JP6074435B2 - 変異ctla4遺伝子移入t細胞及びこれを含む抗がん免疫治療用組成物 - Google Patents

変異ctla4遺伝子移入t細胞及びこれを含む抗がん免疫治療用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、抗がんT細胞療法のための遺伝子組み換えされたT細胞及びこれを含む抗がん治療用組成物に関する。
がんの治療にあたって最も一次的で且つ効果的な方法は、外科的切除術である。しかしながら、外科的切除だけでは残存がんや転移性病巣の除去が容易ではないため、これまで化学療法、放射線療法など種々の治療方法が外科的切除術と並行して行われてきた。しかしながら、このような種々の治療法の発展にも拘わらず、多発性転移や外科的切除後に見られる生化学的再発の効果的な治療は未だ発展していないのが現状であり、現在医学系が解消すべき大きな課題として残っている。
このような種々の臓器の腫瘍病巣や視認できない微細病巣の治療のための立派な代案として、最近、体内の免疫系を用いた免疫療法が脚光を浴びており、Robert Schreiberらによってリンパ球欠乏ラットや強力なエフェクターサイトカインであるインターフェロン(IFN)−γノックアウトラットなどにおいてがんの発生頻度が顕著に増大されることが観察されることから、がんの発生が免疫系、特に、リンパ球によって抑制されているという考え方が信頼性を得ており(Nature,2001,vol410;1107−1111)、特に、がん患者の体内にがん連関抗原を認知し得る特異的な抗体またはT細胞が存在するという報告が次から次へと行われていることは、抗がん免疫療法の適用可能性が非常に高いことを立証している。
最近、免疫療法のうち最も脚光を浴びている治療法としては、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞(Natural Killer Cell:NK細胞)、T細胞など免疫細胞を患者に直接的に注入する細胞治療法が挙げられる。中でも、T細胞治療法は眩しい成果を上げているが、T細胞治療法は、患者体内のがん抗原に特異的なT細胞を分離して体外(in vitro)細胞培養を通じて大量増殖して患者の血液に戻すことによりがん細胞を攻撃するようにするという基本的な考え方を有している(Nat.Rev.Immunol.,Vol.6,pp383)。すなわち、少数のがん特異的なT細胞を体外培養を通じてその数を増幅させて治療に用いるということである。
特に、Tリンパ球が有する抗原特異性と組織浸透力は、多数の箇所に散在しているがん焦点を一気に且つ効果的に除去することができるという点で期待を集めているが、T細胞は、自ら血管外遊出を通じて直接的に組織に浸透して特異的に抗原を発現する細胞を殺害することができるので、複数の転移組織にそれぞれ浸透してがん細胞を除去することができるというメリットを有していることから、最近、これらの抗がんT細胞を用いた細胞治療法の開発が盛んに行われているのが現状である。
T細胞を用いた細胞治療は、米国国立保健院(NIH)のSteve Rosenberg博士を中心として去る20〜30年間リンホカイン活性化キラー細胞(LAK:lymphokine−activated killer)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL:tumor−infiltrating lymphocyte)などの名前で試みられてきたが、その有効性は制限的にしか立証されていない。しかしながら、最近、T細胞の注入前に患者のリンパ球を予め枯渇させる試みを通じて転移性黒色腫患者において完全寛解をはじめとして50%の反応率を示すということが報告されることにより、選択的なT細胞伝達療法に重要な突破口を切り開いたという評価を受けている(Science. 2002;298(5594):850−4, J. Clin. Oncol. 2005;23(10):2346−57)。T細胞の注入前のリンパ球の枯渇は、後続して注入されるべきT細胞が増殖する余地を作る一方で、T細胞活性化の制限要素である制御性T細胞を除去する効果があると推定されている。このような反応率は、これまで試みられた免疫治療法の史上最高の反応率であり、その発展可能性に対する非常に励みになる予測を呼び起こしている。
がん抗原に特異的なT細胞療法の成功とあいまって、最近のT細胞療法の傾向は、分離したT細胞に遺伝子組み換えを加えることにより、その性質および効能を向上させた後に、再び患者に注入する遺伝子組み換えT細胞療法への取り組みが盛んに行われている。遺伝子組み換えT細胞療法は、患者から分離されたがん抗原に特異的なT細胞を増殖させた後、特定の遺伝子発現用レトロウィルスを用いてT細胞を形質転換させて患者に再注入するという考え方であり、このような考え方は実験室レベルを超えて既に多くの例において臨床試験が行われている。
しかしながら、このようながん特異的なT細胞を用いたがん治療療法を通じてがん細胞を効果的に除去するために必ず乗り越えるべき障害要因としてがん細胞が有する免疫抵抗性若しくは免疫抑制力が存在する。免疫系の腫瘍抑制能にも拘わらず、正常ラットや免疫能を維持している正常人においてがんが発生するということは、がん細胞が免疫系に抵抗し得る免疫抵抗性または免疫回避性を保有することになるということを意味する。
がん細胞の免疫抵抗性が生じる原因は未だ明らかに判明されておらず、いくつかの仮説が提示されているが、がん細胞が抗がんリンパ球に対する寛容を誘導するという説が有力である。すなわち、人体内には実際にがん細胞を認知して破壊し得るTリンパ球が存在するが、がん細胞若しくはがん細胞の周りの微小環境がこれらの抗がんT細胞を不活性化させるということである。
実際に黒色腫患者の血液から採取したがん抗原に特異的なT細胞は、がん抗原であるMelan−Aペプチドで刺激すればIFN−γを分泌するのに対し、がん組織やがん組織リンパ節から採取したがん抗原に特異的なT細胞はがん抗原で刺激してもIFN−γを分泌できない非活性化状態にあるという報告がある。これは、がん患者の抹消血液にはがん細胞を認知して反応し得るT細胞が存在するが、これらのT細胞ががん組織に移行すれば局所的に非活性化、すなわち、寛容に陥るということを意味する。
これは、逆に言えば、がん細胞によるT細胞寛容を除去すれば、がん細胞がT細胞によって効果的に除去可能になることを意味する。このため、がん細胞に対する免疫学的な寛容を破って抗がんリンパ球を活性化させることが抗がん免疫療法の重要な先決課題であるといえる。
このようながん細胞によるT細胞寛容を除去するための種々の研究が行われてきている。特に、がん細胞によるT細胞寛容に与かる受容体またはタンパク質などを究明し、この機能を除去または抑制したり、受容体に対する拮抗剤または抗体などを用いて治療効果を高めるための研究が盛んに行われている。
代表的に、T細胞寛容に与かると知られている受容体は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4:Cytotoxic T−Lymphocyte−Associated Protein 4またはT−Lymphocyte Antigen 4)であって、CD152とも呼ばれる。CTLA4は、免疫グロブリンのスーパーファミリーの一種であり、T細胞の表面に発現され、T細胞に阻害信号を伝達する。CTLA4タンパク質のT細胞非活性化を通じた寛容誘導現象は、CTLA4ノックアウトマウスにおいて深刻なリンパ球増殖性疾患および自己免疫疾患が観察されることにより確認された。
CTLA4は、T細胞共刺激タンパク質であるCD28とほとんど同じ配列を有し、抗原提示細胞のB7とも呼ばれるCD80およびCD86に対してCD28と競争的に結合するが、B7と結合する場合にCTLA4は阻害信号を、CD28は刺激信号を伝達する。すなわち、B7とCTLA4が結合すれば、T細胞の活性化を阻害し、B7とCD28が結合すれば、T細胞の活性化を誘導するのである。
T細胞寛容に与かる別のタンパク質は、PD1である。PD1はT細胞の表面に発現され、PD−L1と結合してT細胞の活性化を阻害することが知られている。PD−L1はCD28とほとんど同じ構造を有するファミリーメンバーであって、主としてT細胞、B細胞、マクロファージ、樹状細胞などの免疫細胞の表面に発現され、心臓血管内皮細胞など一部の非リンパ性細胞においても発現されることが知られている。
PD1ノックアウトマウスにおいて自然に自己免疫疾患が生じ、PD1刺激によってT細胞の内部に陰性信号が伝達されるなど、PD−L1とPD1との相互作用を通じたT細胞活性抑制現象は、免疫寛容現象において非常に重要であることが知られている。
