JP6070989B2 - 電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電池の製造方法に関する。より詳細には、組立後の電池組立体に対して良品判定等の検査を行う電池の製造方法に関する。
近年、軽量で高エネルギー密度が得られる非水電解質二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)は、車両搭載用の高出力電源をはじめとする各種の用途で重要性が高まっている。この種の二次電池の製造においては、組立後の電池組立体に対してコンディショニング処理(初期充電)を行い、次いでエージング処理を施すのが一般的であり、かかるエージング処理を利用して電池組立体の良品判定を行う手法が広く採用されている。例えば、エージング処理の前後において電池組立体の端子間電圧を測定し、エージング処理の前後での電圧降下量とこの電圧降下量の適否を判定するための良品基準値との差分が所定の閾値内にあるか否かで、電池組立体が良品であるか、または不良品であるかを判定することができる。このような電池組立体の検査方法については、例えば、特許文献1に説明されている。
また、特許文献2には、例えば、上記の良品判定において、判定対象である電池組立体を製造ロット(製造条件であり得る。)によって層別することで検査ロットを形成し、かかる検査ロットごとに設定した良品基準値を基に良品判定を行うことで、精度の良い検査を行えることが開示されている。
特開2004−132776号公報 特開2011−018482号公報
ところで、例えば、上記のような良品判定は、電池組立体を製造ロットにより層別することに加え、さらに、コンディショニングにおける初回充電から良品判定の工程までの温度履歴およびエージング時間の条件により層別することで、判定の精度をより一層上げることができる。このため、一般的な電池の製造ラインでは、たとえば、電池組立体を一定数ごとにパレット等に積載して搬送し、このパレット単位(複数のパレット単位であり得る。)で電解液を注入し、所定の時間浸透させた後、良品判定までの温度履歴と時間とが同一となるように管理するようにしている。また、初回充電から良品判定までの工程においても、単一のパレット単位で、あるいは複数のパレット単位で、初回充電のタイミングを揃え、充電後の電池組立体を温度が一定の同一エリア(同一棚等)となるようにパレットを保存してエージングを行うようにしている。そして、電池組立体の良品判定を行う際には、温度履歴と処理時間が同一の電池組立体について、製造条件によって層別したのち、同一の製造条件グループの電池組立体ごとに上記の良品判定を行うようにしている。
しかしながら、上記のとおり製造条件ごとに電池組立体を層別すると、パレットによっては、層別後の製造条件グループを構成する電池組立体の数が少なくなる場合があり得る。電池組立体の良品判定では、上記の良品基準値を、良品判定のための検査ロットを構成する各々の電池組立体の電圧降下量の中央値あるいは平均値に設定することが一般的に為されている。そのため、検査ロットを構成する電池組立体の数が少ないと、中央値に相当する電圧降下量を示した電池組立体が不良品である可能性が生じ、かかる不良品の電池組立体を良品と判定してしまうという問題もあった。このため、一定数に満たないグループの電池組立体は、判定の信頼性が低くなるため、良否の判定をつけることができず、不良品として処理しているのが実情である。これは、仕損品の発生、すなわち仕損費の増加の要因となっているため、回避したい状況である。
本発明は、かかる従来の状況を鑑みて創出されたものであり、その目的とするところは、製造条件の同じ電池組立体からなるグループについて良品判定を行うに際し、不良品の発生数を低減しつつ、精度よく検査を行うことができる、電池の製造方法を提供することである。
発明者らの検討によると、良品判定の信頼度を挙げるためには、製造条件により層別されて形成される製造条件グループが、一定数以上(典型的には、5個以上)の電池組立体から構成されていることが重要であるとの結論に至った。
なお、一つのパレット内に収容される電池組立体に、複数の製造条件のものが混在する理由は、主として以下のとおりであり得る。すなわち、電池の製造ラインにおいて、各工程に要するサイクルタイムを一定に揃えるために、サイクルタイムの長い工程ではライン設備を複数設けて対応することが頻繁に為されている。この際、サイクルタイムの長い工程からサイクルタイムの短い工程にワーク(組立途中の電池組立体等)を移送する際に、より多数のライン設備からより少数のライン設備に収束するようにワークが移動されるため、製造条件の異なるワークが順不同でより少数の設備に送り込まれ、製造条件の異なるワークが混在することに繋がる。このような状況から、ワークを電池組立体に組立てた後、パレットに載置する際に、同一製造条件のものが一定数(典型的には、5個)未満しか含まれない事態が発生しうる。
また、引用文献1に開示されているように、例えば、長尺シート状の正極が巻き取られた正極ロールが切り替わると、かかる正極の製造に用いられていた材料も変わる。そのため、このような製造条件の切り替わりのタイミングによっても、同一製造条件のものが一定数(典型的には、5個)未満でパレットに載置される事態が発生し得る。
そこで、本発明では、層別後の製造条件グループごとに検査を行う電池の製造方法において、製造条件グループを構成する電池組立体の数がより精度の高い検査を行うに最低限必要となる一定数(例えば、N個)以上となるように、パレット間での電池の入れ替え(並べ替え)処理を効率的に行うものである。
すなわち、本発明が提供する電池の製造方法は、以下の工程:(i)少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する工程;(ii)複数個の上記電池組立体を一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する工程;(iii)該複数の検査ロットのそれぞれについて、該検査ロットを構成している複数個の電池組立体を製造条件が同一である電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する工程;(iv)該複数の検査ロットのそれぞれについて、上記製造条件グループごとに該グループを構成する電池組立体の良否を判定する検査工程;(v)上記検査工程で不良と判定された電池組立体を除く工程;を包含している。
ここで、上記検査工程は、上記検査ロット内において層別された上記製造条件グループが予め設定されている最低検査可能数N以上の電池組立体で構成されている場合に実施されていることを前提としており、該検査工程を実施する以前に、一の検査ロット内に最低検査可能数N未満の電池組立体で構成された不足製造条件グループが存在する場合は、本質的に、以下の構成の電池組立体入れ替え処理を行うことを特徴としている。
(1)上記不足製造条件グループが存在する入替対象検査ロットにおいて、該不足製造条件グループを構成する電池組立体の数mを認定するとともに、
該不足製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(2×N)個以上である付随入替製造条件グループを選定すること;
(2)上記入替対象検査ロット以外の他の検査ロットであって、上記不足製造条件グループと同じ製造条件グループであり、該製造条件グループの構成電池組立体数が(N−m)個以上である結合先製造条件グループを有し、かつ、該結合先製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である被入替製造条件グループを有する入替先検査ロットを決定すること;
(3)上記入替対象検査ロットから、(a)上記不足製造条件グループを構成する全m個の電池組立体、および、(b)上記付随入替製造条件グループから選択されたN個の電池組立体を、入替先検査ロットの(c)上記被入替製造条件グループから選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えること。
かかる構成によると、一の検査ロット内で層別された製造条件グループごとに検査工程を行うので、当該製造条件グループに適した精度の高い判定を行うことが可能となる。そしてさらに、この製造条件グループを構成する電池組立体の数が最低検査可能数N未満の場合には、かかる製造条件グループの電池組立体を他の検査ロットにおける当該製造条件グループに組み入れるべく、検査ロット間で電池組立体を入れ替えるようにしている。これにより、かかる製造条件グループの電池組立体の数をN以上に調整することができ、検査を行えない製造条件グループを低減させ、かつ、より高精度な検査を行うことができる。
