JP6075094B2 - リブ構造を有する成形品の製造方法 - Google Patents

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本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料を用いプレス成形でリブ構造を有する成形品を製造する方法に関する。
繊維強化複合材料(FRP)、とりわけ強化繊維として炭素繊維を用いた炭素繊維強化複合材料(CFRP)は超軽量で比強度、比剛性に優れ、宇宙・航空機の構造部材をはじめ、スポーツ用品、自動車の部材、二輪車の部材、電気・電子機器の部品といった産業用途に広く活用されている。
近年、地球規模での温室効果ガスの削減が大きな課題となっており、自動車産業をはじめとして環境面に配慮した素材の要望が高まっている。FRPからなる構造体は車体の軽量化に有効であり、とりわけCFRPを金属部材に置き換えることで大幅な車体軽量化を達成でき、燃費の向上によるCOの削減に加え、電気自動車など環境負荷の小さな次世代パワートレインの実現に向けて注目を集めている。
そこで、FRPをさらに普及させるため、生産性と経済性を高める製造方法について、活発な技術開発がなされている。ここで、プレス成形は、比較的複雑な形状をした成形品の大量多品種生産に適しているため好ましく用いられるが、従来より高品質で高精度の複雑形状の成形品を得ることは難しいことが課題であった。
例えば、シートモールディングコンパウンド(SMC)、ガラスマットサーモプラスチック(GMT)などの成形材料をプレス成形で短時間で製造されてなるFRPが公知であるが、これらは成形の際に金型のキャビティ内を樹脂と繊維が大きく流動しながら成型されるため、流動に沿って特性が大きく変動する問題や、部位によって特性が大きく低下する問題や、成形品に反りや捻れといった問題が発生する。
一方、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる成形材料のプレス成形方法において、均質な成形材料を用いて、これら成形材料を金型のキャビティよりも大きな面積で配置することで、大きな流動を伴うことなくプレス成形する技術が提案されている(特許文献1)。
この技術によれば、前記のような大きな流動による問題は発生せず、かつ得られる成形品は高い強度と均質な特性が得られるが、狭い流路かつ高さのあるリブ形状を有する成形品を製造する場合、リブ部に繊維が十分に充填できる技術の開発が望まれていた。
また、厚み方向に強化繊維の長さを変えた基材を用いて、スタンピング成形することで、流動性と高い強度を両立する技術が提案されている(特許文献2)。しかしながら、基材を一体で製造しているため流動性の制御が困難であり、形状が複雑になると成形材料全体の流動を伴い、成形品に反りや捻れといった問題が生じることとなる。何よりも、流動させたい形状と、流動させたくない形状といった、場所により基材を選択的に配置できないため、結局は従来のプレス成形の課題を解決するには至っていない。
さらに、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる均質な成形材料を用いて、これらのサイズの異なる基材を使い分けてプリフォーム化することで、リブ形状をプレス成形する技術が提案されている(特許文献3)。この方法によれば、リブ部に基材を選択的に配置することでより充填しやすくなるが、より細かく、高いリブを精度よく成形するには、さらなる技術開発が要求される。
特開2010−235779号公報 特開平8−052735号公報 特開2009―196146号公報
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解消し、シート状の成形材料を用いたプレス成形において、表面外観、寸法精度、信頼性に優れた面板部の形成と、リブ構造の形成を両立した繊維強化複合材料の成形品を得ることである。
上記の課題を解決するため、本発明は以下の構成からなる。すなわち、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含み、次の一般式(1)で表される濃度パラメーターpが1×10以上であって1×10以下であるシート状の成形材料(A)と、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含み、次の一般式(1)で表される濃度パラメーターpが1×10以上であって前記成形材料(A)の濃度パラメーターの0.1倍以下であるシート状の成形材料(B)を含むプリフォームを、リブ構造を形成するための開口部を有する開口金型とそれに対向する対向金型とを用いてプレス成形してリブ構造を有する成形品を製造するにあたり、前記成形材料(A)の面積を成形品の投影面積の70%以上とし、主にリブ部を形成する前記成形材料(B)を前記開口部の開口位置に配置する、リブ構造を有する成形品の製造方法である。
n:成形材料の単位面積(1mm)当たりに含まれる強化繊維からなる流動単位の数
h:成形材料の厚み(mm)
Ln:強化繊維の数平均繊維長(mm)
本発明によれば、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含むシート状の成形材料を積層し、プレス成形するにあたり、構成の異なる2種類以上の成形材料を用いることで、表面外観、寸法精度、信頼性に優れた面板部の形成と、リブ構造の形成を両立した、リブ構造を有する成形品を得ることができる。
実施例および比較例に用いた一文字リブ成形用金型の透視斜視図 単糸分散した強化繊維の模式図 繊維束で分散した強化繊維の模式図 繊維束とみなす判断基準の説明図 流動単位を構成する単繊維の本数における測定方法の説明図 成形品の投影面の説明図 開口部の投影面を説明するための開口金型の概略図 開口部のリブ厚みおよびリブ構造の高さを説明するための開口金型の概略図 成形材料における強化繊維の分散状態を表した模式図 実施例および比較例に用いた一文字リブ成形用金型の開口金型の簡略図 実施例および比較例に用いた一文字リブ、十字リブ成形用金型の対向金型の簡略図 実施例および比較例に用いた十字リブ成形用金型の透視斜視図 実施例および比較例に用いた十字リブ成形用金型の開口金型の簡略図
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。
本発明では、プリフォームを、対向する一対の金型を用いてプレス成形して、リブ構造を有する成形品を製造する。一対の金型における一方の金型は、リブ構造を形成するための開口部を有しており、開口金型と称する。また、一対の金型におけるもう一方の金型は、開口金型に対向しており、対向金型と称する。かかる一対の金型の例を図1に示す。図1に示す一対の金型は、プレス装置(図示せず)に取り付けられており、凹部と凸部の雌雄一対の成形型である。さらに、図1に示すように、凹部の成形型1には、開口部3があり、これは成形品のリブ部に対応する部分であり、さらに開口部の空洞部分の体積を開口部のキャビティ体積とする。
一般に金型は大きく2種類に分類され、1つは鋳造や射出成形などに使用される密閉金型であり、もう1つはプレス成形や鍛造などに使用される開放金型である。密閉金型は主に内部に材料を流し込んで成形する金型であり、開放金型は主に材料を流さずに変形させて成形する金型である。成形時に基材に過度な流動を起こすことなく、成形時に成形材料またはプリフォームの繊維配向を乱したり、成形時の流動によって繊維配向に異方性を生じさせたりすることを極力抑えて、成形材料またはプリフォームの繊維配向を活かした成形品を得るために、開放金型を用いることが好ましい。また、成形時の分解ガスや混入空気を型外に排除する観点からも開放金型が好ましい。
さらに、金型には打ち抜き機構、パンチング機構、タッピング機構から選択される少なくとも一種を有する金型が好ましい。プレス成形で得られた成形品は、成形材料またはプリフォームのチャージ率を、金型のキャビティ総投影面積に対し100%より大きくしてプレス成形する場合もあり、成形品として必要な部分と不必要な部分(端部)を有することがある。従って、成形後に成形品の形状を仕上げるために、この端部を除去する工程が必要となる場合がある。また、成形品は、その使用目的などによっては発生ガスや熱交換のための通気口や排気口、成形品の掴み部分、加工用のネジ孔やボルト接合用の孔、意匠性の付与を目的とした孔や打ち抜き模様などで利用する孔部を有する成形品に加工することが想定される。前記した3つの機構から選択される少なくとも一種を有することで、プレス成形後に端部を除去する工程や必要な孔部を形成する工程をプレス成形と同時に実施することができ、工程の簡略化を図ることができるために好ましい。
プレス成形の種類は、得られる成形品に応じ選択が可能である。ここで、プレス成形とは、加工機械および型、工具等を用いて、前記積層プリフォームに曲げ、剪断、圧縮等の変形を与えて成形体を得る方法であるが、その成形形態として絞り、深絞り、フランジ、コールゲート、エッジカーリング、型打ちなどが例示される。また、プレス成形の方法としては、各種存在するプレス成形の方法のなかでも、成形圧力、温度の自由度の観点から、金属製の型を用いて成形をおこなう金型プレス法を用いる。
金型プレス法には、成形材料あるいはプリフォームを型内に予め配置しておき、型締とともに加圧、加熱をおこない、次いで型締をおこなったまま、金型の冷却により該積層プリフォームの冷却をおこない成形品を得るホットプレス法や、基材の樹脂が熱可塑性樹脂である場合には、予め成形材料あるいはプリフォームを、熱可塑性樹脂の溶融温度以上に、遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などに例示される加熱装置で加熱し、熱可塑性樹脂を溶融、軟化させた状態で、前記成形型の下面となる型の上に配置し、次いで型を閉じて型締を行い、その後加圧冷却する方法であるスタンピングプレス成形を採用することができる。プレス成形方法については、特に制限はないが、成形サイクルを早めて生産性を高める観点からは、スタンピングプレス成形であることが好ましい。
成形品には、剛性を高め、またソリを低減する観点からリブが形成されていることが重要である。本発明では、シート状の成形材料をプレス成形することにより、材料を面外にある開口金型の開口部に流動させ充填させてリブ構造を形成する。プレス成形により材料を開口金型の開口部へ流動させる方法により、一度の成形でリブ構造を形成できる。また、リブの形状は特に限定されないが、一文字リブ、十字リブ、格子リブなどが好ましく挙げられる。さらに、成形品の剛性を高める観点から、成形品中に複数のリブが形成されていることが好ましい。
本発明において、プリフォームは不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含むシート状の成形材料を含んでいる。プリフォームとは、少なくとも強化繊維に樹脂が含浸した成形材料を含み、成形材料を積層、あるいは横並びに配置して構成され、直接もしくは二次加工工程を経て、成形工程に供されるものであり、成形品に加工される前の状態のものを意味し、本発明におけるプリフォームは成形材料として後述する成形材料(A)と成形材料(B)を含んでいる。ここで、積層とは少なくとも成形材料どうしの一部が重なる状態をいい、また横並びとは実質的に成形材料どうしの一部も重ならない、隣り合った配置のことをいう。さらに、本発明では、2つ以上のプリフォームを組み合わせてプレス成形に供しても良い。また、金型の型締め時におけるプリフォーム形態のことを最終形態のプリフォームと呼ぶこととする。なお、二次加工工程には特に制限はないが、成形材料を所定のサイズや形状にカットする切削工程、成形材料同士を接着してプリフォームの取扱性を向上させるボンディング工程、プリフォームからエアを抜く脱泡工程などが例示できる。次に、本発明に用いられる、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含むシート状の成形材料について説明する。本発明で用いる成形材料の形態はシート状であり、成形材料の構成は不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂とからなり、不連続な強化繊維で補強された熱可塑性樹脂であれば、特に制限はされない。強化繊維の形態としては、成形材料あるいはプリフォームの賦形性を考慮して不連続な強化繊維であることが重要である。ここで、本発明でいう不連続な強化繊維とは、強化繊維からなる中間体あるいは成形材料を製造する過程で強化繊維が実質的に切断される工程を含んで得られる強化繊維を指す。不連続な強化繊維の形態としては、例えば不連続な強化繊維が束状および/または単繊維に分散された状態で強化繊維を一方向にひきそろえた形態や、不連続な強化繊維が束状および/または単繊維に分散された状態で強化繊維がランダムに配向した形態などが挙げられる。積層の方向を厳密に考慮しなくても良いという観点からは、成形材料に含まれる強化繊維の配置が、不連続な強化繊維の束状および/または単繊維に分散された状態で、該強化繊維がランダムに配向した形態であることが好ましい。
