JP2013164251A - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】二段圧縮機に戻る冷媒の量が不必要に増大するのを避け、かつ二段圧縮機の稼働と停止の繰り返しを抑制できる冷凍装置を得ることを目的とする。
【解決手段】ガスクーラ30を経て流入する冷媒を、ガスクーラ30を経た後に、膨張弁35を介して減圧させた冷媒により過冷却させる中間熱交換器40とを備えた冷凍装置Rにおいて、二段圧縮機11の電動機19の回転数を制御する回転数制御手段Cと、二段圧縮機11の低段側吸入口15に吸入される冷媒の圧力を検知する低圧検知センサ48と、中間熱交換器40の過冷却度を調節するために、膨張弁35の弁開度を制御する制御手段Cとを備え、制御手段Cは、低圧検知センサ48の検知値が、制御目標値の下限値より小さい所定の閾値以下であり、かつ電動機19の回転数が、所定の低回転数域にある場合に、中間熱交換器の過冷却度の目標値にかかわらず、膨張弁35の弁開度を縮小させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、二段圧縮機と、ガスクーラと、絞り手段と、蒸発器とを冷媒回路に含む冷凍装置に関する。
二段圧縮機と、二段圧縮機の一段目から吐出される冷媒を冷やすインタークーラと、二段圧縮機の二段目から吐出される冷媒を冷やすガスクーラと、ガスクーラの出口に接続された中間熱交換器と、中間熱交換器により冷却された冷媒が流れ込む蒸発器と、膨張弁の弁開度を制御する制御手段とを有する冷凍装置が、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
中間熱交換器は、ガスクーラを経て流入される一方の冷媒を、ガスクーラを経て、さらに膨張弁で減圧させた後に流入される他方の冷媒により冷却している。また、減圧された後に中間交換器を通過した他方の冷媒は、二段圧縮機の二段目に戻される構成となっている。さらに、制御手段は、外気の温度に関係なく設定される過冷却度の所定の目標値に応じて、一方の冷媒が中間熱交換器で冷却されるように、膨張弁の弁開度を制御するようになっている。蒸発器側に流れる冷媒は、十分な過冷却度で冷却されるため、冷凍装置の冷却効率の改善が図られていた。
特開2011−137557号公報
上記の冷凍装置では、二段圧縮機に吸入される低圧側の冷媒の圧力の目標範囲が予め設定されて、当該範囲に収まるように、制御手段が、二段圧縮機の駆動制御を行っている。ここで、例えば、外気温が低い状況下では、中間熱交換器で過冷却度をとった冷媒を蒸発器に供給し続けると、蒸発器では、必要以上の冷却性能が発揮され、蒸発器から放出される低圧冷媒の圧力が下がる。低圧冷媒の圧力を上げたい場合には、二段圧縮機に吸入される低圧冷媒の圧縮能力を下げればよい。しかしながら、目標範囲を下回った低圧冷媒の圧力を上げるため、二段圧縮機の冷媒圧縮能力を最大限に落としても、低圧側の冷媒の圧力を上げて、目標とする範囲に戻すことができない場合がある。このとき、蒸発器での冷却性能が、必要以上に発揮されて、低圧冷媒の圧力が過剰に低下したままとなる。
このような状況下、低圧冷媒の圧力を、目標範囲に収めるためには、二段圧縮機の稼働と停止を繰り返すことが必要となっていた。しかし、この場合、二段圧縮機の稼働と停止に起因して開閉動作を行う必要のある膨張弁などの機器への負担が増大してしまう。さらに、中間熱交換器での冷媒の過冷却度を確保する必要がないにも関わらず、目標とする過冷却度を確保するべく、膨張弁の弁開度を開けているので、二段圧縮機の二段目に戻る冷媒の量が、不必要に増大する。このため、二段圧縮機の仕事量が、不必要に増大してしまう。
この発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、二段圧縮機に戻る冷媒の量が不必要に増大するのを避け、かつ二段圧縮機の稼働と停止の繰り返しを抑制できる冷凍装置を得ることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、二段圧縮機と、前記二段圧縮機の一段目の冷媒吐出部に入口が接続され、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吸入部に出口が接続されたインタークーラと、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吐出部に入口が接続されるガスクーラと、前記ガスクーラの出口に接続され、前記ガスクーラを経て流入する冷媒を、前記ガスクーラを経た後に、膨張弁を介して減圧させた冷媒により過冷却させる中間熱交換器とを備えた冷凍装置において、前記二段圧縮機を駆動する電動機の回転数を制御する回転数制御手段と、前記二段圧縮機の一段目の冷媒吸入部に吸入される冷媒の圧力を検知する低圧検知センサと、前記中間熱交換器の過冷却度を調節するために、前記膨張弁の弁開度を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記低圧検知センサの検知値が、制御目標値の下限値より小さい所定の閾値以下であり、かつ前記二段圧縮機の電動機の回転数が、所定の低回転数域にある場合に、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値にかかわらず、前記膨張弁の弁開度を縮小させる機能を備えている。
また、本発明は、前記冷凍装置において、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値が外気温度に応じて変更されることを特徴とする。
また、本発明は、前記冷凍装置において、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値が一定であることを特徴とする。
また、本発明は、前記冷凍装置において、前記制御手段は、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吐出部から吐出される冷媒の温度と、前記ガスクーラの出口での冷媒の温度との差が所定の閾値以下である場合に、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値にかかわらず、前記膨張弁の弁開度を縮小させることを特徴とする。
