JP6064616B2 - 酸素吸収性紙容器 - Google Patents

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Description

本発明は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で、酸素バリア性能および酸素吸収性能に優れた酸素吸収性紙容器に関するものである。
食品、飲料、医薬品、化粧品に代表される、酸素の影響を受けて変質或いは劣化しやすい各種物品の酸素酸化を防止し、長期に保存する目的で、これらを収納した包装体内の酸素除去を行う酸素吸収剤が使用されている。
酸素吸収剤としては、酸素吸収能力、取り扱い易さ、安全性の点から、鉄粉を反応主剤とする酸素吸収剤が一般的に用いられている。しかし、この鉄系酸素吸収剤は、金属探知機に感応するために、異物検査に金属探知機を使用することが困難であった。また、鉄系酸素吸収剤を同封した包装体は、発火の恐れがある為に電子レンジによる加熱ができない。さらに、鉄粉の酸化反応には水分が必須であるため、被保存物が高水分系であるものでしか、酸素吸収の効果を発現することができなかった。
また、熱可塑性樹脂に鉄系酸素吸収剤を配合した酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を配した多層材料で容器を構成することにより、容器のガスバリア性の向上を図るとともに容器自体に酸素吸収機能を付与した包装容器の開発が行われている(特許文献1参照)。しかし、これも同様に金属探知機に感応するために異物検査に金属探知器を使用できない、電子レンジによる加熱ができない、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。さらに、不透明性の問題により内部視認性が不足するといった課題を有している。
上記のような事情から、有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤が望まれている。有機系の物質を反応主剤とする酸素吸収剤としては、アスコルビン酸を主剤とする酸素吸収剤が知られている(特許文献2参照)。
一方、樹脂と遷移金属触媒からなる酸素吸収性樹脂組成物が知られている。例えば、酸化可能有機成分としてポリアミド、特にキシリレン基含有ポリアミドと遷移金属触媒からなる樹脂組成物が知られている(特許文献3参照)。さらに、この特許文献3には、この樹脂組成物を成形して得られる酸素吸収剤、包装材料、包装用多層積層フィルムも例示されている。
また、酸素吸収に水分を必要としない酸素吸収性樹脂組成物として、炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂と遷移金属触媒からなる酸素吸収性樹脂組成物が知られている(特許文献4参照)。
さらに、酸素を捕集する組成物として、置換されたシクロヘキセン官能基を含むポリマーまたは該シクロヘキセン官能基が結合した低分子量物質と遷移金属とからなる組成物が知られている(特許文献5参照)。
特開平9−234832号公報 特開昭51−136845号公報 特開2001−252560号公報 特開平05−115776号公報 特表2003−521552号公報
しかしながら、特許文献2の酸素吸収剤は、そもそも酸素吸収性能が低く、また、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、比較的に高価である、といった課題を有している。
また、特許文献3の樹脂組成物は、遷移金属触媒を含有させキシリレン基含有ポリアミド樹脂を酸化させることで酸素吸収機能を発現させるものであるため、酸素吸収後に樹脂の酸化劣化による高分子鎖の切断が発生し、包装容器そのものの強度が低下するという問題を有している。さらに、この樹脂組成物は、未だ酸素吸収性能が不十分であり、被保存物が高水分系のものしか効果を発現しない、といった課題を有している。
さらに、特許文献4の酸素吸収性樹脂組成物は、上記と同様に樹脂の酸化にともなう高分子鎖の切断により臭気成分となる低分子量の有機化合物が生成し、酸素吸収後に臭気が発生するという問題がある。
一方、特許文献5の組成物は、シクロヘキセン官能基を含む特殊な材料を用いる必要があり、また、この材料は比較的に臭気が発生しやすい、という課題が依然として存在する。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、金属探知機に感応する材料を用いなくても、酸素吸収後の臭気発生が抑制され、優れた酸素吸収性能を有する、新規な酸素吸収性紙容器を提供することにある。また、本発明の他の目的は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有する、酸素吸収性紙容器を提供することにある。
本発明者らは、酸素吸収性紙容器について鋭意検討を進めた結果、紙容器を構成する多層体の少なくとも1層に、所定のテトラリン環を有する共重合ポリオレフィン化合物および遷移金属触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物を用いることにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下<1>〜<5>を提供する。
<<<クレーム確定後コピー>>>
本発明によれば、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有する酸素吸収性紙容器を実現することができる。そして、この酸素吸収性紙容器は、被保存物の水分の有無によらず酸素を吸収することができ、しかも酸素吸収後の臭気発生がないので、例えば、食品、調理食品、飲料、医薬品、健康食品等、対象物を問わず幅広い用途で使用することができる。また、金属探知機に感応しない酸素吸収性紙容器を実現することもできる。さらに、本発明の好ましい態様によれば、酸素吸収後も酸化による共重合ポリオレフィン化合物の強度低下が極めて小さく、長期の利用においても酸素吸収層の強度が維持されるため、層間剥離が生じにくい酸素吸収性紙容器を実現することもできる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
[酸素吸収性紙容器および酸素吸収性多層体]
本実施形態の酸素吸収性紙容器は、酸素吸収性多層体を製函してなる紙容器である。より具体的には、紙容器を構成する酸素吸収性多層体は、熱可塑性樹脂を含有する隔離層(層F)、少なくとも1種のテトラリン環を有する構成単位を含有する共重合ポリオレフィン化合物(以下、単に「テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物」ともいう。)と遷移金属触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層(層A)、ガスバリア性物質を含有するガスバリア層(層D)、および紙基材層(層E)の少なくとも4層をこの順に積層したものである。また、本実施形態の酸素吸収性多層体は、必要に応じて、これら4層以外の層を任意の位置に層を有していてもよい。
本実施形態の酸素吸収性紙容器は、上記の酸素吸収性多層体を、層Fを内側として密封用包装容器の一部または全部に使用することにより、容器内の酸素を吸収して、容器外から容器壁面を透過する或いは侵入する酸素がわずかでもある場合にはこの透過或いは侵入する酸素をも吸収して、保存する内容物品(被保存物)の酸素による変質等を防止することができる。
[熱可塑性樹脂を含有する隔離層(層F)]
本実施形態において、酸素吸収性多層体の隔離層(層F)は、熱可塑性樹脂を含有するものである。この層Fは、容器内の酸素を酸素吸収層(層A)まで透過させると同時に酸素吸収層(層A)と内容物(被保存物)とを隔離する(層Aと被保存物との物理的な接触を阻害する)役割を有する。また、この層Fは、酸素吸収性多層体を製函して容器を成形する際に、それ同士で熱融着して紙容器を密封するシーラントとしての役割を有することもできる。
