JP6070989B2 - 電池の製造方法 - Google Patents
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Description
なお、一つのパレット内に収容される電池組立体に、複数の製造条件のものが混在する理由は、主として以下のとおりであり得る。すなわち、電池の製造ラインにおいて、各工程に要するサイクルタイムを一定に揃えるために、サイクルタイムの長い工程ではライン設備を複数設けて対応することが頻繁に為されている。この際、サイクルタイムの長い工程からサイクルタイムの短い工程にワーク(組立途中の電池組立体等)を移送する際に、より多数のライン設備からより少数のライン設備に収束するようにワークが移動されるため、製造条件の異なるワークが順不同でより少数の設備に送り込まれ、製造条件の異なるワークが混在することに繋がる。このような状況から、ワークを電池組立体に組立てた後、パレットに載置する際に、同一製造条件のものが一定数(典型的には、5個)未満しか含まれない事態が発生しうる。
また、引用文献1に開示されているように、例えば、長尺シート状の正極が巻き取られた正極ロールが切り替わると、かかる正極の製造に用いられていた材料も変わる。そのため、このような製造条件の切り替わりのタイミングによっても、同一製造条件のものが一定数(典型的には、5個)未満でパレットに載置される事態が発生し得る。
すなわち、本発明が提供する電池の製造方法は、以下の工程:(i)少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する工程;(ii)複数個の上記電池組立体を一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する工程;(iii)該複数の検査ロットのそれぞれについて、該検査ロットを構成している複数個の電池組立体を製造条件が同一である電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する工程;(iv)該複数の検査ロットのそれぞれについて、上記製造条件グループごとに該グループを構成する電池組立体の良否を判定する検査工程;(v)上記検査工程で不良と判定された電池組立体を除く工程;を包含している。
(1)上記不足製造条件グループが存在する入替対象検査ロットにおいて、該不足製造条件グループを構成する電池組立体の数mを認定するとともに、
該不足製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(2×N)個以上である付随入替製造条件グループを選定すること;
(2)上記入替対象検査ロット以外の他の検査ロットであって、上記不足製造条件グループと同じ製造条件グループであり、該製造条件グループの構成電池組立体数が(N−m)個以上である結合先製造条件グループを有し、かつ、該結合先製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である被入替製造条件グループを有する入替先検査ロットを決定すること;
(3)上記入替対象検査ロットから、(a)上記不足製造条件グループを構成する全m個の電池組立体、および、(b)上記付随入替製造条件グループから選択されたN個の電池組立体を、入替先検査ロットの(c)上記被入替製造条件グループから選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えること。
かかる構成によると、製造条件グループを構成する電池組立体の数が5以上となるように入れ替え処理が行われる。製造条件グループを構成する電池組立体の数は、多い方が判定の精度が高まるために好ましい。しかしながら、Nが大きすぎると不足製造条件グループの発生する確率が高まってしまう。そのため、Nの値については厳密な制限はないものの、例えばNは5以上10以下程度を目安に設定することができる。製造グループの電池組立体の数が5以上(例えば5,6または7)であると、良品判定において、各電池組立体に関する測定値の中央値を良品判定の基準(良品基準値)に設定しても、かかる中央値が不良品値である可能性が極めて低減される。したがって、誤って不良品を良品と判定する可能性を低減することができるために好ましい。
かかる構成によると、電池を製造する際の電解液の浸透時間を利用して、上記の入れ替え処理を行うことができて効率的である。したがって、かかる入れ替え処理により、例えば、電解液の注入後に行われるコンディショニング処理およびエージング処理に伴い実施される良品判定等の検査工程を、高精度で且つ不良品の発生を抑制して実施することができるために好適である。
このように、入替対象検査ロットおよび入替先検査ロットにおいて、製造条件グループを構成する電池組立体の数が最も多いものを、それぞれ付随入替製造条件グループおよび結合先製造条件グループとすることで、入れ替えによって電池組立体数がNに満たない製造条件グループが発生することのない構成を、より簡便に実現できる。また、入れ替え処理後の付随入替製造条件グループおよび結合先製造条件グループの電池組立体数を多く維持することができ、かかる製造条件グループにおいては、入れ替え処理の後にもより精度の高い判定を行うことができる。
