JP6071352B2 - ヒートポンプシステム - Google Patents

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Description

本発明は、水/冷媒熱交換器を備え、出湯温度が目標温度となるように、水ポンプの回転数により水量を制御するタイプのヒートポンプシステムに関するものである。
水/冷媒熱交換器を備え、お湯を出湯する給湯機やチラー等に適用されるヒートポンプシステムでは、水質により水/冷媒熱交換器の水流路側にスケールが付着し、熱交換性能が低下することがあり、これによって、システムの能力不足や消費電力のアップ、あるいは保護制御による運転停止等の問題が生ずるケースがある。特に、出湯温度がリモコン等により設定された目標温度となるように、水ポンプの回転数により水量を制御するタイプのシステムにおいては、熱交換性能が低下しても、出湯温度が確保されることから、スケールの付着による性能低下が見分け難いという問題があった。
かかる問題に対処するため、高価な流量計を用いることなく、スケールの付着を判定できるようにしたものとして、例えば、特許文献1に示されるように、水/冷媒熱交換器の冷媒入口温度、冷媒出口温度、水入口温度、水出口温度等を検出し、冷媒の入口温度から冷媒の出口温度を減じた値を、冷媒の入口温度から水の入口温度を減じた値で除した熱交換器高温側温度効率を算出することにより、その温度効率が予め設定された値以下に低下した場合、水/冷媒熱交換器にスケールが付着しており、水/冷媒熱交換器が異常であると判定するようにしたものが提案されている。
特開2010−91181号公報
しかしながら、上記特許文献1のものでは、水/冷媒熱交換器の冷媒入口温度、冷媒出口温度および水入口温度の少なくとも3箇所の温度を検出する必要があり、しかもそれらの温度センサからの検出値に基づいて、冷媒入口温度と冷媒出口温度との減算値、冷媒入口温度と水入口温度との減算値、並びに両減算値の除算値を算出しなければならず、水/冷媒熱交換器の水流路側へのスケールの付着による熱交換性能低下を、より少ない温度センサからの検出値に基づいて、簡便にかつ精度よく判定することができるヒートポンプシステムが求められていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、出湯温度をパラメータとしたとき、スケール付着による能力の低下に伴い、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差が大きくなることを見出し、その点に着目して水/冷媒熱交換器の水流路側へのスケール付着による熱交換性能の低下を、より簡便にかつ精度よく判定することができるヒートポンプシステムを提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明のヒートポンプシステムは、以下の手段を採用している。
すなわち、本発明にかかるヒートポンプシステムは、水/冷媒熱交換器を備え、その出湯温度が目標温度となるように、水ポンプにより水量を制御するタイプのヒートポンプシステムにおいて、前記水/冷媒熱交換器のスケール付着による性能低下を、該水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差と、出湯温度と、該水/冷媒熱交換器の初期能力に対する熱交換器能力の低下を表す能力比率とに基づいて判定する性能低下判定部を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、水/冷媒熱交換器のスケール付着による性能低下を、該水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差と、出湯温度と、該水/冷媒熱交換器の初期能力に対する熱交換器能力の低下を表す能力比率とに基づいて判定する性能低下判定部を備えているため、水/冷媒熱交換器の水流路側にスケールが付着し、その熱交換性能が低下すると、性能低下判定部により水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差、すなわち水/冷媒熱交換器の「冷媒出口温度−水入口温度」を求め、その値と予め設定されている出湯温度と、該水/冷媒熱交換器の初期能力に対する熱交換器能力の低下を表す能力比率とに基づいて、水/冷媒熱交換器の性能低下が制限値を超えているか否かを判定することができる。特に、出湯温度が目標温度となるように、水量を制御しているシステムでは、水/冷媒熱交換器が性能低下しても、出湯温度が確保されることから、熱交換器の性能低下を判定し難いが、本発明によると、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度とを検出し、その温度差を求めることにより、該温度差と出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器の性能低下を判定することができる。従って、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との2箇所の温度検出のみで、複雑な対数平均温度差や算術平均温度差等を用いることなく、簡便にかつ精度よく水/冷媒熱交換器のスケール付着による性能低下の有無を判定することができる。
さらに、本発明のヒートポンプシステムは、上記のヒートポンプシステムにおいて、前記性能低下判定部は、前記水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差が所定の前記能力比率における制限範囲を超えたとき、メンテナンスアラームを出力する警報部を備えていることを特徴とする。