また、この入れ替えに際しても、入れ替えによって更に電池組立体数が最低検査可能数Nに満たない製造条件グループが発生しないように、入替先の検査ロットを適切に選出するようにしている。これにより、不適切な判定が行われる可能性や、不良電池組立体の発生を確実に低減することができる。なお、上記の電池組立体入れ替え処理は、適切な入れ替えが困難な状況においては、不足製造条件グループが存在したままの状況が続き、場合によっては不要な時間を要するものとなり得る。そこで、例えば、所定の時間が経過後に不足製造条件グループが残存する場合には、かかる不足製造条件グループについては全ての電池組立体を不良と判定するようにしても良い。
ここに開示される電池の製造方法の好ましい一態様では、上記最低検査可能数Nが5以上であることを特徴としている。
かかる構成によると、製造条件グループを構成する電池組立体の数が5以上となるように入れ替え処理が行われる。製造条件グループを構成する電池組立体の数は、多い方が判定の精度が高まるために好ましい。しかしながら、Nが大きすぎると不足製造条件グループの発生する確率が高まってしまう。そのため、Nの値については厳密な制限はないものの、例えばNは5以上10以下程度を目安に設定することができる。製造グループの電池組立体の数が5以上(例えば5,6または7)であると、良品判定において、各電池組立体に関する測定値の中央値を良品判定の基準(良品基準値)に設定しても、かかる中央値が不良品値である可能性が極めて低減される。したがって、誤って不良品を良品と判定する可能性を低減することができるために好ましい。
ここに開示される電池の製造方法の好ましい一態様では、さらに、上記電池組立体に上記電解液を注入し、該電解液を上記電極体に浸透させる工程を含み、上記電池組立体入れ替え処理は、上記電極体に上記電解液を浸透させる浸透時間内に行うことを特徴としている。
かかる構成によると、電池を製造する際の電解液の浸透時間を利用して、上記の入れ替え処理を行うことができて効率的である。したがって、かかる入れ替え処理により、例えば、電解液の注入後に行われるコンディショニング処理およびエージング処理に伴い実施される良品判定等の検査工程を、高精度で且つ不良品の発生を抑制して実施することができるために好適である。
ここに開示される電池の製造方法の好ましい一態様において、上記検査工程は、一の検査ロットの各電池組立体に初期充電を行うこと;初期充電後の各電池組立体について、エージングを施すこと、ここでエージング前とエージング後とに各電池組立体の端子間電圧を測定し、自己放電による電圧降下量を算出する;上記一の検査ロット内において層別された製造条件グループごとに、上記電圧降下量の算出結果に基づき、良品判定のための基準値となる良品基準値を設定すること、および、各電池組立体について、製造条件グループごとに設定された上記良品基準値と上記電圧降下量との差分を算出し、上記差分が所定の閾値以下の場合に当該電池組立体を良と判定し、上記差分が所定の閾値を越える場合に当該電池を不良と判定する工程、を包含することを特徴としている。
かかる構成によると、自己放電による電圧降下量に基づく良品判定を、製造条件グループに適した良品基準値を設定して実施することができる。例えば、良品基準値として当該製造条件グループを構成する電池組立体の電圧降下量の中央値あるいは平均値を採用することで、製造条件によるバラつきを勘案した良品判定を行うことができる。これにより、良品を不良品と判定したり、不良品を良品と判定する誤判定を低減することができ、より適切な良品判定を行うことができる。
ここに開示される電池の製造方法の好ましい一態様では、上記付随入替製造条件グループは、上記入替対象検査ロットにおいて上記不足製造条件グループ以外の製造条件グループのうち、構成電池組立体数が最も多い製造条件グループであることを特徴としている。また、上記被入替製造条件グループは、上記入替先検査ロットにおいて、上記結合先製造条件グループ以外の製造条件グループであって、構成電池組立体数が最も多い製造条件グループであることを特徴としている。
このように、入替対象検査ロットおよび入替先検査ロットにおいて、製造条件グループを構成する電池組立体の数が最も多いものを、それぞれ付随入替製造条件グループおよび結合先製造条件グループとすることで、入れ替えによって電池組立体数がNに満たない製造条件グループが発生することのない構成を、より簡便に実現できる。また、入れ替え処理後の付随入替製造条件グループおよび結合先製造条件グループの電池組立体数を多く維持することができ、かかる製造条件グループにおいては、入れ替え処理の後にもより精度の高い判定を行うことができる。
ここに開示される電池の製造方法の好ましい一態様において、上記電極体は、長尺の正極シートと長尺の負極シートとをセパレータを介して重ね合わせ、捲回されてなる捲回電極体であって、上記製造条件グループは、同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材と、を組合せて形成された捲回電極体を備える電池組立体により構築されていることを特徴としている。
電池の製造に際し、品質のバラつきは、電池原料のロット間での品質のバラつきによるところが大きい。したがって、同じ原料を用いて構築された電極体を備える電池組立体間では、品質のバラつきは本質的に低く抑えられ得る。したがって、例えば、電池組立体のセル情報として原料に係る情報を付与し、原料を同一とする電池組立体について層別して製造条件グループを構成することで、製造不良による(原料品質のバラつきに因らない)不良品を的確に区別でき、高精度の良品判定を行うことが可能となる。特に、長尺の電極シートを用いて作製される捲回電極体を備える電池については、かかる電極シートが切り出される前の一の電極ロールにおいて、ロールの巻はじめと巻き終わりとでバラつきが生じ得る。かかる見解電極体を備える電池に対して、本製造方法は特に好ましく採用され得る。
以上のことから明らかなように、本発明の方法は、何らかの評価を行う際の評価単位となる評価グループ(上記の製造条件グループに相当)を、その評価内容に応じて適切に再構築する方法であり得る。したがって、本発明は、任意の評価方法をも提供するものとして把握することができる。
一実施形態に係る電池の製造方法のフローチャートである。 一実施形態に係る電池組立体の入れ替え処理における(a)入れ替え前と(b)入れ替え後の様子を説明する図である。 本発明と従来法とにおける不足製造条件グループの数を例示した図である。 リチウム二次電池の構成を説明する断面模式図である。 一実施形態に係る電池組立体の入れ替えの様子を説明する図である。 一実施形態に係る電池組立体の製造方法をコンピュータにより実施させる際の情報処理の手法を例示したフロー図である。 図6における1に続くフロー図である。 図6における結合先N不足判定フローをコンピュータにより実施させる際の情報処理の手法を例示したフロー図である。 図6における結合先固定フラグ付与処理をコンピュータにより実施させる際の情報処理の手法を例示したフロー図である。 図6における結合先移動フラグ付与処理をコンピュータにより実施させる際の情報処理の手法を例示したフロー図である。 図6における結合元移動フラグ付与処理をコンピュータにより実施させる際の情報処理の手法を例示したフロー図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項(例えば、検査ロットおよび製造条件グループの形成ならびに再構築の手法等)以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、電池組立体の原料や構造ならびに製造方法、検査工程の内容等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、本明細書において「電池」とは、電気エネルギーを取り出し可能な蓄電デバイス一般を指す用語であって、一次電池、二次電池等を含む概念である。また、「二次電池」とは、リチウムイオン二次電池、金属リチウム二次電池、ナトリウム二次電池、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池、リチウムポリマー電池等の蓄電池(いわゆる化学電池)のほか、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(いわゆる物理電池)をも包含する。ここに開示される技術は、典型的には二次電池に好ましく適用され得る。
