JP6067270B2 - 乾式紡糸方法 - Google Patents

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Description

本発明は、揮発性溶剤に原料重合体を溶解させた重合体溶液を多数の微細な吐出孔を有する紡糸口金から吐出し、加熱気体中で紡糸原液中の溶剤を蒸発させて重合体を繊維状に固化する乾式紡糸方法に関する。
従来から、例えばアセテート繊維の乾式紡糸方法において、吐出孔が吐出面全面にわたって配された丸型の紡糸ノズルからアセテート原液を押出し、加熱された不活性ガスをフィラメントにあてて乾燥させる方法が行われている。しかしながら、この方法では、紡糸ノズルにおいて、吐出孔がノズル面全面にわたって配置されているため、フィラメント束の中心部の単繊維が乾燥しにくく、断面異常が発生し、紡糸安定性に課題があった。
こうした不具合を解消するため、例えば特開昭59−94608号公報(特許文献1)では、加圧された入口ガスの一部をノズル面の中央部に取り付けたコアンダ( Coanda )型のガス流捕捉装置に供給し、そのコアンダ効果を利用して、同ガス流捕捉装置の下方に走行する中空フィラメント束の外周面に沿って流れる第1のガス流れを、フィラメント束を横切らせてガス流捕捉装置の内部へと導き、ガス流捕捉装置の内部に集められた第1のガス流れを同装置の内部にて捕捉して下方へと向かわせ、内部空間を下方に向けて流れる第2のガス流れを形成し、下方へと流れるガス量及びガス流速を増大させる。これにより、フィラメントの紡糸が安定化し、同時に品質の改良につながるというものである。
しかしながら、この方法では、中空フィラメント束の外周面に沿って流下する第1のガス流れの一部を積極的に中空フィラメント束の内部空間に引き寄せることが前提となり、その間、第1のガス流れは中空フィラメント束の外周側から内部空間に向けて単繊維間を必ず横切ることになる。そのため、中空フィラメント束が乱れて、単繊維の切断、単繊維間で交絡や接触が生じ膠着が発生する。さらには、コアンダ型のガス流捕捉装置およびそれに付随する減圧装置等が必要となり、従来の製造設備への適用は困難であった。
また、例えば特開昭61−282408号公報(特許文献2)に記載された乾式紡糸装置にあっては、紡糸ノズルホルダーに支持された環状の紡糸ノズルが紡糸筒の上端中央に固設され、紡糸ノズルの中央開口には外部から供給される熱気体を紡糸筒内に直接導入する熱気体導入管の下端が固設されている。紡糸ノズルの中央開口の周辺には重合体溶液が吐出される多数の吐出孔が形成されており、その吐出面とは反対側のノズル面には重合体溶液が外部から圧送される。前記吐出孔から吐出される重合体溶液は多数本のフィラメントとなって、紡糸筒の下端に達して一本のフィラメント束にまとめられる。従って、前記紡糸ノズルから紡出され一本にまとめられる間のフィラメント束は中空の空間を有する逆円錐状を呈しており、上記熱気体導入管から紡糸筒内に導入される熱気体は前記逆円錐状のフィラメント束の内部空間にだけ単独に供給され、フィラメント束の外周には内部空間に供給された熱気体が、フィラメント束の構成繊維間を横切って、フィラメント束と紡糸筒との間の空間へと拡散しながら下方へと流れる。
従って、この特許文献2に記載された乾式紡糸装置における紡糸部構造では、紡糸ノズルの中央からフィラメント束の逆円錐状内部空間内に直接送り込まれる熱気体は、必ずフィラメント束の構成繊維間を横切ってフィラメント束と紡糸筒との間の空間へと流れることになり、その間に溶剤が蒸発して繊維を固化する。このとき、フィラメント束を構成する各繊維は熱気体の上述の流れによって大きく揺らぎ、隣接する繊維間で接触し、あるいは交絡して、繊維同士が膠着したり切断することが多発する。