本発明で用いる成形材料としては、例えば不連続な複数本のストランド状強化繊維に針を突き刺し、互いに繊維を絡まり合わせたマット状ストランド強化繊維に熱可塑性樹脂を積層し、これを加熱、加圧して得られる成形材料、不連続な強化繊維束をランダムに配置したものと、粉末形状、繊維形状、フィルム形状、不織布形状の熱可塑性樹脂とを加熱、加圧して得られる成形材料、強化繊維と溶融させた熱可塑性樹脂とを混練したものを加圧して得られる成形材料、強化繊維のみ、あるいは粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を空中で分散させたものを加熱、加圧して得られる成形材料、強化繊維と粉末形状、繊維形状の熱可塑性樹脂を水中に分散、混合した懸濁液から抄造して得られる不織材料を加熱、加圧して得られる成形材料、強化繊維のみを水中に分散した懸濁液から抄造して得られる不織材料に粉末形状、繊維形状、フィルム形状、不織布形状の熱可塑性樹脂を加熱、加圧して、抄造して得られた該強化繊維の不織布材料に該熱可塑性樹脂を接着してなる成形材料などの成形材料が挙げられる。これらの中でも、成形材料中に長い繊維を残すことで高剛性、かつ等方性にも優れる観点から、強化繊維の不織布材料に熱可塑性樹脂が接着してなる成形材料が好ましく用いられる。また、短い強化繊維を成形材料中に分散させる方法として、経済性の観点から、強化繊維と溶融させた熱可塑性樹脂とを混練したものを加圧して得られる成形材料が好ましく用いられる。
本発明で用いる強化繊維としては特に制限はなく、例えば、アルミニウム、黄銅、ステンレスなどの金属繊維や、ポリアクリロニトリル(以下、PAN)系、レーヨン系、リグニン系、ピッチ系などの炭素繊維や、黒鉛繊維や、ガラスなどの絶縁性繊維や、アラミド、PBO、ポリフェニレンスルフィド、ポリエステル、アクリル、ナイロン、ポリエチレンなどの有機繊維や、シリコンカーバイト、シリコンナイトライドなどの無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維に表面処理が施されているものであってもよい。表面処理としては、導電体として金属の被着処理のほかに、カップリング剤による処理、サイジング剤による処理、添加剤の付着処理などがある。また、これらの強化繊維は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。中でも、比強度、比剛性が高く軽量化効果の観点から、PAN系、ピッチ系、レーヨン系などの炭素繊維が好ましく用いられる。また、得られる成形品の経済性を高める観点から、ガラス繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と経済性のバランスから炭素繊維とガラス繊維を併用することが好ましい。さらに、得られる成形品の衝撃吸収性や賦形性を高める観点から、アラミド繊維が好ましく用いることができ、とりわけ力学特性と衝撃吸収性のバランスから炭素繊維とアラミド繊維を併用することが好ましい。また、得られる成形品の導電性を高める観点から、ニッケルや銅やイッテルビウムなどの金属を被覆した強化繊維を用いることもできる。これらの中で、強度と弾性率などの力学的特性と価格とのバランスに優れるPAN系の炭素繊維は、より好ましく用いられる。
次に、本発明の成形材料に用いられる熱可塑性樹脂について説明する。樹脂の種類としては特に制限はなく、以下に例示される熱可塑性樹脂のいずれの樹脂も用いることができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、液晶ポリエステル等のポリエステルや、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィンや、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルニトリル、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素系樹脂、液晶ポリマーなどの結晶性樹脂、スチレン系樹脂の他や、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリフェニレンエーテル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリアリレートなどの非晶性樹脂、その他、フェノール系樹脂、フェノキシ樹脂、更にポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、ポリイソプレン系、フッ素系、およびアクリロニトリル系等の熱可塑エラストマー等や、これらの共重合体および変性体等から選ばれる熱可塑性樹脂が挙げられる。とりわけ、耐熱性、難燃性、耐薬品性の観点からは、PPS樹脂が、成形体外観、寸法安定性の観点からは、ポリカーボネート樹脂やスチレン系樹脂が、成形体の強度、耐衝撃性の観点からは、ポリアミド樹脂が、軽量性の観点からはポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンおよびそれらの酸変性体がより好ましく用いられる。
上記群に例示された熱可塑性樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲で、エラストマーあるいはゴム成分などの耐衝撃性向上剤、他の充填材や添加剤を添加しても良い。これら充填材や添加剤の例としては、無機充填材、難燃剤、導電性付与剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、制振剤、抗菌剤、防虫剤、防臭剤、着色防止剤、熱安定剤、離型剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤、顔料、染料、発泡剤、制泡剤、あるいは、カップリング剤が挙げられる。
また、例示した前記成形材料は、強化繊維、あるいは熱可塑性樹脂の種類、形態、配置、配合割合などにより流動性が異なることが一般に知られている。プレス成形によりリブを形成させるには、流動性が高い成形材料を用いることが好ましく、また面板の形成には等方性の確保の観点から、均一な成形材料を流動させないように、流動性が低い成形材料を用いることが好ましい。このように、流動させたい部位と流動させたくない部位に応じて、成形材料を選択するが、その流動性の大小を判断する基準として、次にいくつか例示する。
まず、成形材料のみかけ粘度から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。みかけ粘度が高い成形材料ほど、流動性が乏しくなる。この見かけ粘度の測定方法として、メルトフローレート、レオメータなどを挙げられることができる。2つ目として、繊維干渉の程度から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。溶融した樹脂に含まれる強化繊維どうしの干渉が大きくなるほど、他の強化繊維に拘束されることで、強化繊維の自由度が小さくなるため、繊維干渉の程度が大きい成形材料ほど流動性が乏しくなる。3つ目として、成形材料の伸長率から流動性の大きさを比較する方法が挙げられる。伸長率とは、融点以上に加熱された円盤形状の成形材料をプレス成形し、そのプレス前後での成形材料の面積比をパーセント表示したものである。伸長率が小さい成形材料ほど、流動性が乏しくなる。
上述した、成形材料の流動性の判定方法の中で、本発明では繊維干渉、および伸長率を用いて、成形材料の流動性の比較を行うものとする。まず、繊維干渉の大小の判断する指標である、濃度パラメーターpについて説明する。
本発明に用いられる成形材料の濃度パラメーターpとは、繊維干渉の程度の指標であり、強化繊維の配合量、繊維長、繊維径、流動単位を構成する単繊維の本数などによって決まるパラメーターであり、前述した式(1)で表せる。ここで、nは成形材料の単位面積(1mm)当たりに含まれる強化繊維からなる流動単位の数、hは成形材料の厚み(mm)、Lnは強化繊維の数平均繊維長(mm)である。
さらに、成形材料の単位面積(1mm)当たりに含まれる強化繊維からなる流動単位の数nは、次式(2)により導出される。ここで、wfは成形材料に含まれる強化繊維の目付け(g/m)、d0は単繊維の径(μm)、Lnは強化繊維の数平均繊維長(mm)、ρfは強化繊維の密度(g/cm)、kは流動単位の平均集束数である。ここで、流動単位について説明する。流動単位とは強化繊維からなる1個の集合体あるいは単体のことであり、たとえば図2に示すように、単糸分散した強化繊維の場合では単繊維の1本1本がそれぞれ流動単位となり、図3に示すSMCのように強化繊維が繊維束で存在する場合はその1つ1つの繊維束が流動単位となる。ここで、繊維束の場合において、1つの流動単位とみなす判断基準として図4を用いて説明する。ある強化繊維からなる繊維束とそれに隣接する単繊維あるいは繊維束とのなす角の角度が5°以下かつ実質的にそれらどうしが隣り合っている場合は1つの繊維束であり、つまりは1つの流動単位とみなし、それ以外に該当する場合は別々の流動単位として扱うものとする。
濃度パラメーターの導出に用いる、各パラメーターについて、以下に詳細に説明する。ここで、以下に示す、濃度パラメーターの導出に用いる成形材料に関する各パラメーターは、加熱前の成形材料を前提として計算する。この限定は、成形材料を加熱することで、例えば発泡剤が添加された成形材料が膨張し、体積変化を生じる場合、または加熱により熱可塑性樹脂が溶融することで、拘束が解けた強化繊維の弾性回復によるスプリングバックが生じる場合があるが、これらは体積変化を伴うため、実質の強化繊維と熱可塑性樹脂との配合割合が加熱前後で同じであっても、得られる濃度パラメーターが異なる問題を排除するためである。このため、成形材料は実質的にボイドレスであり、樹脂が完全含浸した状態で計算する。
まず、平均集束数kについて記述する。平均集束数kとは、流動単位を構成する単繊維の本数である。平均集束数kの導出は、強化繊維からなる流動単位を観察し、単繊維を1本1本数え出し、本数を直接求める方法、あるいは図5に示す、あらかじめ単繊維の直径d0(μm)を測定した後、流動単位の幅と高さからおおよその単繊維の本数を求める方法が例示できる。流動単位を構成する単繊維の本数が多い場合は、流動単位の幅と高さから求める方法が好ましく用いることができる。強化繊維からなる流動単位の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは光学顕微鏡を用いることができる。なお、単繊維の直径d0の観察には、特に制限はないが、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。また、単繊維が真円でない場合は、無作為に測定した10点の平均値を採用することができる。ここで、成形材料に含まれる樹脂成分を除去し、強化繊維のみを取り出す方法について説明する。成形材料の樹脂のみを溶解する溶剤を用いて溶解させる方法(溶解法)、あるいは樹脂を溶解する溶剤がない場合には、強化繊維が酸化減量しない温度範囲において樹脂のみを焼き飛ばし、強化繊維を分別する方法(焼き飛ばし法)などを例示することができる。測定は、強化繊維からなる流動単位を無作為に100本選び出し、その流動単位を構成する単繊維の本数を測定し、その平均値を平均集束数kとすることができる。なお、成形材料から焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法は、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。
次に、成形材料に含有される強化繊維の数平均繊維長Lnの測定方法としては、例えば、溶解法、あるいは焼き飛ばし法により、成形材料に含まれる樹脂成分を除去し、残った強化繊維を濾別した後、顕微鏡観察により測定する方法がある。測定は強化繊維を無作為に400本選び出し、その長さを1μm単位まで光学顕微鏡にて測定し、次式(3)により数平均繊維長Lnを算出する。なお、成形材料から焼き飛ばし法や溶解法で強化繊維を摘出する方法は、条件を適切に選定することで、得られる結果に特別な差異を生じることはない。
Li:測定した繊維長(i=1、2、3、・・・、400)
成形材料に含まれる強化繊維の目付けwfの測定方法としては、特に限定はされないが、成形材料に含まれる樹脂成分を除去し、残った強化繊維のみの重量を測定して求めることができる。成形材料に含まれる樹脂成分を除去する方法として、溶解法、あるいは焼き飛ばし法などを例示することができる。重量の測定には、電子はかり、電子天秤を用いて測定することができる。測定する成形材料の大きさは、100mm×100mm角が好ましく、測定数はn=3で行い、その平均値を用いることができる。
強化繊維の密度ρfは、特に限定はされないが、水中置換法、ピクノメーター法、あるいは浮沈法などを用いることにより求めることができる。10mm×10mm角の成形材料から溶解法、あるいは焼き飛ばし法により樹脂成分のみを除去し、残った強化繊維を用いて測定することができる。測定数はn=3で行い、その平均値を用いることができる。
成形材料の厚みhの測定方法として、特に限定はされないが、ノギス、マイクロメーターやレーザー変位計、厚みをカメラ撮影して計測するなどの既存の計測手段を用いて測定できる。簡便かつ精度よく測定できる方法としては、マイクロメーターを用いて、23℃の温度雰囲気下に10分間放置した成形材料に対して、およそ100mm間隔で無作為に測定した10点の平均値を成形材料の厚みとする方法が好ましい。また、成形材料(A)の厚みは、プリフォームの取り扱い性の観点から、0.1〜1mmであることが好ましい。0.1mmより薄い成形材料では、所定厚みにするのに積層数が多くなり、プリフォーム時の作業が煩雑になる。一方、1mmより厚い成形材料は、所定厚みに対して積層構成の制約を受ける場合がある。より好ましくは、0.2mm〜0.8mmであり、さらに好ましくは0.4mm〜0.6mmである。