電池の製造に際し、品質のバラつきは、電池原料のロット間での品質のバラつきによるところが大きい。したがって、同じ原料を用いて構築された電極体を備える電池組立体間では、品質のバラつきは本質的に低く抑えられ得る。したがって、例えば、電池組立体のセル情報として原料に係る情報を付与し、原料を同一とする電池組立体について層別して製造条件グループを構成することで、製造不良による(原料品質のバラつきに因らない)不良品を的確に区別でき、高精度の良品判定を行うことが可能となる。特に、長尺の電極シートを用いて作製される捲回電極体を備える電池については、かかる電極シートが切り出される前の一の電極ロールにおいて、ロールの巻はじめと巻き終わりとでバラつきが生じ得る。かかる見解電極体を備える電池に対して、本製造方法は特に好ましく採用され得る。
以上のことから明らかなように、本発明の方法は、何らかの評価を行う際の評価単位となる評価グループ(上記の製造条件グループに相当)を、その評価内容に応じて適切に再構築する方法であり得る。したがって、本発明は、任意の評価方法をも提供するものとして把握することができる。
ここでは、少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する。ここで、電池組立体とは、後の検査工程で行う検査内容に応じて、被検査体として適切な形態にまで組み立てられた電池あるいはそれ以前の段階の任意の形態にまで組み立てられた電池を考慮することができる。例えば、出荷前の形態の略完成された電池であっても良いし、電解液を注入する前の段階の電池等を含み得る。非水電解液二次電池等の場合、コンディショニングおよびエージングの工程に伴い検査工程を実施することがあるため、この場合、電池組立体としては、例えば、かかるコンディショニングに先立った段階にまで組み立てられているもの、例えば、電池ケースの封口後であって電荷液の注入前の段階のものを電池組立体とすることができる。なお、電池の種類や構成等は特に制限されない。
具体的には、例えば電池としてリチウム二次電池を想定した場合についていうと、かかる電極体の構成部材の情報としては、電極体を構成する正極および負極にそれぞれ付与された識別番号(ID no.)であり得る。この識別番号には、これらの電極の製造に用いられた正極活物質あるいは負極活物質、導電材およびバインダ等の製品番号およびロット番号、ならびに、これらの配合情報、製造ライン情報や、これらの電極が何れの電極シートの何れの部位から切り出されたものであるか等を示す情報が含まれていても良い。また、上記の電極体の構成部材の情報は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納され、識別番号等により外部からアクセス可能なように管理されていても良い。なお、このデータ処理手段としては、特に制限されるものではないが、上述のような、CPUを備えているパーソナルコンピューター(PC)等の演算手段を考慮することができる。
さらに、後述するように、電解液の浸透時間を利用して検査ロットおよび製造条件グループの再構築を行う場合には、電解液の注入開始時間や、浸透に要する時間等の製造条件に関する情報等が含まれていても良い。これらの製造条件に係る情報は、検査工程の目的や内容に応じて適宜設定することができる。
ここでは、上記で製造した電池組立体を、2個以上の数(複数)で一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する。この検査ロットは、好ましくは、検査工程に一度に送られる一単位の電池組立体であり得る。なお、複数の検査ロットが一度に検査工程に送られる場合があっても良い。かかる検査ロットは、典型的には、同一のパレット等の搬送単位に載置された電池組立体から構成することができる。検査ロットを構成する電池組立体の数に特に制限はなく、2個以上の電池組立体から構成することができ、電池組立体の製造状態によっては、検査ロットごとに電池組立体の数が異なる場合があり得る。より具体的には、検査ロットは、典型的には12個以上、好ましくは60個以上、例えば100個以上の電池組立体から構成することができる。検査ロットを構成する電池組立体の数上限については特に制限はなく、例えば、同一の搬送単位に載置可能な電池組立体の上限と同数とすることができる。例えば、500個以下、360個以下、150個以下等の数を例示することができる。
なお、本発明の製造方法を、コンピュータ等を使用した情報処理の手段によって実現する場合には、各々の電池組立体がいずれの検査ロットに属するかの情報を、データ処理手段の記憶部等に格納してもよい。
次いで、複数の検査ロットのそれぞれについて、検査ロットを構成している複数個の電池組立体を製造条件が同一である電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する。ここで、製造条件とは、例えば、上記のセル情報における製造条件のいずれか1種、または、2種以上の組み合わせであり、検査内容に応じて任意に設定することができる。
これにより、各検査ロットに属する電池組立体は、製造条件ごとに1以上の製造条件グループに仕分けされる。具体的には、例えば、同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材と、を組合せて形成された電極体を備える電池組立体、との製造条件により、所定の検査ロットに属する電池組立体は、製造条件グループX,Y,Z…等のように層別される。
かかる層別は、例えば、上記のデータ処理手段において実行することができる。そして各々の電池組立体が、何れの検査ロットの何れの製造条件グループに属するかの情報を、記憶部等に格納することができる。