上記の層Fに用いることのできる融着性を有する熱可塑性樹脂としては、熱によって溶融し相互に融着し得る各種ポリオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂が例示される。具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂等を挙げることができる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、成形加工性や衛生性、臭気等の観点から、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体が好ましい。
層F中の熱可塑性樹脂の含有割合は、適宜設定でき、特に限定されないが、層Fの総量に対して、70〜100質量%が好ましく、より好ましくは80〜100質量%であり、さらに好ましくは90〜100質量%である。また、本実施形態の層Fに用いる熱可塑性樹脂は、テトラリン環含有ポリオレフィン化合物以外の熱可塑性樹脂を、その総量に対して、50〜100質量%含むものであることが好ましく、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは90〜100質量%である。
また、上記の層Fは、上記の熱可塑性樹脂以外に、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意成分としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の着色顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、可塑剤、安定剤、滑剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。特に、製造中に発生した端材をリサイクルして再加工する観点から、層Fに酸化防止剤を添加することが好ましい。
また、本実施形態の酸素吸収性多層体において、隔離層(層F)の厚みは、用途や所望する性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、酸素吸収層の酸素を吸収する速度をより高めることができるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。
[酸素吸収層(層A)]
本実施形態の酸素吸収性多層体の酸素吸収層(A)は、上記一般式(1)で表わされる構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のエチレンまたは置換エチレン構成単位である構成単位(a)、および、上記一般式(2)または(3)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する置換エチレン構成単位である構成単位(b)を含有するテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物と遷移金属触媒とを含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる。
層A中のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物の含有割合は、特に限定されないが、層Aの総量に対して、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物の含有割合が前記好ましい値以上にあると、そうでない場合に比べて、酸素吸収性能をより高めることができる。
<テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物>
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、上記一般式(1)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のエチレンまたは置換エチレン構成単位である構成単位(a)、および、上記一般式(2)または(3)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する置換エチレン構成単位である構成単位(b)を含有する。
また、上記一般式(1)で表される構成単位(a)は、上記式(4)および(5)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、上記一般式(2)で表される構成単位(b)は、上記式(6)および(7)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。ここで、「構成単位を含有する」とは、化合物中に当該構成単位を1以上有することを意味する。かかる構成単位は、テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物中に繰り返し単位として含まれていることが好ましい。テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、上記構成単位(a)と構成単位(b)とのランダムコポリマー、上記構成単位(a)と構成単位(b)とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。或いは、それらの構成単位の共重合の形態は、例えば、交互共重合、グラフト共重合などであってもよい。
また、テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、構成単位(a)、構成単位(b)以外の他の構成単位を含有してもよく、上記構成単位(a)と構成単位(b)と他の構成単位とのランダムコポリマー、上記構成単位(a)と構成単位(b)と他の構成単位とのブロックコポリマーのいずれであっても構わない。或いは、それらの構成単位の共重合の形態は、例えば、交互共重合、グラフト共重合などであってもよい。
上記一般式(1)〜(3)で表される構成単位において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10およびR11(「R〜R11」と表記する。以下同様。)で示す一価の置換基(第1の一価の置換基、第2の一価の置換基、および第3の一価の置換基)としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数が1〜15、より好ましくは炭素数が1〜6の直鎖状、分岐状または環状アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6の直鎖状、分岐状または環状アルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、アルキニル基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数が6〜16、より好ましくは炭素数が6〜10のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基)、複素環基(好ましくは炭素数が1〜12、より好ましくは炭素数が2〜6の5員環或いは6員環の芳香族または非芳香族の複素環化合物から1個の水素原子を取り除くことによって得られる一価の基、例えば、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、2−フリル基)、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6の直鎖状、分岐状または環状アルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基)、アシル基(ホルミル基を含む。