以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態にかかる冷凍装置Rの冷媒回路図である。本実施例における冷凍装置Rは、冷凍機ユニット3と複数台のショーケースユニット5A、5Bとを備え、これら冷凍機ユニット3と各ショーケースユニット5A、5Bとが、冷媒配管7及び9により連結されて所定の冷凍サイクルを構成する。
この冷凍サイクルは、高圧側の冷媒圧力(高圧圧力)がその臨界圧力以上(超臨界)となる二酸化炭素を冷媒として用いる。この二酸化炭素冷媒は、地球環境に優しく、可燃性及び毒性等を考慮した自然冷媒である。また、潤滑油としてのオイルは、例えば鉱物油(ミネラルオイル)、アルキルベンゼン油、エーテル油、エステル油、PAG(ポリアルキルグリコール)等、既存のオイルが使用される。
冷凍機ユニット3は、並列に配置された2台の圧縮機11、11を備える。本実施例において、圧縮機11は、内部中間圧型多段圧縮式ロータリ圧縮機であり、鋼板から成る円筒状の密閉容器12と、この密閉容器12の内部空間の上側に配置収納された駆動要素としての電動要素14及びこの電動要素14の下側に配置され、電動要素14の回転軸16により駆動される第1の(低段側)回転圧縮要素(第1の圧縮要素)18及び第2の(高段側)回転圧縮要素(第2の圧縮要素)20から成る回転圧縮機構部にて構成されている。
第1の回転圧縮要素18は、冷媒配管9を介して冷媒回路1の低圧側から圧縮機11に吸い込まれる低圧冷媒を圧縮して中間圧まで昇圧して吐出し、第2の回転圧縮要素20は、第1の回転圧縮要素20で圧縮されて吐出された中間圧の冷媒を更に吸い込み、圧縮して高圧まで昇圧し、冷媒回路1の高圧側に吐出する。圧縮機11は、周波数可変型の圧縮機であり、電動要素14の運転周波数を変更することで、第1の回転圧縮要素18及び第2の回転圧縮要素20の回転数を制御可能とする。
圧縮機11の密閉容器12の側面には、第1の回転圧縮要素18に連通する低段側吸込口22及び低段側吐出口24と、第2の回転圧縮要素20に連通する高段側吸込口26及び高段側吐出口28が形成されている。各圧縮機11、11の低段側吸込口22、22には、それぞれ冷媒導入管30が接続され、それぞれの上流側で合流し冷媒配管9に接続される。
低段側吸込口22により第1の回転圧縮要素18の低圧部に吸い込まれた低圧(LP:通常運転状態で4MPa程)の冷媒ガスは、当該第1の回転圧縮要素18により中間圧(MP:通常運転状態で8MPa程)に昇圧されて密閉容器12内に吐出される。これにより、密閉容器12内は中間圧(MP)となる。
そして、密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスが吐出される各圧縮機11、11の低段側吐出口24、24には、それぞれ中間圧吐出配管36、36が接続され、それぞれの下流側で合流し、インタークーラ38の一端に接続される。このインタークーラ38は、第1の回転圧縮要素18から吐出された中間圧の冷媒を空冷するものであり、当該インタークーラ38の他端には、中間圧吸入管40が接続され、この中間圧吸入管40は2つに分岐した後に各圧縮機11、11の高段側吸込口26、26に接続される。
高段側吸込口26により第2の回転圧縮要素20の中圧部に吸い込まれた中圧(MP)の冷媒ガスは、当該第2の回転圧縮要素20により2段目の圧縮が行われて高温高圧(HP:通常運転状態で12MPa程の超臨界圧力)の冷媒ガスとなる。
そして、各圧縮機11、11の第2の回転圧縮要素20の高圧室側に設けられた高段側吐出口28、28には、それぞれ高圧吐出配管42、42が接続され、それぞれの下流側で合流し、オイルセパレータ44、ガスクーラ46、詳細は後述する排熱回収熱交換器70及びスプリットサイクルを構成する中間熱交換器80を介して、冷媒回路7に接続される。
ガスクーラ46は、圧縮機11から吐出された高圧の吐出冷媒を冷却するものであり、ガスクーラ46の近傍には当該ガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47が配設されている。本実施例では、ガスクーラ46は上述したインタークーラ38及び詳細は後述するオイルクーラ74と並設されており、これらは同一の風路45に配設されている。当該風路45には、当該冷凍機ユニット3が配設される外気温度を検出する外気温度センサ(外気温度検出手段)56が設けられている。
また、高段側吐出口28、28には、第2の回転圧縮要素20、20から吐出された冷媒の吐出圧力を検出する高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48と、吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ(吐出温度検出手段)50及び、圧縮機11の高段側吐出口28からガスクーラ46(オイルセパレータ44)に向かう方向を順方向とする逆止弁90を備えた冷媒調整器91が設けられている。尚、当該冷媒調整器91の詳細は後述する。
一方、ショーケースユニット5A、5Bは、それぞれ店舗内等に設置され、冷媒配管7及び9にそれぞれ並列に接続されている。各ショーケースユニット5A、5Bは、冷媒配管7と冷媒配管9とを連結するケース側冷媒配管60A、60Bを有しており、各ケース側冷媒配管60A、60Bには、それぞれストレーナ61A、61Bと、主絞り手段(第1及び第2の絞り手段)62A、62Bと、第1及び第2の蒸発器63A、63Bが順次接続されている。各蒸発器63A、63Bには、それぞれ当該蒸発器に送風する図示しない冷気循環用送風機が隣接されている。そして、当該冷媒配管9は、上述したように冷媒導入管30を介して各圧縮機11、11の第1の回転圧縮要素18に連通する低段側吸込口22に接続されている。これにより、本実施例における冷凍装置Rの冷媒回路1が構成される。
冷凍装置Rは、汎用のマイクロコンピュータにより構成される制御装置(制御手段)Cを備えている。当該制御装置Cは、図2に示すように入力側に各種センサが接続されていると共に、出力側には、各種弁装置、圧縮機11、11、ガスクーラ用送風機47のファンモータ47M等が接続されている。尚、当該制御装置Cの詳細については各制御に応じて後述する。
(A)冷媒量調整制御
次に、本実施例における冷凍装置Rの冷媒回路1の冷媒量調整制御について説明する。冷媒回路1の超臨界圧力となる高圧側、本実施例では、冷凍機ユニット3の中間熱交換器80の下流側には、第1の連通回路101を介して冷媒量調整タンク100が接続されている。当該冷媒量調整タンク100は、所定の容積を有するものであり、当該タンク100上部に第1の連通回路101が接続されている。この第1の連通回路101には、絞り機能を有する第1の開閉手段として電動膨張弁102が介設されている。尚、絞り機能を有する開閉手段は、これに限定されるものではなく、例えば、第1の連通回路101に絞り手段として例えばキャピラリーチューブと電磁弁(開閉弁)により構成しても良い。
そして、この冷媒量調整タンク100には、当該タンク100内上部と、冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第2の連通回路103が接続されている。本実施例では、第2の連通回路103の他端は、中間圧領域の一例として冷媒回路1のインタークーラ38の出口側の中間圧吸入管40に連通させる。この第2の連通回路103には、第2の開閉手段としての電磁弁104が介設されている。