特開昭59−94608号公報 特開昭61−282408号公報
本発明の課題は、コアンダ型のガス流捕捉装置のような複雑な装置を用いずに従来の乾式紡糸設備の一部の部材と簡単に交換可能であり、しかも紡糸ノズルから吐出される繊維を横切る加熱ガスの流れを極力低減して、フィラメント同士の膠着や切断をなくし、紡糸の安定性を向上させると同時に、単繊維の表面におけるスキン層の発生をなくして、繊維断面の異常を発生させない高品質のフィラメント束を得るための乾式紡糸方法を提供することにある。
かかる課題の解決は、本発明の基本構成である、中央部に上下に貫通する開口を有し、その開口を囲んで配された多数の吐出孔を有する紡糸口金の前記吐出孔を通して重合体溶液を紡糸筒内に吐出し、中央に逆円錐状空間を有するフィラメント束を形成する工程と、紡糸筒内に加熱ガスを供給する工程と、加熱ガスの一部をフィラメント束の周面に沿って下方に流れる第1の流れを形成する工程と、加熱ガスの残部を紡糸口金の前記開口を通してフィラメント束の前記逆円錐状空間内に送り込み、下方に流して第2の流れを形成する工程と、前記加熱ガスを紡糸口金の上方から整流部材を介して紡糸口金に向けて供給する工程または前記加熱ガスを紡糸口金の上部側方の少なくとも一部から整流部材を介して紡糸口金に向けて送り出す工程と、を含む乾式紡糸方法によって効率的に達成される。
本発明の好ましい態様によれば、前記加熱ガスは、紡糸筒内の上端壁面の一部と下端壁面の一部に形成された熱風入口から供給され、紡糸筒の中央壁面に形成された熱風出口から排出される工程を含んでなることが好ましく、また前記熱風出口は、前記熱風入口に対し紡糸筒の反対側に形成されており、前記熱風出口は、間隔を置いて上下に二つ形成されてなることが好ましい。また、紡糸口金としては、吐出孔密度が6〜13個/cm2 である紡糸口金を用いることが好ましい。アセテート繊維の紡糸には、1時間当たり11〜13kgを紡糸することが望ましい。
本発明において使用される紡糸口金は、中央部に上下に貫通する開口を有し、その開口を囲んで多数の重合体溶液の吐出孔が形成され、紡糸筒内に前記吐出孔を通して重合体溶液を吐出し、中央に逆円錐状の空間を有する中空のフィラメント束を形成する。このとき、整流部材を介して紡糸筒の上方から或いは紡糸筒の側面の少なくとも一部から紡糸口金に向けて加熱ガスを送り込む。この送り込まれた加熱ガスは、一部が中空のフィラメント束の外周面に沿って下方に向かって流れる第1のガス流れを形成し、残りの加熱ガスが紡糸口金の中央部の開口を通って前記フィラメント束の中空の前記空間内に直接送り込まれ、同空間内を下方に向かう第2の流れを形成する。
このように、外部から送り込まれる加熱ガスをフィラメント束の外周面を下方に向けて流れる第1の流れと、フィラメント束の内部空間に直接送り込まれて下方に向けて流れる第2の流れとに分けることにより、フィラメント束の内部空間へとフィラメント束の外周面と紡糸筒の内面との間の空間へと、常に新鮮な加熱ガスが流れが独立して送り込まれ、る。この加熱ガスの流れのうち、第2の流れはフィラメント束の内部空間の中間部を過ぎたあたりから、初めてフィラメント束の外周面へと向かい、フィラメント束を横切って斜め下方へと放射状に流れ、フィラメント束の外周面と紡糸筒の内面との間の下部空間へと移動する。
こうして、フィラメント束を横切って流れる加熱ガスの第2の流れの殆どが、溶剤の蒸発が進んだフィラメント束の下端集束部近傍となるため、仮に下端集束部近傍のフィラメントに揺れが生じて接触し合ったとしても、単繊維間の膠着が発生せず、また繊維強度も増しているため切断なども発生しにくい。一方、紡糸口金の重合体溶液の吐出面付近では、吐出される原液の強度が弱く接着性も高いが、この付近ではフィラメント自体の温度が高く供給される加熱ガスによる溶剤の蒸発が活発であり、前記紡糸筒内に供給される加熱ガスの上記第1及び第2のガスの流れも大部分がフィラメント束の外周面と中央空間内とに別れて、それぞれ独立して下方へと流れるため、フィラメント束を横切る流れは僅かである。そのため、前記紡糸口金から吐出するフィラメント束に揺れが発生せず、フィラメント同士が接触したり交絡することがなく、切断や膠着が発生しない。