本発明の冷凍装置によれば、二段圧縮機11に接続される蒸発器からの冷媒の圧力が過剰に低下したときには、中間熱交換器での過冷却度が過剰に取られているものとみなして、中間熱交換器への冷媒を減圧する膨張弁35の弁解度を縮小して、中間熱交換器での過冷却度を自動的に下げることができる。即ち、中間熱交換器での過冷却度が過剰となることが抑制されるので、中間圧領域に戻される冷媒量が、不必要に増大することができる。また、中間熱交換器から冷媒を供給される冷却ユニットでの冷却性能が過剰になることもなくなるので、二段圧縮機の稼働と停止により行う必要がなくなる。これにより、二段圧縮機の稼働と停止に連動して動作する冷凍装置の各機器の負担を軽減できる。
本発明の実施形態に係る冷却ユニットを有する冷凍装置の冷媒回路図である。 冷凍装置のシステム構成図である。 通常時の膨張弁の弁開度の制御を説明するフロー図である。 外気温度に応じた過冷却度の目標値の例を説明する図である。 目標値設定データの他の例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の実施形態に係る冷凍装置の冷媒回路図、図2は冷凍装置のシステム構成図である。
図1において、本実施形態における冷凍装置Rは、冷凍機ユニット2と、蒸発器82を有する冷却ユニットとしてのショーケースユニット80と、制御手段Cとを備え、冷凍機ユニット2とショーケースユニット80とが、冷媒管7及び9により連結されて所定の冷媒回路1が構成される。
この冷媒回路1によりなされる冷凍サイクルでは、高圧側の冷媒圧力(高圧圧力)がその臨界圧力以上(超臨界)となる二酸化炭素を冷媒として用いる。この二酸化炭素冷媒は、地球環境に優しく、可燃性及び毒性等を考慮した自然冷媒である。
制御手段Cは、汎用のマイクロコンピュータにより構成される。
制御手段Cは、後述する目標値設定データを記憶する記憶部C1を有している。
冷凍機ユニット2は、二段圧縮機11、インタークーラ20、ガスクーラ30、及び中間熱交換器40を備えている。
また、冷凍機ユニット2は、必要に応じて、冷媒回路1から回収した冷媒を溜めたり、冷媒回路1に冷媒を戻したりするための冷媒量調整タンク60を備えている。
二段圧縮機11は、内部中間圧型多段圧縮式ロータリ圧縮機であり、鋼板から成る円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間に配置収納された電動機19と、電動機19によりそれぞれ回転駆動される第1回転圧縮要素13及び第2回転圧縮要素14とを有している。本実施形態では、電動機19の回転数(回転速度)は、回転数制御手段を兼ねる制御手段Cの制御のもと、インバータ制御により制御される。インバータ制御に用いられる交流電力の運転周波数は、35Hz〜70Hzの間で変更可能となっている。
電動機19の回転数の変更制御により、第1回転圧縮要素13及び第2回転圧縮要素14の回転数を制御することが可能になっている。
なお、第1回転圧縮要素13は、第2回転圧縮要素14より低圧側で用いられる。第1回転圧縮要素13が、二段圧縮機11における一段目の圧縮機を構成し、第2回転圧縮要素14が、二段圧縮機11における二段目の圧縮機を構成する。
密閉容器12には、第1回転圧縮要素13への冷媒の吸入部となる低段側吸入口15、第1回転圧縮要素13からの冷媒の吐出部となる低段側吐出口16、第2回転圧縮要素14への冷媒の吸入部となる高段側吸入口17、及び第2回転圧縮要素14からの冷媒の吐出部となる高段側吐出口18が形成されている。
また、二段圧縮機11の低段側吐出口16とインタークーラ20の入口とが、中間圧吐出管61を介して接続されている。また、インタークーラ20の出口と高段側吸入口17とが、中間圧吸入管62を介して接続されている。また、高段側吐出口18とガスクーラ30の入口とが、高圧冷媒管63を介して接続されている。また、中間熱交換器40は、第1流路40A及び第2流路40Bを有している。そして、ガスクーラ30の出口と中間熱交換器40の第1流路40Aの一端とが、高圧冷媒管64を介して接続されている。第1流路40Aの他端(出口)は、冷媒管7を介してショーケースユニット80に接続されている。
第1流路40Aの出口側に位置する冷媒管7の部位には、ストレーナ8が設けられている。また、冷媒管7の所定部と第2流路40Bの一端とが、第1スプリット冷媒管65により接続されている。これにより、冷媒管7から分岐して、第2流路40Bの一端に至る冷媒流路が構成されている。また、第1スプリット冷媒管65には、膨張弁35が設けられている。
また、インタークーラ20から高段側吸入口17に戻る冷媒流路と、第2流路40Bの他端とが、第2スプリット冷媒管66により接続されている。第1スプリット冷媒管65及び第2スプリット冷媒管66により、冷媒管7から分岐され、中間熱交換器40の第2流路40Bを介してインタークーラ20の出口側の冷媒流路に至る補助冷媒回路が形成される。
冷媒管7と冷媒量調整タンク60の上部とが、第1連通路71(第1連通冷媒管)を介して接続されている。また、第1連通路71には、第1弁装置としての回収用膨張弁72が設けられている。回収用膨張弁72を開くことで、冷媒管7を流れる高圧の冷媒を、冷媒量調整タンク60に回収可能になっている。
また、膨張弁35から第2流路40Bに至る第1スプリット冷媒管65の部位と冷媒量調整タンク60内の下部とが、第2連通路73(第2連通冷媒管)を介して接続されている。第2連通路73には、電磁弁75、及び絞り機能を有するキャピラリーチューブ76を有する第2弁装置74が設けられている。なお、第2弁装置74は、膨張弁により構成してもよい。
また、冷媒回路1の中間圧領域と、冷媒量調整タンク60内上部とが、第3連通路(第3連通冷媒管)77により接続されている。中間圧領域は、二段圧縮機11の低段側吐出口16からインタークーラ20を介して二段圧縮機11の高段側吸入部26に至る領域である。本実施の形態においては、中間圧吸入管62の所定部と、冷媒量調整タンク60内上部とが第3連通路77を介して接続されている。また、第3連通路77には、第3弁装置としての電磁弁78が設けられている。
また、冷媒回路1の中間圧領域と低圧側とが、バイパス連通路(バイパス管)54を介して接続されている。より詳しくは、第3連通路77と、蒸発器82の出口から放出される冷媒が流れる冷媒管9とが、バイパス連通路54を介して接続されている。また、バイパス連通路54には、電磁弁55が設けられている。