ここで開示される電池の製造方法は、組立後の電池組立体に対して良品判定を行うことを含む電池の製造方法であり、図1のフローチャートに例示したように、上記の(i)〜(v)および(1)〜(3)のステップを包含する。これにより、一つの検査ロット(例えば、同一パレットに載置された1以上の電池組立体からなるグループであり得る。)について(iv)検査工程を行う際に、その判定内容に応じてより精度の高い判定が可能となる判定グループ(すなわち、上記の製造条件グループに相当する。)を、当該グループを構成する電池組立体の数が最低検査可能数N以上となるように、適切かつ効率的に再構築する方法であり得る。この検査工程とは、例えば、良品判定であり得る。また、上記判定グループとは、すなわち、上記の製造条件グループに相当する。以下、図2のモデル図を適宜参照しつつ、本発明の製造方法について説明する。なお、図2は、最低検査可能数N=5とした場合についての入れ替え処理の様子を示している。
(i)電池組立体を製造する工程
ここでは、少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する。ここで、電池組立体とは、後の検査工程で行う検査内容に応じて、被検査体として適切な形態にまで組み立てられた電池あるいはそれ以前の段階の任意の形態にまで組み立てられた電池を考慮することができる。例えば、出荷前の形態の略完成された電池であっても良いし、電解液を注入する前の段階の電池等を含み得る。非水電解液二次電池等の場合、コンディショニングおよびエージングの工程に伴い検査工程を実施することがあるため、この場合、電池組立体としては、例えば、かかるコンディショニングに先立った段階にまで組み立てられているもの、例えば、電池ケースの封口後であって電荷液の注入前の段階のものを電池組立体とすることができる。なお、電池の種類や構成等は特に制限されない。
また、本発明の製造方法を、コンピュータ等のデータ処理手段を利用して実現する(実行させる、または、機能させる、等の意味を包含する。)場合には、各々の電池組立体を識別し得る情報(セル情報)を、例えば、データ処理手段が備える入力部により入力し(読み取りを包含する)、データ処理手段が備える記憶部等に格納することができる。なお、データ処理手段は、かかる入力部および記憶部以外にも、構成要素として、演算部(中央演算処理装置、Central Processing Unit:CPU)、出力部等を備えることができる。なお、これらの構成要素は、必ずしも一のデータ処理手段に一体的に備えられている必要はなく、物理的に隔離された状態で備えられていても良い。例えば、有線または無線等で指示や情報等の伝達が可能な状態にあればよい。また、これらの構成要素の機能等に特に制限はなく、例えば、汎用されている上記の構成要素を用途や目的に応じて適宜選択して用いることができる。データ処理手段におけるセル情報等のデータの伝達は、例えば、入力手段を通じて、無線で、あるいは伝達ケーブルを介して等、様々な形態で行い得る。
ここで、セル情報は、例えば、その一部の情報を、対応する電池組立体本体に物理的に付与しておき、記憶部等に格納されたセル情報と任意のタイミングで結合可能にしておいても良い。電池組立体へのセル情報の付与は、例えば、バーコード、2次元コード、IDチップ等の形態で、電池組立体の表面に刻印、印刷または付着することで、あるいは、電池組立体の内部に内蔵することで、実現することができる。そして電池組立体の表面に付与されたセル情報は、特に制限されるわけではないが、例えば、典型的には光学的手法により読み取ることができる。また、電池組立体の内部に付与されたセル情報は、特に制限されるわけではないが、典型的には電子線等を利用した読み取り手段により読み取ることができる。なお、このような任意の読み取り装置を入力部を構成する入力手段とし、読み取った値をセル情報として記憶部等に格納するようにしても良い。記憶部に格納されているセル情報は、例えば、ブラウン管(CRT)や液晶(LCD)等を備えた表示手段等により構成される出力部により適宜確認し得るようにしても良い。
セル情報の内容については特に制限されないものの、電池組立体の製造条件に係る情報を含んでいることが好ましい。電池組立体の製造条件とは、例えば、電池組立体の構成部材、製造規格、製造装置、製造日時およびパレット等の載置位置情報等であり得る。なかでも、構成部材については、電池組立体の発電要素である電極体の構成部材についての詳細な情報を含むことが好ましい。
具体的には、例えば電池としてリチウム二次電池を想定した場合についていうと、かかる電極体の構成部材の情報としては、電極体を構成する正極および負極にそれぞれ付与された識別番号(ID no.)であり得る。この識別番号には、これらの電極の製造に用いられた正極活物質あるいは負極活物質、導電材およびバインダ等の製品番号およびロット番号、ならびに、これらの配合情報、製造ライン情報や、これらの電極が何れの電極シートの何れの部位から切り出されたものであるか等を示す情報が含まれていても良い。また、上記の電極体の構成部材の情報は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納され、識別番号等により外部からアクセス可能なように管理されていても良い。なお、このデータ処理手段としては、特に制限されるものではないが、上述のような、CPUを備えているパーソナルコンピューター(PC)等の演算手段を考慮することができる。
さらに、後述するように、電解液の浸透時間を利用して検査ロットおよび製造条件グループの再構築を行う場合には、電解液の注入開始時間や、浸透に要する時間等の製造条件に関する情報等が含まれていても良い。これらの製造条件に係る情報は、検査工程の目的や内容に応じて適宜設定することができる。
(ii)検査ロットを形成する工程
ここでは、上記で製造した電池組立体を、2個以上の数(複数)で一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する。この検査ロットは、好ましくは、検査工程に一度に送られる一単位の電池組立体であり得る。なお、複数の検査ロットが一度に検査工程に送られる場合があっても良い。かかる検査ロットは、典型的には、同一のパレット等の搬送単位に載置された電池組立体から構成することができる。検査ロットを構成する電池組立体の数に特に制限はなく、2個以上の電池組立体から構成することができ、電池組立体の製造状態によっては、検査ロットごとに電池組立体の数が異なる場合があり得る。より具体的には、検査ロットは、典型的には12個以上、好ましくは60個以上、例えば100個以上の電池組立体から構成することができる。検査ロットを構成する電池組立体の数上限については特に制限はなく、例えば、同一の搬送単位に載置可能な電池組立体の上限と同数とすることができる。例えば、500個以下、360個以下、150個以下等の数を例示することができる。
なお、本発明の製造方法を、コンピュータ等を使用した情報処理の手段によって実現する場合には、各々の電池組立体がいずれの検査ロットに属するかの情報を、データ処理手段の記憶部等に格納してもよい。
(iii)層別する工程
次いで、複数の検査ロットのそれぞれについて、検査ロットを構成している複数個の電池組立体を製造条件が同一である電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する。ここで、製造条件とは、例えば、上記のセル情報における製造条件のいずれか1種、または、2種以上の組み合わせであり、検査内容に応じて任意に設定することができる。
これにより、各検査ロットに属する電池組立体は、製造条件ごとに1以上の製造条件グループに仕分けされる。具体的には、例えば、同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材と、を組合せて形成された電極体を備える電池組立体、との製造条件により、所定の検査ロットに属する電池組立体は、製造条件グループX,Y,Z…等のように層別される。
かかる層別は、例えば、上記のデータ処理手段において実行することができる。そして各々の電池組立体が、何れの検査ロットの何れの製造条件グループに属するかの情報を、記憶部等に格納することができる。
[入れ替え処理]
ここで、次工程である検査工程は、上記の通り検査ロット内において層別された製造条件グループが、予め設定されている最低検査可能数N以上の電池組立体で構成されている場合に実施されることを前提としている。そのため、一の検査ロット内に最低検査可能数N未満の電池組立体で構成された不足製造条件グループが存在する場合は、検査工程を実施する以前に、下記の(1)〜(3)のステップを含む電池組立体入れ替え処理を行う。また、不足製造条件グループが存在しない場合は、任意のタイミングで検査工程に進むことができる。
(1)不足製造条件グループと付随入替製造条件グループの決定
上記のとおり、最低検査可能数N未満の電池組立体で構成された製造条件グループを、図2(a)に例示したように、不足製造条件グループ(X)に設定し、入れ替え処理の対象に含める。この不足製造条件グループが、入れ替え処理により、最低検査可能数N以上のグループに再構築されることになる。そして、かかる不足製造条件グループを含む一の検査ロットを、入替対象検査ロットとする。