ここで、次工程である検査工程は、上記の通り検査ロット内において層別された製造条件グループが、予め設定されている最低検査可能数N以上の電池組立体で構成されている場合に実施されることを前提としている。そのため、一の検査ロット内に最低検査可能数N未満の電池組立体で構成された不足製造条件グループが存在する場合は、検査工程を実施する以前に、下記の(1)〜(3)のステップを含む電池組立体入れ替え処理を行う。また、不足製造条件グループが存在しない場合は、任意のタイミングで検査工程に進むことができる。
上記のとおり、最低検査可能数N未満の電池組立体で構成された製造条件グループを、図2(a)に例示したように、不足製造条件グループ(X)に設定し、入れ替え処理の対象に含める。この不足製造条件グループが、入れ替え処理により、最低検査可能数N以上のグループに再構築されることになる。そして、かかる不足製造条件グループを含む一の検査ロットを、入替対象検査ロットとする。
次いで、この入替対象検査ロットにおいて、不足製造条件グループ(X)を構成する電池組立体の数mを認定する。そして、この入替対象検査ロットにおける、不足製造条件グループ(X)とは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(2×N)個以上である付随入替製造条件グループ(Z)を選定する。この付随入替製造条件グループ(Z)は、入れ替え処理において、その一部が上記の不足製造条件グループ(X)と共に入れ替えられる。この付随入替製造条件グループ(Z)は構成電池組立体数が多いものであるほど、再構築後の当該製造条件グループについての検査の精度が高まるために好ましい。そのため、例えば、入替対象検査ロットにおける製造条件グループを構成電池組立体数の順に降順で並べた時に、一番目となる製造条件グループ、すなわち、構成電池組立体数が最も多い製造条件グループを付随入替製造条件グループ(Z)とすることができる。
以上の操作は、例えば、セル情報を基に上記のデータ処理手段において実行することができる。そして、電池組立体の数mや、何れの電池組立体が不足製造条件グループ(X)や付随入替製造条件グループ(Z)に設定されたかの情報は、例えば、入力手段を通じて、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
次いで、入替先の電池組立体の検索と決定を行う。まずは、入替対象検査ロット以外の他の検査ロットについて、上記の不足製造条件グループ(X)と同じ製造条件グループであり、構成電池組立体数が(N−m)個以上である製造条件グループを検索する。そのような製造条件グループが見つかれば、その製造条件グループとは別に、さらに、構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である製造条件グループを検索する。このような製造条件グループをいずれも含む検査ロットを入替先検査ロットに決定し、図2(a)に例示したように、前者の構成電池組立体数が(N−m)個以上である製造条件グループを結合先製造条件グループ(X’)に、また、後者の構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である製造条件グループを被入替製造条件グループ(Y)に設定する。ここで、結合先製造条件グループ(X’)が、入れ替え処理により、不足製造条件グループ(X)と結合される製造条件グループである。また、被入替製造条件グループ(Y)が、上記の不足製造条件グループ(X)および付随入替製造条件グループ(Z)の一部を受け入れるために入れ替えられることになる。
以上の操作は、例えば、セル情報を基に上記のデータ処理手段において実行することができる。そして何れの電池組立体が結合先製造条件グループ(X’)と被入替製造条件グループ(Z)に設定されたかの情報は、例えば、入力手段を通じて、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
そして、図2(b)に例示したように、入替対象検査ロットから、不足製造条件グループ(X)を構成する全m個の電池組立体、および、付随入替製造条件グループ(Z)から選択されたN個の電池組立体を、入替先検査ロットの前記被入替製造条件グループ(Y)から選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えるようにする。係る入れ替えに際し、付随入替製造条件グループ(Z)および被入替製造条件グループ(Y)から選択される電池組立体は、各々、識別番号が降順または昇順で最初のものから所定数で選択されたものであることが、選択された電池組立体と残存する電池組立体との両方で製造条件がより揃うために好ましい。
なお、かかる電池組立体グループの入れ替えには、例えば、後述の図5に例示したような、仮置きができる(バッファとなる)入替補助棚を利用する等しても良い。また、このような電池組立体グループの入れ替えは、例えば、スタッカー、アームロボット等の任意の電池組立体移動手段を利用することで実現することができる。これらの電池組立体移動手段は、データ処理手段の指示に基づいて駆動可能とすることができる。
入れ替え処理の後には、検査ロットおよび製造条件グループを再構築(情報の更新)するために、再度上記の層別の工程を実施することができる。
すなわち、入れ替え後の入替対象検査ロットおよび入替先検査ロットを構成する電池組立体の情報が新たに更新される。また、これらの検査ロットについて再度、製造条件による層別を実施することで、製造条件グループが再構築される。
かかる再構築および再層別は、例えば、上記のデータ処理手段において実行することができる。そしてこの検査ロットの再構築、および、製造条件グループの再層別により、各々の電池組立体が何れの検査ロットの何れの製造条件グループに属するかの新たな情報を、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
