(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る放電灯点灯装置1は、直流電源回路10と、インバータ回路11と、始動回路13と、制御回路12とを備える。直流電源回路10は、直流電圧を出力する。インバータ回路11は、直流電源回路10の出力電圧を交番電圧に変換して放電灯3に出力する。始動回路13は、インバータ回路11の出力電圧を受けて高電圧パルスを発生し、放電灯3を始動させる。制御回路12は、直流電源回路10及びインバータ回路11の各出力を制御する。
インバータ回路11は、放電灯3の始動時において、一方の極性の直流電圧を出力する第1期間T1と、他方の極性の直流電圧又は零電圧を出力する第2期間T2とを交互に繰り返す。第1期間T1は第2期間T2よりも長い。インバータ回路11は、少なくとも2つ以上(本実施形態では4つ)のスイッチング素子Q11〜Q14から成るブリッジ回路と、各スイッチング素子Q11〜Q14をそれぞれ駆動する複数(本実施形態では4つ)の駆動回路110〜140とを備える。インバータ回路11は、各スイッチング素子Q11〜Q14のうち、ハイサイドのスイッチング素子Q11,Q13を駆動する第1駆動回路110、第3駆動回路130に動作電圧を供給する電源用コンデンサC11,C13を備える。
本実施形態の放電灯点灯装置1は、所定の電圧を出力する第1駆動電源と、第1駆動電源の出力する電圧よりも高い電圧を出力する第2駆動電源とを備える。第1駆動電源は、制御電源回路14である。第2駆動電源は、直流電源回路10、又はスイッチング素子Q1及びダイオードD2及びコンデンサC2から成る回路である。また、本実施形態の放電灯点灯装置1は、第1駆動電源により電源用コンデンサC11を充電する第1経路と、第2駆動電源により電源用コンデンサC11を充電する第2経路とを切り替える切替回路15を有する。そして、本実施形態の放電灯点灯装置1では、切替回路15は、放電灯3の始動時において、第2経路に切り替える。
以下、本発明の実施形態1に係る放電灯点灯装置1について図面を用いて説明する。本実施形態の放電灯点灯装置1は、図1に示すように、直流電源回路10と、インバータ回路11と、制御回路12と、始動回路13と、制御電源回路14と、切替回路15とを備える。
直流電源回路10は、直流電源であるバッテリ2からの入力電圧V0を昇圧し、放電灯3を点灯するために必要な直流電圧に変換して出力する。直流電源回路10は、1次巻線L1及び2次巻線L2から成るトランス100と、スイッチング素子Q1と、ダイオードD1と、平滑用コンデンサC1とを備えた昇圧チョッパ回路で構成される。スイッチング素子Q1は、後述する制御回路12から与えられる駆動信号により、オン/オフを切り替える。そして、直流電源回路10の出力電圧V1は、スイッチング素子Q1のスイッチング周期やデューティ比を可変することで調整される。
なお、本実施形態の放電灯点灯装置1では、直流電源回路10として昇圧チョッパ回路を採用しているが、昇降圧チョッパ回路やフライバック・コンバータ(flyback converter)などで構成してもよい。すなわち、直流電源回路10は、スイッチング素子Q1がオンのときにエネルギーをトランス100(インダクタ)に蓄積し、スイッチング素子Q1がオフしたときに蓄えたエネルギーを放出する動作を行う構成であればよい。特に、フライバック・コンバータはトランス100の巻数比以上に電圧を昇圧でき、広範囲の出力電圧を得ることが可能であることから、放電灯点灯装置1の直流電源回路10に好適である。
ここで、スイッチング素子Q1の両端電圧は、スイッチング素子Q1がオンのときは0Vである。一方、スイッチング素子Q1がオフになると、スイッチング素子Q1の両端には入力電圧V0よりも高い昇圧されたキックバック電圧が発生する。このキックバック電圧は、ダイオードD2及びコンデンサC2により整流・平滑され、電源電圧E0として利用される。電源電圧E0は、図1のような昇圧チョッパ回路方式の場合、E0=(V1−V0)・N1/N2+V0で表される。上式において、N1はトランス100の1次巻線L1の巻数、N2が1次巻線L1及び2次巻線L2の総巻数(スイッチング素子Q1がオンからオフに切り替わったときにダイオードD1を介して出力側に電流が流れる巻線の総巻数)である。
