JP6070354B2 - 延伸光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、延伸前フィルムを延伸して延伸光学フィルムを得る延伸前フィルムの製造方法に関する。
例えば液晶表示装置などの表示装置に設けられる光学フィルムの一つに、延伸光学フィルムが挙げられる。延伸光学フィルムは、樹脂等の材料で形成された延伸前フィルムを所望の方向に延伸することによって、その延伸前フィルムに含まれる分子を配向させることにより、製造できる。例えば、長尺の延伸前フィルムを適切な温度において延伸することにより、所望の方向に遅相軸を有する位相差フィルムを延伸光学フィルムとして得ることができる。また、延伸前フィルムをMD方向(machine direction)に搬送しながらその幅方向に延伸する際には、一般に、延伸前フィルムの幅方向の両端部を把持しうる把持子を備えたテンター装置を用いて延伸が行われる。ここで、MD方向は、製造ラインにおけるフィルムの流れ方向であり、通常はフィルムの長手方向及び縦方向と平行である。
近年の表示装置の性能向上に伴い、位相差フィルム等の延伸光学フィルムには、遅相軸等の光学軸の方向を高い精度で均一にすることが求められる。ところが、従来のテンター装置を用いた延伸によっては、延伸前フィルムを延伸する工程を長期間にわたって行うと、延伸光学フィルムに発現する光学軸の方向が変化し、長手方向において光学軸の方向が一定にならないことが多かった。
そこで、延伸前フィルムを延伸して延伸光学フィルムを製造する際に、延伸光学フィルムの光学軸の方向を一定にするための技術が検討されている。例えば特許文献1には、テンター装置によって延伸前フィルムの延伸を行う場合に、延伸前フィルムの一方の端部を把持しうる把持子とその反対の端部を把持しうる把持子との移動速度差を調整する技術が記載されている。また、特許文献1には、延伸前フィルムの一方の端部を把持しうる把持子による把持長とその反対の端部を把持しうる把持子の把持長とを制御する技術も記載されている。ここで把持長とは、把持開始から把持終了までの距離をいう。特許文献1によれば、これらの技術により、延伸光学フィルムの遅相軸のズレを矯正することができる。
また、特許文献2,3のような技術も知られている。
特開2006−256064号公報 特開平10−175254号公報 特開2006−103145号公報
近年、光学フィルムに対する要求性能が益々高まっている。このような要求のもと、延伸光学フィルムの配向方向を、その長手方向において従来よりも更に高い精度で均一にすることが求められている。具体的な精度は光学フィルムの種類により必ずしも限定されないが、例えば長手方向における配向方向を、目的とする所望の配向方向から±0.3°の範囲に収められる程度に高い精度が求められることがありえる。ところが、従来の技術では、長手方向において配向方向が十分高い精度で均一になった延伸光学フィルムを製造することは困難であった。
例えば、特許文献1記載のように把持子に移動速度差をつけると、延伸光学フィルムが破断する可能性が高くなる。また、特許文献1記載のように延伸前フィルムの一方の端部と他方の端部とで把持子による把持開始位置に差を設けて把持長を制御する場合、延伸光学フィルムが破断する可能性が高くなる。さらに、特許文献1記載のように延伸前フィルムの一方の端部と他方の端部とで把持子による把持終了位置に差を設けて把持長を制御する場合、延伸光学フィルムにシワが生じたり、延伸光学フィルムが搬送中に蛇行したりする可能性が高くなる。
また、例えば、特許文献2,3に記載の技術では、延伸光学フィルムの配向方向を高い精度で制御することは難しい。
さらに、延伸光学フィルムの配向方向を長手方向において均一にする手段としては、テンター装置において把持子を案内しうるガイド部材の形状を制御することが考えられる。一般に、テンター装置において把持子はガイド部材に沿って移動する。したがって、このガイド部材の形状を適切に制御することにより、把持子が移動する軌跡の形状を制御することができる。把持子が移動する軌跡の形状を制御すれば、その把持子に把持された延伸前フィルムに加えられる張力の方向を適切に制御できるので、延伸光学フィルムの配向方向を高い精度で均一にすることが可能と考えられた。
そこで、本発明者は、長尺の延伸前フィルムをテンター装置で幅方向に延伸して延伸光学フィルムを製造する際に、延伸光学フィルムの配向方向を検知しながら、その検知された配向方向に基づいてガイド部材の形状を制御することを試みた。具体的には、TD方向(traverse direction)におけるガイド部材の位置を部分的に変更することで、長手方向における延伸光学フィルムの配向方向のズレを矯正することを試みた。ここで、TD方向は、フィルム面に平行な方向であって、MD方向に垂直な方向であり、通常はフィルムの幅方向及び横方向と平行である。
このようにガイド部材の形状を制御することにより、ある程度は長手方向における延伸光学フィルムの配向方向のズレを矯正することは可能であった。ところが、ガイド部材の形状の制御によっても、延伸光学フィルムの配向方向を長手方向において期待されたほど高い精度で均一にすることは難しかった。そのため、ガイド部材の形状の制御によって延伸光学フィルムの配向方向を長手方向において高い精度で均一にしようとすると、ガイド部材の形状の制御を繰り返し行うことになり、長時間を要した。
ある程度は長手方向における延伸配向フィルムの配向方向のズレを矯正できたのであるから、ガイド部材の形状は、延伸光学フィルムの配向方向と一応の相関はあると考えられる。しかし、ガイド部材の形状と延伸光学フィルムの配向方向との相関の程度が高くないので、期待したほどの精度が得られなかったものと推察される。
本発明は前記の課題に鑑みて創案されたものであって、長尺の延伸前フィルムを延伸して、長手方向において高い精度で均一な配向方向を有する延伸光学フィルムを容易に製造できる、延伸光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、延伸前フィルムの搬送路の両側に設けられた一対のガイド部材と、ガイド部材に沿って移動しうる把持子を備えた無端状のテンターチェーンと、テンターチェーンの上流端部に設けられた入口側スプロケットと、テンターチェーンの下流端部に設けられた出口側スプロケットとを備えたテンター装置において、所定の条件においてガイド部材の形状を変化させた場合での、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と延伸光学フィルムの配向方向の変化量との間に、高度な相関があることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕 テンター装置により長尺の延伸前フィルムを延伸して延伸光学フィルムを製造する、延伸光学フィルムの製造方法であって、
前記テンター装置が、前記延伸前フィルムの搬送路の両側に設けられた一対のガイド部材と、前記ガイド部材に沿って移動しうる把持子を備えた無端状のテンターチェーンと、前記テンターチェーンの上流端部に設けられた入口側スプロケットと、前記テンターチェーンの下流端部に設けられた出口側スプロケットとを備え、
前記ガイド部材が、下流ほど一対の前記ガイド部材間の間隔が広くなる拡大部を有し、
前記入口側スプロケット、前記出口側スプロケット、又は、前記入口側スプロケット及び前記出口側スプロケットの両方が、前記延伸前フィルムの長手方向において移動可能であり、
前記製造方法が、
前記延伸光学フィルムの配向方向を検知する工程(I)と、
検知された前記延伸光学フィルムの配向方向及び制御用情報に基づいて、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の間隔を維持した状態で、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させる工程(II)とを有し、
前記制御用情報が、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の間隔を維持した状態で(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させた場合での、前記入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び前記出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と、前記延伸光学フィルムの配向方向の変化量との相関情報である、延伸光学フィルムの製造方法。
〔2〕 前記入口側スプロケットが、いずれも前記延伸前フィルムの長手方向において移動可能であり、
前記出口側スプロケットが、いずれも前記延伸前フィルムの長手方向において位置を固定されていて、
前記工程(II)において、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ、
前記制御用情報が、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の間隔を維持した状態で(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させた場合での、前記入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び前記出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と、前記延伸光学フィルムの配向方向の変化量との相関情報である、〔1〕記載の延伸光学フィルムの製造方法。
〔3〕 前記工程(II)において、検知された前記延伸光学フィルムの配向方向と前記延伸光学フィルムの幅方向とが平行に近づくように、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させる、〔1〕又は〔2〕記載の延伸光学フィルムの製造方法。
〔4〕 前記ガイド部材の前記拡大部の下流端部が、前記延伸前フィルムの幅方向において移動可能であり、
前記工程(II)において、前記ガイド部材の前記拡大部の下流端部の前記延伸前フィルムの幅方向における位置を変更することを含む、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の延伸光学フィルムの製造方法。
本発明の延伸光学フィルムの製造方法によれば、長手方向において高い精度で均一な配向方向を有する延伸光学フィルムを容易に製造できる。
図1は、本発明の一実施形態に係るテンター装置を模式的に示す平面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係るテンター装置のガイド部材、入口側スプロケット、出口側スプロケット、延伸前フィルム並びに延伸光学フィルムを模式的に示す平面図である。 図3は、本発明の一実施形態に係るテンター装置のガイド部材、入口側スプロケット、出口側スプロケット、延伸前フィルム並びに延伸光学フィルムを模式的に示す平面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係るテンター装置のガイド部材、入口側スプロケット、出口側スプロケット、延伸前フィルム並びに延伸光学フィルムを模式的に示す平面図である。 図5は、本発明の一実施形態において、移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθの組み合わせをプロットした座標系の一例を表す図である。 図6は、参考例において測定開始時点を基準状態としたときの、拡大部の下流端部におけるガイド部材の移動量Dを表すグラフである。
以下、例示物及び実施形態を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下に挙げる例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、固有複屈折が正であるとは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなることを意味する。また、固有複屈折が負であるとは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなることを意味する。固有複屈折の値は誘電率分布から計算することができる。