次に、本発明に用いられる伸長率について説明する。伸長率の測定方法として、対向する一対の凹凸の内平面を有した金型の上に、円盤形状に切り出した成形材料を配置し、成形材料を軟化温度あるいは融点+35℃に加熱した後、20MPaでプレス成形する。伸長率は、下式(4)に示すとおり、プレス前後での成形材料の面積比をパーセント表示したものと定義する。また、切り出す円盤の大きさは、直径150mmであり、厚みは2.5mmとする。測定はn=3とし、その平均を伸長率とする。円盤形状をした成形材料の直径を測定する方法として、直径を任意に3箇所測定し、その平均値を用いることができる。
本発明では濃度パラメーターpが1×10以上であって1×10以下である成形材料を成形材料(A)とし、主に面板部を形成する成形材料となる。また、面板部における表面外観を改善するには繊維長が短いことが好ましく、また剛性を高めるには繊維長が長いことが好ましい。表面外観および剛性のバランスから、成形材料(A)の濃度パラメーターpが1×10以上であって1×10以下であることがより好ましい。一方、濃度パラメーターpが1×10以上であって、前記成形材料(A)の濃度パラメーターの0.1倍以下である成形材料を成形材料(B)とし、主にリブ部を形成する成形材料となる。また、リブ部における表面外観では繊維長を短くすることで改善できるため、成形材料(B)の濃度パラメーターpは1×10以上であって1×10以下であることが好ましく、リブ部における補強効果では繊維長を長くすることで高めることができるため、1×10以上であって前記成形材料(A)の濃度パラメーターの0.1倍以下であることが好ましい。
本発明に用いられる成形材料(A)は、面板部の等方性確保の観点から、非流動あるいは低流動であることが好ましいため、該成形材料(A)の伸長率R(%)は100%以上350%未満であることが好ましい。より好ましくは、100%以上250%未満であり、さらに好ましくは100%以上150%未満である。一方、成形材料(B)は、リブ部へ容易に充填することが好ましいため、成形材料(B)の伸長率R(%)は成形材料(A)の伸長率Rより大きいことが好ましく、350%より大きいことがより好ましく、450%より大きいことがさらに好ましい。成形材料(B)の伸長率R(%)の上限については、特に制限はないが、強化繊維を含む成形材料の伸長率の上限と考えられる、1000%以下を例示することができる。
ここで、本発明では、成形材料(A)の面積を、プレス成形により得られる成形品の投影面積の70%以上とし、前記成形材料(B)を開口金型における開口部の開口位置に配置する。
成形品の投影面積とは、図6に示すように、金型における成形品部分の投影面(斜線部)の面積を指す。成形材料(A)の面積を成形品の投影面積の70%以上とすることで、成形時に成形材料に過度な流動を起こすことなく、成形材料の繊維配向を保ったままで成形が可能となる。成形材料の等方性を確保する観点から、成形材料(A)の面積は成形品の投影面積の80%以上であることがより好ましく、成形品の投影面積の100%以上であることがさらに好ましい。成形材料(A)の面積の上限については、特に制限はないが、成形材料を有効に使用し、無駄を省く観点からは成形品の投影面積の150%以下であることが好ましい。
開口部の投影位置に成形材料を配置するとは、例えば、図7に示すように、開口部の投影面11に対して、成形材料が実質的に開口部の投影面の領域内に配置される、または成形材料が開口部の投影面の全領域を包括して配置される、または成形材料が開口部の投影面の領域の一部に含まれて配置されることである。開口部への充填を促進する観点から、成形材料が開口部の投影面の全領域を包括して配置されていることが好ましい。
本発明で用いるプリフォームにおける、成形材料(A)と成形材料(B)の配置については、成形材料(A)と成形材料(B)とが積層、あるいは横並びに配置されてなるプリフォームであることが好ましく、さらに好ましくは成形材料(A)が開口部を有する金型に対向する金型面側に配置されてなるプリフォームである。また、成形品のソリ軽減の観点から対称積層がより好ましいため、さらに成形材料(A)が前記開口部を有する金型面側に配置され、成形材料(A)の間に成形材料(B)が積層されてなるプリフォームであることが好ましい。
本発明で用いられる成形材料(B)の面積は、リブ部に成形材料(B)が十分に充填させるために、リブ部を形成する開口部の投影面積の0.5倍以上が好ましい。開口部の投影面積とは、図7に示すように、金型における開口部の投影面(斜線部)の面積を指す。成形材料(B)の面積がこれより小さいと、リブ部に充填するよりも平面部に流動する量が多くなり、リブ部の充填が不足する場合がある。より好ましくは、成形材料(B)の面積は、開口部の投影面積の1倍以上が好ましい。該開口部の投影面積が小さい場合、それに応じて切り出した成形材料のサイズが小さいことから取り扱いが悪くなるため、工業的に成形材料(B)の面積が5倍以上であることがより好ましく、さらに好ましくは10倍以上である。成形材料(B)の面積の上限については、特に制限はないが、面板部に位置する成形材料(B)が流動することにより、成形材料(A)の等方性を乱す恐れがあることと、成形材料(B)の内、リブ部に実質的に充填されるのは該開口部の投影面の領域内に配置される成形材料(B)がほとんどであることから、50倍より小さいことが好ましく、さらに好ましくは30倍より小さいことである。
さらに、本発明で用いられるプリフォームに含まれる成形材料(B)は、該成形材料(B)の総体積Vbを前記開口部のキャビティ体積Vrより大きくすることで、開口部に材料を十分に充填することができるため好ましい。より好ましくはVbがVrの5倍より大きいことであり、さらに好ましくはVbがVrの10倍より大きいことである。ここで、開口部のキャビティ体積Vrとは、図1に示す、開口部3(図1中の斜線部)に相当する領域の体積である。なお、成形材料(B)の総体積は、前記開口部の投影面積と成形材料(B)の面積との関係を考慮することが好ましい。たとえば、開口部の投影面積に対して配置した成形材料(B)の面積が大きい場合、リブ部に実質的に充填されるのは該開口部の投影面の領域内に配置される成形材料(B)がほとんどであることから、開口部の投影面積の領域内の上に配置された成形材料(B)の体積が開口部のキャビティ体積より大きいことがより好ましい。
本発明で用いられるプリフォームの形態として、成形材料(B)の横並びに成形材料(A)を配置することがより好ましい。成形材料(A)を成形材料(B)の横に配置することで、成形材料(B)が平面方向に流動することを抑制し、リブ部への充填を促す効果があり、より好ましい。さらに、成形材料(B)の上に成形材料(A)を配置することで、型締めした際に加圧効果が増し、リブ部への充填を高める効果があり、より好ましい。
本発明で用いられるプリフォームとして、成形材料(B)と前記開口金型との間に配置される成形材料(A)において、開口金型における開口部の投影面の領域に、該成形材料(A)に切り込みや切り欠きなどの貫通部を設けてあることは、貫通部から成形材料(B)が流動しやすくなり、リブ部への充填を高める効果があるため、好ましい。貫通部は、開口金型における開口部の投影面以外に施すと、面板部の強度を損ねる恐れがあるため、該開口部の投影面の領域内に留めることが好ましい。貫通部の形成方法に特に制限はないが、カッターナイフ、ドリル、糸ノコなどが好ましく用いることができる。また、貫通部の形状は、特に制限はないが、たとえば1つ以上の一文字の切り込み、あるいは四角形状、または楕円形状の切り欠きを施すことができる。さらに、貫通部は少なくても1つ以上、または組み合わせて設けてもよい。
本発明で用いられる成形材料(B)の数平均繊維長Lbは、成形材料(B)に含まれる強化繊維が開口金型の開口部に十分に流入することでリブ強度が増すため、図8に示す前記開口部のリブ厚みTrに対して、LbがTrの2倍以下であることが好ましい。強化繊維の繊維長が短くなるほど開口部への充填を高めることができるため、より好ましくはLbがTrの4倍以下であり、さらに好ましくはLbがTrの10倍以下である。また、成形材料(B)は高流動であることが好ましいが、リブ構造での補強効果を望む場合、ある程度の繊維長が必要であるため、成形材料(B)の数平均繊維長Lbは0.1mm以上、2mm以下であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1mm以上、1mm以下である。
本発明で用いられる成形材料(A)の数平均繊維長Laは、面板部の強度を確保するために、2mm以上であることが好ましい。より好ましくは、3mm以上である。成形材料(A)の数平均繊維長Laの上限については、特に制限はないが、長すぎる繊維長は面板部の賦形性を損ねる恐れがあるため、20mm以下であることが好ましく、より好ましくは、10mm以下である。
本発明における強化繊維の配向としては、二次元配向角で整理することができる。一般的に強化繊維からなる基材は強化繊維が束状になって構成されているケースが多く、このため成形材料として等方性を確保することが難しく、かつ束内への樹脂含浸が十分でなく、成形品の強度低下の原因となる場合がある。強化繊維束が単糸に分散したとしても、強化繊維の単糸同士が平行して接触してしまうと同様の結果となる。さらには、厚み方向への繊維配向は、成形材料またはそれを積層して得られるプリフォームの厚み膨張の原因となり、取扱い性や成形性を著しく損なう場合がある。
ここで、二次元配向角としては、本発明における、強化繊維である単繊維と該単繊維と交差する単繊維とで形成される二次元配向角について図面を用いて説明する。図9は本発明の成形材料の一例の強化繊維のみを面方向から観察した場合の、強化繊維の分散状態を表した模式図である。単繊維4−1に着目すると、単繊維4−1は他の単繊維4−2〜4−7と交差している。ここで交差とは、観察した二次元平面において着目した単繊維が他の単繊維と交わって観察される状態のことを意味する。ここで実際の成形材料において、単繊維4−1と単繊維4−2〜4−7が必ずしも接触している必要はない。二次元配向角は交差する2つの単繊維が形成する2つの角度のうち、0度以上90度以下の角度12と定義する。
具体的に成形材料から二次元配向角の平均値を測定する方法には特に制限はないが、例えば、成形材料の表面から強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、成形材料表面を研磨して繊維を露出させることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。また、成形材料に透過光を利用して強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。この場合、成形材料を薄くスライスすることで、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。さらに、成形材料をX線CT透過観察して強化繊維の配向画像を撮影する方法も例示できる。X線透過性の高い強化繊維の場合には、強化繊維にトレーサ用の繊維を混合しておく、あるいは強化繊維にトレーサ用の薬剤を塗布しておくと、より強化繊維を観察しやすくなるため好ましい。
また、上記方法で測定が困難な場合には、強化繊維の構造を崩さないように樹脂を除去した後に強化繊維の配向を観察する方法が例示できる。例えば、成形材料をアルミホイルで包み、樹脂成分を焼き飛ばし、得られる強化繊維からなる基材を光学顕微鏡または電子顕微鏡で観察して測定することができる。本発明の二次元配向角の平均値とは、以下の手順i、iiで測定する。
i.無作為に選択した強化繊維である単糸(図9における単繊維4−1)に対して交差している全ての単繊維(図1における単繊維4−2〜4−7)との二次元配向角の平均値を測定する。たとえばある単繊維に交差する別の単繊維が多数の場合には、交差する別の単繊維を無作為に20本選び測定した平均値を代用してもよい。
ii.上記iの測定を別の単繊維に着目して合計5回繰り返し、その平均値を二次元配向角の平均値として算出する。本発明での強化繊維の二次元配向角の平均値は10〜80度であることが好ましい。より好ましくは20〜70度であり、さらに好ましくは30〜60度であり、理想的な角度である45度に近づくほど好ましい。二次元配向角の平均値が10度未満または80度より大きいと、強化繊維が束状のまま多く存在していることを意味しており、力学特性が低下するだけでなく、二次元の等方性が損なう場合や、厚み方向の強化繊維が無視できず積層工程での経済的負担が大きくなる場合がある。
成形材料の引張強度は、成形材料から試験片を切り出し、JIS K−7073(1988)に従い引張特性を測定して求める。試験片は、任意の方向を0度方向とし、+45度、−45度、90度方向の4方向について測定する。それぞれの方向について測定数はn=5以上とし、平均値を引張強度とした。4方向全てにおいて測定される引張強度のうち、最大値をσMax、最小値をσMinとし、それらの比を引張強度比(σcMax/σcMin)とした。成形材料(A)の最大引張強度σMaxと、最小引張強度σMinとの関係が、面板部の等方性確保の観点から、σMaxがσMinの2倍以下であることが好ましい。また、σMaxがσMinの1.5倍以下であることがより好ましく、さらに好ましくはσMaxがσMinの1.3倍以下であり、σMaxがσMinの1.1倍以下であることはほぼ等方とみなせることから極めて好ましい。