ここで、ガスクーラ30とインタークーラ20とは、同一の風路41に配置され、当該ガスクーラ30とインタークーラ20とを空冷する送風機42が配設されている。
また、高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)43が、ガスクーラ30の出口に設けられ、第2回転圧縮要素14から吐出された高圧冷媒の圧力を検出する。
また、吐出温度センサ(吐出温度検出手段)44が、二段圧縮機11の高段側吐出口18近傍に位置する高圧冷媒管63に設けられ、第2回転圧縮要素14から吐出された冷媒の吐出温度を検出する。
また、ユニット出口側圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)45が、冷媒管7から分岐した第1連通路71に設けられ、冷媒管7を流れる高圧冷媒の圧力を検出する。
また、中間圧圧力センサ(中間圧圧力検出手段)46が、インタークーラ20の出口側に位置する中間圧吸入管62の部位に設けられ、冷媒回路1の中間圧領域を流れる冷媒の圧力を検出する。なお、第2流路40Bの出口とインタークーラ20の出口とで、冷媒の圧力は同等である。さらに、スプリット出口温度センサ47が、第2流路40Bの出口側に位置する第2スプリット冷媒管66の部位に設けられ、冷媒回路1の中間圧領域を流れる冷媒の温度を検出する。
また、低圧検知センサ48が、冷媒管9に接続されるバイパス連通路54に設けられて、蒸発器82から二段圧縮機11の低段側吸入口15に吸い込まれる低圧冷媒の圧力を検出する。
また、ガスクーラ出口温度センサ(ガスクーラ出口温度検出手段)49が、ガスクーラ30の出口側に位置する高圧冷媒管64の部位に設けられ、当該ガスクーラ30を出た冷媒の温度(GCT)を検出する。
また、ユニット出口温度センサ(ユニット出口温度検出手段)50が、冷媒管7に設けられて、冷凍機ユニット2からショーケースユニット80に供給される冷媒の温度、言い換えれば、中間熱交換器40の第1流路40Aから放出される冷媒の温度(LT)を検出する。
また、ユニット入口温度センサ(入口温度検出手段)51が、冷媒管9に設けられ、ショーケースユニット80から冷凍機ユニット2に導入される冷媒の温度、言い換えれば、第1回転圧縮要素13に吸い込まれる冷媒の温度を検出する。
また、風路41には、外気温センサ(外気温度検出手段)52が設けられ、冷凍機ユニット2の配設箇所の外気温度を検出する。
また、中間圧吐出温度センサ53が、中間圧吐出管61に設けられ、第1回転圧縮要素13から吐出された冷媒の吐出温度を検出する。
ショーケースユニット80は、例えば、店舗内に設置され、冷媒管7及び冷媒管9に接続される。ショーケースユニット80は、冷媒管7に接続される絞り手段としての冷却ユニット側膨張弁81と、冷媒管7に冷却ユニット側膨張弁81を介して入口を接続される蒸発器82とを備えている。また、蒸発器82の出口は、冷媒管9の一端に接続される。また、ショーケースユニット80には、蒸発器82に送風する図示しない冷気循環用送風機が設けられている。そして、冷媒管9の他端が、低段側吸入口15に接続されている。なお、冷媒管9には、逆止弁27やストレーナ28が設けられている。これにより、冷媒回路1においては、蒸発器82、第1回転圧縮要素13、インタークーラ20、第2回転圧縮要素14、ガスクーラ30、及び中間熱交換器40を経由しつつ循環する冷媒主回路が形成される。
次いで、冷凍装置Rのシステム構成について説明する。
制御手段Cには、図2に示すように二段圧縮機11の電動機19に接続され、制御手段Cは、電動機19の駆動制御を行うとともに、その運転周波数を検出(取得)可能になっている。
また、制御手段Cは、送風機42のファンモータ42Mと接続され、ファンモータ42Mの駆動を制御可能になっている。
また、制御手段Cには、高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)43、吐出温度センサ44、ユニット出口側圧力センサ45、中間圧圧力センサ46、スプリット出口温度センサ47、低圧検知センサ48、ガスクーラ出口温度センサ49、ユニット出口温度センサ50、及びユニット入口温度センサ51が接続され、制御手段Cは、これらのセンサの出力を認識する。
また、制御手段Cは、膨張弁35、電磁弁55、回収用膨張弁72、電磁弁75、及び電磁弁78に接続され、これらの弁の開閉を制御可能になっている。
次いで、冷凍装置Rにおける冷媒の流れについて説明する。
第1回転圧縮要素13は、冷媒管9を介して冷媒回路1の低圧側から吸い込まれる低圧冷媒を圧縮して中間圧まで昇圧して吐出する。第1回転圧縮要素13から吐出された冷媒は、中間圧吐出管61を介してインタークーラ20に流入され、インタークーラ20で空冷される。インタークーラ20を経た冷媒は、中間圧吸入管62を介して高段側吸入口17から第2回転圧縮要素14に吸い込まれる。第2回転圧縮要素14は、吸い込んだ中間圧の冷媒を圧縮して高圧に昇圧して、高段側吐出口18から吐出する。
高段側吐出口18から吐出された高圧の冷媒は、高圧冷媒管63を介してガスクーラ30に流入され、ガスクーラ30で空冷される。ガスクーラ30の出口から吐出される冷媒流は、中間熱交換器40の高圧冷媒管64を介して第1流路40Aに向かうものと、第1スプリット冷媒管65を介して第2流路40Bに向かうものとに分流される。
中間熱交換器40において、第1流路40Aを経た冷媒は、冷媒管7を介して冷却ユニット側膨張弁81に流入されて減圧される。減圧された冷媒は、蒸発器82で蒸発されたのち、冷媒管9を介して第1回転圧縮要素13に戻る。
さらに、冷凍装置Rの冷媒回路には、中間熱交換器40を利用した以下に説明するスプリットサイクルが形成されている。
スプリットサイクルは、高圧側冷媒流路から分流して膨張弁35により減圧させた冷媒に、適宜冷媒量調整タンク60から第3連通路77を介して合流させた冷媒と、ガスクーラ30からの冷媒とを熱交換させるサイクルである。膨張弁35の弁開度を制御することで、中間熱交換器40での過冷却度が調節することが可能になる。なお、高圧側冷媒流路は、ガスクーラ30から中間熱交換器40を介してショーケースユニット80の蒸発器82に至る冷媒流路である。高段側吸入口17から第2回転圧縮要素14に吸い込まれた中間圧(MP)の冷媒ガスは、当該第2回転圧縮要素14により2段目の圧縮が行われて高温高圧(HP:通常運転状態で12MPa程の超臨界圧力)の冷媒ガスとなっている。即ち、超臨界圧力となった高圧の冷媒が、高圧側冷媒流路を流れている。