これらスイッチング素子Q1、ダイオードD2、コンデンサC2から成る回路は「第2駆動電源」であり、後述する「第1駆動電源」である制御電源回路14が出力する制御電圧E1よりも高い電源電圧E0を出力する。
インバータ回路11は、4つのスイッチング素子Q11〜Q14から構成されるフルブリッジ回路と、各スイッチング素子Q11〜Q14を駆動する4つの駆動回路110〜140とを備える。各スイッチング素子Q11〜Q14は、何れもnチャネルMOSFETで構成される。なお、図1において上側に位置する2つのスイッチング素子Q11,Q13を「ハイサイド」のスイッチング素子と称し、下側に位置する2つのスイッチング素子Q12,Q14を「ローサイド」のスイッチング素子と称する。
第1駆動回路110は、ハイサイドのスイッチング素子Q11のゲート電圧を制御することで、スイッチング素子Q11のオン/オフを制御する。第1駆動回路110は、所謂ブートストラップコンデンサ(bootstrap capacitor)である電源用コンデンサC11の充電電圧EQ1を供給されることで動作する。電源用コンデンサC11は、ダイオードD11を介して駆動電圧E2を供給されることで充電される。なお、駆動電圧E2は、後述する切替回路15の出力電圧である。
第2駆動回路120は、ローサイドのスイッチング素子Q12のゲート電圧を制御することで、スイッチング素子Q12のオン/オフを制御する。第2駆動回路120は、駆動電圧E2を供給されることで動作する。
第3駆動回路130は、ハイサイドのスイッチング素子Q13のゲート電圧を制御することで、スイッチング素子Q13のオン/オフを制御する。第3駆動回路130は、所謂ブートストラップコンデンサである電源用コンデンサC13の充電電圧EQ3を供給されることで動作する。電源用コンデンサC13は、ダイオードD13を介して駆動電圧E2を供給されることで充電される。
第4駆動回路140は、ローサイドのスイッチング素子Q14のゲート電圧を制御することで、スイッチング素子Q14のオン/オフを制御する。第4駆動回路140は、駆動電圧E2を供給されることで動作する。
制御回路12は、例えばマイコンで構成される。制御回路12は、直流電源回路10の出力電圧及び出力電流の検出結果に基づいて、直流電源回路10のスイッチング素子Q1のスイッチング周期やデューティ比を制御する。制御回路12は、この制御により、直流電源回路10の出力電圧V1を所望の直流電圧に制御する。なお、直流電源回路10の出力電圧及び出力電流を検出する手段については従来周知であるので、ここでは説明を省略する。
また、制御回路12は、インバータ回路11の各駆動回路110〜140に駆動信号を与えることで各スイッチング素子Q11〜Q14のオン/オフを制御する。具体的には、制御回路12は、スイッチング素子Q11,Q14をオン、スイッチング素子Q12,Q13をオフに切り替えることで一方の極性の電圧をインバータ回路11から出力させる。また、制御回路12は、スイッチング素子Q11,Q14をオフ、スイッチング素子Q12,Q13をオンに切り替えることで他方の極性の電圧をインバータ回路11から出力させる。そして、制御回路12は、これらの制御により、インバータ回路11から出力される交番電圧を制御する。
ここで、スイッチング素子Q11,Q14がオンのときは、第1駆動回路110は電源用コンデンサC11を電源として使用する。このとき、電源用コンデンサC13には、ダイオードD13及びスイッチング素子Q14を介して駆動電圧E2が供給される。したがって、電源用コンデンサC13は、インバータ回路11が一方の極性の電圧を出力している間、充電される。スイッチング素子Q12,Q13がオンのときは、第3駆動回路130は電源用コンデンサC13を電源として使用する。このとき、電源用コンデンサC11には、ダイオードD11及びスイッチング素子Q12を介して駆動電圧E2が供給される。したがって、電源用コンデンサC11は、インバータ回路11が他方の極性の電圧を出力している間、充電される。
