以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態では、多方向操作装置101及び多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500について説明する。先ず、多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500について説明を行う。図1は、本発明の第1実施形態に係わる多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態の係わる多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500を説明する図であって、図2(a)は、図1に示すY2側から見た正面図であり、図2(b)は、図1に示すX1側から見た側面図である。図3は、本発明の第1実施形態に係わる多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500を説明する図であって、図1に示すZ1側から見た上面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係わる多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500を説明する分解斜視図である。
本発明の第1実施形態の多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500は、図1ないし図3に示すような外観を呈し、図4に示すように、操作者によって把持されるシフトノブ50Nと、操作者によるシフトノブ50Nの傾倒操作を受けて多方向への操作が行える多方向操作装置101と、多方向操作装置101からの信号を受けて車両側機器に信号を送信する制御部50Cと、多方向操作装置101の操作部材11の第1方向D1への移動を検出する第2位置検出手段52S(図4では図示していない)と、第1方向D1とは別な第2方向D2への移動を検出する第1位置検出手段51S(図4では図示していない)と、を備えて構成されている。そして、この車両用シフト装置500は、車両に搭載され、車両のシフト操作を行うために用いられる。
車両用シフト装置500のシフトノブ50Nは、図4に示すように、操作者によって把持し易いように細長い形状で形成され、図1ないし図3に示すように、図4に示す多方向操作装置101の操作部材11の操作部11tを覆うようにして係合されて配設されている。
車両用シフト装置500の制御部50Cは、集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成され、多方向操作装置101の箱状のケースK1に収容された配線基板19(図4を参照)に搭載されている。そして、制御部50Cは、図示していないコネクタを介して車両側機器に接続され、シフトノブ50Nの傾倒操作を受けて操作がされた位置情報信号を車両側機器に送信している。この位置情報信号を受けて、車両側では、シフトパターンに対応した動作を行うとともに、シフトパターンにおけるシフトノブ50Nのポジションをインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示するようにしている。
なお、車両用シフト装置500の第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sについては、後述する多方向操作装置101の説明で合わせて詳細に説明を行う。また、図4に示す配線基板19に制御部50Cとともに搭載された、第1位置検出手段51Sの第1信号処理部5S1と第2位置検出手段52Sの第2信号処理部5S2と多方向操作装置101の通電制御部RS4についても、後述する多方向操作装置101の説明で合わせて詳細に説明を行う。
ここで、本発明の第1実施形態における、多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500のシフト操作について、図5を用いて具体的に説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係わる多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500の操作を具体的に説明する図であって、図5(a)は、車両のシフトの配置(シフトパターン)を示した平面図であり、図5(b)は、シフトノブ50Nのポジション位置を示した平面図である。図5(a)に示すシフトパターンは、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示される。また、図5(b)に示すポジション位置は、シフトノブ50N(操作部材11)が操作されて、操作部材11が移動した位置を模式化したものである。
本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500は、シフトノブ50Nが変速機に直接接続されている機械制御方式の車両ではなく、電子制御方式の車両に適用される。故に、多方向操作装置101から送信されるシフト位置の情報信号だけで、車両のシフト操作が行われる。このシフト位置は、前述したインストルメントパネル等に設けられた表示部に表示されたシフトパターンに示されている。
例えば、シフトノブ50Nが図5(b)に示す操作部材11の第2ポジションP2に位置し、シフト位置が図5(a)に示すニュートラルモード“N”に位置する場合、シフトノブ50NをY1方向に傾倒操作して、図5(b)に示す前1段ポジションS21にすると、図5(a)に示すリバースモード“R”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
