以下、本明細書で開示するMEMSデバイスの好ましい第1実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図1は、本明細書に開示するMEMSデバイスの第1実施形態を示す図であり、図3のX1−X1線を通る端面図である。図2は、第1実施形態のMEMSデバイスの第1ユニットの平面図である。図3は、第1実施形態のMEMSデバイスの第2ユニットの平面図である。図4は、第1実施形態のMEMSデバイスの図であり、図3のX2−X2線を通る端面図である。図5は、第1実施形態のMEMSデバイスの図であり、図3のX3−X3線を通る端面図である。
本実施形態のMEMSデバイス1は、ケイ酸ガラス又はセラミックスにより形成される第1基板10と、シリコンにより形成される第2基板30とを備える。
第1基板10は、固定電極15が配置される平滑な第1面10a、及び第1面とは反対側の第2面10bを有する。
第2基板30は、空洞31と、空洞31の上に配置され、第1基板10との間の距離を変化させるように運動可能な可動部32と、可動部32上に配置され、固定電極15と間隔をあけて対向する可動電極34と、を有する。
また、MEMSデバイス1は、第1基板10と第2基板30との間に配置されて、可動部32上に空間Rを形成するスペーサS1〜S4を備える。スペーサS1〜S4は、可動部32上ではない位置に配置される。
第1基板10と第2基板30とは、第1基板10が第1面10aを第2基板30側に向けて、第1基板10又は第2基板30の内の少なくとも一方の基板が撓んだ状態で空間Rの周囲の接合部2で陽極接合される。
本実施形態のMEMSデバイス1は、第1基板10が撓み部Mを撓ませて、第2基板30と陽極接合している。また、本実施形態のMEMSデバイス1は、第1基板10を有する第1ユニット1aと、第2基板30を有する第2ユニット1bとが、接合部2において陽極接合されて形成される。
MEMSデバイス1は、可動部32が、後述する駆動部36により駆動されて、可動部32上の可動電極34が固定電極15と接離するスイッチである。
図1に示すように、一対のスペーサS1,S2が、間隔をあけて対向する固定電極15及び可動電極34を挟むように配置される。また、一対のスペーサS1,S2は、空間Rを挟むように配置される。
また、図4に示すように、一対のスペーサS3,S4が、空間Rを挟むように配置される。間隔をあけて対向する固定電極15及び可動電極34は、空間R内に配置されており、この空間Rは、4つのスペーサS1,S2、S3,S4に囲まれている。
以下、本実施形態のMEMSデバイス1について、更に説明する。
まず、第1ユニット1aについて、以下に説明する。図2は、第2ユニット1bから分離された第1ユニット1aを、第1面10a側から見た平面図である。
第1ユニット1aは、第1基板10と、第1基板10を貫通する貫通電極11a〜16aと、第1基板10の第1面10aから第2基板30に向かって延びる凸部11〜14と、固定電極15と、第1駆動電極16を有する。
また、第1ユニット1aは、第1基板10の第2面10b上に配置され、貫通電極11a〜16aと電気的に接続するパッド11b〜16bを有する。
第1基板10としては、例えば、LTCC(Low temperature co−fired ceramic)基板を用いることができる。第1基板10は、陽極接合している部分2aにおいて、第2基板30と接合している。
凸部11は、電気導電性を有し、第1基板10内の貫通電極11aから第2基板30に向かって延びる電極であり、貫通電極11aと電気的に接続する。凸部11は、後述する凸部21と当接して、電気的に接続する。
同様に、凸部12〜14は、電気導電性を有し、第1基板10内の貫通電極12a〜14aから第2基板30に向かって延びる電極であり、貫通電極12a〜14aと電気的に接続する。凸部12〜14は、後述する凸部22〜24と当接して、電気的に接続する。
第1駆動電極16は、電気導電性を有し、第1基板10内の貫通電極16aから第2基板30に向かって延びる電極であり、貫通電極16aと電気的に接続する。第1駆動電極16は、後述する駆動部36の第2電極層36cと当接して、電気的に接続する。