始動回路13は、パルス駆動回路(図示せず)及びパルストランス(図示せず)で構成される。始動回路13は、放電灯3の放電開始時(すなわち、始動時)に、インバータ回路11の出力電圧を受けて放電灯3を始動するための高電圧パルスを発生する。そして、始動回路13は、発生した高電圧パルスを消灯状態の放電灯3の電極間に印加する。これにより、始動回路13は、放電灯3を始動させる。なお、始動回路13は従来周知であるので、ここではその構成及び説明を省略する。
制御電源回路14は、シリーズレギュレータ(series regulator)から構成され、制御回路12の電源電圧である制御電圧E1を出力する。制御電源回路14は、電源電圧E0を入力として、一定電圧(例えば、10V)を出力する。制御電源回路14は、所定の電圧(制御電圧E1)を出力する「第1駆動電源」である。
なお、直流電源回路10のスイッチング素子Q1のスイッチング動作が開始すれば、コンデンサC2の充電電圧が入力電圧V0よりも上昇する。このため、バッテリ2の入力電圧V0が制御電圧E1より低い場合でも、制御回路12の動作に必要な電圧を安定してことが可能である。
切替回路15は、限流抵抗R1と、コンパレータCOM1と、スイッチSW1とを備える。コンパレータCOM1の非反転入力端子には、電源電圧E0が入力される。また、コンパレータCOM1の反転入力端子には、基準電圧VB1が入力される。基準電圧VB1は、制御電圧E1よりも高い電圧である。すなわち、基準電圧VB1は、「閾値電圧」である。
スイッチSW1は、コンパレータCOM1の出力によりa接点とb接点とを切り替える構成となっている。すなわち、電源電圧E0が基準電圧VB1よりも低い場合は、コンパレータCOM1の出力がローレベルとなり、スイッチSW1はa接点に切り替わる。一方、電源電圧E0が基準電圧VB1よりも高い場合は、コンパレータCOM1の出力がハイレベルとなり、スイッチSW1はb接点に切り替わる。
スイッチSW1がa接点に切り替わると、制御電源回路14がスイッチSW1を介して切替回路15の出力端子と接続される。したがって、スイッチSW1がa接点に切り替わると、制御電圧E1が駆動電圧E2となる。スイッチSW1がb接点に切り替わると、コンデンサC2が限流抵抗R1及びスイッチSW1を介して切替回路15の出力端子と接続される。したがって、スイッチSW1がb接点に切り替わると、電源電圧E0が駆動電圧E2となる。
すなわち、切替回路15は、第1駆動電源により電源用コンデンサC11を充電する第1経路と、第2駆動電源により電源用コンデンサC11を充電する第2経路とを切り替えるように構成されている。
以下、本実施形態の放電灯点灯装置1の動作について図2を用いて説明する。装置の動作の開始直後は、電源電圧E0が低いため、切替回路15のスイッチSW1はa接点に接続されている。装置の動作を開始すると、制御回路12は、ローサイドのスイッチング素子Q12,Q14をオンに切り替える。これにより、駆動電圧E2がダイオードD11,D13を介して電源用コンデンサC11,C13に供給され、電源用コンデンサC11,C13の充電が開始する。駆動電圧E2は、制御電源回路14から供給されるもので、制御電圧E1までは直ぐに上昇する。
装置の動作が開始すると、制御回路12は、スイッチング素子Q1を制御して直流電源回路10の制御も開始する。装置の開始直後は、放電灯3が消灯している状態である。このため、制御回路12は、放電灯3を始動させるべく、先ず直流電源回路10の出力電圧V1を点灯時の電圧(点灯電圧)V11よりも高い電圧(始動電圧)V10(例えば、400V)まで上昇させる。このとき、電源電圧E0も始動電圧V10の上昇に伴って上昇する。例えば、入力電圧V0=12.8V、始動電圧V10=400V、トランス100の巻数比N1:N2=1:6とすると、電源電圧E0は約77.3Vまで上昇する。
切替回路15において、コンパレータCOM1の基準電圧VB1を例えば50Vに設定した場合、出力電圧V1が始動電圧V10まで上昇すると、コンパレータCOM1の出力がハイレベルに切り替わる。これにより、スイッチSW1がb接点に切り替わり、限流抵抗R1を介して電源電圧E0が供給される。ここで、限流抵抗R1は、自身を流れる電流が、制御電圧E1を印加したときの各駆動回路110〜140の消費電流I0よりも大きくなるような抵抗値に設定される。このように限流抵抗R1の抵抗値を設定することで、始動時の駆動電圧E2は、制御電圧E1よりも高くなる。