アセテート繊維用乾式紡糸装置の一例を示す概略構成図である。 同乾式紡糸装置による紡糸時の代表的な実施形態を示す紡糸筒内の状態説明図である。 同乾式紡糸装置による紡糸時の代表的な他の実施形態を示す紡糸筒内の状態説明図である。 本実施形態による紡糸口金の具体的構成例を示す縦断面図である。 同紡糸口金に装着されるノズル部材の一例を吐出面から見た上面図である。 図5のVI-VI 線断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ具体的に説明する。
なお、以下の説明はアセテート繊維を紡糸するにあたって、本発明に係る乾式紡糸方法を適用する場合の実施形態について詳しく説明する。ここで、本実施形態の乾式紡糸方法では、アセトンにアセテートフレークを溶解した紡糸原液を使っているが、アセテート繊維の紡糸だけでなく適切な揮発性溶剤に溶解するかぎり、他の重合体溶液を紡糸原液として紡糸する場合にも当然に適用が可能である。すなわち、本発明に係る乾式紡糸方法は、例えばジアセテート(アセテート)繊維、トリアセテート繊維、アクリル繊維ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維などの乾式紡糸を挙げることができる。このとき使われる溶剤は一律ではなく、例えばトリアセテート繊維の紡糸原液に使われる溶剤は、アセトンと水の混合液ではなく、CH2 Cl2 90/メタノール10が使われる。
本実施形態に係るアセテート繊維の乾式紡糸方法では、アセトンにジアセテートフレークを溶解した紡糸原液が使われ、紡糸原液を多数の微細な吐出孔から紡糸筒の内部に吐出し、吐出した紡糸原液中の溶剤を加熱空気によって蒸発させて繊維状に固化させる。図1には同アセテート繊維の乾式紡糸工程の一例を概略で示している。予め調製された紡糸原液はギアポンプ1を介して紡糸筒2の内部に配された図示せぬ紡糸口金に一定量供給され、同紡糸口金に形成された図示せぬ多数の微細な吐出孔を通して吐出され、溶剤を蒸発させながら固化して多数のフィラメントとなる。このとき、吐出孔から吐出する多数のフィラメントは全体がリング状となっており、紡糸筒2の下端において1本のマルチフィラメント束に絞られる。
この1本に絞られたフィラメント束Fにオイリングロール3によって第1段目のオイリングがなされ、次いでフィードロール4により水平方向に方向を変換したのち、オイリングロール5によって2段目のオイリングがなされる。このオイリングがなされたのち、フィラメント束は捲縮付与手段6に送り込まれて捲縮が付与される。捲縮付与手段6には、通常、出口に押え板片をもつクリンパーボックスが使われ、前記フィラメント束をクリンパーボックスに押し込んで細い波形の捲縮が付与される。次いで、乾燥手段7を通して残
留するアセトンと水分とを蒸発させて、製品である繊維束を製造する。
図2及び図3は、本発明方法に適用される乾式紡糸部の構造と紡糸筒2内における熱風の流れを模式的に示している。図2及び図3で異なるところは、図2では整流部材10を紡糸筒2の上部側面の一部に配しているのに対して、図3では整流部材10を紡糸筒2の天板内壁面の全面に配している点にある。すなわち、図2に示す実施形態では、熱風9を紡糸筒2の上部側面の一部から紡糸筒2の内部に導入し、その導入された熱風9を整流部材10を介して紡糸口金8の側面に向けて吹き付けているのに対して、図3に示す実施形態では、熱風9を紡糸筒2の天井部全面に導入し、導入された熱風9を天井面に平行に配された整流部材10を介して、紡糸口金8を含む下方空間に向けて吹き付けている点で異なっているが、その他の構造は実質的に異なるところがない。