ところが、最近、多くの種類のがん組織においてPD−L1の発現が増大されていることが観察されており(Nat. Med., 2002 Aug;8(8):793−800)、PD−L1に対する阻害抗体を処理すれば、抗がん免疫が増大されるということが報告されているなど(Proc. Natl. Acad. Sci., 17;99(19):12293−7)、PD−L1ががん細胞の表面において免疫抑制作用をしているという証拠が次から次へと報告されている。
このため、CTLA4やPD1のようにT細胞免疫寛容反応に与かる受容体やタンパク質の活性を抑制すれば、抗がん効果を収めることができるのではないかという期待に応じて、CTLA4やPD1に対する抗体などその活性を抑える戦略のT細胞免疫療法に関する研究が活発に行われている。
特に、BMS(Bristol−Myers Squibb)らが開発した抗CTLA4抗体であるイピリムマブは抗がん免疫寛容を抑えて、転移性黒色腫に対する抗腫瘍効果を示すことが臨床的に立証されて、2011年FDA許可を取得して現在市販中であり、BMSなどは完全ヒト型抗PD1抗体に対する臨床試験も進行中であるということが知られている。
しかしながら、抗CTLA4抗体や抗PD1抗体を用いる場合、CTLA4またはPD1の全身的抑制によって抗がんT細胞だけではなく、自己抗原に対するT細胞寛容も破壊することにより、全身的な自己免疫疾患という致命的な副作用を来たすことが知られている。
このため、がん抗原に特異的なT細胞療法の実質的な臨床適用のために抗がんT細胞に対してのみ選択的にCTLA4またはPD1などのT細胞寛容信号伝達体系を阻害し得る技術の開発が切望されている。
したがって、本発明者らは、CTLA4の細胞内部抑制信号伝達ドメインが除去されたCTLA4突然変異体であるCTLA4デコイ受容体を発現するように抗がんT細胞を遺伝子組み換えして、T細胞固有のCTLA4機能を競争的に抑えることにより、抗がんT細胞の活性を増大させようとした。しかしながら、実際にこのように遺伝子組み換えされた抗がんT細胞の場合、CLTA4デコイ受容体がリガンドであるB7と結合しても、細胞の内部に抑制信号が伝達されないため、がん細胞によるT細胞の寛容問題はある程度解決することができるが、依然としてT細胞の活性化を誘導するCD28とリガンドであるB7の結合を競争的に抑えることにより、結果的にT細胞の活性化がむしろ阻害されるという問題点が見出された。
そこで、本発明者らは、前記CTLA4の細胞内部抑制信号伝達ドメインを除去し、その場所にCD28タンパク質の細胞内部活性化信号伝達ドメインを融合させたCTLA4−CD28キメラタンパク質を発現するように遺伝子組み換えされた抗がんT細胞(図1参照)を講じて、CTLA4にリガンドが結合される場合、CTLA4−CD28キメラタンパク質に含まれているCD28の細胞内部活性化信号伝達ドメインの作用によってCTLA4とリガンドの結合によるT細胞活性抑制信号を活性化信号に切り換える効果をもたらすので、がん細胞によるT細胞寛容を克服することができるだけではなく、T細胞の活性化を通じて抗がん能力が向上される効果をもたらすことにより抗がん効能が大幅に向上され、且つ、全身的なCTLA4活性の抑制による自己免疫疾患の発病などの副作用を回避することができて理想的なT細胞免疫療法に利用可能であるということを見出し、しかも、CTLA4と同様に、T細胞の寛容に与かると知られているPD1の細胞内ドメインを除去し、ここにCTLA4−CD28キメラタンパク質と同様にPD1−CD28キメラタンパク質を発現するように遺伝子組み換えされたT細胞もまたT細胞活性化を増大させて理想的なT細胞免疫療法に利用可能であるということを見出すことにより、本発明を完成するに至った。
米国登録特許8026224:Tumor cells with increase immunogenecity and uses thereof、登録日:2011年9月27日、出願人:Dana−Farber Cancer Institute, Inc. 米国登録特許7744875: Surrogate therepeutic endpoint for anti−CTLA4 base immunotherapy of disease、登録日:2010年6月29日、出願人:Medarex, Inc. 米国登録特許7700556: Method of treatment using CTLA4 mutant molecules、登録日: 2010年4月20日、出願人:Britsol−Myers Squibb Co.
"Structural analysis of CTLA−4 function in vivo" Masteller E. L. et al, J Immunol. 2000 May 15;164(10):5319−27. "Short cytoplasmic SDYMNM segment of CD28 is sufficient to convert CTLA−4 to a positive signaling receptor" Yin L. et al., J Leukoc Biol. 2003 Jan;73(1):178−82.
本発明の目的は、T細胞免疫寛容受容体の細胞内信号伝達ドメインを除去し、T細胞活性化表面タンパク質CD28の細胞内信号伝達ドメインを融合させた融合タンパク質およびこれをコードする遺伝子を提供することである。
本発明の他の目的は、前記遺伝子を含むウィルスまたは非ウィルス性担体に形質転換されたがん抗原特異的形質転換されたT細胞およびその製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前記形質転換されたT細胞を含むがん治療用薬学的組成物を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、薬学的に有効な量の前記形質転換されたT細胞をがん疾患にかかった個体に投与するステップを含むがんの治療方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、前記形質転換されたT細胞をがん疾患治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供することである。
前記目的を達成するために、T細胞の表面にCTLA4またはPD1の細胞内部抑制信号伝達ドメインを除去し、その場所にCD28タンパク質の細胞内部活性化信号伝達ドメインが融合された融合タンパク質であるCTLA4−CD28キメラタンパク質またはPD1−CD28キメラタンパク質およびこれをコードする遺伝子を提供する。
また、本発明は、前記遺伝子を含むウィルスまたは非ウィルス性担体に形質転換されたがん抗原特異的形質転換されたT細胞およびその製造方法を提供する。
さらに、本発明は、本発明の形質転換されたT細胞を含むがん治療用薬学的組成物を提供する。
さらにまた、本発明は、薬学的に有効な量の前記形質転換されたT細胞をがん疾患にかかった個体に投与するステップを含むがんの治療方法を提供する。
加えて、本発明は、前記形質転換されたT細胞をがん疾患治療用薬学的組成物の製造に用いる用途を提供する。
本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子が移入されたT細胞は、がん細胞の免疫寛容による治療効果阻害問題を解決することができるだけではなく、むしろCD28の信号伝達を活性化させてT細胞の活性化を誘導することにより抗がん効果を極大化させることができるというメリットがある。
また、がん細胞においてのみ特異的にCTLA4またはPD1の活性を抑えることにより、既存の抗CTLA4抗体など非特異的CTLA4またはPD1拮抗剤を用いる場合に生じる全身的T細胞活性化による自己免疫疾患発病などの副作用を極力抑えることができる。
このため、本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子が移入されたT細胞を含む抗がん治療用薬学組成物は、既存の方法に比べて顕著に優れたがん治療効能を有するT細胞免疫療法に用いて好適である。