このように再構築された後の検査ロットに含まれる電池組立体について、再層別された製造条件グループごとに、検査工程を実施することができる。検査工程では、複数の検査ロットのそれぞれについて、製造条件グループごとに該グループを構成する電池組立体の良否を判定する。
検査の内容や手法等については特に制限はなく、様々な内容について、様々な基準に基づく判定を行うことができる。以下、例えば、電池組立体内の微小短絡の有無およびその程度についての判定を行う場合を例に、良品判定の方法について説明を行う。
本発明において、良品判定は、以下の工程を含むものであることが好ましい。
上記の通り再構築された後の一の検査ロットの各電池組立体に初期充電を行う。かかる初期充電の条件については、当該電池の用途等に応じて適宜設定することができる。例えば、室温において、当該電池の最高到達電位まで1Cのレートで定電流(CC)充電した後、1Cのレートで定電流(CC)放電することを、所定の回数繰り返すこと等が例示される。初期充電を開始するタイミングは、厳密ではないものの、少なくとも検査ロットHnに含まれる電池組立体については揃えられていることが好ましい。また必須ではないものの、例えば、上記のデータ処理手段により、初期充電のタイミングに関する情報を取得し、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
次いで、初期充電後の各電池組立体について、端子間電圧を測定した後、エージングを施し、そしてエージング後の端子間電圧を測定する。これにより、エージング前後における電池組立体の自己放電による電圧降下量を算出する。かかる電圧降下量の算出は、例えば、上記のデータ処理手段により実施することができ、算出結果は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
なお、エージングの時間および温度等の条件については特に制限はなく、対象とする電池に応じて適宜設定することができる。例えば、エージングの温度は、15℃程度から80℃程度の範囲で設定することが例示され、典型的には、室温程度から65℃程度の範囲(例えば、40℃から60℃程度)に設定することができる。また、このエージングの温度は一定としても良いし、例えば、2段階に温度を変化させるようにしても良い。具体的には、一例として、25℃にて1時間〜120時間程度保持することや、60℃にて1時間〜48時間程度保持すること、およびこれらの組み合わせ等の様々な態様が考慮される。
その後、電圧降下量の算出結果に基づいて、一の検査ロット内の製造条件グループごとに、良品判定のための基準値となる良品基準値を設定する。この良品基準値の設定の仕方は特に制限されないものの、例えば、製造条件グループを構成する電池組立体の電圧降下量の算術平均値や、中央値(メジアン)等を好適に採用することができる。電圧降下量の算術平均値は、例えば、上記のCPUを備えるデータ処理手段により、製造条件グループを構成する全ての電池組立体の電圧降下量から算術平均値を算出することで求めることができる。また、電圧降下量の中央値は、例えば、上記のCPUを備えるデータ処理手段により、製造条件グループを構成する電池組立体データを電圧降下量の順(昇順または降順)に並べ替え、電池組立体数が奇数の場合は中央の位置の電池組立体の電圧降下量の値を、電池組立体数が偶数の場合は予め取り決めた中央に相当する電池組立体(典型的には、中央に位置する2つの電池組立体のうち、より電圧降下量の小さい電池組立体)の電圧降下量の値を、良品基準値として設定することができる。この良品基準値は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
判定では、再構築された製造条件グループの各電池組立体について、上記の通り設定された良品基準値と各電池組立体の電圧降下量との差分を算出し、この差分が所定の閾値以下の場合にその電池組立体を良と判定し、この差分が所定の閾値を越える場合にその電池組立体を不良と判定する。閾値としては、対象とする電池の規格などにもよるため一概には言えないが、例えば、2σ〜3σ程度(ここで、σは標準偏差を意味する。)に相当する値を適宜設定することが例示される。
かかる手法によると、製造条件に応じて適した良品基準値が定められるため、例えば、製造条件に由来する何らかの影響に因る電圧降下を差し引いて、個々の電池組立体の不良を発見し易くなる。したがって、不良品が良品と判定されることや、必要以上に不良品を発生させることなく、より高精度の判定を行うことが可能となる。例えば、製造条件は同じであっても、製造装置などから電極体内に不可避的に混入する微小金属等の存在によりかかる電極体に微小短絡が発生することがあり得る。上記の良品判定によると、かかる微小短絡の有無およびかかる微小短絡による自己放電のレベルをより的確に把握することができ、高精度な良品判定を行うことができる。
[電池組立体の用意]
図4は、リチウム二次電池10の構成を示す断面模式図である。本実施形態に係る電池10は、従来の一般的なリチウム二次電池と同様、典型的には所定の電池構成材料(正負それぞれの集電体32,52に活物質が保持された正極30および負極50ならびにセパレータ70等)を具備する捲回電極体20が適切な電解液(図示せず)とともに電池ケース80に収容された構成を有する。なお、この電池10の電極体20および電解液等の具体的な構成は、本発明を特徴付けるものではないため特に詳しく説明しないが、当業者の技術常識に基づき、目的や用途に応じて適切なものを選択して採用することができる。