次いで、この入替対象検査ロットにおいて、不足製造条件グループ(X)を構成する電池組立体の数mを認定する。そして、この入替対象検査ロットにおける、不足製造条件グループ(X)とは異なる一の製造条件グループであって、その構成電池組立体数が(2×N)個以上である付随入替製造条件グループ(Z)を選定する。この付随入替製造条件グループ(Z)は、入れ替え処理において、その一部が上記の不足製造条件グループ(X)と共に入れ替えられる。この付随入替製造条件グループ(Z)は構成電池組立体数が多いものであるほど、再構築後の当該製造条件グループについての検査の精度が高まるために好ましい。そのため、例えば、入替対象検査ロットにおける製造条件グループを構成電池組立体数の順に降順で並べた時に、一番目となる製造条件グループ、すなわち、構成電池組立体数が最も多い製造条件グループを付随入替製造条件グループ(Z)とすることができる。
以上の操作は、例えば、セル情報を基に上記のデータ処理手段において実行することができる。そして、電池組立体の数mや、何れの電池組立体が不足製造条件グループ(X)や付随入替製造条件グループ(Z)に設定されたかの情報は、例えば、入力手段を通じて、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
(2)結合先製造条件グループと被入替製造条件グループの決定
次いで、入替先の電池組立体の検索と決定を行う。まずは、入替対象検査ロット以外の他の検査ロットについて、上記の不足製造条件グループ(X)と同じ製造条件グループであり、構成電池組立体数が(N−m)個以上である製造条件グループを検索する。そのような製造条件グループが見つかれば、その製造条件グループとは別に、さらに、構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である製造条件グループを検索する。このような製造条件グループをいずれも含む検査ロットを入替先検査ロットに決定し、図2(a)に例示したように、前者の構成電池組立体数が(N−m)個以上である製造条件グループを結合先製造条件グループ(X’)に、また、後者の構成電池組立体数が(m+2×N)個以上である製造条件グループを被入替製造条件グループ(Y)に設定する。ここで、結合先製造条件グループ(X’)が、入れ替え処理により、不足製造条件グループ(X)と結合される製造条件グループである。また、被入替製造条件グループ(Y)が、上記の不足製造条件グループ(X)および付随入替製造条件グループ(Z)の一部を受け入れるために入れ替えられることになる。
以上の操作は、例えば、セル情報を基に上記のデータ処理手段において実行することができる。そして何れの電池組立体が結合先製造条件グループ(X’)と被入替製造条件グループ(Z)に設定されたかの情報は、例えば、入力手段を通じて、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
(3)入れ替え
そして、図2(b)に例示したように、入替対象検査ロットから、不足製造条件グループ(X)を構成する全m個の電池組立体、および、付随入替製造条件グループ(Z)から選択されたN個の電池組立体を、入替先検査ロットの前記被入替製造条件グループ(Y)から選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えるようにする。係る入れ替えに際し、付随入替製造条件グループ(Z)および被入替製造条件グループ(Y)から選択される電池組立体は、各々、識別番号が降順または昇順で最初のものから所定数で選択されたものであることが、選択された電池組立体と残存する電池組立体との両方で製造条件がより揃うために好ましい。
これにより、入れ替え後の入替対象検査ロットおよび入替先検査ロットは、例えば、図2(b)に例示したような電池組立体群からから構成されることになる。すなわち、入替対象検査ロットから不足製造条件グループ(X)が消滅し、被入替製造条件グループ(Y’)が形成される。入替先検査ロットでは、新たに、付随入替製造条件グループ(Z’)が形成される。
なお、かかる電池組立体グループの入れ替えには、例えば、後述の図5に例示したような、仮置きができる(バッファとなる)入替補助棚を利用する等しても良い。また、このような電池組立体グループの入れ替えは、例えば、スタッカー、アームロボット等の任意の電池組立体移動手段を利用することで実現することができる。これらの電池組立体移動手段は、データ処理手段の指示に基づいて駆動可能とすることができる。
[入替および再構築]
入れ替え処理の後には、検査ロットおよび製造条件グループを再構築(情報の更新)するために、再度上記の層別の工程を実施することができる。
すなわち、入れ替え後の入替対象検査ロットおよび入替先検査ロットを構成する電池組立体の情報が新たに更新される。また、これらの検査ロットについて再度、製造条件による層別を実施することで、製造条件グループが再構築される。
かかる再構築および再層別は、例えば、上記のデータ処理手段において実行することができる。そしてこの検査ロットの再構築、および、製造条件グループの再層別により、各々の電池組立体が何れの検査ロットの何れの製造条件グループに属するかの新たな情報を、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
以上のような(1)〜(3)の一連の入れ替え処理工程により、電池組立体数がNに満たない製造条件グループを確実かつ効率的に一つ減らすことができる。上記(1)〜(3)の工程は、電池組立体の数がNに満たない製造条件グループが存在する場合、繰り返し行うことができる。例えば、入れ替えのための時間的な余裕がある限りにおいて、上記(1)〜(3)の工程を任意の回数繰り返し行うことができる。かかる処理を情報処理手段を用いて行う場合には、例えば、一連の入れ替え処理工程を行うごとに、セル情報の再構築および再層別を行い、セル情報の更新を行うことができる。
図3は、上記の(1)〜(3)の一連の工程を行った場合(実施)と行わなかった場合(未実施)について、5個未満の電池組立体から構成される不足製造条件グループに含まれる電池組立体の数(セル数)を例示した図である。不足製造条件グループに含まれる電池組立体は、精度の良い良品判定がなされない可能性がある、あるいは、検査自体を行わないことから、不足製造条件グループに含まれる電池組立体の数は少ない方が好ましい。総電池組立体数を93,102個とした場合について、例えば、特許文献2に開示の方法に従って層別すると、不足製造条件グループに含まれる電池組立体は188個となり得る。一方で、本発明の方法に従って入れ替え処理を行うと、不足製造条件グループに含まれる電池組立体は18個にまで低減され得る。かかる電池組立体の数を発生率で示すと、未実施の場合0.20%であったものを、実施により0.02%にまで大幅に低減できることがわかる。これにより、例えば、不良品を良品と誤って判定する可能性を低減することができ、より精度の良い良品判定が実施できる。同時に、良品を不良品と誤って判定することも抑制することができ、不良品の発生数をも低減することができる。また、検査を行わずに不良品と判定される電池組立体の数を大幅に削減することができる。
(iv)検査工程
このように再構築された後の検査ロットに含まれる電池組立体について、再層別された製造条件グループごとに、検査工程を実施することができる。検査工程では、複数の検査ロットのそれぞれについて、製造条件グループごとに該グループを構成する電池組立体の良否を判定する。
検査の内容や手法等については特に制限はなく、様々な内容について、様々な基準に基づく判定を行うことができる。以下、例えば、電池組立体内の微小短絡の有無およびその程度についての判定を行う場合を例に、良品判定の方法について説明を行う。
本発明において、良品判定は、以下の工程を含むものであることが好ましい。
[初期充電]
上記の通り再構築された後の一の検査ロットの各電池組立体に初期充電を行う。かかる初期充電の条件については、当該電池の用途等に応じて適宜設定することができる。例えば、室温において、当該電池の最高到達電位まで1Cのレートで定電流(CC)充電した後、1Cのレートで定電流(CC)放電することを、所定の回数繰り返すこと等が例示される。初期充電を開始するタイミングは、厳密ではないものの、少なくとも検査ロットHnに含まれる電池組立体については揃えられていることが好ましい。また必須ではないものの、例えば、上記のデータ処理手段により、初期充電のタイミングに関する情報を取得し、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
[エージング]