本発明で用いられる成形材料(B)の成分として、前記成形材料(A)を製造または加工する過程で得られる端材を含んでいてもよい。成形材料(B)にリサイクル材を用いる場合、リブ部の補強効果を高める観点から、比較的長い繊維長を有する成形材料(A)を含むことが好ましい。リサイクル材の製造方法としては、特に制限はされないが、簡便な方法として混練機を用いて混練する方法を用いることができる。
本発明におけるプレス成形としては、スタンピングプレス成形を採用するのが好ましく、次にスタンピングプレス成形について詳しく説明する。スタンピングプレス成形は次の工程(I)〜(IV)を含んでいる。
工程(I)はプリフォームを、該プリフォームに含まれる熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点以上に加熱する工程である。積層あるいは横並びに配置された成形材料を成形可能な温度以上まで加熱する必要があるため、遠赤外線ヒーター、加熱板、高温オーブン、誘電加熱などに例示される加熱装置を用いることができる。中でも、遠赤外線ヒーターが加熱状態のコントロールの容易さから好ましく用いることができる。また、加熱時におけるプリフォームの形態は、成形材料(A)のみ、または成形材料(B)のみからなるプリフォーム、あるいは成形材料(A)および(B)からなるプリフォーム、さらには最終形態のプリフォームのいずれかであってもよい。
工程(II)は、工程(I)で加熱したプリフォームを搬送し、金型に配置する工程である。すなわち、工程(II)では、熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点以上に加熱せしめた成形材料を搬送し、開放された成形金型へ配置する。加熱された成形材料は、作業上の安全面や、プレス成形が行われる成形型への成形材料の配置精度の観点から、人手、ロボットなどで搬送し、開放された成形型へ配置される。
工程(III)は、熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃〜150℃低い温度を有する金型を型締めすることにより、プリフォームを加圧冷却する工程である。すなわち、工程(III)では、成形型を型締めすることにより、軟化温度あるいは融点より高い温度の成形材料を加圧冷却する。成形金型の温度は、成形材料に含まれる熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃〜150℃低い温度の範囲内で行われることが成形材料の賦形のしやすさや、成形体の表面外観の観点から好ましい。
工程(IV)は、冷却後、金型を開放し、金型から成形品を取り出す工程である。前工程(III)の加圧冷却により、成形材料に含まれる熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点以下まで冷却させることで、形状を形成させた後、金型を開いて、金型から成形品を取り出すのである。
工程(III)の型締めにおいては、プリフォームと該プリフォームに接近する金型とが接触する時点において、当該接近する金型側のプリフォームの表面温度が前記熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃以上高いことが好ましい。一般に、加熱されたプリフォームは、プリフォームの中心部温度より表面温度の方が低いため、表面温度が前記熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃以上高く保つことで、プリフォームの全体が成形可能な温度であるとみなすことができ、好ましい。プリフォームの表面温度は、加熱を終えてから金型への搬送中に外気により冷却されるため、加熱終了から型締めまでの時間をなるべく短縮することで、熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃以上高い状態で加熱冷却できるため、表面外観を高める上でも極めて好ましい。
工程(III)において、成形品の投影面にかかる加圧力が10〜40MPaの範囲であることが、成形材料の賦形のしやすさや、成形品の厚み制御のしやすさの観点から好ましい。とりわけ、15〜30MPaの範囲内がプレス成形機の設備コストの観点から好ましく、さらには好ましくは15〜20MPaである。
工程(I)において、少なくとも前記プリフォームを構成する成形材料(A)および/または(B)を0.1〜10mmの厚みの範囲で分割し、別々に加熱し、前記熱可塑性樹脂を軟化温度あるいは融点以上にすることが好ましい。成形材料あるいはプリフォームの厚みが厚い場合や、加熱により膨張、あるいは厚み方向にスプリングバックする成形材料では、加熱効率は低減するが、積層した成形材料を分割して加熱することにより、1つの積層体の厚みが小さくなることで加熱時間の短縮を図ることができるため、好ましい。より好ましくは分割された成形材料またはプリフォームの厚みが0.1〜5mmであり、さらには0.1〜2mmであることが好ましい。分割された成形材料またはプリフォームは、金型へ配置する工程までに最終形態のプリフォームに形成されることができる。
前記工程(I)と(II)の間において、最終形態のプリフォームを形成する工程を含むことが好ましい。加熱装置から取り出した、プリフォームは時間とともに徐々に冷えていくため、金型の上でプリフォームを作製するよりも、プリフォーム化したものを搬送する方がより高い温度の状態でプレス成形ができるため好ましい。さらには、炉内で最終形態のプリフォーム化を行うことは、十分に高い温度を維持したままプリフォームを搬送できるため、より好ましい。
本発明で得られる成形品は、リブ構造の高さHr(mm)が、リブが付随している面板部厚みH0(mm)に対し、Hr≧3×H0の関係を満足することが好ましい。ここで、図8にリブ構造の高さHrを示す。成形品の面板部厚みH0の測定方法として、特に限定はされないが、前記した成形材料の厚みh0の測定方法と同様に、ノギス、マイクロメーターやレーザー変位計、厚みをカメラ撮影して計測するなどの既存の計測手段を用いて測定することができる。簡便かつ精度よく測定できる方法としては、マイクロメーターを用いて、23℃の温度雰囲気下に10分間放置した成形品の面板部に対して、およそ100mm間隔で無作為に測定した10点の平均値を面板部の厚みとする方法が好ましい。リブ構造の高さは、なるべく高い方が面板部の補強効果を高めることができるため、Hr≧3×H0の関係を満足することが好ましい。また、リブ構造の高さの上限については、特に制限はないが、たとえば面板部からプレス成形により面外に材料が流動することでリブ構造を形成する場合、面板部の厚みが薄いとリブ部に流動できる材料量に限界があるため、通常HrはH0の50倍以下である。また、高過ぎるリブ構造は成形が困難であるため、背の低いリブ構造をいくつか設けることで、成形性と面板部の補強効果を満足することができる。
以下、実施例によって、本発明のプリフォーム、およびそのプリフォームを用いたプレス成形方法について具体的に説明するが、下記の実施例は本発明を制限するものではない。
実施例に用いた測定方法を下記する。
(1)サイジング剤の付着量の測定
試料として、サイジング剤が付着している炭素繊維束をおよそ5g採取し、耐熱性の容器に投入した。次に、この容器を120℃で3時間乾燥した。デシケータ中で室温まで冷却後、秤量した質量をw1(g)とした。続いて、容器ごと、窒素雰囲気中で、450℃で15分間加熱後、同様にデシケータ中で室温まで冷却後、秤量した質量をw2(g)とした。以上の処理を経て、炭素繊維のサイジング剤の付着量を下式(5)を用いて求めた。なお、測定は3回行い、その平均値を付着量として採用した。
(2)強化繊維の密度
液中置換法にて計測。強化繊維の密度ρfとする。
(3)成形材料の濃度パラメーターp
各成形材料の高さh(mm)をマイクロメーターにて測定する。23℃の温度雰囲気下に10分間放置した成形材料を、約100mm間隔で無作為に測定し、その10点の平均値を採用した。
各成形材料の目付、および繊維重量分率を測定する。成形材料から100mm×100mmの角板を切り出し、その重量w0(g)を測定した。次に、切り出した成形材料を、空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばして残った強化繊維の重量w1(g)を測定した。ここで、強化繊維の重量w1(g)から成形材料に含まれる強化繊維の目付け(g/m)を導出した。また、下式(6)を用いて、繊維重量分率(wt%)を求めた。いずれの測定もn=3で行い、その平均値を用いた。
各成形材料に含有される強化繊維の流動単位数nを算出するため、強化繊維の平均集束数kを、次の方法で測定する。ここで、単糸の直径d0(μm)を走査型電子顕微鏡(SEM)で予め測定する。また、真円でない場合は、無作為に測定した10点の平均値を採用した。
まず、成形材料から100mm×100mmの角板を切り出し、その角板を空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばして残った強化繊維を光学顕微鏡にて観測し、強化繊維からなる流動単位の平均集束数kを計算する。流動単位の幅と高さがおおよそd0であれば単糸であり集束数kは1である。流動単位の代表幅と代表高さから、d0のおおよその倍数を導き出し、流動単位の集束数kを求める。強化繊維からなる流動単位を無作為に100個選び出し、該操作による測定した平均値を採用した。
各成形材料に含有される強化繊維の数平均繊維長Lnを測定する。成形材料の一部を切り出し、電気炉にて空気中500℃で30分間加熱して樹脂を十分に焼却除去して強化繊維を分離し、分離した強化繊維から無作為に400本以上抽出した。これらの抽出した強化繊維の繊維長の測定は、光学顕微鏡を用いて行い、400本の繊維の長さを1μm単位まで測定して、前述した式(3)を用いて数平均繊維長Lnを算出した。
以上の測定値を用いて、成形材料の単位面積(1mm)当たりに含まれる強化繊維からなる流動単位の数nは前述した式(2)により導出される。
さらに、成形材料の濃度パラメーターpは前述した式(1)により導出される。
(4)成形材料の伸長率
成形材料の伸長率を測定する。まず、成形材料から直径150mmの円盤を切り出した。厚みを2.0mmに調整した円盤状の成形材料を測定サンプルとし、遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に配置し、10分間予熱した。この際、マルチ入力データ収集システム(キーエンス(株)社製、NR−600)を用いて、サンプルの表面かつ円盤の中央に熱電対を設置し、熱履歴を計測した。計測した温度が、樹脂単体の融点+35℃であることを確認した後、オーブンから取り出したサンプルを下金型の上に配置し、上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この状態で1分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形品を得た。得られた成形品はほぼ真円の円盤形状であった。
成形品の直径を任意の2箇所について測定し、その平均値を用いて成形後の成形品の面積を導出した。また、成形前の成形材料の面積は、直径を150mmとして計算した。ここで、成形材料の伸長率を前述した式(4)で定義し求めた。
(5)成形材料の引張強度比(σcMax/σcMin)
成形材料より測定用の試験片として、長さ250mm±1mm、幅25±0.2mmの引張用試験片を切り出す。試験片は、任意の方向を0°方向とした場合に+45°、−45°、90°方向の4方向について切り出した試験片を作製し、それぞれの方向について測定数はn=5とし、平均値を引張強度とした。測定する成形品における0°、+45°、−45°、90°の4方向全てにおいて測定される引張強度のうち、最大値をσcMax、最小値をσcMinとし、それらの比を引張強度比(σcMax/σcMin)とした。JIS K−7073(1988)に規定する試験方法に従い、標準間距離を150mmとし、クロスヘッド速度2.0mm/分で引張強度を測定した。なお、測定装置としては“インストロン(登録商標)”5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
(6)成形材料中の強化繊維の二次元配向角
5cm角に切り出した成形材料をアルミホイルで包み、これを空気中500℃で1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばした。成形材料を包んだアルミホイルを開き、顕微鏡のステージの上に配置した。得られた強化繊維からなる基材を顕微鏡で観察し、無作為にある単繊維を1本選定し、該単繊維に交差する別の単繊維との二次元配向角を画像観察より測定した。配向角は交差する2つの単繊維とのなす2つの角度のうち、0°以上90°以下の角度(鋭角側)を採用した。選定した単繊維1本あたりの二次元配向角の測定数はn=20とした。同様の測定を合計5本の単繊維を選定しておこない、その平均値を二次元配向角とした。
(7)成形品面板の表面外観
面板表面を目視にて観察し、以下の基準で評価した。A、Bが合格であり、Cが不合格である。
A:面板にかすれ状の跡、穴あきが無く、優れた表面外観である。
B:実用上問題はないものの、面板の一部にかすれ状の跡が見られる。
C:面板に未充填や穴あき、全体的にかすれがあり劣る。
(8)成形品面板のソリ