好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が2〜6のアルキルカルボニル基、好ましくは炭素数が7〜12、より好ましくは炭素数が7〜9のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6のアルキルアミノ基、好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアニリノ基、好ましくは炭素数が1〜12、より好ましくは炭素数が2〜6の複素環アミノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは炭素数が1〜10、より好ましくは炭素数が1〜6のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数が6〜12、より好ましくは炭素数が6〜8のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基)、複素環チオ基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が1〜6の複素環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基)、イミド基(好ましくは炭素数が2〜10、より好ましくは炭素数が4〜8のイミド基、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)等が例示されるが、これらに特に限定されない。
なお、上記の一価の置換基R〜R11が水素原子を有する場合、その水素原子が置換基T(ここで、置換基Tは、上記の一価の置換基R〜R11で説明したものと同義である。)でさらに置換されていてもよい。その具体例としては、ヒドロキシ基で置換されたアルキル基(例えば、ヒドロキシエチル基)、アルコキシ基で置換されたアルキル基(例えば、メトキシエチル基)、アリール基で置換されたアルキル基(例えば、ベンジル基)、第1級或いは第2級アミノ基で置換されたアルキル基(例えば、アミノエチル基)、アルキル基で置換されたアリール基(例えば、p−トリル基)、アルキル基で置換されたアリールオキシ基(例えば、2−メチルフェノキシ基)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、上記の一価の置換基R〜R11が一価の置換基Tを有する場合、上述した炭素数には、置換基Tの炭素数は含まれないものとする。例えば、ベンジル基は、フェニル基で置換された炭素数1のアルキル基と看做し、フェニル基で置換された炭素数7のアルキル基とは看做さない。また、上記の一価の置換基R〜R11が置換基Tを有する場合、その置換基Tは複数あってもよい。
上記一般式(2)または(3)で表される構成単位において、Xは、−(C=O)O−、−(C=O)NH−、−O(C=O)−、−NH(C=O)−および−(CHR)s−からなる群より選択される二価の基を示し、sは0〜12の整数を示す。Yは−(CHR)t−であって、tは0〜12の整数を示す。Rは水素原子(−H)、メチル基(−CH)、および−エチル基(C)からなる群より選択される一価の化学種を示す。
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、テトラリン環を有するビニル化合物(I)と、他のビニル化合物(II)とを共重合することで得られる。
本実施形態で用いられるテトラリン環を有するビニル化合物(I)としては、例えば、下記一般式(8)または(9)で表される化合物からなる群より選択されるビニル化合物が挙げられる。テトラリン環を有するビニル化合物(I)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または第2の一価の置換基を示し、R〜R11は、それぞれ独立して第3の一価の置換基を示し、第2の一価の置換基および第3の一価の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基およびイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよく、R、R、R10またはR11が複数存在する場合、複数のR、R、R10またはR11は、互いに同一であっても異なっていてもよい。mは0〜3、nは0〜7、pは0〜6、qは0〜4の整数をそれぞれ示し、テトラリン環のベンジル位には少なくとも1つの水素原子が結合している。Xは−(C=O)O−、−(C=O)NH−、−O(C=O)−、−NH(C=O)−および−(CHR)s−からなる群より選択される二価の基を示し、sは0〜12の整数を示す。Yは−(CHR)t−であって、tは0〜12の整数を示す。Rは−H、−CH、および−Cからなる群より選択される一価の化学種を示す。)
本実施形態で用いるビニル化合物(II)としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物からなる群より選択されるビニル化合物が挙げられる。ビニル化合物(II)は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または第1の1価の置換基を示し、第1の一価の置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基およびイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよい。)
上記一般式(10)で表されるビニル化合物としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素数2〜20のエチレンまたはα−オレフィン;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、2−(2−メチルブチル)−1−シクロヘキセン、シクロオクテンなどのシクロオレフィン;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの非共役ジエン;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどの共役ジエン;スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどのスチレン類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、エタクリロニトリル、2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、α−クロロ(メタ)アクリルアミド、エタクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルピロリドン、2−ニトロエチル(メタ)アクリレート、3−ニトロプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸およびそれに対応するメタクリル酸を意味する。
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、上記構成単位(a)と、下記一般式(11)で表される構成単位からなる群より選択される少なくとも1種のナフタレン環を有する置換基を含有する置換エチレン構成単位である構成単位(c)とを含有する共重合ポリオレフィン化合物を水素と反応させることによって得ることもできる。

(式中、R〜Rは、それぞれ独立して水素原子または第2の一価の置換基を示し、RおよびRは、それぞれ独立して第3の一価の置換基を示し、第2の一価の置換基および第3の一価の置換基は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エステル基、アミド基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基およびイミド基からなる群より選択される少なくとも1種であり、これらはさらに置換基を有していてもよく、RまたはRが複数存在する場合、複数のRまたはRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。mは0〜3、nは0〜4の整数をそれぞれ示し、Xは−(C=O)O−、−(C=O)NH−、−O(C=O)−、−NH(C=O)−および−(CHR)s−からなる群より選択される二価の基を示し、sは0〜12の整数を示す。Yは−(CHR)t−であって、tは0〜12の整数を示す。Rは−H、−CH、および−Cからなる群より選択される一価の化学種を示す。)