また、前述したように、高圧側冷媒流路を構成する冷媒管7には、冷媒管7内の冷媒を回収可能に冷媒量調整タンク60が接続されている。冷媒量調整タンク60に回収された冷媒は、冷媒量調整タンク60の下部にたまる。冷媒の回収動作についての詳細は後述する。
ガスクーラ30の出口から吐出されて、第1スプリット冷媒管65に流れ込んだ冷媒は、制御手段Cの制御のもと、膨張弁35により適宜膨張された後に、第2流路40Bに向かう。また、第2連通路73を開閉する電磁弁75が開いている場合には、冷媒量調整タンク60からの冷媒が、キャピラリーチューブ76にて膨張した後、第1スプリット冷媒管65を流れる冷媒と合流されたのち、第2流路40Bに流入される。
そして第1流路40Aを流れる冷媒と第2流路40Bを流れる冷媒との間で熱交換が行われ、第2流路40Bを流れた冷媒は、第2スプリット冷媒管66を流れて中間圧領域に戻される。
以上のようなスプリットサイクルでは、中間熱交換器40の第1流路40Aを流れる冷媒と、第2流路40Bを流れる冷媒との間で熱交換が行われる際、第1流路40Aの冷媒が第2流路40Bの冷媒により十分に冷やされる。これにより、ショーケースユニット80では、蒸発器82により冷却する空間の冷却性能が高められる。
また、第2流路40Bの他端は、インタークーラ20から高段側吸入口17に戻る冷媒流路に合流する。このため、インタークーラ20における圧力損失を防止しつつ、円滑に中間熱交換器40から出た冷媒流を冷媒主回路の中間圧領域に合流させることが可能となる。
次いで、制御手段(制御手段)Cによる冷凍機ユニット2の制御について説明する。
まず、二段圧縮機11の運転周波数制御について説明する。
制御手段Cの記憶部C1には、第1回転圧縮要素13へ吸い込まれる低圧冷媒の圧力の目標範囲が、ショーケースユニット80での目標設定温度に応じて、予め格納されている。本実施の形態では、例えば、ショーケースユニット80での目標設定温度が、Td℃±2℃の範囲に設定されており、低圧冷媒の圧力の目標範囲は、PaMPa〜PbMPaとなっている。低圧冷媒の目標範囲は、外気温が高い場合でも、設定した圧力の目標範囲内に、ショーケースユニット80の蒸発器82から放出された冷媒の圧力が入っていれば、ショーケースユニット80の仕様で要求される冷却性能が満足しているとみなせるものとして設定される。
ここで、低圧冷媒の圧力が、目標範囲の下限値より低い場合には、ショーケースユニット80での冷却性能が、必要以上に発揮されていることを意味している。制御手段Cは、低圧検知センサ48を監視し、低圧冷媒の圧力が、目標範囲の下限値より低い場合には、二段圧縮機11の運転周波数を所定量だけ低下させる制御を繰り返す。また、低圧冷媒の圧力が、目標範囲の上限値より高い場合には、ショーケースユニット80での冷却性能が、足りないことを意味している。制御手段Cは、低圧検知センサ48を監視し、低圧冷媒の圧力が、目標範囲の上限値より高い場合には、二段圧縮機11の運転周波数を所定量だけ増大させる制御を繰り返す。これにより、低圧の冷媒圧力が、目標範囲に収まる方向に変化する。
制御手段Cは、膨張弁35の弁開度を、ステップモータによって調整することが可能になっている。
以下、通常時の膨張弁35の弁開度の制御について説明する。
図3は通常時の膨張弁の弁開度の制御を説明するフロー図、図4は外気温度の値に対して、過冷却度の目標値を一義的に対応づけた目標値設定データの一例を説明する図である。
制御手段Cは、外気温センサ52の出力を参照して、外気温度Tを取得するとともに、記憶部C1の目標値設定データを参照し、中間熱交換器40の過冷却度の目標値ΔKaを、外気温度Tに応じて変更(設定)する(S101)。
目標値設定データは、外気温度Tの値に対して、過冷却度の目標値ΔKaを一義的に対応づけるものである。例えば、図4の実線で示されるように、過冷却度の目標値ΔKaは、外気温度Tが0℃以下の場合は、Ao℃(例えば、5℃程度)で一定とし、外気温度Tが0℃から上昇するのに比例して増大するように、外気温度Tと過冷却度の目標値ΔKaとが対応付られている。例えば、外気温度Tが20℃のときの目標値ΔKaを10℃、外気温度Tが40℃のときの目標値ΔKaを20℃としている。
なお、目標値設定データは、このものに限定されず、例えば、図4の破線で示されるように、外気温度Tの変動領域内のすべての値と過冷却度の目標値ΔKaとが比例関係で対応づけして構成されるものでもよい。このとき、比例係数は正の値として設定される。このように、目標値ΔKaは、高い外気温度に対しては、大きな値となり、低い外気温度に対しては小さな値となるように設定している。
次いで、制御手段Cは、ユニット出口温度センサ50が検出する冷媒温度(LT)及びガスクーラ出口温度センサ49が検出した冷媒温度(GCT)から、中間熱交換器40の実際の過冷却度ΔKb(GCT−LT)を演算する(S102)。
制御手段Cは、中間熱交換器40での実際の過冷却度ΔKbが、弁拡大指標値(=目標値ΔKa+所定値α)より大きいか否かを判断する(S103)。αは、実際の過冷却度ΔKbと目標値ΔKaとが異なる場合でも、ΔKbとΔKaとの差が、α以内であれば、ショーケースユニット80での冷却温度が、目標値ΔKaに一致しているときと比較して大きく変動されない範囲で適宜設定される。
制御手段Cは、実際の過冷却度ΔKbが、弁拡大指標値より大きい場合(S103:YES)、中間熱交換器40での過冷却度が十分であるとみなして膨張弁35の弁開度を所定量縮小させ(S104)、S101に戻る。また、制御手段Cは、実際の過冷却度ΔKbが、弁拡大指標値より小さい場合(S103:NO)には、実際の過冷却度ΔKbが、弁縮小指標値(=ΔKb−α)より小さいか否かを判断する(S105)。
制御手段Cは、実際の過冷却度ΔKbが、弁縮小指標値より小さい場合(S105:YES)、中間熱交換器40での過冷却度が不十分であるとみなして膨張弁35の弁開度を所定量拡大させ(S106)、S101に戻る。
また、制御手段Cは、実際の過冷却度ΔKbが、弁縮小指標値より大きい場合(S105:NO)、膨張弁35の弁開度を現状に維持し(S107)、S101に戻る。
なお、上記膨張弁35の弁開度の制御サイクルは、所定間隔おきに繰り返される。