本発明によれば、性能低下判定部が、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差が所定の能力比率における制限範囲を超えたとき、メンテナンスアラームを出力する警報部を備えているため、ユーザーは、水/冷媒熱交換器にスケールが付着し、その能力が低下していることを警報部からのメンテナンスアラームの出力によって認識することができる。従って、水/冷媒熱交換器のメンテナンス時期を適宜適切に判断し、その洗浄・交換等を行うことにより、能力不足や消費電力のアップ、保護制御による運転停止等を避けてヒートポンプシステムを安定して運転することができる。
さらに、本発明のヒートポンプシステムは、上述のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、前記性能低下判定部は、前記出湯温度毎に、前記出湯温度と、前記水/冷媒熱交換器の性能低下時の前記「冷媒出口温度−水入口温度」との関係から性能低下下限のクライテリアを決定するテーブルを内蔵していることを特徴とする。
本発明によれば、性能低下判定部が、出湯温度毎に、出湯温度と、水/冷媒熱交換器の性能低下時の「冷媒出口温度−水入口温度」との関係から性能低下下限のクライテリアを決定するテーブルを内蔵しているため、このテーブルにより決定されるクライテリアに従って、水/冷媒熱交換器の水流路側へのスケール付着による性能低下を、運転時に検出される水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差と、出湯温度とに基づいて簡便に判定することができる。これによって、水/冷媒熱交換器の性能低下を簡便にかつ精度よく判定できる性能低下判定部を備えたヒートポンプシステムを低コストで提供することができる。
さらに、本発明のヒートポンプシステムは、上述のいずれかのヒートポンプシステムにおいて、前記ヒートポンプシステムが、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステムであることを特徴とする。
本発明によれば、ヒートポンプシステムが、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステムとされているため、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステムにあって、ガスクーラとして機能する水/冷媒熱交換器の水流路側にスケールが付着したことによる性能の低下を適宜適切に判断し、メンテナンスすることができる。従って、給湯機用のヒートポンプシステムを、その能力、性能を維持しながら、安定的に運転することができる。
本発明によると、水/冷媒熱交換器の水流路側にスケールが付着し、その熱交換性能が低下すると、性能低下判定部により水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差、すなわち水/冷媒熱交換器の「冷媒出口温度−水入口温度」を求め、その値と予め設定されている出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器の性能低下が制限値を超えているか否かを判定することができる。特に、出湯温度が目標温度となるように、水量を制御しているシステムでは、水/冷媒熱交換器が性能低下しても、出湯温度が確保されることから、熱交換器の性能低下を判定し難いが、本発明によると、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度とを検出し、その温度差を求めることにより、該温度差と出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器の性能低下を判定することができるため、水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との2箇所の温度検出のみで、複雑な対数平均温度差や算術平均温度差等を用いることなく、簡便にかつ精度よく水/冷媒熱交換器のスケール付着による性能低下の有無を判定することができる。
本発明の一実施形態に係るヒートポンプシステムの構成図である。 ヒートポンプシステムの性能低下判定部による水/冷媒熱交換器の性能低下の判定フロー図である。 水/冷媒熱交換器の冷媒と水との熱交換状態を示す模式図である。 CO2冷媒を用いたヒートポンプシステムのP−h線図上に水との熱交換状態を示した説明図である。 出湯温度と、「冷媒出口温度−水入口温度」との関係からスケール付着時の性能低下を判定(能力比率85%を基準とした場合)するテーブルの一例である。 能力比率が85%の場合における出湯温度および「冷媒出口温度−水入口温度」の温度差(判定基準)を示す図表である。 出湯温度80℃の場合の能力比率と、「冷媒出口温度−水入口温度」との関係および対数平均温度差との関係を示すグラフ(A)および(B)である。
以下に、本発明の一実施形態について、図1ないし図7を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るヒートポンプシステムの構成図が示されている。
本実施形態のヒートポンプシステム1は、給湯機用に適用されたものであり、CO2冷媒を用いている超臨界サイクルのヒートポンプ2と、該ヒートポンプ2で製造された温水を貯える貯湯タンク10が設けられた貯湯タンクユニット3とを備えている。