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物のさらに別の製造方法としては、側鎖に反応性官能基を有するポリオレフィン(III)と、テトラリン環を有する化合物(IV)とを反応させる方法が挙げられる。
上記側鎖に反応性官能基を有するポリオレフィン(III)としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸重合体;ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどの不飽和カルボン酸エステル重合体;ポリビニルアルコール、ポリビニル酢酸などのポリ酢酸ビニル誘導体;エチレン−不飽和カルボン酸共重合体;エチレン−不飽和カルボン酸エステル共重合体;エチレン−ビニルアルコール共重合体;無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記テトラリン環を有する化合物(IV)としては、上記側鎖に反応性官能基を有するポリオレフィン(III)と結合しやすい官能基を有する化合物が好ましく、テトラリン環を有する、アルコール化合物、アミン化合物、カルボン酸化合物、酸無水物化合物、エポキシド化合物を例示することができる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、上記側鎖に反応性官能基を有するポリオレフィン(III)として側鎖にエステル基を有するポリオレフィンを有機溶媒に溶解して得た溶液に、上記テトラリン環を有する化合物(IV)としてテトラリン環を有するアルコール化合物、およびエステル交換触媒を添加し、エステル交換反応により製造する方法が好ましい。
エステル交換反応は公知の方法で行うことができる。反応温度および反応時間はエステル交換反応が可能な範囲であれば特に限定されないが、反応温度は50〜300℃、反応時間は10分から24時間が好ましい。エステル交換反応に用いられる有機溶媒は、重合体を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく使用することができる。このような有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン等が挙げられる。
エステル交換反応の別の方法としては、例えば、上記側鎖に反応性官能基を有するポリオレフィン(III)として側鎖にエステル基を有するポリオレフィンと、上記テトラリン環を有する化合物(IV)としてテトラリン環を有するアルコール化合物と、エステル交換触媒とを、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ニーダーなどで溶融混練する方法が挙げられる。
エステル交換反応に用いられるエステル交換触媒としては、公知の物質を用いることが可能であり、例えば、ナトリウム−tert−ブトキシド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化ナトリウム、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、酸化チタン、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化ハフニウム、塩化錫、およびチタン、ジルコニウム、錫のメタロセン錯体触媒などが挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種を組み合わせて用いることができる。
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物に含まれる、上記構成単位(b)の含有割合に対する上記構成単位(a)の含有割合((a)/(b))はモル比で1/99〜99/1とすることが好ましく、1/19〜19/1とすることがより好ましく、1/9〜9/1とすることが特に好ましい。
本実施形態のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物のメルトマスフローレート(JIS K7210に準拠して190℃、荷重2.16kgの条件で測定される。)は特に限定されないが、成形性の面から、0.1〜500g/10分が好ましく、0.2〜100g/10分がより好ましい。
構成単位(a)の好ましい具体例としては、上記式(4)または(5)で表される構成単位が挙げられるが、これらに限定されない。
構成単位(b)の好ましい具体例としては、上記式(6)または(7)で表される構成単位、下記式(12)または(13)で表される構成単位が挙げられるが、これらに限定されない。
上記のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物の分子量は、所望する性能や取扱性などを考慮して適宜設定することができ、特に限定されない。一般的には、重量平均分子量(Mw)が1.0×10〜8.0×10であることが好ましく、より好ましくは5.0×10〜5.0×10である。また同様に、数平均分子量(Mn)が1.0×10〜1.0×10であることが好ましく、より好ましくは5.0×10〜1.0×10である。なお、ここでいう分子量は、いずれもポリスチレン換算の値を意味する。なお、上記のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述したテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物は、いずれも、テトラリン環のベンジル位に水素を有するものであり、後に詳述する遷移金属触媒と併用することでベンジル位の水素が引き抜かれ、これにより優れた酸素吸収能を発現する。
また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後の臭気発生が著しく抑制されたものである。その理由は明らかではないが、例えば以下の酸化反応機構が推測される。すなわち、上記のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物においては、まずテトラリン環のベンジル位にある水素が引き抜かれてラジカルが生成し、その後、ラジカルと酸素との反応によりベンジル位の炭素が酸化され、ヒドロキシ基またはケトン基が生成すると考えられる。そのため、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物においては、上記従来技術のような酸化反応による酸素吸収主剤の分子鎖の切断がなく、テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物の構造が維持され、臭気の原因となる低分子量の有機化合物が酸素吸収後に生成され難いためと推測される。
<遷移金属触媒>
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物において用いられる遷移金属触媒としては、上記のテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物の酸化反応の触媒として機能し得るものであれば、公知のものから適宜選択して用いることができ、特に限定されない。