次いで、初期充電後の各電池組立体について、端子間電圧を測定した後、エージングを施し、そしてエージング後の端子間電圧を測定する。これにより、エージング前後における電池組立体の自己放電による電圧降下量を算出する。かかる電圧降下量の算出は、例えば、上記のデータ処理手段により実施することができ、算出結果は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
なお、エージングの時間および温度等の条件については特に制限はなく、対象とする電池に応じて適宜設定することができる。例えば、エージングの温度は、15℃程度から80℃程度の範囲で設定することが例示され、典型的には、室温程度から65℃程度の範囲(例えば、40℃から60℃程度)に設定することができる。また、このエージングの温度は一定としても良いし、例えば、2段階に温度を変化させるようにしても良い。具体的には、一例として、25℃にて1時間〜120時間程度保持することや、60℃にて1時間〜48時間程度保持すること、およびこれらの組み合わせ等の様々な態様が考慮される。
[良品基準値の決定]
その後、電圧降下量の算出結果に基づいて、一の検査ロット内の製造条件グループごとに、良品判定のための基準値となる良品基準値を設定する。この良品基準値の設定の仕方は特に制限されないものの、例えば、製造条件グループを構成する電池組立体の電圧降下量の算術平均値や、中央値(メジアン)等を好適に採用することができる。電圧降下量の算術平均値は、例えば、上記のCPUを備えるデータ処理手段により、製造条件グループを構成する全ての電池組立体の電圧降下量から算術平均値を算出することで求めることができる。また、電圧降下量の中央値は、例えば、上記のCPUを備えるデータ処理手段により、製造条件グループを構成する電池組立体データを電圧降下量の順(昇順または降順)に並べ替え、電池組立体数が奇数の場合は中央の位置の電池組立体の電圧降下量の値を、電池組立体数が偶数の場合は予め取り決めた中央に相当する電池組立体(典型的には、中央に位置する2つの電池組立体のうち、より電圧降下量の小さい電池組立体)の電圧降下量の値を、良品基準値として設定することができる。この良品基準値は、例えば、データ処理手段の記憶部等に格納することができる。
[判定]
判定では、再構築された製造条件グループの各電池組立体について、上記の通り設定された良品基準値と各電池組立体の電圧降下量との差分を算出し、この差分が所定の閾値以下の場合にその電池組立体を良と判定し、この差分が所定の閾値を越える場合にその電池組立体を不良と判定する。閾値としては、対象とする電池の規格などにもよるため一概には言えないが、例えば、2σ〜3σ程度(ここで、σは標準偏差を意味する。)に相当する値を適宜設定することが例示される。
かかる手法によると、製造条件に応じて適した良品基準値が定められるため、例えば、製造条件に由来する何らかの影響に因る電圧降下を差し引いて、個々の電池組立体の不良を発見し易くなる。したがって、不良品が良品と判定されることや、必要以上に不良品を発生させることなく、より高精度の判定を行うことが可能となる。例えば、製造条件は同じであっても、製造装置などから電極体内に不可避的に混入する微小金属等の存在によりかかる電極体に微小短絡が発生することがあり得る。上記の良品判定によると、かかる微小短絡の有無およびかかる微小短絡による自己放電のレベルをより的確に把握することができ、高精度な良品判定を行うことができる。
以下に、ここに開示される電池の製造方法について、一実施形態としての、リチウム二次電池を製造する場合を例にしながら、より詳細に説明を行う。
[電池組立体の用意]
図4は、リチウム二次電池10の構成を示す断面模式図である。本実施形態に係る電池10は、従来の一般的なリチウム二次電池と同様、典型的には所定の電池構成材料(正負それぞれの集電体32,52に活物質が保持された正極30および負極50ならびにセパレータ70等)を具備する捲回電極体20が適切な電解液(図示せず)とともに電池ケース80に収容された構成を有する。なお、この電池10の電極体20および電解液等の具体的な構成は、本発明を特徴付けるものではないため特に詳しく説明しないが、当業者の技術常識に基づき、目的や用途に応じて適切なものを選択して採用することができる。
ここで、正極シート30および負極シート50は、いずれも長尺のシート状に形成されている。そしてこれらの正極シート30および負極シート50は、典型的には、さらに幅広で、さらに長尺のシート状の正極ロールおよび負極ロールから切り出されることで用意される。すなわち、かかる正極シート30は、典型的には、正極活物質層、バインダ、導電材等の正極材料が溶媒に分散された正極用ペースト(スラリーであり得る。以下同じ。)を正極集電体32に複数条塗工し、乾燥させた後、ロール状に巻き取られた正極ロールから、適宜スリット(切り出し)されることで用意される。また、かかる負極シート50は、典型的には、負極活物質層、バインダ等の負極材料が溶媒に分散された負極用ペーストを負極集電体52に複数条塗工し、乾燥させた後、ロール状に巻き取られた負極ロールから、適宜スリット(切り出し)されることで用意される。
したがって、正極シート30および負極シート50の製造条件に関する情報として、例えば、正極活物質あるいは負極活物質、導電材およびバインダ等の製品番号およびロット番号、ならびに、これらの配合情報を考慮するのが好ましい。
ここで、正極用ペーストおよび負極ペーストは、長尺の集電体への塗布が進むにつれて、固形分重量や各材料の配合等の条件に若干の変化が生じ得る。したがって、正極シート30および負極シート50は、それぞれ正極ロールおよび負極ロールの何れの部位近傍から切り出されたかにより特性が若干変化し得る。したがって、正極シート30および負極シート50の製造条件に関する情報として、例えば、製造日時や、製造ライン情報、これらの電極シートが何れの電極ロールの何れの部位からスリットされたものであるかの情報を考慮するのが好ましい。
電極体20は、例えば、図4に示されるように、正極集電体32上に正極活物質層34を備える正極シート30と、負極集電体52上に負極活物質層54を備える負極シート50とが、2枚のセパレータ70により互いに絶縁された状態で積層され、捲回された捲回電極体20とすることができる。正極シート30、負極シート50およびセパレータ70の積層に際しては、正極活物質層34が備えられず正極集電体32が露出した露出部33が一方の端部にはみ出し、負極活物質層54が備えられず負極集電体52が露出した露出部53が他方の端部にはみ出した状態で重ね合わせて、捲回することで、電極体20の一方の端部に正極集電体32を、他方の端部に負極集電体52を渦巻き状に突出させることができる。かかる捲回電極体20は、電池ケース80の形状に対応させて扁平に拉げさせるようにしてもよい。このように形成した電極体20の一方の端部に突出している正極集電体32に、蓋体82と一体化された正極集電部材36を、他方の端部に突出している負極集電体52に蓋体82と一体化された負極集電部材56を溶接等により接合する。
以上の構成によると、電極体20において発生される電力を外部接続端子38,58により取り出し可能とすることができる。そして、かかる捲回電極体20をケース本体84に収容し、ケース本体84と蓋体82とを溶接することで、電池ケース80内に電極体20を安定性よく位置決めした状態に、電池組立体を得ることができる。かかる電池組立体は、電解液を注液した後、例えば、所定のコンディショニング処理を施すことで、所定の電池10とすることができる。
本実施形態において、電池ケース80は、直方体箱形状の一つの面(図4においては上面)が開口した形態のケース本体84と、その開口部を塞ぐ長方形板状の蓋体82とを備えている。なお、電池ケース80を構成する材質としては比較的軽量なアルミニウムおよびアルミニウム合金が一般的に使用され得る。しかしながら、電池ケース80としては、これに限定されることなく、例えば、従来のリチウム二次電池で使用されるものと同様の材質のものを使用することができる。具体的には、例えば、スチール等の金属材料、あるいはポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド樹脂等の樹脂材料を用いることができる。さらに、蓋体82には、電解液の注入口を封止する注液栓(図示せず)と安全弁(図示せず)等が設けられている。また、この実施形態において、電池10は角型電池であるが、かかる電池10の形状は角型に限定されず、円柱形状、ラミネートバッグ形状等の任意の形状であってよい。さらに、電極体20はこの例のような捲回電極体20に限定されることなく、例えば積層型の電極体20とすること等も可能である。
[セル情報の付与]
