以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態にかかる冷凍装置Rの冷媒回路図である。本実施例における冷凍装置Rは、冷凍機ユニット3と複数台のショーケースユニット5とから構成され、これら冷凍機ユニット3と各ショーケースユニット5とが、冷媒配管7(液管)及び冷媒配管9により連結されて所定の冷媒回路1を構成する。
この冷凍サイクルは、高圧側の冷媒圧力(高圧圧力)がその臨界圧力以上(超臨界)となる二酸化炭素を冷媒として用いる。この二酸化炭素冷媒は、地球環境に優しく、可燃性及び毒性等を考慮した自然冷媒である。また、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、PAG(ポリアルキルグリコール)等、既存のオイルが使用される。
実施例の冷凍機ユニット3は、並列に配置された圧縮手段としての2台の圧縮機11を備える。本実施例において、圧縮機11は、内部中間圧型多段圧縮式ロータリ圧縮機であり、鋼板から成る円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部に配置収納された電動要素(図示せず)及びこの電動要素により駆動される第1の回転圧縮要素(低段側の第1の圧縮要素)18及び第2の回転圧縮要素(高段側の第2の圧縮要素)20から成る回転圧縮機構部にて構成されている。
第1の回転圧縮要素18は、冷媒配管9を介して冷媒回路1の低圧側から圧縮機11に吸い込まれる低圧冷媒を圧縮して中間圧まで昇圧して吐出し、第2の回転圧縮要素20は、第1の回転圧縮要素18で圧縮されて吐出された中間圧の冷媒を更に吸い込み、圧縮して高圧まで昇圧し、冷媒回路1の高圧側に吐出する。圧縮機11は、周波数可変型の圧縮機であり、前記電動要素の運転周波数を変更することで、第1の回転圧縮要素18及び第2の回転圧縮要素20の回転数を制御可能とする。
圧縮機11の密閉容器12の側面には、第1の回転圧縮要素18に連通する低段側吸込口22及び低段側吐出口24と、第2の回転圧縮要素20に連通する高段側吸込口26及び高段側吐出口28が形成されている。各圧縮機11の低段側吸込口22には、それぞれ冷媒導入管30が接続され、それぞれの上流側で合流し冷媒配管9に接続される。
低段側吸込口22により第1の回転圧縮要素18の低圧部に吸い込まれた低圧(LP:通常運転状態で2.6MPa程度)の冷媒ガスは、当該第1の回転圧縮要素18により中間圧(MP:通常運転状態で5.5MPa程)に昇圧されて密閉容器12内に吐出される。これにより、密閉容器12内は中間圧(MP)となる。
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスが吐出される各圧縮機11の低段側吐出口24には、それぞれ中間圧吐出配管36が接続され、それぞれの下流側で合流し、インタークーラ38の一端に接続される。このインタークーラ38は、第1の回転圧縮要素18から吐出された中間圧の冷媒を空冷するものであり、当該インタークーラ38の他端には、中間圧吸入管40が接続され、この中間圧吸入管40は2つに分岐した後に各圧縮機11の高段側吸込口26に接続される。
高段側吸込口26により第2の回転圧縮要素20の中圧部に吸い込まれた中圧(MP)の冷媒ガスは、当該第2の回転圧縮要素20により2段目の圧縮が行われて高温高圧(HP:通常運転状態で9MPa程の超臨界圧力)の冷媒ガスとなる。そして、各圧縮機11の第2の回転圧縮要素20の高圧室側に設けられた高段側吐出口28には、それぞれ高圧吐出配管42が接続され、それぞれの下流側で合流し、オイルセパレータ44、ガスクーラ46、詳細は後述するスプリットサイクルを構成する中間熱交換器80を介して、冷媒配管7に接続される。
ガスクーラ46は、圧縮機11から吐出された高圧の吐出冷媒を冷却するものであり、ガスクーラ46の近傍には当該ガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47が配設されている。本実施例では、ガスクーラ46は上述したインタークーラ38及び詳細は後述するオイルクーラ74と並設されており、これらは同一の風路45に配設されている。当該風路45には、当該冷凍機ユニット3が配設される外気温度を検出する外気温度センサ(外気温度検出手段)56が設けられている。また、高段側吐出口28、28には、第2の回転圧縮要素20から吐出された冷媒の吐出圧力を検出する高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48と、吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ(吐出温度検出手段)50等が設けられている。
一方、各ショーケースユニット5は、それぞれ店舗内等に設置され、冷媒配管7及び9にそれぞれ並列に接続されている。各ショーケースユニット5は、冷媒配管7と冷媒配管9とを連結するケース側冷媒配管60を有しており、各ケース側冷媒配管60には、絞り手段としての主絞り手段62(主膨張弁)と蒸発器63が順次接続されている。各蒸発器63には、それぞれ当該蒸発器63に送風する図示しない冷気循環用送風機が隣接されている。そして、冷媒配管9は、上述したように冷媒導入管30を介して各圧縮機11の第1の回転圧縮要素18に連通する低段側吸込口22に接続されている。これにより、本実施例における冷凍装置Rの冷媒回路1が構成される。
冷凍装置Rは、汎用のマイクロコンピュータにより構成される制御装置(制御手段)Cを電動箱B内に備えている。当該制御装置Cは、図2に示すように入力側に各種センサが接続されていると共に、出力側には、各種弁装置、圧縮機11の前記電動要素11M(コンプレッサモータ。一つで代表する)、ガスクーラ用送風機47のファンモータ47M等が接続されている。尚、当該制御装置Cは実際には冷凍機ユニット3側の制御装置とショーケースユニット5側の制御装置(図示せず)、後述する増設冷媒量調整装置111側の制御装置(これも図示せず)及び集中制御装置等により構成されるが、ここでは簡略化して制御装置Cで示すものとし、その詳細については各制御に応じて後述する。
(A)冷媒量調整制御
次に、本実施例における冷凍装置Rの冷媒回路1の冷媒量調整制御について説明する。冷媒回路1の超臨界圧力となる高圧側、本実施例では冷凍機ユニット3の中間熱交換器80の下流側には、第1の連通回路101を介して冷媒量調整タンク100が接続されている。この冷媒量調整タンク100は圧縮機11やガスクーラ46等と共に冷凍機ユニット3に内蔵されているもので、所定の容積を有するものであり、当該タンク100上部に第1の連通回路101が接続されている。この第1の連通回路101には、絞り機能を有する第1の開閉手段として電動膨張弁102が介設されている。
尚、絞り機能を有する開閉手段は、これに限定されるものではなく、第1の連通回路101に絞り手段として、例えばキャピラリーチューブと電磁弁(開閉弁)により構成しても良い。
そして、この冷媒量調整タンク100には、当該タンク100内上部と、冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第2の連通回路103が接続されている。本実施例では、第2の連通回路103の他端は、中間圧領域の一例として冷媒回路1のインタークーラ38の出口側の中間圧吸入管40に連通させる。この第2の連通回路103には、第2の開閉手段としての電磁弁104が介設されている。
