JP6075692B2 - 光学式デジタイザー用塗料に用いる酸化チタン分散液とその製造方法 - Google Patents

光学式デジタイザー用塗料に用いる酸化チタン分散液とその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化チタン(a)と、塩基性物質(b)と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と高分子添加剤(d)を含む分散液、及びその製造方法に関する。
物体(測定物)に接触することなく測定物の寸法や、形状計測する方法として三次元形状測定方法が利用されている(特許文献1参照)。
このような原理を利用して、測定物に接触することなく画像、形状の三次元データ化や表面寸法を測定する光学式の三次元スキャナなどのデジタイザーが市販されているが、測定物が透明なものや、色がついている場合には光の反射が弱く、また光沢のあるものはハレーションを起こし、そのままでは三次元スキャナによる画像の取り込みが難しい。
そのため、一般には白色スプレー塗料や、艶消しスプレーや欠陥検出用の深傷スプレー等を測定物に塗布することが必要である。しかし、白色スプレー塗料の濃度や粒子径の大きさによって塗膜面が不均一になることや、測定物の微細部分が正確にデータ化できない等の欠点がある。
また、光沢面に対し表面結露を生じさせることにより測定物の光沢を一時的に除去し、光学的に計測する方法もあるが装置や設備が大がかりとなり経済的に現実的でない(特許文献2、3参照)。
特開2002−267430号公報 特開2005−249487号公報 特開平8−271239号公報
本発明は、光学式デジタイザーによって正確に画像が取り込めるように測定物に対して均一な薄層塗布がしやすく、光の透過やハレーションが起こらず、且つ剥離しやすい塗膜を形成する塗料を提供することを課題とする。
本発明者らは、研究を重ね、酸化チタン(a)と、塩基性物質(b)と、β-1,3-1,6グルカンの中でも、主鎖のβ-1,3結合に対する側鎖のβ-1,6結合の比率(分岐度)が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と、高分子添加剤(d)を混合することによって水中で安定した分散性を有する分散液が得られ、光学式デジタイザー用塗料として用いた場合には、上記の課題を解決できることを見出した。
更に、その製造方法として、酸化チタン(a)と、塩基性物質(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と、高分子添加剤(d)を混合する工程を含む、酸化チタンの水分散液の製造方法、また、酸化チタン(a)と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と高分子添加剤(d)とを塩基性物質(b)を用いてアルカリ性に調整した溶液中で混合し、中和剤(e)を用いて中和する工程とを含む、酸化チタンの水分散液の製造方法によって得られる酸化チタン化合物の水分散液が、分散性に著しく優れることを見出した。
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下の酸化チタンの水分散液、及びその製造方法を提供する。
項1.酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と高分子添加剤(d)を含む水分散液。
項2.高分子添加剤(d)が、シリコン系化合物、ポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1に記載の水分散液。
項3.高分子添加剤(d)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1又は2に記載の水分散液。
項4.酸化チタン(a)の平均粒子径d50が1μm以下である項1〜3いずれかに記載の水分散液。
項5.酸化チタン(a)の平均粒子径d50が500nm以下である項1〜4いずれかに記載の水分散液。
項6.塩基性化合物(b)が、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、及びアルキレンアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜5いずれかに記載の水分散液。
項7.塩基性化合物(b)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパール、ジプロパノールアミン、及びトリプロパノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項1〜6いずれかに記載の水分散液。
項8.酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、高分子添加剤(d)とを混合する工程を含む、酸化チタンの水分散液の製造方法。
項9.酸化チタン(a)と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、高分子添加剤(d)とを塩基性化合物(b)を用いてアルカリ性に調整した溶液中で混合する工程と、混合した溶液に中和剤(e)を添加して中和する工程とを含む、酸化チタンの水分散液の製造方法。
項10.高分子添加剤(d)が、シリコン系化合物、ポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8又は9に記載の水分散液の製造方法。
項11.高分子添加剤(d)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8〜10いずれかに記載に記載の水分散液の製造方法。
項12.塩基性化合物(b)が、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、及びアルキレンアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である項8〜11いずれかに記載の水分散液の製造方法。
項13.塩基性化合物(b)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパール、ジプロパノールアミン、及びトリプロパノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である項8〜12に記載の方法。
本発明の分散液は、測定物の形状や大きさ、材質に関わらず、測定物に対して均一な薄層塗布がしやすく、また光の透過やハレーションの防止効果が高いため、光学式デジタイザーによって測定物の画像を正確に取り込めるようになる。また、薄膜塗布したものは、剥離しやすいものであり、布等でのふき取りあるいは水洗浄で簡単に除去できるため測定物を再度活用することができため経済的であり、このような塗料として有用である。
実験例で得たオーレオバシジウム・プルランス由来のグルカンのH NMRスペクトルである。 実験例で得たオーレオバシジウム・プルランス由来のグルカンの超音波照射したときの培養液の粒度分布を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)酸化チタン分散液
本発明の水分散液は、酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とさらにβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と高分子添加剤(d)を含む水分散液である。