なお、始動時の駆動電圧E2が各駆動回路110〜140の耐電圧を超えないように、ツェナーダイオードZD1を設けている。したがって、駆動電圧E2は、ツェナー電圧VZ1に制限される。ツェナーダイオードZD1としては、ツェナー電圧VZ1が各駆動回路110〜140の耐電圧よりも低いものを選択する。
装置の動作を開始してから所定期間T0が経過すると、制御回路12は、スイッチング素子Q11,Q14をオンに切り替え、スイッチング素子Q12,Q13をオフに切り替えることで、放電灯3の始動制御を開始する。これにより、インバータ回路11の出力電圧V2が始動電圧V10となり、始動回路13に印加される。このとき、スイッチング素子Q11のソース端子の電位が駆動電圧E2よりも上昇するので、電源用コンデンサC11の充電が停止する。そして、電源用コンデンサC11に蓄積された電荷が第1駆動回路110の電源に利用されるため、電源用コンデンサC11の充電電圧EQ1は徐々に低下する。
その後、電源用コンデンサC11の充電電圧EQ1が第1駆動回路110の動作可能な下限電圧VL1に達する前に、放電灯3の放電が開始しなかった場合は、制御回路12は、放電灯3の始動制御を継続する。
始動制御が継続している場合、始動制御の開始時点から所定期間(第1期間)T1が経過すると、制御回路12は、ハイサイドのスイッチング素子Q11,Q13をオフに切り替え、ローサイドのスイッチング素子Q12,Q14をオンに切り替える。これにより、電源用コンデンサC11を再充電し、電源用コンデンサC11の充電電圧EQ1をツェナー電圧VZ1まで再度上昇させる。このとき、インバータ回路11の出力電圧V2は、GNDレベルで零電圧となる。
電源用コンデンサC11の再充電を開始してから所定期間(第2期間)T2(T2≪T1)が経過すると、制御回路12は、スイッチング素子Q11,Q14をオンに切り替え、スイッチング素子Q12,Q13をオフに切り替える。これにより、インバータ回路11の出力電圧V2が再び始動電圧V10となり、始動回路13に印加される。以下、放電灯3が点灯するまで上記の動作を繰り返す。
放電灯3が点灯すると、直流電源回路10の出力電圧V1は、始動電圧V10から点灯電圧V11まで低下する。例えば、放電灯3が水銀を含まないメタルハライドランプの場合、直流電源回路10の出力電圧V1=42V、入力電圧V0=12.8V、巻数比N1/N2=1/6であれば、電源電圧E0は19.8Vまで低下する。すると、電源電圧E0がコンパレータCOM1の基準電圧VB1よりも低くなるので、コンパレータCOM1の出力がローレベルに切り替わる。これにより、スイッチSW1がa接点に切り替わり、制御電圧E1が駆動電圧E2となる。
放電灯3が点灯すると、制御回路12は、半周期が第1期間T1に比べて極めて短い所定の低周波数(例えば、数百Hz〜数kHz)の交番電圧を放電灯3に印加するように、各スイッチング素子Q11〜Q14のオン/オフを制御する。このため、電源用コンデンサC11,C13の充電電圧EQ1,EQ3は、制御電圧E1とほぼ同じ電圧レベルに保たれ、各駆動回路110,130の動作可能な下限電圧VL1よりも低下することはない。
上述のように、本実施形態の放電灯点灯装置1は、放電灯3の始動時において、第2経路に切り替えることで、制御電圧E1よりも高い駆動電圧E2で電源用コンデンサC11,C13を充電するように構成している。このため、第1駆動回路110の電源として電源用コンデンサC11を使用する際に、充電電圧EQ1,EQ3が各駆動回路110,130の動作可能な下限電圧VL1に達するまでの時間を長くすることができる。
したがって、本実施形態の放電灯点灯装置1では、従来例のように放電時間を考慮して静電容量の大きい電源用コンデンサC11,C13を用意する必要がない。このため、本実施形態の放電灯点灯装置1では、電源用コンデンサC11,C13の静電容量を大きくすることなく放電灯3の始動時の安定性を確保することができる。このため、本実施形態の放電灯点灯装置1では、電源用コンデンサC11,C13の大型化に伴うコストの増加や装置の大型化を招くことがない。