また、この冷媒量調整タンク100には、当該タンク100内下部と、冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第3の連通回路105が接続されている。本実施例では、第3の連通回路105の他端は、中間圧領域の一例として前記中間圧吸入管40に連通した後述する中間熱交換器80の第1の流路80Aの入口に連通させる。この第3の連通回路105には、第3の開閉手段としての電磁弁106と減圧手段としてのキャピラリチューブ107が介設されている。
(A−0)増設冷媒量調整装置
更に、この冷凍装置Rには増設冷媒量調整装置111が接続される。この増設冷媒量調整装置111は、冷凍装置Rの規模に応じて冷媒量調整タンク100に対して増設冷媒量調整タンク116を増設するために、冷凍機ユニット3にオプション的に取り付けられるものであり、冷凍機ユニット3の外部に設けられ(外付け)、冷媒回路1に着脱可能に接続される。この場合、増設冷媒量調整装置111は、図示しない外装ケース内部に所定の容量を有した増設冷媒量調整タンク116を備えると共に、増設冷媒量調整タンク116の上部に絞り機能を有する第1の増設開閉手段としての電動膨張弁117を介して連通する第1のサービス口(サービスバルブ)118と、増設冷媒量調整タンク116の上部に第2の増設開閉手段としての電磁弁119を介して連通する第2のサービス口(サービスバルブ)121と、増設冷媒量調整タンク116の下部に第3の増設開閉手段としての電磁弁122と減圧手段としてのキャピラリチューブ123を介して連通する第3のサービス口(サービスバルブ)124を備え、これらサービス口118、121、124は増設冷媒量調整装置111より外部に露出している。
一方、冷媒回路1の超臨界圧力となる高圧側、本実施例では冷凍機ユニット3の中間熱交換器80の下流側には、高圧サービス口(サービスバルブ)112が連通して取り付けられており、中間圧領域となる中間圧吸入管40に連通された第2の連通回路103には、中圧サービス口(サービスバルブ)113が連通して予め取り付けられている。また、冷媒回路1の低圧側である冷媒配管9には、低圧サービス口(サービスバルブ)114が連通して予め取り付けられており、これらサービス口112〜114も冷凍機ユニット3より外部に露出している。
そして、この増設冷媒量調整装置111を冷媒回路1に接続する際には、第1の増設連通回路を構成する第1の増設連通配管126により第1のサービス口118を高圧サービス口112に着脱可能に接続して連通させ、第2の増設連通回路を構成する第2の増設連通配管127により第2のサービス口121を中圧サービス口113に着脱可能に接続して連通させ、第3の増設連通回路を構成する第3の増設連通配管128により第3のサービス口124を低圧サービス口114に着脱可能に接続して連通させる。
これにより、増設冷媒量調整タンク116の上部は第1の増設連通配管126を介して冷媒回路1の高圧側に連通され、電動膨張弁117は第1の増設連通回路内に設けられたかたちとなり、増設冷媒量調整タンク116の上部はまた第2の増設連通配管127を介して冷媒回路1の中間圧領域に連通され、電磁弁119は第2の増設連通回路内に設けられたかたちとなる。また、増設冷媒量調整タンク116の下部は第3の増設連通配管128を介して冷媒回路1の低圧側に連通され、電磁弁122は第3の増設連通回路内に設けられたかたちとなる。また、電動膨張弁117と第1のサービス口118の間には増設高圧圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)120が取り付けられ、第1のサービス口118が高圧サービス口112に接続された状態で、ユニット出口側圧力センサ58と同様の高圧側の圧力を検出する。
他方、前記制御装置Cは、図2に示すように入力側にユニット出口側圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)58と、増設高圧圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)120、外気温度センサ56、前記高圧圧力センサ48等が接続されている。このユニット出口側圧力センサ58は、冷媒量調整タンク100の第1の連通回路101に接続され、ショーケースユニット5に向かう冷媒配管7の冷媒の圧力を検出するものである。制御装置Cの出力側には、電動膨張弁(第1の開閉手段)102、電磁弁(第2の開閉手段)104、電磁弁(第3の開閉手段)106と、前記圧縮機11の電動要素11M、ガスクーラ46用の送風機47のファンモータ47M、主絞り手段62が接続されている。
更に、制御装置Cの出力側には、冷媒回路1に接続された増設冷媒量調整装置111の電動膨張弁(第1の増設開閉手段)117、電磁弁(第2の増設開閉手段)119、電磁弁(第3の増設開閉手段)122が接続されている。また、制御装置Cは外気温度センサ56の検出温度と、蒸発器63における冷媒の蒸発温度に基づき、ガスクーラ用送風機47のファンモータ47Mの回転数制御を行う。前述した如く制御装置Cは増設冷媒量調整装置111側の制御装置(図示せず)も含む概念として以下の説明を行うが、実際には増設冷媒量調整装置111が冷凍機ユニット3に増設された状態で、冷凍機ユニット3の制御装置Cから外気温度センサ56の検出温度と低圧圧力センサ32の検出圧力を前記増設冷媒量調整装置111側の制御装置が受け取る。そして、受け取ったデータと増設高圧圧力センサ120の検出圧力に基づき、増設冷媒量調整装置111側の制御装置が電動膨張弁117、電磁弁119及び122を制御することにより、後述する冷媒量調整タンク100と同様の冷媒回収、冷媒保持、冷媒放出の各動作を実行する。それによって、増設冷媒量調整タンク116内に冷媒を回収、保持、放出することにより、冷凍装置R内を循環する冷媒量を調整する。このようにして冷凍装置Rの冷媒回路1の高圧側圧力が後述する回収閾値以上に上昇しないようにして、効率の良い運転に寄与するものである。
(A−1)冷媒回収動作
以下、冷媒回路1の冷媒回収動作について説明する。先ず、制御装置Cは例えば12MPa等の所定の高圧保護値を備えており、ユニット出口側圧力センサ58(前述した如く増設冷媒量回収装置111については増設高圧圧力センサ120)の検出圧力に基づき、冷媒回路1の高圧(HP)がこの高圧保護値(12MPa)を超えた場合、圧縮機11の運転を停止する高圧遮断動作を実行するものとする。これを前提として以下の冷媒回収に関する動作を説明する。制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が所定の回収閾値を超えたか否か、又は、当該ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が先の回収閾値よりも低い所定の回収保護値を超え、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値となっているか否かを判断する。