成形品のリブ側を上面にし、面板面を平らな台に接地させ、接地面から面板面までの最大高さを測定した。成形品面板のソリは小さいことが好ましいため、測定した最大高さが10mm未満を合格とした。
(9)成形品リブ部の外観品位
リブ部を目視にて観察し、以下の基準で評価した。リブへは材料が完全に充填していることが好ましい観点から、AA、A、Bを合格とした。
AA: 完全充填、かつ樹脂リッチ部なし、かつかすれ跡なし
A:完全充填、かつ樹脂リッチ部なし、かつ一部かすれ状の跡あり
B:樹脂リッチ部はあるが、完全充填
C:80%以上100%未満の充填量
D:80%未満の充填量
(10)成形品の面内平均曲げ強度、および曲げ強度の面内ばらつき
成形品より測定用の試験片を切り出し、ISO178法(1993)に従い曲げ強度を測定した。切り出し部は成形品の端部を避け、できるだけ中央付近の面板部で、リブがない面板部分を用いた。試験片は各面部において、任意の方向を0°方向とした場合に+45°、−45°、90°方向の4方向について切り出した試験片を作製し、それぞれの方向について測定数はn=5とし、平均値を曲げ強度とした。測定装置としては“インストロン(登録商標)”5565型万能材料試験機(インストロン・ジャパン(株)製)を使用した。
測定する面板部における0°、+45°、−45°、90°の個別の曲げ強度の平均値を面内平均曲げ強度とした。面板部は高強度であることが好ましいため、面内平均曲げ強度は150MPa以上を合格とした。
測定する面板部における0°、+45°、−45°、90°の個別の曲げ強度と、4方向全てにおいて測定される曲げ強度の平均値とを用いて次式(7)を用いて、算出した。面板部は等方性を有することが好ましいため、成形品の曲げ強度の面内ばらつきは12%未満を合格とした。
(11)成形品リブ部の繊維充填率、および空隙率
成形品のリブ部から切り出したサンプルを用いて、ISO1183(1987)に準拠して比重ρr1(g/cm)を測定した。測定サンプル数は、n=3とした。切り出し位置は、リブ付け根から5mm内側を基準とし、幅10mm×長さ50mmのサイズに切り出した。ここで、空気中で測定したサンプルの重量の平均値を重量w6(g)とする。
さらに、前記で切り出したサンプルを、空気中で500℃×1時間加熱し、樹脂成分を焼き飛ばして残った強化繊維の重量w7(g)を測定する。各測定はn=3とし、下式(8)、(9)、(10)を用いて導出した平均値を、リブ部の繊維重量分率Wfr(%)、繊維体積分率Vfr(%)、密度ρr2(g/cm)とした。なお、強化繊維の密度ρF、樹脂の密度ρRとする。
次に、リブ部の繊維充填率を導出した。成形材料が1種類の場合は、その成形材料の繊維重量分率Wf(%)に対するリブ部の繊維重量分率Wfrの比をリブ部の繊維充填率とした。また、成形材料が2種類以上用いる場合は、最も濃度パラメーターが小さい成形材料の繊維重量分率Wf(%)に対するリブ部の繊維重量分率Wfrの比をリブ部の繊維充填率とした。リブ部の繊維充填率は、繊維充填率が高いほどリブ強度が増し、天板の補強効果が上がる観点から、十分な補強効果が望めるものと考える0.7以上を合格とした。また、リブ部への充填量が少なくサンプルを切り出せないものは測定不可とした。
また、リブ部の空隙率は、下式(11)を用いて求めた。リブは天板の補強部材である観点から、リブ部の許容できる空隙率は8%未満と考え、合格ラインとした。
(12)予熱時における成形材料の温度測定方法
マルチ入力データ収集システム(キーエンス(株)社製、NR−600)を用いて、予熱時における成形材料の温度を測定する。積層された奇数(2n−1)枚の成形材料の温度を測定する場合は、中間(n枚目)に位置する成形材料の表面かつ端に熱電対を取り付ける。また、積層数が偶数(2n)枚の場合は、n枚目とn+1枚目の間に位置する、n枚目の表面かつ端に熱電対を取り付ける。ただし、サイズが異なる成形材料を用いる場合は、面積が最も大きい成形材料のみを対象とし、積層数をカウントして熱電対を設置する。なお、1枚の成形材料を予熱する場合は、その成形材料の表面かつ端に熱電対を取り付け、測定を行う。
(13)型締め時における成形材料の表面温度の測定方法
マルチ入力データ収集システム(キーエンス(株)社製、NR−600)を用いて、成形材料に接近する金型と成形材料とが接触する時点において、成形材料の表面温度を測定する。熱電対の取り付け箇所は、接近する金型に対して、最近傍の成形材料の金型側に位置する表面かつ端である。
(参考例1)炭素繊維の調整
ポリアクリロニトリルを主成分とする重合体から紡糸、焼成処理を行い、総フィラメント数12000本の炭素繊維連続束を得た。該炭素繊維連続束に浸漬法によりサイジング剤を付与し、120℃の温度の加熱空気中で乾燥しPAN系炭素繊維束を得た。このPAN系炭素繊維束の特性は次の通りであった。
単繊維径;7μm
単位長さ当たりの質量:0.83g/m
比重:1.8g/cm
引張強度:4.0GPa
引張弾性率:235GPa
サイジング種類:ポリオキシエチレンオレイルエーテル
サイジング付着量:2質量%
(参考例2)チョップド炭素繊維束1
カートリッジカッターを用いて、参考例1の炭素繊維をカットし、繊維長9mmのチョップド炭素繊維束を得た。
(参考例3)チョップド炭素繊維束2
参考例2と同様にして、繊維長6mmのチョップド炭素繊維束2を得た。
(参考例4)チョップド炭素繊維束3
参考例2と同様にして、繊維長100mmのチョップド炭素繊維束3を得た。
(参考例5)チョップド炭素繊維束4
参考例2と同様にして、繊維長3mmのチョップド炭素繊維束4を得た。
(参考例6)チョップドガラス繊維束
日東紡製、商品名 CS13G−874
単繊維径;10μm
比重:2.5g/cm
繊維長:13mm(カタログ値)
(参考例7)無変性ポリプロピレン樹脂
プライムポリマー(株)社製、“プライムポリプロ”(登録商標)J105G、融点160℃
(参考例8)酸変性ポリプロピレン樹脂
三井化学(株)社製、“アドマー” (登録商標) QE510、融点160℃
(参考例9)ナイロン6樹脂
東レ(株)社製、“アミラン” (登録商標)CM1001、融点225℃
(参考例10)炭素繊維マット1の調製
界面活性剤(和光純薬工業(株)社製、「n−ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム」(製品名))の1.5wt%水溶液100リットルを攪拌し、予め泡立てた分散液を作製した。この分散液に、参考例2で得られたチョップド炭素繊維束1を投入し、10分間撹拌した後、長さ500mm×幅500mmの抄紙面を有する抄紙機に流し込み、吸引により脱水後、150℃の温度で2時間乾燥し、炭素繊維からなる炭素繊維マット1を得た。
(参考例11)炭素繊維マット2の調製
参考例10と同様にして、参考例3で得られたチョップド炭素繊維束2を用いて、炭素繊維からなる炭素繊維マット2を得た。
(参考例12)炭素繊維マット3の調製
参考例10と同様にして、参考例4で得られたチョップド炭素繊維束3を用いて、炭素繊維からなる炭素繊維マット3を得た。
(参考例13)ガラス繊維マットの調整
参考例10と同様にして、参考例6のチョップドガラス繊維を用いて、ガラス繊維からなるガラス繊維マットを得た。
(参考例14)ポリプロピレン樹脂フィルムの調整
参考例7の無変性ポリプロピレン樹脂90質量%と、参考例8の酸変性ポリプロピレン樹脂10質量%を用意し、これらをドライブレンドした。このドライブレンド品を二軸押出機のホッパーから投入し、押出機にて溶融混練した後、T字ダイ(500mm幅)から押出した。その後、60℃のチルロールで引き取ることによって冷却固化させ、ポリプロピレン樹脂フィルムを得た。
(参考例15)ナイロン6樹脂フィルムの調整
参考例9のナイロン6樹脂を、参考例14と同様に溶融混練し、ナイロン6樹脂フィルムを得た。
(参考例16)成形材料1の調製
参考例10で得られた炭素繊維マット1と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとを交互積層し、積層体を用意した。金属製のツール板の上に離型シートで挟んだ積層体を載せ、さらに上にツール板を配置した。離型シートとしてテフロン(登録商標)シート(厚さ1mm)を用いた。ついで、210℃に加熱された上下の熱盤面から構成される油圧式プレス機の熱盤面間に該積層体を配置し、面圧5MPaでプレスした。次に、80℃の温度に温度制御された別の油圧式プレス機に搬送し、冷却盤間に配置後、面圧5MPaで冷却プレスを行い、炭素繊維マットとポリプロピレン樹脂からなる長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が33.3wt%の成形材料1を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例17)成形材料2の調製
参考例16と同様にして、参考例11で得られた炭素繊維マット2と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み2.0mm、繊維重量分率が14.8wt%の成形材料2を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例18)成形材料3の調製
参考例16と同様にして、参考例10で得られた炭素繊維マット1と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が18.2wt%の成形材料3を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例19)成形材料4の調製
参考例16と同様にして、参考例10で得られた炭素繊維マット1と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が57.1wt%の成形材料4を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例20)成形材料5の調製
参考例16と同様にして、参考例12で得られた炭素繊維マット3と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が33.3wt%の成形材料5を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例21)成形材料6の調整
参考例16と同様にして、参考例11で得られた炭素繊維マット2と参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が33.3wt%の成形材料6を得た。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例22)成形材料7の調整
参考例16と同様にして、参考例10で得られた炭素繊維マット1と参考例15で得られたナイロン6樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が28.6wt%の成形材料7を得た。ただし、プレス機の熱盤面温度は250℃とした。その他の材料特性は、表1に示す。
(参考例23)成形材料8の調製
参考例16と同様にして、参考例13で得られたガラス繊維マットと参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み0.5mm、繊維重量分率が64.9wt%の成形材料8を得た。その他の材料特性は、表2に示す。
(参考例24)成形材料9の調製
参考例16と同様にして、参考例13で得られたガラス繊維マットと参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムとからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み2.0mm、繊維重量分率が2.7wt%の成形材料9を得た。その他の材料特性は、表2に示す。
(参考例25)成形材料10の調製
参考例7の無変性ポリプロピレン樹脂90質量%と、参考例8の酸変性ポリプロピレン樹脂10質量%を用意し、ドライブレンドを行った。200℃の二軸押出機で該ドライブレンド品を溶融混練させた後、該押出機のサイドフィーダーから参考例3で得られたチョッブド炭素繊維束2を投入し、さらに混練した。該押出機にて溶融混練した後、T字ダイ(500mm幅)から押出した。その後、60℃のチルロールで引き取ることによって冷却固化させ、厚み0.5mmのCF/PPシートを得た。
次に、参考例16と同様の方法を用いてプレス成形を行い、長さ500mm、幅500mm、厚み2.0mm、繊維重量分率が33.3wt%の成形材料10を得た。その他の材料特性は、表2に示す。
(参考例26)成形材料11の調製
参考例25と同様にして、参考例3で得られたチョッブド炭素繊維束2と参考例9で得られたナイロン6樹脂とからなる、長さ500mm、幅500mm、厚み2.0mm、繊維重量分率が28.6wt%の成形材料11を得た。ただし、プレス機の熱盤面温度は250℃とした。その他の材料特性は、表2に示す。
(参考例27)成形材料12の調製
金属製のツール板の上に離型シート(テフロン(登録商標)、厚さ1mm)を配置し、さらに参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルムを上に配置した。該ポリプロピレン樹脂フィルムの上に参考例5のチョップド炭素繊維束4をランダムに散りばめ、炭素繊維束がランダム方向に分布していることを目視で確認した。さらに、その上に参考例14で得られたポリプロピレン樹脂フィルム、離型シート、ツール板の順番で配置した。