これらの実施形態にあって、上記整流部材10として二枚重ねの金網が使われている。しかし、必ずしも金網にこだわる必要はない。前記整流部材10に使われる金網は、例えば紡糸口金8に対する側の金網には、線径φが0.19mmのSUS304からなる線材を使った60メッシュの平織組織であり、その目開きは0.233mm、開孔度が30.38%のものが使われ、一方の紡糸筒2に対向する側の金網には、線径φが0.25mmのSUS304からなる線材が使われた30メッシュの平織組織からなり、その目開きは0.597mm、開孔度が49.66%のものが使われている。
また、これらの実施形態にあって、紡糸筒2は、図2及び図3に示すように、円筒筒体からなり、その上端壁面の一部と下端壁面の一部とに、それぞれ熱風入口21,22が形成され、同熱風入口21,22には60〜80℃の熱風空気が導入される。更に、紡糸筒2の前記熱風入口21,22とは反対側の中央壁面には、間隔をおいて上下に二つの熱風出口23,24が形成され、同熱風出口23,24からは蒸発したアセトンを含む熱風空気が排出されたのち、空気とアセトンに分離されて、アセトンは回収され、空気は外気へと放出される。このときのアセトンの回収率は限りなく100%に近い。
上記紡糸口金8は、図2〜図5に示すように、重合体溶液分配部81と重合体溶液吐出ノズル部82とを備えている。前記重合体溶液分配部81は、外部の図示せぬ紡糸原液供給源と重合体溶液供給管12を介して接続されており、重合体溶液溜部材81aと、同重合体溶液溜部材81aから分岐する2本以上の分配管81b〜81eと、各分配管81b〜81eの下端に接続される重合体溶液分配部材81fとを有している。前記重合体溶液吐出ノズル部82は、図5及び図6に示すように、中央部に真円状の開口82aを有し、同開口82aの周囲に沿って形成された全体が環状となる多数の吐出孔82bを有している。多数の吐出孔82bが形成される環状領域R1は前記開口82aの開口面と段差を介して開口面の下方に形成される。また、前記環状領域R1の外側にあって吐出孔82bが形成されていない非形成領域R2は、前記環状領域R1と段差をもって前記環状領域R1の上方に形成されている。前記非形成領域R2の形成面は、前記開口面と同等である。前記開口82a及び前記非形成領域R2の周縁部のそれぞれは、図4に示すように、上記重合体溶液分配部材81fに液密に係着固定される。
また、上記紡糸口金8の吐出孔密度は6〜13個/cm2 であることが好ましく、6〜11個/cm2 であることがより好ましい。なお、吐出孔密度とは、紡糸口金の吐出孔の数を吐出面の面積で割った値であり、本発明における紡糸口金の吐出面は図5及び図6における前記環状領域R1である。吐出孔密度が上記範囲内であることにより、紡糸時にフィラメント同士が接触したり交絡することがなく、また、必要以上に紡糸口金が大きくなることがない。
いま、以上の構成を備えた乾式紡糸装置を使って乾式紡糸を行うには、図示せぬ紡糸原
液である重合体溶液の供給源から供給される紡糸原液の一定流量をギアポンプ1を介して上記重合体溶液供給管12に供給する。重合体溶液供給管12に供給された重合体溶液は、上記紡糸口金8の重合体溶液溜部材81aに導入される。重合体溶液溜部材81aに導入された重合体溶液は、2本以上の分配管81b〜81eを流れて重合体溶液分配部材81fの内部空間に満遍なく行きわたり、前記内部空間から重合体溶液の導出孔を介して上記重合体溶液吐出ノズル部82へと導入され、その吐出孔82bから下方に吐出する。本実施形態にあっては、前記分配管81b〜81eの数は4本であるがこれに限定されない。