凸部11〜14及び第1駆動電極16の第2基板30側の端面は、第1基板10の第1面10aに対して同じ距離に位置している。即ち、凸部11〜14及び第1駆動電極16の第2基板側の端面は、第1基板10の第1面10aに対して同じ高さにある。
パッド11b及びパッド16bは、駆動部36を駆動する電力を入力する。パッド12bは、可動電極34への信号を入出力する。パッド15bは、固定電極15への信号を入出力する。パッド13b及びパッド14bは、後述するグランド電極39をアースに接続する。
図2に示すように、固定電極15は、貫通電極15aと電気的に接続しており、第1基板10の第1面10a上において、貫通電極15aから第1基板10の中央に向かって延びている。
次に、第2ユニット1bについて、以下に説明する。図3は、第1ユニット1aから分離された第2ユニット1bを、その可動電極34側から見た平面図である。
第2ユニット1bは、第2基板30と、第2基板30内に形成された空洞31と、空洞31上に形成された可動部32と、第2基板30上であって、可動部32上ではない位置に配置される凸部21〜24を有する。また、第2ユニット1bは、可動電極34と、可動電極配線35と、駆動部36と、第2駆動電極37と、駆動電極配線38と、グランド電極39を有する。
第2基板30は、支持層30aと、支持層30a上に積層される中間酸化膜30bと、中間酸化膜30b上に積層される活性層30cを有する。活性層30cは、シリコンにより形成される。活性層30cは、平滑な表面を有する。第2基板30として、例えば、SOI(SILICON ON INSULATOR)基板を用いることができる。
第2基板30は、陽極接合している部分2bにおいて、第1基板10と接合している。
中間酸化膜30bには、空洞31が形成される。
空洞31上の活性層30cには、空洞31を形成する時に用いられた第1スリット40が配置される。図3に示すように、空洞31は、横長に形成される。
空洞31上の活性層30cの部分が可動部32である。可動部32は、空洞31と同様に横長に形成される。可動部32の幅方向の両端部では、第2スリット41によって、活性層30cが切断されている。一方、可動部32の長手方向の両端部では、活性層30cは切断されていない。このように、可動部32は、活性層30cが両持ち梁に形成された構造を有する。
第2スリット41に囲まれた活性層30c上には、電気絶縁性を有する絶縁層33が積層される。可動電極34及び駆動部36は、絶縁層33上に配置される。
可動電極34は、可動電極配線35を介して、電気導電性の凸部22と電気的に接続する。可動電極配線35及び凸部22も、絶縁層33上に配置される。
凸部22は、第2基板30側から第1基板10に向かって延びる電極である。凸部22は、上述した凸部12と当接して、電気的に接続する。
駆動部36は、本実施形態では、圧電膜である。駆動部36は、絶縁層33上に配置される第1電極層36aと、第1電極層36a上に積層される誘電体層36bと、誘電体層36b上に積層される第2電極層36cを有する。
第1電極層36aには、第2駆動電極37が電気的に接続する。第2駆動電極37は、駆動電極配線38を介して、電気導電性の凸部21と電気的に接続する。駆動電極配線38及び凸部21も、絶縁層33上に配置される。
凸部21は、第2基板30側から第1基板10に向かって延びる電極である。凸部21は、上述した凸部11と当接して、電気的に接続する。
外部からパッド11b及びパッド16bに印加する電圧を制御することにより、駆動部36が駆動されて、可動部32が第1基板10との間の距離を変化させるように運動する。可動部32が運動することにより、可動電極34が固定電極15と接離して、パッド15b及びパッド12bから信号が入出力する。
図3に示すように、第2スリット41を囲むように、グランド電極39が配置される。グランド電極39は、電気導電性の凸部23及び凸部24と電気的に接続する。第2スリット41は、活性層30cを切断するスリットであり、活性層30cは、第2スリット41の内側と外側とが電気的に絶縁される。
図4に示すように、凸部23及び凸部24は、第2基板30から第1基板10に向かって延びる電極である。凸部23は、上述した凸部13と当接して、電気的に接続する。凸部24は、上述した凸部14と当接して、電気的に接続する。