図1は、CTLA4−CD28キメラタンパク質を発現するがん抗原に特異的なT細胞のがん治療原理を示す図である:CTdc:CLLA4デコイ受容体;およびCTC28:CTLA4−CD28キメラタンパク質。(以下、他の図面の説明においても同様である。) 図2は、CTLA4−CD28の発現のための遺伝子構造体およびプラスミド制限酵素切断地図を示す図である。(a)pMIG−wレトロウィルス性ベクターの制限酵素切断地図(restriction map);および(b)CTLA4−CD28のレトロウィルス性遺伝子構造体の構造。CTLA4EC:CTLA4の細胞外ドメイン;TM:膜貫通ドメイン;CD28CP:CD28の細胞内ドメイン;およびEV:CTLA4−CD28が含まれていない空きレトロウィルス性ベクター(empty vector)。(以下、他の図面の説明においても同様である。) 図3は、CLTA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたT細胞の細胞分裂能力およびIFN−γ分泌能力を示す図である。(a)いかなる遺伝子組み換えをしなかった場合のルシフェラーゼ活性;(b)CTdcまたはCTC28に形質転換した場合のルシフェラーゼ活性;(c)CTdcまたはCTC28に形質転換した場合のT細胞分裂能力;および(d)CTdcまたはCTC28に形質転換した場合のIFN−γ分泌能力。 図4は、CLTA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたCD8 T細胞のIFN−γの分泌能力、がん細胞殺傷能力および腫瘍治療効果を示す図である。(a)CTC28に形質転換した場合のIFN−γ分泌能力;(b)CTC28に形質転換した場合のがん細胞殺傷能力;および(c)CTC28に形質転換した場合の腫瘍治療効果。 図5は、CLTA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたT細胞の細胞培養時の抗原反応性を示す図である。(a)CD4 OT−II細胞を用いた場合のIL−2の分泌能力;(b)CD4 OT−II細胞を用いた場合のIFN−γの分泌能力;(c)CD8 OT−I細胞を用いた場合のIL−2の分泌能力;および(d)CD8 OT−I細胞を用いた場合のIFN−γの分泌能力。 図6は、遺伝子組み換えCD4およびCD8 T細胞併合治療モデルを示す図である。 図7は、E.G7腫瘍へのOT−II T細胞の単独投与の効果を示す図である。 図8は、E.G7腫瘍へのOT−I T細胞とCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたOT−II T細胞の併合投与の効果を示す図である。(▲:いかなる処理もしなかった場合、△:OT−Iのみを用いた場合、●:OT−I+OT−II、□:OT−I+OT−II CTC28)(a)OT−I T細胞:OT−II T細胞=2:0.5;(b)OT−I T細胞:OT−II T細胞=2:1;および(c)OT−I T細胞:OT−II T細胞=2:2 図9は、OT−IIおよびOT−I T細胞の同時形質転換による腫瘍治療効果を示す図である。(▲:いかなる処理もしなかった場合、■:OT−I+OT−II、●:OT−I+OT−II CTC28、□:OT−I CTC28+OT−II CTC28) 図10は、遺伝子組み換えCD4およびCD8 T細胞併合療法の抗黒色腫効果を示す図である。(▲:いかなる処理もしなかった場合、○:Pmel−1 EV、■:Pmel−1 EV+CD4 EV、□:Pmel−1 CTC28+CD4 CTC28)(a)腫瘍の体積の変化を示す図;および(b)生存率の変化を示す図 図11は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたT細胞のAktリン酸化を示す図である。 図12は、CTLA4−CD28発現のための遺伝子構造体を用いて形質転換したT細胞を柔細胞分類器を用いて分析した結果を示す図である。 図13は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたT細胞の各受容体を刺激したとき、IFN−γの分泌能力を示す図である。 図14は、E.G7腫瘍へのOT−I T細胞の単独投与の効果を示す図である。 図15は、E.G7腫瘍を有するマウスに形質転換されたOT−IおよびOT−II T細胞を投与した後、マウス脾臓内のこれらのT細胞の数および抗原反応性を示す図である。(a)形質転換されたOT−IおよびOT−II T細胞の細胞培養時の抗原反応性を柔細胞分類器を用いて分析した結果;(b)形質転換されたOT−II T細胞のマウス体内増殖度を柔細胞分類器を用いて計算した結果;および(c)形質転換されたOT−I T細胞の細胞培養時における抗原反応後のIFN−γの分泌能。 図16は、遺伝子組み換えCD4およびCD8 T細胞併合療法の抗黒色腫効果のうち血液内遺伝子組み換えT細胞の増殖度を示す図である。(a)血液細胞のうちCD4 T細胞の割合を柔細胞分類器を用いて分析した結果;(b)血液細胞のうちPmel−1 T細胞の割合を柔細胞分類器を用いて分析した結果;(c)血液内CD4 T細胞の数を柔細胞分類器を用いて計算した結果(●:CD4 EV、□:CD4 CTC28);および(d)血液内Pmel−1 T細胞の数を柔細胞分類器を用いて計算した結果(●:Pmel−1 EV、□:Pmel−1 CTC28)。 図17は、遺伝子組み換えCD4およびCD8 T細胞併合療法の抗黒色腫に対する効果を示す図である。(▲:いかなる処理もしなかった場合、■:Pmel−1 EV+CD4 EV、◆:Pmel−1 EV+CD4 CTC28、□:Pmel−1 CTC28+CD4 CTC28) 図18は、遺伝子組み換えCD4およびCD8 T細胞併合療法の抗黒色腫に対するIL−2の効果を示す図である。(▲:いかなる処理もしなかった場合、■:CTC28+対照群IgG抗体、◇:CTC28+抗IL−2抗体、□:CTC28+対照群IgG抗体)
以下、本発明の用語について詳細に説明する。
本発明において、用語「細胞外ドメイン(extracellular domain)」は、細胞の外部に突出されてリガンドなどと結合し得るドメインを意味し、
「膜貫通ドメイン(transmembrane domain)」は、CTLA4、CD28などにおいて、細胞膜に位置するドメインを意味し、
「細胞内ドメイン(intracellular domain)」は、細胞の内部に位置し、細胞外ドメインとリガンドが結合されて伝達される信号を細胞内に伝達するドメインを意味する。
前記細胞内ドメインは、信号の性質に応じて、阻害信号伝達ドメインまたは活性信号伝達ドメインに分けられる。
本発明において、用語「抗がん」は、「予防」および「治療」を含み、ここで、「予防」とは、本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたがん抗原に特異的なT細胞を含む組成物投与によってがんが抑制または遅延されるあらゆる行為を意味し、「治療」とは、本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたがん抗原に特異的なT細胞を含む組成物投与によってがんの症状が好転したり良好になったりするあらゆる行為を意味する。
以下、本発明について詳述する。
本発明は、T細胞表面免疫寛容誘導受容体の細胞内信号伝達ドメインを除去し、T細胞活性化表面タンパク質CD28の細胞内信号伝達ドメインを融合させた融合タンパク質を提供する。
前記T細胞表面寛容誘導受容体とT細胞活性化表面タンパク質であるCD28は、T細胞表面寛容誘導受容体またはCD28の膜貫通ドメインによって融合されることが好ましいが、これに限定されない。
前記T細胞表面寛容誘導受容体は、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4:Cytotoxic T lymphocyte associated antigen 4)またはPD1であることが好ましい。
前記融合タンパク質は、CTLA4の細胞外ドメイン−CTLA4の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインまたはCTLA4の細胞外ドメイン−CD28の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインから構成されることが好ましいが、これに限定されない。
前記融合タンパク質は、PD1の細胞外ドメイン−PD1の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインまたはPD−1の細胞外ドメイン−CD28の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインから構成されることが好ましいが、これに限定されない。
前記CTLA4は、配列番号1のヒト由来のアミノ酸配列または配列番号2のマウス由来のアミノ酸配列を有することが好ましい。
前記配列番号1および配列番号2のアミノ酸配列において、1〜161番目までのアミノ酸配列が、細胞外ドメイン、すなわち、B7などのリガンドと結合する部位であり、162〜189番目までのアミノ酸配列は膜貫通ドメイン、190〜223番目までのアミノ酸配列は細胞内ドメインを示す。
前記CD28は、配列番号3のヒト由来のアミノ酸配列または配列番号4のマウス由来のアミノ酸配列を有することが好ましい。
