JP6065688B2 - 極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法 Download PDF

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本発明は、極低炭素鋼スラブの連続鋳造において、製品となる鋼板の表面疵発生の原因となる気泡欠陥を効果的に防止することができる極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法に関するものである。
鋼の連続鋳造において、アルミナに代表される高融点非金属介在物の付着が引き起こす浸漬ノズル内面の閉塞は、連続鋳造操業および連続鋳造された鋳片の品質に大きな影響を及ぼす問題である。
この浸漬ノズル内面の閉塞を防止する方法としては、浸漬ノズルの内面にArガスを流して浸漬ノズルを形成する耐火物と浸漬ノズル内を流下する溶鋼との接触機会を低減する方法が広く用いられている。
しかしながら、浸漬ノズルから流出したArガスは、鋳型内で完全に浮上除去されずにスラブの気泡欠陥となり、製品となる鋼板の表面疵を引き起こす原因になるという問題があった。
特に炭素含有量が0.01mass%以下の極低炭素鋼は、表面品質に対して厳格なめっき鋼板の材料となることから、そのスラブに発生する気泡欠陥、すなわちピンホールを低減する要求が強い。さらに、極低炭素鋼は、鋳型内で凝固シェルの先端部が庇状に張り出し易く、気泡が凝固シェルに補足され易い。
そこで、従来は、上記問題に対して、浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を低減して、浸漬ノズル内面へのアルミナ等の高融点非金属介在物の付着を抑制する対策が講じられてきた。
例えば、特許文献1には、鋳造中の高温化における化学反応によって緻密な内面を形成する、スピネル−ペリクレース−黒鉛系の耐火物が開示されている。また、特許文献2には、低融点の緑柱石を含有して内面に半溶融層を形成する、マグネシア−黒鉛系或いはスピネル−黒鉛系の耐火物が開示されている。また、特許文献3には、アルミナグラファイトに微量のCaOを含有させることにより、浸漬ノズルの内面にアルミナ介在物が付着するのを抑制し、さらに通電を併用してその効果を増す発明が開示されている。或いは、特許文献4〜6には、浸漬ノズル内への不活性ガスの吹込み方法を適正化することにより、浸漬ノズル内面の閉塞防止と気泡欠陥の発生防止を両立する方法が開示されている。
前記特許文献1〜6で開示された方法は、それぞれ一定の効果を発揮することが確認できている。しかしながら、気泡欠陥の発生をさらに抑制するために、浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を増やして浸漬ノズル内面の閉塞を防止しようとすると、気泡欠陥が増加する因果関係を抜本的に改善できるものではない。
特許第3358989号公報 特開2002−35904公報 特開2010−201504号公報 特開2001−300702号公報 特開2010−5691公報 特開2011−110561号公報
本発明が解決しようとする問題点は、特許文献1〜6で開示された方法では、気泡欠陥の発生をさらに抑制するために、浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を増やすと、気泡欠陥が増加する因果関係を抜本的に改善できないという点である。
発明者は、十分に高純度であると考えられてきた工業的に用いられているArガスに含まれる微量の不純物が、気泡欠陥の発生とArガス吹込みによる浸漬ノズル内面の閉塞防止作用の二つの現象に対して無視しがたい影響を同時に及ぼしていることを見出した。
本発明の極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法は、発明者が工業的に用いられているArガスの純度に着目して知見した内容に基づいてなされたものであり、
浸漬ノズルの内面に、純度が99.999vol%以上、酸素濃度が0.1volppm以下、露点が−70℃以下の高純度のArガスを流すことを最も主要な特徴としている。
上記本発明によれば、浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を増やした場合にも、気泡欠陥が増加することを効果的に防止することができる。