ヒートポンプ2は、冷媒を圧縮する圧縮機4と、ガスクーラとして機能し、冷媒と水とを熱交換させる水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5と、冷媒を減圧する電子膨張弁等からなる減圧手段6と、外気との熱交換により冷媒を蒸発させる蒸発器7とが、順次冷媒配管8により接続されて構成された閉サイクルの冷媒循環回路9を備えている。このヒートポンプ2は、作動媒体としてCO2冷媒が充填された超臨界サイクルのヒートポンプとされており、それ自体、公知のものであってよい。
貯湯タンクユニット3は、ヒートポンプ2側で製造された温水を貯える所要容量の貯湯タンク10と、この貯湯タンク10を介してヒートポンプ2の水/冷媒熱交換器5に対して水が循環可能とされている水循環回路11と、該水循環回路11中に設けられている水ポンプ12と、水循環回路11内に空気が混入されていた場合、その空気を水ポンプ12の運転により外部に排出する機能を担うエアベント13と、水循環回路11の給水側配管11Aと出湯側配管11Bとの間に設けられたバイパス回路14と、バイパス回路14からの水と貯湯タンク10からの給湯水とを混合して所定温度の温水となし、負荷側に供給する感温式のミキシング弁15等とを備えている。
ヒートポンプ2の水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5は、冷媒配管8が接続される冷媒流路5A側を流れる冷媒と、水循環回路11が接続される水流路5B側を流れる水とを互いに熱交換する熱交換器であり、冷媒からの放熱により水を加熱し、温水を製造する機能を担っているものである。この水/冷媒熱交換器5は、冷媒流路5A側を流れる冷媒の流れ方向と、水流路5B側を流れる水の流れ方向とが対向流となる構成とされている。図3には、それを模式化した図が示され、図示の如く、冷媒は図の右側から左側へ、水は図の左側から右側へと流通されるようになっている。
このヒートポンプシステム1では、水/冷媒熱交換器5から出湯される温水の温度(以下「出湯温度」という。)が、ユーザーがリモコン等で設定した温度(目標温度)となるように、水ポンプ12の回転数を制御して水量を制御する方式が採られている。一方、上記水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5の水流路5B側には、一般に市水(水道水)が流通されるが、長期に亘る運転により、水質によっては水流路5B側にスケールが付着し、熱交換性能が低下して初期の能力が得られなくなるおそれがある。そこで、本実施形態においては、水/冷媒熱交換器5の水流路5B側へのスケール付着による熱交換性能(能力)の低下を判定するため、以下の構成を採用している。
水/冷媒熱交換器5の冷媒出口側に冷媒出口温度を検出する温度センサ20を設けるとともに、水入口側に水入口温度を検出する温度センサ21を設けている。そして、この温度センサ20,21の検出値から水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度との温度差、すなわち「冷媒出口温度−水入口温度」を求め、その温度差と、ユーザーがリモコン等の設定手段22を介して設定する出湯温度(水/冷媒熱交換器5から出湯される温水の温度)とに基づいて、水/冷媒熱交換器5のスケール付着による熱交換性能(能力)の低下を判定する性能低下判定部23を設けている。
また、性能低下判定部23は、水/冷媒熱交換器5の能力比率(初期能力に対する能力の低下割合)が制限値を下回ったと判定したとき、それをユーザーに認識させ、水/冷媒熱交換器5を洗浄あるいは交換する等のメンテナンスを促すメンテナンスアラームを出力する警報部24を備えている。
以下に、水/冷媒熱交換器5の「冷媒出口温度−水入口温度」(温度差)と、出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器5のスケール付着による性能(能力)の低下を判定できる理由を詳しく説明する。
図4は、CO2冷媒を用いたヒートポンプ2のP−h線図上に水との熱交換状態を示した説明図である。図3に示す如く、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5で冷媒と水とが熱交換されたとき、冷媒は、図4中において、圧縮機4から吐出された状態(黒点)を基点として水との熱交換により放熱して右から左へと温度変化する。一方、この冷媒と熱交換する水は、水/冷媒熱交換器5への入口温度(例えば、20℃(黒点))を基点として温度上昇し、左から右へと温度変化する。この際、水/冷媒熱交換器5にスケールが付着していると、十分放熱されなくなることから、冷媒出口温度が上昇(破線位置方向)し、冷媒出口温度と水入口温度との温度差「冷媒出口温度−水入口温度」が大きくなる。
この温度差「冷媒出口温度−水入口温度」と、水/冷媒熱交換器5の能力比率との関係を見ると、図7(A)に示されるように、外気温や水入口温度(入水温度)の変化に関係なく、略一定の近似直線で表されることが解った。なお、この図7(A)は、出湯温度を80℃とした場合のものであり、出湯温度毎に同様の近似直線を得ることができる。
因みに、図7(B)は、水/冷媒熱交換器5の冷媒入口温度、冷媒出口温度、水入口温度および出湯温度を検出し、それらから求めた対数平均温度差(=(ΔΘ1−ΔΘ2)/In(ΔΘ1/ΔΘ2)、但し、ΔΘ1=(冷媒入口温度−出湯温度)、ΔΘ2=(冷媒出口温度−水入口温度)と、水/冷媒熱交換器5の能力比率との関係を示したもので、略同じ傾向となることが確認されている。