凸部21〜24の第1基板側の端面及び第2電極層36cの表面は、第2基板30の活性層30cの表面に対して同じ距離に位置している。即ち、凸部21〜24の第1基板側の端面及び第2電極層36cの表面は、第2基板30の活性層30cの表面に対して同じ高さにある。
スペーサS1は、凸部11及び凸部21により形成される。スペーサS2は、凸部12及び凸部22により形成される。スペーサS3は、凸部13及び凸部23により形成される。スペーサS4は、凸部14及び凸部24により形成される。スペーサS1〜S4は、可動部32上ではない部分に配置される。スペーサS1〜S4は、第1基板10と第2基板30とを離間させて、空間Rを形成する。
第1基板10及び第2基板30は、接合部2において、陽極接合されている。ケイ酸ガラス又はセラミックスにより形成される第1基板10、又は、シリコンにより形成される第2基板30は、そり又はうねりを有している。このような2つの基板を接合する時、基板間の距離が近い部分と、離れた部分とができる。陽極接合では、電界で2つの基板同士を近づけて共有結合により接合するので、そり又はうねりを有する基板同士を、密着性良く接合することができる。また、陽極接合では、基板同士が接合した部分から周囲の部分が閉じるように接合が広がるので、そり又はうねりがある基板同士の接合を密着性良く行える。更に、陽極接合では、樹脂結合のように有機物を発することもない。このように、接合部2が陽極接合により形成されるので、汚染されない密閉された空間Rが形成される。
MEMSデバイス1では、スペーサS1〜S4が空間Rを形成する。空間Rでは、可動電極34と固定電極15とが、所定の間隔をあけて対向する。空間Rの高さは、材料が同じであれば、スペーサS1〜S4の配置により定めることができる。この所定の間隔は空間の高さによって決定されるので、可動電極34と固定電極15との間の距離は、スペーサS1〜S4の配置により定められる。
スペーサS1〜S4の配置は、スペーサS1とスペーサS2との距離L1と、スペーサS3とスペーサS4との距離L2と、スペーサS3(又はS4)とスペーサS2との距離L3とに基づいて定められる(図3参照)。
ここで、MEMSデバイス1は、横長であり、その長手方向と、スペーサS1及びスペーサS2が並ぶ向きは一致している。また、スペーサS3及びスペーサS4が並ぶ向きは、MEMSデバイス1の幅方向と一致している。MEMSデバイス1の幅方向は、長手方向と直交する向きである。上述した距離L1〜L3は、MEMSデバイス1の長手方向又は幅方向に沿った向きの距離である。また、距離L1〜L3は、スペーサの端面の中心の位置の間の距離である。
距離L1は、例えば、800〜1000μmとすることができる。距離L2は、例えば、200〜400μmとすることができる。距離L3は、例えば、300〜700μmとすることができる。
また、スペーサS1と接合部2との間の距離L4、又は、スペーサS2と接合部2との間の距離L5、又は、スペーサS4(又はS3)と接合部2との間の距離L6を定めても良い。上述した距離L4〜6は、MEMSデバイス1の長手方向又は幅方向に沿った向きの距離である。距離L4〜6は、スペーサの端面の中心と、接合部2との間の距離である。
距離L4〜6は、例えば、300〜700μmとすることができる。
MEMSデバイス1は、WLP技術を用いて形成され得る。詳しくは後述するが、図27〜29に示すように、複数のMEMSデバイスがウエハ状態のままで一括してパッケージされた後、ウエハがダイシングされて個々のMEMSデバイスが形成される。
上述したように、本実施形態のMEMSデバイス1によれば、可動電極34と固定電極15との間の距離は、スペーサS1〜S4の配置により定められるので、各MEMSデバイス1における密封された空間Rの高さを均一にすることができる。従って、各MEMSデバイス1では、可動電極34と固定電極15との間の距離を一定にすることができるので、各駆動部を駆動する駆動電圧も一定になる。
上述した本実施形態のMEMSデバイス1では、4つのスペーサが配置されていたが、MEMSデバイスは、少なくとも1つのスペーサを有してれば、各MEMSデバイス1における密封された空間Rの高さを均一にすることができる。
また、上述した本実施形態のMEMSデバイス1では、可動電極34が、第2基板30から第1基板10に向かって延びているが、固定電極15が、第1基板10から第2基板30に向かって延びるようにしても良い。