本発明では、浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を増やした場合にも、気泡欠陥が増加することを抑制することができるので、品質要求レベルが高い極低炭素鋼スラブの製造時にも、表面気泡欠陥の発生を効果的に防止することができる。
本発明の効果を確認するための実験に使用した浸漬ノズルの縦断面図である。 本発明の効果を確認するための実験に使用した上ノズル、スライディングゲート、浸漬ノズルの縦断面図である。 本発明の効果を確認するための実験に使用した上ノズルとストッパーの縦断面図である。
浸漬ノズルの内面に流すArガスの流量を増やした場合にも、気泡欠陥が増加することを抑制するという目的を、純度が99.999vol%以上、酸素濃度が0.1volppm以下、露点が−70℃以下の高純度のArガスを流すことにより実現した。
以下、本発明の極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法について説明する。
非金属介在物が浸漬ノズル内面に付着するのを防止するために浸漬ノズルの内面に流すArガスは、上ノズル、スライディングゲートを構成する上固定盤、浸漬ノズル本体などから吹き込まれる。
通常、Arガスは純度規格が99.9vol%程度のものが工業的に用いられている。Arガス中に含まれる酸素などの不純成分による汚染を防止する観点からは、99.9vol%というのは十分に高い純度である。
発明者は、従来、不必要と考えられていた程度までArガスの純度を高めることによって、浸漬ノズルを通って鋳型内に持ち込まれたArガスが鋳型内で浮上除去されやすいことを実験的に見出した。
すなわち、純度が99.999vol%以上、酸素濃度が0.1volppm以下、露点が−70℃以下の高純度のArガスを浸漬ノズルの内面に流しながら連続鋳造することで、気泡欠陥が発生し易く、品質要求レベルも最も高い極低炭素鋼製品の品質を向上することができる。これが第1の本発明である。
発明者は、気泡欠陥の主な原因が、Arガス中の微小濃度の不純元素が溶鋼とArガスとの界面張力(溶鋼の表面張力)を低下させ、鋳型内の溶鋼湯面におけるArガス気泡の浮上(溶鋼湯面から上方への気泡の抜け)を阻害していることにあると推定した。
従って、Arガスの純度を高めることによって溶鋼の表面張力(Arガスとの界面張力)を本来の値まで高め、鋳型内の溶鋼湯面において気泡が溶鋼の表面張力の作用によって上方へ弾き出される力を大きくすることが、気泡欠陥の減少に有効であると考えた。
さらに、前記高純度のArガスを浸漬ノズルの内面に流すことにより、浸漬ノズルの内面にArガス膜が安定的に形成され、溶鋼ならびに溶鋼中の非金属介在物の浸漬ノズル内面への接触機会が減少して、浸漬ノズルの閉塞が効果的に抑制される。その結果、浸漬ノズルからの吐出流ならびに鋳型内流動が安定に保たれ、溶鋼中の気泡の浮上を阻害する鋳型内溶鋼湯面の温度低下を防止でき、間接的にも気泡欠陥の減少効果が発揮される。
第1の本発明において、上記のArガスによる気泡欠陥の減少効果をより効果的に行うためには、Arガスの純度は99.99vol%以上であることが好ましく、99.999vol%以上であるとより好ましい。また、酸素濃度は0.1volppm以下であるとより好ましい。また、露点は−70℃以下であるとより好ましい。
また、発明者は、実験の結果、連続鋳造のタンディッシュとタンディッシュ底面に配置する浸漬ノズルとの間にある流量調整用の絞りの前後で、吹き込まれたArガスが浸漬ノズル内を流れる割合に差が生じることを知見した。
すなわち、流量調整用の絞りよりも上流側へ吹き込んだArガスは、概ね1/5が浸漬ノズル内を流れる一方、流量調整用の絞りよりも下流側に吹き込んだArガスは、全て浸漬ノズル内を流れることを知見した。
前記流量調整用の絞りとは、スライディングゲートを構成するスライダーの移動や、ストッパーと上ノズルの間隙によって形成される流路断面積の縮小部を指す。
この知見から、浸漬ノズル内を流れるArガスの流量の指標として、流路絞りよりも上流側に吹き込むArガスの流量をq1(Nリットル/分)、流路絞りよりも下流側に吹き込むArガスの流量をq2(Nリットル/分)として、(q1/5)+q2を用いることとした。
Arガス吹き込みによる浸漬ノズル内面の閉塞防止効果は、Arガス膜が浸漬ノズルの内面を覆うことによるから、発明者は、前記指標(q1/5)+q2を浸漬ノズルの内面積A(m2)で除した{(q1/5)+q2}/Aの値が適正なArガス流量の指標になると考えた。