また、その後の操作で、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをY2方向に傾倒操作し、図5(b)に示す後1段ポジションS23、後2段ポジションS24と順に操作すると、リバースモード“R”にあったシフト位置が、図5(a)に示すニュートラルモード“N”、ドライブモード“D”へと順に移動する。この操作を受けて、図5(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフト操作が行われる。そして、操作者は、操作が完了したためシフトノブ50Nから手を離すので、シフトノブ50Nが自動復帰して、第2ポジションP2に戻るようになる。
このようにして、車両用シフト装置500は、リバースモード“R”、ニュートラルモード“N”及びドライブモード“D”を有するオート操作に対して、基準位置であるオート操作ポジションを多方向操作装置101の操作部材11の第2ポジションP2に割り付けて使用している。この際に、前述したように、リバースモード“R”からドライブモード“D”に切り換えるため、多方向操作装置101の操作部材11は、後1段ポジションS23、後2段ポジションS24とY2方向に傾倒操作できるようになっている。同様にして、ドライブモード“D”からリバースモード“R”に切り換えるため、多方向操作装置101の操作部材11は、図5(b)に示す前1段ポジションS21、前2段ポジションS22とY1方向に傾倒操作できるようになっている。なお、多方向操作装置101の操作部材11のY方向への移動方向を第2方向D2として以下説明を行う。
一方、例えば、図5(a)に示すドライブモード“D”にシフト位置がある場合、第2ポジションP2に位置するシフトノブ50NをX2方向に傾倒操作し、図5(b)に示す操作部材11の第1ポジションP1にすると、ドライブモード“D”にあったシフト位置が、図5(a)に示すマニュアルモードMに移動する。この際に、操作者がシフトノブ50Nから手を離しても、操作部材11(シフトノブ50N)は、第1ポジションP1に留まり、操作部材11の傾倒状態をそのまま維持している。
また、その後の操作で、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをY1方向に傾倒操作し、図5(b)に示すダウンポジションS11にすると、図5(a)に示すシフトダウンモード“−”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフトダウン操作が行われる。同様にして、第1ポジションP1に位置するシフトノブ50NをY2方向に傾倒操作し、図5(b)に示すアップポジションS13にすると、図5(a)に示すシフトアップモード“+”にシフト位置が移動したと、情報信号が車両側に送信され、車両のシフトアップ操作が行われる。
このようにして、車両用シフト装置500は、シフトダウンモード“−”及びシフトアップモード“+”を有するマニュアル操作に対して、基準位置であるマニュアル操作ポジションを多方向操作装置101の操作部材11の第1ポジションP1に割り付けて使用している。なお、Y方向への移動方向を第2方向D2としているのに対し、多方向操作装置101の操作部材11が第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動するX方向への移動方向を第1方向D1として以下説明を行う。また、図2及び図3では、説明を分かり易くするため、傾倒操作の第1方向D1及び第2方向D2を図示している。
次に、多方向操作装置101について説明を行う。図6は、本発明の第1実施形態の多方向操作装置101を説明する斜視図である。図6は、図4に示すケースK1、カバーK2及び配線基板19を省略している。図7は、本発明の第1実施形態の多方向操作装置101を説明する図であって、図6に示すY2側から見た正面図である。図7は、説明を分かり易くするため、支持体12である枠体12CのY2方向側の側壁(図6に示す枠体12C1)を省略している。但し、図6に示す枠体12C2は省略していない。図8は、本発明の第1実施形態の多方向操作装置101を説明する図であって、図8(a)は、図6に示すX1側から見た側面図であり、図8(b)は、図8(a)の枠体12Cを省略した側面図である。図8は、説明を分かり易くするため、操作部材11の一部と第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sも省略している。図9は、本発明の第1実施形態の多方向操作装置101における動作を説明する模式図であって、図9(a)は、操作部材11が第1ポジションP1にある状態の図であり、図9(b)は、第1ポジションP1から第2ポジションP2に移動する途中の状態の図であり、図9(c)は、第2ポジションP2にある状態の図である。図10は、本発明の第1実施形態の多方向操作装置101における動作を説明する模式図であって、図10(a)は、第2ポジションP2に操作部材11が位置する状態を示し、図10(b)は、図10(a)に示すP部分の拡大図である。