次に、参考例16と同様の方法を用いてプレス成形を行い、長さ500mm、幅500mm、厚み2.0mm、繊維重量分率が57.1wt%の成形材料12を得た。その他の材料特性は、表2に示す。
(参考例28)一文字リブ成形用金型
図1に示す、面板と一文字のリブからなる形状を有した成形品を得るための、対向する一対の金型であり、下記に示す寸法を有する。また、上金型(開口金型)、下金型(対向金型)の寸法をそれぞれ図10、11に示す。
・図10:W1;2mm、W2;199mm、W3;199mm、W4;400mm、W5;500mm、W6;200mm、W7;300mm、H1;10mm、H2;20mm、H3;120mm
・図11:W1;392mm、W2;500mm、W3;192mm、W4;300mm、H1;7mm、H2;150mm
(参考例29)十字リブ成形用金型
図12に示す、面板と十字のリブからなる形状を有した、対向する一対の金型であり、下記に示す寸法を有する。また、上金型(開口金型)、下金型(対向金型)の寸法をそれぞれ図13、11に示す。
・図13:W1;2mm、W2;199mm、W3;199mm、W4;400mm、W5;500mm、W6;200mm、W7;300mm、W8;2mm、H1;10mm、H2;20mm、H3;120mm
・図11:W1;392mm、W2;500mm、W3;192mm、W4;300mm、H1;7mm、H2;150mm
(実施例1)
参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。成形材料1、成形材料10を以下の寸法に裁断し、成形材料1を8枚、成形材料10を10枚用意した。
成形材料1:長さ440mm、幅220mm
成形材料10:長さ200mm、幅20mm
次に成形材料のプリフォームとして、2枚の成形材料1の上にリブの真上の位置に成形材料10を10枚配置した。この積層体をプリフォーム1Aとする。また、成形材料1を2枚積層した積層体をプリフォーム1Bとし、3体用意した。成形金型は参考例27を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム1Bの上にプリフォーム1Aを、さらにその上にプリフォーム1Bを2体積層し、プリフォーム1Cとした。
ついで、予熱したプリフォーム1Cを下金型の凸部の上に配置し、リブの真上の位置に成形材料10が配置されていることを確認した後、該上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この状態で3分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形体を得た。リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、その他は良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られなかった。特性および評価結果は、まとめて表3に記載した。
(実施例2)
参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。成形材料1、成形材料10を以下の寸法に裁断し、成形材料1を4枚、成形材料10を1枚用意した。
成形材料1:長さ440mm、幅220mm
成形材料10:長さ440mm、幅220mm
次に成形材料のプリフォームとして、成形材料1を2枚積層したものをプリフォーム2Aとし、2体用意した。成形金型は参考例23を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、プリフォーム2Aが2体と成形材料10とを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム2Aを2体重ねた上に、成形材料10を積層し、プリフォーム2Bとした。
ついで、予熱したプリフォーム2Bを下金型の凸部の上に配置した後、該上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この状態で3分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形体を得た。得られた成形品の面板のソリがやや大きくなっていた。しかし、リブ部は完全に充填しており、かすれ状の跡、樹脂リッチもなく良好であった。特性および評価結果は、まとめて表3に記載した。
(実施例3)
下金型の凸部の上に参考例25で得た成形材料10を配置し、その上に前記プリフォーム2Aを配置する以外は、実施例2と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、面板のソリがやや大きくなっていた。また、リブ部は完全に充填していたが、表面の一部にかすれ状の跡が見られた。特性および評価結果は、まとめて表3に記載した。
(実施例4)
下金型の凸部の上に前記プリフォーム2Aを配置し、その上に参考例25で得た成形材料10、プリフォーム2Aの順で配置する以外は、実施例2と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板部にソリはほぼなく、表面外観も良好であった。また、リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、充填は十分であった。特性および評価結果は、まとめて表3に記載した。
(実施例5)
実施例1と同様にして、参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを裁断した。ただし、成形材料1は長さ320mm、幅200mmのサイズに裁断し、10枚用意した。
次に成形材料のプリフォームとして、4枚の成形材料1の上にリブの真上の位置に成形材料10を10枚配置した。この積層体をプリフォーム5Aとする。また、成形材料1を3枚積層した積層体をプリフォーム5Bとし、2体用意した。成形金型は参考例23を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム5Bの上にプリフォーム5Aを積層し、プリフォーム5Cとした。
ついで、予熱したプリフォーム5Cを下金型の凸部の上に配置し、リブの位置に成形材料10が配置されていることを確認した後、実施例1と同様にして成形を行い、成形品を得た。リブには、樹脂リッチ部はあるものの、完全充填であった。また、面板部は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表3に記載した。
(実施例6)
参考例20で得た成形材料5と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料5、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料5は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。
成形材料1の代わりに成形材料5を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。面板に一部かすれ状の跡が見られた。また、リブには、樹脂リッチ部はあるものの、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表4に記載した。
(実施例7)
参考例21で得た成形材料6と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料6、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料6は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。
成形材料1の代わりに成形材料6を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、面板は良好な表面外観であった。また、面板にソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られなかった。特性および評価結果は、まとめて表4に記載した。
(実施例8)
参考例18で得た成形材料3と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料3、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料3は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。
成形材料1の代わりに成形材料3を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、その他は良好な表面外観であり、また天板のソリはほぼ見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られなかった。しかし、天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表4に記載した。
(実施例9)
参考例19で得た成形材料4と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料4、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料4は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。
成形材料1の代わりに成形材料4を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、天板およびリブ部の一部にかすれ状の跡が見られた。また、天板のソリは見られず、等方性に優れていた。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られなかった。特性および評価結果は、まとめて表4に記載した。
(実施例10)
成形材料10が長さ200mm、幅2mmのサイズであること以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。天板の表面外観は良好であったが、リブ部に樹脂リッチが見られた。その他は良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表4に記載した。
(実施例11)
成形材料10が長さ200mm、幅60mmのサイズであること以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。リブ部の一部にかすれ跡があったが、完全充填していた。天板の表面外観は良好であった。特性および評価結果は、まとめて表5に記載した。
(実施例12)
成形材料10が長さ200mm、幅140mmのサイズであること以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。リブ部の一部にかすれ跡があったが、完全充填していた。しかし、天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表5に記載した。
(実施例13)
参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。成形材料1、成形材料10を以下の寸法に裁断し、成形材料1−1を7枚、成形材料1−2を2枚、成形材料10を10枚用意した。
成形材料1−1:長さ440mm、幅220mm
成形材料1−2:長さ190mm、幅200mm
成形材料10:長さ200mm、幅20mm
次に成形材料のプリフォームとして、1枚の成形材料1−1の上にリブの真上の位置に成形材料10を10枚配置した。さらに成形材料10が配置されている両脇に成形材料1−2を1枚ずつ、成形材料どうしが重ならないことを確認して配置した。この積層体をプリフォーム13Aとする。また、成形材料1−1を2枚積層した積層体をプリフォーム13Bとし、3体用意した。成形金型は参考例23を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中で1体のプリフォーム11Bの上にプリフォーム11Aを積層し、さらにプリフォーム11Bを2体積層したものをプリフォーム13Cとした。
ついで、予熱したプリフォーム13Cを下金型の凸部の上に配置し、リブの位置に成形材料10が配置されていることを確認した後、後、実施例1と同様にして成形を行い、成形品を得た。天板部は良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。さらに、リブの一部にかすれ状の跡が見られたが、完全充填しており、樹脂リッチ部は見られない良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表5に記載した。
(実施例14)
まず、参考例16で得た成形材料1を長さ200mm、幅20mmに裁断した1枚を、実施例13のプリフォーム13Aに配置する成形材料10の上にさらに積層し、プリフォーム14Aとした。プリフォーム13Aの代わりにプリフォーム14Aを用いた以外は、実施例13と同様にして、予熱、プリフォームおよび成形を行い、成形品を得た。天板、リブ部ともに良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られない非常に良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表5に記載した。