本実施例では、冷媒回路1の高圧(HP)は、一例として9MPa程を適正値としているため、当該値を回収保護値として設定し、回収閾値は当該回収保護値よりも高く、前記高圧保護値(12MPa)より低い例えば10.5MPaに設定する。また、本実施例におけるガスクーラ用送風機47の回転数の最大値は、一例として800rpmとする。また、ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御装置Cはユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が回収閾値である10.5MPaを超えた場合、若しくは、検出圧力が回収閾値以下であっても回収保護値である9MPaを超え、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値の800rpmとなっている場合には、冷媒回路1内に過剰のガス冷媒によって、高圧側圧力が異常上昇したものと判断し、冷媒回収動作を実行する。
この冷媒回収動作では、制御装置Cは電磁弁(第3の開閉手段)106及び電磁弁(第3の増設開閉手段)122を閉じた状態で、電動膨張弁(第1の開閉手段)102、電磁弁(第2の開閉手段)104、電動膨張弁(第1の増設開閉手段)117及び電磁弁(第2の増設開閉手段)119を開放する。これにより、圧縮機11の高段側吐出口28から吐出された高温高圧冷媒は、オイルセパレータ44を経て、ガスクーラ46、中間熱交換器80にて冷却された後、その一部が開放されている電動膨張弁102、電動膨張弁117が介設された第1の連通回路101、第1の増設連通配管126を介して冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内に流入する。
このとき、電磁弁104、電磁弁119が開放されていることにより、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第2の連通回路103、第2の増設連通配管127を介して、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の圧力をタンク外にそれぞれ逃がすことができる。そのため、外気温度が高くなった場合など、冷媒回路1内の冷媒が液化しない超臨界サイクル運転している場合であっても、タンク100、116内の圧力が低下して当該タンク内に流入した冷媒は液化して当該タンク100、116内に溜まる。即ち、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の圧力は超臨界圧力以下に降下することによって、冷媒がガス領域から飽和領域となり、液面を確保することができる。
これにより、迅速に、且つ、効率的に、冷媒回路1内の冷媒を冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116に回収することができる。従って、冷媒回路1内の高圧側が余剰となった冷媒によって異常高圧となる不都合を解消することができ、高圧異常による圧縮機11の過負荷運転を防止することが可能となる。
特に、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを第2の連通回路103及び第2の増設連通配管127を介して連通させることにより、冷媒回路1の低圧側領域と連通させる場合と異なり、低圧側圧力が上昇されることによる冷却効率の低下を回避することが可能となる。
また、本実施例では、ユニット出口側圧力センサ58により検出された高圧側の圧力が回収閾値以下であっても、所定の回収保護値を超えており、且つ、ガスクーラ46を空冷する送風機47の回転数が最高値である場合には、当該冷媒回収動作を行うため、当該送風機47の運転状態をも考慮して、冷媒回路1の高圧側が異常に高くなった状態が続くことによる効率低下を防止することが可能となる。
(A−2)冷媒保持動作
一方、制御装置Cはユニット出口側圧力センサ58(前述した如く増設冷媒量調整装置111については増設高圧圧力センサ120)により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施例では、9MPa以下となったか否かを判断し、回収保護値(9MPa)以下となった場合、冷媒回収動作を終了して冷媒保持動作に移行する。この冷媒保持動作では、制御装置Cは、電磁弁(第3の開閉手段)106及び電磁弁124(第3の増設開閉手段)を閉じた状態を維持し、電磁弁(第2の開閉手段)104及び電磁弁119(第2の増設開閉手段)を閉じ、電動膨張弁(第1の開閉手段)102及び電動膨張弁(第1の増設開閉手段)117の開度を先ほどの冷媒回収動作における開度を維持する。
尚、上記電動膨張弁102及び電動膨張弁117の開度を冷媒回収動作における開度よりも小さくしても良い。これにより、電磁弁104及び電磁弁119が閉じられることで、開放された電動膨張弁102及び電動膨張弁117を介し、冷媒回路1の高圧側領域による圧力にて冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の液面を維持することが可能となる。そのため、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内における液封を回避でき、安全性を確保することができる。これにより、冷媒回路1内の循環冷媒量を適切に維持することが可能となる。
また、制御装置Cは、当該冷媒保持動作における電動膨張弁102及び電動膨張弁117の開度を、冷媒回収動作における開度よりも小さくすることにより、冷媒保持動作において、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内に冷媒回路1内の冷媒が過剰に回収されることにより、冷媒回路1内の冷媒不足が生じてしまう不都合を効果的に解消することが可能となる。
(A−3)冷媒放出動作
そして、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58(前述した如く増設冷媒量調整装置111については増設高圧圧力センサ120)の検出圧力が上記回収保護値(この場合9MPa)より低い所定の放出閾値(本実施例では、例えば8MPa)を下回った場合、又は、当該ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が先の回収保護値(9MPa)を下回り、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値よりも低い所定の規定値以下となっているか否かを判断する。尚、当該所定の規定値とは、本実施例では一例として最大値の3/8程度、即ち、最高値800rpmとした場合、300rpm程度とする。また、ガスクーラ用送風機47の回転数が所定の規定値以下となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御装置Cはユニット出口側圧力センサ58(前述した如く増設冷媒量調整装置111については増設高圧圧力センサ120)の検出圧力が放出閾値である8MPaを下回った場合、若しくは、検出圧力が回収保護値である9MPaを下回り、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が所定の規定値、この場合300rpm以下となっている場合には、冷媒回路1内の冷媒が不足してきたものと判断し、冷媒放出動作を実行する。