本発明の第1実施形態の多方向操作装置101は、図4及び図6に示すような外観を呈し、図7及び図8に示すように、操作者の操作を受けて傾倒動作可能な操作部材11と、操作部材11を傾倒動作可能に支持する支持体12と、操作部材11とともに第1方向D1へ傾倒動作する複数の可動側磁性体MMと、可動側磁性体MMのそれぞれと対向して配置された複数の固定側磁性体RMと、固定側磁性体RMを支持する固定側支持部材16と、操作部材11の第2方向D2への傾倒動作に対応した移動機構S7と、を備えて構成されている。他に、多方向操作装置101には、図4に示すように、複数の可動側磁性体MMと複数の固定側磁性体RMと固定側支持部材16を収容する箱状のケースK1と、ケースK1の開口部K1kを覆うカバーK2と、ケースK1に収容され制御部50Cが搭載された配線基板19と、を有している。そして、多方向操作装置101は、操作者の傾倒操作を受けて、操作部材11が第1ポジションP1及び第2ポジションP2間を移動する第1方向D1(図6及び図7に示すX1方向及びX2方向)の傾倒動作と、第1方向D1と直交する第2方向D2(図6及び図8(b)に示すY1方向及びY2方向)の傾倒動作と、が行える多方向への操作が可能な装置となっている。
多方向操作装置101の操作部材11は、合成樹脂材を成形して作製されており、図6及び図7に示すように、支持体12と係合され垂直方向(図6に示すZ方向)に延設された柱状の操作軸11jと、操作軸11jの一端側から斜めに延設された操作部11tと、操作軸11jの他端側に設けられ操作軸11jの軸中心が貫く平面に広がる平板状の基部11kと、を有して構成されている。
操作部材11の操作部11tには、前述したように、車両用シフト装置500のシフトノブ50Nが覆われて配設されている。また、操作部材11の基部11kは、図7に示すように、中央部分が少し曲げられた平板形状をしている。そして、操作部材11の傾倒動作に伴って、基部11kも連動して傾倒動作を行うように構成されている。
多方向操作装置101の支持体12は、合成樹脂材を成形して作製されており、図6に示すように、操作部材11の傾倒操作に応じて回動する第1連動部材12Aと、操作部材11の傾倒操作に応じて回動するとともに軸線方向が互いに直交する第2連動部材12Bと、第2連動部材12Bを支持している枠体12Cと、から構成されている。
支持体12の第1連動部材12Aは、図6及び図7に示すように、対向して配置される長尺の一対の側壁部12Aaと、これらの側壁部12Aaの両端部同士を連結する連結部12Abと、この連結部12Abからそれぞれ延設して設けられた第1傾倒軸12Acと、を有して構成されている。そして、この第1傾倒軸12Acは、多方向操作装置101が組み立てられた際には、枠体12C(12C3、12C4)に挿通されて(図6では、枠体12C4側のみが図示されている)、回動可能に枠体12Cに支持されている。これにより、この第1傾倒軸12Acを回動中心として、第1連動部材12Aが回動できるようになっている。
また、支持体12の第2連動部材12Bは、図6に示すように、ブロック状のベース部12Bgと、ベース部12Bgから上方に延設された結合部(図示はしていない)と、ベース部12Bgを貫いて配設されている第2傾倒軸12Bjと、を有して構成されている。そして、多方向操作装置101が組み立てられた際には、第2連動部材12Bが第1連動部材12Aの側壁部12Aa及び連結部12Abに囲まれた空間に挿入され、第2傾倒軸12Bjが一対の側壁部12Aaに挿通されて、回動可能に第1連動部材12Aに支持されている。また、操作部材11の操作軸11jに図示しない結合部が挿入されて係合している。これにより、支持体12は、第1連動部材12A、第2連動部材12B及び枠体12Cを用いて、操作部材11を傾倒動作可能に支持していることとなる。具体的には、第2連動部材12Bの第2傾倒軸12Bjを回動軸として、操作部材11が第1方向D1への回動ができ、第1連動部材12Aの第1傾倒軸12Acを回動軸として、操作部材11が第2方向D2への回動ができようになっている。
多方向操作装置101の固定側磁性体RMは、図9に示すように、ヨークRY4とヨークRY4に巻かれたコイルRC4とからなる電磁石であり、操作部材11が第1ポジションP1に移動した際に(図9(a)を参照)、可動側磁性体MMと当接または近接する第1電磁石R14と、操作部材11が第2ポジションP2に移動した際に(図9(c)を参照)、当接または近接する第2電磁石R24と、を組み合わせて構成されている。なお、本発明の第1実施形態では、平面視して第2傾倒軸12Bjを挟んで配設された一組の第1電磁石R14及び第2電磁石R24に加え、平面視して第1傾倒軸12Acを挟んで配設されたもう一組の第1電磁石R14及び第2電磁石R24が備えられている。
また、固定側磁性体RMの第1電磁石R14及び第2電磁石R24は、図7及び図8(b)に示すように、固定側支持部材16により支持され、ねじ等により固定側支持部材16に固定されている。この固定側支持部材16は、支持体12の枠体12Cと係合されて、固定されている。これにより、固定側磁性体RMが可動しない状態に保たれる。
また、図示はしていないが、集積回路(IC、Integrated Circuit)を用いて構成された通電制御部RS4が、フレキシブルプリント基板(FPC、Flexible printed circuits)を用いて、固定側磁性体RMに接続されている。この通電制御部RS4は、固定側磁性体RMである第1電磁石R14及び第2電磁石R24の状態を通電状態または無通電状態に制御する機能を有している。
多方向操作装置101の可動側磁性体MMは、永久磁石であり、図7及び図8(b)に示すように、操作部材11が第1ポジションP1に移動した際に(図9(a)を参照)、当接または近接する第1永久磁石M14と、操作部材11が第2ポジションP2に移動した際に(図9(c)を参照)、当接または近接する第2永久磁石M24と、を組み合わせて構成されている。この第1永久磁石M14及び第2永久磁石M24は、操作部材11の基部11kに配設されて固定されているので、操作部材11の傾倒動作と連動して傾倒動作を行うように構成されている。