なお、上記のとおり組み立てられた電池組立体については、上記の通りの製造条件を含むセル情報を付与する。かかるセル情報は、例えば、電池ケース80の表面(例えば側面)に、QRコード(登録商標)等の2次元コードをインクジェット方式で印刷する等して付与することができる。かかるセル情報の付与は、任意のタイミングで行うことができる。例えば、電極体を電池ケースに収容する際に、電極体の情報を電池ケースにセル情報として付与するようにしてもい。
[検査ロットの形成]
電池組立体は、移送のためにパレットに順次載置される。このような電池組立体は、規格にもよるが、例えば、1日に1000個以上が生産され得る。本実施形態においては、150個の電池組立体を載置することができるパレットに、組み立てられた電池組立体を順次載置した。本実施形態においては、このパレットが検査ロットとして把握され得る。
なお、各電池組立体をパレットに載置する際に、例えば2次元コードリーダーにより電池のセル情報を読み取り、パレットの載置位置の情報と共にデータ処理手段(例えばPC)に送り、記憶部等に格納して管理した。ただし、かかるセル情報の読み取りは、後工程の製造条件による層別に先立って実施されればよく、必ずしも検査ロットの形成と同時に行う必要はない。例えば、後述する電解液の浸透工程に移送する際に、パレット上に載置された状態の電池組立体のセル情報を読み取るようにしても良い。
[電解液の注液]
このようにパレットに載置された電池組立体を、パレット単位で電解液注入工程に移送し、電解液を注液する。ここで、電解液の注液の開始日時等の情報を、適切なタイミングでセル情報に加えるようにしても良い。そして、例えば、一つのパレットに載置された複数の電池組立体に対し、最初に電解液の注液を開示した開始日時を、当該検査ロットの浸透基準日時とすることができる。なお、後工程において検査ロットを再構築した場合には、再構築後の各セルの注液開始日時に基づいて、再度、最初の注液開始日時を浸透基準日時とすることができる。
電解液としては、この種の一般的な二次電池10に用いられる各種の電解液から適宜選択して用いることができる。例えば、リチウム二次電池については、支持塩としてのリチウム塩を有機溶媒(非水溶媒)中に含んだものが例示される。かかる電解液は、常温で液状の非水電解質(すなわち電解液)を好ましく使用することができる。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、Li(CFSON、LiCFSO等が例示される。かかる支持塩は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。特に好ましい例として、LiPFが挙げられる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。これら有機溶媒は、一種のみを単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。かかる非水電解質には、必要に応じて、ガス発生添加剤、被膜形成添加剤等に代表される各種の添加剤が加えられていても良い。
電解液の注液を終えた電池組立体については、パレット単位で、電解液の浸透工程に移送する。
[電解液の浸透]
図5は、電解液の浸透工程の様子を示す平面図である。この図5の例の場合、浸透工程には、例えば、1〜12までナンバリングされた浸透位置210が用意され、各浸透位置210には、一段に3つのパレット200を収容できる15段の浸透用棚215が用意されている。また、浸透位置210の間には、スタッカー220がパレット200の移送が可能なように設置されている。また、浸透工程の奥には、パレット200間での電池組立体の入れ替えを行う入替エリア230が設けられ、パレット間での電池組立体の入れ替えを可能とする直交ロボット235が配置されている。
この図5では、図下側から電池組立体がパレット200単位で浸透工程に移送されてくる。なお、この浸透工程に移送されてきた際に、セル情報読み取り装置240により電池組立体のセル情報と、パレット200上の載置位置との関係を読み取るようにしても良い。かかる情報は、例えば、自動読み取り装置を入力手段として、データ処理装置の記憶部に格納することができる。そして、移送されてきたパレット200は、スタッカー220により、所定の浸透位置210の所定の浸透用棚215の所定の位置に格納される。このとき、例えば、PCの記憶部内に、一つのパレット200に載置されている150個の電池組立体のセル情報を記載したファイルをパレット200ごとに作成し、かかるファイルと上記のセル情報およびこのパレット200を格納した浸透用棚215の情報等とを関連付けしておくことができる。
[製造条件による層別]
次いで、PC内に形成されたファイルにおいて、セル情報に含まれる製造条件に基づき、上記ファイル内の電池組立体を層別する。ここでは、同一の正極ロールから切り出された正極シートと、同一の負極ロールから切り出された負極シートとを組合せて形成された捲回電極体を備える電池組立体、との条件に基づき層別を行った。かかる層別は、電解液の浸透工程に移送され、PC内にファイルが形成されたパレットについて、順次行うようにした。
これにより、例えば図2(a)に例示したように、一つのパレット(検査ロット)に載置された150個の電池組立体は、製造条件グループW,X,Zに層別された。また、他の一つのパレット(検査ロット)に載置された150個の電池組立体は、製造条件グループX’,Yに層別された。
[不足製造条件グループ、付随入替製造条件グループの設定]
以上のように層別が行われた検査ロットについて、電池組立体数が最低検査可能数N未満の製造条件グループがないか、PCによりデータの解析を行った。なお、本実施形態においては、最低検査可能数Nを「5」と設定した。
その結果、例えば図2(a)に示したように、検査ロットにおける製造条件グループXが、5個未満(本実施形態では3個)の電池組立体から構成されることが判明した。そこで、この検査ロットをPC内で入替対象検査ロットと関連付けし、電池組立体数が5に満たない製造条件グループを、PC内で不足製造条件グループXと関連付けした。そして、不足製造条件グループを構成する電池組立体の数mを「3」と認定した。なお、電池組立体数が5に満たない製造条件グループについては、全ての検査ロットについて解析した。そして、不足製造条件グループについては、例えば、PCの記憶部において、不足製造条件グループのフォルダを作成し、かかる不足製造条件グループのフォルダ内に情報(データ、ファイルまたは複製ファイルであり得る。)を管理するようにしても良い。
次に、入替対象検査ロットのうちの不足製造条件グループX以外の製造条件グループ(W,Z)であって、その構成電池組立体数が(2×N)個以上(すなわち10個以上)である製造条件グループを付随入替製造条件グループZとした。ここで、図2(a)に示すように、製造条件グループのいずれもが、10個以上の電池組立体から構成されるグループであった。このような場合、構成する電池組立体の数がより多い製造条件グループをZとした。
そして、不足製造条件グループXの全ての電池組立体と、付随入替製造条件グループZのうちの任意の5個の電池組立体とを、入替対象グループとしてPC内で関連付けした。すなわち、入替対象検査ロット内に入替対象グループを形成した。
[結合先製造条件グループ、被入替製造条件グループの設定]
次いで、PCにおいて、入替対象検査ロットとは異なる検査ロットにおいて、先の不足製造条件グループと同一の製造条件グループであって、その製造条件グループの構成電池組立体数が(N−m)個以上(すなわち、2個以上)である造条件グループを有し、かつ、さらに他の構成電池組立体数が(m+2×N)個以上(すなわち、13個以上)の製造条件グループを含む検査ロットを検索した。その結果、かかる条件を満たす検索ロットを入替先検査ロットと設定し、(N−m)個以上の造条件グループを結合先製造条件グループX’、(m+2×N)個以上の製造条件グループを被入替製造条件グループYと設定した。なお、このような条件を満たす検査ロットはいくつか見つかったが、被入替製造条件グループYの構成電池組立体数が最も多いものを含む検査ロットを採用した。
そして、かかる被入替製造条件グループYから選択された(m+N)個の電池組立体を、被入替対象グループとしてPC内で関連付けした。つまり、被入替対象検査ロット内に被入替対象グループを形成した。
[電池組立体の入替]
上記のように設定した入替対象グループと被入替対象グループとの情報を基にスタッカーを操作し、入替対象検査ロットであるパレットと、被入替対象検査ロットであるパレットとを入れ替えエリアに移動させた。次いで、同情報を基に自動アーム式の直交ロボットを操作し、入替対象検査ロットのパレットから入替対象グループの各電池組立体を入替補助棚に仮置きし、被入替対象検査ロットのパレットから被入替対象グループの各電池組立体を、入替対象検査ロットに発生した空席に載置した。そして、入替補助棚に仮置きした入替対象グループの各電池組立体を、被入替検査ロットのパレットに発生した空席に載置した。これにより、入替対象検査ロットの入替対象グループの電池組立体と、被入替検査ロットの被入替対象グループの電池組立体との入れ替えを行った。かかる電池組立体の入れ替え操作により、入替後の各検査ロットは、例えば、図2(b)に例示したような電池組立体群からから構成されることになる。