上記の温度差「冷媒出口温度−水入口温度」と、能力比率との関係を、出湯温度をパラメータとして整理したものが、図5に示される性能低下の制限範囲を決定する出湯温度毎のクライテリアのテーブルである。図5には、能力比率が85%の場合と、70%の場合の近似直線が示されている。また、図6の図表には、能力比率85%をクライテリアとした場合における出湯温度および「冷媒出口温度−水入口温度」の温度差(判定基準)が示されている。
この図5、図6によると、能力比率85%をスケール付着と判定するクライテリアとした場合、出湯温度が65℃のときは、上記の温度差がT1でスケール付着による熱交換性能(能力)の低下が初期能力の85%に低下していることを示し、出湯温度が75℃のときは、温度差がT3で能力比率が85%に低下していることを示し、出湯温度が90℃のときは、温度差がT6で能力比率が85%に低下していることを示すことになる。
性能低下判定部23は、図5に示された性能低下の制限範囲を決定する出湯温度毎のクライテリアのテーブルを内蔵しており、図2に示される判定フローに従って、スケールの付着を判定する構成とされている。ヒートポンプシステム1の運転時、ユーザーは、リモコン等の設定手段22で「出湯温度」を設定する(ステップS1)。ヒートポンプシステム1は、この出湯温度を目標温度として一定の能力で水ポンプ12の回転数を制御し、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5からの出湯温度が目標温度となるように水量を制御して運転される。
ステップS1で出湯温度が設定されると、ステップS2に移行し、その出湯温度と、水/冷媒熱交換器5の「冷媒出口温度−水入口温度」とか関係から性能低下下限のクライテリアが決定され、ステップS3に移行される。ステップS3では、運転データとして水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5の冷媒出口温度と、水入口温度とが温度センサ20,21の検出値として読み込まれる。そして、この検出値から上記温度差が算出され、その値がステップS2で決定されたクライテリアの制限範囲内か否かがステップS4において判定される。
ステップS4で、クライテリアの制限範囲内(YES)と判定されると、ステップS1に戻り、以下同様の動作を繰り返す。一方、クライテリアの制限範囲を超えており、NOと判定されると、ステップS5に移行して、ユーザーに対して水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5の水流路5Bに制限量以上のスケールが付着し、熱交換性能(能力)が制限値を超えて低下していることを認識させるメンテナンスアラームを出すよう警報部24に出力する構成とされている。ユーザーは、このアラームを受けて適宜適切な時期に、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5を洗浄あるいは交換し、その性能を回復することにより、再びヒートポンプシステム1を安定して運転することができるようになる。
斯くして、本実施形態によれば、以下の作用効果を得ることができる。
上記ヒートポンプシステム1において、CO2冷媒を用いた超臨界サイクルのヒートポンプ2が運転されると、圧縮機4で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、冷媒循環回路9を介して水/冷媒熱交換器5に導入される。ここで冷媒流路5A側を流れる冷媒と、水循環回路11を介して水流路5B側に循環される水とが熱交換されることにより、水は高温高圧の冷媒ガス側からの放熱によって加熱、昇温され、リモコン等の設定手段22で設定された温度の温水(お湯)が製造される。
このお湯は、水循環回路11を介して貯湯タンク10に出湯され、貯湯タンク10内に貯えられる。一方、水/冷媒熱交換器5で放熱して冷却された冷媒は、減圧手段6で減圧された後、気液二相の低圧低温冷媒とされて蒸発器7に導入され、ここでファン等により送風される外気と熱交換されて蒸発された後、圧縮機4に吸い込まれることにより、再圧縮される。以下、同様の動作を繰り返すことによって、温水の製造に供される。
貯湯タンク10に貯湯されたお湯は、必要時に貯湯タンク10から出湯側配管11Bを介して負荷側に出湯されることより消費される。この際、給水側配管11Aからバイパス回路14を介してミキシング弁15に供給される20℃前後の水と、貯湯タンク10内に貯湯されていた90℃程度の高温のお湯とがミキシング弁15で混合され、例えば60℃程度の温水に調整されて負荷側に供給されることになる。
上記の温水製造過程において、水/冷媒熱交換器5の水流路5B側に対して水が循環されるが、水質によっては水流路5B側にスケールが付着し、そのスケールが堆積することによって熱交換が阻害され、熱交換性能(能力)の低下を来し、その結果、システムの能力不足や消費電力のアップ、あるいは保護制御による運転停止等を招くことになる。
しかるに、本実施形態では、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5に対するスケールの付着による性能低下を、水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度との温度差(冷媒出口温度−水入口温度)と、出湯温度とに基づいて判定する性能低下判定部23を備えているため、水/冷媒熱交換器5の水流路5B側にスケールが付着し、その熱交換性能が低下すると、性能低下判定部23を介して水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度との温度差、すなわち水/冷媒熱交換器5の「冷媒出口温度−水入口温度」を求め、その値と予め設定されている出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器5の性能低下が制限値を超えているか否かを判定することができる。