また、フィルム又は層の面内レターデーションは、別に断らない限り、(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、フィルム又は層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルム又は層の前記面内方向であってnxの方向に垂直な方向の屈折率を表す。dは、フィルム又は層の膜厚を表す。別に断らない限り、前記のレターデーションの測定波長は550nmである。前記のレターデーションは、市販の位相差測定装置(例えば、王子計測機器社製、「KOBRA−21ADH」、フォトニックラティス社製、「WPA−micro」)あるいはセナルモン法を用いて測定できる。
また、フィルム又は層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内の遅相軸を表す。
また、「偏光板」とは、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
また、構成要素の方向が「平行」、「垂直」又は「直交」とは、特に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば、通常±5°、好ましくは±2°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
さらに、「長尺」とは、幅に対して、少なくとも5倍以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
また、以下の説明において、別に断らない限り、「長手方向」とはフィルムの長手方向を指し、「幅方向」とはフィルムの幅方向を指し、「上流」とは延伸前フィルム及び延伸光学フィルムの搬送方向における上流を指し、「下流」とは延伸前フィルム及び延伸光学フィルムの搬送方向における下流を指す。
[1.実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係るテンター装置を模式的に示す平面図である。この図1において、オーブンは破線で示す。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るテンター装置10は、長尺の延伸前フィルム20を延伸して延伸光学フィルム30を製造するための装置であって、一対のガイド部材110及び210と、テンターチェーン120及び220と、入口側スプロケット130及び230と、出口側スプロケット140及び240と、オーブン300と、サーボモーター400と、配向角センサー500と、図示しない制御部とを備える。
(ガイド部材)
ガイド部材110及び210は、延伸前フィルム20の搬送路の両側に一対で設けられている。すなわち、延伸前フィルム20の片側にガイド部材110が設けられ、もう片側にガイド部材210が設けられている。
各ガイド部材110及び210は、把持子121及び221を案内しうる複数のガイドレール111及び211と、これらのガイドレール111及び211を接続するレールジョイント112及び212とを備えている。各レールジョイント112及び212は把持子121及び221の移動を妨げない構成を有しているので、ガイド部材110及び210は、把持子121及び221を円滑に案内できる構成を有している。
また、レールジョイント112及び212は、ガイドレール111及び211の関節として機能しうるように設けられている。そのため、ガイド部材110及び210は、レールジョイント112及び212において折り曲げることが可能な構造を有している。
また、ガイド部材110及び210は、下流ほど一対のガイド部材110及び210間の間隔が広くなる拡大部113及び213を有する。したがって、テンター装置10は、この拡大部113及び213において、延伸前フィルム20を幅方向TDに延伸できる構成を有している。ここで、ガイド部材110及び210間の間隔とは、ガイド部材110及び210間の幅方向TDにおける距離をいう。また、ガイド部材110及び210は、延伸前フィルム20又は延伸光学フィルム30の端部を把持した状態の把持子121及び221を案内しうる往路部分114及び214と、延伸前フィルム20又は延伸光学フィルム30の端部を把持しない状態の把持子121及び221を案内しうる復路部分115及び215とを有する。このとき、前記のガイド部材110及び210間の間隔とは、ガイド部材110及び210の往路部分114及び214間の距離をいう。
また、レールジョイント112及び212は、幅方向TDにおいて移動可能に設けられている。したがって、このレールジョイント112及び212を移動させることにより、そのレールジョイント112及び212に接続されたガイドレール111及び211は、幅方向TDにおいて移動できる構成を有している。よって、ガイド部材110及び210は、レールジョイント112及び212を移動させることにより、ガイド部材110及び210の所望の部分を幅方向TDにおいて所望の距離だけ移動させることができる構成を有している。このため、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213の下流端部116及び216は、レールジョイント112及び212を移動させることにより、延伸前フィルム20の幅方向TDにおいて移動可能である。
また、レールジョイント112及び212は、例えば長穴による連結手段を用いることにより、ガイド部材110及び210を幅方向TDにおいて移動させた場合に生じうるガイドレール111及び211とレールジョイント112及び212との間の距離の変動を吸収できるように設けられている。
(テンターチェーン)
テンターチェーン120及び220は、一定の長さを有する無端状のチェーンであり、ガイド部材110及び210に沿って移動しうる複数個の把持子121及び221を備える。本実施形態では、一方のガイド部材110にテンターチェーン120が設けられていて、その把持子121がガイド部材110に沿って移動しうるように設けられている。また、他方のガイド部材210にテンターチェーン220が設けられていて、その把持子221がガイド部材210に沿って移動しうるように設けられている。
把持子121及び221は、テンター装置10の入口において延伸前フィルム20の両端部を把持し、把持した状態のままでガイド部材110及び210の往路部分114及び214を移動し、テンター装置10の出口において延伸光学フィルム30の両端部を開放するように設けられている。したがって、テンター装置10は、把持子121及び221によって両端部を把持した状態で延伸前フィルム20を搬送することにより、拡大部113及び213を把持子121及び221が移動する際に、その延伸前フィルム20を幅方向TDに延伸できる構成を有している。
(スプロケット)
テンターチェーン120の上流端部には、入口側スプロケット130が設けられている。また、テンターチェーン220の上流端部には、入口側スプロケット230が設けられている。
さらに、テンターチェーン120の下流端部には、出口側スプロケット140が設けられている。また、テンターチェーン220の下流端部には、出口側スプロケット240が設けられている。
入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240は、テンターチェーン120及び220にかみ合わされている。また、入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240は、図示しないモーター等の駆動装置によって矢印A130、A140、A230及びA240に示すように回転駆動されうるように設けられている。したがって、テンターチェーン120及び220は、これらの入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240に駆動されて、ガイド部材110及び210に沿って周回しうるように設けられている。
入口側スプロケット130及び230は、いずれも、延伸前フィルム20の長手方向MDにおいて移動可能に設けられている。また、入口側スプロケット130及び230は、図示しない押圧装置によって上流向きに押圧されていることにより、テンターチェーン120及び220に所定の張力を与えることができるように設けられている。また、入口側スプロケット130及び230は、それぞれ、延伸前フィルム20の幅方向TDにおいて位置を固定されている。
他方、出口側スプロケット140及び240は、いずれも、延伸前フィルム20の長手方向MDにおいて位置を固定されている。また、出口側スプロケット140及び240は、それぞれ、延伸前フィルム20の幅方向TDにおいて移動可能に設けられている。
したがって、テンター装置10は、ガイド部材110及び210の任意の部分を幅方向TDにおいて移動させた場合に、そのガイド部材110及び210の移動量に応じて、入口側スプロケット130及び230が長手方向MDにおいて移動しうる構造を有している。すなわち、ガイド部材110及び210の任意の部分を幅方向TDにおいて移動させると、ガイド部材110及び210の形状が変化する。その場合、当該ガイド部材110及び210に沿って移動しうるテンターチェーン120及び220の周回軌道が変化する。そうすると、そのテンターチェーン120及び220に噛み合った入口側スプロケット130及び230は、テンターチェーン120及び220の周回軌道の変化に追従して、長手方向MDにおいて移動しうる。この際、入口側スプロケット130及び230の移動の向き及び移動量は、ガイド部材110及び210の任意の部分の移動の向き及び移動量を調整することにより、調整可能である。
また、入口側スプロケット130及び230には、入口側スプロケット130及び230の長手方向MDにおける移動量を測定しうる移動量センサー131及び231が設けられている。
(オーブン)
オーブン300は、延伸前フィルム20及び延伸光学フィルム30の搬送路に設けられた加熱装置であり、予熱ゾーン310、延伸ゾーン320及び熱固定ゾーン330を上流からこの順に備える。これらの予熱ゾーン310、延伸ゾーン320及び熱固定ゾーン330は、それぞれ、オーブン300の上下から吹き出す温風により、延伸前フィルム20及び延伸光学フィルム30を加熱できる構成を有している。また、オーブン300には、隣接するゾーン間で温風が混流しないように、仕切り板340が設けられている。
(サーボモーター)
テンター装置10は、複数のサーボモーター400を備える。これらのサーボモーター400の一部は、ガイド部材110及び210の各レールジョイント112及び212に接続されている。よって、レールジョイント112及び212は、サーボモーター400の駆動により、幅方向TDに移動できる構成を有している。ここで、レールジョイント112及び212を移動させることにより、ガイド部材110及び210の所望の部分を幅方向TDにおいて所望の距離だけ移動させることができる。したがって、これらのサーボモーター400は、ガイド部材110及び210を幅方向TDに移動させうるガイド部材駆動部として機能しうる。
また、サーボモーター400の別の一部は、出口側スプロケット140及び240に接続されている。したがって、出口側スプロケット140及び240は、サーボモーター400の駆動により、幅方向TDに移動できる構成を有している。したがって、これらのサーボモーター400は、出口側スプロケット140及び240を幅方向TDに移動させうる出口側スプロケット駆動部として機能しうる。
さらに、前述のように、テンター装置10は、ガイド部材110及び210の任意の部分を幅方向TDにおいて移動させた場合には、そのガイド部材110及び210の移動量に応じて、入口側スプロケット130及び230が長手方向MDに移動しうる構造を有している。ここで、一般に、延伸前フィルム20の延伸倍率は、延伸光学フィルム30の製造工程において一定に保たれる。したがって、ガイド部材110及び210の任意の部分を幅方向TDにおいて移動させる場合でも、拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の間の間隔Wは維持される。ここで、間隔Wを維持するとは、その間隔Wの大きさを変えないことを示す。