[再構築]
また、上記の実際の電池組立体の入れ替え処理に伴って、PC内の入替対象検査ロットのファイルおよび被入替対象検査ロットのファイルの構成電池組立体のセル情報についても入れ替えを行い、これらの検査ロットの情報の再構築を行った。
さらに、これらの再構築後の検査ロットのセル情報について、PC内で、再度製造条件に基づき層別を行った。これにより、図2(b)に例示したように、各製造条件グループが再構築された。なお、かかる再度の層別により、不足製造条件グループXは結合先製造条件グループX’に結合されて消滅した。そして入替対象検査ロットには、再構築前の被入替製造条件グループから移動された8個の電池組立体からなる製造条件グループY’が新たに形成された。また被入替対象検査ロットには、再構築前の付随入替製造条件グループから移動された5個の電池組立体からなる製造条件グループZ’が新たに形成された。
なお、上記で消滅した不足製造条件グループの他に、さらに不足製造条件グループが存在する場合は、かかる不足製造条件グループついて、上記の一連の入れ替え処理工程を繰り返し行うことにより、順次不足製造条件グループを削減することができる。
万一、不足製造条件グループを消滅させるための入替対象グループおよび被入替対象グループ等を設定できない場合は、かかる不足製造条件グループは、適切な入替対象グループおよび被入替対象グループが構成され得る検査ロットが形成されるまで放置される。
以上のような不足製造条件グループの削減は、例えば、電解液の浸透時間が経過するまで任意の回数繰り返し行うことができる。また、電解液の浸透時間が経過した際に上記の入れ替え処理の工程が実施できなかった不足製造条件グループについては、かかる不足製造条件グループに属する電池組立体は後工程において適切な良品判定をし得ないとして、後述の検査を行わずに不良品と判定することができる。入れ替え可能時間以上経過していないこととして把握することができる。なお、入れ替え可能時間は、最長浸透時間−浸透経過時間により求め、管理することができる。電解液の浸透時間は特に制限されないものの、例えば、0.5時間以上36時間以下(典型的には、1時間以上24時間以下、例えば、5時間以上12時間以下)程度をおおよその目安として設定することができる。
なお、入れ替えを実施する入替対象検査ロットおよび被入替対象検査ロットについて、電解液の浸透開始時間がある程度離れると入れ替え後の製造条件グループにおいても電池組立体の品質にバラつきが発生し得る。そのため、入れ替え可能な検査ロットHnについては、例えば、電解液の注入開始時間のずれが一定の時間以内(例えば1時間以内)のものに限定するなどの条件を付加しても良い。
また同様に、電池組立体の規格(構成)によっては、同一の正極ロールおよび負極ロールから切り出された正極シートおよび負極シートを用いて形成した電池組立体であっても、かかるシートの切り出し位置が大きく離れている場合には電池組立体の品質にバラつきが発生し得る。そのため、例えば、電池組立体の規格(構成)によっては、同一の正極ロールおよび負極ロールから切り出された正極シートおよび負極シートであっても、切り出し位置が一定の間隔を超えるものについては製造条件が異なってくるよう、層別のための製造条件Amをより詳細に設定することができる。
上記の入れ替え処理に係る一連の工程は、例えば、スタッカーや直交ロボット等による移送に不都合が発生したり、PC内のデータのバグが発生したりという問題が生じない限りにおいて、例えば、2つ以上の不足製造条件グループを削減するべく2つ以上の一連の工程が同時にあるいは重複して実施されても良い。
電解液の浸透時間が経過した検査ロットHnについては、図4の上方に示したように、パレット単位で次工程の検査工程に移送される。
[良品判定]
[初期充電]
上記の通り再構築された検査ロットの各電池組立体について、初期充電を行った。初期充電の条件としては、室温(25℃)の温度条件の下、1Cの充電レートで電圧値(正負極端子間の電圧値)が4.1Vになるまで定電流充電(CC充電)を行い、次いで3.92Vまで定電流放電(CC放電)し、再度3.97VまでCCCV充電することで、3.97V充電電池組立体を用意した。
[エージングおよび電圧降下量の測定]
コンディショニング後の各電池組立体を、80℃の高温条件で20時間保持することにより、初回のエージング処理を施した。そして初回エージング処理の後、常温(25℃)で5時間経過した時の電池組立体の正負の端子間電圧を測定し、初期電圧(Vini)とした。次いで、25℃で72時間保存した後の正負の端子間電圧を測定し、エージング後電圧(V72h)とした。これらの電圧測定値V72hからViniを差し引いた値(V72h−Vini)を電圧降下量(ΔV)とした。初期電圧(Vini)およびエージング後電圧(V72h)は測定に伴い測定値がPCに送られ、PC内にて各電池組立体の電圧降下量(ΔV)が算出される。
[良品基準値の決定]
その後、引き続きPC内にて、電圧降下量の算出結果に基づいて、検査ロット内の製造条件グループごとに、良品判定のための基準値となる良品基準値が設定される。本実施形態においては、良品基準値は、製造条件グループを構成する各電池組立体の電圧降下量の中央値(メジアン)を採用するようにした。製造条件グループを構成する電池組立体の数が偶数の場合は、電圧降下量に基づき並べ替えた際に中央に位置する2つの電池組立体のうち、より電圧降下量が小さい方の値を良品基準値に設定するようにした。この良品基準値は、例えば、PCの記憶部に格納することができる。
[判定]
次いで、PC内にて、検査ロットHa内の製造条件グループHa−GAmごとに、各電池組立体の電圧降下量(ΔV)と良品基準値との差分(ΔVd:絶対値)を算出し、これらが所定の閾値以内であるかどうかにより、不良品を決定した。本実施形態において、閾値としては、電池組立体の規格から3mVとの値を用いた。そして、各電池組立体について、差分(ΔVd)≦3mVの関係となる電池組立体を良品とし、差分(ΔVd)>3mVの関係となる電池組立体を不良品と判定した。なお、閾値としては、例えば、1mV〜5mV程度の値や、2σ〜3σに相当する値等を、対象となる電池組立体に応じて適宜設定することできる。
かかる作業を、PC内にて、全ての検査ロットHnの全ての製造条件グループGAmについて実施した。そして、不良品と判定された電池を抜き取ることで、良品と判定された、すなわち自己放電が抑制されている品質の高い電池を得た。
[情報処理のためのフロー]
以上の本発明の電池の製造方法において特徴的な入れ替え処理の工程は、例えば、データ処理手段を利用して入れ替え対象となる電池組立体を適切に選定し、実際に電池組立体の入れ替えを行う手段等に入れ替えの指示を行い、当該入替手段がかかる指示に基づき電池組立体を入れ替えることで、実施することができる。この際の、データ処理手段におけるデータの処理フローの具体的な一例を、例えば、図6〜図11に例示した。なお、この図6〜図11は、本発明の電池の製造方法の一工程(入れ替え処理)を実施するための処理フローの一実施形態を例示したものであって、本発明の方法がかかる処理フローに限定されるものでないことは言うまでもない。また、かかる処理フローは、本発明の目的を達成する限りにおいて適宜改変されてよいことは言うまでもない。
例えば、図6は、本発明の電池組立体(フローチャートにおいては、「セル」と表記している。)の入れ替え処理の工程の全体的なフローを例示している。このフローにおいては、電池の製造に伴い新たに形成されてくる検査ロットごとのセル情報ファイルが、例えば、情報処理手段の入力フォルダ内に形成された場合を想定し、かかる新規のセル情報ファイルについての処理手順を説明している。なお、既に1回目の処理が為されたセル情報ファイルに関し、例えば、なお不足製造条件グループが含まれる検査ロットのセル情報ファイルについては「不足有フォルダ」に、不足製造条件グループがない検査ロットのセル情報ファイルについては「不足無フォルダ」に仕分けて格納すること等が好ましい形態として示される。かかるフローは、タイマーで経過時間を管理されていても良く、時間の許す限り入れ替え処理フローをルーティングしても良いし、残り時間が少ないと判断されたらフローを中断するようにしても良い。例えば、電解液の浸透時間内により多くの入れ替え処理フローをルーティングできるよう管理するようにしても良い。
また、図7は、図6中の丸印1に示される部分に繋がるフローを例示している。かかるフローは、例えば、上記「不足無フォルダ」に格納されたセル情報ファイルに基づき、対応する検査ロットの不足製造条件グループを消滅させるための入れ替え処理が可能かどうかを判定し、可能である場合に実行する手順を説明している。