また、可動側磁性体MMは、固定側磁性体RMに対向して配置されているので、可動側磁性体MMも同様にして、二組の第1永久磁石M14及び第2永久磁石M24が備えられている。これにより、本発明の第1実施形態では、第1ポジションP1及び第2ポジションP2での操作部材11の固定を強固にできるとともに、バランス良く固定することができる。
また、可動側磁性体MMが永久磁石であるので、永久磁石という簡単な部品で、強い吸引力或いは反発力を生じさせることができる。しかも、可動側に配設されるので、配線が必要な電磁石を配設する場合と比較して、配線の工夫を要しなく、簡単に配設することができる。これらのことにより、多方向操作装置101を容易に作製することができる。
多方向操作装置101の移動機構S7は、図8(b)及び図10(a)に示すように、操作部材11の基部11kから延設して設けられた摺動部材17と、摺動部材17が摺動するカム面を有するカム部材27と、を有して構成されている。
移動機構S7の摺動部材17は、詳細な図示はしていないが、カム部材27と摺動する先端部が押圧を受けて一方向(摺動部材17の軸方向)に可動する可動機構となっている。この可動機構は、摺動部材17の本体内部に付勢部材を配設し、先端部を付勢させることによって容易に達成できる。
移動機構S7のカム部材27のカム面には、図10(b)に示すように、カム溝27rと、カム山27a、カム溝27m、カム山27b及びカム溝27nと、カム山27c、カム溝27p、カム山27d及びカム溝27qと、が形成されている。
そして、カム山27aにより、図5(b)に示す第2ポジションP2から前1段ポジションS21に移動する際の節度感(クリック感)が得られるとともに、カム山27bにより、図5(b)に示す前1段ポジションS21から前2段ポジションS22に移動する際の節度感が得られる。つまり、摺動部材17の先端部がカム山27a、カム山27bを乗り越える際に、節度感が得られる。同様にして、カム山27cにより、図5(b)に示す第2ポジションP2から後1段ポジションS23への移動の節度感が得られるとともに、カム山27dにより、図5(b)に示す後1段ポジションS23から後2段ポジションS24への移動の節度感が得られる。なお、図面を用いての詳細な説明は省略するが、操作部材11が第1ポジションP1に位置する場合にも、同様なカム山が形成されており、図5(b)に示す第1ポジションP1からダウンポジションS11への移動、及び第1ポジションP1からアップポジションS13への移動に際して、節度感が得られるようになっている。
また、操作部材11が傾倒動作された後に、操作者がシフトノブ50Nから手を離すと、摺動部材17の先端部がカム部材27のカム面を滑り落ちて、カム溝27rに収まり、操作部材11が元の位置(第2ポジションP2)に戻され、自動復帰する。なお、言うまでもないが、第1ポジションP1に位置する場合にも、同様である。
多方向操作装置101のケースK1は、軟磁性体である鋼板に曲げ加工を行って作製されており、図4に示すように、一方面が開放された開口部K1kを有して、箱状に形成されている。このケースK1には、複数の可動側磁性体MM、複数の固定側磁性体RM、制御部50C及び通電制御部RS4が搭載された配線基板19、移動機構S7、第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sが収容されている。
多方向操作装置101のカバーK2は、軟磁性体である鋼板に抜き加工を行って作製されており、図4に示すように、ケースK1の開口部K1kを覆う平板状の形状で形成されている。そして、ケースK1及びカバーK2が軟磁性体である鋼板から形成されているので、多方向操作装置101が組み立てられた際には、複数の可動側磁性体MM及び複数の固定側磁性体RMから発生する磁気が、ケースK1及びカバーK2から外部に漏れることを防止することができる。これにより、外部機器への磁気により悪影響を防止することができる。
多方向操作装置101の配線基板19は、プリント配線板(printed wiring board)を用いており、前述したように、制御部50C及び通電制御部RS4が搭載されている。また、配線基板19には、図示はしていないが、電磁石である固定側磁性体RMとの電気的接続や第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sとの電気的接続のため、フレキシブルプリント基板がそれぞれ接続されている。また、図示はしていないが、外部機器との接続のためのコネクタも搭載されている。
最後に、車両用シフト装置500の第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sについて説明する。第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sは、抵抗体パターンが形成された基板と抵抗パターンを摺接する摺動子とから構成される回転型可変抵抗器を用いている。そして、図6に示すように、第1位置検出手段51Sが第1連動部材12Aの第1傾倒軸12Acに係合されて、第2位置検出手段52Sが第2連動部材12Bの第2傾倒軸12Bjに係合されている。