(1−1)酸化チタン(a)
本発明において、使用される酸化チタンはルチル型、アナタース型等の結晶構造について限定されることなく、白色顔料として塗料、インク用等の工業用に用いられる粉末状のものから、化粧品用とされる微粒子状のものまで使用することができる。
酸化チタンの分散液中での平均粒子径(一次粒子または二次粒子)がd50で1μm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、200nm以下であることが特に好ましい。この範囲の酸化チタンであれば、水中で十分な分散性を有する分散液が得られ、塗料としたときに、均一な薄層塗布ができる。尚、d50とは、メジアン径として知られ、粉体をある粒子径から2つに分けたとき、大きい側と小さい側が等量となる径のことであり、50%平均粒径とも言われる。測定方法は、一般的にマイクロトラック法(レーザー回折・散乱法など)によって測定することができる。
酸化チタンは、他の化合物で被覆(修飾)したものであってよく、特にシリカコート、又はアルミナコートされたものが好ましい。
本発明の水分散液に用いる酸化チタンの添加量は、水分散液中での最終濃度として、0.1〜60重量%であればよく、1〜50重量%が好ましく、5〜40重量%がより好ましい。上記範囲であれば、安定した水分散液が得られる。
(1−2)塩基性化合物(b)
本発明に用いる塩基性化合物(b)としてはアミン類が好ましく、例えば、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、アルキレンアミン類などを例示することができ、具体的には、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミンなどのアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、アミノエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエチルエタノールアミン、アミノエトキシエタノール、及びN,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、プロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、ジ−iso−プロパノールアミン、ジ−n−プロパノールアミン、ジ−n− ブタノールアミン、ジイソブタノールアミン、ジ−n−ペンタノールアミン、ジ−n−ヘキサノールアミン、トリプロパノールアミン、テトラエタノールエチレンジアミン、テトラ−iso−プロパノールエチレンジアミンシクロヘキシルアミン、ジブチルエタノールアミン、ジブチル−iso−プロパノールアミンなどのアルカノールアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのアルキレンアミン類を例示することができる。中でも作業環境の点で、アルカノールアミン類が好ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミンがより好ましい。
水分散液中における酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)の比率は、(塩基性化合物:酸化チタン)は重量比で、1:0.1〜10000程度の範囲が好ましく、1:1〜1000程度の範囲がより好ましく、1:10〜500程度の範囲がさらに好ましい。上記範囲であれば、水中で十分な分散性を有する分散液が得られる。
本発明における塩基性化合物(b)の使用量は、使用する酸化チタンの種類又は使用量にもよるが、水分散液とした際の最終濃度として0.001〜30重量%であればよく、0.01〜15重量%が好ましく、0.05〜3重量%がより好ましい。上記範囲であれば、安定した水分散液が得られる。
(1−3)β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)
本発明におけるβ-1,3-1,6グルカンはβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であれば特に限定することなく使用することができる。β-1,6結合の分岐度は60〜100%であることが好ましく、70〜100%であることがより好ましい。
(i)オーレオバシジウム属微生物が生産するβ-1,3-1,6グルカン
上記の分岐度を有するβ-1,3-1,6グルカンは、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物から得ることができる。
オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)に属する微生物由来のβ-1,3-1,6グルカンは、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のH NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有する。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
上記の分岐度を有するβ-1,3-1,6グルカンは、水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が、好ましくは200cP(mPa・s)以下、より好ましくは100cP(mPa・s)以下、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下のものである。上記粘度の下限値は通常10cP(mPa・s)程度であり得る。
本発明において、粘度は、BM型回転粘度計を用いて測定した値である。
オーレオバシジウム属の微生物が産生するβ-1,3-1,6グルカンは、菌体外に分泌されるため、キノコ類やパン酵母の細胞壁に含まれるβ-グルカンと比べて、回収が容易であり、また水溶性である点で好ましいものである。オーレオバシジウム属の微生物は、分子量が100万以上の高分子量のグルカンから分子量が数万程度の低分子のグルカンまでを培養条件に応じて産生することができる。
中でも、オーレオバシジウム・プルランス(Aureobasidium pullulans)が生産するものが好ましく、オーレオバシジウム・プルランスGM-NH-1A1株、又はGM-NH-1A2株(独立行政法人産業技術研究所特許生物寄託センターにそれぞれFERM P-19285及びFERM P-19286として寄託済み)が産生するものが好ましい。GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、オーレオバシジウム属(Aureobasidium sp.)K-1株の変異株である。オーレオバシジウム属K-1株は、分子量200万以上と100万程度の2種類のβ-1,3-1,6グルカンを産生することが知られている。
また、オーレオバシジウム属微生物が産生するβ-1,3-1,6グルカンは、通常、硫黄含有基を有するところ、K-1株の産生するβ−グルカンはスルホ酢酸基を有することが知られている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983)),科学と工業,64,131-135(1990))。GM-NH-1A1株、及びGM-NH-1A2株が生産するβ-1,3-1,6グルカンもスルホ酢酸基を有すると考えられる。オーレオバシジウム属微生物の中には、リン酸基のようなリン含有基、リンゴ酸基などを含むβ-1,3-1,6グルカンを産生する菌種、菌株も存在する。