次に、上述した本実施形態のMEMSデバイスの変型例1〜5を、図面を参照して、以下に説明する。
図6は、第1実施形態のMEMSデバイスの変型例1を示す図である。
本変型例のMEMSデバイス1では、第1基板10は、撓んだ部分及び第2基板30と陽極接合される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも薄い。
図6に示すように、撓み部M及び接合部2における第1基板10の厚さが、可動部32と対向している部分の厚さよりも薄くなっている。
撓み部M及び接合部2における第1基板10の厚さを薄くすると、これらの部分の剛性が低下するので、同じ荷重を加えた時の変形量が大きくなる。そのため、撓み部Mの長さが短くなるので、図27〜図29に示すように、一枚の基板上に配置するMEMSデバイス同士の間隔を狭くすることが可能となる。その結果、一枚の基板上により多くのMEMSデバイスを形成することが可能となる。
また、撓み部M及び接合部2における第1基板10の厚さを薄くすると、第1基板10の剛性が低下するので、接合時の温度を低くすることができるため、MEMSデバイスを製造するスループットを向上できる。
第1基板10の厚さを薄くする方法としては、フッ酸等を用いてエッチングすること等が挙げられる。例えば、300μmの厚さの第1基板に対して、撓み部及び接合部における第1基板の厚さを100μmの厚さにしても良い。
図7は、第1実施形態のMEMSデバイスの変型例2を示す図である。
本変型例のMEMSデバイス1では、第2基板30は、第1基板10と陽極接合される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも薄い。図7には示してないが、第2基板30は、撓み部Mにおいて撓んでいても良い。
図7に示すように、撓み部M及び接合部2における第2基板30の支持層30aの厚さが、固定電極15と対向している部分の厚さよりも薄くなっている。
図8は、第1実施形態のMEMSデバイスの変型例3を示す図である。
本変型例のMEMSデバイス1では、第1基板10は、撓んだ部分及び第2基板30と陽極接合される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも薄い。また、本変型例のMEMSデバイス1では、第2基板30は、第1基板10と陽極接合される部分の厚さが、他の部分の厚さよりも薄い。図8には示してないが、第2基板30は、撓み部Mにおいて撓んでいても良い。
図8に示すように、撓み部M及び接合部2における第1基板10の厚さが、可動部32と対向している部分の厚さよりも薄くなっている。また、撓み部M及び接合部2における第2基板30の支持層30aの厚さが、固定電極15と対向している部分の厚さよりも薄くなっている。
図9は、第1実施形態のMEMSデバイスの変型例4を示す図である。
本変型例のMEMSデバイス1では、駆動部36の第2電極層36c上に、第1駆動電極16と対向するように、第3電極層36dが積層される。
第3電極層36dの形成材料を、第1駆動電極16の形成材料と同じにすることにより、第3電極層36dと第1駆動電極16との電気導電性を高めることができる。
第1駆動電極16が金により形成される場合、第3電極層36dは、第2電極層36c上にチタン及び金を順番にリフトオフ法を用いて形成することができる。
凸部21〜24の第1基板側の端面及び第3電極層36dの表面は、第2基板30の活性層30cの表面に対して同じ距離に位置している。即ち、凸部21〜24の第1基板側の端面及び第3電極層36dの表面は、第2基板30の活性層30cの表面に対して同じ高さにある。
図10は、第1実施形態のMEMSデバイスの変型例5を示す図である。
本変型例のMEMSデバイス1では、第1電極15c及び第2電極34aは、キャパシタを形成しており、接離はしない。
可動部32上の第2電極34aは、駆動部36により駆動されて、第1電極15cとの間の距離が変化することにより、キャパシタの容量が可変となる。
次に、上述したMEMSデバイスの第2実施形態を、図11〜図13を参照しながら以下に説明する。第2実施形態について特に説明しない点については、上述の第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、同一の構成要素には同一の符号を付してある。