また、第1位置検出手段51Sには、第1位置検出手段51Sからの信号を処理する第1信号処理部5S1が図示しないフレキシブルプリント基板により接続されており、第1位置検出手段51Sが第1傾倒軸12Acの回転角度を検出して、配線基板19に搭載された第1信号処理部5S1(図4を参照)がこの回転角度から操作部材11の第2方向D2への移動を検出している。同様にして、第2位置検出手段52Sには、第2位置検出手段52Sからの信号を処理する第2信号処理部5S2が図示しないフレキシブルプリント基板により接続されており、第2位置検出手段52Sが第2傾倒軸12Bjの回転角度を検出して、配線基板19に搭載された第2信号処理部5S2(図4を参照)がこの回転角度から操作部材11の第1方向D1への移動を検出している。なお、本発明の第1実施形態では、第1位置検出手段51S及び第2位置検出手段52Sに、回転型可変抵抗器を用いたが、これに限るものではなく、例えば永久磁石と磁気検出素子を組み合わせて、位置検出手段としても良い。
次に、以上のように構成された多方向操作装置101の動作について説明する。
先ず、操作部材11が第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動する第1方向D1の動きについて、図9を用いて説明する。
この第1ポジションP1と第2ポジションP2とを移動する第1方向D1の動きについては、電磁石である固定側磁性体RMに繋がれている通電制御部RS4によって、この動きの制御が行われる。そして、この通電制御部RS4は、操作部材11を第1ポジションP1に保持する第1制御モードと、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ移動させる第2制御モードと、操作部材11を第2ポジションP2に保持する第3制御モードと、操作部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1へ移動させる第4制御モードと、を有している。
先ず、通電制御部RS4による第1制御モードでは、例えば操作者により第1方向D1に傾倒操作がされて第1ポジションP1に操作部材11が位置した際に(図9(a)の状態)、通電制御部RS4は、第1電磁石R14を無通電状態とし、第1永久磁石M14の磁力によって、第1電磁石R14のヨークRY4を磁気的に吸引して、操作部材11を第1ポジションP1に保持するようにしている。これにより、操作者による傾倒操作が解除されても(操作者がシフトノブ50Nから手を離しても)、操作部材11が第1ポジションP1に保持され、従来例のように基準位置(従来例ではシフトゲート921aの交点)に常に復帰すると、いうことがない。しかも、第1電磁石R14を無通電状態にして傾倒状態をそのまま維持することができるので、第1電磁石R14を通電して維持する場合と比較して、省電力化を図ることができる。
例えば、本発明の第1実施形態のように、多方向操作装置101を車両用シフト装置500に適用した場合、前述したように、第1ポジションP1をマニュアル操作の基準位置であるマニュアル操作ポジションとし、第2ポジションP2をオート操作の基準位置であるオート操作ポジションとすることができる。これにより、第1ポジションP1に操作部材11(シフトノブ50N)を傾倒操作した後に、第1制御モードにより、マニュアル操作ポジションのままで操作部材11(シフトノブ50N)を保持させ、マニュアル操作を連続的に行えるようにできる。このことにより、本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500は、車両のシフトの配置(シフトパターン)に対して、多方向操作装置101が好適に適用され、マニュアル操作を快適に行うことができる。
また、第1制御モードにおいて、操作部材11が第1ポジションP1に保持された状態で操作者による傾倒操作がされた際に、通電制御部RS4は、外部機器からの第1トリガー信号を受けて、第1電磁石R14に電流を流し通電状態とし、第1永久磁石M14を吸引する磁気力を強めて操作部材11を第1ポジションP1に保持するような選択ができるようになっている。これにより、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態に合わせて、操作者に対してより大きな力を与えることで、操作部材11を第1ポジションP1に留まらせることができる。
次に、通電制御部RS4による第2制御モードでは、通電制御部RS4は、第2永久磁石M24を吸引する方向となるように第2電磁石R24に電流を流し通電状態とし、第2電磁石R24と第2永久磁石M24とを互いに吸引させることによって、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ移動させるようにしている。これは、図9(a)に示す状態から、図9(b)に示す状態を経て、図9(c)に示す状態になることである。この際には、第1永久磁石M14と第1電磁石R14のヨークRY4との吸引力より、第2電磁石R24と第2永久磁石M24との吸引力が強くなるように、第2電磁石R24に電流を流している。これにより、操作者による傾倒操作が行われなくても、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ自動的に移動させることができる。
また、第2制御モードにおいて、操作部材11が第2ポジションP2に移動完了後、通電制御部RS4は、第2電磁石R24への電流の供給を停止し無通電状態としている。これにより、操作者による傾倒操作が解除されても、第2電磁石R24のヨークRY4と第2永久磁石M24とが吸引して、操作部材11を第2ポジションP2に保持することができる。このことにより、第2ポジションP2に操作部材11を保持するために第2電磁石R24を通電する場合と比較して、より省電力化を図ることができる。更に、通電状態を維持することによる発熱をなくすことができる。