また、この冷媒量調整タンク100には、当該タンク100内下部と、冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第3の連通回路105が接続されている。本実施例では、第3の連通回路105の他端は、中間圧領域の一例として上記第2の連通回路103と同様に、冷媒回路1のインタークーラ38の出口側の中間圧吸入管40に連通させる。この第3の連通回路105には、第3の開閉手段としての電磁弁106が介設されている。
上記制御装置Cは、図2に示すように入力側にユニット出口側圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)58と、外気温度センサ56が接続されている。このユニット出口側圧力センサ58は、冷媒量調整タンク100の下流側であって、ショーケースユニット5A、5Bに向かう冷媒の圧力を検出するものである。その出力側には、電動膨張弁(第1の開閉手段)102、電磁弁(第2の開閉手段)104、電磁弁(第3の開閉手段)106と、上記ガスクーラ46用の送風機47のファンモータ47Mが接続されている。当該制御装置Cは、詳細は後述する如く外気温度センサ56の検出温度と、蒸発器63A、63Bにおける冷媒の蒸発温度に基づきガスクーラ用送風機47のファンモータ47Mの回転数制御を行う。
(A−1)冷媒回収動作
以下、冷媒回路1の冷媒回収動作について説明する。制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が所定の回収閾値を超えたか否か、又は、当該ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が先の回収閾値よりも低い所定の回収保護値を超え、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値となっているか否かを判断する。
本実施例では、冷媒回路1の中間圧(MP)は、一例として8MPa程を適正値としているため、当該値を回収保護値として設定し、回収閾値は当該回収保護値よりも高い例えば)9MPaに設定する。また、本実施例におけるガスクーラ用送風機47の回転数の最大値は、一例として800rpmとする。また、ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が回収閾値である9MPaを超えた場合、若しくは、検出圧力が回収閾値以下であっても回収保護値である8MPaを超え、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値の800rpmとなっている場合には、冷媒回路1内に過剰のガス冷媒によって、高圧側圧力が異常上昇したものと判断し、冷媒回収動作を実行する。
この冷媒回収動作では、制御装置Cは、電磁弁(第3の開閉手段)106を閉じた状態で、電動膨張弁(第1の開閉手段)102及び電磁弁(第2の開閉手段)104を開放する。これにより、圧縮機11、11の高段側吐出口28から吐出された高温高圧冷媒は、オイルセパレータ44を経て、ガスクーラ46、排熱回収熱交換器70、中間熱交換器80にて冷却された後、その一部が開放されている電動膨張弁102が介設された第1の連通回路101を介して冷媒量調整タンク100内に流入する。
このとき、電磁弁104が開放されていることにより、冷媒量調整タンク100の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを連通する第2の連通回路103を介して、冷媒量調整タンク100内の圧力をタンク外に逃がすことができる。そのため、外気温度が高くなった場合など、冷媒回路1内の冷媒が液化しないガスサイクル運転している場合であっても、タンク100内の圧力が低下して当該タンク内に流入した冷媒は液化して当該タンク100内に溜まる。即ち、冷媒量調整タンク100内の圧力は超臨界圧力以下に降下することによって、冷媒がガス領域から飽和領域となり、液面を確保することができる。
これにより、迅速に、且つ、効率的に、冷媒回路1内の冷媒を冷媒量調整タンク100に回収することができる。従って、冷媒回路1内の高圧側が余剰となった冷媒によって異常高圧となる不都合を解消することができ、高圧異常による圧縮機11、11の過負荷運転を防止することが可能となる。
特に、冷媒量調整タンク100の上部と冷媒回路1の中間圧領域とを第2の連通回路103を介して連通させることにより、冷媒回路1の低圧側領域と連通させる場合と異なり、低圧側圧力が上昇されることによる冷却効率の低下を回避することが可能となる。
また、本実施例では、ユニット出口側圧力センサ58により検出された高圧側の圧力が回収閾値以下であっても、所定の回収保護値を超えており、且つ、ガスクーラ46を空冷する送風機47の回転数が最高値である場合には、当該冷媒回収動作を行うため、当該送風機47の運転状態をも考慮して、冷媒回路1の高圧側が異常に高くなった状態が続くことによる効率低下を防止することが可能となる。
(A−2)冷媒保持動作
一方、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施例では、8MPa以下となったか否かを判断し、回収保護値を下回った場合、冷媒回収動作を終了して冷媒保持動作に移行する。この冷媒保持動作では、制御装置Cは、電磁弁(第3の開閉手段)106を閉じた状態を維持し、電磁弁(第2の開閉手段)104を閉じ、電動膨張弁(第1の開閉手段)102の開度を先ほどの冷媒回収動作における開度を維持する。
尚、上記電動膨張弁102の開度を冷媒回収動作における開度よりも小さくしても良い。これにより、電磁弁104が閉じられることで、開放された電動膨張弁102を介し、冷媒回路1の高圧側領域による圧力にて冷媒量調整タンク100内の液面を維持することが可能となる。そのため、冷媒量調整タンク100内における液封を回避でき、安全性を確保することができる。これにより、冷媒回路1内の循環冷媒量を適切に維持することが可能となる。
また、制御装置Cは、当該冷媒保持動作における電動膨張弁102の開度を、冷媒回収動作における開度よりも小さくすることにより、冷媒保持動作において、冷媒量調整タンク100内に冷媒回路1内の冷媒が過剰に回収されることにより、冷媒回路1内の冷媒不足が生じてしまう不都合を効果的に解消することが可能となる。
(A−3)冷媒放出動作
そして、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が上記回収保護値(この場合8MPa程)より低い所定の放出閾値(本実施例では、7MPa程)を下回った場合、又は、当該ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が先の回収保護値以下となり、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が最大値よりも低い所定の規定値以下となっているか否かを判断する。なお、当該所定の規定値とは、本実施例では、一例として最大値の3/8程度、即ち、最高値800rpmとした場合、300rpm程度とする。また、ガスクーラ用送風機47の回転数が所定の規定値以下となってから所定時間経過することを条件としても良い。
これにより、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58の検出圧力が放出閾値である7MPaを下回った場合、若しくは、検出圧力が回収保護値である8MPa以下となり、且つ、上記ガスクーラ用送風機47の回転数が所定の規定値、この場合300rpm以下となっている場合には、冷媒回路1内の冷媒が不足してきたものと判断し、冷媒放出動作を実行する。