GM-NH-1A1株及びGM-NH-1A2株は、後に実施例において示すようにメインピークが見かけ上50〜250万の高分子量のβ-グルカン(微粒子グルカン)とメインピークが見かけ上2〜30万の低分子量のβ-グルカンの両方を産生する菌株である。この微粒子状グルカンは、一次粒子径が0.05〜2μm程度である。
β-1,3-1,6グルカンの溶解度は、pH及び温度に依存する。このβ-1,3-1,6グルカンは、pH3.5、温度25℃の条件で2mg/ml水溶液を調製しようとすると、その50重量%以上が一次粒子径0.05〜2μmの微粒子を形成し、残部は水に溶解する。本発明において粒子径は、レーザー回折散乱法により測定した値である。
β-1,3-1,6グルカンは、水溶液にしたときの粘度が、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6グルカンより低いものが好ましい。この低粘度β-1,3-1,6グルカンは、水溶液の30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が、通常200cP(mPa・s)以下であり、より好ましくは100cP(mPa・s)以下であり、さらに好ましくは50cP(mPa・s)以下であり、よりさらに好ましくは10cP以下である。
この低粘度グルカンは、オーレオバシジウム属微生物が産生する天然型β-1,3-1,6グルカンと同様の一次構造を有し得る。具体的には、1N水酸化ナトリウム重水溶液を溶媒とする溶液のHNMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを有するものである。NMRの測定値は条件の微妙な変化によって変化し、また誤差を伴うことは周知のことであることから、「約4.7ppm」「約4.5ppm」は、通常予測される範囲の測定値の変動幅(例えば±0.2)を含む数値を意味する。
β-1,3-1,6グルカンは、金属イオン濃度が、β-1,3-1,6グルカンの固形分1g当たり0.4g以下であることが好ましく、0.2g以下であることがより好ましく、0.1g以下であることがさらにより好ましい。原料β-1,3-1,6グルカンが水溶液状態のものである場合は、金属イオン濃度は、水溶液の100ml当たり120mg以下であることが好ましく、50mg以下であることがより好ましく、20mg以下であることがさらにより好ましい。
ここでいう金属イオンには、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、第3〜第5族金属イオン、遷移金属イオンなどが含まれるが、混入する可能性のある金属イオンとしては、代表的には、低粘度β-1,3-1,6グルカンの製造において使用されるアルカリ由来のカリウムイオン、ナトリウムイオンなどが挙げられる。金属イオン濃度は、限外ろ過や透析により調整できる。
金属イオン濃度が上記範囲であれば、水溶液状態で保存する場合や、水溶液状態で加熱滅菌する際に、β-1,3-1,6グルカンのゲル化、凝集、沈殿が生じ難い。また、固形で使用する場合は、再溶解させる場合に凝集などが生じ難い。
(ii)オーレオバシジウム属微生物によるβ-1,3-1,6グルカンの生産方法
分岐度50〜100%のβ-1,3-1,6グルカンは、例えば、これを産生する微生物の培養上清に有機溶媒を添加することにより沈殿物として得ることができる。
また、オーレオバシジウム属の微生物を培養して、β-1,3-1,6グルカンを産生させる方法は種々報告されている。培養培地に使用できる炭素源としては、シュークロース、グルコース、フラクトースなどの炭水化物、ペプトンや酵母エキスなどの有機栄養源などを挙げることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウムや硝酸ナトリウム、硝酸カリウムなどの無機窒素源などを挙げることができる。場合によってはβ-グルカンの産生量を上昇させるために適宜、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などの無機塩、更には鉄、銅、マンガンなどの微量金属塩やビタミン類などを添加するのも有効な方法である。
オーレオバシジウム属微生物を、炭素源としてシュークロースを含むツアペック培地にアスコルビン酸を添加した培地で培養した場合、高濃度のβ-1,3-1,6グルカンを産生することが報告されている(Arg.Biol.Chem.,47,1167-1172(1983));科学と工業,64,131-135(1990);特開平7−51082号公報)。しかし、培地は、微生物が生育し、β-1,3-1,6グルカンを生産するものなら特に限定されない。必要に応じて酵母エキスやペプトンなどの有機栄養源を添加してもよい。
オーレオバシジウム属の微生物を上記培地で好気培養するための条件としては、10〜45℃程度、好ましくは20〜35℃程度の温度条件、3〜7程度、好ましくは3.5〜5程度のpH条件などが挙げられる。
効果的に培養pHを制御するためにアルカリ、あるいは酸で培養液のpHを制御することも可能である。更に培養液の消泡のために適宜、消泡剤を添加してもよい。培養時間は通常1〜10日間程度、好ましくは1〜4日間程度であり、これによりβ−グルカンを産生することが可能である。なお、β-グルカンの産生量を測定しながら培養時間を決めてもよい。
上記条件下オーレオバシジウム属の微生物を4〜6日間程度通気攪拌培養すると、培養液にはβ-1,3-1,6グルカンを主成分とするβ-グルカン多糖が0.1%(w/v)〜数%(w/v)含有されており、その培養液の粘度はBM型回転粘度計(東機産業社製)により30℃では数百cP(mPa・s)から数千cP(mPa・s)という非常に高い粘度を有する。この培養を遠心分離して得られる上清に例えば有機溶媒を添加することにより、β-1,3-1,6グルカンを沈殿物として得ることができる。
<低粘度β-1,3-1,6グルカンの製造方法>
上記の高粘度のβ-1,3-1,6グルカンを含む培養液を、常温で攪拌しながら、これにアルカリを添加すると、急激に粘度が低下する。
アルカリは、水溶性で、かつ医薬品や食品添加物として用いることができるものであればよく、特に限定されない。例えば、炭酸カルシウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、炭酸アンモニウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液;水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液;あるいはアンモニア水溶液などを使用できる。アルカリは、培養液のpHが12以上、好ましくは13以上になるように添加してもよい。例えば水酸化ナトリウムを使用して培養液のpHを上げる場合は、水酸化ナトリウムの最終濃度が好ましくは0.5%(w/v)以上、より好ましくは1.25%(w/v)以上になるように添加すればよい。培養液にアルカリを添加し、良く攪拌すると、瞬時に培養液の粘度が低下する。
