JP6064729B2 - 円筒部材拡径装置 - Google Patents
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Description
通例、摺動荷重を小さくし過ぎると、回転方向のガタが大きくなり、逆に、回転方向のガタを小さくし過ぎると、摺動荷重が大きくなる傾向にある。両性能を両立させるために、円筒部材の軸方向全体にスプラインが形成されており、この円筒部材の両端部にテーパ状の工具を挿入し、両端部を拡径することで摺動荷重やガタを調整して小さくしている。円筒部材の両端部を拡径する方法として、特許文献1では、拡径すべき円筒部材の両端に先端部が縮小するテーパ面を有する工具を用いて成形する装置が提案されている。
そのため、円筒部材の軸方向両端部を正確に規定量だけテーパ状に拡径することができ、しかも確実にスプラインの歯形の不良を防止できる円筒部材拡径装置を提供できる。
図6は本発明の一実施形態の製造装置により製造されたスプライン伸縮軸1の部分断面側面図である。スプライン伸縮軸1は、例えば、ステアリングシャフト(図示せず)とラックアンドピニオン機構のピニオン軸(図示せず)との間に介在するインターミディエイトシャフト(中間軸)として用いられている。また、スプライン伸縮軸1は、衝撃吸収時に収縮するステアリングシャフトとして用いてもよい。
スプライン軸2の外周2aには、複数の雄スプライン2bが設けられ、円筒部材3の内周3aには、雄スプライン2bに交互に噛み合う複数の雌スプライン3bが設けられている。両スプライン2b,3bは模式的に示されている。
上側拡径工具17と下側拡径工具18は図8に示す円筒部材3の両端部円筒端開口部に形成してあるスプライン3bと係合できるようになっている。
次に、油圧シリンダ装置12を起動して、ピストンロッド13を伸長し、移動部材14を一対の支柱11で案内しながら円筒部材3側へ移動させる。同時に第1の保持部材15と上側拡径工具17を円筒部材3側へ移動させ、上側拡径工具17のスプライン17bを円筒部材の他端3d側のスプライン3bと係合させる。このとき付勢部材16は伸びたままの状態であり、円筒部材3は一対の拡径工具17、18によって挟持される。円筒部材3から手を離す。(図2)
円筒部材3によって上側拡径工具17の移動が阻止されているので付勢部材16が圧縮される。付勢部材16の付勢力が、円筒部材3の一端3cのスプライン3bおよび下側拡径工具18のスプライン18b間に作用し、円筒部材3の他端3dのスプライン3bおよび上側拡径工具17のスプライン17b間に作用するが、円筒部材3の両端3c、3dは拡径しない。第1の保持部材15と移動部材14とが当接する。
上記構成の円筒部材拡径装置10によれば、円筒部材3に向かって先細りとなるテーパ形状を有しテーパ形状の外周17a、18aにスプライン17b、18bを形成した一対の拡径工具17,18を円筒部材3の軸方向端部3c、3dのスプライン3bに押圧し、円筒部材3の軸方向端部3c、3dをテーパ状に拡径する押圧機構により、スプライン17b、18bと円筒部材3のスプライン3bとが全体的に接触し、テーパ状に拡径するので、円筒部材3のスプライン3bの歯形の不良を防止できる円筒部材拡径装置10を提供できる。
円筒部材3によって拡径工具17,18の移動が阻止されているので付勢部材16,36が圧縮される。付勢部材16,36の付勢力が、円筒部材3の両端3c、3dのスプライン3bおよび拡径工具17、18のスプライン17、18b間に作用するが、円筒部材3の両端3c、3dは拡径しない。第1の保持部材15と移動部材14および第2の保持部材35と移動部材39とが当接する。
仮位置保持機構は、一対の支柱11に固定された仮位置保持部材51と、付勢ばね52とで構成されている。仮位置保持部材51は、円筒部材3の外周と同一径を持つ保持孔51bが形成されている。また仮位置保持部材51は、円筒部材3の径方向に保持孔51bへ挿入できるように、外部と保持孔51bを連通する開口部が形成されている。保持孔51bに円筒部材3の径方向に付勢する付勢ばね52が設けてあり、円筒部材3を保持孔51bに押し付けることによって円筒部材3の位置を固定する。円筒部材3のスプライン3bおよび一対の拡径工具17,18のスプライン係合用歯17b、18bが互いに合致する位置で、仮固定できる。
以下の操作は、実施例1と同じ操作となるため省略する。
Claims (5)
- 円筒部材の軸方向端部の内周に形成されたスプラインをテーパ状に拡径する円筒部材拡径装置であって、前記円筒部材の軸方向両側に配置され、前記円筒部材に向かって先細りとなるテーパ形状を有し、テーパ形状の外周に前記スプラインに係合するスプライン係合用歯を形成した一対の拡径工具と、前記一対の拡径工具を前記円筒部材の軸方向端部のスプラインに当接する位置まで移動させ、続いて前記一対の拡径工具を前記円筒部材の軸方向端部のスプラインに押圧し、円筒部材の軸方向端部をテーパ状に拡径する押圧機構とを有することを特徴とする円筒部材拡径装置
- 前記一対の拡径工具のうち一方を前記円筒部材に対する軸方向の移動を規制して前記円筒部材の一端側のテーパ状に拡径する量を規制する第1の規制部と、前記一対の拡径工具のうち他方を前記円筒部材に対する軸方向の移動を規制して前記円筒部材の他端側のテーパ状に拡径する量を規制する第2の規制部とを有することを特徴とする請求項1に記載の円筒部材拡径装置
- 前記押圧機構は、前記一対の拡径工具のうち一方を前記円筒部材の軸方向に案内する案内部と、前記一対の拡径工具のうち一方を前記円筒部材に接近する方向に移動させる駆動装置とを有することを特徴とする請求項2に記載の円筒部材拡径装置
- 前記押圧機構は、前記一対の拡径工具のうち一方を前記円筒部材の軸方向に移動させる第1の駆動装置と、前記一対の拡径工具のうち他方を前記円筒部材の軸方向に移動させる第2の駆動装置と、前記第1の駆動装置および前記第2の駆動装置を同期して動かす制御装置とを有することを特徴とする請求項2に記載の円筒部材拡径装置
- 前記円筒部材のスプラインおよび前記一対の拡径工具の前記スプライン係合用歯が互いに合致する位置に、前記円筒部材を仮位置に保持する仮位置保持機構を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の円筒部材拡径装置
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