この冷媒放出動作では、制御装置Cは、電動膨張弁(第1の開閉手段)102及び電磁弁(第2の開閉手段)104を閉じ、電磁弁(第3の開閉手段)106を開放する。これにより、冷媒量調整タンク100内に溜まった液冷媒は、当該タンク100の下部に接続された電磁弁106が開放されている第3の連通回路105を介して冷媒回路1に放出する。そのため、冷媒量調整タンク100の上部からガス冷媒が混入した状態で冷媒回路1に放出する場合と異なり、迅速に冷媒量調整タンク100内の冷媒を冷媒回路1に放出できる。これにより、冷凍装置を高い効率にて運転することが可能となる。
(A−4)冷媒保持動作
その後、制御装置Cは、ユニット出口側圧力センサ58により検出された高圧側の圧力が回収保護値、本実施例では、8MPa以上となったか否かを判断し、回収保護値を超えた場合、冷媒放出動作を終了して上述した如き冷媒保持動作に移行する。以後、冷媒回路1の高圧側圧力に基づき、当該冷媒回収動作−冷媒保持動作―冷媒放出動作―冷媒保持動作を繰り返して実行することにより、高圧側圧力に基づいて冷媒回収・放出を制御でき、的確に高圧保護及び過負荷運転の防止することができる。これにより、冷凍装置の冷却能力を確保することができ、COPの適正化を図ることが可能となる。
特に本実施例では、高圧側圧力のみならず、ガスクーラ46を空冷する送風機47の回転数をも考慮して冷媒回収・放出動作を制御することが可能となり、冷媒回路1の高圧側が異常に高くなった状態が続くことによる効率低下を防止することが可能となる。
また、本実施例において、第2の連通回路103及び第3の連通回路105はいずれも冷媒回路1のインタークーラ38の出口側に連通させている。これにより、インタークーラ38における圧力損失を防止して、円滑に冷媒量調整タンク100から冷媒回路1に冷媒を放出することが可能となる。
なお、圧縮機11、11が運転を停止した場合には、制御装置Cは、冷媒放出動作を実行するものとする。これにより、圧縮機11、11の起動時において冷媒回路1内の冷媒量が不足する不都合を解消することができ、運転する圧縮機11による高圧側の圧力に応じて適切な高圧側圧力を実現できる。
また、この場合において、圧縮機11(圧縮手段)は、密閉容器12内に第1、第2の圧縮要素18、20と電動要素14を組み込んだ二段圧縮式ロータリコンプレッサを採用しているが、このほかにも、2台の単段のロータリコンプレッサ、又は、その他の形式のコンプレッサで中間圧部から冷媒を取り出し、導入できる形式のものであってもよいものとする。
(B)スプリットサイクル
次に、本実施例における冷凍装置Rのスプリットサイクルについて説明する。本実施例における冷凍装置Rは、各圧縮機11、11の第1の回転圧縮要素(低段側)18、インタークーラ38、2つの流体の流れを合流させる合流装置としての合流器81、各圧縮機11、11の第2の回転圧縮要素(高段側)20、オイルセパレータ44、ガスクーラ46、分流器82、補助絞り手段(補助膨張弁)83、中間熱交換器80、主絞り手段(主膨張弁)62A、62B、蒸発器63A、63Bとから冷凍サイクルが構成される。
分流器82は、ガスクーラ46から出た冷媒を二つの流れに分岐させる分流装置である。即ち、本実施例の分流器82は、ガスクーラ46から出た冷媒を第1の冷媒流と第2の冷媒流とに分流し、第1の冷媒流を補助回路に流し、第2の冷媒流を主回路に流すように構成されている。
図1における主回路とは、第1の回転圧縮要素18、インタークーラ38、合流器81、第2の回転圧縮要素20、ガスクーラ46、分流器82、中間熱交換器80の第2の流路80B、主絞り手段62A、62B、蒸発器63A、63Aから成る環状の冷媒回路であり、補助回路とは、分流器82から補助絞り手段83、中間熱交換器80の第1の流路80Aを順次経て合流器81に至る回路を示す。
補助絞り手段83は、上記分流器82で分流され、補助回路を流れる第1の冷媒流を減圧するものである。中間熱交換器80は、補助絞り手段83で減圧された補助回路の第1の冷媒流と分流器82で分流された第2の冷媒流との熱交換を行う熱交換器である。当該中間熱交換器80には、第2の冷媒流が流れる第2の流路80Bと、上記第1の冷媒流が流れる第1の流路80Aとが熱交換可能な関係で設けられており、該中間熱交換器80の第2の流路80Bを通過することにより、第2の冷媒流は第1の流路80Aを流れる第1の冷媒流により冷却されるので、蒸発器63A、63Bにおける比エンタルピを小さくすることができる。
上記制御装置Cは、図2に示すように入力側に吐出温度センサ(吐出温度検出手段)50、ユニット出口側圧力センサ(ユニット出口側圧力検出手段)58、中間圧圧力センサ(中間圧圧力検出手段)49、低圧圧力センサ(吸込圧力検出手段)32、ガスクーラ出口温度センサ(ガスクーラ出口温度検出手段)52、ユニット出口温度センサ(ユニット出口温度検出手段)54、ユニット入口温度センサ(入口温度検出手段)34が接続されている。
吐出温度センサ50は、圧縮機11、11の高段側吐出口28に設けられ、第2の回転圧縮要素20から吐出された冷媒の吐出温度を検出する。ユニット出口側圧力センサ58は、冷媒量調整タンク100の下流側であって、ショーケースユニット5A、5Bに向かう冷媒の圧力を検出するものである。低圧圧力センサ32は、冷媒回路1の低圧側、本実施例では、各蒸発器63A、63Bの下流側であって、圧縮機11、11の低段側吸込口22、22に接続される冷媒配管9に設けられ、当該冷媒導入管30に向かう冷媒の吸込圧力を検出する。中間圧圧力センサ49は、冷媒回路1の中間圧領域、本実施例では、スプリットサイクルの補助回路であって、中間熱交換器80の第1の流路80Aを経た後の第1の冷媒流の圧力を検出する。
ガスクーラ出口温度センサ52は、ガスクーラ46の出口側に設けられ、当該ガスクーラ46を出た冷媒の温度(GCT)を検出する。ユニット出口温度センサ54は、冷媒配管7に接続される中間熱交換器80の出口側に設けられ、ユニット出口温度(LT)を検出する。ユニット入口温度センサ34は、圧縮機11の低段側吸込口22に接続される冷媒配管9に設けられ、当該冷媒導入管30に向かう冷媒の吸込温度を検出する。そして、出力側には、当該スプリットサイクルを構成する補助絞り手段83が接続されている。当該補助絞り手段83は、ステップモータによって開度が制御される。
以下、補助絞り手段83の開度制御について詳述する。補助絞り手段83は、圧縮機11の運転開始時点では、所定の初期弁開度とする。その後、制御装置Cは、以下の第1の制御量、第2の制御量、第3の制御量に基づき補助絞り手段83の弁開度を増大させる操作量を決定する。
(B−1)補助絞り手段の弁開度増大制御
第1の制御量(DTcont)は、圧縮機11の吐出冷媒温度DTに基づいて得られる。制御装置Cは、上記吐出温度センサ50にて検出される温度DTが所定値DT0より高いか否かを判断し、当該吐出冷媒温度DTが所定値DT0より高い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する制御量とする。当該所定値DT0は、圧縮機11の適正な運転を実現可能とする限界温度(一例として+100℃)より少許低い温度(一例として+95℃)とし、温度が上昇した場合、補助絞り手段83の開度を増大させることで、当該圧縮機11の温度上昇を抑制し、圧縮機11が限界温度に達しないような制御を行う。
第2の制御量(MPcont)は、スプリットサイクルの補助回路に流す冷媒量を調整して中間圧力(MP)の適正化を図る制御量である。本実施例では、ユニット出口側圧力センサ58により検出される冷媒回路1の高圧側圧力HPと、低圧圧力センサ32により検出される冷媒回路1の低圧側圧力LPとから算出される(求められる)適正中間圧力値よりも、中間圧圧力センサ49により検出される冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPが高いか否かを判断し、当該中間圧領域の圧力MPが適正中間圧力値よりも低い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。