(実施例15)
実施例13で裁断した成形材料1−1に対して、上金型における開口部の開口位置に位置する領域かつ成形材料1−1の中央に切り込み処理を施したものを、成形材料1−1−1とする。切り込み長さは200mmである。成形材料1−1の代わりに成形材料1−1−1を用いた以外は、実施例14と同様にして予熱、プリフォームおよび成形を行い、成形品を得た。天板、リブ部ともに良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られない非常に良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表5に記載した。
(実施例16)
参考例18で得た成形材料3と参考例17で得た成形材料2とを用いた。ここで、成形材料3、成形材料2の濃度パラメーターpから、成形材料3は成形材料(A)に、成形材料2は成形材料(B)に分類される。
成形材料1、成形材料10の代わりに、それぞれ成形材料3、成形材料2を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブには、樹脂リッチ部はあるものの、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表6に記載した。
(実施例17)
実施例1で裁断した成形材料1、成形材料10の端材と参考例7の無変性ポリプロピレン樹脂とを200℃の二軸押出機に投入し、溶融混練させた。混練物をT字ダイから押出した後、参考例25と同様にして長さ500mm×幅500mに裁断したCF/PPフィルムを用いてプレス成形を行い、強化繊維と熱可塑性樹脂からなる長さ500mm、幅500mm、厚みが2.0mmの成形材料13を得た。材料特性は表6に示す。
参考例16で得た成形材料1と該成形材料13とを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。ここで、成形材料1、成形材料13の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料13は成形材料(B)に分類される。天板およびリブ部ともに良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られない良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表2に記載した。
(実施例18)
参考例16で得た成形材料1と参考例17で得た成形材料2とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料2の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料2は成形材料(B)に分類される。
成形材料10の代わりに成形材料2を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。面板部にソリはなく、また表面にかすれ等もなく良好な表面外観を有していた。また、リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、充填は十分であった。特性および評価結果は、まとめて表6に記載した。
(実施例19)
参考例16で得た成形材料1と参考例27で得た成形材料12とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料12の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料12は成形材料(B)に分類される。
成形材料10の代わりに成形材料11を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。面板部はソリもほぼなく、表面にかすれ等もなく良好な表面外観を有していた。また、リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、充填は十分であった。特性および評価結果は、まとめて表6に記載した。
(実施例20)
参考例22で得た成形材料7と参考例26で得た成形材料11とを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。なお、遠赤外線ヒーターを調整し、成形材料の温度を250℃にした。ここで、成形材料7、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料7は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。得られた成形品は、リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、その他は良好な表面外観であり、またソリは見られなかった。さらに、リブへは材料が完全に充填しており、樹脂リッチ部は見られない良好な成形品であった。特性および評価結果は、まとめて表6に記載した。
(実施例21)
参考例23で得た成形材料8と参考例24で得た成形材料9とを用いた以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。ここで、成形材料7、成形材料8の濃度パラメーターpから、成形材料7は成形材料(A)に、成形材料8は成形材料(B)に分類される。得られた成形品は、天板の表面外観は良好であったが、リブ部に樹脂リッチが見られた。特性および評価結果は、まとめて表7に記載した。
(実施例22)
面圧5MPaでプレス成形した以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、面板部の表面外観、ソリともに良好であった。リブ部は樹脂リッチ部が生じていたものの、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表7に記載した。
(実施例23)
面圧35MPaでプレス成形した以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、曲げ強度でやや劣るものの、面板部の表面外観、ソリともに良好であった。また、リブ部はかすれ状の跡もなく、完全充填であり、良好あった。特性および評価結果は、まとめて表7に記載した。
(実施例24)
面圧50MPaでプレス成形した以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品は、曲げ強度の面内ばらつき、曲げ強度でやや劣るものの、面板部の表面外観、ソリともに良好であった。また、リブ部はかすれ状の跡もなく、完全充填であり、良好あった。特性および評価結果は、まとめて表7に記載した。
(実施例25)
実施例1のプリフォーム1Cの形態で、遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中で予熱した。プリフォーム1Cに設置した熱電対の温度が210℃に達するのに20分間要した。予熱後のプリフォーム1Cを用いて、実施例1と同様にして成形を行った。得られた成形品は、天板にかすれ状の跡もなく、ソリはほぼ生じていなかった。リブ部の一部にかすれ状の跡が見られたが、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表7に記載した。
(実施例26)
実施例1と同様にして、実施例1のプリフォーム1Aが1体、プリフォーム1Bが3体を、遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム1Bの上にプリフォーム1Aを積層したものをプリフォーム1D、またプリフォーム1Bを2体積層したものをプリフォーム1Eとした。
ついで、予熱したプリフォーム1Dを下金型の凸部の上に配置し、リブの位置に成形材料10が配置されていることを確認した後、プリフォーム1Dの上に予熱したプリフォーム1Eを配置した後、該上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この際、該上金型と成形材料1とが接触する時点において、成形材料1の表面温度は170℃であり、実施例1の190℃より低かった。この状態で3分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形体を得た。面板に一部かすれ状の跡が見られた。また、リブには樹脂リッチ部が生じているものの、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表8に記載した。
(実施例27)
参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを用いた。ここで、成形材料1、成形材料10の濃度パラメーターpから、成形材料1は成形材料(A)に、成形材料10は成形材料(B)に分類される。成形材料1、成形材料10を以下の寸法に裁断し、成形材料1を16枚、成形材料10を10枚用意した。
成形材料1:長さ210mm、幅220mm
成形材料10:長さ200mm、幅20mm
次に成形材料のプリフォームとして、4枚の成形材料1を積層した、積層体をプリフォーム27Aとし、4体用意した。また、成形材料10を2枚積層した積層体をプリフォーム27Bとし、5体用意した。成形金型は参考例27を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームの成形材料に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム27Aを2体積層し、これをプリフォーム27Cとした。さらに、プリフォーム27Bを5体積層し、プリフォーム27Dを作製した。
ついで、予熱したプリフォーム27Dを下金型の開口部の上に配置した後、その両隣にプリフォーム27Cがプリフォーム27Dと重ならないように配置した。その後、該上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この状態で3分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形体を得た。リブ部は樹脂リッチ部が見られたものの、完全充填であった。また、得られた成形品の天板部にソリが若干生じていた。特性および評価結果は、まとめて表8に記載した。
(実施例28)
成形材料10を5枚用いた以外は、実施例1と同じにして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。天板部は良好な表面外観であり、得られた成形品にソリは見られなかった。また、リブ部へは樹脂リッチ部が見られたものの、完全充填していた。特性および評価結果は、まとめて表8に記載した。
(実施例29)
参考例29の十字リブ成形用金型を用いた以外は、実施例15と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。ただし、開口部に配置する成形材料10は、十字形状の開口部に合わせたサイズに裁断したものを用いた。成形材料どうしが重ならないことを確認して、プリフォームを作製した。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブには、樹脂リッチ部はあるものの、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表8に記載した。
(実施例30)
成形材料(B)に成形材料13を用いた以外は、実施例29と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブは、樹脂リッチ部がなく、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表11に記載した。
(実施例31)
成形材料(A)の上金型における開口部の開口位置に位置する領域に、切り込み長さ200mmの切り込みを入れたこと以外は、実施例17と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブは、樹脂リッチ部がなく、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表11に記載した。
(実施例32)
成形材料(A)の上金型における開口部の開口位置に位置する領域に、切り込み長さ200mmの切り込みを入れたこと以外は、実施例19と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブは、樹脂リッチ部がなく、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表11に記載した。
(実施例33)
成形材料(A)の上金型における開口部の開口位置に位置する領域に、切り込み長さ200mmの切り込みを入れたこと以外は、実施例20と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の天板は、ソリはほぼなく、良好な表面外観を有していた。リブは、樹脂リッチ部がなく、完全充填であった。天板は等方性がやや低くなっていた。特性および評価結果は、まとめて表11に記載した。
(比較例1)
参考例16で得られた成形材料1のみを用いた。成形材料1を長さ440mm、幅220mmの寸法に裁断し、8枚用意した。
次に成形材料のプリフォームとして、成形材料1を2枚積層した積層体を4体用意した。成形金型は参考例27を用い、金型温度を80℃に温調した。