図11は、本明細書に開示するMEMSデバイスの第2実施形態を示す図であり、図13のY1−Y1線を通る端面図である。図12は、第2実施形態のMEMSデバイスの第1ユニットの平面図である。図13は、第2実施形態のMEMSデバイスの第2ユニットの平面図である。
本実施形態のMEMSデバイス1では、駆動部36は、第1基板10の第1面10a上に配置された第1駆動電極52と、第1駆動電極52と間隔をあけて対向するように第2基板30上に配置された第2駆動電極53とを有する。本実施形態のMEMSデバイス1の駆動部36は、静電気力を用いて可動部32を駆動する。
図12に示すように、第1駆動電極52は、電気導電性を有し、第1基板10内の貫通電極16aから第1基板10の中央に向かって延びる電極であり、貫通電極16aと電気的に接続する。
第2駆動電極53は、活性層30c上に配置される。
図11及び図13に示すように、第2駆動電極53は、凸部21と電気的に接続しており、凸部21から可動電極34に向かって延びている。
第1駆動電極52に第1の極性の電圧を印加すると共に、第2駆動電極53に第2の極性の電圧を印加することにより、第1駆動電極52と第2駆動電極53との間に静電引力を生じさせて、可動部32が第1基板10との間の距離を縮めるように運動する。
外部からパッド11b及びパッド16bに印加する電圧を制御することにより、駆動部36が駆動されて、可動部32が第1基板10との間の距離を変化させるように運動する。可動部32が運動することにより、可動電極34が固定電極15と接離して、パッド15b及びパッド12bから信号が入出力される。
第1駆動電極52と第2駆動電極53との間の距離を、例えば1400nmとして、可動部32が運動していない状態における固定電極15と可動電極34との間の距離を800nmとすることができる。
本実施形態では、活性層30c上に絶縁層は配置されない。
本実施形態のMEMSデバイス1の他の構成は、上述した第1実施形態と同様である。
次に、本明細書に開示するMEMSデバイスの製造方法の一実施形態を、図面を参照して、以下に説明する。
第1ユニット1aの製造方法の一実施形態を説明した後、第2ユニット1bの製造方法の一実施形態を説明する。
まず、図14に示すように、研磨されて平滑な第1面10aを有する第1基板10が用意される。第1基板10には、貫通孔が形成された後、貫通孔内に導電体が充填されて、貫通電極11a〜16aが形成されると共に、第2面10b上には、貫通電極11a〜16aと電気的に接続するパッド11b〜16bが形成される。なお、図14には、貫通電極13a、14a、15a及びパッド13b、14b、15bは示されていない。このことは、以下の図面においても同様である。
本実施形態では、第1基板10として、厚さ300μmのLTCC基板を用いた。貫通電極11a〜16aの径は、100μmであった。
次に、図15に示すように、導電層60が、第1面10a上に形成される。導電層60は、貫通電極11a〜16aと電気的に接続する。本実施形態では、スパッタ法を用いて、厚さ50nmのチタンと、厚さ100nmの白金と、厚さ1000nmの金とが、順番に第1面10a上に形成された。
次に、図16に示すように、導電層60がパターニングされて、凸部11〜14及び第1駆動電極16の端面の部分が形成される。本実施形態では、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法を用いて、導電層60の金の部分が、800nmの深さでエッチングされた。凸部11〜14及び第1駆動電極16の端面の形状は、一辺の長さが100μmの正方形とした。
そして、導電層60の残りの部分がパターニングされて、凸部11〜14、第1駆動電極16、固定電極15が形成されて、図26に示す第1ユニット1aが形成される。本実施形態では、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法を用いて、パターニングが行われた。固定電極15の端面の位置と、凸部11〜14及び第1駆動電極16の端面の位置との差は、第1面10aの高さ方向において800nmとなる。
以上が、第1ユニット1aの製造方法の説明である。次に、第2ユニット1bの製造方法を説明する。