このように拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態でガイド部材110及び210の任意の部分を幅方向TDにおいて移動させた場合、入口側スプロケット130(一対の入口側スプロケットの一方)は、入口側スプロケット230(一対の入口側スプロケットの他方)に対して、長手方向MDにおいて相対的に移動する。したがって、サーボモーター400は、入口側スプロケット130を入口側スプロケット230に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させうる入口側スプロケット駆動部として機能しうる。
また、サーボモーター400は、制御部によってその駆動を制御されるように設けられている。
(配向角センサー)
配向角センサー500は、延伸光学フィルム30の配向方向を検知する検知装置である。この配向角センサー500は、延伸光学フィルム30の搬送路において幅方向TDの中央に設置されている。したがって、テンター装置10は、配向角センサー500により、延伸光学フィルム30の幅方向TDの中央における配向方向を検知できるように設けられている。
ここで、延伸光学フィルム30の配向方向とは、延伸光学フィルム30に含まれる分子が配向した方向である。例えば、延伸光学フィルム30が固有複屈折が正の樹脂により形成されている場合は、通常、その延伸光学フィルム30の遅相軸の方向がその延伸光学フィルム30の配向方向である。また、延伸光学フィルム30が固有複屈折が負の樹脂により形成されている場合は、通常、その延伸光学フィルム30の遅相軸に垂直な面内方向がその延伸光学フィルム30の配向方向である。
本実施形態では、配向角センサー500は、延伸光学フィルム30の幅方向TDの中央における遅相軸の方向を検知することにより、その延伸光学フィルム30の配向方向を検知できる構成を有している。また、配向角センサー500は、検知された延伸光学フィルム30の配向方向の情報を、制御部に送るように設けられている。
(制御部)
テンター装置10は、図1に図示しない制御部を備える。この制御部は、サーボモーター400の駆動制御を行いうる装置であり、配向角センサー500並びにサーボモーター400に接続されている。具体的には、制御部は、配向角センサー500から延伸光学フィルム30の配向方向の情報を受け取り、その配向方向と後述する制御用情報とに基づいて、サーボモーター400の駆動制御を行う。
この制御部のハードウェア構成に制限はないが、通常は、CPU等のプロセッサ、RAM及びROM等のメモリ、入出力端子等のインターフェースなどで構成されるコンピュータにより構成される。そして、予めメモリ等に記録された処理内容に従って処理を行い、そのコンピュータが制御部の機能を実現しうる構成を有する。
(延伸の仕組み)
本発明の一実施形態に係るテンター装置10は上述したように構成されている。したがって、延伸前フィルム20がテンター装置10に供給されると、テンター装置10の入り口において、その延伸前フィルム20の両端部が把持子121及び221により把持される。その後、両端部を把持子121及び221により把持された状態のまま、延伸前フィルム20はオーブン300内の予熱ゾーン310、延伸ゾーン320及び熱固定ゾーン330を通るように搬送される。この際、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213において把持子121及び221によって幅方向TDに引っ張られるので、延伸前フィルム20が幅方向TDに延伸され、延伸光学フィルム30が得られる。この延伸光学フィルム30は、テンター装置10の出口において把持子121及び221から開放され、テンター装置10の外部へと送り出される。
また、このテンター装置10においては、以下に説明する要領によって、その配向方向が長手方向MDにおいて均一になるように制御が行われる。
(制御用情報の準備)
上述したテンター装置10を用いて長手方向MDにおいて均一な配向方向を有する延伸光学フィルム30を製造する場合、まず、制御用情報の準備を行う。ただし、制御用情報の準備は、延伸光学フィルム30の製造を行うたびに行なう必要は無く、例えば予め制御用情報が判明している場合には省略しても構わない。
本実施形態において制御用情報とは、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で(i)入口側スプロケット130(入口側スプロケットの一方)を入口側スプロケット230(入口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させた場合での、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計と、延伸光学フィルム30の配向方向の変化量Δθとの相関情報である。ここで、本実施形態では、出口側スプロケット140及び240は長手方向MDにおいて位置を固定されているので、出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差は常にゼロとなる。したがって、本実施形態における制御用情報に係る「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計」の値は、「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS」に一致する。そこで、本実施形態では、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSと延伸光学フィルム30の配向方向の変化量Δθとの相関情報を、前記の制御用情報として用いる。この制御用情報は、例えば、以下のようにして準備できる。
制御用情報を準備するにあたり、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、並びに延伸光学フィルム30の配向方向の変化量Δθの符号の設定について説明する。また、これらの移動量の差ΔS及び変化量Δθに係るガイド部材110及び210の移動量Dの符号についても説明する。本実施形態においては、移動量の差ΔS、変化量Δθ、移動量Dというパラメータの相関を把握し易くするために、各パラメータの正負の符号が一致するように設定を行う。ただし、本発明は以下に説明する設定に限定されるものではなく、任意に変更して実施しうる。
図2は、本発明の一実施形態に係るテンター装置10のガイド部材110及び210、入口側スプロケット130及び230、出口側スプロケット140及び240、延伸前フィルム20並びに延伸光学フィルム30を模式的に示す平面図である。
図2に示すように、延伸光学フィルム30が、ある配向方向Xを有する状態を基準状態として、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、延伸光学フィルム30の配向方向の変化量Δθ、並びにガイド部材110及び210の移動量Dの符号を設定する。以下、延伸光学フィルム30が配向方向Xを有する状態における入口側スプロケット130及び230の位置を、適宜「入口側スプロケット基準位置」と呼ぶことがある。また、基準状態における延伸光学フィルム30の配向方向Xを、適宜「基準配向方向」と呼ぶことがある。
図3及び図4は、本発明の一実施形態に係るテンター装置10のガイド部材110及び210、入口側スプロケット130及び230、出口側スプロケット140及び240、延伸前フィルム20並びに延伸光学フィルム30を模式的に示す平面図である。また、図3及び図4において、基準状態におけるガイド部材110及び210、入口側スプロケット130及び230、出口側スプロケット140及び240、延伸前フィルム20並びに延伸光学フィルム30を一点鎖線で示す。
図3又は図4に示すように、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213並びにそれよりも下流の部分を基準状態から移動させた状態を説明する。この場合、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213よりも下流の部分は、通常、幅方向TDに平行に移動する。また、ガイド部材110及び210の移動に伴って、出口側スプロケット140及び240も幅方向TDに移動している。
ガイド部材110及び210の移動量Dについては、図3及び図4において図中上方への移動量Dを正の値で示し、図中下方への移動量Dを負の値で示す。即ち、テンター装置10の入口で下流向きに見て、左向きの移動量Dを正の値で示し、右向きの移動量Dを負の値で示す。
したがって、図3に示すように、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213及びその下流部分が、図中上方に移動した場合、拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の移動量Dは、正の値で示される。
また、図4に示すように、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213及びその下流部分が、図中下方に移動した場合、拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の移動量Dは、負の値で示される。
また、入口側スプロケット130及び230の移動量S130及びS230については、ガイド部材110及び210の移動量Dが正の値となる場合に入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSが正の値となり、ガイド部材110及び210の移動量Dが負の値となる場合に入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSが負の値となるように、符号を設定する。例えば、入口側スプロケット130及び230の下流向きの移動量を正の値で示し、上流向きの移動量を負の値で示す。また、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSは、ΔS=S130−S230で示す。
したがって、図3に示すように、入口側スプロケット130が入口側スプロケット基準位置から下流向きに移動量S130だけ移動し、入口側スプロケット230が入口側スプロケット基準位置から上流向きに移動量S230だけ移動した場合、移動量S130は正の値となり、移動量S230は負の値となり、その差ΔSは正の値となる。具体例を挙げると、入口側スプロケット130が下流向きに1mm移動し、入口側スプロケット230が上流向きに1mm移動した場合は、S130=+1mm、S213=−1mm、ΔS=(+1mm)−(−1mm)=+2mmとなる。
また、図4に示すように、入口側スプロケット130が入口側スプロケット基準位置から上流向きに移動量S130だけ移動し、入口側スプロケット230が入口側スプロケット基準位置から下流向きに移動量S230だけ移動した場合、移動量S130は負の値となり、移動量S230は正の値となり、その差ΔSは負の値となる。具体例を挙げると、入口側スプロケット130が上流向きに1mm移動し、入口側スプロケット230が下流向きに1mm移動した場合は、S130=−1mm、S213=+1mm、ΔS=(−1mm)−(+1mm)=−2mmとなる。
さらに、配向方向の変化量Δθは、延伸前フィルム20の厚み方向の上方から見て、基準配向方向Xに対して半時計回りの向きでなす角度を正の値で示し、時計回りの向きでなす角度を負の値で示す。ただし、この変化量Δθは、−90°<Δθ<+90°である。
したがって、図3に示すように、基準配向方向Xに対して反時計回りに変化量Δθだけ向きが変化した配向方向Xを有する延伸光学フィルム30においては、基準配向方向Xに対する配向方向Xの変化量Δθは正の値となる。