また、本実施形態の放電灯点灯装置1は、放電灯3の始動時において、制御電圧E1を出力する第1経路とは異なる第2経路で電源用コンデンサC11,C13を充電するように構成している。したがって、本実施形態の放電灯点灯装置1では、放電灯3の始動時の安定性を確保するために制御電圧E1自体を高くする必要がないので、制御回路12の消費電力が増大するのを防ぐことができる。
なお、本実施形態の放電灯点灯装置1では、放電灯3の点灯時において切替回路15が第1経路に切り替えているが、この構成を採用するか否かは任意である。
なお、本実施形態の放電灯点灯装置1では、スイッチSW1の切替動作のためにコンパレータCOM1にて電源電圧E0を監視しているが、直流電源回路10の出力電圧V1を監視する構成であってもよい。すなわち、直流電源回路10の出力電圧V1が点灯電圧V11を上回ると、切替回路15がスイッチSW1をb接点に切り替える構成であってもよい。また、切替回路15がスイッチSW1を切り替えるか否かの判定手段は、上記のような電圧を検出することによる判定手段のみならず、他の判定手段を用いてもよい。
また、本実施形態の放電灯点灯装置1では、放電灯3の始動時において、全ての駆動回路110〜140に制御電圧E1よりも高い駆動電圧E2を供給する構成となっているが、他の構成であってもよい。例えば、ローサイドの駆動回路120,140には、始動時、点灯時に依らず制御電圧E1を供給し、ハイサイドの駆動回路110,130には、始動時に駆動電圧E2、点灯時に制御電圧E1を供給するように構成してもよい。
なお、切替回路15の構成は図1に示すものに限定される必要はなく、例えば図3に示す構成であってもよい。以下、図3に示す切替回路15の構成について説明する。この切替回路15は、スイッチSW1の代わりにpnp型のトランジスタTR1を備える。トランジスタTR1のエミッタ端子には、コンデンサC2を接続している。したがって、エミッタ端子には、電源電圧E0が入力される。また、ベース端子には、ツェナーダイオードZD2を介して制御電源回路14を接続している。したがって、ベース端子には、ツェナーダイオードD2を介して制御電圧E1が入力される。コレクタ端子には、限流抵抗R1及びダイオードD3を介して切替回路15の出力端子を接続している。また、切替回路15の出力端子は、ダイオードD4を介して制御電源回路14に接続している。
以下、図3に示す切替回路15の動作について説明する。放電灯3の始動時において、直流電源回路10の出力電圧V1が上昇すると、これに伴って電源電圧E0が上昇する。そして、トランジスタTR1のベース−エミッタ間電圧を無視すれば、電源電圧E0が制御電圧E1とツェナーダイオードZD2のツェナー電圧との総和を超えると、トランジスタTR1にベース電流が流れてトランジスタTR1がオンする。すると、コンデンサC2から限流抵抗R1及びダイオードD3を介して切替回路15の出力端子に電流が流れ、電源電圧E0が駆動電圧E2となる。このとき、駆動電圧E2が制御電圧E1よりも高いので、ダイオードD4は逆バイアスとなり、制御電源回路14から切替回路15の出力端子に電流が流れることはない。
放電灯3が点灯すると、電源電圧E0が低下するため、トランジスタTR1にベース電流が流れなくなってオフに切り替わる。これにより、制御電源回路14からダイオードD4を介して切替回路15の出力端子に電流が流れ、制御電圧E1が駆動電圧E2となる。なお、ダイオードD3は、トランジスタTR1がオフの場合の逆流防止用ダイオードとして機能する。
ここで、図3の構成では、電源電圧E0が制御電圧E1とツェナーダイオードZD2のツェナー電圧との総和を超えるとトランジスタTR1のオン/オフを切り替える構成となっているが、他の構成であってもよい。例えば、ツェナーダイオードZD2のアノードをGND(グラウンド)に接続し、電源電圧E0がツェナーダイオードZD2のツェナー電圧を超えるとトランジスタTR1のオン/オフを切り替える構成であってもよい。
(実施形態2)