前記配列番号3のアミノ酸配列において、1〜152番目までのアミノ酸配列が、細胞外ドメイン、すなわち、B7などのリガンドと結合する部位であり、153〜178番目までのアミノ酸配列は膜貫通ドメイン、179〜220番目までのアミノ酸配列は細胞内ドメインを示し、配列番号4のアミノ酸配列において、1〜150番目までのアミノ酸配列が、細胞外ドメイン、すなわち、B7などのリガンドと結合する部位であり、151〜176番目までのアミノ酸配列は膜貫通ドメイン、177〜218番目までのアミノ酸配列は細胞内ドメインを示す。
また、CLTA4−CD28キメラタンパク質にCTLA4の膜貫通ドメインが用いられる場合、CTLA4の細胞内阻害信号が伝達されない範囲内においてCTLA4の細胞外ドメインと膜貫通ドメインにさらにCTLA4細胞内ドメインの一部の配列が含まれる場合、または、CD28の細胞内ドメインにCD28膜貫通ドメインの一部の配列がさらに含まれる場合も、本発明の権利範囲に含まれるという点は通常の技術者にとって自明であり、CTLA4−CD28キメラタンパク質にCD28の膜貫通ドメインが用いられる場合、CTLA4とリガンドの結合に影響を及ぼさない範囲内においてCD28の細胞外ドメインの一部がCD28の細胞内ドメインと膜貫通ドメインにさらに含まれる場合、または、CTLA4の細胞外ドメインにCTLA4膜貫通ドメインの一部の配列がさらに含まれる場合も、本発明の権利範囲に含まれるという点もまた通常の技術者にとって自明である。
本発明において提供されるCTLA4−CD28キメラタンパク質の一例は、配列番号5〜配列番号7のうちのいずれか一つのアミノ酸配列を有する。
前記CTLA4の細胞外ドメイン−CTLA4の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインは、配列番号5のアミノ酸配列または配列番号6のアミノ酸配列であることが好ましいが、これに限定されない。
前記CTLA4の細胞外ドメイン−CD28の細胞膜ドメイン−CD28の細胞内ドメインは、配列番号7のアミノ酸配列を有することが好ましいが、これに限定されない。
前記PD1の細胞外ドメイン−PD1の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインまたはPD−1の細胞外ドメイン−CD28の膜貫通ドメイン−CD28の細胞内ドメインは、配列番号8のアミノ酸配列を有することが好ましいが、これに限定されない。

また、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を提供する。
前記CTLA4の細胞ドメイン−CTLA4の膜貫通ドメインは、配列番号9のヌクレオチド配列であることが好ましく、CD28の細胞内ドメインは、配列番号10のヌクレオチド配列であることが好ましいが、これに限定されない。
さらに、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を含むウィルスまたは非ウィルス性担体を提供する。
前記ウィルスまたは非ウィルス性担体は、動物細胞、特に、T細胞などを感染によって形質転換させ得るものであれば、特に制限なしに使用可能である。
前記ウィルスは、レトロウィルス(retrovirus)、レンチウィルス(lentivirus)、アデノウィルス(adenovirus)およびアデノ関連ウィルス(adeno−associated virus)であることが好ましく、レトロウィルス、レンチウィルスおよびアデノ関連ウィルスであることがより好ましいが、これに限定されない。
前記非ウィルス性担体としては、トランスポゾンシステムを用いること(Hackettら、US6,489,458)が好ましいが、これに限定されることはなく、一般的に使用可能な非ウィルス性担体のうち、本発明に目的に見合ういかなるものであっても使用可能であるということは通常の技術者にとって自明である。
さらに、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を含むウィルスまたは非ウィルス性担体を用いて形質転換されたT細胞を提供する。
前記T細胞は、がん抗原に特異的なT細胞またはキメラ抗原受容体であるCAR(Chimeric Antigen Receptor)遺伝子が形質転換されたT細胞であり、がん抗原に特異的なCD4 T細胞(ヘルパーT細胞)またはCD8 T細胞(細胞傷害性T細胞)であることが好ましいが、これに限定されない。
前記キメラ抗原受容体とは、T細胞活性化タンパク質(CD3ゼータ鎖、CD28、41BBL、Ox40、ICOS、高親和性IgE受容体(FcεRI)およびその他のT細胞活性化タンパク質)の細胞膜若しくは細胞内信号伝達部位をがん抗原に特異的な抗体の抗原結合部位(単一鎖Fvフラグメント)と融合させたタンパク質を通称する。
前記がん抗原に特異的なT細胞は、患者のがん組織から分離したT細胞(腫瘍浸潤リンパ球)を体外培養したもの、がん抗原を特異的に認知する受容体、すなわち、がん抗原に特異的なT細胞受容体(TCR:T−cell receptor)遺伝子をクローニングした後、レトロウィルスなどのウィルス性ベクターを用いて患者抹消血液から分離した全体T細胞に形質転換して得たT細胞(TCR遺伝子組み換えT細胞)(Science. 2006;314(5796):126−9)、T細胞受容体(TCR:T−cell receptor)の細胞外ドメインをがん抗原に特異的な抗体に置き換えたキメラ抗原受容体であるT細胞受容体(CAR:Chimeric Antigen Receptor)(J. Clin. Invest. 117:1466−1476 (2007))に形質転換させたCAR形質転換T細胞(Blood. 2010; 116(7):1035−1044)などが使用可能であるが、これに限定されない。
本発明において、がん抗原に特異的なT細胞が特異的に認識し得る抗原としては、MUC1、CD19、HER2、EGFR、CD20、CEA、PSMA、GD2、葉酸受容体、IL−13Rα2、Lewis−Y抗原、NY−ESO−1、MART−1、gp100、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質、MAGE、WT−1などが挙げられるが、これに限定されるものではなく、他のがんにおいて特異的に発現される抗原も本発明の目的に見合う限り、本発明に係るT細胞免疫療法に使用可能であるということは通常の技術者にとって自明である。
本発明は、CTLA4の細胞内部抑制信号伝達ドメインを除去し、その場所にCD28タンパク質の細胞内部活性化信号伝達ドメインを融合させたCTLA4−CD28キメラタンパク質を発現するように遺伝子組み換えされた抗がんT細胞(図1参照)を講じて、CTLA4にリガンドが結合される場合、CTLA4−CD28キメラタンパク質に含まれているCD28の細胞内部活性化信号伝達ドメインの作用によってCTLA4とリガンドの結合によるT細胞活性抑制信号を活性化信号に切り換える効果をもたらすので、がん細胞によるT細胞寛容を克服することができるだけではなく、T細胞の活性化を通じて抗がん能力が向上される効果を極大化させることができるというメリットがあり、且つ、がん細胞においてのみ特異的にCTLA4またはPD1の活性を抑えることにより、既存の抗CTLA4抗体など非特異的なCTLA4またはPD1拮抗剤を用いる場合に発生する全身的T細胞活性化による自己免疫疾患発病などの副作用を極力抑えることができる。
このため、本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子が移入されたT細胞を含む抗がん治療用薬学組成物は、既存の方法に比べて顕著に優れたがん治療効能を有するT細胞免疫療法に用いて好適である。
さらに、本発明は、本発明の形質転換されたT細胞を含むがん治療用薬学的組成物を提供する。
前記がん治療用薬学的組成物は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28遺伝子に形質転換されたがん抗原に特異的なCD4 T細胞またはCD8 T細胞を含むことが好ましく、CTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28遺伝子に形質転換されたがん抗原に特異的なCD4 T細胞およびCD8 T細胞を両方とも含むことがより好ましい。
前記がんまたはがん種には特に制限はなく、固形がんおよび血液がんを含む。好ましくは、胃がん、肺がん、乳房がん、卵巣がん、肝がん、気管支がん、鼻咽頭がん、喉頭がん、すい臓がん、膀胱がん、大腸がん、結腸がん、すい臓がん、子宮頚部がん、脳がん、前立腺がん、骨がん、皮膚がん、甲状腺がん、副甲状腺がん、腎臓がん、食道がん、胆道がん、睾丸がん、直腸がん、頭頚部がん、頚椎がん、尿管がん、骨肉腫、神経細胞亜種、黒色腫、繊維肉腫、横紋筋肉腫、星状細胞腫、神経母細胞腫または神経膠種などを含み、さらに好ましくは、大腸がん、卵巣がん、胃がん、すい臓がん、乳房がんなどが挙げられる。