また、図4に示すように、基準配向方向Xに対して時計回りに変化量Δθだけ向きが変化した配向方向Xを有する延伸光学フィルム30においては、基準配向方向Xに対する配向方向Xの変化量Δθは負の値となる。
入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθ、並びにガイド部材110及び210の移動量Dの符号を前記のように設定すると、通常は、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθが正の値であるときに入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS並びにガイド部材110及び210の移動量Dの符号を正にできる。また、通常、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθが負の値であるときに入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS並びにガイド部材110及び210の移動量Dの符号を負にできる。したがって、これらのパラメータΔS、Δθ及びDの符号を同じにできるので、制御の際に各パラメータの相関を把握し易くできる。
制御用情報を準備する際には、テンター装置10に延伸前フィルム20を連続的に供給し、テンター装置10内を搬送される延伸前フィルム20を把持子121及び221によって延伸して、延伸光学フィルム30を連続的に得る。この状態において、延伸光学フィルム30の配向方向Xを配向角センサー500で検知して、基準配向方向Xの情報を得る。この基準状態において、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、並びに、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθは、いずれもゼロである。
その後、延伸前フィルム20の延伸を続けながら、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213並びにそれよりも下流の部分を、幅方向TDにおいて移動させる。ただし、移動の際、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wは、維持した状態とする。
そして、このようにガイド部材110及び210の拡大部113及び213並びにそれよりも下流の部分が移動したときの延伸光学フィルム30の配向方向Xを、配向角センサー500で検知する。また、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213並びにそれよりも下流の部分が移動したときの入口側スプロケット130及び230の移動量S130及びS230を、移動量センサー131及び231で測定する。
その後、これらの得られた情報から、ガイド部材110及び210を移動させた状態での、入口側スプロケット130及び230の基準状態からの相対的な移動量の差ΔS、延伸光学フィルム30の配向方向Xの基準状態からの変化量Δθ、並びにガイド部材110及び210の基準状態からの移動量Dを測定する。これにより、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、並びに、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθの組み合わせの情報が得られる。
通常は、前記のようにガイド部材110及び210を移動させる操作を、ガイド部材110及び210の移動量Dを変えて複数回行う。これにより、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、並びに、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθの組み合わせの情報を、複数組、得ることができる。
こうして得られた入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS、並びに、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθから、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSと、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθとの相関情報を得る。
例えば、移動量の差ΔSの値及び配向方向Xの変化量Δθの値の組み合わせを、移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθをそれぞれ軸にした座標系にプロットし、プロットされた座標を通る関数として、相関情報を得てもよい。具体例としては、移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθの組み合わせの情報が1組である場合は、原点(即ち、ΔS=0且つΔθ=0の点)と、プロットされた1点とを通る直線を引き、この直線を表す一次関数を求めてもよい。すなわち、この一次関数を、相関情報として求めてもよい。
また、例えば、図5に示すように移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθの組み合わせが2組以上であれば、最小二乗法などの近似法により、原点O並びにプロットされた点P1、P2及びP3の座標を一次関数等の関数に近似してもよい。ここで、図5は、本発明の一実施形態において、移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθの組み合わせをプロットした座標系の一例を表す図である。この図5に示す例においては、原点O、並びに点P1、P2及びP3が直線Lで表される一次関数で近似されている。
また、前記の移動量の差ΔS及び配向方向Xの変化量Δθの値として、実測値そのものではなく、例えば21点平均値等のような、複数の実測値の平均値を用いてもよい。実測値自体は様々な要因によりノイズを含む可能性があるが、その実測値の平均値から前記の相関情報を得るようにすればノイズの影響を下げることができるので、相関情報の信頼性を高めることができる。具体的には、共通の移動量Dに対応した複数の移動量の差ΔSの値の平均値を用いて相関情報を得たり、共通の移動量Dに対応した複数の配向方向Xの変化量Δθの値の平均値を用いて相関情報を得たりしてもよい。
前記のようにして得られた相関情報は、制御用情報として、制御部に記録される。そして、この制御用情報を用いて、以下に説明するように、長手方向MDにおいて高い精度で均一な配向方向Xを有する延伸光学フィルム30の製造が行われる。
(延伸光学フィルムの製造)
本発明の一実施形態に係るテンター装置10による延伸光学フィルム30の製造方法では、図1に示すように、テンター装置10に延伸前フィルム20を連続的に供給し、テンター装置10内を搬送する延伸前フィルム20を把持子121及び221によって延伸する。これにより、延伸した方向にフィルム内の分子が配向して、延伸光学フィルム30が連続的に得られる。得られた延伸光学フィルム30は、テンター装置10の外部に連続的に送出される。
本実施形態に係る延伸光学フィルム30の製造方法では、得られた延伸光学フィルム30の配向方向Xを、配向角センサー500によって検知する工程(I)を行う。検知された配向方向Xの情報は、制御部に送られる。
配向角センサー500から送られた配向方向Xの情報を受け取ると、制御部は、検知された延伸光学フィルム30の配向方向X及び制御用情報に基づいて、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で、(i)入口側スプロケット130(入口側スプロケットの一方)を入口側スプロケット230(入口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させる工程(II)を行う。
具体的には、制御部は、配向角センサー500から送られた延伸光学フィルム30の配向方向Xの情報を受け取ると、その配向方向Xと、製品に求められる所望の配向方向との角度差を計算する。その後、制御部は、この角度差を打ち消すために求められる延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθを計算する。具体的には、前記の角度差に−1を掛けた値として、変化量Δθを計算する。
そして、制御部は、この変化量Δθに対応する入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔSを、制御用情報から求める。その後、制御部は、このように求められた移動量の差ΔSが得られるように、サーボモーター400を駆動して、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213並びにそれよりも下流の部分を幅方向TDにおいて移動させる。この際、ガイド部材110及び210の拡大部113及び213の下流端部116及び216も移動し、その下流端部116及び216の幅方向TDにおける位置は変更される。ただし、この際でも、延伸前フィルム20の延伸倍率を一定に保つため、拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の間の間隔Wは維持する。
このようにガイド部材110及び210を移動させると、ガイド部材110及び210の形状が変化するので、その形状の変化に追従して入口側スプロケット130及び230が長手方向MDにおいて移動する。これにより、所望の移動量の差ΔSが得られる。そのため、得られる延伸光学フィルム30において配向方向Xのズレが矯正され、所望の配向方向Xを有する延伸光学フィルム30が得られる。
前記の工程(I)及び工程(II)は、通常、延伸光学フィルム30の製造中に繰り返し行う。一般に、テンター装置10を用いた製造方法では、長尺の延伸前フィルム20を用いてロールトゥロールにより長尺の延伸光学フィルム30を連続的に製造する。したがって、前記の工程(I)及び工程(II)を繰り返し行うことにより、長尺の延伸光学フィルム30を製造する場合であっても、経時的に生じる配向方向Xのズレを繰り返し矯正できる。そのため、上述した製造方法により、長手方向MDにおいて高い精度で均一な配向方向Xを有する延伸光学フィルム30を、容易に製造することができる。
また、上述した実施形態においては、テンター装置10の「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計(本実施形態では、「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS」の値に一致する)」に基づいて、長手方向MDにおける延伸光学フィルム30の配向方向Xのズレを矯正する制御を行っている。入口側スプロケット130及び230を長手方向MDに移動させた場合の「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差ΔS及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計」は、配向方向Xの変化量Δθと高い相関を有するので、前記のように、高い精度での配向方向Xのズレの矯正を容易に行うことが可能となっている。
さらに、上述した実施形態に係る製造方法によれば、長手方向MDにおける延伸光学フィルム30の配向方向Xのズレを容易に矯正できるので、配向方向Xのズレの矯正に要する時間を短縮できる。したがって、延伸光学フィルム30の製造効率を高めることができる。
また、特許文献1のように、把持子に移動速度差をつけたり、把持子による把持開始位置又は把持終了位置に差をつけたりする必要が無いので、延伸位相差フィルムの破断、シワ及び蛇行の発生を防止することができる。