発明者が前記高純度のArガスを用いて実験的に{(q1/5)+q2}/Aの値の適正範囲を求めた結果、9.709492〜25という適正範囲を得た。
第2の本発明は上記実験結果に基づいてなされたものであり、
流量調整用の流路絞りを形成するスライディングゲートの間隙、或いはストッパーと上ノズルの間隙の流路絞りよりも上流側に吹き込むArガスの流量をq1(Nリットル/分)、前記流路絞りよりも下流側に吹き込むArガスの流量をq2(Nリットル/分)、浸漬ノズル内を流下する溶鋼との接触機会をもつ浸漬ノズルの内面積をA(m2)とした時、{(q1/5)+q2}/Aの値が9.709492〜25の間であることを特徴とするものである。
発明者の実験によれば、{(q1/5)+q2}/Aの値が9.709492未満の場合は、第1の発明で規定する高純度のArガスを吹き込んだ場合であっても、浸漬ノズル内面の閉塞防止効果が十分に発揮されないからである。また、{(q1/5)+q2}/Aの値が25を超える場合は、第1の発明で規定する高純度のArガスを吹き込んだ場合でも、過剰なArガスが鋳片の気泡性欠陥を増大させるからである。
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
実験は下記表1に示す組成の極低炭素鋼を下記表2,3に示す条件で鋳造したもので、下記表2のa,bは第1の本発明で規定する要件を満たす実施例、d,eは第1及び第2の本発明で規定する要件を満たす実施例、c,fは本発明の比較例である。また、表3のgは実施例aと同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例、hは実施例bと同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例、iは比較例cと同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例、jは実施例eと同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例である。
Figure 0006065688
Figure 0006065688
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上記表2,3中のS/Gはスライディングゲートを示す。また、浸漬ノズル内面付着指数は、表1に示す組成の極低炭素鋼を500〜1000トン連続して鋳造した後の浸漬ノズル内面に付着した非金属介在物の付着厚さから平均付着速度を算出し、比較例gの場合の平均付着速度を50として指数化したものである。また、スラブ表面のピンホール指数は、表1に示す組成の極低炭素鋼を表2,3に示す条件で鋳造して得られたスラブの表面を2mm溶削した後、溶削面に表れたピンホール数を目視でカウントし、単位面積当たりのピンホール密度を求め、比較例hの場合のピンホール密度を50として指数化したものである。
実施例aは、ストッパーを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、浸漬ノズルから高純度のArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。使用した浸漬ノズル1は、図1に示すように、Arガスの吹き込みパイプの接続口(プラグ)2と、耐火物内部に蓄気用空間であるスリット3と、スリット3と浸漬ノズル内面との間に多孔質耐火物4を設け、吹き込んだArガスが多孔質耐火物4を通じて浸漬ノズル内に吹き込まれる構造のものである。なお、図1中の数字は浸漬ノズルの前記スリット3などの寸法を表している。
実施例aは、吹き込むArガス流量が第2の本発明で規定する範囲よりも少ないので、Arガスによる浸漬ノズル内面の閉塞防止効果は小さいものの(浸漬ノズル内面付着指数は比較例gの1/2)、比較例gに比べてスラブ表面のピンホール指数は1/3程度に低下した。