本発明に係る組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含んでいてもよい。経口投与時には、結合剤、滑沢剤、崩解剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、色素、香料などを用いることができ、注射剤の場合には緩衝剤、保存剤、無痛化剤、可溶化剤、等張剤、安定化剤などを混合して用いることができ、局所投与用の場合には、基剤、賦形剤、潤滑剤、保存剤などを用いることができる。本発明の薬剤学的組成物の剤形は、上述したような薬剤学的に許容される担体と混合して種々の剤形に製造可能である。例えば、経口投与時には、錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁剤、シロップ、ウェーハなどの剤形に製造することができ、注射剤の場合には、単位投薬アンプルまたは多数回投薬の形に製造することができる。また、前記抗がん組成物は、典型的に膜を通過した移動を容易にする界面活性剤を含んでいてもよい。このような界面活性剤としては、ステロイドから誘導されたもの、または、N−[1−(2,3−ジオレオイル)プロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)などの陽イオン性脂質、またはコレステロールヘミスクシナート、ホスファチジルグリセロールなどの各種の化合物などが挙げられる。
また、本発明は、本発明に係るCTLA4−CD28キメラ遺伝子またはPD1−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたがん抗原に特異的なT細胞を含む組成物を個体に投与してがんを治療し、がんの成長を抑える方法を提供する。
本発明に係る組成物は、がん細胞またはそれらの転移を治療するために、または、がんの成長を抑えるために、薬学的に有効な量で投与可能である。がんの種類、患者の年齢、体重、症状の特性および軽重、現在治療法の種類、治療回数、投与形態および経路など種々の要因によって異なり、通常の技術者によって容易に決定可能である。本発明に係る組成物は、上述した薬理学的または生理学的成分を一緒に投与してもよく順次に投与してもよい。なお、さらなる従来の治療剤と併用して投与してもよく、従来の治療剤とは順次にまたは同時に投与してもよい。このような投与は、単一または多重の投与であってもよい。前記全ての要素を考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、通常の技術者によって容易に決定可能である。
以下、本発明を下記の実施例および実験例によって詳細に説明する。
但し、下記の実施例および実験例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例および実験例によって限定されることはない。
<実施例1>マウスおよび細胞の準備
Pmel−1、OT−I、B6とThy1.1コンジェニックB6マウスは、ジャクソン研究所から入手した。RAG1−/−背景を有するOT−IIマウスは、タコニックから入手した。形質転換マウスは全てB6背景を有する。マウスは、国立がんセンター内の特定の病原体がない施設において飼育され、国立センターの実験動物管理および使用委員会のガイドラインを遵守した。
E.G7リンパ腫細胞およびB16−F10(B16)黒色腫細胞(ATCC No.CRL−2113およびCRL−6475)はB6マウスから由来した。フェニックスエコー(Pheonix Eco)およびフェニックスGP細胞株は、Garry Nolan博士(スタンフォード大学)の許可下でATCCから入手した(ATCC No.SD3444およびSD3514)。
CD8 T細胞またはCD4+CD25−T細胞は、抗CD8マイクロビーズを用いてポジティブ選択するか、あるいは、CD4+CD25−制御性T細胞分離キット(ミルテニーバイオテク社製)を用いてネガティブ選択した。
<実施例2>プラスミドの製作
CTLA4−CD28キメラを製作するために、マウス由来CTLA4の細胞外ドメインと膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列(配列番号9)とマウスCD28の細胞内ドメインをコードするヌクレオチド配列(配列番号10)はマウスCTLA4およびCD28cDNAを含むプラスミドから重合酵素連鎖反応(PCR:polymerase chain reaction)によって増幅して得た。
増幅された両断片は平滑末端のライゲーションによって結合されてクローニングベクターにクローニングされた。
次いで、CTLA4−CD28キメラ遺伝子のcDNAは、米国国立ユダヤ医学研究センターのYosef Refaeli博士から入手したpMIG−wレトロウィルス性ベクター(図2(a)参照)にクローニングされた。
CTLA4デコイ受容体は、配列番号9によるCTLA4の細胞外および膜貫通ドメインをコードするヌクレオチド配列を用いてPCRによって増幅した後、pMIG−wレトロウィルス性ベクターにクローニングした(図2(b)参照)。
<実施例3>ルシフェラーゼ分析およびウェスタンブロット
ジャーカットT細胞(1×10)は、レトロウィルス発現プラスミド、RE/APルシフェラーゼプラスミド(カリフォルニア大学のArthur Weiss教授提供)および標準化のためのpRL−TKレニラルシフェラーゼプラスミド(プロメガ社製)と混合した。
次いで、250Vおよび950μFの条件下でバイオラッドラボラトリーズ製のジーンパルサーを用いて0.4−cm−gapに電気穿孔法を用いて形質転換させた。
形質転換後に、刺激前に24時間放置し、次いで、刺激のために、抗マウスIgG(5μg/ml)と抗ハムスターIgG抗体(5μg/ml)でコーティングされて一晩中放置された96ウェルプレートを洗浄した後、抗CD3抗体(1μg/ml)単独、または正常ハムスターIgGやハムスター抗CLTA4抗体(9H10、2μg/ml)でコーティングした後、室温で2時間放置した。
次いで、1×10細胞を各ウェルに添加し、37℃で6時間培養した後、溶解させた。いくつかの実験のためには水溶性抗CD28抗体がプレートに結合された抗CTLA4抗体の代わりに培地に直接的に添加された。
ルシフェラーゼ活性は、デュアルルシフェラーゼ報告分析システムを用いて、ルミノメーター(プロメガ社製)を用いて測定した。ショウジョウバエルシフェラーゼの活性は、レニラルシフェラーゼ活性を用いて標準化させた。
ウェスタンブロット分析のために、ルシフェラーゼプラスミドを除外し、レトロウィルスプラスミドのみを用いて前記プロトコールに従ってジャーカットT細胞を形質転換した。
形質転換された細胞の刺激のために、形質転換された細胞は、マウス抗ヒトCD28抗体または一般ハムスターIgGまたはハムスター抗マウスCTLA4抗体(2μg/ml)のうちの一つを用いて氷上において10分間処理し、次いで、ヤギ抗マウスIgGまたは抗ハムスターIgG(5μg/ml)と10分間氷上において架橋させた。
次いで、細胞を30分間37℃の水槽に入れ、氷を用いて冷却されたPBSを添加して反応を中止した。細胞溶解物はSDS−PAGE分析に用いられ、ニトロセルロース膜(ミリポア)に移されて、抗リン酸Aktまたは抗Akt抗体(セルシグナリング社製)によって検出された。HRP−標識2次抗体(ジャクソン免疫研究所)は1次抗体を検出するのに用いられ、ブロットはピアス社製のスーパーシグナルウェストピコを用いて化学発光反応によって視覚化させた。
<実施例4>レトロウィルスの製作および形質転換
リポフェクタミン2000(インビトロジェン社製)を用いてレトロウィルス性プラスミドとVSV−GcDNAをコードするプラスミドであるpMD.GをフェニックスGP細胞株に形質転換した。48時間後にVSV−G偽型レトロウィルスを含む上澄み液を回収した。フェニックスエコー細胞株はレトロウィルスを含む上澄み液を用いて一晩中形質転換した。
3〜5日経過後に、GFP陽性フェニックスエコー細胞株はエコトロピックレトロウィルスを産生するための安定的な生産株の製作のために細胞分類器(FACS Aria、BDバイオサイエンス社製)によって分離された。エコトロピックレトロウィルスを含む上澄み液は回収された後、遠心分離フィルタ機(Amicon Ulra−15、カットオフ値100 kDa、ミリポア社製)によって10倍濃縮された。レトロウィルスを用いたT細胞の形質転換のために正常または形質転換されたマウス由来の脾臓細胞をプレートに結合された抗CD3ε(5μg/ml、145−2C11)および抗CD28(2μg/ml、37.51)抗体または抗原性ペプチドを用いて刺激した。