次いで、アルカリ処理後の培養液から菌体などの不溶性物質を分離する。培養液の粘度が低いため、菌体を自然沈降させて上澄みを回収する方法(デカント法)、遠心分離、ろ紙あるいはろ布を利用した全量ろ過、フィルタープレス、更に膜ろ過(MF膜などの限外ろ過)などの方法で、容易に不溶性物質とグルカンとを分離できる。ろ紙あるいはろ布による全量ろ過の場合は、セライトなどろ過助剤を利用するのも一つの手段である。工業的にはフィルタープレスによる菌体除去が好ましい。また、不溶性物質除去前のβ-グルカン液は必要に応じて水で希釈しても良い。濃度が高すぎると不溶性物質除去が困難であり、低すぎても効率的でない。β-グルカン濃度は、0.1mg/ml〜20mg/ml程度、好ましくは0.5mg/ml〜10mg/ml程度、さらに好ましくは1mg/ml〜5mg/ml程度が良い。
次いで、グルカンを含む溶液に酸を添加して中和する。中和は、不溶物の除去前に行ってもよい。酸は、医薬や食品添加物として使用できるものであればよく、特に限定されない。例えば、塩酸、燐酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸などを使用できる。酸の使用量は、溶液又は培養液の液性が中性(pH5〜8程度)になるような量とすればよい。即ち、中和はpH7に合わせることを必ずしも要さない。
pH12以上のアルカリ処理後、中和して得られるβ-1,3-1,6グルカンは、30℃、pH5.0、濃度0.5(w/v%)における粘度が通常200cP以下、場合によっては、100cP以下、50cP以下、又は10cP以下である。粘度は製造方法ないしは精製方法によって変動する。
アルカリ処理された低粘度のβ-1,3-1,6グルカンは、中和しても粘度が高くなることがない。さらに、常温(15〜35℃)では、液性をpHが4を下回るような酸性にしても、粘度が高くなることがない。
また、培養上清をアルカリ処理、及び中和した後に、菌体などを除去するのに代えて、培養上清から菌体などを除去した後に、アルカリ処理、及び中和を行うこともできる。
得られるグルカン水溶液からグルカンより低分子量の可溶性夾雑物(例えば塩類など)を除去する場合は、例えば限外ろ過を行えばよい。
また、アルカリ処理、除菌した後、中和せずに、アルカリ性条件下で限外ろ過することもでき、これにより透明性、熱安定性、長期保存性に一層優れる精製β-1,3-1,6グルカンが得られる。アルカリ性条件は、pH10以上、好ましくは12以上であり、pHの上限は通常13.5程度である。
このようにして得られる水溶液に含まれるβ-1,3-1,6グルカンは、乾燥させて固形製剤にする場合も、また水溶液のまま製剤として使用する場合も、一旦、水溶液から析出させることができる。β-1,3-1,6グルカンの析出方法は、特に限定されないが、例えば、限外ろ過などにより濃縮してグルカン濃度を1w/w%以上にした水溶液に、エタノールのようなアルコールを、水溶液に対して容積比で等倍以上、好ましくは2倍以上添加することにより、β-1,3-1,6グルカンを析出させることができる。この場合にpHをクエン酸などの有機酸によりpHを酸性、好ましくはpH4未満、さらに好ましくはpH3-3.7に調整して、エタノールを添加すると高純度のβ-1,3-1,6グルカンの粉末を得ることができる。
β-1,3-1,6グルカンを低粘度化することにより、限外ろ過などによる濃縮を容易に行えることから、アルコール沈殿に使用するアルコール量を少なくすることができる。
固形物として得る場合は、低粘度β-1,3-1,6グルカン水溶液を直接乾燥させてもよく、析出させたβ-1,3-1,6グルカンを乾燥させてもよい。乾燥は、噴霧乾燥法、凍結乾燥法など公知の方法で行うことができる。
酸化チタン、β-1,3-1,6グルカンの比率(β-1,3-1,6グルカン:酸化チタン)は重量比で、1:0.3〜10000程度の範囲が好ましく、1:3〜1000程度の範囲がより好ましく、1:30〜500程度の範囲がさらに好ましい。上記範囲であれば、水中で十分な分散性を有する分散液が得られる。
本発明におけるβ-1,3-1,6グルカンの使用量は、使用する酸化チタンの種類又は使用量にもよるが、水分散液とした際の最終濃度として0.001〜10重量%であればよく、0.01〜5重量%が好ましく、0.05〜1重量%がより好ましい。上記範囲であれば、安定した水分散液が得られる。
(1−4)高分子添加剤(d)
本発明に用いる高分子添加剤(d)としては、例えば、シリコン系化合物、ポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエーテル等を例示することができる。具体的には、ポリシロキサン等のシリコン系化合物、ポリエチレングリコール変性ポリシロキサン、ポリエチレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性ポリシロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性ポリメチルアルキルシロキサン等のポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンであるポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性ポリシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン等のポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルを例示することができる。中でも剥離性において、ポリエーテル変性したシリコン系化合物が好ましく、ポリエチレングリコール変性ポリシロキサン、ポリエチレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコール変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリジメチルシロキサン、ポリプロピレングリコール変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性シロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性ポリジメチルシロキサン、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体)変性ポリメチルアルキルシロキサンがより好ましい。
酸化チタン、高分子添加剤の比率(高分子添加剤:酸化チタン)は重量比で、1:0.05〜100程度の範囲が好ましく、1:0.1〜20程度の範囲がより好ましく、1:0.5〜5程度の範囲がさらに好ましい。上記範囲であれば、水中で十分な分散性を有する分散液が得られ、かつ塗膜の剥離性が良好なものが得られる。
本発明における高分子添加剤(d)の使用量は、使用する酸化チタンの種類又は使用量にもよるが、水分散液とした際の最終濃度として0.01〜30重量%であればよく、0.1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。上記範囲であれば、安定した水分散液が得られ、かつ塗膜の剥離性が良好なものが得られる。
(2)酸化チタンの水分散液の製造方法
本発明の酸化チタンの水分散液は、以下の態様によって製造することができる。
酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、及び高分子添加剤(d)とを混合すること(混合工程)によって、酸化チタンの水分散液が得られる。
(2−1)混合工程