かかる遷移金属触媒の具体例としては、遷移金属の有機酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、水酸化物等が挙げられる。ここで、遷移金属触媒に含まれる遷移金属としては、例えば、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ルテニウム、ロジウム等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅が好ましい。また、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、オクタノイック酸、ラウリン酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。遷移金属触媒は、上述した遷移金属と有機酸とを組み合わせたものが好ましく、遷移金属がマンガン、鉄、コバルト、ニッケルまたは銅であるとより好ましく、マンガン、鉄、コバルトであるとさらに好ましく、有機酸が酢酸、ステアリン酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸またはナフテン酸であるとより好ましく、酢酸またはステアリン酸であるとさらに好ましく、それらの遷移金属のいずれかと有機酸のいずれかとの組み合わせが特に好ましい。なお、遷移金属触媒は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物におけるテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物および遷移金属触媒の含有割合は、使用するテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物や遷移金属触媒の種類および所望の性能に応じて適宜設定することができ、特に限定されない。酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収量の点から、遷移金属触媒の含有量は、テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.001〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.002〜2質量部、さらに好ましくは0.005〜1質量部、なおもさらに好ましくは0.008〜0.5質量部、特に好ましくは0.01〜0.2質量部である。
<他の熱可塑性樹脂>
また、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、必要に応じて、上記テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物以外の、他の熱可塑性樹脂をさらに含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂を併用することで、成形性や取扱性を高めることができる。
他の熱可塑性樹脂としては、公知のものを適宜用いることができる。低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒によるポリエチレン等の各種ポリエチレン、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体等のポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダムまたはブロック共重合体等のポリオレフィン;無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等;環状オレフィンを使用したシクロオレフィンポリマーおよびシクロオレフィンコポリマー等の環状ポリオレフィン或いはこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの熱可塑性樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物および遷移金属触媒並びに必要に応じて含有される他の熱可塑性樹脂は、公知の方法で混合することができる。また、押出機を用いてこれらを混練することにより、より高い分散性を有する酸素吸収性樹脂組成物を得ることもできる。
<各種添加剤>
ここで、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、上述した各成分以外に、本実施形態の効果を過度に損なわない範囲で、当業界で公知の各種添加剤を含有していてもよい。かかる任意の添加剤としては、例えば、乾燥剤、酸化チタン等の顔料、染料、酸化防止剤、スリップ剤、帯電防止剤、安定剤等の添加剤、炭酸カルシウム、クレー、マイカ、シリカ等の充填剤、消臭剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
さらに、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収反応を促進させるために、必要に応じて、さらにラジカル発生剤や光開始剤を含有していてもよい。ラジカル発生剤の具体例としては、各種のN−ヒドロキシイミド化合物が挙げられる。具体的には、N−ヒドロキシコハクイミド、N−ヒドロキシマレイミド、N,N’−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタルイミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタルイミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、3−スルホニル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−メトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−メチル−N−ヒドロキシフタルイミド、3−ヒドロキシ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−ニトロ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−メトキシ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−ジメチルアミノ−N−ヒドロキシフタルイミド、4−カルボキシ−N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、4−メチル−N−ヒドロキシヘキサヒドロフタルイミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド等が挙げられるが、これらに特に限定されない。また、光開始剤の具体例としては、ベンゾフェノンとその誘導体、チアジン染料、金属ポルフィリン誘導体、アントラキノン誘導体等が挙げられるが、これらに特に限定されない。なお、これらのラジカル発生剤および光開始剤は、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本実施形態の酸素吸収性多層体において、酸素吸収層(層A)の厚みは、用途や所望する性能に応じて適宜設定でき、特に限定されないが、5〜50μmが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、酸素吸収層が酸素を吸収する性能をより高めることができるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。
[ガスバリア層(層D)]
本実施形態の酸素吸収性多層体のガスバリア層(層D)は、ガスバリア性物質を含有するものである。層Dの酸素透過率は、20μmの厚さのフィルムについて、23℃、相対湿度60%の条件下で測定したときに、100mL/(m・day・atm)以下であることが好ましく、より好ましくは80mL/(m・day・atm)以下、さらに好ましくは50mL/(m・day・atm)以下である。