刺激後に24時間となる時点で、T細胞は濃縮されたレトロウィルスを用いて2500rpmにおいて90分間遠心分離して形質転換(スピン感染)させた。この過程を同じ日にさらに一回繰り返し行った。スピン感染を行う間に、6μg/mlのポリブレン(シグマ社製)が培養上澄み液に添加されるか、あるいは、形質転換効率を高めるためにレトロネクチンがコーティングされたプレート(15μg/ml、タカラ社製)において前記過程が行われた。刺激後に48時間となる時点で、形質転換されたT細胞は30unit/mlのマウスIL−2(インビトロジェン社製)を含む新鮮な培地に移されて分析前に48〜72時間放置された。
<実施例5>サイトカインELISA、細胞増殖および細胞毒性分析(P−JAMテスト)
細胞選別によって分離されたGFP−陽性細胞(2×10/well)は、48時間照射された脾臓細胞(2×10/well)の存在下で様々な濃度の抗CD3抗体または抗原ペプチドによって刺激された。
上澄み液内のサイトカインは、BDバイオサイエンス社製のELISAセットを用いて測定した。
細胞増殖の測定のために48時間刺激された細胞をH−チミジンを用いてパルスして、さらに24時間刺激した。細胞は細胞ハーベスタによって回収され、放射能活性はワラックトリルックス1450シンチレーションカウンタによって測定された。
細胞毒性の分析のために形質転換されたPmel−1 T細胞を48時間照射脾臓細胞の存在下で1μMのhgp100ペプチドを用いて刺激した後、様々な活性化されたT細胞をB16細胞(1×10)とともに20時間をかけて共同培養した後、PBSを用いて洗浄した。残ったB16細胞は、細胞の回収および放射能活性の測定前に6時間をかけてH−チミジンを用いてパルスした。
<実施例6>T細胞を用いた形質転換
B6マウスに0日目にE.G7細胞(1〜2×10)またはB16細胞(1×10)を皮下注射した。レトロウィルスに形質転換されたT細胞は7日目にマウスに移入された。B16黒色腫モデルの場合、T細胞が移入される日に、マウスを骨髄非形成全身照射(nonmyeloablative total body irradiation、TBI)(4Gy)してリンパ球枯渇させた。
腫瘍の成長はカリパーを用いて3〜4日おきに測定し、おおまかな大きさ(mm)は次のように計算された:長さ(mm)×幅(mm)×π。腫瘍の大きさが500mmを超えると、マウスを安楽死させた。形質転換されたT細胞の細胞内サイトカインの染色のために、細胞外(ex vivo)において活性化されたT細胞が固定および貫通(BD cytofix/cytopermキット)された後、PE標識された抗マウスIL−2またはIFN−γによって染色された。
<実験例1>CTLA4−CD28キメラタンパク質のT細胞活性化効果
マウス由来CTLA4(配列番号2参照)の細胞内部抑制信号伝達ドメインが除去されたCTLA4突然変異体であるCTLA4デコイ受容体およびCTLA4−CD28キメラタンパク質(配列番号6参照)を発現するレトロウィルス性遺伝子構造体を図2(b)に示すように製作した。
図2において、EVは何も挿入されていないレトロウィルスベクターであるpMIG−wを意味し、CTLA4−CD28キメラ(CTC28)遺伝子とCTLA4デコイ受容体(CTdc)のcDNAはpMIG−wのIRES−GFP(緑色蛍光タンパク質)カセットの前に挿入された。
ジャーカットT細胞をCLTA4デコイ受容体またはCTLA4−CD28キメラ遺伝子を含んでいない空きプラスミドと、CD28反応エレメントを含有するRE/APルシフェラーゼプラスミドに形質転換させた後、抗CD3および抗CD28抗体で刺激した場合、以前の報告のように、抗CD3抗体単独で刺激した場合に比べてルシフェラーゼ活性が大幅に増大されることを確認することができた(図3(a)参照)。これは、内生のCD28による信号伝達が上手に行われていることを立証している。
同様に、ジャーカットT細胞をCTLA4−CD28キメラ遺伝子を含むプラスミドとRE/APルシフェラーゼプラスミドに形質転換させた後、抗CD3および抗CTLA4抗体で刺激した場合、やはり抗CD3抗体単独で刺激した場合に比べてルシフェラーゼ活性が大幅に増大することを確認することができた。これに対し、CTLA4デコイ受容体遺伝子を含む場合にはルシフェラーゼ活性がほとんど増大されないことを確認することができた(図3(b)参照)。
また、CTLA4デコイ遺伝子が形質転換されたジャーカット細胞株においてはAktリン酸化が増大されないのに対し、CTLA4−CD28キメラをジャーカット細胞株に形質転換した後、抗CTLA4抗体で刺激した場合、Aktリン酸化は増大されることを確認することができた(図11参照)。
これは、CTLA4−CD28キメラタンパク質を用いる場合、CTLA4の細胞外ドメインにリガンドが結合しても実際に細胞内にはCD28による活性化信号が伝達されていることを立証している。
この点はT細胞の活性化結果によっても立証されるが、図2(b)に示すように、GFPをレポータとして用いて形質転換されたT細胞の活性化を測定した結果、CTLA4デコイ遺伝子に形質転換されたT細胞はいかなる処理もしなかった場合に比べて分裂能とIFN−γ分泌能が劣っているのに対し、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたT細胞は正常な分裂能と遥かに増大されたIFN−γ分泌能を示すことが確認された(図3(c)および図3(d)参照)。
また、脾臓細胞にCTLA4−CD28キメラ遺伝子を含んでいない空きプラスミドと、CD28反応エレメントを含有するGFPレポータ遺伝子を有するプラスミドに形質転換させた後、抗CD28および抗CTLA4抗体で染色し、GFP陽性細胞を柔細胞分類器を用いて分析した結果、CTLA4−CD28キメラの発現レベルは内生のCTLA4の発現レベルよりも高いことを確認した(図12参照)。
さらに、上述した形質転換された脾臓T細胞を抗CD3、抗CD28および抗CTLA4抗体で刺激したときに、CTLA4−CD28の過発現は抗CTLA4抗体のIFN−γ抑制能を低減することを確認した(図13参照)。
この点から明らかなように、CTLA4−CD28キメラタンパク質は、リガンドがCTLA4の細胞外ドメインに結合する場合に阻害信号を伝達しないだけではなく、CTLA4−CD28キメラタンパク質のCD28の細胞内ドメインによる活性化信号を細胞内に伝達することにより、T細胞活性化が顕著に増大されることが確認された。
<実験例2>CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたCD8 T細胞の抗がん能力
腫瘍抗原に特異的なT細胞のCTLA4−CD28キメラ遺伝子の発現によって、T細胞の抗腫瘍活性が強化されるか否かを確認するために、Pmel−1と呼ばれる黒色腫抗原特異的なTCR形質転換マウスから由来したCD8 T細胞(Pmel−1 T細胞)をCTLA4−CD28キメラ遺伝子を含むレトロウィルスを用いて形質転換させた。Pmel−1 T細胞は、同系B16黒色腫細胞の表面に発現される腫瘍抗原であるgp100を特異的に認識する。
その結果、形質転換されたPmel−1 T細胞はコントロールに比べて高いIFN−γ分泌能を示すことが分かるが(図4(a)参照)、B16細胞へのin−vitro上における細胞溶解活性はあまり向上されていないことが分かる(図4(b)参照)。また、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたPmel−1 T細胞は、リンパ球枯渇されたB16腫瘍含有マウスに移入した場合、高容量のIL−2と併用処理した場合にも抗腫瘍効果の大幅な向上は示さないことを確認することができた(図4(c)参照)。結論的に、実験例1とは異なり、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたPmel−1 T細胞はその機能面において大幅な向上は示さなかった。
<実験例3>CTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いた形質転換による抗原特異的なT細胞の抗原反応性の変化
実験例1と実験例2の違いは、実験例1の場合には正常マウスから分離されたT細胞はCD4およびCD8 T細胞が混合されたものであるのに対し、Pmel−1 T細胞はCD8 T細胞のみが存在するという点である。このため、CTLA4−CD28キメラ遺伝子の形質転換によってCD4およびCD8 T細胞の腫瘍抗原特異的な反応が互いに異なるように調節されるか否かを確認する必要がある。