尚、適正中間圧力値は、検出された高圧側圧力HPと、低圧側圧力LPとの相乗平均から算出してもよく、これ以外に、予め高圧側圧力HPと低圧側圧力LPとから適正な中間圧力値を実験的に取得し、これに基づいて構築されるデータテーブルから決定しても良い。
また、本実施例では、高圧側圧力HPと、低圧側圧力LPとから求められる適正中間圧力値と、中間圧領域の圧力MPとを比較して第2の制御量(MPcont)を決定しているが、これに限定されるものではなく、例えば、下記のものを採用しても良い。即ち、中間圧圧力センサ49により検出される冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPと、低圧圧力センサ32により検出される冷媒回路1の低圧側圧力LPから過圧縮判定値MPOを求め、当該過圧縮判定値MPOがユニット出口側圧力センサ58により検出される冷媒回路1の高圧側圧力HPよりも低いか否かを判断し、過圧縮判定値MPOが高圧側圧力HPよりも低い場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。当該第2の制御量を補助絞り手段83の開度制御に反映させることで、高圧側圧力HP、中間圧領域の圧力MP、低圧側圧力LPの圧力差を適正に保つことができ、冷凍サイクルの運転の安定化を図ることができる。
第3の制御量(SPcont)は、中間熱交換器80の第2の流路から出た冷媒温度LTの適正化を図る制御量である。本実施例では、制御装置Cは、ガスクーラ出口温度センサ52により検出されるガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTと、ユニット出口温度センサ54により検出される中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTとの差(GCT−LT)が所定値SPより小さいか否かを判断し、小さい場合には、補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用させる。
ここで、所定値SPは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なるものとする。本実施例では、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温度センサ56により検出された外気温度に基づき、当該外気温度が高い場合、例えば、+31℃以上では、超臨界領域であると判断し、外気温度が低い場合、例えば、+31℃未満では飽和領域であるものと判断する。そして、超臨界領域と判断した場合には、所定値SPは上げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値SPを下げた設定とする。本実施例では、超臨界領域では所定値SPは、35℃、飽和領域では20℃とする。
制御装置Cは、上述した如く得られた3つの制御量、即ち、第1の制御量(DTcont)と、第2の制御量(MPcont)と、第3の制御量(SPcont)とを合算して、補助絞り手段83の弁開度の操作量を決定し、これに基づき弁開度を増大させる。
(B−2)補助絞り手段の弁開度縮小制御
また、制御装置Cは、中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LT、又は、圧縮機11からの吐出冷媒温度DTとガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差から補助絞り手段83の弁開度を縮小させる操作量を決定する。
即ち、制御装置Cは、ユニット出口温度センサ54により検出される中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTが所定値より低いか否かを判断する。本実施例では、当該所定値は一例として0℃とする。これにより、ユニット出口温度が0℃以下である場合には、補助絞り手段83の開度を縮小させる方向に操作し、中間熱交換器80において冷却される第2の冷媒流が過剰に冷却されてしまう不都合を解消することができる。
また、制御装置Cは、吐出温度センサ50にて検出される温度DTと、ガスクーラ出口温度センサ52により検出されるガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差(DT−GCT)が所定値TDTより低いか否かを判断し、低い場合には、補助絞り手段83の開度を縮小させる方向に作用させる。
ここで、所定値TDTは、高圧側圧力HPが当該冷媒の超臨界領域である場合と、飽和領域である場合とで異なる。本実施例では、上記第3の制御量を求めた場合と同様に、高圧側圧力HPが超臨界領域であるか飽和領域であるかは、外気温度に基づき判断する。そして、超臨界領域と判断した場合には、所定値TDTは下げた設定とし、飽和領域と判断した場合には、所定値TDTを上げる設定とする。本実施例では、超臨界領域では所定値TDTは10℃、飽和領域では35℃とする。
制御装置Cは、中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTが所定値(0℃)以下である場合、又は、圧縮機11からの吐出冷媒温度DTとガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTとの差が所定値TDTより低い場合、補助絞り手段83の弁開度の操作量を決定し、上記弁開度増大制御にかかわらず、これに基づき弁開度を縮小させる。
上述したようなスプリットサイクルを備えた本実施例における冷凍装置Rでは、ガスクーラ46で放熱した後の冷媒を分流し、補助絞り手段83で減圧膨張された第1の冷媒流により、第2の冷媒流を冷却することができるようになり、各蒸発器63A、63B入口の比エンタルピを小さくすることができるようになる。これにより、冷凍効果を大きくすることが可能となり、従来の装置に比べて効果的に性能を向上させることができるようになる。また、分流された第1の冷媒流は圧縮機11の高段側吸込口26から第2の回転圧縮要素20(中間圧部)に戻されるため、圧縮機11の低段側吸込口22から第1の回転圧縮要素18(低圧部)に吸い込まれる第2の冷媒流の量が減少し、低圧から中間圧まで圧縮するための第1の回転圧縮要素18(低段部)における圧縮仕事量が減少する。その結果、圧縮機11における圧縮動力が低下して成績係数が向上する。
ここで、上記所謂スプリットサイクルの効果は中間熱交換器80を流れる第1の冷媒流と第2の冷媒流の量に依存する。即ち、第1の冷媒流の量が多すぎれば蒸発器63A、63Bにおいて最終的に蒸発する第2の冷媒流の量が不足することにより、逆に第1の冷媒流の量が少なすぎればスプリットサイクルの効果が薄れてくる。一方、補助絞り手段83で減圧された第1の冷媒流の圧力は冷媒回路1の中間圧力であり、当該中間圧力を制御することは第1の冷媒流の量を制御することになる。