本実施形態の酸素吸収性多層体の層Dに用いるガスバリア性物質としては、ガスバリア性熱可塑性樹脂や、ガスバリア性熱硬化性樹脂、シリカ、アルミナ、アルミニウム等の各種蒸着フィルム、アルミニウム箔等の金属箔等を用いることができる。ガスバリア性熱可塑性樹脂としては、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、MXD6、ポリ塩化ビニリデン等が例示できる。また、ガスバリア性熱硬化性樹脂としては、ガスバリア性エポキシ樹脂、例えば、三菱ガス化学株式会社製「マクシーブ」等が例示できる。
ガスバリア性物質として熱可塑性樹脂を用いる場合、ガスバリア層(層D)の厚みは、5〜200μmが好ましく、より好ましくは10〜100μmである。また、ガスバリア性物質として或いはガスバリア性接着剤層としてアミン−エポキシ硬化剤のような熱硬化性樹脂を使用する場合は、層Dの厚みは、0.1〜100μmが好ましく、より好ましくは0.5〜20μmである。厚みが上記好ましい範囲内にあると、そうでない場合に比べて、ガスバリア性がより高められる傾向にあるとともに、加工性や経済性を高次元で維持することができる。
[紙基材層(層E)]
本実施形態において、紙基材層(層E)は、容器を構成する基本素材となることから、賦型性、耐屈曲性、剛性、腰、強度等に優れることが好ましい。層Eを構成する紙基材としては、例えば、強サイズ性の晒または未晒の紙基材、純白ロール紙、クラフト紙、板紙、加工紙、その他の各種の紙基材を使用することができる。上記の層Eの坪量は、適宜設定することができ、特に限定されないが、約80〜600g/mの範囲であることが好ましく、より好ましくは100〜450g/mの範囲である。なお、本実施形態において、紙基材層には、例えば、文字、図形、絵柄、記号、その他等の所望の印刷絵柄が通常の印刷方式にて任意に形成されていてもよい。
[任意の層]
なお、本実施形態の酸素吸収性多層体は、層Fと層Aとの間に、層Aと層Dとの間に、層Dと層Eとの間に、または、層Fの外層或いは層Eの外層に、樹脂層、金属箔層或いは接着剤層等の少なくとも1以上の他の層を有していてもよい。例えば、層Dの破損やピンホールを防ぐために、層Dの内側や外側に熱可塑性樹脂からなる保護層を設けることができる。この保護層に用いる樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン等のポリエチレン類、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等のポリプロピレン類、ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド類、さらに、PET等のポリエステル類およびこれらの組み合わせが挙げられる。
また、紙基材(層E)の外層に、必要に応じて、熱可塑性樹脂外層を設けてもよい。このように熱可塑性樹脂外層を設ける場合、上述した隔離層(層F)と同一の熱可塑性樹脂を使用することで層Fと熱可塑性樹脂外層とを熱融着させて、密封することもできる。
また、加工性を考慮して、層Aと層Dとの層間に、ポリオレフィン樹脂からなる中間層を介在させることもできる。この中間層の厚みは、加工性の観点から、層Fの厚みと略同一であることが好ましい。なお、ここでは、加工によるバラツキを考慮して、厚み比が±10%以内を略同一とする。
本実施形態の酸素吸収性多層体は、各種材料の性状、加工目的、加工工程等に応じて、共押出法、各種ラミネート法、各種コーティング法などの公知の方法を利用して製造することができ、その製造方法は特に限定されない。通常の包装材料を積層する方法、例えば、ウェットラミネーション法、ドライラミネーション法、無溶剤型ドライラミネーション法、押出ラミネーション法、Tダイ共押出成形法、共押出ラミネーション法、インフレーション法等を適用することができる。例えば、フィルムやシートの成形については、Tダイ、サーキュラーダイ等が付属した押出機から溶融した樹脂組成物を押し出して製造する方法や、別途製膜した酸素吸収性フィルムもしくはシートに接着剤を塗布し、他のフィルムやシートと貼り合わせることで製造する方法がある。さらに必要に応じて、例えば、コロナ処理、オゾン処理等の前処理をフィルム等に施すことができ、また、例えば、イソシアネート系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系等のアンカーコーティング剤、或いはポリウレタン系、ポリアクリル系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリ酢酸ビニル系、セルロース系、その他等の、ラミネート用接着剤等の公知のアンカーコート剤、接着剤等を使用することもできる。
[酸素吸収性紙容器]
本実施形態の酸素吸収性紙容器は、上述した酸素吸収性多層体をその構成材の一部または全部とするものである。なお、酸素吸収性多層体を全部とする紙容器とは、酸素吸収性多層体のみによって構成された紙容器を意味する。また、酸素吸収性多層体をその構成材の一部とする紙容器とは、紙容器の一部が酸素吸収性多層体によって構成され、残りが他の素材より構成された紙容器を意味する。後者の例としては、容器内に収納した物品(被保存物)を外部から確認できるように、透明な素材(例えば、上記酸素吸収性多層体層から紙基材を除いた様態)を一部に用いて構成した紙容器が挙げられる。
本実施形態の酸素吸収性紙容器の使用態様およびその形状は特に限定されず、収納、保存する物品に応じて適宜設定することができる。本実施形態の酸素吸収性紙容器の形状は、例えば、ゲーベルトップ型、ブリック型、フラットトップ型等、種々の形状が挙げられる。
本実施形態の酸素吸収性紙容器を使用するにあたり、エネルギー線を照射して、酸素吸収反応の開始を促進したり、酸素吸収速度を高めたりすることができる。エネルギー線としては、例えば、可視光線、紫外線、X線、電子線、γ線等を利用可能である。照射エネルギー量は、用いるエネルギー線の種類に応じて、適宜選択することができる。
本実施形態の酸素吸収性紙容器は、酸素吸収に水分を必須としない、換言すれば被保存物の水分の有無によらず酸素吸収することができるため、被保存物の種類を問わず幅広い用途で使用することができる。とりわけ、酸素吸収後の臭気の発生がないので、例えば、食品、調理食品、飲料、健康食品、医薬品等において特に好適に用いることができる。すなわち、本実施形態の酸素吸収性紙容器は、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下(相対湿度0%〜100%)での酸素吸収性能に優れ、かつ内容物の風味保持性に優れるため、種々の物品の包装に適している。しかも、本実施形態の酸素吸収性樹脂組成物は、従来の鉄粉を使用した酸素吸収性樹脂組成物とは異なり、鉄の存在のため保存できない被保存物(例えばアルコール飲料や炭酸飲料等)に好適に用いることができる。
被保存物の具体例としては、牛乳、ジュース、コーヒー、茶類、アルコール飲料等の飲料;ソース、醤油、めんつゆ、ドレッシング等の液体調味料、さらには、接着剤、粘着剤、農薬、殺虫剤等の化学品;医薬品;化粧品、シャンプー、リンス、洗剤等の雑貨品;その他の種々の物品を挙げることができるが、これらに特に限定されない。本実施形態の酸素吸収性紙容器は、とりわけ、酸素存在下で劣化を起こしやすい被存物、例えば、飲料ではビール、ワイン、日本酒、焼酎、果汁飲料、フルーツジュース、野菜ジュース、炭酸ソフトドリンク、コーヒー、茶類等、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類等の包装に好適である。
なお、これらの被保存物の充填(包装)前後に、被保存物に適した形で、容器や被保存物の殺菌処理を施すことができる。殺菌方法としては、例えば、100℃以下での熱水処理、100℃以上の加圧熱水処理、130℃以上の超高温加熱処理等の加熱殺菌、紫外線、マイクロ波、ガンマ線等の電磁波殺菌、エチレンオキサイド等のガス処理、過酸化水素や次亜塩素酸等の薬剤殺菌等が挙げられる。
以下に実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
[共重合ポリオレフィン化合物製造例]
(製造例1)