まず、図17に示すように、支持層30a、中間酸化膜30b及び活性層30cを有する第2基板30が用意されて、活性層30cに複数の第1スリット40が形成される。本実施形態では、第2基板30として、厚さ525μmの支持層30aと、厚さ4μmの中間酸化膜30bと、厚さ15μmの活性層30cを有するSOI基板が用いられた。活性層30cの抵抗率は1000Ωcm以上であった。複数の第1スリット40は、フォトリソグラフィ法及ディープ反応性イオンエッチング(Deep−RIE)法を用いて形成された。第1スリット40の幅は2μmであった。
次に、図18に示すように、中間酸化膜30bが、ウェットエッチングされて、空洞31が形成される。本実施形態では、バッファードフッ酸を用いて、第1スリット40を通して、中間酸化膜30bがエッチングされた。
次に、図19に示すように、絶縁層33が、活性層30c上に形成される。絶縁層33は、複数の第1スリット40を覆うように形成される。本実施形態では、プラズマCVD法を用いて、厚さ2μmの二酸化シリコン膜が、絶縁層33として活性層30c上に形成された。
次に、図20に示すように、第1電極層36aと、誘電体層36bと、第2電極層36cとが、順番に絶縁層33上に形成される。本実施形態では、スパッタ法を用いて、厚さ50nmのチタンと厚さ200nmの白金とが、順番に絶縁層33上に積層されて、第1電極層36aが形成された。誘電体層36bとしては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のゾルゲル溶液が第1電極層36a上にスピンコートされた後450℃で焼成することを繰り返して、厚さ1μmのPZT膜が形成された。第2電極層36cとしては、スパッタ法を用いて、厚さ200nmの白金が、誘電体層36b上に形成された。そして、各層が形成された第2基板30が、650℃でRTA(Rapid Thermal Annealing)処理されて、PZT膜を結晶化した。
次に、図21に示すように、第1電極層36aと、誘電体層36bと、第2電極層36cとが、順番にパターニングされて、駆動部36が形成される。本実施形態では、第1電極層36aは、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法を用いてパターニングされた。誘電体層36bは、フォトリソグラフィ法及びバッファードフッ酸を用いたエッチング法によりパターニングされた。第2電極層36cは、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法を用いてパターニングされた。
次に、図22に示すように、絶縁層33が、パターニングされる。本実施形態では、絶縁層33は、バッファードフッ酸を用いたエッチング法によりパターニングされた。
次に、図23に示すように、リフトオフ法を用いて、第2電極層36cを除く部分に、導電層61が形成される。本実施形態では、まず、レジストが第2電極層36cを含む部分に形成された。そして、スパッタ法を用いて、厚さ50nmのチタンと、厚さ100nmの白金と、厚さ1300nmの金とが順番に積層された。そして、有機溶剤を用いて、レジストが溶解させて、レジスト上の導電層の部分がリフトオフされた。将来、凸部21〜24が形成される導電層61の部分の表面の位置と、第2電極層36cの表面の位置とは一致する。
次に、図24に示すように、導電層61がパターニングされて、凸部21〜24及び可動電極34の端面の部分が形成される。本実施形態では、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法を用いて、導電層61の金の部分が、600nmの深さでエッチングされた。凸部21〜24の端面の形状は、一辺の長さが100μmの正方形とした。可動電極34の端面の形状は、直径5μmの円形とした。なお、図24には、凸部23,24は示されていない。このことは、以下の図面においても同様である。
次に、図25に示すように、導電層61の残りの部分がパターニングされて、凸部21〜24と、可動電極34と、可動電極配線35と、第2駆動電極37と、駆動電極配線38と、グランド電極39とが形成される。本実施形態では、フォトリソグラフィ法及びイオンミリング法が用いられた。
