JP6066943B2 - 電動オイルポンプ - Google Patents
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Description
例えば特開2013−185500号公報に示されるように、メカニカルオイルポンプと電動オイルポンプの各出力油路は、油圧を調圧してトランスミッション各部位に供給する油圧制御回路に並列して接続され、またメカニカルオイルポンプの出力油路と電動オイルポンプの出力油路との間には、メカニカルオイルポンプからの吐出圧が電動オイルポンプ側へと逆流することを阻止する逆止弁が設けられる。すなわち、電動オイルポンプから吐出されたオイルは逆止弁を介して油圧制御回路に供給される。
この場合、逆止弁がメカニカルオイルポンプの高い吐出圧を背圧としてまだ閉じているにもかかわらず、電動オイルポンプはこの逆止弁を押し開いてオイルを送出しようとするため、電動オイルポンプもその吐出圧が増大する過負荷状態となる。
吐出圧が増大するにつれて、ロータの軸方向両端面とベース部およびカバー部との微小間隙を通って吐出ポートから吸入ポートへオイルの漏れが生じるが、微小間隙が油膜で満たされているのでその漏れ量eは微小である。
過負荷状態での吐出圧増大は吐出ポート内のオイルを吐出しようとしても大きな抵抗を受けるためであり、ロータすなわちモータの回転が低下するとともに吐出量dも低下していく。そして、回転が継続したとして、モータ回転数aは吐出量dがゼロになる点に対応するN0まで低下し、吐出圧はP0まで上昇することになる。
実際には、モータ回転数aが低下する経過の中でモータ脱調回転数Ndを下回ってしまい、正常な駆動ができなくなる。
ポンプハウジングには、ロータ室におけるロータの軸方向端面と接する側壁に開口するリング状のプレート収容室を形成し、
プレート収容室に、ロータの軸方向端面と対向する面をロータとの摺接面とするリング状の過負荷応答プレートを収容するとともに、過負荷応答プレートをロータに押圧する付勢手段を備え、
プレート収容室が吸入ポートと吐出ポートが開口する側壁と対向する側壁に形成され、
過負荷応答プレートのリング幅が圧縮室と重なっており、
過負荷応答プレートの摺接面に、それぞれ吸入ポートと吐出ポートに対向する弧状溝を形成し、
過負荷応答プレートとポンプハウジングとの間に過負荷応答プレートの回転を規制する回転規制手段を有し、
回転規制手段が、過負荷応答プレートの摺接面と反対側の軸方向端面から延びるピンと、プレート収容室の底壁に形成されてピンと係合する規制孔と、からなり、
過負荷応答プレートは圧縮室と少なくとも一部重なるリング幅を有して、
吐出ポート側の圧力が所定以上になると、過負荷応答プレートが付勢手段に抗して変位して、その摺接面とロータの軸方向端面との間隙を通って吐出ポート側から吸入ポート側へオイルを逃がすものとした。
図1は実施の形態の構成を示す縦断面図である。
電動オイルポンプ1は、ポンプ2とこれを駆動するモータ3とからなる。ポンプ2はベースボディ11およびカバー部40からなるポンプハウジング10内にロータ6を配置してなる。
すなわち、ベースボディ11のカバー部40に面する側に凹部を形成してカバー部40との間にロータ室12を構成し、ロータ6を収容している。なお、ベースボディ11は従来例におけるベース部とボディ部を一体に形成したものに相当する。
モータ3はベースボディ11のロータ室12を形成した側と反対側に取り付けられる。
インナロータ8の中心部からはモータ3側へ小径軸部8aが延びている。
アウタロータ7の軸方向厚さと、インナロータ8の小径軸部8aを除いてアウタロータ7と噛み合う外径側半部の軸方向厚さとは同一に設定してある。なお、以下では、特記する以外インナロータ8は小径軸部8aを除く外径側半部を指す。
ロータ室12の側壁14にはインナロータ8の小径軸部8aを支持する軸孔15が貫通して形成され、モータ3の出力軸4が軸孔15と同軸でロータ室12内まで延び、この出力軸4にインナロータ8が結合されて回転駆動されるようになっている。
カバー部40にはロータ室12に開口する吸入ポート42と吐出ポート43が周方向に沿って位置をずらせて形成され、吸入ポート42は接続口42aに接続される吸入油路により不図示のオイルパンに連通し、吐出ポート43は接続口43aに接続される吐出油路により油圧制御回路や潤滑等必要部位に連通する。公知のように、吸入ポート42はロータの回転方向に沿って圧縮室PCの容積が拡がる拡大領域Raに連通するように形成され、吐出ポート43は圧縮室PCの容積が小さくなる縮小領域Rbに連通するように形成されている。
なお、図1には簡便のため、C−C部断面からはずれた接続口42a、接続口43aも併せて示している。