以下、本発明の実施形態2に係る放電灯点灯装置1について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の放電灯点灯装置1の基本構成は、実施形態1の放電灯点灯装置1と共通するので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態の放電灯点灯装置1は、図4に示すように、切替回路15が、ダイオードD4を介して第1電流I1を出力する第1経路と、限流抵抗R1及びダイオードD3を介して第2電流I2を出力する第2経路とを切り替えるように構成されている。また、本実施形態の放電灯点灯装置1では、第1経路のダイオードD4、及び第2経路の限流抵抗R1、ダイオードD3が切替回路15として機能する。
以下、本実施形態の放電灯点灯装置1の動作について説明する。図5に示すように、装置の動作開始直後では、電源電圧E0が低い。したがって、この時点では、各駆動回路110〜140へ供給される電流は主として第1電流I1となり、駆動電圧E2は制御電圧E1とほぼ等しい。
その後、直流電源回路10の出力電圧V1が上昇すると、これに伴って電源電圧E0も上昇する。そして、放電灯3の始動時において電源電圧E0は制御電圧E1よりも高くなる。すると、ダイオードD4は逆バイアスとなるため、第1電流I1はほぼ零となり、各駆動回路110〜140へ供給される電流が主として第2電流I2に切り替わる。そして、電源電圧E0の上昇に伴って駆動電圧E2が上昇し、ツェナーダイオードZD1のツェナー電圧VZ1に制限される。なお、限流抵抗R1は、第2電流I2が、各駆動回路110〜140の消費電流I0よりも大きくなるような抵抗値に設定される。
放電灯3が点灯すると、直流電源回路10の出力電圧V1は、始動電圧V10から点灯電圧V11まで低下する。これにより、電源電圧E0も低下するため、第2電流I2が放電灯3の始動時に比べて大幅に低下する。そして、各駆動回路110〜140へ供給される電流が主として第1電流I1に切り替わる。なお、限流抵抗R1は、放電灯3の点灯時における第2電流I2が少なくとも消費電流I0の半分よりも小さくなるような抵抗値に設定されるのが望ましい。
上述のように、本実施形態の放電灯点灯装置1では、放電灯3の点灯時と始動時とで直流電源回路10の出力電圧V1が大幅に変動することを利用し、且つダイオードD3,D4のスイッチ作用を利用している。これにより、本実施形態の放電灯点灯装置1は、コンパレータCOM1等を用いなくとも充電経路を切り替えることが可能となり、簡易な回路で実施形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、放電灯3の始動時において各駆動回路110〜140へ主として供給される第2電流I2を消費電流I0より大きくし、放電灯3の点灯時の第2電流I2を消費電流I0と比較して大幅に小さくなるように限流抵抗R1の抵抗値を設定している。このため、放電灯3の点灯時における限流抵抗R1でのストレスを軽減することができる。
また、図4に示す構成の場合、電源電圧E0は常に制御電圧E1よりも高くなるため、ダイオードD3は設けなくてもよい。
また、図示しないが、トランス100に3次巻線を設け、3次巻線の誘起電圧を整流・平滑して電源電圧E0を得る構成でもよい。この構成では、放電灯3の始動時には電源電圧E0が制御電圧E1よりも高く、点灯時には電源電圧E0が制御電圧E1よりも低くなるように3次巻線の巻数を設定する。この場合、放電灯3の始動時の動作は上記動作と同じであるが、点灯時は電源電圧E0が制御電圧E1よりも低くなるため、各駆動回路110〜140へ供給される電流が第1電流I1となり、駆動電圧E2は制御電圧E1とほぼ等しくなる。このとき、ダイオードD3は逆バイアスとなるため、第2電流I2はほぼ零となる。
また、図4に示す回路では、直流電源回路10のスイッチング素子Q1に生じるキックバック電圧を平滑した電圧を電源電圧E0として利用する構成となっているが、他の構成であってもよい。例えば、図6に示すように、トランス100の巻線の途中に中間タップを設け、直流電源回路10のスイッチング素子Q1がオフしたときにタップに発生する電圧を電源電圧E0として利用する構成であってもよい。また、トランス100の2次巻線L2の終端(2次巻線L2とダイオードD1との接続点)に発生する電圧や、直流電源回路10の出力電圧V1を電源電圧E0として利用する構成であってもよい。
(実施形態3)