ここで、本実施例では、上述したように圧縮機11からの吐出冷媒の温度DT(吐出温度センサ50)が所定値DT0より高い場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第1の制御量と、冷媒回路1の高圧側圧力HPと低圧側圧力LPとから求められる適正中間圧力値よりも、冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPが低い場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第2の制御量と、ガスクーラ46を経た冷媒の温度GCTと中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTとの差(GCT−LT)が所定値SPより小さい場合に補助絞り手段83の開度を増大させる方向に作用する第3の制御量を演算し、これら第1乃至第3の制御量を合算することにより、補助絞り手段83の弁開度を増大させる操作量を決定する。また、温度LTが所定値よりも低い場合、又は、温度DT−GCTが所定値TDTより低い場合に補助絞り手段83の弁開度を縮小する方向で操作量を決定する。
これにより、第1の制御量によって吐出冷媒の温度DTを所定値DT0以下に保つことができ、第2の制御量によって、冷媒回路1の中間圧力MPを適正化でき、これによって、低圧側圧力LP、中間圧力MP、高圧側圧力HPの圧力差を適正に保つことができる。また、第3の制御量によって中間熱交換器80を経た第2の冷媒流の温度LTを低くし、冷凍効果を保つことができる。これらにより、総じて冷凍装置の高効率化と安定化を達成することが可能となる。
また、制御装置Cは、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合、所定値SPを上げ、所定値TDTを下げると共に、高圧側圧力HPが飽和領域にある場合、所定値SPを下げ、所定値TDTを上げることにより、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合と飽和領域にある場合とに分けて第3の制御量と第1の制御量の所定値SP及びTDTを変更して制御することが可能となる。
これにより、高圧側圧力HPが飽和領域にある場合であっても中間熱交換器80における過熱度を確実に確保することができ、圧縮機11に液バックが生じる不都合を回避することができる。また、高圧側圧力HPが超臨界領域にある場合には、このような液バックが生じないため、効率を優先した設定とすることができる。
尚、上記実施例における第2の制御量を、冷媒回路1の中間圧領域の圧力MPと低圧側圧力LPから求められる過圧縮判定値MPOが、冷媒回路の高圧側圧力HPより低い場合に補助絞り手段の開度を増大させる方向に作用する第2の制御量として、第1乃至第3の制御量を合算することにより、補助絞り手段の弁開度の操作量を決定することとしても、上記と同様に、冷媒回路の中間圧力MPを適正化でき、これによって、低圧側圧力LP、中間圧力MP、高圧側圧力HPの圧力差を適正に保つことができる。
また、当該実施例における中間熱交換器80から出た第1の冷媒流は、インタークーラ38の出口側に設けられた合流器81によって当該インタークーラ38の出口側に戻すことができ、インタークーラ38における圧力損失を防止して、円滑に中間熱交換器80から出た冷媒流を冷媒回路1の中間圧側に合流することが可能となる。
(C)排熱回収熱交換器
次に、本実施例における冷凍装置Rに採用された排熱回収熱交換器70について説明する。本実施例における排熱回収熱交換器70は、ガスクーラ46を経て分流器82で分流された第2の冷媒流と、図示しない給湯装置を構成するヒートポンプユニットの二酸化炭素冷媒(排熱回収媒体)との熱交換を行う熱交換器である。本実施例における給湯装置は、図示しない冷媒圧縮機、水熱交換器、減圧装置、蒸発器を冷媒配管で管状に接続して成る冷媒回路と、貯湯タンクの水を水熱交換器で加熱した後、貯湯タンクに戻す水回路とを備えたヒートポンプユニットにより構成され、当該ヒートポンプユニットの蒸発器を上記排熱回収熱交換器70の排熱回収媒体流路70Bにより構成する。これにより、当該排熱回収熱交換器70には、上述した如きスプリットサイクルにおける第2の冷媒流が流れる冷媒流路70Aと、排熱回収媒体流路70Bとが熱交換可能な関係で設けられており、該排熱回収熱交換器70の排熱回収媒体流路70Bを流れるヒートポンプユニットの冷媒が通過することにより、冷媒流路70Aにガスクーラ46を経た第2の冷媒流が冷却される。
ここで、本実施例では、排熱回収熱交換器70の冷媒流路70Aには、ガスクーラ46から出て上記スプリットサイクルを構成する中間熱交換器80に入る前の第2の冷媒流を流す。これにより、外気温度の影響が少なく、排熱回収熱交換器70にて冷媒流路70Aを流れる冷媒の排熱を効率的に回収して給湯装置を構成する排熱回収媒体流路70Bを流れる冷媒の加熱に利用でき、効率的な温水生成を可能とすることができる。
また、ガスクーラ46から出て中間熱交換器80に入る前の第2の冷媒流を排熱回収熱交換器70に流す構成としているため、温水生成側(給湯装置側)の利用が多い場合には、中間熱交換器80に流れる第2の冷媒流の冷媒温度を下げることができるため、中間熱交換器80に流れる第1の冷媒流の冷媒量を減少させることができる。これにより、第2の冷媒流を流れる冷媒量を増加させることができ、蒸発器63A、63Bにおける冷媒の蒸発量が増加して冷凍サイクルの効率を向上させることが可能となる。
特に、本実施例の如く冷媒として二酸化炭素を使用した場合には、冷凍能力を効果的に改善でき、性能の向上を図ることができる。
また、本実施例の冷凍装置Rでは、ガスクーラ46をバイパスするガスクーラバイパス回路71を設けても良い。この場合、ガスクーラバイパス回路71には、電磁弁72が介設されており、当該電磁弁(弁装置)72は、上述した如き制御装置Cにて開閉制御される。
これにより、給湯装置における使用量が多く、ヒートポンプユニットの排熱回収媒体流路70B(蒸発器)を流れる冷媒を十分に蒸発させることができない場合、制御装置Cは、電磁弁72を開放し、ガスクーラ46に流入する高温冷媒の一部をガスクーラバイパス回路71に流入させて、高温冷媒のまま排熱回収熱交換器70の冷媒流路70Aを通過させても良い。これにより、排熱を効果的に用いて、給湯装置側の温度補償を行うことが可能となる。
(D)ガスクーラ用送風機の制御
次に、上述した如きガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47の制御について説明する。本実施例における制御装置Cは、図2に示すように入力側に高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48、48と、低圧圧力センサ32と、外気温度センサ56が接続されている。ここで、低圧圧力センサ32にて検出される圧力と、蒸発器63A、63Bにおける蒸発温度TEとは、一定の関係を有するため、制御装置Cは、当該低圧圧力センサ32に検出された圧力により、蒸発器63A、63Bにおける冷媒の蒸発温度TEを換算して取得する。また、制御装置Cの出力側には、ガスクーラ46を空冷するガスクーラ用送風機47が接続されている。
制御装置Cは、高圧圧力センサ48により検出される高圧側圧力HPが所定の目標値(目標高圧:THP)となるように、ガスクーラ用送風機47の回転数を制御する。ここで、目標高圧THPは、外気温度TA及び蒸発器63A、63Bにおける冷媒の蒸発温度TEから決定する。
本実施例の如く冷媒回路1の高圧側が超臨界圧力以上となる冷凍装置Rでは、外気温度TAがある温度、例えば、+30℃以下である場合、飽和サイクルが行われ、+30℃より高い温度では、ガスサイクルが行われる。ガスサイクルが行われるとき、冷媒は液化しないため、そのときの冷媒回路1内の冷媒量で温度と圧力とは一意に決定されない。そのため、外気温度TAによって、目標高圧THPが異なる。