このとき同時に、紡糸筒2の内部に熱風9が供給される。このときの熱風9の供給態様は、図2及び図3に示すように、紡糸筒2の上端部の一部壁面に形成された熱風入口21から天井部の全面に供給され、天井面に平行に配された整流部材10を介して、紡糸口金8の上面に吹き出させるか、或いは紡糸筒2の上端部の一部壁面に形成された熱風入口21から整流部材10を通して、紡糸口金8の側面に向けて直接吹き出す。この場合、紡糸口金8の上方から紡糸口金8の上面に向けて熱風を吹き付けても、整流部材10を介して紡糸口金8の側面に向けて熱風を吹き付けても、後述するように、両者とも紡糸の安定性は大きく改善され、その違いによる大差は出ないが、熱風を紡糸口金8の側面に向けて直接吹き付ける方が設備費が少なくて済むため実施化しやすい。
熱風9を紡糸口金8の側方から同紡糸口金8の側面に向けて吹き付けると、図2に矢印で示すように熱風9は紡糸口金8を挟んで上方と下方とに別れて流れる。上方に向かって流れる熱風の多くは、紡糸口金8の分配管81b〜81eの間の空隙を通過して、重合体溶液分配部材81fと同部材81fに支持された重合体溶液吐出ノズル部82の中央部とに形成された開口に進入し、第2の流れとなって重合体溶液吐出ノズル部82から環状に吐出するフィラメント束Fの内部空間を下方に向けて流れる。一方、上方に向かって流れる熱風9の残部は、紡糸筒2の内壁面にぶつかり第1の流れを形成して、紡糸筒2の内壁と逆円錐状となって下方へと移動するフィラメント束Fの外周面に沿って下方へと流れる。
他方、紡糸口金8の下方に向かう熱風9は、重合体溶液吐出ノズル部82から吐出する逆円錐状のフィラメント束Fの走行に合わせて、同フィラメント束Fの外周面に沿って下方へと流れ、第1の流れを形成する。従って、前記第1の流れは紡糸口金8の上方を巡った熱風の一部と紡糸口金8の下方に向かった熱風9が合流して形成される。このとき、紡糸口金8の下面に沿って流れようとする熱風9は、その大半がフィラメント束Fの走行による随伴流となってフィラメント束Fの外周面に沿って下方に向けて流れ、第1の流れとなる。
その結果、重合体溶液吐出ノズル部82から吐出する逆円錐状のフィラメント束Fの吐出孔付近のフィラメント束はその内外周に新鮮な熱風が第1及び第2の流れとなって吹き付けられるため、溶剤の蒸発が活発となり、しかもフィラメント束Fを横切って流れる熱風9の量も極めて少ないため、フィラメント束Fの構成繊維同士の揺らぎが少なく、互いに接触することがなく、膠着や切断などの不具合が発生しないで安定した紡糸が可能となる。
図3に示した、熱風9を紡糸口金8の上方から紡糸口金8の上面に向けて吹き付ける場合の乾式紡糸によれば、逆円錐状のフィラメント束Fが重合体溶液吐出ノズル部82から吐出される間に、紡糸筒2の天井部からは整流部材10を介して紡糸口金8の上面に向かって熱風9が吹き付けられる。紡糸口金8の上面に向けて吹き付けられる熱風9のうち、一部は紡糸口金8の上記分配管81b〜81eの間の空隙を通過して、中央の開口部を通して第2の流れを形成して、重合体溶液吐出ノズル部82から吐出する逆円錐状のフィラメント束Fの内部空間へと直接進入する。
この内部空間に進入した第2の流れは、フィラメント束Fの内部空間を下方へと流れ、1本のフィラメント束にまとめられた逆円錐状のフィラメント束Fの下端に向かう途中で、フィラメント束を斜め下方に横切って、フィラメント束Fと紡糸筒2の内壁面との間の空間へと移る。しかして、この熱風9が横切るフィラメント束Fの下端部では殆どの溶剤が蒸発して固化しているため、仮に単繊維の接触があっても膠着せず切断することもない。一方、残る熱風9は紡糸口金8の周囲を巡って、紡糸筒2の内壁面とフィラメント束Fの外周面との間の空間を第1流れとなって下方に向けて流れる。