この冷媒放出動作では、制御装置Cは電動膨張弁(第1の開閉手段)102、電動膨張弁(第1の増設開閉手段)117、電磁弁(第2の開閉手段)104、電磁弁119(第2の増設開閉手段)を閉じ、電磁弁(第3の開閉手段)106及び電磁弁(第3の増設開閉手段)122を開放する。これにより、冷媒量調整タンク100内に溜まった液冷媒は、当該タンク100の下部に接続された電磁弁106が開放されている第3の連通回路105を介して冷媒回路1の中間圧領域に放出する。また、冷媒量調整タンク116内に溜まった液冷媒は、当該タンク116の下部に接続された電磁弁122が開放されている第3の増設連通配管128を介して冷媒回路1の低圧側に放出する。そのため、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部からガス冷媒が混入した状態で冷媒回路1に放出する場合と異なり、迅速に冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の冷媒を冷媒回路1に放出できる。これにより、冷凍装置Rを高い効率にて運転することが可能となる。
(A−4)冷媒保持動作
その後、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58(前述した如く増設冷媒量調整装置111については増設高圧圧力センサ120)により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施例では、9MPa以上となったか否かを判断し、回収保護値(9MPa)以上となった場合、冷媒放出動作を終了して上述した如き冷媒保持動作に移行する。以後、冷媒回路1の高圧側圧力に基づき、当該冷媒回収動作−冷媒保持動作―冷媒放出動作―冷媒保持動作を繰り返して実行することにより、高圧側圧力に基づいて冷媒回収・放出を制御でき、的確に高圧保護及び過負荷運転の防止することができる。これにより、冷凍装置の冷却能力を確保することができ、COPの適正化を図ることが可能となる。
特に本実施例では、高圧側圧力のみならず、ガスクーラ46を空冷する送風機47の回転数をも考慮して冷媒回収・放出動作を制御することが可能となり、冷媒回路1の高圧側が異常に高くなった状態が続くことによる効率低下を防止することが可能となる。
また、本実施例において、第2の連通回路103及び第3の連通回路105はいずれも冷媒回路1のインタークーラ38の出口側に連通させている。これにより、インタークーラ38における圧力損失を防止して、円滑に冷媒量調整タンク100から冷媒回路1に冷媒を放出することが可能となる。
ここで、冷凍装置Rの冷凍機ユニット3の機械室内に設けられる冷媒量調整タンク100は、圧縮機11やガスクーラ46等の温度によって比較的温度は高くなる。一方、増設冷媒量調整装置111は冷凍装置Rの外部に増設されるものであるため、冷媒量調整タンク100に比して増設冷媒量調整タンク116の温度は低くなる。そのため、特に低外気温時には増設冷媒量調整タンク116内の圧力は低下し、冷媒回路1の中間圧領域の圧力(中圧)よりも低くなる場合がある。そのような状況では、冷媒量調整タンク100と同様に増設冷媒量調整タンク116に回収した冷媒を中間圧領域に戻そうとしても、圧力差では放出することができなくなる。しかしながら、本発明では当該増設冷媒量調整タンク116に回収した冷媒を冷媒回路1に放出する際、冷媒回路1の低圧側に放出するようにしているので、圧力差を利用して増設冷媒量調整タンク116からの冷媒の放出を円滑且つ支障無く実行することが可能となる。
以上のように冷媒回路1に増設冷媒量調整装置111の増設冷媒量調整タンク116を接続することで、余剰となった冷媒によって高圧側の圧力が上がった場合、冷媒回収動作を実行して冷媒回路1内の冷媒を増設冷媒量調整タンク116や冷媒量調整タンク111に回収することができ、また、冷媒放出動作を実行してそれらから冷媒回路1に冷媒を放出し、冷媒回路1内の循環冷媒量を適切に維持管理することが可能となる。これにより、冷媒回路1内の高圧側が異常高圧となる不都合を解消することができ、高圧異常による圧縮機11の過負荷運転を防止することが可能となる。これは実施例の如く冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷媒回路(超臨界冷凍サイクル)において極めて有効である。
特に、増設冷媒量調整装置111の増設冷媒量調整タンク116は冷媒回路1に接続可能とされているので、圧縮機11の馬力や冷媒配管7、9の配管長(施工配管長)等の冷凍装置Rの規模に応じて冷媒回路1に接続し、或いは、冷媒量調整タンク100に対して増設することで、容易に冷媒回路1内の循環冷媒量を維持管理することが可能となる。また、前述の如く冷凍機ユニット3に内蔵された冷媒量調整タンク100に比して温度が低くなり、内部の圧力が低下する増設冷媒量調整タンク106からは冷媒回路1の低圧側に冷媒を放出するので、冷媒回路1の中間圧領域より増設冷媒量調整タンク116内の圧力が低くなった場合でも、増設冷媒量調整タンク116からの冷媒放出動作を円滑且つ支障無く実行することが可能となる。
また、冷媒回路1には高圧サービス口112、中圧サービス口113、低圧サービス口114がそれぞれ設けられており、増設冷媒量調整装置111には第1のサービス口118、第2のサービス口121、第3のサービス口124が設けられている。そして、増設冷媒量調整装置111の増設冷媒量調整タンク116を冷媒回路1に接続する際には、第1のサービス口118を高圧サービス口112に、第2のサービス口121を中圧サービス口113に、第3のサービス口124を低圧サービス口114にそれぞれ第1乃至第3の連通配管126〜128で接続するようにしているので、増設冷媒量調整タンク116を容易に冷媒回路1に接続することができるようになり、施工時の作業性を著しく改善することが可能となる。
更に、制御装置Cは冷媒回収動作を実行する際、電磁弁106及び122を閉じた状態で電動膨張弁102、電磁弁104、電動膨張弁117、及び、電磁弁119を開放することにより、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを連通させて、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の圧力をタンク外に逃がすことで、タンク内の圧力が低下して当該タンク内の冷媒が液化して溜まるため、迅速に、且つ、効率的に、冷媒回路1内の冷媒を冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116に回収することができる。このとき、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを連通させるので、冷媒回路1の低圧側領域と連通させる場合と異なり、低圧側圧力が上昇されることによる冷却効率の低下を回避することが可能となる。
また、制御装置Cは冷媒放出動作を実行する際、電動膨張弁102、電磁弁104、電動膨張弁117、及び、電磁弁119を閉じた状態で電磁弁106及び122を開放することにより、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116から冷媒を冷媒回路1に放出するので、液冷媒を冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の下部から冷媒回路1に放出できる。そのため、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116の上部からガス冷媒が混入した状態で冷媒回路1に放出する場合と異なり、迅速に冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116内の冷媒を冷媒回路1に放出できる。これにより、冷凍装置Rを高い効率にて運転することが可能となる。