本実施例では、一例として、外気温度センサ56により検出される外気温度TAが下限温度(例えば0℃)以下である場合、目標高圧THPは、所定の下限値THPLで一定とする。また、外気温度TAが30℃より高い所定温度(上限温度)以上で目標高圧THPは、所定の上限値THPHで一定とする。そして、外気温度TAが下限温度より高く上限温度より低い場合には、以下の如く目標高圧THPを求める。
外気温度TAが所定の基準温度、例えば+30℃より低い程、高圧側圧力の目標値THPを低くする方向で決定し、高いほど目標値THPを高くする方向で決定する。また、上述した如く当該低圧圧力センサ32に検出された圧力により、換算して取得された蒸発器63A、63Bにおける冷媒の蒸発温度TEが所定の基準温度より高い程、高圧側圧力の目標値THPを高くする方向で決定し、低いほど目標値THPを低くする方向で決定する。図3は外気温度TAと、蒸発温度TEとから決定される目標高圧THPの傾向を示す図である。
尚、本実施例では、制御装置Cは目標高圧THPを外気温度TAと、蒸発温度TEとから演算式を用いて算出しているが、これに限定されるものではなく、予め外気温度TA及び蒸発温度TEとから取得されたデータテーブルに基づき、目標高圧THPを取得しても良い。
そして、制御装置Cは、高圧圧力センサ(高圧圧力検出手段)48により検出された高圧側圧力HPと、目標高圧THPと、これらHPとTHPの偏差e、当該偏差eに基づきP(比例。偏差eの大きさに比例して、当該偏差eを縮小させる方向の制御)と、D(微分。偏差eの変化を縮小させる方向の制御)とから、比例微分演算を実行し、操作量として導出されるガスクーラ用送風機47の回転数を決定する。当該回転数は、目標高圧THPが高いほど、送風機47の回転数は上げられ、目標高圧THPが低いほど、送風機47の回転数が下げられる。
これにより、制御装置Cは、外気温度TAと蒸発器における冷媒の蒸発温度(低圧圧力センサ32にて検出された低圧圧力から換算して取得)TEに基づいてガスクーラ用送風機47の回転数を制御することにより、高圧側が超臨界圧力となる冷凍装置Rであっても、適切な高圧圧力となるようにガスクーラ用送風機47の回転数を制御することができる。これにより、ガスクーラ用送風機47の運転による騒音を低減しつつ、高効率な運転を実現することができる。
本実施例では、制御装置Cは、外気温度TAと蒸発温度TEに基づき、冷媒回路1の高圧側圧力の目標値THPを、例えば、外気温度TAが低い程、目標値THPを低くし、蒸発温度TEが高い程、目標値THPを高くする方向で当該目標値THPを決定し、高圧側圧力が目標値THPとなるよう、ガスクーラ用送風機47を制御することにより、外気温度TAにより飽和サイクルとガスサイクルに変化する冷媒の状態を考慮し、且つ、蒸発温度TEに基づいて好適な高圧側圧力を実現でき、これにより、高効率な運転を実現できる。このように、本発明は、冷媒として二酸化炭素を使用した超臨界冷媒回路(超臨界冷凍サイクル)において、特に有効となる。
(E)オイルセパレータ
一方、上述した如き圧縮機11の高段側吐出口28とガスクーラ46とを接続する高圧吐出配管42には、オイルセパレータ44が介設されている。このオイルセパレータ44は、圧縮機11から吐出された高圧の吐出冷媒中に含まれるオイルを冷媒と分離して捕捉するものであり、このオイルセパレータ44には、捕捉したオイルを圧縮機11に戻すオイル戻し回路73が接続されている。このオイル戻し回路73中には、捕捉したオイルを冷却するオイルクーラ74が設けられ、このオイルクーラ74の下流側で、オイル戻し回路73は2系統に分岐され、それぞれストレーナ75及び流量調整弁(電動弁)76を介して圧縮機11の密閉容器12に接続される。圧縮機11の密閉容器12内は、上述のように中間圧に保たれるため、捕捉されたオイルは、オイルセパレータ44内の高圧と密閉容器12内の中間圧との差圧によって当該密閉容器12内に戻される。また、圧縮機11の密閉容器12には、この密閉容器12内に保有するオイルのレベルを検出するオイルレベルセンサ77が設けられている。
また、このオイル戻し回路73には、オイルクーラ74をバイパスするオイルバイパス回路78が設けられ、このオイルバイパス回路78には、電磁弁(弁装置)79が介設されている。当該電磁弁79は、上述した如き制御装置Cにより開閉制御される。また、上述したように、当該オイルクーラ74は、上記ガスクーラ46と同一の風路45に設置されており、ガスクーラ用送風機47により空冷される。
以上の構成により、制御装置Cは、風路45に設けられる外気温度センサ56により検出された温度が所定のオイル低温度(所定値)以下となったか否かを判断し、オイル低温度を上回っている場合には、オイルバイパス回路78の電磁弁79を閉鎖する。
これにより、各圧縮機11、11の高段側吐出口28から吐出された高温高圧冷媒は、第2の回転圧縮要素20、20の下流側で合流し、オイルセパレータ44、ガスクーラ46等を経て冷凍機ユニット3、3に接続される。オイルセパレータ44内に流入した高温高圧冷媒中に含まれるオイルは、ここで、冷媒と分離して捕捉される。そして、圧縮機11の密閉容器12内は、中間圧に保持されるため、捕捉されたオイルは、オイルセパレータ44内の高圧と密閉容器12内の中間圧との差圧によって、オイル戻し回路28を介して圧縮機11に戻される。
オイル戻し回路28内に流入したオイルは、ガスクーラ46と同一の風路45に配設されるオイルクーラ74にて送風機47の運転により空冷される。当該オイルクーラ74を経た後、二系統に分離してストレーナ75、流量調整弁76を経て圧縮機11に戻る。これにより、高温冷媒と共に高温とされたオイルは、オイルクーラ74にて冷却されて圧縮機11に帰還するため、圧縮機11の温度上昇を抑制することができる。
他方、外気温度センサ56により検出された温度が所定のオイル下限温度(所定値)以下となった場合には、制御装置Cは、オイルバイパス回路78の電磁弁79を開放する。これにより、オイルセパレータ44にて冷媒と分離されたオイルは、オイルクーラ74を経ることなくオイル戻し回路28のオイルバイパス回路78を介して圧縮機11、11に戻る。尚、制御装置Cは、外気温度センサ56により検出された温度がオイル下限温度よりも所定温度高いオイル上限温度に達した場合には、電磁弁79を閉塞するものとする。
これにより、外気温度の低下によって、オイル温度も低下し、オイルの粘度が上昇してしまう状況となった場合であっても、電磁弁79を開放することによりオイルクーラ74を経ることなくオイルバイパス回路78を介してオイルセパレータ44内のオイルを圧縮機11に戻すことが可能となる。これにより、圧縮機11へのオイル戻りを円滑なものとすることができる。
特に、本実施例では、オイルクーラ74をガスクーラ46と同一の風路45に設置し、送風機47は、上述したようオイルクーラ74の温度とは無関係に送風機47の制御を行っているため、送風機47の運転によって必要以上にオイルクーラ74の温度が低下してしまい、オイルに冷媒が溶け込みやすくなるが、制御装置Cにより、オイルバイパス回路78の電磁弁79を開放することにより、円滑にオイルクーラ74を経ることなくオイルバイパス回路78を介してオイルセパレータ44内のオイルを圧縮機11に戻すことができる。これにより、特に、空冷量の調整をできない場合において、制御を簡素化でき、有効となる。
また、制御装置Cは、外気温度が所定のオイル下限温度(所定値)よりも低い場合、電磁弁79によりオイルバイパス回路78の流路を開放することにより、冷媒がオイルに溶け込んで粘度が上昇することを防止して、的確にオイルクーラ74を迂回するオイルバイパス回路78を介してオイルセパレータ44内のオイルを圧縮機11に戻すことが可能となる。