この第1及び第2の流れが流れる間、特にフィラメント束Fの構成繊維の強度が低く、未固化の状態にある重合体溶液吐出ノズル部82の吐出孔付近であっても、図2に示す上記実施形態と同様に、フィラメント束Fを横切る方向への流れは発生せず、構成繊維の揺れがないため、単繊維同士が接触したり交絡することがなく、膠着や切断が発生しない安定した紡糸が可能となる。
これらの実施形態にあって、いずれも紡糸筒2の下端部に形成された熱風入口22を通して新鮮な熱風が送り込まれ、上述のとおり、上方から流れてくる第1及び第2の流れと途中で合流する。この下方から送り込まれる熱風は、上方から流れる第1及び第2の流れによる加熱では溶剤の蒸発がしにくくなった紡糸筒下端側のフィラメント束Fに新たな熱風を吹き付けて溶剤の蒸発を促すためのものである。こうして紡糸筒2の高さ方向中間部にて合流した熱風には蒸発した溶剤を含んでおり、この熱風は紡糸筒2の高さ方向中間部に形成された熱風出口23,24を通して溶剤処理工程へと排出される。溶剤処理工程では、図示せぬ蒸留塔を通して溶剤を分離したのち溶剤タンクにて回収する。
以上で説明した本発明の乾式紡糸方法により、コアンダ型のガス流補足装置のような複雑な装置を用いずにフィラメント同士の膠着や切断をなくし、紡糸の安定性を向上させることが可能となる。さらには、本発明の乾式紡糸方法により、アセテート繊維の生産効率を向上することができ、1時間当たり11〜13kg紡糸することが可能となる。
次に、本発明の実施例を比較例とともに具体的に説明する。
本発明での評価は、以下の通りに行った。
(断面密着数)
アセテートフィラメントを内径1mmのビニールチューブにつめ、かみそりで繊維幅と直径方法に輪切にし、断面観察用サンプルを作成した。このサンプルを走査型電子顕微鏡(キーエンス製、VE‐7800)で観察し、200倍拡大写真を撮影した。この写真を目視にて観察し、断面同士が結合している場合は断面異常として、個数を計測した。
(実施例1)
図1及び図2に示すアセテートフィラメント束の乾式紡糸装置を用い、以下のようにしてアセテートフィラメント束を製造した。
まず、平均酢化度55.5%のセルロースジアセテートをアセトンに溶解し、セルロースジアセテートの濃度29.3質量%の紡糸原液を調整した。この原液を65℃の温水ジャケット中の配管を通してギアポンプ1で紡糸筒2の内部に装着された紡糸口金8に供給した。紡糸口金8に供給された原液を、吐出孔を1075個を有する環状ノズルに供給し、長さ6m、内径約3000mmの円筒型紡糸筒2内に吐出し、1フィラメント当たりの繊度3.1デシテックスのフィラメントとした。吐出されたフィラメントに、図2に示すように整流部材10を通して側面から導入した75℃に加熱した空気をあて、フィラメントを乾燥し、アセトンを揮発させた。引続き、アセトン含有率が低減したフィラメントを、1段目のオイル付与手段3を用いて、エマルジョンオイルをフィラメントに付与し、フ
ィードロール4を用いて引き取り速度600m/分で引き取り、アセテートフィラメント束とした。
アセテートフィラメント束を11本集束して、総繊度が37000デシテックスの原繊維束とした。次いで、原フィラメント束に、2段目のオイル付与手段5を用いてエマルジョンオイルを付与し、捲縮付与手段6を通して捲縮を付与した。
次いて、乾燥手段7を通して捲縮が付与された後の原フィラメント束を乾燥し、製品たるアセテートフィラメント束を得た。
アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
(実施例2)
吐出孔の数が1399個である環状ノズルを用い、アセテートフィラメントの引き取り速度を500m/分に変更した以外は実施例1と同様にしてアセテートフィラメント束を得た。アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