内容積1000mLの4つ口セパラブルフラスコに、メタクリル酸メチル含有量が25質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(製品名;住友化学株式会社製「アクリフトWK402」)100g、6−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン81g、デカリン160g、エステル交換触媒としてテトラブチルチタネート0.2gを仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で反応液温を210℃まで昇温し、メタノールを留去しながら、3時間反応を行った。メタノールが留出しなくなった後、減圧を徐々に行い、未反応の6−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、およびデカリンを留去した。その後、常圧に戻し、冷却して固形状の反応粗生成物を得た。次いで、得られた反応粗生成物に、その濃度が3〜4質量%になるようトルエンを加え、80℃に加熱し溶解させた後、この溶液を40℃程度まで冷却しメタノールを加え、再沈殿したテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)を濾過により回収した。
得られたテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)の重量平均分子量と数平均分子量をGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した結果、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.5×10、数平均分子量は3.1×10であった。融点をDSCにより測定を行った結果、融点は71℃であった。
(製造例2)
製造例1の6−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンに代えて1,5−ジメチル−8−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを用い、その質量を95.0gとした以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(2)を合成した。このテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(2)の、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.1×10、数平均分子量は3.0×10、融点は71℃であった。
(製造例3)
製造例1のメタクリル酸メチル含有量が25質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体に代えてメタクリル酸メチル含有量が5質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(製品名;住友化学株式会社製「アクリフトWD203−1」)を用い、6−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの量を81gから16.2gに変更した以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(3)を合成した。このテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(3)の、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.6×10、数平均分子量は3.0×10、融点は98℃であった。
(製造例4)
製造例1のメタクリル酸メチル含有量が25質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体に代えてメタクリル酸メチル含有量が10質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体(製品名;住友化学株式会社製「アクリフトWD201−F」)を用い、6−ヒドロキシルメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンの量を81gから32.4gに変更した以外は、製造例1と同様にしてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(4)を合成した。このテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(4)の、ポリスチレン換算の重量平均分子量は9.3×10、数平均分子量は3.1×10、融点は92℃であった。
(実施例1)
共重合ポリオレフィン化合物(1)100質量部に対し、ステアリン酸コバルト(II)をコバルト量が0.05質量部となるようドライブレンドして得られた混合物を、直径37mmのスクリューを2本有する2軸押出機に15kg/hの速度で供給し、シリンダー温度240℃の条件にて溶融混練を行い、押出機ヘッドからストランドを押し出し、冷却後、ペレタイジングすることで、酸素吸収性樹脂組成物(1)を得た。
次に、2台の押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロールおよび巻き取り機からなる共押出装置を用い、第1の押出機から低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製、商品名:ノバテックLD LC602A、以下LDPEと略する)、第2の押出機から前記酸素吸収性樹脂組成物(1)を押し出し、LDPE層/酸素吸収層/LDPE層の順となるようにフィードブロックを介して、2種3層フィルムを、幅800mmの酸素吸収性多層フィルムを作製し、その後、60m/分で片面をコロナ処理した。
次に、得られた酸素吸収性多層フィルムのコロナ処理面側に、LDPEによる押し出しラミネートにて多層紙基材を積層することで、晒クラフト紙(坪量330g/m)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(製品名;東洋モートン株式会社製「TM−250HV/CAT−RT86L−60」、3μm)/アルミナ蒸着PETフィルム(製品名;凸版印刷株式会社製「GL-AE」、12μm)/ウレタン系アンカーコート剤(製品名;東洋モートン株式会社製「EL−557A/B」、0.5μm)/LDPE(15μm)/LDPE(20μm)/酸素吸収層(30μm)/LDPE(20μm)の酸素吸収性紙基材多層体(酸素吸収性多層体)を得た。そして、この多層体を製函することで、底部7cm角、1000mL用ゲーベルトップ型の酸素吸収性紙容器を得た。このとき、紙容器の成形性および加工性は良好であり、容易に製函することができた。
この酸素吸収性紙容器内に、ヘッドスペースの空気量が20ccとなるよう日本酒を1000mL充填した後、ゲーベルトップ型紙容器の上部の内面(LDPE)同士を熱融着して密封した。このようにして得られた密封紙容器を35℃で1ヶ月保管した。そして、1ヶ月保管後の紙容器内の酸素濃度(ヘッドスペース酸素濃度)の測定と日本酒の風味の確認を行なった。また、1ヶ月保管後のゲーベルトップ型紙容器上部の熱融着強度を測定した。これらの結果を表1に示す。
(実施例2)
コバルト量を0.01質量部とした以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例3)
コバルト量を0.1質量部とした以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例4)
ステアリン酸コバルト(II)に代えて酢酸コバルト(II)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例5)
ステアリン酸コバルト(II)に代えてステアリン酸マンガン(II)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例6)