したがって、正極シート30および負極シート50の製造条件に関する情報として、例えば、正極活物質あるいは負極活物質、導電材およびバインダ等の製品番号およびロット番号、ならびに、これらの配合情報を考慮するのが好ましい。
以上の構成によると、電極体20において発生される電力を外部接続端子38,58により取り出し可能とすることができる。そして、かかる捲回電極体20をケース本体84に収容し、ケース本体84と蓋体82とを溶接することで、電池ケース80内に電極体20を安定性よく位置決めした状態に、電池組立体を得ることができる。かかる電池組立体は、電解液を注液した後、例えば、所定のコンディショニング処理を施すことで、所定の電池10とすることができる。
なお、上記のとおり組み立てられた電池組立体については、上記の通りの製造条件を含むセル情報を付与する。かかるセル情報は、例えば、電池ケース80の表面(例えば側面)に、QRコード(登録商標)等の2次元コードをインクジェット方式で印刷する等して付与することができる。かかるセル情報の付与は、任意のタイミングで行うことができる。例えば、電極体を電池ケースに収容する際に、電極体の情報を電池ケースにセル情報として付与するようにしてもい。
電池組立体は、移送のためにパレットに順次載置される。このような電池組立体は、規格にもよるが、例えば、1日に1000個以上が生産され得る。本実施形態においては、150個の電池組立体を載置することができるパレットに、組み立てられた電池組立体を順次載置した。本実施形態においては、このパレットが検査ロットとして把握され得る。
なお、各電池組立体をパレットに載置する際に、例えば2次元コードリーダーにより電池のセル情報を読み取り、パレットの載置位置の情報と共にデータ処理手段(例えばPC)に送り、記憶部等に格納して管理した。ただし、かかるセル情報の読み取りは、後工程の製造条件による層別に先立って実施されればよく、必ずしも検査ロットの形成と同時に行う必要はない。例えば、後述する電解液の浸透工程に移送する際に、パレット上に載置された状態の電池組立体のセル情報を読み取るようにしても良い。
このようにパレットに載置された電池組立体を、パレット単位で電解液注入工程に移送し、電解液を注液する。ここで、電解液の注液の開始日時等の情報を、適切なタイミングでセル情報に加えるようにしても良い。そして、例えば、一つのパレットに載置された複数の電池組立体に対し、最初に電解液の注液を開示した開始日時を、当該検査ロットの浸透基準日時とすることができる。なお、後工程において検査ロットを再構築した場合には、再構築後の各セルの注液開始日時に基づいて、再度、最初の注液開始日時を浸透基準日時とすることができる。
電解液としては、この種の一般的な二次電池10に用いられる各種の電解液から適宜選択して用いることができる。例えば、リチウム二次電池については、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒(非水溶媒)中に含んだものが例示される。かかる電解液は、常温で液状の非水電解質(すなわち電解液)を好ましく使用することができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、Li(CF3SO2)2N、LiCF3SO3等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPF6が挙げられる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。かかる非水電解質には、必要に応じて、ガス発生添加剤、被膜形成添加剤等に代表される各種の添加剤が加えられていても良い。
電解液の注液を終えた電池組立体については、パレット単位で、電解液の浸透工程に移送する。
図5は、電解液の浸透工程の様子を示す平面図である。この図5の例の場合、浸透工程には、例えば、1〜12までナンバリングされた浸透位置210が用意され、各浸透位置210には、一段に3つのパレット200を収容できる15段の浸透用棚215が用意されている。また、浸透位置210の間には、スタッカー220がパレット200の移送が可能なように設置されている。また、浸透工程の奥には、パレット200間での電池組立体の入れ替えを行う入替エリア230が設けられ、パレット間での電池組立体の入れ替えを可能とする直交ロボット235が配置されている。
この図5では、図下側から電池組立体がパレット200単位で浸透工程に移送されてくる。なお、この浸透工程に移送されてきた際に、セル情報読み取り装置240により電池組立体のセル情報と、パレット200上の載置位置との関係を読み取るようにしても良い。かかる情報は、例えば、自動読み取り装置を入力手段として、データ処理装置の記憶部に格納することができる。そして、移送されてきたパレット200は、スタッカー220により、所定の浸透位置210の所定の浸透用棚215の所定の位置に格納される。このとき、例えば、PCの記憶部内に、一つのパレット200に載置されている150個の電池組立体のセル情報を記載したファイルをパレット200ごとに作成し、かかるファイルと上記のセル情報およびこのパレット200を格納した浸透用棚215の情報等とを関連付けしておくことができる。
次いで、PC内に形成されたファイルにおいて、セル情報に含まれる製造条件に基づき、上記ファイル内の電池組立体を層別する。ここでは、同一の正極ロールから切り出された正極シートと、同一の負極ロールから切り出された負極シートとを組合せて形成された捲回電極体を備える電池組立体、との条件に基づき層別を行った。かかる層別は、電解液の浸透工程に移送され、PC内にファイルが形成されたパレットについて、順次行うようにした。