そして、図8は、例えば、図6中の[不足製造条件G(グループ)判定]の処理フローの一例を詳細に例示している。ここでは、例えば、「結合可能範囲」との概念を導入し、例えばセルの識別番号(ID no.)が連続番号で任意の範囲内(例えば、500番以内)のセル同士は入れ替え可能である(すなわち、結合可能範囲内である)が、それ以上に識別番号が離れたセル同士の入れ替えは行わない(すなわち、結合可能範囲でない)ようにし、セルの入れ替え前後で製造条件にずれが生じないように考慮するようにしている。なお、フロー中の「基準セル」、「Temp(テンポラリー)セル」は、かかる処理フローを実施するに際して便宜上設けたセルの名称である。
図9は、図6中の[結合先製造条件G(X’)の固定セル設定]の処理フローを詳細に例示している。ここでは、例えば、上記の「結合可能範囲」との概念に加えて、「結合好適範囲」との概念を導入している。この「結合好適範囲」とは、不足製造条件Gのセルを入れ替え処理することによって形成される製造条件グループの最小セル数を規定する範囲であり、最低検査可能数N以上の数値であり得る。かかる「結合好適範囲」を設定することで、最低検査可能数Nとは別に、入れ替え後の製造条件グループのセル数を決定することができる。例えば、ここで結合好適範囲を最低検査可能数Nよりも大きい数値に設定し、最低検査可能数Nよりも多くのセルにより製造条件グループを構成することで、より高精度な検査を実施することが可能となる。
図10は、図6中の[被入替製造条件G(Y)の移動セル設定]の処理フローを詳細に例示している。ここでは、被入替製造条件グループ(Y)の移動セルの決定の仕方の一例を示している。
図11は、図6中の[付随入替製造条件G(Z)の移動セル設定]の処理フローを詳細に例示している。ここでは、付随入替製造条件G(Z)の移動セルの決定の仕方の一例を示している。
以上のように、上記に例示した処理フローでは、電池を構成する電極体のセル情報に基づき、例えば、同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材とを組合せて形成された電極体であっても、製造順に付与される電極体識別番号(ID no.)が離れすぎている(例えば、500番以上異なる)ものは、製造条件にバラつきが生じ得るとして、異なる製造条件となるよう考慮することができる。このように、本発明の製造方法によると、所望の製造条件に基づき製造条件グループを層別し、さらにかかる製造条件グループの構成電池組立体数が最低検査可能数Nあるいはそれ以上となるように検査ロット間で電池組立体の入れ替え処理を行うため、より一層高精度な検査を、不良電池数を低減して、実施することができる。したがって、より高精度な検査を通過した高品質な電池を製造することが可能となる。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、種々の改変が可能であることは勿論である。
1 車両
10 電池
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
33 露出部
34 正極活物質層
38 正極端子
50 負極シート(負極)
52 負極集電体
53 露出部
54 負極活物質層
58 負極端子
70 セパレータ
80 電池ケース
82 蓋体
84 ケース本体

Claims (7)

  1. 電池の製造方法であって、以下の工程:
    少なくとも正極および負極を備える電極体を備える電池組立体を製造する工程;
    複数個の前記電池組立体を一単位(一ロット)とする検査ロットを複数形成する工程;
    複数の前記検査ロットのそれぞれについて、該検査ロットを構成している複数個の前記電池組立体を製造条件が同一である前記電池組立体で構成される一グループ以上の製造条件グループに層別する工程;
    複数の前記検査ロットのそれぞれについて、前記製造条件グループごとに該製造条件グループを構成する前記電池組立体の良否を判定する検査工程;
    前記検査工程で不良と判定された前記電池組立体を除く工程;
    を包含し、
    ここで、前記検査工程は、前記検査ロット内において層別された前記製造条件グループが予め設定されている最低検査可能数N(ここで、Nは、2以上で、かつ、前記検査ロットを構成する前記電池組立体の数以下の整数である。)以上の電池組立体で構成されている場合に実施されていることを前提としており、
    該検査工程を実施する以前に、一の検査ロット内に前記最低検査可能数N未満の前記電池組立体で構成された不足製造条件グループが存在する場合は、以下の構成の電池組立体入れ替え処理;
    (1)前記不足製造条件グループが存在する前記検査ロットを入替対象検査ロットとし、前記入替対象検査ロットにおいて、前記不足製造条件グループを構成する前記電池組立体の数m(ここで、mは、1以上前記N以下の整数である。)を認定するとともに、
    前記不足製造条件グループとは異なる一の前記製造条件グループであって、該製造条件グループを構成する前記電池組立体数が(2×N)個以上である前記製造条件グループを付随入替製造条件グループすること;
    (2)前記入替対象検査ロット以外の他の検査ロットであって、前記不足製造条件グループと同じ製造条件である前記製造条件グループであり、該製造条件グループ構成する前記電池組立体数が(N−m)個以上である結合先製造条件グループを有し、かつ、該結合先製造条件グループとは異なる一の製造条件グループであって、該製造条件グループを構成する電池組立体数が(m+2×N)個以上である被入替製造条件グループを有する入替先検査ロットを決定すること;
    (3)前記入替対象検査ロットから、(a)前記不足製造条件グループを構成する全m個の電池組立体、および、(b)前記付随入替製造条件グループから選択されたN個の電池組立体を、前記入替先検査ロットの(c)前記被入替製造条件グループから選択された(m+N)個の電池組立体と入れ替えること;
    を行うことを特徴とする、製造方法。
  2. 前記最低検査可能数Nが5以上である、請求項1に記載の製造方法。
  3. さらに、前記電池組立体に電解液を注入し、該電解液を前記電極体に浸透させる工程を含み、
    前記電池組立体入れ替え処理は、前記電極体に前記電解液を浸透させる浸透時間内に行う、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記検査工程は、
    一の検査ロットの各電池組立体に初期充電を行うこと;
    初期充電後の各電池組立体について、エージングを施すこと、ここでエージング前とエージング後とに各電池組立体の端子間電圧を測定し、自己放電による電圧降下量を算出する;
    前記一の検査ロット内において層別された製造条件グループごとに、前記電圧降下量の算出結果に基づき、良品判定のための基準値となる良品基準値を設定すること、および
    各電池組立体について、製造条件グループごとに設定された前記良品基準値と前記電圧降下量との差分を算出し、前記差分が所定の閾値以下の場合に当該電池組立体を良と判定し、前記差分が所定の閾値を越える場合に当該電池を不良と判定する工程、
    を包含する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記付随入替製造条件グループは、前記入替対象検査ロットにおいて前記不足製造条件グループ以外の製造条件グループのうち、当該製造条件グループを構成する前記電池組立体数が最も多い製造条件グループである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記被入替製造条件グループは、前記入替先検査ロットにおいて、前記結合先製造条件グループ以外の製造条件グループのうち当該製造条件グループを構成する前記電池組立体数が最も多い製造条件グループである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記電極体は、長尺の正極シートと長尺の負極シートとをセパレータを介して重ね合わせ、捲回されてなる捲回電極体であって、
    前記製造条件グループは、
    同一の正極シートから切り出された同一の製造ロットに属する正極部材と、
    同一の負極シートから切り出された同一の製造ロットに属する負極部材と、
    を組合せて形成された前記捲回電極体を備える電池組立体により構築されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
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