同じ抗原に対するCD4およびCD8 T細胞の反応を確認するために、オボアルブミン(OVA)を特異的に認識するTCRをT細胞においてのみ発現するように製作された抗OVA TCR形質転換マウスに取り込んだ。特に、CD4およびCD8 T細胞の反応を分けて観察するために、CD4抗OVA TCR形質転換マウス(OT−II)およびCD8抗OVA TCR形質転換マウス(OT−I)からそれぞれOVA特異的CD4およびCD8細胞を分離してCTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いて形質転換させた後、OVA抗原によるT細胞活性化をIL2およびIFN−γの分泌能を通じて確認した。
OT−IおよびOT−II T細胞(OT−IおよびOT−II由来のT細胞)をCTLA4−CD28キメラ遺伝子を含むレトロウィルスに形質転換させた後、サイトカインの産生能力を測定するために抗原提示細胞(antigen presenting cell:APC)の存在下でOVAで刺激した。本発明において、OT−I CTC28またはOT−II CTC28は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたOT−I T細胞またはOT−II T細胞を意味する。
その結果、CTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いた形質転換によってOT−I(図5(d)参照)およびOT−II T細胞(図5(b)参照)が両方ともIFN−γの産生能力が向上されたことを確認することができた。
また、IL−2の産生能力は、OT−II T細胞の場合にはコントロールと比較して約10〜20倍大幅に増大されたが(図5(a)参照)、OT−I T細胞の場合には僅かな上昇のみが確認された(図5(c)参照)。すなわち、CD4 T細胞反応は、特にIL−2の産生能力の側面からみて、CD8 T細胞に比べてCTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いた形質転換による影響が多大であることが確認された。
<実験例4>CTLA4−CD28キメラ遺伝子のCD4およびCD8 T細胞への同時形質転換によるT細胞の抗腫瘍効果
CD4 T細胞がCD8 T細胞の抗腫瘍効果に必要であるということはよく知られている。このため、腫瘍抗原に対する強化されたCD4の反応は、腫瘍抗原特異的なCD8 T細胞の抗腫瘍効果を倍加させることができるものと認められる。
本発明者らは、CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたCD4 T細胞がCD8 T細胞の抗がん効能を増大させることができるか否かについて、実験例3によるOT−IおよびOT−II T細胞を用いて試験した。このために、OVAをモデル腫瘍抗原として、OVA cDNAに形質転換された同系EL4リンパ腫細胞株(E.G7)を腫瘍モデルとして選定した(図6参照)。
CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたOT−II T細胞をE.G7を含むマウスに移入した結果、これといった腫瘍治療効果を示さないことを確認することができた(図7参照)。
しかしながら、OT−I T細胞と組み合わせる場合に、その効果は変化することを確認することができたが、OT−I T細胞単独で用いた場合にも僅かな効果はあることが認められたが、CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたOT−II T細胞と併用する場合に抗腫瘍効果が急増されることが分かり、その増大の度合いは、CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたOT−II T細胞の濃度に比例することが分かる(図8(a)〜図8(c)、図14参照)。
特に、OT−I T細胞と形質転換されたOT−II T細胞が2:2の割合で用いられた場合には、15日経過後に腫瘍が完全に消えることが分かり、OT−I T細胞と形質転換されたOT−II T細胞が2:1の割合で用いられた場合には、15日経過後に腫瘍がほとんど消えたが、再び腫瘍の体積がやや増大されることが確認された。
前記実験において、腫瘍の大きさはグループごとに少なくとも5匹のマウスの腫瘍の大きさの平均を記録しており(:p=0.0391、**:p=0.0078、***:p=0.0078、ウィルコクソンの符号付き順位検定)、図7および図8に示す結果は、少なくとも2つの独立した実験結果を示す。
CTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いた形質転換がCD4 T細胞よりはあまり効果的ではないとはいえ、CD8 T細胞の抗原反応性もまた増大させることを前記実験例を通じて確認することができたため、CD4およびCD8 T細胞を同時にCTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いて形質転換させることにより抗腫瘍効果を極大化させることができるか否かを確認するために、OT−II T細胞とOT−I T細胞の両方をCTLA4−CD28キメラ遺伝子を用いて形質転換させた後、E.G7腫瘍を有するマウス(図6参照)に注射した。このとき、OT−IIにのみ形質転換させた場合に比べて、遥かに強力な抗腫瘍効果を示すことを確認することができた(図9参照)。
前記実験において、腫瘍の大きさはグループごとに少なくとも5匹のマウスの腫瘍の大きさの平均を記録しており(:p=0.0029、ウィルコクソンの符号付き順位検定)、図9に示す結果は、少なくとも3つの独立した実験結果を示す。
E.G7腫瘍を有するマウスにおいて遺伝子形質転換されたT細胞の活性を実験するために、遺伝子形質転換されたOT−IおよびOT−II T細胞を注入したマウスから脾臓細胞を分離し、オボアルブミン(OVA)ペプチドをもって生体外において前記T細胞を刺激した。細胞内サイトカイン染色によって分析したときに、遺伝子形質転換されたOT−II T細胞は対照群OT−II T細胞よりもIL−2およびIFN−γの産生能力が遥かに高い割合を示した(図15(a)参照)。さらに、遺伝子形質転換されたOT−II T細胞の総数は、対照群であるOT−II T細胞と比べて増大された(図15(b)参照)。OT−I T細胞の場合、脾臓において形質転換されたOT−I T細胞の割合は、細胞内サイトカインの染色分析に必要な値(0.1%以上)よりも遥かに低かった。その結果、本発明では、全体のCD8 T細胞を分離した後、同数の遺伝子形質転換されたOT−Iおよび空きベクターに形質転換されたOT−I T細胞を試験管内(in vitro)においてオボアルブミンペプチドおよび抗原提示細胞(APCs)とともに培養して刺激した。そして、本発明では、ELISAによってIFN−γの分泌を測定した。さらに、遺伝子形質転換されたOT−I T細胞は、空きベクターに形質転換されたOT−I T細胞よりも多量のIFN−γを産生した(図15(c)参照)。このため、遺伝子形質転換されたOT−IおよびOT−II T細胞は、腫瘍を有するマウスに投与された後にもその増大された活性を維持することが分かる。
<実験例5>黒色腫モデルにおけるCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換された腫瘍抗原特異的なT細胞の抗腫瘍効果
実験例4におけるモデルは、OVAという人為的な腫瘍抗原に対して抗腫瘍効果を試験したものであるため、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたCD4およびCD8 T細胞を用いて実際に腫瘍抗原を含有するモデルにおける抗腫瘍効果を試験することが必要である。
B16黒色腫は好適なモデル腫瘍の一つであるが、これは、Pmel−1CD8 T細胞が特異的に認識し得る内生のgp100抗原を有しているためである。
しかしながら、B16腫瘍は良好ではない免疫原性を有しており、T細胞免疫療法に抵抗性を有していることが知られており、本発明におけるCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたPmel−1 T細胞を用いた場合にも抗腫瘍効果の向上は顕著ではなかったが(実験例2参照)、多クローンCD4 T細胞の添加を通じてPmel−1 T細胞を用いたT細胞免疫療法が効果があるかもしれないという報告がある。
本実験においては、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたPmel−1 T細胞とCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換された多クローンCD4 T細胞を併用する場合に抗腫瘍効果が増大されるか否かについて試験した。