また、制御装置Cは、冷媒回路1の高圧側圧力に基づき、当該高圧側圧力が上昇したことに基づいて冷媒回収動作を実行し、高圧側圧力が低下したことに基づき、冷媒放出動作を実行するので、高圧側圧力に基づいて冷媒回収・放出を制御でき、的確に高圧保護及び過負荷運転の防止することができる。これにより、冷凍装置Rの冷却能力を確保することができ、COPの適正化を図ることが可能となる。
尚、圧縮機11が運転を停止した場合には、制御装置Cは冷媒放出動作を実行するものとする。これにより、圧縮機11の起動時において冷媒回路1内の冷媒量が不足する不都合を解消することができ、運転する圧縮機11による高圧側の圧力に応じて適切な高圧側圧力を実現できる。
また、この場合において、圧縮機11(圧縮手段)は、密閉容器12内に第1、第2の圧縮要素18、20と電動要素を組み込んだ二段圧縮式ロータリコンプレッサを採用しているが、このほかにも、2台の単段のロータリコンプレッサ、又は、その他の形式のコンプレッサで中間圧部から冷媒を取り出し、導入できる形式のものであってもよいものとする。
(B)スプリットサイクル
次に、実施例の冷凍装置Rのスプリットサイクルについて説明する。実施例における冷凍装置Rは、各圧縮機11の前記第1の回転圧縮要素(低段側18)、インタークーラ38、2つの流体の流れを合流させる合流装置としての合流器81、各圧縮機11の前記第2の回転圧縮要素(高段側)20、オイルセパレータ44、ガスクーラ46、分流器82、補助絞り手段(補助膨張弁)83、中間熱交換器80、主絞り手段(主膨張弁)62、蒸発器63とから冷凍サイクルが構成される。
分流器82は、ガスクーラ46から出た冷媒を二つの流れに分岐させる分流装置である。即ち、本実施例の分流器82は、ガスクーラ46から出た冷媒を第1の冷媒流と第2の冷媒流とに分流し、第1の冷媒流を補助回路に流し、第2の冷媒流を主回路に流すように構成されている。
図1における主回路とは、圧縮機11の第1の回転圧縮要素18、インタークーラ38、合流器81、第2の回転圧縮要素20、ガスクーラ46、分流器82、中間熱交換器80の第2の流路80B、主絞り手段62、蒸発器63から成る環状の冷媒回路であり、補助回路とは、分流器82から補助絞り手段83、中間熱交換器80の第1の流路80Aを順次経て合流器81に至る回路を示す。電磁弁106、キャピラリチューブ107の下流側の前記第3の連通回路105は、補助絞り手段83の下流側の第1の流路80A入口に合流している。
補助絞り手段83は、上記分流器82で分流され、補助回路を流れる第1の冷媒流を減圧するものである。中間熱交換器80は、補助絞り手段83で減圧された補助回路の第1の冷媒流及び第3の連通回路105を介して冷媒量調整タンク100の下部から放出された冷媒(以下、これらを総じて第1の冷媒流という)と分流器82で分流された第2の冷媒流との熱交換を行う熱交換器である。当該中間熱交換器80には、第2の冷媒流が流れる第2の流路80Bと、上記第1の冷媒流が流れる第1の流路80Aとが熱交換可能な関係で設けられており、該中間熱交換器80の第2の流路80Bを通過することにより、第2の冷媒流は第1の流路80Aを流れる第1の冷媒流により冷却されるので、蒸発器63における比エンタルピを小さくすることができる。
上記制御装置Cは、図2に示すように入力側に吐出温度センサ(吐出温度検出手段)50、前記ユニット出口側圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)58、中間圧圧力センサ(中間圧圧力検出手段)49、低圧圧力センサ(吸込圧力検出手段)32、ガスクーラ出口温度センサ(ガスクーラ出口温度検出手段)52、ユニット出口温度センサ(ユニット出口温度検出手段)54、ユニット入口温度センサ(入口温度検出手段)34が接続されている。
吐出温度センサ50は、各圧縮機11の高段側吐出口28に設けられ、第2の回転圧縮要素20から吐出された冷媒の吐出温度を検出する。ユニット出口側圧力センサ58は前述したものである。低圧圧力センサ32は、冷媒回路1の低圧側、本実施例では、各蒸発器63の下流側であって、圧縮機11の低段側吸込口22に接続される冷媒配管9に設けられ、当該冷媒導入管30に向かう冷媒の吸込圧力を検出する。中間圧圧力センサ49は、冷媒回路1の中間圧領域、本実施例では、電磁弁104の下流側の第2の連通回路103の圧力を検出する。
ガスクーラ出口温度センサ52は、ガスクーラ46の出口側に設けられ、当該ガスクーラ46を出た冷媒の温度(GCT)を検出する。ユニット出口温度センサ54は、冷媒配管7に接続される中間熱交換器80の出口側に設けられ、ユニット出口温度(LT)を検出する。ユニット入口温度センサ34は、圧縮機11の低段側吸込口22に接続される冷媒配管9に設けられ、当該冷媒導入管30に向かう冷媒の吸込温度を検出する。そして、制御装置Cの出力側には、スプリットサイクルを構成する補助絞り手段83が接続されている。当該補助絞り手段83も、ステップモータによって開度が制御される電動膨張弁である。
以下、補助絞り手段83の開度制御について詳述する。補助絞り手段83は、圧縮機11の運転開始時点では、所定の初期弁開度とする。その後、制御装置Cは、以下の第1の制御量、第2の制御量、第3の制御量に基づき補助絞り手段83の弁開度を増大させる操作量を決定する。
(B−1)補助絞り手段の弁開度増大制御
第1の制御量(DTcont)は、圧縮機11の吐出冷媒温度DTに基づいて得られる。制御装置Cは、上記吐出温度センサ50にて検出される温度DTが所定値DT0より高いか否かを判断し、当該吐出冷媒温度DTが所定値DT0より高い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する制御量とする。当該所定値DT0は、圧縮機11の適正な運転を実現可能とする限界温度(一例として+100℃)より少許低い温度(一例として+95℃)とし、温度が上昇した場合、補助絞り手段83の開度を増大させることで、当該圧縮機11の温度上昇を抑制し、圧縮機11が限界温度に達しないような制御を行う。
第2の制御量(MPcont)は、スプリットサイクルの補助回路に流す冷媒量を調整して中間圧力(MP)の適正化を図る制御量である。本実施例では、ユニット出口側圧力センサ58により検出される冷媒回路1の高圧側圧力HPと、低圧圧力センサ32により検出される冷媒回路1の低圧側圧力LPとから算出される(求められる)適正中間圧力値よりも、中間圧圧力センサ49により検出される冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPが高いか否かを判断し、当該中間圧領域の圧力MPが適正中間圧力値よりも低い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。
尚、適正中間圧力値は、検出された高圧側圧力HPと、低圧側圧力LPとの相乗平均から算出してもよく、これ以外に、予め高圧側圧力HPと低圧側圧力LPとから適正な中間圧力値を実験的に取得し、これに基づいて構築されるデータテーブルから決定しても良い。