例えば、本発明の第1実施形態のように、多方向操作装置101を車両用シフト装置500に適用した場合、第2ポジションP2に操作部材11(シフトノブ50N)を傾倒操作した後に、第2制御モードにより、オート操作ポジションのままで操作部材11(シフトノブ50N)を保持させ、オート操作を連続的に行えるようにできる。このことにより、本発明の第1実施形態の車両用シフト装置500は、車両のシフトの配置(シフトパターン)に対して、多方向操作装置101が好適に適用され、オート操作を快適に行うことができる。
また、本発明の第1実施形態では、第2制御モードにおいて、操作部材11が第1ポジションP1から第2ポジションP2へ移動する際に、通電制御部RS4は、第1電磁石R14に電流を流し通電状態とし、第1永久磁石M14と反発させるようにしている。これにより、第1電磁石R14と第1永久磁石M14との反発力が更に加わるので、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ確実に移動させることができる。また、移動の際の必要な移動の力を同じように得ようとすると、それぞれの電磁石及び永久磁石を小さくすることができる。
また、本発明の第1実施形態では、通電制御部RS4は、外部機器からの第2トリガー信号を受けて、第2制御モードを行うような選択ができるようになっている。これにより、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態に合わせて、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ自動的に移動させることができる。このことにより、操作部材11のポジション(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)を多彩なタイミングで制御することができる。
例えば、本発明の第1実施形態のように、多方向操作装置101を車両用シフト装置500に適用した場合、車両のイグニッションスイッチにおける“オフ”のタイミングをトリガーとして、第2トリガー信号を送信するように設定しておくと、第2制御モードにより、マニュアル操作ポジション(第1ポジションP1)からオート操作ポジション(第2ポジションP2)へ自動的に戻すことができる。このため、車両を始動する際には、常にオート操作ポジションにシフトノブ50N(操作部材11)が存在するようにできる。
次に、通電制御部RS4による第3制御モードでは、第2制御モードで行われた第2電磁石R24の無通電状態が継続され、第2電磁石R24のヨークRY4と第2永久磁石M24とが吸引して、操作部材11を第2ポジションP2に保持している。
また、第3制御モードにおいて、操作部材11が第2ポジションP2に保持された状態で操作者による傾倒操作がされた際に、通電制御部RS4は、外部機器からの第3トリガー信号を受けて、第2電磁石R24に電流を流し通電状態とし、第2永久磁石M24を吸引する磁気力を強めて操作部材11を第2ポジションP2に保持するような選択ができるようになっている。これにより、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態に合わせて、操作者に対してより大きな力を与えることで、操作部材11を第2ポジションP2に留まらせることができる。このことにより、操作部材11のポジション(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)を多彩なタイミングで制御することができる。
例えば、本発明の第1実施形態のように、多方向操作装置101を車両用シフト装置500に適用した場合、シフトノブ50Nがオート操作ポジション(第2ポジションP2)にあって、ドライブモード“D”以外のモード(例えば、ニュートラルモード“N”やリバースモード“R”)であることをトリガーとして、第3トリガー信号を送信するように設定しておくと、第3制御モードにより、オート操作ポジション(第2ポジションP2)からマニュアル操作ポジション(第1ポジションP1)の方向にシフトノブ50Nが傾倒操作されることを阻止するようにできる。このため、ドライブモード“D”からのみマニュアル操作ポジションに移行させることができ、他のニュートラルモード“N”やリバースモード“R”からマニュアル操作ポジションに移行しないようにするための機構を新たに設ける必要がない。特に、シフトノブ50N(操作部材11)が第2ポジションP2(オート操作ポジション)に復帰するタイプの電子制御方式の車両用シフト装置500では、機械的な構成でシフトノブ50Nの第1方向D1の動きを各モードに合わせて制御することが難しく、多方向操作装置101がより好適に適用される。
最後に、通電制御部RS4による第4制御モードでは、通電制御部RS4は、第1永久磁石M14を吸引する方向となるように第1電磁石R14に電流を流し通電状態とし、第1電磁石R14と第1永久磁石M14とを互いに吸引させることによって、操作部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1へ移動させるようにしている。これは、図9(c)に示す状態から、図9(b)に示す状態を経て、図9(a)に示す状態になることである。この際には、第2永久磁石M24と第2電磁石R24のヨークRY4との吸引力より、第1電磁石R14と第1永久磁石M14との吸引力が強くなるように、第1電磁石R14に電流を流している。これにより、操作者による傾倒操作が行われなくても、操作部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1へ自動的に移動させることができる。