以上の膨張弁35の弁開度の制御をまとめると、制御手段Cは、中間熱交換器40の過冷却度の目標値ΔKaを、外気温度Tに応じて変更すると共に、この変更された過冷却度の目標値ΔKaに基づいて、膨張弁35の弁開度を制御している。このとき、中間熱交換器40での実際の過冷却度が、目標値ΔKaから所定の範囲(±α)内に収まるように制御される。
本実施の形態のように、例えば、臨界点の低い二酸化炭素が、冷媒として使用されると、外気温度Tが高い(例えば、40℃近く)場合、中間熱交換器40での過冷却度を十分に取られないと、完全には液化しない超臨界の冷媒がショーケースユニット80に供給されることになる。このため、外気温度Tが高い場合には、中間熱交換器40での過冷却度を大きくとる必要がある。一方、外気温度Tが低い(例えば、0℃)場合、二酸化炭素冷媒でも、十分に凝縮されるので、中間熱交換器40で大きな過冷却度をとった冷媒をショーケースユニット80に供給する必要性がなくなる。
ここで、仮に、中間熱交換器40での過冷却度の目標値ΔKaを、一定に設定する場合は、以下の不具合が発生する。上述したように、過冷却度の目標値ΔKaは、外気温度Tが高い場合でもショーケースユニット80での冷却性能が確保されるように、大きな値に設定する必要がある。この条件下で、外気温度Tが低くなると、必要以上に中間熱交換器40での過冷却度がとられることになる。即ち、高圧側冷媒流路から分流させ、膨張弁35にて減圧した後、中間熱交換器40に流入される冷媒の量が、不必要に大きくなる。言い換えれば、中間熱交換器40から中間圧領域に戻す冷媒量が、不必要に大きくなるので、中間圧領域の冷媒圧力が大きくなり、これに伴い、二段圧縮機11での負担が増大される。また、必要以上に過冷却度がとられた冷媒が、ショーケースユニット80に供給されるので、ショーケースユニット80の温度が必要以上に下がることになり、ショーケースユニット80での温度を二段圧縮機11の駆動と停止を繰り返すことで調整しなければならない。二段圧縮機11の駆動と停止に連動して、開閉を繰り返さなければならない膨張弁35などに負荷がかかる。
一方、本実施の形態では、中間熱交換器40での過冷却度の目標値ΔKaを外気温度Tに応じて変更し、変更した過冷却度の目標値ΔKaに応じて中間熱交換器40での過冷却度が制御されている。このため、中間熱交換器40から中間圧領域に戻される冷媒量が、不必要に大きくなったり、ショーケースユニット80での冷却が過剰になされることに起因して、二段圧縮機11の駆動と停止が繰り返されたりすることが回避される。
また、通常は、上記のように膨張弁35の弁開度が制御されるが、以下の第1〜第4の条件のいずれかを満たす場合には、制御手段Cは、上記の制御に優先させて膨張弁35の弁開度を調整する非常時膨張弁制御を行う。
第1の条件は、低段側吸入口15に吸入される低圧冷媒の圧力が、目標とする制御範囲(制御目標値)の下限値より小さい所定の低圧閾値以下であり、かつ二段圧縮機11の電動機19の回転数(回転速度)が、所定の低回転数域にある場合である。上述のように、回転数制御手段を兼ねる制御手段Cが、電動機19の回転数をインバータ制御しており、インバータ制御に用いられる交流電力の周波数(運転周波数)は、35Hz〜70Hzとなっている。所定の低回転数域とは、運転周波数が35Hzを含む狭い範囲にあるときの電動機19の回転数領域である。
第1の条件を満足することは、以下のことを意味している。
低圧冷媒の圧力が、制御目標値の下限値より低い場合には、ショーケースユニット80での冷却性能が、過剰に発揮されていることになる。ショーケースユニット80での冷却が過剰に行われているにもかかわらず、二段圧縮機11の電動機19は、低回転数域内の回転数で駆動されているので、回転数を略落とすことができず、低圧冷媒の圧力を上げられない状況となっている。この状況は、外気温度Tが低い場合に起こりやすくなる。例えば、電動機19の運転周波数を35Hzであるときには、第1回転圧縮要素13と第2回転圧縮要素14の回転数が最も遅くなる。
本来、低温の状況下では、中間熱交換器40での過冷却度を小さくしているので、蒸発器82から放出される低圧冷媒の圧力が、制御目標値の下限値を下回ることは少ない。しかしながら、例えば、中間熱交換器40での過冷却度を取る必要がないほど外気温度Tが下がったりした場合に、第1の条件が満たされる場合がある。
第1の条件が満たされると、制御手段Cは、以下のように膨張弁35の弁開度を制御する。制御手段Cは、低圧検知センサ48の出力に基づいて低圧冷媒の圧力を認識し、目標制御値の下限値より所定以上小さいか否かを判断する。そして、制御手段Cは、低圧冷媒の圧力が、目標とする圧力範囲より所定以上小さいと判断すると、さらに、二段圧縮機11が、圧縮能力範囲の下限で駆動されているか否かを判断する。
制御手段Cは、二段圧縮機11が、駆動能力範囲の下限で駆動されていると判断すると、膨張弁35の弁開度を所定量縮小させる。
制御手段Cは、この制御を所定時間おきに繰り返すことで、中間熱交換器40での過冷却度が、ショーケースユニット80で要求される冷却性能に見合ったものまで小さなものとなる。
このため、中間熱交換器40から中間圧領域に戻される冷媒量が、不必要に増大したり、ショーケースユニット80での冷却が過剰になされることに起因して、二段圧縮機11の駆動と停止が繰り返されたりすることが回避される。
第2の条件は、第2回転圧縮要素14からの吐出冷媒温度DTとガスクーラ30を経た冷媒の温度GCTとの温度差(DT−GCT)が、所定値TDTより低い場合である。
ここで、所定値TDTは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なる。制御手段Cは、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温度Tに基づき判断する。そして、制御手段Cは、超臨界領域と判断した場合には、所定値TDTを下げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値TDTを上げる設定とする。本実施形態では、超臨界領域では所定値TDTは10℃、飽和領域では35℃とする。
制御手段Cは、温度差(DT−GCT)が、所定値TDTより低い場合、膨張弁35の弁開度を縮小または膨張弁35を閉じる。これにより、非常に冷えた冷媒が、中間圧領域に戻ることが回避されるので、中間圧領域で液バックが進行することが抑制される。