また、本実施例では、高圧側圧力HPと、低圧側圧力LPとから求められる適正中間圧力値と、中間圧領域の圧力MPとを比較して第2の制御量(MPcont)を決定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、下記のものを採用しても良い。即ち、中間圧圧力センサ49により検出される冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPと、低圧圧力センサ32により検出される冷媒回路1の低圧側圧力LPから過圧縮判定値MPOを求め、当該過圧縮判定値MPOがユニット出口側圧力センサ58により検出される冷媒回路1の高圧側圧力HPよりも低いか否かを判断し、過圧縮判定値MPOが高圧側圧力HPよりも低い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。当該第2の制御量を補助絞り手段83の開度制御に反映させることで、高圧側圧力HP、中間圧領域の圧力MP、低圧側圧力LPの圧力差を適正に保つことができ、冷凍サイクルの運転の安定化を図ることができる。
第3の制御量(SPcont)は、中間熱交換器80の第2の流路から出た冷媒温度LTの適正化を図る制御量である。本実施例では、制御装置Cは、ガスクーラ出口温度センサ52により検出されるガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTと、ユニット出口温度センサ54により検出される中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTとの差(GCT−LT)が所定値SPより小さいか否かを判断し、小さい場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。
ここで、所定値SPは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なるものとする。本実施例では、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温度センサ56により検出された外気温度に基づき、当該外気温度が高い場合、例えば、+31℃以上では、超臨界領域であると判断し、外気温度が低い場合、例えば、+31℃未満では飽和領域であるものと判断する。そして、超臨界領域と判断した場合には、所定値SPは上げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値SPを下げた設定とする。本実施例では、超臨界領域では所定値SPは、35℃、飽和領域では20℃とする。
制御装置Cは、上述した如く得られた3つの制御量、即ち、第1の制御量(DTcont)と、第2の制御量(MPcont)と、第3の制御量(SPcont)とを合算して、補助絞り手段83の弁開度の操作量を決定し、これに基づき弁開度を増大させる。
(B−2)補助絞り手段の弁開度縮小制御
また、制御装置Cは、中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LT、又は、圧縮機11からの吐出冷媒温度DTとガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差から補助絞り手段83の弁開度を縮小させる操作量を決定する。
即ち、制御装置Cは、ユニット出口温度センサ54により検出される中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTが所定値より低いか否かを判断する。本実施例では、当該所定値は一例として0℃とする。これにより、ユニット出口温度が0℃以下である場合には、補助絞り手段83の開度を縮小させる方向に操作し、中間熱交換器80において冷却される第2の冷媒流が過剰に冷却されてしまう不都合を解消することができる。
また、制御装置Cは、吐出温度センサ50にて検出される温度DTと、ガスクーラ出口温度センサ52により検出されるガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差(DT−GCT)が所定値TDTより低いか否かを判断し、低い場合には、補助絞り手段83の開度を縮小させる方向に作用させる。
ここで、所定値TDTは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なる。本実施例では、上記第3の制御量を求めた場合と同様に、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温度に基づき判断する。そして、超臨界領域と判断した場合には、所定値TDTは下げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値TDTを上げる設定とする。本実施例では、超臨界領域では所定値TDTは10℃、飽和領域では35℃とする。
制御装置Cは、中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTが所定値(0℃)以下である場合、又は、圧縮機11からの吐出冷媒温度DTとガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差が所定値TDTより低い場合、補助絞り手段83の弁開度の操作量を決定し、上記弁開度増大制御にかかわらず、これに基づき弁開度を縮小させる。
上述したようなスプリットサイクルを備えた本実施例における冷凍装置Rでは、ガスクーラ46で放熱した後の冷媒を分流し、補助絞り手段83で減圧膨張された第1の冷媒流により、第2の冷媒流を冷却することができるようになり、蒸発器63入口の比エンタルピを小さくすることができるようになる。これにより、冷凍効果を大きくすることが可能となり、従来の装置に比べて効果的に性能を向上させることができるようになる。また、分流された第1の冷媒流は圧縮機11の高段側吸込口26から第2の回転圧縮要素20(中間圧部)に戻されるため、圧縮機11の低段側吸込口22から第1の回転圧縮要素18(低圧部)に吸い込まれる第2の冷媒流の量が減少し、低圧から中間圧まで圧縮するための第1の回転圧縮要素18(低段部)における圧縮仕事量が減少する。その結果、圧縮機11における圧縮動力が低下して成績係数が向上する。
ここで、上記所謂スプリットサイクルの効果は中間熱交換器80を流れる第1の冷媒流と第2の冷媒流の量に依存する。即ち、第1の冷媒流の量が多すぎれば蒸発器63において最終的に蒸発する第2の冷媒流の量が不足することにより、逆に第1の冷媒流の量が少なすぎればスプリットサイクルの効果が薄れてくる。一方、補助絞り手段83で減圧された第1の冷媒流の圧力は冷媒回路1の中間圧力であり、当該中間圧力を制御することは第1の冷媒流の量を制御することになる。
ここで、本実施例では、上述したように圧縮機11からの吐出冷媒の温度DT(吐出温度センサ50)が所定値DT0より高い場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第1の制御量と、冷媒回路1の高圧側圧力HPと低圧側圧力LPとから求められる適正中間圧力値よりも、冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPが低い場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第2の制御量と、ガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTと中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTとの差(GCT−LT)が所定値SPより小さい場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第3の制御量を演算し、これら第1乃至第3の制御量を合算することにより、補助絞り手段83の弁開度を増大させる操作量を決定する。また、温度LTが所定値よりも低い場合、又は、温度DT−GCTが所定値TDTより低い場合に補助絞り手段83の弁開度を縮小する方向で操作量を決定する。