また、第4制御モードにおいて、操作部材11が第1ポジションP1に移動完了後、通電制御部RS4は、第1電磁石R14への電流の供給を停止し無通電状態としている。そして、前述したように、第1制御モードにより、第1電磁石R14の無通電状態が継続され、第1電磁石R14のヨークRY4と第1永久磁石M14とが吸引して、操作部材11を第1ポジションP1に保持されるようになる。これにより、操作者による傾倒操作が解除されても、操作部材11を第1ポジションP1に保持することができる。このことにより、前述したように、第1ポジションP1に操作部材11を保持するために第1電磁石R14を通電する場合と比較して、より省電力化を図ることができる。更に、通電状態を維持することによる発熱をなくすことができる。
また、本発明の第1実施形態では、第4制御モードにおいて、操作部材11が第2ポジションP2から第1ポジションP1へ移動する際に、通電制御部RS4は、第2電磁石R24に電流を流し通電状態とし、第2永久磁石M24と反発させるようにしている。これにより、第2電磁石R24と第2永久磁石M24との反発力が更に加わるので、操作部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1へ確実に移動させることができる。また、移動の際の必要な移動の力を同じように得ようとすると、それぞれの電磁石及び永久磁石を小さくすることができる。
また、本発明の第1実施形態では、通電制御部RS4は、外部機器からの第4トリガー信号を受けて、第4制御モードを行うような選択ができるようになっている。これにより、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態に合わせて、操作部材11を第2ポジションP2から第1ポジションP1へ自動的に移動させることができる。このことにより、操作部材11のポジション(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)を多彩なタイミングで制御することができる。
次に、第1方向D1とは別な第2方向D2への動きについて、図5(b)及び図10を用いて簡単に説明する。
第2方向D2に移動する動きについては、この第1ポジションP1或いは第2ポジションP2を基準位置として(図5(b)を参照)、操作者の傾倒操作によって行われ、図10(a)に示す移動機構S7が対応して用いられている。ここでは、第2ポジションP2を基準位置とした動きについて詳細に説明する。なお、第1ポジションP1を基準位置とした第2方向D2の動きについては、以下説明する動きと同様である。
先ず、操作部材11が第2ポジションP2の基準位置にある際には、移動機構S7の摺動部材17は、図10(b)に示すように、カム部材27のカム山27aとカム山27cとの間に設けられたカム溝27rに当接している。
そして、操作者によりY1方向への傾倒操作がされると、摺動部材17がカム部材27のカム面を摺動し、カム山27aを乗り越え、カム溝27mに当接するようになり、操作部材11が前1段ポジションS21(図5(b)を参照)に位置するようになる。その際に、摺動部材17がカム山27aを越えるので、第2ポジションP2から前1段ポジションS21に移動する際の節度感(クリック感)が得られるようになる。更に、操作者によりY1方向への傾倒操作が継続されると、摺動部材17がカム部材27のカム面を摺動し、カム山27bを乗り越え、カム溝27nに当接するようになり、操作部材11が前2段ポジションS22(図5(b)を参照)に位置するようになる。その際に、摺動部材17がカム山27bを越えるので、同様にして、前1段ポジションS21から前2段ポジションS22に移動する際の節度感が得られるようになる。
同様にして、操作者によりY2方向への傾倒操作がされると、摺動部材17がカム部材27のカム面を摺動し、カム山27c、更にはカム山27dを乗り越え、カム溝27p、更にはカム溝27qと当接するようになる。その際にも、第2ポジションP2から後1段ポジションS23(図5(b)を参照)への移動、後1段ポジションS23から後2段ポジションS24(図5(b)を参照)への移動する際の節度感が得られるようになる。
また、前1段ポジションS21或いは前2段ポジションS22、後1段ポジションS23或いは後2段ポジションS24への操作が終了した後、操作者による傾倒操作が解除される(操作者がシフトノブ50Nから手を離す)と、操作部材11が第2ポジションP2へ戻されるようになっている。以上のようにして、第2方向D2の動きが行われる。
以上のように構成された本発明の第1実施形態の多方向操作装置101及び多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500における、効果について、以下に纏めて説明する。
本発明の第1実施形態の多方向操作装置101は、操作者により傾倒操作がされて第1ポジションP1に操作部材11が位置した際に、通電制御部RS4が第1制御モードにより第1永久磁石M14の磁力によって第1電磁石R14のヨークRY4を磁気的に吸引して操作部材11を第1ポジションP1に保持するので、操作者による傾倒操作が解除されても、従来例のように基準位置(従来例ではシフトゲート921aの交点)に常に復帰することがなく、操作部材11の傾倒状態をそのまま維持することができる。しかも第1電磁石R14を無通電状態として操作部材11を保持することができるので、第1電磁石R14を通電して維持する場合と比較して、省電力化を図ることができる。更に、通電制御部RS4が第2制御モードにより第2電磁石R24と第2永久磁石M24とを互いに吸引させることによって操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ移動させるので、操作者による傾倒操作が行われなくても、操作部材11を自動的に移動させることができる。これらのことにより、簡易な構成で有りながら、省電力化が図れ、任意のタイミングで操作部材11を自動的に移動させることができる多方向操作装置101を提供することができる。