第3の条件は、第2回転圧縮要素14からの吐出冷媒温度DTが、二段圧縮機11の適正な運転を実現可能とする限界温度(一例として+100℃)より少し低い温度DT0より上昇した場合である。
この場合、制御手段Cは、膨張弁35の弁開度を増大させように制御し、当該二段圧縮機11の温度上昇を抑制し、二段圧縮機11が限界温度に達しないようにしている。制御を行う。DT0は、一例として+95℃程度のものがあげられる。
第4の条件は、ガスクーラ出口温度センサ49により検出されるガスクーラ30を経た冷媒の温度GCTと、ユニット出口温度センサ50により検出される中間熱交換器40の第1流路40Aを経た冷媒流の温度LTとの温度差(GCT−LT)が所定値SPより小さい場合である。制御手段Cは、温度差(GCT−LT)が、所定値SPより小さいと判断すると、膨張弁35の弁開度を増大させる方向に作用させる。
ここで、所定値SPは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なるものとする。本実施形態では、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温センサ52により検出された外気温度Tにより決まる。当該外気温度Tが高い場合、例えば、+31℃以上では、高圧側圧力HPが超臨界領域であると判断し、外気温度Tが低い場合、例えば、+31℃未満では、高圧側圧力HPが飽和領域であるものと判断する。そして、超臨界領域と判断した場合には、所定値SPを上げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値SPを下げた設定とする。本実施形態では、超臨界領域では所定値SPは、35℃、飽和領域では20℃とする。
これにより、高圧側圧力HPが飽和領域にある場合であっても、中間熱交換器40において、二段圧縮機11に戻される冷媒の過熱度を確実に確保することができ、二段圧縮機11に液バックが生じる不都合を回避することができる。また、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合には、このような液バックが生じにくくなる。
次いで、冷媒回路1の冷媒量の調整制御について説明する。
冷媒回路1の冷媒を回収する回収制御を行う場合について説明する。制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が所定の回収閾値を超えたか否か、又は、当該ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が先の回収閾値よりも低い所定の回収保護値を超え、且つ、上記送風機42の回転数が最大値となっているか否かを判断する。
本実施形態では、冷媒回路1の中間圧(MP)は、一例として8MPa程を適正値としているため、当該値を回収保護値として設定し、回収閾値は、例えば、9MPa程度に設定する。また、送風機42の回転数の最大値は、一例として800rpmとする。また、送風機42の回転数が最大値となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が回収閾値である9MPaを超えた場合、若しくは、検出圧力が回収閾値以下であっても回収保護値である8MPaを超え、且つ、上記送風機42の回転数が最大値の800rpmとなっている場合には、冷媒回路1内に、過剰のガス冷媒が循環することによって、高圧側圧力が異常上昇したものと判断し、冷媒回収動作を実行する。
この冷媒回収動作では、制御手段Cは、電磁弁75を閉じた状態で、回収用膨張弁72及び電磁弁78を開放する。これにより、中間熱交換器40にて冷却されて、冷媒管7内を、ショーケースユニット80に向かって流れる冷媒の一部は、第1連通路71を介して冷媒量調整タンク60内に流入する。
このとき、電磁弁78が開放されていることにより、第3連通路77を介して、冷媒量調整タンク60内の圧力を当該タンク外に逃がすことができる。そのため、外気温度が高くなった場合など、冷媒回路1内の冷媒が、液化しないガスサイクル運転している場合であっても、冷媒量調整タンク60内の圧力が低下するので、当該タンク内に流入した冷媒は液化して当該タンク60内に溜まる。即ち、冷媒量調整タンク60内の圧力は超臨界圧力以下に降下することによって、冷媒がガス領域から飽和領域となり、液面を確保することができる。
これにより、迅速に、且つ、効率的に、冷媒回路1内の冷媒を冷媒量調整タンク60に回収することができる。従って、冷媒回路1内の高圧側が余剰となった冷媒によって異常高圧となる不都合を解消することができ、高圧異常による二段圧縮機11の過負荷運転を防止することが可能となる。
特に、冷媒量調整タンク60の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを第3連通路77を介して連通させることにより、冷媒回路1の低圧側領域と連通させる場合と異なり、低圧側圧力が上昇されることによる冷却効率の低下を回避することが可能となる。
また、本実施形態では、ユニット出口側圧力センサ45により検出された高圧側の圧力が回収閾値以下であっても、所定の回収保護値を超えており、且つ、ガスクーラ30を空冷する送風機42の回転数が最高値である場合には、当該冷媒回収動作を行うため、当該送風機42の運転状態をも考慮して、冷媒回路1の高圧側が異常に高くなった状態が続くことによる効率低下を防止することが可能となる。
次いで、冷媒の回収制御を行っている状態から、冷媒回路1の冷媒量を保持する第1保持制御に移行する場合について説明する。
制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施形態では、8MPa以下となったか否かを判断し、回収保護値を下回った場合、冷媒回収動作を終了して冷媒保持動作に移行する。この冷媒保持動作では、制御手段Cは、電磁弁75を閉じた状態を維持し、電磁弁78を閉じ、回収用膨張弁72の弁開度を、先ほどの冷媒回収動作における弁開度に維持する。
次いで、冷媒回路1に冷媒を放出する放出制御について説明する。
