記時間補正値及び検出強度補正値を用いて補正することにより、m/zのイオンの検出強度と時間との関係を示す補正マスクロマトグラムを作成する補正部と、前記補正マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と、前記基準マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値とを比較するための比較部とを有するようにしてもよい。
本発明の質量分析装置によれば、血液中の特定の成分の含有量を算出するだけではなく、基準試料に関する基準トータルイオンクロマトグラムと試料に関するトータルイオンクロマトグラムとを一致させた後、基準試料に関するm/zの基準マスクロマトグラムと試料に関するm/zの補正マスクロマトグラムとを比較するので、検査員等は特定の成分の含有量が異なるか否かを容易に判断することができる。
さらに、本発明の質量分析装置は、前記記憶部は、最大値差閾値を記憶し、前記比較部は、前記補正マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と、前記基準マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値との差が、前記最大値差閾値以上であるか否かを判定するようにしてもよい。
ここで、「最大値差閾値」とは、血液中の特定の成分の含有量が健常者でないと判定するための数値であり、検査員等によって予め決められた任意の数値となる。
大気圧イオン化質量分析装置1は、MS10とコンピュータ(制御部)30とを備える。MS10では、イオン化室11と、イオン化室11に隣接する第一中間室12と、第一中間室12に隣接する第二中間室13と、第二中間室13に隣接する質量分析室14とがそれぞれ隔壁を介して連続的に設けられている。質量分析室14内には、第一質量分析部16と、コリジョンセル26と、第二質量分析部17と、検出器18とが配置されている。
ts×A=Ts ・・・(1)
te×B=Te ・・・(2)
imax×C=Imax ・・・(3)
なお、図4は、開始時間補正値A及び開始時間補正値Bの算出を説明するための図であり、図5は、検出強度補正値Cの算出を説明するための図である。これにより、サンプルS2が分析された際に得られたトータルイオンクロマトグラムと、基準トータルイオンクロマトグラムとは、ほぼ重なり合うことになる。
ts×A=ts’ ・・・(4)
te×B=te’ ・・・(5)
im/zmax×C=im/zmax’ ・・・(6)
まず、ステップS101の処理において、基準試料(サンプル1)S1が分析された際に得られたものとして、基準トータルイオンクロマトグラム及びm/zの基準マスクロマトグラムと最大値差閾値ΔIm/zthとを基準試料記憶領域32aに記憶させる。
次に、ステップS103の処理において、Snのサンプルがスプレー15によってイオン化室11内に導入される。
次に、ステップS104の処理において、測定部31aは、検出器18で取得されたイオン強度信号に基づいて、Snのサンプルに関するトータルイオンクロマトグラム及びm/zのマスクロマトグラムを作成する。
次に、ステップS106の処理において、算出部31cは、Snのサンプルに関する開始時間補正値A、終了時間補正値B、検出強度補正値Cを算出する。
次に、ステップS107の処理において、検出部31dは、Snのサンプルに関する或るm/zのマスクロマトグラムにおけるピークの開始時間ts及び終了時間teを、トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間ts及び終了時間teと同一とする。
次に、ステップS109の処理において、次のサンプルを分析するか否かを判断する。次のサンプルを分析すると判断したときには、ステップS110の処理において、Sn=Sn+1とした後、ステップS103の処理に戻る。
一方、次のサンプルを分析しないと判断したときには、ステップS111の処理において、比較部31fは、S2〜Snのサンプルに関する或るm/zの補正マスクロマトグラム及び或るm/zの基準マスクロマトグラムを重ねてモニタ画面34aに表示する。
そして、ステップS111の処理が終了したときには、本フローチャートを終了させる。
<他の実施形態>
上述した大気圧イオン化質量分析装置1において、質量分析室14内には、第一質量分析部16とコリジョンセル26と第二質量分析部17と検出器18とが配置されている構成としたが、第一質量分析部と検出器とが配置されているような構成としてもよい。
14: 質量分析部
15: スプレー
30: コンピュータ(制御部)
31b: 決定部
31d: 検出部
Claims (5)
- 試料をイオン化するイオン化室と、
前記イオン化室からイオンが導入される質量分析部と、
前記質量分析部で取得された情報に基づいて、m/zのイオンの検出強度と時間との関係を示すマスクロマトグラム、及び、全てのイオンの検出強度と時間との関係を示すトータルイオンクロマトグラムを作成する制御部とを備える質量分析装置であって、
前記制御部は、前記トータルイオンクロマトグラムを用いて、検出強度の最大値からピークを探索して、検出強度の変化の傾斜量からピークの開始時間及び終了時間を探索することにより、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間を決定する決定部と、
前記マスクロマトグラムにおける検出強度の変化の傾斜量からピークの開始時間及び終了時間を探索しないで、前記マスクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間を、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間と同一とする検出部とを有することを特徴とする質量分析装置。 - 前記イオン化室は、カラムによる成分の分離を行わずに導入された前記試料をイオン化することを特徴とする請求項1に記載の質量分析装置。
- 基準試料が分析された際に得られた基準トータルイオンクロマトグラム及びm/zの基準マスクロマトグラムを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間が、前記基準トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの開始時間及び終了時間と同一となるように変換するための時間補正値を算出するとともに、前記トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値が、前記基準トータルイオンクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と同一となるように変換するための検出強度補正値を算出する算出部と、
前記マスクロマトグラムにおけるm/zのイオンの検出強度と時間との関係を、前記時間補正値及び検出強度補正値を用いて補正することにより、m/zのイオンの検出強度と時間との関係を示す補正マスクロマトグラムを作成する補正部と、
前記補正マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と、前記基準マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値とを比較するための比較部とを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の質量分析装置。 - 前記比較部は、前記補正マスクロマトグラム及び基準マスクロマトグラムを表示することを特徴とする請求項3に記載の質量分析装置。
- 前記記憶部は、最大値差閾値を記憶し、
前記比較部は、前記補正マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値と、前記基準マスクロマトグラムにおけるピークの検出強度の最大値との差が、前記最大値差閾値以上であるか否かを判定することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の質量分析装置。
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