以上の構成は従来例の基本的構成と同様である。
図4は過負荷応答プレート30単体を示す拡大図で、(a)はロータ室12側から見た正面図、(b)は(a)におけるD−D部断面図、(c)は(a)におけるE−E部断面図、(d)は背面図である。
過負荷応答プレート30はリング状で、ロータ室12に臨む前面をロータ6(アウタロータ7およびインナロータ8)の端面との摺接面31とする。
摺接面31には周方向に延びる弧状溝35、36が形成され、反対側の背面にはリング状突部37が形成され、リング状突部37より径方向外側と内側に所定幅の平坦面を残し、それぞれ外側シール面32aと内側シール面32bとしている。
図5は過負荷応答プレート30とプレート収容室20とを離間させて示す拡大図である。
まず、プレート収容室20は、ロータ室12の側壁14にリング状に形成されている。プレート収容室20の外径はロータ室12の外径と同一に設定し、径方向幅は全周一定である。
なお、過負荷応答プレート30の外径Do’はプレート収容室20の外径Doよりわずかに小さく、過負荷応答プレート30の内径Di’はプレート収容室20の内径Diよりわずかに大きく設定して、プレート収容室20の外周壁および内周壁と過負荷応答プレート30の外周壁および内周壁との間にそれぞれ所定の遊び(間隙)を有するようになっている。
また、図5は図1相当の断面を示すが、簡便のため、ピン38および規制孔24も併せて示している。
リング状凹部22の底壁23にはピン38に対応する規制孔24を貫通形成してある(図3も参照)。 規制孔24はピン38よりも所定量だけ大径としてある。
シールリング26a、26bの断面形状については後述する。
過負荷応答プレート30は、ピン38が規制孔24に進入して係止されることにより、ロータ6(アウタロータ7およびインナロータ8)による連れ回りが阻止され、回転方向の位置が規制される。他方、プレート収容室20の外周壁および内周壁との間の遊びと、ピン38と規制孔24間の遊びによって、アウタロータ7やインナロータ8の回転軸に対して直角の軸回りには所定量だけ回転(傾斜)可能となっている。
これにより、外側シールリング26aと内側シールリング26bはそれぞれ所定量初期圧縮されて過負荷応答プレート30をロータ6側へ付勢している。
摺接面31に形成された弧状溝35はカバー部40の吸入ポート42に対向するとともに吸入ポート42と同等の弧長および幅を有し、弧状溝36は吐出ポート43に対向するとともに吐出ポート43と同等の弧長および幅を有するように設定してある。(図2、図4参照)
図6はこの間の状態変化を示し、Fは吐出圧により過負荷応答プレート30にかかる力、Sは過負荷応答プレート30の変位量を表し、Foは外側シールリング26aおよび内側シールリング26bの初期圧縮による付勢力である
外側シールリング26aおよび内側シールリング26bのさらなる圧縮により、図7の(a)に示すように、過負荷応答プレート30を変位させる。すなわち、吸入圧は吐出圧より低いため、過負荷応答プレート30は吐出ポート43に対応する弧状溝36側が開く方向に傾斜して間隙Wを生じさせる。
吐出圧が所定値Ps以上になると、上述のように過負荷応答プレート30の摺接面31とロータ6の軸方向端面との間に間隙Wが生じてオイルの漏れが開始するので、負荷(吐出圧)の増大がP0より低い点で吐出量bがゼロになるP1までに抑えられ、従来と異なりモータ3はモータ脱調回転数Ndより高い回転数を保持できる。
換言すれば、吐出圧の所定値Psおよび外側シールリング26aおよび内側シールリング26bの特性は、吐出圧P1においてモータ回転数aがモータ脱調回転数Ndに所定の余裕値を加えた値になるように設定すればよいことになる。
こうして、過負荷状態に入っても、吐出ポート43側から吸入ポート42側へのオイル逃がしにより、モータ3が脱調して正常駆動不能状態に陥ることが防止される。
カバー部40の側壁41が吸入ポートと吐出ポートが開口する側壁に該当し、ロータ室12の側壁14が吸入ポートと吐出ポートが開口する側壁と対向する側壁に該当する。
また、過負荷応答プレート30のピン38とプレート収容室底壁23の規制孔24とで発明における回転規制手段を構成している。
(請求項1に対応する効果)
(請求項2に対応する効果)
(請求項3に対応する効果)
(請求項4および5に対応する効果)
(請求項6に対応する効果)
また、実施の形態ではインナロータ8をモータで回転駆動するものとしたが、アウタロータ7を駆動するものでもよい。
2 ポンプ
3 モータ
4 出力軸
6 ロータ
7 アウタロータ
8 インナロータ
8a 小径軸部
10 ポンプハウジング
11 ベースボディ
12 ロータ室
14 側壁