ステアリン酸コバルト(II)に代えてステアリン酸鉄(II)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例7)
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)に代えてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(2)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例8)
ステアリン酸コバルト(II)に代えてステアリン酸マンガン(II)を用いること以外は、実施例7と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例9)
ステアリン酸コバルト(II)に代えてステアリン酸鉄(II)を用いること以外は、実施例7と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例10)
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)に代えてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(3)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(実施例11)
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)に代えてテトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(4)を用いること以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物、酸素吸収性多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(比較例1)
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)に代えて製造例1で使用したメタクリル酸メチル含有量が25質量%のエチレン−メタクリル酸メチル共重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様に行って、多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(比較例2)
ステアリン酸コバルト(II)を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様に行って、多層フィルムおよび紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(比較例3)
テトラリン環含有共重合ポリオレフィン化合物(1)に代えてN−MXD6(三菱ガス化学株式会社製、商品名:MXナイロン S6011)とした以外は、実施例1と同様に行って、酸素吸収性樹脂組成物を作製した。次いで、第1〜3押出機、フィードブロック、Tダイ、冷却ロール、コロナ放電処理装置、巻き取り機等を備えた多層フィルム製造装置を用い、各押出機から、第1押出機;LDPE、第2押出機;前記N−MXD6系酸素吸収性樹脂組成物、および第3押出機;ポリエチレン系接着性樹脂(製品名;三菱化学株式会社製「モディック M545」、以下、ADと略する)をそれぞれ押し出し、フィードブロックを介して酸素吸収性多層フィルムを得た。該多層フィルムの構成は、内層より、LDPE層(20μm)/接着層(10μm)/酸素吸収層(30μm)/接着層(10μm)/LDPE層(20μm)であった。次いで、実施例1と同様に行って、紙容器を作製した。その後、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
(比較例4)
平均粒径30μmの鉄粉と塩化カルシウムを質量比100:1の割合で混合し、この混合物とLDPEとを30:70の質量比で混練して、鉄系酸素吸収性樹脂組成物を得た。酸素吸収性樹脂組成物(1)に代えて鉄系酸素吸収性樹脂組成物を用いること以外は、実施例1と同様に行なって、2種3層フィルムを作製しようとしたが、フィルム表面に鉄粉の凹凸が発生し、以降の検討に耐え得る表面平滑なフィルムが得られなかった。
(比較例5)
厚さ50μmのLDPEに、酸素吸収層として比較例4で得た鉄系酸素吸収性樹脂組成物を厚さ30μmで押出ラミネートし、酸素吸収層(30μm)/LDPE(50μm)のラミネートフィルムを作製し、その後、酸素吸収層面をコロナ放電処理した。
2種3層構造の酸素吸収性多層フィルムに代えてこのラミネートフィルムを用いること以外は、実施例1と同様にLDPEによる押し出しラミネートを行なって多層紙基材と積層し、晒クラフト紙(坪量330g/m)/ウレタン系ドライラミネート用接着剤(3μm)/アルミナ蒸着PETフィルム(12μm)/ウレタン系アンカーコート剤(0.5μm)/LDPE(15μm)/酸素吸収層(30μm)/LDPE(50μm)の酸素吸収性紙基材多層体を作製した。その後、この多層体を用いてゲーベルトップ型紙容器を製函しようとしたが、紙容器の角を作製することが困難であった。そのため、容器作製速度を落として紙容器の作製を試みたところ、多くの不良品を排除することでようやく紙容器を得ることができた。得られた紙容器を用いて、実施例1と同様に、ヘッドスペース酸素濃度の測定、日本酒の風味の確認、および紙容器上部の熱融着強度の測定を行なった。これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜11の紙容器は、良好な酸素吸収性能を示し、保存後も内容物の風味および容器強度が保持されていることが確認された。
本発明によれば、低湿度から高湿度までの広範な湿度条件下で優れた酸素吸収性能を有する酸素吸収性紙容器を実現することができるので、酸素の吸収が要求される技術分野一般において、広く且つ有効に利用可能である。また、この酸素吸収性紙容器は、被保存物の水分の有無によらず酸素を吸収することができ、しかも酸素吸収後の臭気発生がないので、例えば、食品、調理食品、飲料、医薬品、健康食品等、殊に有効に利用可能である。しかも、金属探知機に感応しない酸素吸収性紙容器を実現することもできるので、金属や金属片等を金属探知機で外部から検査する包装や容器等において、広く且つ有効に利用することができる。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂を含有する隔離層、共重合ポリオレフィン化合物および遷移金属触媒を含有する酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層、ガスバリア性物質を含有するガスバリア層、並びに紙基材層をこの順に積層した、少なくとも4層からなる酸素吸収性多層体を製函してなる酸素吸収性紙容器であって、
    前記共重合ポリオレフィン化合物が、下記式(4)および(5)で表される構成単位;
    からなる群より選択される少なくとも1種の構成単位(a)と、
    下記式(6)および(7)で表される構成単位;
    からなる群より選択される少なくとも1種のテトラリン環を有する構成単位(b)と、を含有する共重合ポリオレフィン化合物であり、
    前記遷移金属触媒が、マンガン、鉄又はコバルトからなる遷移金属のステアリン酸又は酢酸からなる有機酸塩であり、
    前記遷移金属触媒が、前記共重合ポリオレフィン化合物100質量部に対し、遷移金属量として0.01〜0.1質量部含まれる
    酸素吸収性紙容器。
  2. 前記共重合ポリオレフィン化合物に含まれる、前記構成単位(b)の含有割合に対する前記構成単位(a)の含有割合が、モル比で1/99〜99/1である、請求項1に記載の酸素吸収性紙容器。
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