本発明の混合工程は、酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、及び高分子添加剤(d)とを混合することができれば、添加の順序、方法等については特に限定されることはない。
即ち、酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、及び高分子添加剤(d)をそれぞれ添加した後に攪拌混合する方法、酸化チタン(a)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、及び高分子添加剤(d)を塩基性化合物(b)、具体的にはアミン類のみ、又はアミン類と他の塩基性化合物を用いてpHを調整したアルカリ性(好ましくはpH11以上、さらに好ましくはpH12以上)の溶液中で攪拌混合する方法、塩基性化合物(b)、具体的にはアミン類のみ、又はアミン類と他の塩基性化合物を用いてpHを調整したアルカリ性の後述のβ-1,3-1,6グルカン溶液を調製し、更に高分子添加剤(d)をした後に、そのアルカリ溶液中に酸化チタン(a)を直接添加した後に攪拌混合する方法、後述する酸化チタン(a)の懸濁液を調製し、β-1,3-1,6グルカンの粉体、塩基性化合物(b)、及び高分子添加剤(d)を添加、又は塩基性化合物(b)等を用いてpHを調整したアルカリ性のβ-1,3-1,6グルカン溶液、及び高分子添加剤(d)を添加して攪拌混合する方法が挙げられる。
(2−2)β-1,3-1,6グルカンの溶液の調製方法
β-1,3-1,6グルカンの溶液の調製方法としては、溶液に粉体、又は水溶液のβ-1,3-1,6グルカンを添加し、攪拌することによって調製することができる。なお、溶液のpH調整は、β-1,3-1,6グルカンを添加する前の水に塩基性化合物(b)を添加して調節してもよく、β-1,3-1,6グルカンを添加しながら、同時に塩基性化合物(b)を添加して調節してもよく、β-1,3-1,6グルカンを添加した後に、塩基性化合物(b)を添加して調整してもよい。
本発明の混合工程において、β-1,3-1,6グルカンの溶液は混合する際の溶液のpH調整のし易さの点で、溶液のpHを、塩基性化合物(b)等を用いてアルカリ性(好ましくはpH11以上、さらに好ましくはpH12以上)に調整したものであることが好ましい。
(2−3)酸化チタンの懸濁液の調製方法
酸化チタンの「懸濁液」とは、酸化チタンを(水)溶液に添加し、攪拌することで一時的に(水)溶液中に分散状態となっているものを意味し、一定時間が経過すると酸化チタンが凝集あるいは沈降し、分散状態を保持することができないものをいう。
酸化チタンの懸濁液は、酸化チタンと(水)溶液とを攪拌混合して得られる。混合した後に、必要に応じて適宜、溶液のpHを調整してもよい。
本発明の混合工程における攪拌方法は、酸化チタンと塩基性化合物とβ-1,3-1,6グルカンを溶液中で均一に分散できる方法であれば、特に限定されない。具体的には、メカニカルスターラー、ディスパー、マグネティックスターラー、超音波分散機、遊星ミル、ビーズミル、三本ロールなどを例示することができる。なかでも、分散性の点で、ディスパー、ビーズミル、超音波分散機が好ましい。
混合工程における温度は10〜40℃であればよく、攪拌時間は0.1〜2時間であればよい。上記範囲であれば、溶液中で各成分を均一に混合することができる。
(2−4)中和工程
上記方法にて製造した水分散液はそのまま使用することができるが、酸化チタンの水分散液の製造方法として、更に中和工程を含めることができる。
本発明における中和工程は、上述した混合工程で得られるアルカリ性の溶液に中和剤(e)を添加して中和する工程である。なお、中和の際の攪拌は、上述した攪拌方法によって行うことができる。
中和工程に用いる中和剤(e)としては、一般に市販されているものを用いることができ、例えば、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、不飽和脂肪族カルボン酸、飽和脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸、アルドン酸、ウロン酸などをの有機酸を例示することができる。
飽和脂肪族カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などのモノカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、酒石酸などのジカルボン酸、クエン酸、イソクエン酸などのトリカルボン酸を例示することができる。
不飽和脂肪族カルボン酸としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸など例示することができる。
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などを例示することができる。アルドン酸としては、グルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸、リボン酸、キシロン酸、マルトビオン酸、マルトトリオン酸、マルトテトラオン酸、マルトペンタオン酸、ラクトビオン酸などを例示することができる。ウロン酸としては、グルクチュロン酸、ガラクチュロン酸、マンヌロン酸などを例示することができる。
中和に使用する中和剤(e)の添加量は、目的とするpHに応じて適宜選択すればよい。また、中和の際に発熱するため、必要に応じて冷却しながら中和をおこなってもよい。また、中和に用いる中和剤の添加方法としては、必要量を一括で添加してもよく、少量ずつ分けて添加して行うことができる。また、上述した中和剤を2種以上組合せて用いることもできる。
以上の操作により、酸化チタンが分散した溶液(水分散液)が得られる。本発明において、酸化チタンが「分散した溶液(水分散液)」とは、一定時間が経過しても溶液中に酸化チタンが均一に分散した状態で保たれたものを意味する。
この分散液を、塗料材料として、スプレーやエアブラシ等で塗布する場合には、分散液をそのまま用いてもよいが、分散液をエタノール等の揮発性を有する水溶性アルコールを加え希釈して用いることでも良い。
(3)その他
本発明の水分散液は、安全性が高く、光学式デジタイザー用の反射防止用塗料、磁気記録材料、導電膜形成材料、半導体膜形成材料などの各種用途に応用可能なものである。
以下、本発明の実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実験例(精製β-1,3-1,6グルカンの製造)
(1)低粘度β-1,3-1,6グルカンの調製
(1-1)β−グルカンの培養産生
後掲の表1に示す組成を有する液体培地100mlを500ml容量の肩付きフラスコに入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌を行った後、オーレオバシジウム プルランス(Aureobasidium pullulans)GM-NH-1A1株(FERM P-19285)を同培地組成のスラントより無菌的に1白金耳植菌し、130rpmの速度で通気攪拌しつつ、30℃で24時間培養することにより種培養液を調製した。
次いで、同じ組成の培地200Lを300L容量の培養装置(丸菱バイオエンジ製)に入れ、121℃で、15分間、加圧蒸気滅菌し、上記のようにして得られた種培養液2Lを無菌的に植菌し、200rpm、27℃、40L/minの通気攪拌培養を行った。なお、培地のpHは水酸化ナトリウム及び塩酸を用いてpH4.2〜4.5の範囲内に制御した。96時間後の菌体濁度はOD660nmで23ODで、多糖濃度は0.5%(w/v)で、硫黄含量から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