これにより、例えば図2(a)に例示したように、一つのパレット(検査ロット)に載置された150個の電池組立体は、製造条件グループW,X,Zに層別された。また、他の一つのパレット(検査ロット)に載置された150個の電池組立体は、製造条件グループX’,Yに層別された。
以上のように層別が行われた検査ロットについて、電池組立体数が最低検査可能数N未満の製造条件グループがないか、PCによりデータの解析を行った。なお、本実施形態においては、最低検査可能数Nを「5」と設定した。
その結果、例えば図2(a)に示したように、検査ロットにおける製造条件グループXが、5個未満(本実施形態では3個)の電池組立体から構成されることが判明した。そこで、この検査ロットをPC内で入替対象検査ロットと関連付けし、電池組立体数が5に満たない製造条件グループを、PC内で不足製造条件グループXと関連付けした。そして、不足製造条件グループを構成する電池組立体の数mを「3」と認定した。なお、電池組立体数が5に満たない製造条件グループについては、全ての検査ロットについて解析した。そして、不足製造条件グループについては、例えば、PCの記憶部において、不足製造条件グループのフォルダを作成し、かかる不足製造条件グループのフォルダ内に情報(データ、ファイルまたは複製ファイルであり得る。)を管理するようにしても良い。
そして、不足製造条件グループXの全ての電池組立体と、付随入替製造条件グループZのうちの任意の5個の電池組立体とを、入替対象グループとしてPC内で関連付けした。すなわち、入替対象検査ロット内に入替対象グループを形成した。
次いで、PCにおいて、入替対象検査ロットとは異なる検査ロットにおいて、先の不足製造条件グループと同一の製造条件グループであって、その製造条件グループの構成電池組立体数が(N−m)個以上(すなわち、2個以上)である造条件グループを有し、かつ、さらに他の構成電池組立体数が(m+2×N)個以上(すなわち、13個以上)の製造条件グループを含む検査ロットを検索した。その結果、かかる条件を満たす検索ロットを入替先検査ロットと設定し、(N−m)個以上の造条件グループを結合先製造条件グループX’、(m+2×N)個以上の製造条件グループを被入替製造条件グループYと設定した。なお、このような条件を満たす検査ロットはいくつか見つかったが、被入替製造条件グループYの構成電池組立体数が最も多いものを含む検査ロットを採用した。
そして、かかる被入替製造条件グループYから選択された(m+N)個の電池組立体を、被入替対象グループとしてPC内で関連付けした。つまり、被入替対象検査ロット内に被入替対象グループを形成した。
上記のように設定した入替対象グループと被入替対象グループとの情報を基にスタッカーを操作し、入替対象検査ロットであるパレットと、被入替対象検査ロットであるパレットとを入れ替えエリアに移動させた。次いで、同情報を基に自動アーム式の直交ロボットを操作し、入替対象検査ロットのパレットから入替対象グループの各電池組立体を入替補助棚に仮置きし、被入替対象検査ロットのパレットから被入替対象グループの各電池組立体を、入替対象検査ロットに発生した空席に載置した。そして、入替補助棚に仮置きした入替対象グループの各電池組立体を、被入替検査ロットのパレットに発生した空席に載置した。これにより、入替対象検査ロットの入替対象グループの電池組立体と、被入替検査ロットの被入替対象グループの電池組立体との入れ替えを行った。かかる電池組立体の入れ替え操作により、入替後の各検査ロットは、例えば、図2(b)に例示したような電池組立体群からから構成されることになる。
また、上記の実際の電池組立体の入れ替え処理に伴って、PC内の入替対象検査ロットのファイルおよび被入替対象検査ロットのファイルの構成電池組立体のセル情報についても入れ替えを行い、これらの検査ロットの情報の再構築を行った。
さらに、これらの再構築後の検査ロットのセル情報について、PC内で、再度製造条件に基づき層別を行った。これにより、図2(b)に例示したように、各製造条件グループが再構築された。なお、かかる再度の層別により、不足製造条件グループXは結合先製造条件グループX’に結合されて消滅した。そして入替対象検査ロットには、再構築前の被入替製造条件グループから移動された8個の電池組立体からなる製造条件グループY’が新たに形成された。また被入替対象検査ロットには、再構築前の付随入替製造条件グループから移動された5個の電池組立体からなる製造条件グループZ’が新たに形成された。
万一、不足製造条件グループを消滅させるための入替対象グループおよび被入替対象グループ等を設定できない場合は、かかる不足製造条件グループは、適切な入替対象グループおよび被入替対象グループが構成され得る検査ロットが形成されるまで放置される。
以上のような不足製造条件グループの削減は、例えば、電解液の浸透時間が経過するまで任意の回数繰り返し行うことができる。また、電解液の浸透時間が経過した際に上記の入れ替え処理の工程が実施できなかった不足製造条件グループについては、かかる不足製造条件グループに属する電池組立体は後工程において適切な良品判定をし得ないとして、後述の検査を行わずに不良品と判定することができる。入れ替え可能時間以上経過していないこととして把握することができる。なお、入れ替え可能時間は、最長浸透時間−浸透経過時間により求め、管理することができる。電解液の浸透時間は特に制限されないものの、例えば、0.5時間以上36時間以下(典型的には、1時間以上24時間以下、例えば、5時間以上12時間以下)程度をおおよその目安として設定することができる。