実施例1と同様にして、遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各積層体に設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、4体の積層体を順番に積層した。
ついで、該積層体を下金型の凸部の上に配置し、該上金型を降下させ、面圧20MPaでプレス成形した。この状態で3分間加圧、冷却した後、上金型を上昇させ、成形体を得た。得られた成形品の面板の表面外観は良好であり、またソリほぼ見られなかったが、面板部の等方性はやや劣っていた。さらに、リブ部の充填および繊維充填率は不十分であり、繊維充填率も十分ではなかった。特性および評価結果は、まとめて表9に記載した。
(比較例2)
参考例25で得られた成形材料10のみを用いた。成形材料10を長さ440mm、幅220mmの寸法に裁断し、2枚用意した以外は、比較例1と同様にして、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板の表面外観は良好であり、またソリもほぼ見られなかった。しかし、面板の曲げ強度が乏しかった。リブへの充填および表面外観は良好であった。特性および評価結果は、まとめて表9に記載した。
(比較例3)
参考例16で得られた成形材料1のみを用いた。成形材料10の代わりに成形材料1を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板の表面外観は良好であり、またソリも見られなかった。また、天板の等方性は比較例1より優れた。しかし、リブには、樹脂リッチ部はあるものの、完全充填であった。また、繊維充填率が劣っていた。特性および評価結果は、まとめて表9に記載した。
(比較例4)
参考例18で得られた成形材料3と参考例19で得られた成形材料4とを用いた。ここで、成形材料3、成形材料4の濃度パラメーターpから、成形材料3および成形材料4ともに成形材料(A)に分類される。
成形材料1、成形材料10の代わりに、それぞれ成形材料3、成形材料4を用いた以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板の表面外観は良好であり、またソリもほぼ見られなかった。また、面板は等方性に優れていた。しかし、リブ部は充填が不十分であり、かつ樹脂リッチが目立った。特性および評価結果は、まとめて表9に記載した。
(比較例5)
実施例1と同様にして、参考例16で得た成形材料1と参考例25で得た成形材料10とを裁断した。ただし、成形材料1は長さ200mm、幅200mmのサイズに裁断し、16枚用意した。
次に成形材料のプリフォームとして、2枚の成形材料1の上にリブの真上の位置に成形材料10を10枚配置した。この積層体をプリフォーム4Aとする。また、成形材料1を2枚積層した積層体をプリフォーム4Bとし、7体用意した。成形金型は参考例23を用い、金型温度を80℃に温調した。
遠赤外線ヒーターを具備したオーブン中に、各プリフォームを個別に配置し、10分間予熱した。各プリフォームに設置した熱電対の温度が210℃に達していることを確認した後、オーブン中でプリフォーム4Bを3体積層した上にプリフォーム4Aを積層し、さらにその上にプリフォーム4Bを4体積層したものをプリフォーム4Cとした。
ついで、予熱したプリフォーム4Cを下金型の凸部の上に配置し、リブの位置に成形材料10が配置されていることを確認した後、実施例1と同様にして成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板表面にかすれ状の跡が見られた。また、リブへの充填はほとんどしていなかった。さらに、天板は等方性に劣っていた。特性および評価結果は、まとめて表9に記載した。
(比較例6)
予熱時の成形材料の温度を140℃とする以外は、実施例1と同様にして、プリフォーム、予熱を行った。予熱後のプリフォームを確認したところ、成形材料に含まれるポリプロピレン樹脂が溶融しておらず、成形できなかった。特性および評価結果は、まとめて表10に記載した。
(比較例7)
金型温度を30℃とする以外は、実施例20と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板部は、全体的にかすれが見られ、外観に劣る。リブ部は、一部にかすれ状の跡が見られたが、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表10に記載した。
(比較例8)
金型温度を210℃とする以外は、実施例20と同様にして、プリフォーム、予熱および成形を行い、成形品を得た。得られた成形品の面板部は、全体的にかすれが見られ、外観に劣った。また、曲げ強度の面内ばらつきが劣っていた。リブ部は、一部にかすれ状の跡が見られたが、完全充填であった。特性および評価結果は、まとめて表10に記載した。
従来法とは異なり、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含むシート状の成形材料を積層し、プレス成形するにあたり、構成の異なる2種類以上の成形材料を用いることで、表面外観、寸法精度、信頼性に優れた面板部の形成と、リブ構造の形成を両立した、リブ構造を有する成形品を得ることができる。そのため本発明で得られた成形品は、自動車、電気・電子機器、家電製品、または、航空機の用途に用いられる部品・部材に好適に用いることができる。
1 一文字リブ成形用金型の凹部の型
2 一文字リブ成形用金型の凸部の型
3 開口部(斜線領域)
4−1,4−2,4−3,4−4,4−5,4−6,4−7,4−8,7,8 単繊維
5−1,5−2,5−3,5−4,5−5,5−6,5−7,5−8 繊維束
6−1,6−2,9 流動単位
10 成形品の投影面(斜線部)
11 開口部の投影面(斜線部)
12 二次元配向角

Claims (23)

  1. 不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含み、次の一般式(1)で表される濃度パラメーターpが1×10以上であって1×10以下であるシート状の成形材料(A)と、不連続な強化繊維と熱可塑性樹脂を含み、次の一般式(1)で表される濃度パラメーターpが1×10以上であって前記成形材料(A)の濃度パラメーターの0.1倍以下であるシート状の成形材料(B)を含むプリフォームを、リブ構造を形成するための開口部を有する開口金型とそれに対向する対向金型とを用いてプレス成形してリブ構造を有する成形品を製造するにあたり、前記成形材料(A)の面積を成形品の投影面積の70%以上とし、主にリブ部を形成する前記成形材料(B)を前記開口部の投影位置に配置する、リブ構造を有する成形品の製造方法。
    n:成形材料の単位面積(1mm)当たりに含まれる強化繊維からなる流動単位の数
    h:成形材料の厚み(mm)
    Ln:強化繊維の数平均繊維長(mm)
  2. 前記プレス成形が、以下の工程(I)〜(IV)を含む、請求項1に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
    工程(I):プリフォームを、該プリフォームに含まれる熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点以上に加熱する工程。
    工程(II):工程(I)で加熱したプリフォームを搬送し、金型に配置する工程。
    工程(III):熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃〜150℃低い温度を有する金型を型締めすることにより、プリフォームを加圧冷却する工程。
    工程(IV):冷却後、金型を開放し、金型から成形品を取り出す工程。
  3. 前記プリフォームは、前記成形材料(A)と前記成形材料(B)とが積層されてなる、請求項1または2に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  4. 前記プリフォームを、前記成形材料(A)が対向金型側になるように、配置する、請求項3に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  5. 前記成形材料(B)がプリフォームの中間層に積層され、前記成形材料(A)が、前記開口金型側にも配置される、請求項4に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  6. 前記成形材料(B)に含まれる強化繊維の数平均繊維長Lbが、前記リブ構造のリブ厚みTrの2倍以下である、請求項1〜5のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  7. 前記成形材料(B)の面積が、前記開口部の開口面積の1〜50倍である、請求項1〜6のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  8. 前記成形材料(A)が、前記成形材料(B)と前記開口金型との間に配置され、前記成形材料(A)には前記開口部の投影面の領域に貫通部を有する、請求項1〜7のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  9. 前記成形材料(A)の面積が、前記成形品の投影面積よりも大きい、請求項1〜8のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  10. 前記プリフォームに含まれる成形材料(B)の総体積Vbが、前記開口部のキャビティ体積Vrより大きい、請求項1〜9のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  11. 前記熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より35℃高い温度において、成形材料(A)の伸長率R(%)が100%以上350%未満であり、成形材料(B)の伸長率R(%)が350%以上1000%未満である、請求項1〜10のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  12. 前記成形材料(A)に含まれる強化繊維は、強化繊維単糸(a)と該強化繊維単糸(a)と交差する強化繊維単糸(b)とで形成される二次元配向角の平均値が10〜80度である、請求項1〜11のいずれかに記載のプリフォームを用いたリブ構造を有する成形品を製造する方法。
  13. 前記成形材料(A)は、測定方向による最大引張強度σMaxが最小引張強度σMinの2倍以下である、請求項1〜12のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  14. 前記成形材料(A)に含まれる強化繊維は、数平均繊維長が2〜20mmである、請求項1〜13のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  15. 前記成形材料(B)に含まれる強化繊維は、数平均繊維長が0.1〜2mmである、請求項1〜14のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  16. 前記成形材料(B)が、前記成形材料(A)を製造または加工する過程で得られる端材を含む、請求項1〜15のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  17. 前記成形材料(A)が、厚み0.1〜1mmの成形素材料を積層単位として含む、請求項1〜16のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  18. 前記強化繊維がポリアクリロニトリル系炭素繊維である、請求項1〜17のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  19. 前記工程(III)の型締めに際し、プリフォームと該プリフォームに接近する金型とが接触する時点において、当該接近する金型側のプリフォームの表面温度が前記熱可塑性樹脂の軟化温度あるいは融点より20℃以上高い、請求項2に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  20. 前記工程(III)において、成形品の投影面にかかる加圧力が10〜40MPaの範囲である、請求項2に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  21. 前記工程(I)において、前記プリフォームを構成する成形材料(A)および/または成形材料(B)を0.1〜10mmの厚みの範囲で分割し、別々に加熱し、熱可塑性樹脂を軟化温度あるいは融点以上にする、請求項2に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  22. 前記工程(I)と前記工程(II)の間に、最終形態のプリフォームを形成する工程を含む、請求項2に記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
  23. 得られる成形品は、リブ構造の高さHr(mm)が、リブ構造が付随している面板部厚みH0(mm)の3倍以上である、請求項1〜22のいずれかに記載のリブ構造を有する成形品の製造方法。
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