これにより、第1の制御量によって吐出冷媒の温度DTを所定値DT0以下に保つことができ、第2の制御量によって、冷媒回路1の中間圧力MPを適正化でき、これによって、低圧側圧力LP、中間圧力MP、高圧側圧力HPの圧力差を適正に保つことができる。また、第3の制御量によって中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTを低くし、冷凍効果を保つことができる。これらにより、総じて冷凍装置の高効率化と安定化を達成することが可能となる。
また、制御装置Cは、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合、所定値SPを上げ、所定値TDTを下げると共に、高圧側圧力HPが飽和領域にある場合、所定値SPを下げ、所定値TDTを上げることにより、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合と飽和領域にある場合とに分けて第3の制御量と第1の制御量の所定値SP及びTDTを変更して制御することが可能となる。
これにより、高圧側圧力HPが飽和領域にある場合であっても中間熱交換器80における過熱度を確実に確保することができ、圧縮機11に液バックが生じる不都合を回避することができる。また、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合には、このような液バックが生じないため、効率を優先した設定とすることができる。
尚、上記実施例における第2の制御量を、冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPと低圧側圧力LPから求められる過圧縮判定値MPOが、冷媒回路の高圧側圧力HPより低い場合に補助絞り手段の開度を増大させる方向に作用する第2の制御量として、第1乃至第3の制御量を合算することにより、補助絞り手段の弁開度の操作量を決定することとしても、上記と同様に、冷媒回路の中間圧力MPを適正化でき、これによって、低圧側圧力LP、中間圧力MP、高圧側圧力HPの圧力差を適正に保つことができる。
また、当該実施例における中間熱交換器80から出た第1の冷媒流は、インタークーラ38の出口側に設けられた合流器81によって当該インタークーラ38の出口側に戻すことができ、インタークーラ38における圧力損失を防止して、円滑に中間熱交換器80から出た冷媒流を冷媒回路1の中間圧側に合流することが可能となる。
更に、実施例では冷媒量調整タンク100から放出した冷媒も中間熱交換器80の第1の流路80Aに流しているので、放出した冷媒も第2の流路80Bを流れる第2の冷媒流の冷却に利用することができる効果がある。
(D)ガスクーラ用送風機の制御
次に、上述した如きガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47の制御について説明する。本実施例における制御装置Cは、図2に示すように入力側に高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48と、低圧圧力センサ32と、外気温度センサ56が接続されている。ここで、低圧圧力センサ32にて検出される圧力と、蒸発器63における蒸発温度TEとは、一定の関係を有するため、制御装置Cは、当該低圧圧力センサ32に検出された圧力により、蒸発器63における冷媒の蒸発温度TEを換算して取得する。また、制御装置Cの出力側には、ガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47のファンモータ47Mが接続されている。
制御装置Cは、高圧圧力センサ48により検出される高圧側圧力HPが所定の目標値(目標高圧:THP)となるように、ガスクーラ用送風機47の回転数を制御する。ここで、目標高圧THPは、外気温度TA及び蒸発器63における冷媒の蒸発温度TEから決定する。
本実施例の如く冷媒回路1の高圧側が超臨界圧力以上となる冷凍装置Rでは、外気温度TAがある温度、例えば、+30℃以下である場合、飽和サイクルが行われ、+30℃より高い温度では、超臨界サイクルが行われる。超臨界サイクルが行われるとき、冷媒は液化しないため、そのときの冷媒回路1内の冷媒量で温度と圧力とは一意に決定されない。そのため、外気温度TAによって、目標高圧THPが異なる。
本実施例では、一例として、外気温度センサ56により検出される外気温度TAが下限温度(例えば0℃)以下である場合、目標高圧THPは、所定の下限値THPLで一定とする。また、外気温度TAが30℃より高い所定温度(上限温度)以上で目標高圧THPは、所定の上限値THPHで一定とする。そして、外気温度TAが下限温度より高く上限温度より低い場合には、以下の如く目標高圧THPを求める。
外気温度TAが所定の基準温度、例えば+30℃より低い程、高圧側圧力の目標高圧THPを低くする方向で決定し、高いほど目標高圧THPを高くする方向で決定する。また、上述した如く当該低圧圧力センサ32に検出された圧力により、換算して取得された蒸発器63における冷媒の蒸発温度TEが所定の基準温度より高い程、高圧側圧力の目標高圧THPを高くする方向で決定し、低いほど目標高圧THPを低くする方向で決定する。図3は外気温度TAと、蒸発温度TEとから決定される目標高圧THPの傾向を示す図である。
尚、本実施例では、制御装置Cは目標高圧THPを外気温度TAと、蒸発温度TEとから演算式を用いて算出しているが、これに限定されるものではなく、予め外気温度TA及び蒸発温度TEとから取得されたデータテーブルに基づき、目標高圧THPを取得しても良い。
そして、制御装置Cは、高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48により検出された高圧側圧力HPと、目標高圧THPと、これらHPとTHPの偏差e、当該偏差eに基づきP(比例。偏差eの大きさに比例して、当該偏差eを縮小させる方向の制御)と、D(微分。偏差eの変化を縮小させる方向の制御)とから、比例微分演算を実行し、操作量として導出されるガスクーラ用送風機47(のファンモータ47M)の回転数を決定する。当該回転数は、目標高圧THPが高いほど、送風機47の回転数は上げられ、目標高圧THPが低いほど、送風機47の回転数が下げられる。
これにより、制御装置Cは、外気温度TAと蒸発器における冷媒の蒸発温度(低圧圧力センサ32にて検出された低圧圧力から換算して取得)TEに基づいてガスクーラ用送風機47の回転数を制御することにより、高圧側が超臨界圧力となる冷凍装置Rであっても、適切な高圧圧力となるようにガスクーラ用送風機47の回転数を制御することができる。これにより、ガスクーラ用送風機47の運転による騒音を低減しつつ、高効率な運転を実現することができる。