また、操作部材11の第2ポジションP2への移動完了後、操作者による傾倒操作が解除されても、第2電磁石R24のヨークRY4と第2永久磁石M24とが吸引して操作部材11を第2ポジションP2に保持することができる。このことにより、通電制御部RS4が第2電磁石R24を無通電状態としているので、第2ポジションP2に操作部材11を保持するために第2電磁石R24を通電する場合と比較して、より省電力化を図ることができる。更に、通電状態を維持することによる発熱をなくすことができる。
また、通電制御部RS4が、第1電磁石R14を通電状態とし、第1永久磁石M14と反発させるので、操作部材11が第1ポジションP1から第2ポジションP2へ移動する際に、第1電磁石R14と第1永久磁石M14との反発力が更に加わるので、操作部材11を第1ポジションP1から第2ポジションP2へ確実に移動させることができる。また、移動の際の必要な移動の力を同じように得ようとすると、それぞれの電磁石及び永久磁石を小さくすることができる。
また、通電制御部RS4が外部機器からの第2トリガー信号を受けて第2制御モードを行うので、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態によって、操作部材11を自動的に移動させることができる。このことにより、操作部材11のポジション(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)を多彩なタイミングで制御することができる。
また、通電制御部RS4が外部機器からの第3トリガー信号を受けて第3制御モードを行うので、多方向操作装置101が適用される外部機器の状態に合わせて、操作者に対してより大きな力を与えることで、操作部材11を第2ポジションP2に留まらせることができる。このことにより、操作部材11のポジション(第1ポジションP1或いは第2ポジションP2)を多彩なタイミングで制御することができる。
また、可動側磁性体MMが永久磁石であるので、永久磁石という簡単な部品で、強い吸引力或いは反発力を生じさせることができる。しかも、可動側に配設されるので、配線が必要な電磁石を配設する場合と比較して、配線の工夫を要しなく、簡単に配設することができる。これらのことにより、多方向操作装置101を容易に作製することができる。
本発明の第1実施形態の多方向操作装置101を用いた車両用シフト装置500は、上記に記載の多方向操作装置101と第1位置検出手段51Sと第2位置検出手段52Sを車両用シフト装置500に適用したので、車両のシフトの配置(シフトパターン)に対して好適に適用され、オート操作及びマニュアル操作を快適に行うことができる。
例えば、第1ポジションP1をマニュアル操作ポジションとし、第2ポジションP2をオート操作ポジションとすると、第1ポジションP1にシフトノブ50Nを傾倒操作した後に、第1制御モードにより、マニュアル操作ポジションのままでシフトノブ50Nを保持させ、マニュアル操作を連続的に行えるようにできる。
また、第2ポジションP2にシフトノブ50Nを傾倒操作した後に、第2制御モードにより、オート操作ポジションのままでシフトノブ50Nを保持させ、オート操作を連続的に行えるようにできる。また、車両のイグニッションスイッチにおける“オフ”のタイミングをトリガーとして、第2トリガー信号を送信するように設定しておくと、第2制御モードにより、マニュアル操作ポジション(第1ポジションP1)からオート操作ポジション(第2ポジションP2)へ自動的に戻すことができる。このため、車両を始動する際には、常にオート操作ポジションにシフトノブ50Nが存在するようにできる。
また、シフトノブ50Nがオート操作ポジション(第2ポジションP2)にあって、ドライブモード“D”以外のモード(例えば、ニュートラルモード“N”やリバースモード“R”)であることをトリガーとして、第3トリガー信号を送信するように設定しておくと、第3制御モードにより、オート操作ポジション(第2ポジションP2)からマニュアル操作ポジション(第1ポジションP1)への方向にシフトノブ50Nが傾倒操作されることを阻止するようにできる。このため、ドライブモード“D”からのみマニュアル操作ポジションに移行させることができ、他のニュートラルモード“N”やリバースモード“R”からマニュアル操作ポジションに移行しないようにするための機構を新たに設ける必要がない。特に、シフトノブ50Nが第2ポジションP2(オート操作ポジション)に復帰するタイプの電子制御方式の車両用シフト装置500では、機械的な構成でシフトノブ50Nの第1方向D1の動きを各モードに合わせて制御することが難しく、多方向操作装置101がより好適に適用される。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
<変形例1>
上記第1実施形態では、固定側磁性体RMを電磁石とし、可動側磁性体MMを永久磁石と好適に構成したが、固定側磁性体RMを永久磁石とし、可動側磁性体MMを電磁石として構成しても良い。
<変形例2>
上記第1実施形態では、多方向操作装置101を電子制御方式の車両用シフト装置500に好適に適用したが、これに限るものではなく、機械制御方式の車両用シフト装置にも適用できる。また、車両用シフト装置に限らず、ゲーム機等の入力装置にも適用できる。
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。