尚、本実施例では、風路45に設けられた外気温度センサ56により検出された温度に基づき電磁弁79の開閉制御を行っているが、これに限定されるものではなく、例えば、オイルセパレータ44の温度を検出する手段を設け、当該温度検出手段により検出された温度が所定値よりも低い場合に、電磁弁79によりオイルバイパス回路78の流路を開放することとしても良い。この場合においても、確実に冷媒がオイルに溶け込んで粘度が上昇することを防止して、オイルクーラ74を迂回するオイルバイパス回路78を介してオイルセパレータ44内のオイルを圧縮機11に戻すことが可能となる。
尚、本実施例のように冷媒として二酸化炭素を使用した場合には、上述した如き制御を行うことで、オイルを円滑に圧縮機11に戻すことができると共に、冷凍能力を効果的に改善でき、性能の向上を図ることができる。
(F)圧縮機の始動性改善(バイパス回路)
次に、圧縮機11の始動性改善制御について説明する。図2に示すように上述した如き冷凍装置Rのインタークーラ38の出口側の冷媒回路1の中間圧領域、本実施例では、当該インタークーラ38の出口側に接続される上記第2又は第3の連通回路104、105と、冷媒回路1の低圧側、本実施例では、蒸発器63A、63Bの冷媒出口側とを連通するバイパス回路84が設けられている。このバイパス回路84には、電磁弁(弁装置)85が介設されている。そして、制御装置Cは、図2に示すように圧縮機11、11及び電磁弁85が接続されている。制御装置Cは、圧縮機11の運転周波数を検出(取得)可能とする。
以上の構成により、圧縮機11の始動性改善制御動作について説明する。上述したように圧縮機11が運転されている状態では、低段側吸込口22により第1の回転圧縮要素18の低圧部に吸い込まれた低圧の冷媒ガスは、当該第1の回転圧縮要素18により中間圧に昇圧されて密閉容器12内に吐出される。密閉容器12内の中間圧の冷媒ガスは、圧縮機11の低段側吐出口24から中間圧吐出配管36に吐出され、インタークーラ38が接続された中間圧吸入管40を介して高段側吸込口26に吸い込まれる。第1の回転圧縮要素18から吐出され、高段側吸込口26を介して第2の回転圧縮要素20に吸い込まれるまでの領域が中間圧領域とされる。
高段側吸込口26により第2の回転圧縮要素20の中圧部に吸い込まれた中圧の冷媒ガスは、当該第2の回転圧縮要素20により2段目の圧縮が行われて高温高圧の冷媒ガスとなり、高段側吐出口28より高圧吐出配管42に吐出され、オイルセパレータ44、ガスクーラ46、排熱回収熱交換器70、中間熱交換器80、冷媒配管7及びショーケースユニット5A、5Bの主絞り手段62A、62Bまでの領域が高圧側とされる。
そして、主絞り手段62A、62Bにて減圧膨張されることにより、それより下流の蒸発器63A、63Bから第1の回転圧縮要素18に連通する低段側吸込口22までが冷媒回路1の低圧側とされる。
上記圧縮機11の運転が停止した後、圧縮機11を再始動する際には、制御装置Cは、圧縮機11の起動から所定の運転周波数に上昇するまでの間、電磁弁85を開放してバイパス回路84の流路を開放する。当該所定の運転周波数とは、圧縮機11が実効的なトルク制御が可能となる運転周波数であり、本実施例では、一例として35Hzとする。
これにより、圧縮機11の停止状態から起動され、当該所定の運転周波数に上昇するまでの間、電磁弁85が開放されることにより、第1の回転圧縮要素18により中間圧に昇圧され、低段側吐出口24から中間圧吐出配管36に吐出され、インタークーラ38を経た後の中間圧領域の冷媒は、バイパス回路84を介して、冷媒回路1の低圧側領域に流入する。これにより、冷媒回路1の中間圧領域と低圧側領域との圧力が均圧される。
これにより、圧縮機11の起動から所定の運転周波数に上昇するまでの始動時は、所定のトルクが確保できないが、この間、中間圧領域と低圧側領域とを均圧とすることで、外気温度が高いため中間圧が高くなりやすい状況であっても、中間圧が高圧に接近する不都合を解消できる。
そのため、圧縮機11の始動時におけるトルク不足が生じている間に、中間圧領域の圧力と高圧領域の圧力とが接近してしまうことによる始動不良を未然に回避することができ、安定した、且つ、高効率な運転を実現することができる。尚、制御装置Cは、検出される圧縮機11の運転周波数が所定の運転周波数に上昇した後は、電磁弁85を閉鎖し、バイパス回路84の流路を閉塞することで、上述したような通常の冷凍サイクルを行う。
(G)圧縮機の始動性改善(逆止弁)
本実施例における各圧縮機11の高圧吐出配管42には、冷媒調整器91が設けられている。ここで、図4の冷媒調整器91の部分縦断側面図及び図5の部分断面平面図を参照して冷媒調整器91について説明する。この冷媒調整器91は、所定の容量を有した密閉容器92により構成されており、当該容器92の側面には、圧縮機11の高段側吐出口28から吐出された冷媒が流入される冷媒流入部96が連通形成されており、高圧吐出配管42(高段側吐出口28側)が接続される。また、容器92の上端面には、容器92内の冷媒を流出させる冷媒流出部97が連通形成されており、高圧吐出配管42(ガスクーラ46側)が接続される。
そして、この容器92内は、仕切壁93にて上下が区画され、この下側は、冷媒流入室94とされ、上側は冷媒流出室95とされる。冷媒流入室94は、上記冷媒流入部96と連通して形成され、冷媒流出室95は、冷媒流出部97と連通して形成される。そして、仕切壁93の冷媒流入室94側には、吸込ポート98が設けられており、当該吸込ポート98は、仕切壁93に形成された吸込通路99と連通して形成される。
この吸込通路99の冷媒流出室95側には、容器92内の上部に位置してリードバルブにて構成された逆止弁90が設けられている。当該逆止弁90は、冷媒流入室94側から冷媒流出室95に向かう方向を順方向(圧縮機11の高段側吐出口28からガスクーラ46(オイルセパレータ44)に向かう方向を順方向)とする。そして、この逆止弁90の近傍には、当該逆止弁90と所定間隔を存して支持体90Aが固定されている。
そして、この容器92の容器下端部には、上述した圧縮機11と接続するオイル戻し管86が設けられている。当該オイル戻し管86は、上記オイル戻し回路73に接続され、これにより容器92内と連通して構成されている。
以上の構成により、圧縮機11の高段側吐出口28から吐出された冷媒は高温吐出配管42を介して冷媒調整器91の冷媒流入部96から冷媒流入室94内に流入する。ここで、冷媒流入室94は所定の容積を有することからマフラー効果によって脈動を吸収して平準化を図ることができる。
冷媒流入室94内の冷媒は、吸込ポート98を介して吸込通路99内を通過し、冷媒流入室94から冷媒流出室95側を順方向とする逆止弁90を介して冷媒流出室95内に吐出される。逆止弁90は、上述したようにリードバルブにより構成されているため、騒音発生を解消することができる。
そして、冷媒流出室95内の冷媒は、冷媒流出部97を介してガスクーラ46に向かう高温吐出配管42に吐出される。
ここで、冷媒調整器91の容器92内には、圧縮機11の高段側吐出口28からガスクーラ46(オイルセパレータ44)に向かう方向を順方向とする逆止弁90が設けられているため、圧縮機11が停止した場合であっても、高圧吐出配管42に介設される冷媒調整器91の逆止弁90によって、ガスクーラ46側の高圧冷媒が圧縮機11側と連通しない。そのため、圧縮機11の運転が停止して、密閉容器12内にて高圧側と中間圧とが均圧してしまう場合であっても、逆止弁90から蒸発器63A、63Bの近傍に設けられた主絞り手段62A、62Bまでの冷媒回路1の高圧側の圧力を維持することができる。
即ち、当該逆止弁90が設けられていない場合には、停止した圧縮機11内において高圧側と中圧側とが均圧してしまう。他方、密閉容器12内において低圧側と中圧側とは、低圧側のみがオイルに浸されていることから容易には均圧し難い。しかし、圧縮機11を始動する場合には、冷媒回路1内の圧力差が大きいことから、冷媒回路1内全体が均圧するまでの所定時間が必要となり始動性が悪いこととなる。