本実施例では、制御装置Cは、外気温度TAと蒸発温度TEに基づき、冷媒回路1の高圧側圧力の目標値THPを、例えば、外気温度TAが低い程、目標値THPを低くし、蒸発温度TEが高い程、目標値THPを高くする方向で当該目標値THPを決定し、高圧側圧力が目標値THPとなるよう、ガスクーラ用送風機47を制御することにより、外気温度TAにより飽和サイクルと超臨界サイクルに変化する冷媒の状態を考慮し、且つ、蒸発温度TEに基づいて好適な高圧側圧力を実現でき、これにより、高効率な運転を実現できる。
(E)オイルセパレータ
一方、上述した如き圧縮機11の高段側吐出口28とガスクーラ46とを接続する高圧吐出配管42には、オイルセパレータ44が介設されている。このオイルセパレータ44は、圧縮機11から吐出された高圧の吐出冷媒中に含まれるオイルを冷媒と分離して捕捉するものであり、このオイルセパレータ44には、捕捉したオイルを圧縮機11に戻すオイル戻し回路73が接続されている。このオイル戻し回路73中には、オイルタンク79と、捕捉したオイルを冷却するオイルクーラ74が設けられ、このオイルクーラ74の下流側で、オイル戻し回路73は2系統に分岐され、それぞれ流量調整弁(電動弁)76を介して圧縮機11の密閉容器12に接続される。圧縮機11の密閉容器12内は、上述のように中間圧に保たれるため、捕捉されたオイルは、オイルセパレータ44内の高圧と密閉容器12内の中間圧との差圧によって当該密閉容器12内に戻される。また、圧縮機11の密閉容器12には、この密閉容器12内に保有するオイルのレベルを検出するオイルレベルフロートスイッチ77が設けられている。
また、上述したように、当該オイルクーラ74は、上記ガスクーラ46と同一の風路45に設置されており、ガスクーラ用送風機47により空冷される。各圧縮機11の高段側吐出口28から吐出された高温高圧冷媒は、第2の回転圧縮要素20の下流側で合流し、オイルセパレータ44、ガスクーラ46等を経てショーケースユニット5に接続される。オイルセパレータ44内に流入した高温高圧冷媒中に含まれるオイルは、ここで冷媒と分離されて捕捉される。そして、圧縮機11の密閉容器12内は、中間圧に保持されるため、捕捉されたオイルはオイルセパレータ44内の高圧と密閉容器12内の中間圧との差圧によって、オイル戻し回路28を介して圧縮機11に戻される。
オイル戻し回路28内に流入したオイルは、ガスクーラ46と同一の風路45に配設されるオイルクーラ74にて送風機47の運転により空冷される。当該オイルクーラ74を経た後、二系統に分離して流量調整弁76を経て圧縮機11に戻る。これにより、高温冷媒と共に高温とされたオイルは、オイルクーラ74にて冷却されて圧縮機11に帰還するため、圧縮機11の温度上昇を抑制することができる。
(F)冷媒封入量調整機構
次に、冷凍装置Rに設けられた冷媒封入量調整機構131について説明する。この冷媒封入量調整機構131は、冷凍機ユニット3内に設けられる。冷凍機ユニット3内の冷媒回路1の冷媒配管9には、排出管132が連通して接続されており、この排出管132には電動弁から成る排出弁133が取り付けられている。
そして、これら排出管132及び排出弁133、制御装置Cにより冷媒封入量調整機構131が構成され、排出弁133は制御装置Cの出力側に接続されている。制御装置Cには、例えば前述した冷媒回収動作を開始する条件の一つとしての回収閾値(10.5MPa)よりも高く、前記高圧保護値(12MPa)より低い所定の排出規定値(例えば11.5MPa等)を有しており、この排出規定値(11.5MPa)と例えば前述した回収閾値(10.5MPa)に基づいて排出弁133を開閉する。
前述したように制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が上昇して回収閾値(10.5MPa)を超えた場合、前述した冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116への冷媒回収動作を開始する。制御装置Cが冷媒回収動作を開始すると、前述したように電動膨張弁102、電磁弁104、電動膨張弁117及び電磁弁119を開放するので、冷媒量調整タンク100及び増設冷媒量調整タンク116への冷媒回収能力は最大となる。しかしながら、冷媒回路1への冷媒封入量がもともと過剰であった場合(過充填)には、各タンクへ冷媒回収能力を最大としても回収し切れない状態となり、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力は下がらずに更に上昇するようになる。
ここで、飽和サイクルと超臨界サイクルの両方の条件で運転する本発明のような冷凍装置Rの場合、冷媒回路1内へ冷媒を封入する際の気温(外気温度)により、適正な封入量を判断することが難しく、外気温度が低い冬場に封入したものが、夏季には過充填となってしまい、高圧側が異常に上昇するようになる。
そこで、制御装置Cはユニット出口側圧力センサ58の検出圧力(高圧側圧力)が前述した排出既定値(11.5MPa)まで上昇した場合、排出弁133を開放し、排出管132を介して冷媒回路1から外部に冷媒を排出する。係る冷媒の排出により、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力は低下していくので、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が前記高圧保護値(12MPa)を超え、圧縮機11が停止される不都合が未然に防止される。そして、前述した回収閾値(排出停止値。10.5MPa)までユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が低下した場合、制御装置Cは排出弁133を閉じ、冷媒の排出を停止する。以後は前述した冷媒回収動作に委ねられることになる。これにより、過充填分の冷媒が排出される。
このようにして制御装置Cは冷媒回路1の高圧側圧力が異常に上昇し、所定の排出既定値以上となった場合、排出弁133を開いて排出管132より冷媒回路1から外部に過充填分の冷媒を排出するので、季節が変化して冷凍装置Rが冷媒の過充填状態に陥った場合にも、自動的に冷媒回路1内の冷媒封入量が適正値に調整されるようになる。従って、飽和サイクルと超臨界サイクルの両方で運転される冷凍装置Rの冷媒封入量の調整が極めて容易となる。特に、実施例のように冷媒量調整タンク100や増設冷媒量調整タンク116を設けても冷媒を回収し切れない程、過充填であった場合、係る過充填状態を本発明の冷媒封入量調整機構131で確実に解消することができるようになる。
また、この場合、排出管132は冷媒回路1の低圧側(実施例)又は中間圧領域に連通して取り付けられており、排出弁133は低圧側から冷媒を排出するので、高圧側から排出する場合に比して、穏やかに冷媒を排出することができるようになり、必要以上に冷媒を排出してしまう不都合が防止される。
尚、実施例では冷媒回路1の低圧側となる冷媒配管9に冷媒封入量調整機構131の排出管132及び排出弁133を取り付けたが、それに限らず、図1のインタークーラ38の前後に例示するように、インタークーラ38の入口側の中間圧吐出配管36や、インタークーラ38の出口側の中間圧吸入管40等、冷媒回路1の中間圧領域に取り付けてもよい。係る構成によっても、同様に必要以上の冷媒の排出を防止することが可能となる。
また、実施例で例示した各数値は、それに限定されるものでは無く、当該冷凍装置Rに応じて適宜設定するとよい。