B6マウスにB16黒色腫細胞を皮下注射してから7日後に、5Gyの全身放射線照射を通じてリンパ球枯渇過程を経た後、形質転換マウスから分離した黒色腫特異的なCD8 T細胞であるPmel−1 T細胞を静脈注射し、腫瘍の体積減少の度合いを観察した。
さらに、CD4 T細胞との併合治療のために、B6マウスから分離した多クローンCD4 T細胞(制御性T細胞が除去されたCD4CD25集団)をCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換させて、Pmel−1 T細胞と並行治療に用いた。
その結果、CD4 T細胞およびPmel−1 T細胞の両方をCTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換させ、B16腫瘍を含有するB6マウスに静脈注射する場合、形質転換されていないCD4 T細胞およびPmel−1 T細胞を用いる場合に比べて遥かに強力な抗腫瘍効果を示すということを、腫瘍の大きさおよび生存率の測定を通じて確認した(図10(a)および図10(b)参照)。また、このような抗腫瘍効果は、抹消血液内のCD4 T細胞およびPmel−1 T細胞の割合および絶対数の増大と密接に関連していることを確認した(図16(a)〜(d)参照)。CTLA4−CD28キメラのT細胞増殖の増大効果は、CD4 T細胞の方において、CD8 T細胞よりも顕著であった(8.6倍vs3.7倍;図16(c)〜(d)参照)。本発明において、CD4 T細胞単独の遺伝子形質転換が、Pmel−1 T細胞の抗がん効果を増大させることができるか否かを点検した。期待の通り、遺伝子形質転換されたCD4 T細胞は腫瘍の増殖を大幅に抑えた。Pmel−1 T細胞のさらなる遺伝子形質転換は腫瘍の成長をさらに抑えた(図17参照)。このため、CD4およびCD8 T細胞の両方を形質転換した方が、抗腫瘍効果を極大化させることができるということが分かる。最後に、CTLA4−CD28形質転換がCD4 T細胞においてIL−2の分泌を有意的に増大させたため(図5(a)参照)、本発明は、生体内において遺伝子形質転換されたT細胞の治療効果にIL−2が必要であるかについて疑問を抱いた。予想の通りに、生体内の抗IL−2中和抗体処理によって、遺伝子形質転換の治療効果がほとんど無くなることが確認された(図18参照)。結論として、これらの結果は、既に大きく成長しており、しかも、免疫原性が弱い腫瘍を、CTLA4−CD28遺伝子形質転換されたCD4およびCD8 T細胞を用いた選択的な細胞治療によって効果的に抑えることができ、この治療効果にIL−2が大きく寄与することを示している。
本発明において、Pmel−1 EVは、形質転換されていないPmel−1 T細胞を意味し、CD4 EVは、形質転換されていないCD4を意味し、Pmel−1 CTC28は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたPmel−1 T細胞を意味し、CD4 CTC28は、CTLA4−CD28キメラ遺伝子に形質転換されたCD4 T細胞を意味する。
結論として、CTLA4−CD28キメラ遺伝子によって形質転換されたT細胞を用いたT細胞免疫療法は、CD4およびCD8 T細胞の併合療法において抗腫瘍効果の大きな増大をもたらし、これは、CTLA4受容体を通じたT細胞免疫寛容を回避することにより、抗がんT細胞免疫療法の効能が大幅に増大可能であることを立証している。

Claims (13)

  1. 配列番号5〜7のいずれかのアミノ酸配列を有する融合タンパク質を含む癌治療のための免疫寛容を抑制する遺伝子組み換えT細胞であり、
    前記融合タンパク質は、細胞内信号伝達ドメインを除去したT細胞表面免疫寛容誘導受容体である細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA4:Cytotoxic T−Lymphocyte−Associated Protein 4またはT−Lymphocyte Antigen 4)と、T細胞活性化表面タンパク質CD28の細胞内信号伝達ドメインとを含み、前記細胞内信号伝達ドメインは、CTLA4またはCD28の膜貫通ドメインによってCTLA4に融合されることを特徴とするT細胞。
  2. CTLA4は、配列番号1のヒト由来のアミノ酸配列または配列番号2のマウス由来のアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  3. CD28は、配列番号3のヒト由来のアミノ酸配列または配列番号4のマウス由来のアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  4. 配列番号1または配列番号2のアミノ酸配列において、CTLA4の細胞外ドメインは1〜161番目までのアミノ酸配列であり、CTLA4の細胞膜ドメインは162〜189番目までのアミノ酸配列であり、CTLA4の細胞内信号伝達ドメインは190〜223番目までのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  5. CD28の細胞外ドメインは、配列番号3の1〜152番目までのアミノ酸配列であるか、あるいは、配列番号4の1〜150番目までのアミノ酸配列であり、CD28の細胞膜ドメインは、配列番号3の153〜178番目までのアミノ酸配列であるか、あるいは、配列番号4の151〜176番目までのアミノ酸配列であり、CD28の細胞内信号伝達ドメインは、配列番号3の179〜220番目までのアミノ酸配列であるか、あるいは、配列番号4の177〜218番目までのアミノ酸配列を有することを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  6. 配列番号5のアミノ酸配列または配列番号6のアミノ酸配列を有する前記融合タンパク質は、CTLA4の細胞外ドメイン、CTLA4の膜貫通ドメイン、及びCD28の細胞内信号伝達ドメインを含むことを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  7. 配列番号7のアミノ酸配列を有する前記融合タンパク質は、CTLA4の細胞外ドメイン、CD28の細胞膜ドメイン、及びCD28の細胞内信号伝達ドメインを含むことを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  8. 前記T細胞は、がん抗原に特異的なT細胞であることを特徴とする請求項1に記載のT細胞。
  9. 前記がん抗原に特異的なT細胞は、がん抗原に特異的なCD4 T細胞、がん抗原に特異的なCD8 T細胞、またはがん抗原に特異的なCD4 T細胞およびがん抗原に特異的なCD8 T細胞の組み合わせであることを特徴とする請求項に記載の形質転換されたT細胞。
  10. 前記がん抗原に特異的なT細胞は、患者のがん組織から分離したT細胞、がん抗原特異的に認知する受容体遺伝子に形質転換されたT細胞およびキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子に形質転換されたT細胞よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  11. がん抗原は、MUC1、CD19、HER2、EGFR、CD20、CEA、PSMA、GD2、葉酸受容体、IL−13Rα2、Lewis−Y抗原、NY−ESO−1、MART−1、gp100、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連タンパク質、MAGEおよびWT−1よりなる群から選ばれるいずれか一種であることを特徴とする請求項に記載のT細胞。
  12. 請求項1から請求項11のうちのいずれか1項に記載のT細胞を含むがん治療用薬学的組成物。
  13. 請求項に記載のCTLA4の細胞外ドメイン、CTLA4の膜貫通ドメイン、及びCD28の細胞内信号伝達ドメインよりなる融合タンパク質を含むT細胞の製造方法であって、
    (a)CTLA4の細胞外ドメインとCTLA4の膜貫通ドメインをコードする配列番号9の配列を有するヌクレオチド、及びCD28の細胞内信号伝達ドメインをコードする配列番号10の配列を有するヌクレオチドを結合させることにより、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを製造する工程と、
    (b)前記ポリヌクレオチドを含むウイルスまたは非ウイルス性担体を構成する工程と、
    (c)前記ウイルスまたは非ウイルス性担体を用いてがん抗原に特異的なT細胞を形質転換させるステップを含むT細胞の製造方法。
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