実施例bは、スライディングゲートを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、スライディングゲートの上プレート及び浸漬ノズルから高純度のArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。使用したスライディングゲート5の上プレート5aには、図2に示すように、Arガスの吹き込みプラグ6が埋め込まれ、耐火物内部には蓄気用空間であるスリット7を有し、スリット7から延びる複数の貫通細孔8がスライディングゲート内面に到達している。吹き込んだArガスはこれらの貫通細孔を通じて溶鋼中に吹き込まれ、浸漬ノズルの内面に到達する。浸漬ノズルからのArガス吹込み構造は、実施例aと同じである。なお、図2中の5bはスライダー、5cは下プレートを示し、数字はスライディングゲートの要部の寸法を表している。
実施例bは、吹き込むArガス流量が第2の本発明で規定する範囲よりも多いので、Arガスによる浸漬ノズル内面の閉塞防止効果が非常に大きく、浸漬ノズル内面への非金属介在物の付着はほとんど見られなかった(浸漬ノズル内面付着指数は実施例aの約1/13)。しかしながら、スラブ表面のピンホール指数は、実施例aに比べて3倍程度に増加した。とはいえ、同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例hに比べると、スラブ表面のピンホール指数は1/4程度に抑制できた。なお、比較例hにおける浸漬ノズル内面付着指数は、実施例bよりも大きいものの、Arガス吹き込み量の少ない実施例aと同程度であった。
比較例cは、スライディングゲートを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、上ノズル、スライディングゲートの上プレート及び浸漬ノズルから高純度のArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。上ノズル9には、図3に示すように、Arガスの吹き込みプラグ10が埋め込まれ、耐火物内部には蓄気用空間であるスリット11を有し、スリット11と上ノズル内面との間に設けた多孔質耐火物12を通じて溶鋼中に吹き込んだArガスが浸漬ノズルの内面に到達する。スライディングゲート及び浸漬ノズルからのArガス吹込み構造は、実施例bと同じである。なお、図3中の数字はストッパー及び上ノズルの要部の寸法を表している。
図3に示すように、上ノズル上部のArガス吹き込み部位は、流路が絞られる部位(ストッパー13と上ノズル9の間隙が最も小さい部位)よりも上流側にあるため、ここから吹き込まれるArガス流量をq1とした。一方、上ノズル下部のArガス吹き込み部位は、流路が絞られる部位よりも下流側にあるため、ここから吹き込まれるArガス流量をq2とした。
なお、Arガスの吹き込み部位が、前記流路が絞られる部位の上流側と下流側に跨って存在している場合には、当該部位から吹き込まれる流量はq2としてカウントする。これは、溶融金属の圧力が低い下流側から優先的にArガスが流出するからである。
比較例cは、吹き込むArガス流量が第2の本発明で規定する範囲よりも多いので、Arガスによる浸漬ノズル内面の閉塞防止効果が十分に大きく、浸漬ノズル内面への非金属介在物の付着は少なかった(浸漬ノズル内面付着指数は実施例aの約1/6)。しかしながら、吹き込むArガスが第1の本発明で規定する純度よりも低いので、スラブ表面のピンホール指数は、実施例aに比べて約4倍に増加した。とはいえ、同じ条件で通常のArガスを吹き込んだ比較例iに比べると、スラブ表面のピンホール指数は約1/3に抑制できた。なお、比較例iにおける浸漬ノズル内面付着指数は、比較例cよりも大きいものの、Arガス吹き込み量の少ない実施例aと同程度であった。
実施例dは、ストッパーを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、上ノズル及び浸漬ノズルから高純度のArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。上ノズル及び浸漬ノズルからArガスを吹き込む構造は比較例cと同じである。
実施例dは、吹き込むArガス流量が第2の本発明で規定する範囲内であるので、吹き込んだArガスが十分な浸漬ノズル内面の閉塞防止効果を発揮している(浸漬ノズル内面付着指数は実施例aの1/5)。また、スラブ表面のピンホール指数も、Arガス流量が第2の本発明で規定する範囲を外れた、比較例c,g,h,iや実施例bに比べて低位であった。