15 軸孔
20 プレート収容室
21a 外側シール面
21b 内側シール面
22 リング状凹部
23 底壁
24 規制孔
26a 外側シールリング
26b 内側シールリング
30 過負荷応答プレート
31 摺接面
32a 外側シール面
32b 内側シール面
35、36 弧状溝
37 リング状突部
38 ピン
40 カバー部
41 側壁
42 吸入ポート
42a、43b 接続口
43 吐出ポート
PC 圧縮室
Ra 拡大領域
Rb 縮小領域
Claims (2)
- ポンプハウジング内に、圧縮室を形成するインナロータとアウタロータからなるロータを配置したロータ室と、ロータ室の周方向に沿って離間して開口しそれぞれ圧縮室に連通する吸入ポートと吐出ポートを有し、インナロータまたはアウタロータをモータで駆動する電動オイルポンプにおいて、
前記ポンプハウジングには、前記ロータ室における前記ロータの軸方向端面と接する側壁に開口するリング状のプレート収容室を形成し、
該プレート収容室に、前記ロータの軸方向端面と対向する面を前記ロータとの摺接面とするリング状の過負荷応答プレートを収容するとともに、該過負荷応答プレートを前記ロータに押圧する付勢手段を備え、
前記プレート収容室が前記吸入ポートと吐出ポートが開口する側壁と対向する側壁に形成され、
前記過負荷応答プレートのリング幅が前記圧縮室と重なっており、
前記過負荷応答プレートの前記摺接面に、それぞれ前記吸入ポートと吐出ポートに対向する弧状溝を形成し、
前記過負荷応答プレートと前記ポンプハウジングとの間に前記過負荷応答プレートの回転を規制する回転規制手段を有し、
前記回転規制手段が、前記過負荷応答プレートの前記摺接面と反対側の軸方向端面から延びるピンと、前記プレート収容室の底壁に形成されて前記ピンと係合する規制孔と、からなり、
前記過負荷応答プレートは前記圧縮室と少なくとも一部重なるリング幅を有して、
前記吐出ポート側の圧力が所定以上になると、前記過負荷応答プレートが前記付勢手段に抗して変位して、前記摺接面と前記ロータの軸方向端面との間隙を通って前記吐出ポート側から前記吸入ポート側へオイルを逃がすことを特徴とする電動オイルポンプ。 - 前記規制孔が前記プレート収容室と外部を連通させる貫通孔であり、
前記付勢手段が、前記プレート収容室の中心を基準として、前記貫通孔より内径側において前記過負荷応答プレートと前記プレート収容室の底壁との間に配置した内側弾性シールリングと、前記貫通孔より外径側において前記過負荷応答プレートと前記プレート収容室の底壁との間に配置した外側弾性シールリングと、からなることを特徴とする請求項1に記載の電動オイルポンプ。
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JP2014026048A JP6066943B2 (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | 電動オイルポンプ |
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JP2014026048A JP6066943B2 (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | 電動オイルポンプ |
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JP2015151920A JP2015151920A (ja) | 2015-08-24 |
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JP2014026048A Active JP6066943B2 (ja) | 2014-02-14 | 2014-02-14 | 電動オイルポンプ |
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Family Cites Families (2)
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JPS60195989U (ja) * | 1984-06-07 | 1985-12-27 | 株式会社不二越 | 内接ギヤポンプ |
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2014
- 2014-02-14 JP JP2014026048A patent/JP6066943B2/ja active Active
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