特に、出湯温度が目標温度となるように、水量を制御しているヒートポンプシステム1では、水/冷媒熱交換器5が性能低下しても、出湯温度が確保されることから、水/冷媒熱交換器5の性能低下を判定し難いが、本発明では、水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度とを検出し、その温度差を求めることによって、その温度差と出湯温度とに基づいて、水/冷媒熱交換器5の性能低下を判定することができる。従って、水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度との2箇所の温度検出のみで、複雑な対数平均温度差や算術平均温度差等を用いることなく、簡便にかつ精度よく水/冷媒熱交換器5のスケール付着による性能低下の有無を判定することができる。
また、性能低下判定部23は、水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)5の能力比率が制限範囲を超えたとき、メンテナンスアラームを出力する警報部24を備えているため、ユーザーは、水/冷媒熱交換器5にスケールが付着し、その能力が制限値を超えて低下していることを警報部24からのメンテナンスアラームの出力により認識することができる。これによって、水/冷媒熱交換器5のメンテナンス時期を適宜適切に判断し、その洗浄・交換等を行うことにより、能力不足や消費電力のアップ、保護制御による運転停止等を避けてヒートポンプシステム1を安定して運転することが可能となる。
さらに、性能低下判定部23は、出湯温度毎に、出湯温度と、水/冷媒熱交換器5の性能低下時の「冷媒出口温度−水入口温度」との関係から性能低下下限のクライテリアを決定するテーブルを内蔵している。このため、このテーブルにより決定されるクライテリアに従って、水/冷媒熱交換器5の水流路5B側へのスケール付着による性能低下を、運転時に検出される水/冷媒熱交換器5の冷媒出口温度と水入口温度との温度差と、出湯温度とに基づいて簡便に判定することができる。従って、水/冷媒熱交換器5の性能低下を簡便にかつ精度よく判定できる性能低下判定部23を備えたヒートポンプシステム1を低コストで提供することができる。
また、本実施形態のヒートポンプシステム1は、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステム1とされている。このため、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステム1にあって、ガスクーラとして機能する水/冷媒熱交換器5の水流路5B側にスケールが付着したことによる性能の低下を適宜適切に判断し、メンテナンスすることができる。これによって、給湯機用のヒートポンプシステム1を、その能力、性能を維持しながら、安定的に運転することができる。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、給湯機用のヒートポンプシステム1について説明したが、ヒートポンプチラーに対しても同様に適用できることは云うまでもない。また、CO2冷媒を用いた場合、上記圧縮機4を2段圧縮機とすることが望ましく、これにより更なる高能力化を期待することができる。
1 ヒートポンプシステム
2 ヒートポンプ
3 貯湯タンクユニット
4 圧縮機
5 水/冷媒熱交換器(ガスクーラ)
5A 冷媒流路
5B 水流路
6 減圧手段
7 蒸発器
10 貯湯タンク
11 水循環回路
12 水ポンプ
20,21 温度センサ
22 出湯温度の設定手段
23 性能低下判定部
24 警報部

Claims (4)

  1. 水/冷媒熱交換器を備え、その出湯温度が目標温度となるように、水ポンプにより水量を制御するタイプのヒートポンプシステムにおいて、
    前記水/冷媒熱交換器のスケール付着による性能低下を、該水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差と、前記出湯温度と、該水/冷媒熱交換器の初期能力に対する熱交換器能力の低下を表す能力比率とに基づいて判定する性能低下判定部を備えていることを特徴とするヒートポンプシステム。
  2. 前記性能低下判定部は、前記水/冷媒熱交換器の冷媒出口温度と水入口温度との温度差が所定の前記能力比率における制限範囲を超えたとき、メンテナンスアラームを出力する警報部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のヒートポンプシステム。
  3. 前記性能低下判定部は、前記出湯温度毎に、前記出湯温度と、前記水/冷媒熱交換器の性能低下時の前記「冷媒出口温度−水入口温度」との関係から性能低下下限のクライテリアを決定するテーブルを内蔵していることを特徴とする請求項1または2に記載のヒートポンプシステム。
  4. 前記ヒートポンプシステムが、CO2冷媒を用いた給湯機用のヒートポンプシステムであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のヒートポンプシステム。
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