<多糖濃度測定>
多糖濃度は、培養液を数mlサンプリングし、菌体を遠心分離除去した後、その上清に最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを加えて多糖を沈殿させて回収した後、イオン交換水に溶解し、フェノール硫酸法で定量した。
<置換スルホ含量測定>
同様にして菌体を除去した培養上清にエタノールを最終濃度が66%となるように添加し、β-グルカンを沈殿回収した。その後、再度イオン交換水に溶解し、再度遠心分離後、その上清に最終濃度が0.9%になるように食塩を加えた後、再度66%エタノールでβ-グルカンを回収した。このβ−グルカン回収精製操作を更に2回繰り返し、得られたβ-グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ-グルカン粉末を得た。
このβ-グルカン粉末を燃焼管式燃焼吸収後、イオンクロマト法で組成分析した結果、S含量は239mg/kgであり、この値から計算される置換スルホ酢酸含量は0.09%であった。
Figure 0006075692
(1−2)アルカリ処理
上記のようにして得られた培養液の粘度をBM型回転粘度計(東京計器製)を用いて、30℃、12rpmで測定したところ、1500cP(mPa・s)であった。測定に用いるロータは粘度にあわせて適当なものを選択した。
この培養液に水酸化ナトリウム最終濃度が2.4%(w/v)となるように25%(w/w)水酸化ナトリウムを添加し攪拌したところ(pH13.6)、瞬時に粘度が低下した。引き続いて50%(w/v)クエン酸水溶液でpH5.0となるように中和してから、濃度0.5(w/v%)における粘度を測定したところ、そのときの粘度(30℃)は20cP(mPa・s)であった。
次いで、この培養液にろ過助剤としてKCフロック(日本製紙社製)を1wt%添加し、薮田式ろ過圧搾機(薮田機械製)を用いて菌体を除去し、最終的に培養ろ液(約230L)を得た。その多糖濃度は0.5%(w/v)で、ほぼ100%の回収率であった。
(1−3)β-グルカン水溶液の脱塩
上記のβ-グルカン水溶液(培養ろ液)を0.3%に希釈後、限外ろ過(UF)膜(分子量カット5万、日東電工社製)を用いて脱塩を行い、最終的にナトリウムイオン濃度を20mg/100mlに落とした後、50%(w/v)クエン酸水溶液によりpHを3.5に調整した。
引き続いて、ホット充填用加熱ユニット(日阪製作所製)を用いて95℃で、3分間保持することにより殺菌処理を行い、最終製品のβ-グルカン水溶液を得た。この時のβ-グルカンの濃度をフェノール硫酸法により測定したところ0.22%(w/v)であった。また、培養液からのトータル収率は約73%であった。
<硫黄含有量の測定>
また、得られたβ-グルカン水溶液をイオン交換水で透析後、凍結乾燥によりβ-グルカン粉末を得た。本β-グルカンの組成分析結果からS含量は330mg/kgであり、これから計算される置換スルホ酢酸含量は0.12%であった。
<結合状態の確認>
また、脱塩を行った上記培養ろ液について、コンゴーレッド法によって、480nmから525nm付近への波長シフトを確認することができたのでβ−1,3結合を含むグルカンを含有していることが証明された(K. Ogawa, Carbohydrate Research, 67, 527-535 (1978)、今中忠行 監修, 微生物利用の大展開, 1012-1015, エヌ・ティー・エス(2002))。そのときの極大値へのシフト差分はΔ0.48/500μg多糖であった。
上記培養ろ液15mlを取り出し、30mlのエタノールを添加し、4℃、1000rpm、10minで遠心して、沈殿する多糖を回収した。66%エタノールで洗浄し、4℃、1000rpm、10分間遠心して、沈殿する多糖に2mlのイオン交換水と、1mlの1N水酸化ナトリウム水溶液を添加撹拌後、60℃、1時間保温して沈殿を溶解させた。次に-80℃にて凍結後、一晩、真空凍結乾燥を行い、乾燥後の粉末を1mlの1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、2次元NMRに供した。
2次元NMR(13C−H COSY NMR)106ppmと相関関係を有するH NMRスペクトルを図1に示す。このスペクトルにおいて4.7ppmと4.5ppm付近との2つのシグナルが得られた。
この結果、本β−グルカンがβ-1,3-1,6グルカンであることが証明された(今中忠行 監修、微生物利用の大展開、1012-1015、エヌ・ティー・エス(2002))。それぞれのH NMRシグナルの積分比から、β-1,3結合/β-1,6結合の比は1.15であることが判明した。従って、主鎖のβ-1,3結合に対する側鎖のβ-1,6結合の分岐度は、約87%である。
<粒度測定>
次に、レ−ザ回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA製LA−920)を用いて培養液の粒度を測定したところ、粒子としては0.3μmと100μm程度の大きさのところにピ−クが見られた。続いて、超音波を照射しながら、粒度測定を行うと、100μmのピ−クはみるみるうちに消失し、0.3μmのピ−クが増え、最終的に0.3μmのみとなった。超音波照射したときの培養液の粒度分布を図2に示す。
0.3μmのピークはβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子によるピークであり、100〜200μmのピークはβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子が凝集した二次粒子によるピークであると考えられる。
また、二次粒子はマグネチックスターラ−による攪拌、軽い振とうでも同じように消失し、容易に砕けて一次粒子になることが確認された。よって、二次粒子は非常に緩い凝集(緩凝集状態)と考えられる。
<分子量測定>
また、東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))を用いて、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルろ過クロマトグラフィーを行い、溶解β-1,3-1,6グルカンとβ-1,3-1,6グルカンの1次粒子とを含む溶液の分子量を測定したところ、溶解β-1,3-1,6グルカンに由来する2〜30万のピークの低分子画分と、1次粒子に由来する見かけ上50〜250万の高分子画分との二種類が検出された。分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
水溶性β-1,3-1,6グルカンと微粒子とを分離するため、上記の微粒子画分と可溶性画分とを含むβ-1,3-1,6グルカン溶液をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。このことから、高分子画分はβ-1,3-1,6グルカンの一次粒子や一次粒子が凝集した二次粒子に相当することが判明した。よって、水溶性β-1,3-1,6グルカンの分子量は2〜30万と考えられる。
(2)粉末化β-グルカンの調製