上述した実施形態に係る製造方法は、幅方向に平行な配向方向Xを有する延伸光学フィルム30の製造に用いて好適である。したがって、前記の工程(II)では、配向角センサー500で検知された配向方向Xと製品に求められる所望の配向方向との角度差を打ち消すために求められる延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθを計算する際、所望の配向方向として延伸光学フィルム30の幅方向に平行な方向を設定することが好ましい。よって、本実施形態に係る工程(II)においては、検知された延伸光学フィルム30の配向方向Xと延伸光学フィルム30の幅方向TDとがなす角度が平行に近づくように、(i)入口側スプロケットの一方を入口側スプロケットの他方に対して相対的に移動させることが好ましい。
(変形例)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は更に変更して実施してもよい。
上述した実施形態では、入口側スプロケット130及び230を長手方向MDにおいて可動に設け、出口側スプロケット140及び240を長手方向MDにおいて位置を固定した。これに対し、例えば、第一の変形例として、上述した実施形態において入口側スプロケット130及び230を長手方向MDにおいて位置を固定し、出口側スプロケット140及び240を長手方向MDにおいて可動に設けてもよい。
すなわち、出口側スプロケット140及び240をいずれも長手方向MDにおいて移動可能に設け、入口側スプロケット130及び230をいずれも長手方向MDにおいて位置を固定して、且つ、工程(II)において、検知された延伸光学フィルム30の配向方向X及び制御用情報に基づいて、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で、(ii)出口側スプロケット140(出口側スプロケットの一方)を出口側スプロケット240(出口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させてもよい。
ただし、この場合、制御用情報として、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で(ii)出口側スプロケット140(出口側スプロケットの一方)を出口側スプロケット240(出口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させた場合での、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計と、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθとの相関情報を用いる。ここで、入口側スプロケット130及び230は長手方向MDにおいて位置を固定されているのであるから、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差は常にゼロとなる。したがって、この場合には、制御用情報に係る「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計」の値は、「出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差」に一致する。
また、この場合、各パラメータの正負の符号が一致するように設定を行ってパラメータの相関を把握し易くするために、出口側スプロケット140及び240の移動量については、ガイド部材110及び210の移動量Dが正の値となる場合に出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差が正の値となり、ガイド部材110及び210の移動量Dが負の値となる場合に出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差が負の値となるように、符号を設定することが好ましい。例えば、出口側スプロケット140及び240の上流向きの移動量を正の値で示し、下流向きの移動量を負の値で示し、出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差を、出口側スプロケット140の移動量S140と出口側スプロケット240の移動量S240との差S140−S240で示してもよい。
さらに、この際、出口側スプロケット140及び240は、図示しない押圧装置によって下流向きに押圧されていることにより、テンターチェーン120及び220に所定の張力を与えることができるように設けられていることが好ましい。また、出口側スプロケット140及び240には、出口側スプロケット140及び240の長手方向MDにおける移動量を測定しうる移動量センサーを設けることが好ましい。
このような構成で延伸光学フィルム30を製造した場合、出口側スプロケット140及び240を長手方向MDに移動させたときの「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計(ここで説明する例では、「出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差」の値に一致する)」と「延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθ」との間の高度な相関を利用して、上述した実施形態と同様に、長手方向MDにおいて高い精度で均一な配向方向Xを有する延伸光学フィルム30を、容易に製造することができる。さらに、上述した実施形態と同様の利点を得ることが可能である。
さらに、このように出口側スプロケット140及び240を長手方向MDにおいて可動に設けた場合、幅方向に平行な配向方向Xを有する延伸光学フィルムの製造に好適に用いうる。よって、この場合、工程(II)においては、検知された延伸光学フィルム30の配向方向Xと延伸光学フィルム30の幅方向TDとがなす角度が平行に近づくように、(ii)出口側スプロケットの一方を出口側スプロケットの他方に対して延伸前フィルム30の長手方向MDにおいて相対的に移動させることが好ましい。
また、例えば、第二の変形例として、上述した実施形態において入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240の両方を長手方向MDにおいて可動に設けてもよい。
すなわち、入口側スプロケット130及び230をいずれも長手方向MDにおいて移動可能に設け、出口側スプロケット140及び240をいずれも長手方向MDにおいて移動可能に設け、且つ、工程(II)において、検知された延伸光学フィルム30の配向方向X及び制御用情報に基づいて、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で、(iii)入口側スプロケット130(入口側スプロケットの一方)を入口側スプロケット230(入口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させ、且つ、出口側スプロケット140(出口側スプロケットの一方)を出口側スプロケット240(出口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させてもよい。
ただし、この場合、制御用情報として、拡大部113及び213の下流端部116及び216における一対のガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態で(iii)入口側スプロケット130(入口側スプロケットの一方)を入口側スプロケット230(入口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させ、且つ、出口側スプロケット140(出口側スプロケットの一方)を出口側スプロケット240(出口側スプロケットの他方)に対して長手方向MDにおいて相対的に移動させた場合での、入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計と、延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθとの相関情報を用いる。
このような構成で延伸光学フィルム30を製造した場合、入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240を長手方向MDに移動させたときの「入口側スプロケット130及び230の相対的な移動量の差及び出口側スプロケット140及び240の相対的な移動量の差の合計」と「延伸光学フィルム30の配向方向Xの変化量Δθ」との間の高度な相関を利用して、上述した実施形態と同様に、長手方向MDにおいて高い精度で均一な配向方向Xを有する延伸光学フィルム30を、容易に製造することができる。さらに、上述した実施形態と同様の利点を得ることが可能である。
さらに、このように入口側スプロケット130及び230並びに出口側スプロケット140及び240の両方を長手方向MDにおいて可動に設けた場合、幅方向に平行な配向方向Xを有する延伸光学フィルムの製造に好適に用いうる。よって、この場合、工程(II)においては、検知された延伸光学フィルム30の配向方向Xと延伸光学フィルム30の幅方向TDとがなす角度が平行に近づくように、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させることが好ましい。
また、例えば、前記の工程(I)及び工程(II)の制御を、制御部によって行うのではなく、人が行ってもよい。
[2.延伸前フィルム]
次に、本発明に係る延伸前フィルムの好ましい例を、より具体的に説明する。
延伸前フィルムとしては、通常、熱可塑性樹脂フィルムを用いる。熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂で形成された層を少なくとも1層備えるフィルムを意味する。熱可塑性樹脂の例としては、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、セルロースエステル樹脂、及びアクリル樹脂等が挙げられる。中でも、液晶表示装置等の表示装置用のフィルムに求められる機械特性、耐熱性、透明度といった品質をバランス良く満たしている観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、脂環式ポリオレフィン樹脂が特に好ましい。
脂環式ポリオレフィン樹脂は、主鎖及び側鎖の片方又は両方に脂環式構造を有する脂環式ポリオレフィン重合体を含む樹脂である。脂環式構造としては、例えば飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられる。中でも、機械強度及び耐熱性の観点から、シクロアルカン構造及びシクロアルケン構造が好ましく、シクロアルカン構造が特に好ましい。
脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、一つの脂環式構造あたり、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。脂環式構造を構成する炭素原子数が前記の範囲に収まる場合に、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性等の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式ポリオレフィン重合体における、脂環式構造を有する構造単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択してもよく、好ましくは55重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式ポリオレフィン重合体における脂環式構造を有する構造単位の割合を前記の範囲に収めることにより、延伸光学フィルムの透明性及び耐熱性を良好にできる。
脂環式ポリオレフィン重合体としては、例えば、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び、これらの水素化物等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン系重合体は、透明性と成形性が良好なため、好ましい。