以下、本発明の実施形態3に係る放電灯点灯装置1について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の放電灯点灯装置1の基本構成は、実施形態1の放電灯点灯装置1と共通するので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態の放電灯点灯装置1は、図7に示すように、限流抵抗R1及びダイオードD3を介して電源電圧E0が電源用コンデンサC11に供給されるような構成となっている。なお、本実施形態の放電灯点灯装置1では、直流電源回路10をフライバック・コンバータで構成している。
以下、本実施形態の放電灯点灯装置1の動作について説明する。放電灯3の始動時において、電源電圧E0が制御電圧E1よりも高くなると、限流抵抗R1及びダイオードD3を介して電源用コンデンサC11に電源電圧E0が供給される。なお、電源用コンデンサC11に供給される電源電圧E0は、電源用コンデンサC11と並列に接続されたツェナーダイオードZD1によりツェナー電圧VZ1に制限される。
放電灯3が点灯すると、電源電圧E0が制御電圧E1よりも低くなるため、ダイオードD3は逆バイアスとなる。このため、放電灯3の点灯時においては、電源用コンデンサC11には制御電源回路14から制御電圧E1が供給される。
上述のように、本実施形態の放電灯点灯装置1は、ダイオードD11を介して制御電圧E1で電源用コンデンサC11を充電する第1経路と、ダイオードD3を介して電源電圧E0で電源用コンデンサC11を充電する第2経路とを有する構成となっている。そして、本実施形態の放電灯点灯装置1は、放電灯3の点灯時と始動時とで直流電源回路10の出力電圧V1が大幅に変動することを利用し、且つ各ダイオードD3,D11のスイッチ作用を利用している。これにより、本実施形態の放電灯点灯装置1は、コンパレータCOM1等を用いなくとも充電経路を切り替えることが可能となり、簡易な回路で実施形態1と同様の効果を奏することができる。
なお、図示しないが、トランス100の巻線の途中に中間タップを設け、直流電源回路10のスイッチング素子Q1がオフしたときにタップに発生する電圧を電源電圧E0として利用する構成であってもよい。また、トランス100の2次巻線L2の終端(2次巻線L2とダイオードD1との接続点)に発生する電圧や、直流電源回路10の出力電圧V1を電源電圧E0として利用する構成であってもよい。
また、図8に示すように、限流抵抗R1及びダイオードD3、並びにツェナーダイオードZD1を介して、直流電源回路10の出力電圧V1を電源電圧E0として電源用コンデンサC11に供給する構成でもよい。
なお、同図では、一方の電源用コンデンサC11にのみ直流電源回路10の出力電圧V1を供給する構成となっているが、他方の電源用コンデンサC13にも直流電源回路10の出力電圧V1を供給する構成としてもよい。すなわち、限流抵抗R1及びダイオードD3、並びにツェナーダイオードZD1から成る回路と同じ回路を介して直流電源回路10の出力電圧V1を他方の電源用コンデンサC13に供給する。
この構成は、例えば放電灯3の点灯直後に放電灯3の電極の温度を素早く上昇させるべく、インバータ回路11の出力する交番電圧の最初の1周期のみを長くする動作を行う場合に好適である。すなわち、この場合には、交番電圧の周期が長くなることから電源用コンデンサC13の放電時間も長くなるが、放電灯3の始動時に電源用コンデンサC13を制御電圧E1よりも高い電圧で充電できる。このため、電源用コンデンサC13の充電電圧EQ3が第3駆動回路130の動作可能な下限電圧VL1に達するまでの時間を長くすることができる。したがって、放電時間を考慮して静電容量の大きい電源用コンデンサC13を用意する必要がない。
(実施形態4)
以下、本発明の実施形態4に係る放電灯点灯装置1について図面を用いて説明する。但し、本実施形態の放電灯点灯装置1の基本構成は、実施形態1の放電灯点灯装置1と共通するので、共通する部位には同一の番号を付して説明を省略する。本実施形態の放電灯点灯装置1は、図9に示すように、制御電源回路14の出力する制御電圧E1を制御回路12で可変制御し、この制御電圧E1を各駆動回路110〜140に供給する構成となっている。