そして、制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が上記回収保護値(この場合8MPa程)より低い所定の放出閾値(本実施形態では、7MPa程)を下回った場合、又は、当該ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が先の回収保護値以下となり、且つ、上記送風機42の回転数が最大値よりも低い所定の規定値以下となっているか否かを判断する。なお、当該所定の規定値とは、本実施形態では、一例として最大値の3/8程度、即ち、最高値800rpmとした場合、300rpm程度とする。また、送風機42の回転数が所定の規定値以下となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45の検出圧力が放出閾値である7MPaを下回った場合、若しくは、検出圧力が回収保護値である8MPa以下となり、且つ、上記送風機42の回転数が所定の規定値(ここでは300rpm)以下となっている場合には、冷媒回路1内の冷媒が不足してきたものと判断し、冷媒放出動作を実行する。
この冷媒放出動作では、制御手段Cは、回収用膨張弁72、及び電磁弁78を閉じ、第2弁装置74の電磁弁75を開放する。これにより、冷媒量調整タンク60内に溜まった液冷媒は、当該タンク60の下部に接続された第2連通路73を介して冷媒回路1に放出される。そのため、冷媒量調整タンク60の上部からガス冷媒が混入した状態で冷媒回路1に放出する場合と異なり、迅速に冷媒量調整タンク60内の冷媒を冷媒回路1に放出できる。これにより、冷凍装置Rを高い効率にて運転することが可能となる。
次いで、冷媒の放出制御を行っている状態から、冷媒回路1の冷媒量を保持する第2保持制御に移行する場合について説明する。
制御手段Cは、ユニット出口側圧力センサ45により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施形態では、8MPa以上となったか否かを判断し、回収保護値を超えた場合、冷媒放出動作を終了して上述した如き冷媒保持動作に移行する。以後、冷媒回路1の高圧側圧力に基づき、当該回収制御−第1保持制御―放出制御―第2保持制御を繰り返して実行することにより、高圧側圧力に基づいて冷媒回収・放出を制御でき、的確に高圧保護及び過負荷運転の防止することができる。これにより、冷凍装置の冷却能力を確保することができ、COPの適正化を図ることが可能となる。
上述したようなスプリットサイクルを備えた冷凍装置Rでは、冷媒量調整タンク60からの冷媒の放出時、キャピラリーチューブ76により膨張された後、第1スプリット冷媒管65を流れる減圧後の冷媒と合流して、中間熱交換器40に流入され、ガスクーラからの冷媒と熱交換を行われることになる。
冷媒量調整タンク60から放出される冷媒は、確実に中間熱交換器40により暖められて、中間圧領域に戻される。即ち、暖められた冷媒は、インタークーラ20から二段圧縮機11の高段側吸入口17に至る中間圧領域に合流されたのち、高段側吸入口17から第2回転圧縮要素14内に流入される。このように、冷媒量調整タンク60から吐出されて第2流路40Bに流入した冷媒が、暖められてから中間圧領域に戻されるので、中間圧領域の冷媒が、液バック状態となることが抑制される。
次いで、二段圧縮機11の始動性改善制御について説明する。
上記二段圧縮機11の運転が停止した後、二段圧縮機11を再始動する際には、制御手段Cは、二段圧縮機11の起動から所定の運転周波数に上昇するまでの間、電磁弁55を開放してバイパス回路84の流路を開放する。当該所定の運転周波数とは、二段圧縮機11が実効的なトルク制御が可能となる運転周波数であり、本実施形態では、一例として35Hzとする。
これにより、二段圧縮機11が、停止状態から起動され、当該所定の運転周波数に上昇するまでの間、電磁弁55が開放されることにより、低段側吐出口16から中間圧吐出管61に吐出され、インタークーラ20を経た後の中間圧領域の冷媒は、バイパス回路84を介して、冷媒回路1の低圧側領域に流入する。これにより、冷媒回路1の中間圧領域と低圧側領域との圧力が均圧される。
従って、二段圧縮機11の起動から所定の運転周波数に上昇するまでの始動時は、所定のトルクが確保できないが、この間、中間圧領域と低圧側領域とを均圧とすることで、外気温度が高いため中間圧が高くなりやすい状況であっても、中間圧が高圧に接近する不都合を解消できる。
そのため、二段圧縮機11の始動時におけるトルク不足が生じている間に、中間圧領域の圧力と高圧領域の圧力とが接近してしまうことによる始動不良を未然に回避することができ、安定した、且つ、高効率な運転を実現することができる。尚、制御手段Cは、検出される二段圧縮機11の運転周波数が所定の運転周波数に上昇した後は、電磁弁55を閉鎖し、バイパス回路84の流路を閉塞することで、上述したような通常の冷凍サイクルを行う。
この発明による冷凍装置Rは、二段圧縮機11と、二段圧縮機11の低段側吐出口16に入口が接続され、二段圧縮機11の高段側吸入口17に出口が接続されたインタークーラ20と、二段圧縮機11の高段側吐出口18に入口が接続されるガスクーラ30と、ガスクーラ30の出口に接続され、ガスクーラ30を経て流入する冷媒を、ガスクーラ30を経た後に、膨張弁35を介して減圧させた冷媒により過冷却させる中間熱交換器40とを備えている。さらに、冷凍装置Rは、二段圧縮機11を駆動する電動機19の回転数を制御する回転数制御手段(制御手段C)と、二段圧縮機11の低段側吸入口15に吸入される冷媒の圧力を検知する低圧検知センサ48と、中間熱交換器40の過冷却度を調節するために、膨張弁35の弁開度を制御する制御手段Cとを備え、制御手段Cは、低圧検知センサ48の検知値が、制御目標値の下限値より小さい所定の閾値以下であり、かつ電動機19の回転数が、所定の低回転数域にある場合に、中間熱交換器40の過冷却度の目標値ΔKaにかかわらず、膨張弁35の弁開度を縮小させる機能を備えている。
二段圧縮機11に接続される蒸発器からの冷媒の圧力が過剰に低下したときには、中間熱交換器40での過冷却度が過剰に取られているものとみなして、中間熱交換器40への冷媒を減圧する膨張弁35の弁解度を縮小して、中間熱交換器40での過冷却度を自動的に下げることができる。即ち、中間熱交換器40での過冷却度が過剰となることが抑制されるので、中間圧領域に戻される冷媒量が、不必要に増大することができる。また、中間熱交換器40から冷媒を供給される冷却ユニットでの冷却性能が過剰になることもなくなるので、二段圧縮機11の稼働と停止により行う必要がなくなる。これにより、二段圧縮機11の稼働と停止に連動して動作する冷凍装置Rの各機器の負担を軽減できる。