ノルボルネン系重合体としては、例えば、ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との開環重合体、又はそれらの水素化物;ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、若しくはノルボルネン構造を有する単量体と任意の単量体との付加重合体、又はそれらの水素化物;等を挙げることができる。これらの中で、ノルボルネン構造を有する単量体の開環(共)重合体水素化物は、透明性、成形性、耐熱性、低吸湿性、寸法安定性、軽量性などの観点から、特に好適に用いることができる。ここで(共)重合体とは、重合体及び共重合体のことをいう。
ノルボルネン構造を有する単量体としては、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン)、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、およびこれらの化合物の誘導体(例えば、環に置換基を有するもの)などを挙げることができる。ここで、置換基としては、例えば、アルキル基、アルキレン基、極性基などを挙げることができる。また、これらの置換基は、同一または相異なって複数個が環に結合していてもよい。さらに、ノルボルネン構造を有する単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
前記の極性基の種類としては、例えば、ヘテロ原子、またはヘテロ原子を有する原子団などが挙げられる。ヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、ハロゲン原子などが挙げられる。極性基の具体例としては、カルボキシル基、カルボニルオキシカルボニル基、エポキシ基、ヒドロキシル基、オキシ基、エステル基、シラノール基、シリル基、アミノ基、ニトリル基、スルホン基などが挙げられる。
ノルボルネン構造を有する単量体と開環共重合可能な任意の単量体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等のモノ環状オレフィン類及びその誘導体;シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン等の環状共役ジエン及びその誘導体;などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との開環共重合体は、例えば、単量体を公知の開環重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体と付加共重合可能な任意の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエン;などが挙げられる。これらの単量体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、α−オレフィンが好ましく、エチレンがより好ましい。
ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体、及び、ノルボルネン構造を有する単量体と共重合可能な任意の単量体との付加共重合体は、例えば、単量体を公知の付加重合触媒の存在下に重合することにより得ることができる。
ノルボルネン構造を有する単量体の開環重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体とこれと開環共重合可能な任意の単量体との開環共重合体の水素添加物、ノルボルネン構造を有する単量体の付加重合体の水素添加物、およびノルボルネン構造を有する単量体とこれと共重合可能な任意の単量体との付加重合体の水素添加物は、これらの重合体の溶液に、例えば、ニッケル、パラジウム等の遷移金属を含む公知の水素添加触媒を混合して、炭素−炭素不飽和結合を好ましくは90%以上水素添加することによって、得ることができる。
ノルボルネン系重合体の中でも、構造単位として、X:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,4−ジイル−エチレン構造と、Y:トリシクロ[4.3.0.12,5]デカン−7,9−ジイル−エチレン構造とを有し、これらの構造単位の含有量が、ノルボルネン系重合体の構造単位全体に対して90重量%以上であり、かつ、Xの含有割合とYの含有割合との比が、X:Yの重量比で100:0〜40:60であるものが好ましい。このようなノルボルネン系重合体を用いることにより、長期的に寸法変化がなく、光学特性の安定性に優れる延伸光学フィルムを得ることができる。
脂環式ポリオレフィン重合体の分子量は、使用目的に応じて適宜選定されうる。脂環式ポリオレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは15,000以上、特に好ましくは20,000以上であり、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。重量平均分子量がこのような範囲にあるときに、延伸光学フィルムの機械的強度及び成型加工性が高度にバランスされ、好適である。ここで、前記の重量平均分子量は、溶媒としてシクロヘキサン(試料である重合体が溶解しない場合はトルエン)を用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定した、ポリイソプレン又はポリスチレン換算の値である。
また、脂環式ポリオレフィン重合体の分子量分布(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.1以上、特に好ましくは1.2以上であり、好ましくは10.0以下、より好ましくは4.0以下、特に好ましくは3.5以下である。分子量分布を前記範囲の下限値以上にすることにより、重合体の生産性を高めてコストを下げることができる。また、上限値以下にすることにより、低分子成分の量を抑制して緩和時間の短い成分を減らすことができるので、高温曝露時の配向緩和を低減させることが可能となる。
延伸前フィルムを構成する樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない限り、上述した重合体以外に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分の例を挙げると、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、強化剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填剤、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止剤、および抗菌剤などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。ただし、任意の成分の量は本発明の効果を損なわない範囲であり、重合体100重量部に対して、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは20重量部以下、特に好ましくは10重量部以下である。また、下限はゼロである。
延伸前フィルムを構成する樹脂のガラス転移温度は、使用目的に応じて適宜選択されうるものであり、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、また、好ましくは250℃以下である。ガラス転移温度がこのような範囲にある樹脂のフィルムは、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
延伸前フィルムを構成する樹脂の光弾性係数Cの絶対値は、10×10−12Pa−1以下であることが好ましく、7×10−12Pa−1以下であることがより好ましく、4×10−12Pa−1以下であることが特に好ましい。ここで光弾性係数Cとは、複屈折をΔn、応力をσとしたとき、「C=Δn/σ」で表される値である。樹脂の光弾性係数Cの絶対値を前記の範囲に収めることにより、延伸光学フィルムの面内レターデーションのバラツキを小さくできる。
延伸前フィルムは、1層のみを備える単層構造のフィルムであってもよく、2層以上の層を備える複層構造のフィルムであってもよい。
また、延伸前フィルムは、延伸処理を全く施されていないフィルムであってもよく、既に延伸処理を施されたフィルムであってもよい。例えば、長尺方向に延伸処理を施された縦延伸フィルムを延伸前フィルムとして用いてもよい。この縦延伸フィルムを上述した実施形態に係るテンター装置で幅方向に延伸することにより、長手方向において遅相軸が高い精度で均一な二軸延伸フィルムを延伸光学フィルムとして製造することが可能である。
[3.延伸条件]
延伸前フィルムを延伸する際の延伸条件は、目的とする延伸光学フィルムに求められる特性に応じて任意に設定しうる。
例えば、延伸温度は、延伸前フィルムを形成する樹脂のガラス転移温度をTgとして、Tg〜Tg+30℃であることが好ましく、Tg〜Tg+20℃であることがより好ましい。ここで、延伸温度とは、オーブン等の加熱装置の設定温度を意味する。
また、例えば延伸倍率は、好ましくは1.05倍以上、より好ましくは1.10倍以上、特に好ましくは1.30倍以上であり、好ましくは10.0倍以下、より好ましくは5.0倍以下、特に好ましくは2.0倍以下である。
さらに、延伸速度は、好ましくは2.0倍/分以上、より好ましくは2.5倍/分以上、特に好ましくは3.0倍/分以上であり、好ましくは5.0倍/分以下、より好ましくは4.5倍/分以下、特に好ましくは4.0倍/分以下である。延伸速度を前記範囲の下限値以上にすることにより、生産性を向上させることができる。また、上限値以下にすることにより、レターデーションのバラツキを低減することができる。
延伸前フィルムを延伸する前に予熱処理を施す場合、予熱処理の温度は、好ましくは「延伸温度−40℃」以上、より好ましくは「延伸温度−30℃」以上であり、好ましくは「延伸温度+20℃」以下、より好ましくは「延伸温度+15℃」以下である。
延伸光学フィルムを得た後に熱固定処理を施す場合、熱固定処理の温度は、好ましくは室温以上、より好ましくは「延伸温度−40℃」以上であり、好ましくは「延伸温度+30℃」以下、より好ましくは「延伸温度+20℃」以下である。
[4.延伸光学フィルム]
本発明の製造方法により得られる延伸光学フィルムは、通常、面内に遅相軸を有する。また、この延伸光学フィルムが有する遅相軸の方向は、延伸光学フィルムの長手方向において高い精度で均一になっている。具体的には、延伸光学フィルムの幅方向中央部での遅相軸の方向の変動は、その延伸光学フィルムの長手方向において、好ましくは±0.5°以内、より好ましくは±0.3°以内、さらに好ましくは±0.1°以内に収まっている。
また、テンター装置によって幅方向に延伸されるので、通常、延伸光学フィルムの配向方向は、その延伸光学フィルムの幅方向に平行になっている。
延伸光学フィルムの面内レターデーションReに制限は無いが、好ましくは15nm以上、より好ましくは30nm以上であり、また、好ましくは400nm以下、より好ましくは350nm以下である。
延伸光学フィルムの全光線透過率は、85%以上であることが好ましい。前記光線透過率は、JIS K0115に準拠して、分光光度計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計「V−570」)を用いて測定しうる。
延伸光学フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。ここで、ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、日本電色工業社製「濁度計 NDH−300A」を用いて、5箇所測定し、それから求めた平均値を採用しうる。