また同様に、電池組立体の規格(構成)によっては、同一の正極ロールおよび負極ロールから切り出された正極シートおよび負極シートを用いて形成した電池組立体であっても、かかるシートの切り出し位置が大きく離れている場合には電池組立体の品質にバラつきが発生し得る。そのため、例えば、電池組立体の規格(構成)によっては、同一の正極ロールおよび負極ロールから切り出された正極シートおよび負極シートであっても、切り出し位置が一定の間隔を超えるものについては製造条件が異なってくるよう、層別のための製造条件Amをより詳細に設定することができる。
上記の入れ替え処理に係る一連の工程は、例えば、スタッカーや直交ロボット等による移送に不都合が発生したり、PC内のデータのバグが発生したりという問題が生じない限りにおいて、例えば、2つ以上の不足製造条件グループを削減するべく2つ以上の一連の工程が同時にあるいは重複して実施されても良い。
電解液の浸透時間が経過した検査ロットHnについては、図4の上方に示したように、パレット単位で次工程の検査工程に移送される。
[初期充電]
上記の通り再構築された検査ロットの各電池組立体について、初期充電を行った。初期充電の条件としては、室温(25℃)の温度条件の下、1Cの充電レートで電圧値(正負極端子間の電圧値)が4.1Vになるまで定電流充電(CC充電)を行い、次いで3.92Vまで定電流放電(CC放電)し、再度3.97VまでCCCV充電することで、3.97V充電電池組立体を用意した。
[エージングおよび電圧降下量の測定]
コンディショニング後の各電池組立体を、80℃の高温条件で20時間保持することにより、初回のエージング処理を施した。そして初回エージング処理の後、常温(25℃)で5時間経過した時の電池組立体の正負の端子間電圧を測定し、初期電圧(Vini)とした。次いで、25℃で72時間保存した後の正負の端子間電圧を測定し、エージング後電圧(V72h)とした。これらの電圧測定値V72hからViniを差し引いた値(V72h−Vini)を電圧降下量(ΔV)とした。初期電圧(Vini)およびエージング後電圧(V72h)は測定に伴い測定値がPCに送られ、PC内にて各電池組立体の電圧降下量(ΔV)が算出される。
その後、引き続きPC内にて、電圧降下量の算出結果に基づいて、検査ロット内の製造条件グループごとに、良品判定のための基準値となる良品基準値が設定される。本実施形態においては、良品基準値は、製造条件グループを構成する各電池組立体の電圧降下量の中央値(メジアン)を採用するようにした。製造条件グループを構成する電池組立体の数が偶数の場合は、電圧降下量に基づき並べ替えた際に中央に位置する2つの電池組立体のうち、より電圧降下量が小さい方の値を良品基準値に設定するようにした。この良品基準値は、例えば、PCの記憶部に格納することができる。
次いで、PC内にて、検査ロットHa内の製造条件グループHa−GAmごとに、各電池組立体の電圧降下量(ΔV)と良品基準値との差分(ΔVd:絶対値)を算出し、これらが所定の閾値以内であるかどうかにより、不良品を決定した。本実施形態において、閾値としては、電池組立体の規格から3mVとの値を用いた。そして、各電池組立体について、差分(ΔVd)≦3mVの関係となる電池組立体を良品とし、差分(ΔVd)>3mVの関係となる電池組立体を不良品と判定した。なお、閾値としては、例えば、1mV〜5mV程度の値や、2σ〜3σに相当する値等を、対象となる電池組立体に応じて適宜設定することできる。
かかる作業を、PC内にて、全ての検査ロットHnの全ての製造条件グループGAmについて実施した。そして、不良品と判定された電池を抜き取ることで、良品と判定された、すなわち自己放電が抑制されている品質の高い電池を得た。
以上の本発明の電池の製造方法において特徴的な入れ替え処理の工程は、例えば、データ処理手段を利用して入れ替え対象となる電池組立体を適切に選定し、実際に電池組立体の入れ替えを行う手段等に入れ替えの指示を行い、当該入替手段がかかる指示に基づき電池組立体を入れ替えることで、実施することができる。この際の、データ処理手段におけるデータの処理フローの具体的な一例を、例えば、図6〜図11に例示した。なお、この図6〜図11は、本発明の電池の製造方法の一工程(入れ替え処理)を実施するための処理フローの一実施形態を例示したものであって、本発明の方法がかかる処理フローに限定されるものでないことは言うまでもない。また、かかる処理フローは、本発明の目的を達成する限りにおいて適宜改変されてよいことは言うまでもない。
そして、図8は、例えば、図6中の[不足製造条件G(グループ)判定]の処理フローの一例を詳細に例示している。ここでは、例えば、「結合可能範囲」との概念を導入し、例えばセルの識別番号(ID no.)が連続番号で任意の範囲内(例えば、500番以内)のセル同士は入れ替え可能である(すなわち、結合可能範囲内である)が、それ以上に識別番号が離れたセル同士の入れ替えは行わない(すなわち、結合可能範囲でない)ようにし、セルの入れ替え前後で製造条件にずれが生じないように考慮するようにしている。なお、フロー中の「基準セル」、「Temp(テンポラリー)セル」は、かかる処理フローを実施するに際して便宜上設けたセルの名称である。
図11は、図6中の[付随入替製造条件G(Z)の移動セル設定]の処理フローを詳細に例示している。ここでは、付随入替製造条件G(Z)の移動セルの決定の仕方の一例を示している。
10 電池
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
33 露出部
34 正極活物質層
38 正極端子
50 負極シート(負極)