制御電源回路14は、pnp型のトランジスタTR2と、npn型の2つのトランジスタTR3,TR4から成る差動増幅器とを備える。トランジスタTR2は、エミッタ端子にコンデンサC2を接続し、コレクタ端子を制御電源回路14の出力端子に接続し、ベース端子をトランジスタTR3のコレクタ端子に接続している。トランジスタTR3は、エミッタ端子をトランジスタTR4のエミッタ端子と接続し、ベース端子に指令電圧VC1を入力している。指令電圧VC1は、制御回路12により可変制御される。トランジスタTR4は、コレクタ端子をトランジスタTR2のコレクタ端子及び制御電源回路14の出力端子に接続している。また、トランジスタTR4のベース端子には、制御電源回路14の出力電圧(制御電圧E1)を抵抗R2,R3で分圧した電圧を入力している。
制御電源回路14は、制御電圧E1を抵抗R2,R3で分圧した電圧が指令電圧VC1に等しくなるように、トランジスタTR3,TR4から成る差動増幅器がトランジスタTR2のベース電流を調整することで出力電圧を安定化している。
制御回路12は、指令電圧VC1を可変制御することで、制御電源回路14の出力電圧を可変制御する。制御回路12は、放電灯3の始動時において、制御電源回路14の出力電圧を上昇させることで、点灯時の制御電圧E1よりも高い電圧を各駆動回路110〜140に供給する。これにより、電源用コンデンサC11,C13は、点灯時の制御電圧E1よりも高い電圧で充電される。したがって、本実施形態の放電灯点灯装置1では、実施形態1の放電灯点灯装置1と同様に、電源用コンデンサC11,C13の静電容量を大きくする必要がない。
また、本実施形態の放電灯点灯装置1では、放電灯3の始動時においてのみ制御電源回路14の制御電圧E1を上昇させ、放電灯3の点灯後には制御電圧E1を低下させる構成となっている。このため、制御電源回路14での消費電力を極力抑えることができる。
なお、本実施形態の放電灯点灯装置1では、制御電源回路14は指令電圧VC1を可変制御することで制御電圧E1を可変制御する構成となっているが、他の構成でもよい。例えば、制御電源回路14は、指令電圧VC1を一定電圧とし、抵抗R2,R3の少なくとも何れか一方の抵抗値を可変制御することで制御電圧E1を可変制御する構成でもよい。また、制御電源回路14の出力する制御電圧E1は、制御回路12の動作モード(放電灯3を始動する始動モードや、放電灯3を安定点灯させる点灯モード)に基づいて切り替えてもよいし、直流電源回路10の出力電圧に基づいて切り替えてもよい。
また、制御電源回路14は、シリーズレギュレータに限るものではなく、スイッチングレギュレータ(switching regulator)で構成してもよい。
なお、上記各実施形態の放電灯点灯装置1において、電源電圧E0は直流電源回路10の出力電圧V1に比例する。したがって、この電源電圧E0を制御回路12の制御電圧E1や、放電灯3の始動時の駆動電圧E2として利用するだけではなく、直流電源回路10の出力電圧V1の検出や、過電圧の検出に利用してもよい。
上記各実施形態の放電灯点灯装置1は、例えば車両用前照灯などの照明装置に用いることができる。以下、本発明の実施形態に係る照明装置の一例として、車両用前照灯4について図面を用いて説明する。本実施形態の車両用前照灯4は、図10(a)に示すように、上記各実施形態の何れかの放電灯点灯装置1と、放電灯3を装着するソケット30と、放電灯点灯装置1及びソケット30を保持する器具本体40とを備える。放電灯点灯装置1は、ヒューズF1及び電源スイッチS1を介してバッテリ2と接続されている。したがって、車両用前照灯4は、電源スイッチS1のオン/オフを切り替えることで、放電灯3の点灯・消灯を切り替えられるように構成されている。車両用前照灯4は、図10(b)に示すように、車両5の前部に取り付けられる。
なお、上記各実施形態の放電灯点灯装置1は、その用途は上記の車両用前照灯4には限定されず、例えばルームランプのような車室内用照明装置や、テールランプ、車幅灯、ブレーキランプのような車外灯照明装置に広く用いることができる。勿論、上記各実施形態の放電灯点灯装置1は、車両用以外の一般的な照明用途の照明装置に用いてもよい。