延伸光学フィルムの厚みに制限は無いが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、好ましくは150μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
延伸光学フィルムの幅に制限は無いが、好ましくは150mm以上、より好ましくは500mm以上、さらに好ましくは1000mm以上であり、好ましくは3000mm以下、より好ましくは2500mm以下である。
延伸光学フィルムの用途に制限は無く、任意の光学用途に適用しうる。また、延伸光学フィルムは、それ単独で用いてもよく、他の任意の部材と組み合わせて用いてもよい。
例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、FED(電界放出)表示装置、SED(表面電界)表示装置等の表示装置用の光学補償フィルムとして用いてもよい。
また、例えば、延伸光学フィルムを、偏光子の保護フィルムとして用いてもよい。
さらに、例えば、延伸光学フィルムを位相差フィルムとして円偏光フィルムとを組み合わせて、輝度向上フィルムを得てもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。さらに、以下の実施例、比較例及び参考例における入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔS、延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθ、及びガイド部材の移動量Dの符号は、上述した実施形態と同様に設定した。
[参考例1]
(未延伸フィルムの製造)
ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製「ZEONOR1430」;ガラス転移温度136℃)のペレットを110℃で5時間乾燥した。その後、このペレットを単軸押出機に供給し、250℃で溶融してTダイからキャスティングドラム上にシート状に押出した。押し出された樹脂は冷却され、厚み80μmの長尺の未延伸フィルムを得た。
(縦延伸)
この未延伸フィルムを、そのまま長手方向に連続して搬送し、調整ロール間でのフロート方式を用いた縦延伸機に供給した。この縦延伸機において、未延伸フィルムを140℃の温度で長手方向に1.15倍に延伸して、縦延伸フィルムを得た。この縦延伸フィルムは巻き取って、ロール状にした。
(横延伸)
得られたロールから縦延伸フィルムを引き出し、引き出した縦延伸フィルムを延伸前フィルムとして、上述した実施形態にて説明したのと同様の構造を有するテンター装置(図1参照)に供給した。このテンター装置において、縦延伸フィルムを幅方向に延伸して、延伸光学フィルムとして二軸延伸フィルムを得た。
すなわち、オーブンの手前のテンター装置の入口付近にて、ロールから送られてくる縦延伸フィルムの両端部を、把持子によって把持した。この際、把持子は、クリップクローザーを用いることで、縦延伸フィルムの両端部を把持した。
次いで、把持子によって両端部を把持された状態で、縦延伸フィルムをオーブン内の予熱ゾーン、延伸ゾーン及び熱固定ゾーンを通過するように搬送した。これにより、縦延伸フィルムは加熱され且つ幅方向に延伸されて、二軸延伸フィルムが得られた。
前記の幅方向への延伸の際、フィルム移動速度は10m/分とした。また、オーブンの温度は140℃とした。また、幅方向への延伸倍率は1.5倍とした。この延伸倍率の値は、テンター装置の出口における把持子間の間隔を、入口における把持子間の間隔で除した値である。これにより、幅2000mmの二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムは、ロール状に巻き取った。
前記のように二軸延伸フィルムの製造を続けながら、拡大部113及び213の下流端部116及び216におけるガイド部材110及び210の間の間隔Wを維持した状態でレールジョイントの位置を経時で移動させることにより、ガイド部材の拡大部及びその下流部分を移動させた。この際、1回の移動による、拡大部の下流端部におけるガイド部材の移動量Dの大きさ(即ち、移動量Dの絶対値)は10mmとした。この際の移動量Dをグラフで表すと、図6のようになる。ここで、図6は、参考例において測定開始時点を基準状態としたときの、拡大部の下流端部におけるガイド部材の移動量Dを表すグラフである。
この際、拡大部の下流端部におけるガイド部材の移動量Dは、レールジョイントを移動させるサーボモーターのサーボアンプの出力から、サーボモーターの回転角を得ることによって、測定した。また、移動量Dの測定速度は1Hz(即ち、1.0秒毎)で行った。測定は12000秒行ったため、移動量Dのサンプリング点数は12000点であった。
また、前記のガイド部材の移動量Dを測定している期間は、二軸延伸フィルムの幅方向中央部における配向方向の変化量Δθと、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSも測定した。本参考例では、出口側スプロケットは長手方向MDにおいて位置を固定されているので、出口側スプロケットの相対的な移動量の差は常にゼロとなる。したがって、本例における制御用情報に係る「入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計」の値は、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSに一致する。そこで、本例では、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関情報を、制御用情報として用いる。
配向方向の変化量Δθは、次の要領で測定した。二軸延伸フィルムの幅方向中央部を測定できる位置に、平行ニコル回転法による位相差計(王子計測機器社製「KOBRA−WIST−IE」)を設置した。この位相差計を用いて、二軸延伸フィルムの配向方向をインラインで測定した。配向方向の測定速度は、10Hz(即ち、0.1秒毎)で行った。したがって、配向方向のサンプリング点数は120000点であった。測定された配向方向と、測定開示時点における配向方向(即ち、基準配向方向)との差を計算し、配向方向の変化量の実測値を求めた。さらに、この実測値の21点移動平均値を算出し、この21点移動平均値を、配向方向の変化量Δθとして採用した。
入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSは、次の要領で測定した。
接触式変位センサー(キーエンス社製「GT2−H50」)を用いて、フィルム搬送路の両側に設けられた2つの入口側スプロケットの測定開始時点における位置(即ち、入口側スプロケット基準位置)からの移動量をそれぞれ測定した。この移動量の測定速度は、10Hz(0.1秒毎)で行った。したがって、入口側スプロケットの移動量のサンプリング点数は120000点であった。測定した2つの入口側スプロケットの移動量の差を計算し、入口側スプロケットの相対的な移動量の差の実測値を求めた。さらに、この実測値の21点移動平均値を算出し、この21点移動平均値を、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSとして採用した。
(ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関の分析)
前記のようにして測定したガイド部材の移動量Dと、その移動量Dを有する状態のテンター装置によって延伸された部分における二軸延伸フィルムの配向方向の変化量Δθとを対応させた。すなわち、ガイド部材の拡大部の下流端部と配向角センサーとしての位相差計とが離れていることを考慮して、ある測定時点におけるガイド部材の移動量Dと、そのガイド部材の拡大部の下流端部から位相差計までフィルムが走行するのに要する時間だけ前記測定時点よりも後の時点において位相差計で測定された配向方向の変化量Δθとを対応させた。この際、ガイド部材の移動量Dの測定間隔は1.0秒毎であり、配向方向の測定間隔は0.1秒毎である。そのため、ガイド部材の移動量Dのデータ点数と配向方向の変化量Δθのデータ点数とはそのまま一致しないので、データ点数が多い方のデータを間引きして、両者を1対1で対応させた。
こうして対応させたガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθを、ガイド部材の移動量Dを横軸とし、配向方向の変化量Δθを縦軸とした座標系にプロットした。そして、最小二乗法によって、プロットした点に対して回帰直線を計算した。これにより、この回帰直線で表される関数として、ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関情報を得た。計算の結果、ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの間には正の相関があることが分かった。また、得られた相関情報から、ガイド部材の移動量Dの値1mmあたり、配向方向の変化量Δθは0.01°となることが判明した。
また、対応させたガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとから、両者の相関係数の二乗R及び相関係数Rを計算した。その結果、ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関係数の二乗Rはおよそ0.723であり、相関係数Rは0.850であった。
(入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの相関の分析)
前記のようにして測定した入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと、その移動量の差ΔSを有する状態のテンター装置によって延伸された部分における二軸延伸フィルムの配向方向の変化量Δθとを対応させた。すなわち、ガイド部材の拡大部の下流端部と配向角センサーとしての位相差計とが離れていることを考慮して、ある測定時点における入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと、ガイド部材の拡大部の下流端部から位相差計までフィルムが走行するのに要する時間だけ前記測定時点よりも後の時点において位相差計で測定された配向方向の変化量Δθとを対応させた。
こうして対応させた入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθを、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSを横軸とし、配向方向の変化量Δθを縦軸とした座標系にプロットした。そして、最小二乗法によって、プロットした点に対して回帰直線を計算した。これにより、この回帰直線で得られる関数として、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの相関情報を得た。計算の結果、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの間には正の相関があることが分かった。また、得られた相関情報から、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSの値1mmあたり、配向方向の変化量Δθは0.25°となることが判明した。
また、対応させた入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとから、両者の相関係数の二乗R及び相関係数Rを計算した。その結果、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの相関係数の二乗Rはおよそ0.881であり、相関係数Rは0.939であった。
(相関係数の比較)
一般に、2群のパラメータの相関係数が0を超えて1以下のとき、そのパラメータは正の相関を有する。また、2群のパラメータの相関係数が0未満−1以上のとき、両者は負の相関を有する。さらに、相関係数の絶対値が大きいほど、それらのパラメータの相関が強い。