(1−2)において、アルカリ処理及び菌体除去処理により調製された微粒子β-1,3-1,6グルカンを含むβ-1,3-1,6グルカン水溶液に、最終濃度が66%(v/v)となるようにエタノールを添加して、多糖グルカンを沈殿させ、遠心分離法により回収した。次いで凍結乾燥法によりエタノールと水分を除去し、乾燥β-1,3-1,6グルカンを得た。そのときの収率はエタノール沈殿前の全糖濃度と比較して95%以上であった。
次いで、得られた乾燥β-1,3-1,6グルカンを最終濃度が0.3%(w/v)となるように水に溶解分散後、前述したと同様にして東ソー社製のトーヨーパールHW65(カラムサイズ 75cm×φ1cm、排除分子量250万(デキストラン))により0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液を溶離液としてゲルクロマトグラフィーを行い、分子量を測定したところ、得られた多糖の分子量は2〜30万のピークの低分子画分と見かけ上50〜250万の高分子画分の二種類からなることが判明した。ここで、分子量のマーカーとしてShodex社製のプルランを用いた。
一方、水溶性β-1,3-1,6グルカンと微粒子を分離するため、本法で調製したβ-1,3-1,6グルカン水溶液(微粒子と可溶化グルカンを含むもの)をアドバンテック社製のフィルター(0.2μm)でろ過を行ったところ、50〜250万の高分子画分が消失した。よって、本法により得られたβ-1,3-1,6グルカンを乾燥させても、再溶解させれば乾燥前のβ-1,3-1,6グルカンと同様の物理的挙動を再現することが実証された。
(3)高純度β-1,3-1,6グルカン粉末の製造
(1)においてアルカリ処理を行い低粘度化した培養液(多糖濃度0.5%(5mg/ml))90Lを50%クエン酸水溶液9kgで中和後、ろ過助剤(日本製紙ケミカル製粉末セルロ−スKCフロック)を1.8kgプレコートした薮田式濾過圧搾機40D-4を通して、菌体を取り除いた。ろ液を限外ろ過スパイラルエレメント(日東電工製NTU3150−S4)で9Lまで濃縮した。本濃縮液を攪拌しながら、pHを3.0-3.5にクエン酸により調整して、エタノール18Lを加え、グルカン/エタノール/水スラリーを得た。スラリーの粘度はBM型粘度計で22mPa・s(30℃)であった。室温で3時間静置し、上澄み液(エタノール/水)約17Lを取り除いた。残ったスラリーの粘度は45mPa・s(30℃)であった。本濃縮スラリー10Lを坂本技研型の噴霧乾燥装置R-3を用いて噴霧乾燥し、360gのβ-1,3-1,6グルカン粉末を得た(回収率80%)。得られたβ-1,3-1,6グルカンの純度はNMRスペクトルの解析の結果、90%以上であった。
なお、得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末を1N水酸化ナトリウム重水溶液に溶解させ、NMRスペクトルを測定したところ、H NMRスペクトルが約4.7ppm及び約4.5ppmの2つのシグナルを得た。また、得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末の濃度0.5(w/v%)の水溶液の粘度は200cP以下であった(pH5.0、30℃)。上記記載の方法によって得られた精製β-グルカンを下記の試験に供した。
(4)水分散液の製造方法
以下に実施例及び比較例に用いた酸化チタンおよび高分子添加剤を示す。
酸化チタン:STR−100W(分散液中におけるd50 180nm)(堺化学工業株式会社製)
高分子添加剤1:BYK−333(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物、ビッグケミージャパン株式会社製)
高分子添加剤2:BYK−348(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとポリエーテルの混合物、ビッグケミージャパン株式会社製)
(実施例1)
水分散液1(酸化チタンの水分散液)の製造
(β-グルカン溶液の調製)
以下の方法を用いてβグルカン溶液を調製した。
225mlのガラス瓶に2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを3g用いて、pH11.0に調整したイオン交換水97gに上述した方法によって得られたβ-1,3-1,6グルカン粉末3.0gを添加し、ホモディスパー(プライミクス社製)を用いて、回転数1000rpmで3時間、温度85℃で攪拌処理を行い、3%β-グルカン溶液100gを得た。
(酸化チタンの水分散液の調整)
以下の方法を用いて酸化チタンの水分散液1を調製した。
イオン交換水68gに上記方法により調整した3%β-グルカン溶液 4gと高分子添加剤(BYK−333とBYK−348の50:50混合物)12g、酸化チタン36gを添加し、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショーナー(レッドデビル社)用いて2時間分散を行い、水分散液1 120g(pH7.8)を得た。得られた分散液1(中和前)の分散性を測定した。結果を表2に示す。
中和工程
上記で得られた酸化チタン水分散液1 60gをホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて、回転数800rpmで撹拌しながら、中和剤として25%クエン酸溶液を使用して、中和を実施し、酸化チタンとβ-グルカンとアミンと高分子添加剤を含む水分散液1 約60g(酸化チタン濃度30%、グルカン濃度0.1%、アミン類濃度0.1%、高分子添加剤濃度10%、pH6.7)を得た。得られた分散液2(中和後)の分散性を測定した。結果を表2に示す。
(実施例2)
(酸化チタンの水分散液の調製)
以下の方法を用いて酸化チタンの水分散液3を調製した。
イオン交換水92gに上記方法により調整した3%β-グルカン溶液 4gと高分子添加剤(BYK−333とBYK−348の80:20混合物)6g、酸化チタン18gを添加し、ジルコニアビーズをメディアとしてペイントコンディショーナー(レッドデビル社)用いて2時間分散を行い、水分散液3 120g((酸化チタン濃度15%、グルカン濃度0.1%、アミン類濃度0.1%、高分子添加剤濃度5%、pH7.3)を得た。得られた分散液3(中和前)の分散性を測定した。結果を表2に示す。
(比較例1)
β-グルカン溶液を使用しない以外は、実施例1に記載の方法により、酸化チタンの水分散液の作成を行い懸濁液1(酸化チタン濃度30%、高分子添加剤濃度10%、pH7.8)(中和前)、懸濁液2(pH6.9)(中和後)を得た。結果を表2に示す。
(比較例2)
高分子添加剤を使用しない以外は、実施例1に記載の方法により、酸化チタンの水分散液の作成を行い分散液4(酸化チタン濃度30%、グルカン濃度0.1%、アミン類濃度0.1%、pH7.4)(中和前)を得た。中和工程は省略した。結果を表2に示す。
評価方法
(分散液の分散性の評価)
分散性は、得られた水分散液を12時間(室温)静置し、粒子の沈降状態を観察し、以下のように評価した。
○・・・沈降なし。
×・・・沈降が確認され、底部に粘土質の沈殿が発生する。
Figure 0006075692
(実施例3)
分散液1(酸化チタン濃度30%)の安全性を評価した後、分散液1をエアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(実施例4)
分散液3(酸化チタン濃度15%)の安全性を評価した後、分散液3をエアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(実施例5)