実施例eは、スライディングゲートを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、上ノズル及びスライディングゲートの上プレートから高純度のArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。上ノズル及びスライディングゲートの上プレートからArガスを吹き込む構造は比較例cと同じである。
実施例eは、吹き込むArガス流量が第2の本発明で規定する範囲内であるので、吹き込んだArガスが十分な浸漬ノズル内面の閉塞防止効果を発揮している(浸漬ノズル内面付着指数は比較例jの約1/6)。また、スラブ表面のピンホール指数も、比較例c,jや実施例bに比べて低位であった。
比較例fは、スライディングゲートを用いてタンディッシュから鋳型への流量調整を行う場合に、上ノズルからArガスを吹き込みつつ、極低炭素鋼スラブを連続鋳造した例である。上ノズルからArガスを吹き込む構造は比較例cと同じである。
比較例fは、吹き込むArガス流量がほぼ第2の本発明で規定する範囲内であるので、吹き込んだArガスが十分な浸漬ノズル内面の閉塞防止効果を発揮している(浸漬ノズル内面付着指数は実施例eに対しやや劣る結果であった。これは、比較例fのArガスの純度が実施例eのそれよりも若干低いことに起因している。)。また、スラブ表面のピンホール指数も、比較例c,jや実施例bに比べて低位に抑制できた。
上記のように、第1の本発明の要件を満たす高純度のArガスは、鋳型内において気泡となった時に、溶鋼との界面張力(溶鋼の表面張力)を高く保つことができるので、鋳型内の溶鋼湯面からの気泡の浮上離脱が容易になって、気泡欠陥すなわちスラブ表面のピンホールを低減することができる。
さらに、第1の本発明の要件を満たす高純度のArガスを吹き込んで浸漬ノズルの内面に流すことによって、浸漬ノズルの内面に安定したArガス膜が形成され、溶鋼が耐火物面に触れる機会を低減することを通じて、溶鋼中の非金属介在物が生成することを効果的に防止できる。その結果として、浸漬ノズルからの吐出流が安定して、鋳型内の溶鋼湯面からの気泡の浮上離脱を阻害する溶鋼湯面の流動停滞や温度低下を防止できるので、その点からも、気泡欠陥すなわちスラブ表面のピンホールを低減することができる。
また、第1の本発明の要件を満たす高純度のArガスを浸漬ノズル内に流すことによって、第2の本発明の要件を満たす比較的少量のArガスの吹き込み量で十分な浸漬ノズル閉塞防止効果が発揮されるので、過剰なArガスを吹き込む必要がなくなり、気泡欠陥すなわちスラブ表面のピンホールを低減することができる。
すなわち、本発明は、以下の3つの効果を同時に発揮することができることから、極低炭素鋼スラブの表面品質向上(気泡欠陥防止)に大変有効である。
1)鋳型内のArガス気泡表面における溶鋼の表面張力を高く保てるので、Arガス気泡の浮上が容易になる。
2)浸漬ノズルの閉塞が防止できるので、鋳型内溶鋼流動が安定し、鋳型内における気泡の浮上離脱を阻害する溶鋼湯面の皮張りを防止できる。
3)浸漬ノズルの閉塞防止を目的として浸漬ノズル内に流すArガス量を低減できるので、鋳型内に流入するArガス量が減少し、Arガス気泡の量を減らすことができる。
本発明は上記した例に限らないことは勿論であり、請求項に記載の技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
1 浸漬ノズル
3 スリット
4 多孔質耐火物
5 スライディングゲート
7 スリット
8 貫通細孔
9 上ノズル
11 スリット
12 多孔質耐火物
13 ストッパー

Claims (2)

  1. 浸漬ノズルの内面に、純度が99.999vol%以上、酸素濃度が0.1volppm以下、露点が−70℃以下の高純度のArガスを流すことを特徴とする極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法。
  2. 流量調整用の流路絞りを形成するスライディングゲートの間隙、或いはストッパーと上ノズルの間隙の流路絞りよりも上流側に吹き込むArガスの流量をq1(Nリットル/分)、前記流路絞りよりも下流側に吹き込むArガスの流量をq2(Nリットル/分)、浸漬ノズル内を流下する溶鋼との接触機会をもつ浸漬ノズルの内面積をA(m2)とした時、{(q1/5)+q2}/Aの値が9.709492〜25の間であることを特徴とする請求項1に記載の極低炭素鋼スラブの連続鋳造方法。
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