前述のように、ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関係数Rは0.850であり、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの相関係数Rは0.939であった。したがって、配向方向の変化量Δθに対する相関は、ガイド部材の移動量Dよりも入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSの方が強いことが分かる。よって、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSを調整することにより、配向方向の変化量Δθを精密に制御できることが確認された。
[比較例1]
拡大部の下流端部におけるガイド部材間の間隔を維持した状態で、前記の参考例1で求めたガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関情報に基づいて拡大部の下流端部におけるガイド部材の移動量Dを調整することによって配向方向を長手方向で均一にするように制御を行いながら、参考例1と同様のテンター装置により二軸延伸フィルムを製造した。製造中、得られた二次延伸フィルムの幅方向中央部における配向方向の測定を、参考例1と同様の方法で行った。これにより、120000点の配向方向のデータ群を得た。さらに、この120000点の配向方向の測定値の21点移動平均値を算出し、二軸延伸フィルムの配向方向とした。測定された120000点の配向方向は、その配向方向が二次延伸フィルムの幅方向に対してなす角度(以下、適宜「配向角」ということがある。)で表した。
こうして求めた配向角のバラツキを計算した。ここで配向角のバラツキとは、120000点の配向角の最大値と最小値との差を意味する。配向角のバラツキは、二軸延伸フィルムの配向角の調整精度を表す。したがって、配向角のバラツキが小さいほど、長手方向においてより高い精度で均一な配向方向を有する二軸延伸フィルムが得られていることを表し、好ましい。
[実施例1]
拡大部の下流端部におけるガイド部材間の間隔を維持した状態で、前記の参考例1で求めた入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSと配向方向の変化量Δθとの相関情報に基づき入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSを調整することによって配向方向を長手方向で均一にするように制御を変更したこと以外は、比較例1と同様にして二軸延伸フィルムを製造し、配向角のバラツキを計算した。
[実施例及び比較例の結果]
実施例及び比較例で求めた配向角のバラツキを、下記の表1に示す。
Figure 0006070354
[検討]
参考例1から分かるように、ガイド部材の移動量Dは、延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関が低い。これは、テンター装置のレールジョイントと当該レールジョイントを移動させるためのサーボモーターとの間に設けられたネジ及びボルト等の接続具の、おねじとめねじの間に形成されるねじ山間の微小な隙間の影響により、ガイド部材の移動量Dと配向方向の変化量Δθとの相関が弱くなっているためと推察される。
特に、延伸光学フィルムに要求される配向方向の均一さの精度は、通常±数°以下と高度である。そのため、調整のために求められるガイド部材の移動量Dは、通常は数ミリメートル程度の範囲に収まる。また、更にその範囲で制御の精密さを高めようとすれば、ガイド部材の移動量Dの調整には、例えば数百マイクロメートル単位という高い精度が要求されることが多い。しかしながら、ガイド部材の移動量Dは、延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関が低いので、ガイド部材の移動量Dと延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関情報に基づいて制御を行っても、必ずしも配向方向が高い精度で均一な延伸光学フィルムは得られなかった。このため、従来は、熟練者が移動量Dを調整しながらガイド部材を移動させることによって延伸光学フィルムの配向方向を均一にするべく制御を行なおうとしても、数百マイクロメートル程度の調整を多数の回数にわたって繰り返し行うことになっていた。そのため、調整に例えば数時間から数十時間を要し、効率が悪かった。
これに対し、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計は、延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関が高い。したがって、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と配向方向の変化量Δθとの相関情報に基づいて制御を行うことにより、延伸光学フィルムの配向方向を高い精度で均一にでき、しかもその制御が容易である。この場合、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計の調整に高い精度が要求されるが、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と延伸光学フィルムの配向方向の変化量Δθとの相関が強いため、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計を適切に調整すれば、繰り返し調整を行う必要は無い。そのため、制御には通常数分から数十分という短い時間しか掛からないので、効率を改善できる。
このような利点は、前記の実施例1及び比較例1から裏付けられる。表1から分かるように、実施例1においては、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSに基づいて制御を行うことにより、配向角のバラツキが小さい延伸光学フィルムが得られた。これは、実施例1で行った制御による配向角の再現精度が高いことを表す。また、実施例1では出口側スプロケットの長手方向MDにおける位置を固定しているので、出口側スプロケットの相対的な移動量の差がゼロとなる。そのため、入口側スプロケットの相対的な移動量の差ΔSは、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計の値と一致する。よって、実施例1から、入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計に基づく制御によれば、二軸延伸フィルムの配向方向を高い精度で制御できることが確認された。
また、実施例1の技術によれば、このように二軸延伸フィルムの配向方向を高い精度で制御できるので、比較例1に示す技術と比べて、より短時間で配向方向の調整作業を終えることを可能になることが分かる。この作業時間について発明者が実機にて検討したところ、比較例1のような技術では60分〜600分程度を要していた配向方向の調整作業が、実施例1のような技術では5分〜15分程度に短縮することができた。
10 テンター装置
20 延伸前フィルム
30 延伸光学フィルム
110,210 ガイド部材
111,211 ガイドレール
112,212 レールジョイント
113,213 ガイド部材の拡大部
114,214 ガイド部材の往路部分
115,215 ガイド部材の復路部分
116,216 ガイド部材の拡大部の下流端部
120,220 テンターチェーン
121,221 把持子
130,230 入口側スプロケット
131,231 移動量センサー
140,240 出口側スプロケット
300 オーブン
310 予熱ゾーン
320 延伸ゾーン
330 熱固定ゾーン
340 仕切り板
400 サーボモーター
500 配向角センサー

Claims (4)

  1. テンター装置により長尺の延伸前フィルムを延伸して延伸光学フィルムを製造する、延伸光学フィルムの製造方法であって、
    前記テンター装置が、前記延伸前フィルムの搬送路の両側に設けられた一対のガイド部材と、前記ガイド部材に沿って移動しうる把持子を備えた無端状のテンターチェーンと、前記テンターチェーンの上流端部に設けられた入口側スプロケットと、前記テンターチェーンの下流端部に設けられた出口側スプロケットとを備え、
    前記ガイド部材が、下流ほど一対の前記ガイド部材間の間隔が広くなる拡大部を有し、
    前記入口側スプロケット、前記出口側スプロケット、又は、前記入口側スプロケット及び前記出口側スプロケットの両方が、前記延伸前フィルムの長手方向において移動可能であり、
    前記製造方法が、
    前記延伸光学フィルムの配向方向を検知する工程(I)と、
    検知された前記延伸光学フィルムの配向方向及び制御用情報に基づいて、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の前記延伸光学フィルムの幅方向における距離を維持した状態で、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させる工程(II)とを有し、
    前記制御用情報が、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の前記延伸光学フィルムの幅方向における距離を維持した状態で(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させた場合での、前記入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び前記出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と、前記延伸光学フィルムの配向方向の変化量との相関情報である、延伸光学フィルムの製造方法。
  2. 前記入口側スプロケットが、いずれも前記延伸前フィルムの長手方向において移動可能であり、
    前記出口側スプロケットが、いずれも前記延伸前フィルムの長手方向において位置を固定されていて、
    前記工程(II)において、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ、
    前記制御用情報が、前記拡大部の下流端部における前記一対のガイド部材の間の前記延伸光学フィルムの幅方向における距離を維持した状態で(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させた場合での、前記入口側スプロケットの相対的な移動量の差及び前記出口側スプロケットの相対的な移動量の差の合計と、前記延伸光学フィルムの配向方向の変化量との相関情報である、請求項1記載の延伸光学フィルムの製造方法。
  3. 前記工程(II)において、検知された前記延伸光学フィルムの配向方向と前記延伸光学フィルムの幅方向とが平行に近づくように、(i)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、(ii)前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させるか、または、(iii)前記入口側スプロケットの一方を前記入口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させ且つ前記出口側スプロケットの一方を前記出口側スプロケットの他方に対して前記延伸前フィルムの長手方向において相対的に移動させる、請求項1又は2記載の延伸光学フィルムの製造方法。
  4. 前記ガイド部材の前記拡大部の下流端部が、前記延伸前フィルムの幅方向において移動可能であり、
    前記工程(II)において、前記ガイド部材の前記拡大部の下流端部の前記延伸前フィルムの幅方向における位置を変更することを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の延伸光学フィルムの製造方法。
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