分散液1 30gにエタノール 30gを加えホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて、回転数800rpmで撹拌して得た分散液(酸化チタン濃度15%)を安全性及び分散性を評価した後、エアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(実施例6)
分散液3 30gにエタノール 30gを加えホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて、回転数800rpmで撹拌して得た分散液(酸化チタン濃度7.5%)を安全性及び分散性を評価した後、エアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(比較例3)
懸濁液2 30gにイオン交換水 30gを加えホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて、回転数800rpmで撹拌して得た懸濁液(酸化チタン濃度15%)を安全性及び分散性を評価した後、エアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(比較例4)
分散液4 30gにエタノール 30gを加えホモディスパー(プライミクス(株)製)を用いて、回転数800rpmで撹拌して得た分散液(酸化チタン濃度15%)を安全性及び分散性を評価した後、エアブラシで金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像のハレーションについて評価した。結果を表3に示す。
(比較例5)
市販の白色スプレー(成分:シリカ、炭酸カルシウム、エタノール、LPガス)(製品名:ミクロチェック現像液:(株)タイホーコウザイ社製)を用いて、金属製の自動車の模型(全長5cm、高さ2cm)に塗布し、塗膜性(表面状態、厚さ)、剥離性、画像について評価した。結果を表3に示す。
評価方法
(分散液・懸濁液の評価)
安全性
○・・・人体に対する有害性、発火などの危険性が低い。
×・・・有害危険性が高い。
分散性
○・・・均一で安定な分散性を示し、沈殿がない。
△・・・やや不均一で分散性がやや不良で沈殿が生じやすい。
×・・・不均一で分散性が不良ですぐに沈殿が生じる。
(塗布後の評価)
塗膜性(表面状態、厚さ)
塗膜性は、測定対象物に分散液等を塗布後温風乾燥し外観評価と厚みを測定した。
○・・・塗膜は均一でムラがない。
△・・・塗膜はやや不均一でムラがある。
×・・・塗膜は不均一でムラがある。
剥離性
剥離性は、分散液等を塗布した測定対象物を、浸水して超音波で2分洗浄し、乾燥した後、外観を目視で観察し塗膜の残存の様子を評価した。
○・・・塗膜は容易に洗浄でき、残存しない。
△・・・塗膜はほとんど洗浄で除けるがわずかに残存する。
×・・・塗膜は洗浄後も多く残存しムラがある。
画像の評価
測定対象物に接触することなく、表面状態と形状を3次元データ化できる非接触光学式三次元デジタイザ「ATOS(エイトス)」(GOM mbH社製)を使用して画像を取り込み評価した。
○・・・測定対象物からのハレーション等はなく、正確に計測できる。
△・・・測定対象物の場所によってわずかにハレーション等がある。
×・・・測定対象物の正確な計測に支障がある。

Figure 0006075692
表2、3に示すように、塩基性化合物、βグルカン、及び高分子添加剤を含む酸化チタン分散液は、安全性が高く、良好な分散性を示し、塗膜性についてはその膜厚の凹凸差は小さく、均一な薄膜に塗膜され、その塗膜の剥離性、画像評価は良好であった。
本発明の酸化チタンとアミン類、β-1,3-1,6グルカン、高分子添加剤を含む水分散液は、水中での分散性に優れ、均一な薄層塗布がしやすく、剥離しやすい塗膜を形成する塗料あるいはその素材となるため光学式デジタイザーで測定物に塗布する塗料またはその他用途の塗料、工業材料として実用可能なものである。


Claims (13)

  1. 酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)と高分子添加剤(d)を含む水分散液。
  2. 高分子添加剤(d)が、シリコン系化合物、ポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水分散液。
  3. 高分子添加剤(d)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の水分散液。
  4. 酸化チタン(a)の平均粒子径d50が1μm以下である請求項1〜3いずれかに記載の水分散液。
  5. 酸化チタン(a)の平均粒子径d50が500nm以下である請求項1〜4いずれかに記載の水分散液。
  6. 塩基性化合物(b)が、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、及びアルキレンアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5いずれかに記載の水分散液。
  7. 塩基性化合物(b)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパール、ジプロパノールアミン、及びトリプロパノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜6いずれかに記載の水分散液。
  8. 酸化チタン(a)と、塩基性化合物(b)とβ-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、高分子添加剤(d)とを混合する工程を含む、酸化チタンの水分散液の製造方法。
  9. 酸化チタン(a)と、β-1,3結合に対するβ-1,6結合の分岐度が50〜100%であるβ-1,3-1,6グルカン(c)、高分子添加剤(d)とを塩基性化合物(b)を用いてアルカリ性に調整した溶液中で混合する工程と、混合した溶液に中和剤(e)を添加して中和する工程とを含む、酸化チタンの水分散液の製造方法。
  10. 高分子添加剤(d)が、シリコン系化合物、ポリエーテル変性したシリコン系化合物、ポリエステル変性したシリコン系化合物、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8又は9に記載の水分散液の製造方法。
  11. 高分子添加剤(d)が、ポリエーテル変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8〜10いずれかに記載に記載の水分散液の製造方法。
  12. 塩基性化合物(b)が、アルキルアミン類、アルカノールアミン類、及びアルキレンアミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8〜11いずれかに記載の水分散液の製造方法。
  13. 塩基性化合物(b)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパール、ジプロパノールアミン、及びトリプロパノールアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項8〜12に記載の方法。
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