(実施例3)
吐出されたフィラメントに、図3に示すように上面から導入した75℃に加熱した空気をあてた以外は実施例1と同様にしてアセテートフィラメント束を得た。アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
(実施例4)
吐出孔の数が1399個である環状ノズルを用い、吐出されたフィラメントに、図3に示すように上面から導入した75℃に加熱した空気をあて、アセテートフィラメントの引き取り速度を500m/分に変更した以外は実施例1と同様にしてアセテートフィラメント束を得た。アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
(比較例1)
吐出孔の数が1075である開口部がない円型ノズルを用いた以外は実施例1と同様にしてアセテートフィラメント束を得た。アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
(比較例2)
吐出孔の数が1075である開口部がない円型ノズルを用い、吐出されたフィラメントに、図3に示すように上面から導入した75℃に加熱した空気をあてた以外は実施例1と同様にしてアセテートフィラメント束を得た。アセテートフィラメントの断面評価の結果を表1に示した。
Figure 0006067270
1 ギアポンプ
2 紡糸筒
3 1段目のオイル付与手段(オイリングロール)
4 フィードロール
5 2段目のオイル付与手段(オイリングロール)
6 捲縮付与手段
7 乾燥手段
8 紡糸口金
9 熱風
10 整流部材
12 重合体溶液供給管
21,22 熱風入口
23,24 熱風出口
81 重合体溶液分配部
81a 重合体溶液溜部材
81b〜81e 分配管
81f 重合体溶液分配部材
82 重合体溶液吐出ノズル部
82a 開口
82b 吐出孔
F フィラメント束
R1 環状領域
R2 非形成領域

Claims (6)

  1. 中央部に上下に貫通する開口を有し、その開口を囲んで配された多数の吐出孔を有する紡糸口金の前記吐出孔を通して重合体溶液を紡糸筒内に吐出し、中央に逆円錐状空間を有するフィラメント束を形成する工程と、
    紡糸筒内に加熱ガスを供給する工程と、
    加熱ガスの一部をフィラメント束の周面に沿って下方に流れる第1の流れを形成する工程と、
    加熱ガスの残部を紡糸口金の前記開口を通してフィラメント束の前記逆円錐状空間内に送り込み、下方に流して第2の流れを形成する工程と、
    前記加熱ガスを紡糸口金の上方から整流部材を介して紡糸口金に向けて供給する工程または前記加熱ガスを紡糸口金の上部側方の少なくとも一部から整流部材を介して紡糸口金に向けて送り出す工程と、
    を含んでなる乾式紡糸方法。
  2. 前記加熱ガスは、紡糸筒内の上端壁面の一部と下端壁面の一部に形成された熱風入口から供給され、紡糸筒の中央壁面に形成された熱風出口から排出される工程を含んでなる請求項1に記載の乾式紡糸方法。
  3. 前記熱風出口は、前記熱風入口に対し紡糸筒の反対側に形成されており、前記熱風出口は、間隔を置いて上下に二つ形成されてなる請求項2に記載の乾式紡糸方法。
  4. 重合体溶液がジアセテートのアセトン溶液である請求項1〜3のいずれかに記載の乾式紡糸方法。
  5. 紡糸口金として、吐出孔密度が6〜13個/cm2 である紡糸口金を用いる請求項1記載の乾式紡糸方法。
  6. アセテート繊維を1時間当たり11〜13kg紡糸する請求項1〜4のいずれかに記載の乾式紡糸方法。
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