52 負極集電体
53 露出部
54 負極活物質層
58 負極端子
70 セパレータ
80 電池ケース
82 蓋体
84 ケース本体
Claims (7)
- 電池の製造方法であって、以下の工程:
少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する工程;
複数個の前記電池組立体を一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する工程;
複数の前記検査ロットのそれぞれについて、該検査ロットを構成している複数個の前記電池組立体を製造条件が同一である前記電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する工程;
複数の前記検査ロットのそれぞれについて、前記製造条件グループごとに該製造条件グループを構成する前記電池組立体の良否を判定する検査工程;
前記検査工程で不良と判定された前記電池組立体を除く工程;
を包含し、
ここで、前記検査工程は、前記検査ロット内において層別された前記製造条件グループが、予め設定されている最低検査可能数N(ここで、Nは、2以上で、かつ、前記検査ロットを構成する前記電池組立体の数以下の整数である。)以上の電池組立体で構成されている場合に実施されていることを前提としており、
該検査工程を実施する以前に、一の検査ロット内に前記最低検査可能数N未満の前記電池組立体で構成された不足製造条件グループが存在する場合は、以下の構成の電池組立体入れ替え処理;
(1)前記不足製造条件グループが存在する前記検査ロットを入替対象検査ロットとし、前記入替対象検査ロットにおいて、前記不足製造条件グループを構成する前記電池組立体の数m(ここで、mは、1以上前記N以下の整数である。)を認定するとともに、
前記不足製造条件グループとは異なる一の前記製造条件グループであって、該製造条件グループを構成する前記電池組立体の数が(2×N)個以上である前記製造条件グループを付随入替製造条件グループとすること;
(2)前記入替対象検査ロット以外の他の検査ロットであって、前記不足製造条件グループと同じ製造条件である前記製造条件グループであり、該製造条件グループを構成する前記電池組立体の数が(N−m)個以上である結合先製造条件グループを有し、かつ、該結合先製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、該製造条件グループを構成する電池組立体数が(m+2×N)個以上である被入替製造条件グループを有する入替先検査ロットを決定すること;
(3)前記入替対象検査ロットから、(a)前記不足製造条件グループを構成する全m個の電池組立体、および、(b)前記付随入替製造条件グループから選択されたN個の電池組立体を、前記入替先検査ロットの(c)前記被入替製造条件グループから選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えること;
を行うことを特徴とする、製造方法。 - 前記最低検査可能数Nが5以上である、請求項1に記載の製造方法。
- さらに、前記電池組立体に電解液を注入し、該電解液を前記電極体に浸透させる工程を含み、
前記電池組立体入れ替え処理は、前記電極体に前記電解液を浸透させる浸透時間内に行う、請求項1または2に記載の製造方法。 - 前記検査工程は、
一の検査ロットの各電池組立体に初期充電を行うこと;
初期充電後の各電池組立体について、エージングを施すこと、ここでエージング前とエージング後とに各電池組立体の端子間電圧を測定し、自己放電による電圧降下量を算出する;
前記一の検査ロット内において層別された製造条件グループごとに、前記電圧降下量の算出結果に基づき、良品判定のための基準値となる良品基準値を設定すること、および
各電池組立体について、製造条件グループごとに設定された前記良品基準値と前記電圧降下量との差分を算出し、前記差分が所定の閾値以下の場合に当該電池組立体を良と判定し、前記差分が所定の閾値を越える場合に当該電池を不良と判定する工程、
を包含する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。 - 前記付随入替製造条件グループは、前記入替対象検査ロットにおいて前記不足製造条件グループ以外の製造条件グループのうち、当該製造条件グループを構成する前記電池組立体の数が最も多い製造条件グループである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記被入替製造条件グループは、前記入替先検査ロットにおいて、前記結合先製造条件グループ以外の製造条件グループのうち、当該製造条件グループを構成する前記電池組立体の数が最も多い製造条件グループである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記電極体は、長尺の正極シートと長尺の負極シートとをセパレータを介して重ね合わせ、捲回されてなる捲回電極体であって、
前記製造条件グループは、
同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、
同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材と、
を組合せて形成された前記捲回電極体を備える電池組立体により構築されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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