また、冷凍装置Rは、制御手段Cが、中間熱交換器40の過冷却度の目標値ΔKaを、外気温度Tに応じて変更すると共に、この変更された過冷却度の目標値ΔKaに基づいて、膨張弁35の弁開度を制御するように構成されている。
外気温度Tに応じて、過冷却度を適切に変更するように膨張弁35の開閉制御を制御手段Cに行わせることで、中間熱交換器40から中間圧領域に戻される冷媒量が不必要に増大することを一層回避できる。さらに、冷凍装置Rの冷却性能を二段圧縮機11の稼働と停止により行う必要がなくなるので、二段圧縮機11の駆動と停止に連動して動作する冷凍装置Rの膨張弁35などの各機器の負担も一層軽減できる。
また、制御手段Cは、二段圧縮機11の高段側吐出口18吐出される冷媒の温度と、ガスクーラ30の出口から放出される冷媒の温度との差が所定の閾値以下である場合に、膨張弁35の弁開度を縮小させる制御を優先するように構成されている。
これにより、非常に冷えた冷媒が、中間圧領域に戻ることが回避されるので、中間圧領域で液バックが進行することを抑制できる。
また、冷媒として、二酸化炭素が用いられている。二酸化炭素は、毒性や可燃性もなく冷媒管理が容易となる。
また、本実施形態では、過冷却度の目標値ΔKaは、外気温度Tに応じて設定するものとして説明したが、このものに限定されず、外気温度に関係なく一定の値に設定してもよい。
この場合、外気温度Tに応じて中間熱交換器40での過冷却度の制御の必要がなくなるので、冷凍装置Rのコスト削減につながる。
なお、上記実施の形態において、二段圧縮機11は、第1回転圧縮要素13、第2回転圧縮要素14、及び電動機19を密閉容器12内に組み込んだ二段圧縮式ロータリコンプレッサを採用しているが、このほかにも、2台の単段のロータリコンプレッサ、又は、その他の形式のコンプレッサで中間圧部から冷媒を取り出し、導入できる形式のものであってもよいものとする。
また、第1スプリット冷媒管65は、中間熱交換器40を経た冷媒が流れる冷媒管7と第2流路40Bの一端とを接続するものとして説明したが、ガスクーラ30の出口と中間熱交換器40との間の高圧冷媒管64と第2流路40Bとを接続するものとしてもよい。
また、目標値設定データは、図4に示されるように、外気温度Tの連続的な変化に対して、過冷却度の目標値ΔKaも連続的に変化するように、外気温度Tと過冷却度の目標値ΔKaとを対応ずけるものとして説明した。しかしながら、目標値設定データは、このものによらず、以下の図5に示されるように設定してもよい。
図5は目標値設定データの他の例を示す図である。
図5において、目標値設定データは、外気温度Tの変動領域を複数に区分し、区分された外気温度の範囲毎に所定の過冷却度の目標値ΔKaを対応づけたもので構成されている。
例えば、過冷却度の目標値ΔKaは、外気温度が20℃未満のときに、5℃程度とし、外気温度が20℃以上40℃未満では、10℃程度とし、外気温度が40℃以上では、20℃に設定している。このように設定することで、過冷却度の目標値ΔKaが小刻みに変動することがないので、膨張弁35の弁開度を変動させる頻度を減らすことができる。
また、冷媒として、二酸化炭素を用いた場合を例に挙げたが、その他の冷媒を用いるものでも、本願の効果を得ることができる。
また、補助冷媒回路を構成する第1スプリット冷媒管65は、冷媒管7から分岐させて、中間熱交換器40の第2流路40Bに至るように構成するものとしたが、高圧冷媒管64から分岐させて、第2流路40Bに至るように構成してもよい。即ち、第1スプリット冷媒管65は、ガスクーラ30を経た高圧側冷媒流路の所定部から分岐させて第2流路40Bに至るように構成されていればよい。
また、制御手段Cが、回転数制御手段を兼ねるものとして説明したが、制御手段Cと回転数制御手段は、別々に設けてもよい。
R 冷凍装置
C 制御手段,回転数制御手段
11 二段圧縮機
15 低段側吸入口(二段圧縮機の一段目の冷媒吸入部)
16 低段側吐出口(二段圧縮機の一段目の冷媒吐出部)
17 高段側吸入口(二段圧縮機の二段目の冷媒吸入部)
18 高段側吐出口(二段圧縮機の二段目の冷媒吐出部)
20 インタークーラ
30 ガスクーラ
35 膨張弁
40 中間熱交換器

Claims (4)

  1. 二段圧縮機と、前記二段圧縮機の一段目の冷媒吐出部に入口が接続され、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吸入部に出口が接続されたインタークーラと、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吐出部に入口が接続されるガスクーラと、前記ガスクーラの出口に接続され、前記ガスクーラを経て流入する冷媒を、前記ガスクーラを経た後に、膨張弁を介して減圧させた冷媒により過冷却させる中間熱交換器とを備えた冷凍装置において、
    前記二段圧縮機を駆動する電動機の回転数を制御する回転数制御手段と、前記二段圧縮機の一段目の冷媒吸入部に吸入される冷媒の圧力を検知する低圧検知センサと、前記中間熱交換器の過冷却度を調節するために、前記膨張弁の弁開度を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記低圧検知センサの検知値が、制御目標値の下限値より小さい所定の閾値以下であり、かつ前記二段圧縮機の電動機の回転数が、所定の低回転数域にある場合に、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値にかかわらず、前記膨張弁の弁開度を縮小させる機能を備えていることを特徴とする冷凍装置。
  2. 前記中間熱交換器の過冷却度の目標値が外気温度に応じて変更されることを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
  3. 前記中間熱交換器の過冷却度の目標値が一定であることを特徴とする請求項1に記載の冷凍装置。
  4. 前記制御手段は、前記二段圧縮機の二段目の冷媒吐出部から吐出される冷媒の温度と、前記ガスクーラの出口での冷媒の温度との差が所定の閾値以下である場合に、前記中間熱交換器の過冷却度の目標値にかかわらず、前記膨張弁の弁開度を縮小させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の冷凍装置。
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