そして、活性層30cに、第2スリット41が形成されることにより、可動部32が形成されて、図26に示す第2ユニット1bが得られる。本実施形態では、第2スリット41は、フォトリソグラフィ法及ディープ反応性イオンエッチング(Deep−RIE)法を用いて形成された。第2スリット41の幅は、2μmであった。
次に、図26に示すように、第1基板10を、固定電極15が配置される平滑な第1面10aを第2基板30側に向けて、第2基板30と対向させる。そして、凸部11と凸部21とを当接させてスペーサS1を形成し、凸部12と凸部22とを当接させてスペーサS2を形成し、凸部13と凸部23とを当接させてスペーサS3を形成し、凸部14と凸部24とを当接させてスペーサS4を形成する。また、第1駆動電極16と第2電極層36cとを当接させる。そして、第1基板10と第2基板30との間にスペーサS1〜S4を配置させて、第1基板10と第2基板30とを間隔をあけて対向させる。そして、第1基板10又は第2基板30の内の少なくとも一方の基板を撓ませ、且つ、且つ可動部32上に空間Rを形成するように、第1基板10と第2基板30とを空間Rの周囲で陽極接合する。
本実施形態では、図示しないステージ上に載置された第2基板30に対して、スペーサS1〜S4を形成するように、凸部11〜14と凸部21〜24とが当接させて、第1基板10が位置合わせされた。そして、第1基板10の第2面10bに荷重を加えながら両基板を400℃に加熱し、且つ、第1基板10が負極に、第2基板30が正極となるように600Vの電圧を印加して、窒素雰囲気中で20分間、陽極接合の処理が行われた。そして、第1基板10が撓み部Mにおいて撓み、第1基板10と第2基板30とが接合して接合部2が形成されて、MEMSデバイス1が得られた。
上述した説明では、単体のMEMSデバイスが形成される製造工程を説明した。本実施形態のMEMSデバイスは、WLP技術を用いて形成され得る。次に、WLP技術を用いて、MEMSデバイスを形成する説明を以下に行う。
図27は、複数の第1ユニット1aが形成された第1基板10を示す平面図である。
図28は、複数の第2ユニット1bが形成された第2基板30を示す平面図である。
図27及び図28では、第1ユニット1a及び第2ユニット1bは、構造を簡略して示している。
複数の第1ユニット1aが形成された第1基板10は、上述した第1ユニット1aの製造と同様にして形成され得る。
同様に、複数の第2ユニット1bが形成された第2基板30は、上述した第2ユニット1bの製造と同様にして形成され得る。
次に、図29に示すように、対応する第1ユニット1aと第2ユニット1bにおいて、スペーサS1〜S4を形成するように凸部11〜14と凸部21〜24とを当接させて、第1基板10を、図示しないステージ上に載置された第2基板30に対向させる。そして、第1基板10と第2基板30とを、各空間Rの周囲で陽極接合した後に、陽極接合された部分で切断して、個々のMEMSデバイス1が得られる。図29は、図28のZ1−Z1線を通る端面図である。
上述した本実施形態のMEMSデバイスの製造方法によれば、WLP技術を用いて、空間Rの高さが均一な複数のMEMSデバイス1を形成することができる。従って、各MEMSデバイス1では、可動電極34と固定電極15との間の距離を一定にすることができるので、各駆動部を駆動する駆動電圧も一定になる。従って、MEMSデバイスの製造における歩留まりを向上することができる。
また、本実施形態の製造方法によれば、可動部が運動する空間を形成するための基板をエッチングする工程を有さないので、製造コストを低減できる。
本発明では、上述した実施形態のMEMSデバイス及びMEMSデバイスの製造方法は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、読者が、発明者によって寄与された発明及び概念を技術を深めて理解することを助けるための教育的な目的を意図する。ここで述べられた全ての例及び条件付きの言葉は、そのような具体的に述べられた例及び条件に限定されることなく解釈されるべきである。また、明細書のそのような例示の機構は、本発明の優越性及び劣等性を示すこととは関係しない。本発明の実施形態は詳細に説明されているが、その様々な変更、置き換え又は修正が本発明の精神及び範囲を逸脱しない限り行われ得ることが理解されるべきである。