しかし、本実施例では、圧縮機11を停止した後、逆止弁90によって冷媒回路1の高圧側の圧力が維持されることで、かかる圧縮機11の始動性の改善を図ることができる。また、冷媒回路1内全体が均圧とならないため、冷凍サイクル装置の効率化を図ることができる。
また、本実施例の如く、冷凍装置Rに複数、この場合2台の圧縮機11、11が設けられ、相互に並列接続されている場合、上記逆止弁90を備えた冷媒調整器91は、各圧縮機11、11の高圧吐出配管42、42が合流する以前の位置にそれぞれの圧縮機11に対応して設ける。これにより、マルチ構成の圧縮機の追加運転が可能になり、容量制御性の改善を図ることができる。
上述したように逆止弁90が設けられた冷媒調整器91の容器92は、所定の容量を有しているため、冷媒からオイルを分離するオイルセパレータの機能をも奏することができる。当該容器92の下部に溜められたオイルは、当該下端部に設けられたオイル戻し管86を介して円滑にそれぞれに対応する圧縮機11、11に返還することができる。
(H)蒸発器の除霜制御
上述したように、各ショーケースユニット5A、5Bは、冷媒配管7及び9にそれぞれ並列に接続されている。各ショーケースユニット5A、5Bと、冷媒配管7及び冷媒配管9とを連結するケース側冷媒配管60A、60Bには、それぞれストレーナ61A、61Bと、主絞り手段62A、62Bと、蒸発器63A、63Bが順次接続されている。
そして、一方の蒸発器63Aの出口側には、他方の蒸発器63Bに対応する主絞り手段62Bの入口側とを連通する第1の連通管64Aが接続されており、当該第1の連通管64Aには、電磁弁(第1の弁装置)65Aが介設されている。また、他方の蒸発器63Bの出口側には、一方の蒸発器63Aに対応する主絞り手段62Aの入口側とを連通する第2の連通管64Bが接続されており、当該第2の連通管64Bには、電磁弁(第2の弁装置)65Bが介設されている。尚、本実施例において主絞り手段62A、62Bは、電動膨張弁にて構成しているが、これ以外にも絞り手段としてのキャピラリーチューブとこれをバイパスするバイパス管と電磁弁によって構成しても良い。
また、各ケース側冷媒配管60A、60Bの蒸発器63A又は63Bの出口側に接続された各連通管64A、64Bとの分流器の下流側には、電磁弁(第3の弁装置)66A及び電磁弁(第4の弁装置)66Bが介設されている。これら電磁弁(第1の弁装置)65A、及び、電磁弁(第3の弁装置)66Aにより本発明の第1の流路制御手段が構成され、電磁弁(第2の弁装置)65B、及び、電磁弁(第4の弁装置)66Bにより本発明の第2の流路制御手段が構成される。
他方、上述したように、冷媒回路1を構成するガスクーラ46をバイパスするガスクーラバイパス回路71が設けられている。このガスクーラバイパス回路71には、電磁弁(第5の弁装置)72が介設されている。そして、各電磁弁65A、65B、66A、66B、72及び主絞り手段62A、62Bは、上述した如き制御装置Cにて開閉制御される。
以上の構成により、先ず、一方の蒸発器63Aの除霜制御について説明する。一方の蒸発器63Aの除霜を行う際には、制御装置Cは、上記流路制御手段を蒸発器63Aから出た冷媒を第1の連通管64Aに流し、蒸発器63Bから出た冷媒を圧縮機11に戻す制御を行う。即ち、当該蒸発器63Aに対応する主絞り手段62Aを全開とし、第1の連通管64Aの電磁弁65A、電磁弁66Bを開放する。第2の連通管64Bの電磁弁65B及び電磁弁66Aを閉鎖する。尚、主絞り手段62Aをキャピラリーチューブとこれをバイパスするバイパス管と電磁弁とから構成している場合には、バイパス管の電磁弁を開放する。
これにより、圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒は、ガスクーラ46、排熱回収熱交換器70、中間熱交換器80、冷媒配管7を経てケース側冷媒配管60Aに至り、全開とされる主絞り手段62Aを経てガス冷媒のまま一方の蒸発器63A内に流入する。当該蒸発器63Aの除霜によって液化された冷媒(ガスサイクルが行われているときはガス冷媒)は、電磁弁66Aが閉鎖されており、電磁弁65Aが開放されているため、第1の連通管64Aを経て、冷媒配管7からの冷媒に合流して他方の蒸発器63Bに対応する主絞り手段62Bの入口側に流入する。
そのため、一方の蒸発器63Aの除霜によって液化された冷媒は、冷媒配管7からの冷媒と共に他方の蒸発器63Bに対応する主絞り手段62Bにて減圧膨張され、他方の蒸発器63Bにて蒸発する。これにより、一方の蒸発器63Aの除霜により液化した冷媒が直接圧縮機11に帰還する不都合を解消することができる。
他方の蒸発器63Bの除霜を行う際には、制御装置Cは、上記流路制御手段を蒸発器63Bから出た冷媒を第2の連通管64Bに流し、蒸発器63Aから出た冷媒を圧縮機11に戻す制御を行う。即ち、当該蒸発器63Bに対応する主絞り手段62Bを全開とし、第2の連通管64Bの電磁弁65B、電磁弁66Aを開放する。第2の連通管64Aの電磁弁65A及び電磁弁66Bを閉鎖する。
これにより、圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒は、ガスクーラ46、排熱回収熱交換器70、中間熱交換器80、冷媒配管7を経てケース側冷媒配管60Bに至り、全開とされる主絞り手段62Bを経てガス冷媒のまま他方の蒸発器63B内に流入する。当該蒸発器63Bの除霜によって液化された冷媒(ガスサイクルが行われているときはガス冷媒)は、電磁弁66Bが閉鎖されており、電磁弁65Bが開放されているため、第2の連通管64Bを経て、冷媒配管7からの冷媒に合流して一方の蒸発器63Aに対応する主絞り手段62Aの入口側に流入する。そのため、他方の蒸発器63Bの除霜によって液化された冷媒は、冷媒配管7からの冷媒と共に一方の蒸発器63Aに対応する主絞り手段62Aにて減圧膨張され、一方の蒸発器63Aにて蒸発する。
このように、複数の蒸発器63A、63Bを備えた冷凍装置Rにおいて、相互に除霜により液化した冷媒を他方の蒸発器にて蒸発処理させることによって、除霜により液化した冷媒が直接圧縮機11に帰還する不都合を解消することができる。また、このような簡素な構成にてこれら蒸発器63A、63Bの除霜を実現することが可能となる。
尚、本実施例では、2つの冷凍機ユニット5A、5Bの蒸発器63A、63Bの除霜を例に挙げて説明しているが、蒸発器の数を更に増やした場合であっても、相互に除霜により液化した冷媒を異なる蒸発器にて蒸発処理させることによって、本発明による効果を奏することができる。
また、本実施例では、制御装置Cは、外気温度センサ56により検出された温度が所定の低温度である場合には、当該除霜時においてガスクーラバイパス回路71に設けられた電磁弁72を開放する。これにより、除霜が行われる蒸発器には、超臨界サイクルとなるガスクーラ46を回避した(ガスクーラバイパス回路71を通過した)温度の高い冷媒を流入させることが可能となる。
これにより、低外気温時等において、除霜を行う蒸発器に流入する冷媒温度が低い場合に、より高い温度の冷媒を供給することが可能となり、効率的な除霜を実現することができる。
また、排熱を利用した除霜を実現することが可能となるため、格別なヒータ等の加熱手段を不要とでき、省エネを図ることができる。また、除霜時におけるヒータ通電を回避できるため、ピーク電力のカットを行うことができる。
本実施例のように、冷媒として二酸化炭素を使用した場合、圧縮機11からの吐出温度が高くなるため、蒸発器の除霜性能の向上を図ることができる。