JP6063322B2 - 配管の支持装置および配管の支持方法 - Google Patents
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本発明の他の目的は、力の方向を変化させないことにより、配管に負担を与えない配管の支持装置および配管の支持方法を提供することである。
一局面に従う配管の支持装置は、建築物のエキスパンション部における配管の支持装置であって、湾曲部を有する配管と、少なくともコ字形状と支持部とを有する支持架台と、支持架台を水平方向に摺動可能に保持する摺動部材と、を含み、コ字形状の支持架台は、配管の中央部を支持部により支持するものである。
特に、支持架台自身の接続部にスライド機構を採用することは、有効と考えられる。しかしながら、特許文献1(特開平11−44382号公報)の記載では、構造的に支持架台が歪み易いため、変位幅に対して支持スパンを大きく取らないと歪みが発生し変形することで原点復帰しないおそれが高い。本発明では、移動に起因する支持架台の歪みが、構造的に起こり難いため変位応力が働いた後の原点復帰が容易である。また設計上、より小さい余裕代で支持架台を設置することが可能である。
第2の発明にかかる配管の支持装置は、一局面に従う配管の支持装置において、支持部は、コ字形状の鉛直上方に配管の中央部を載置させてもよい。
第3の発明にかかる配管の支持装置は、一局面に従う配管の支持装置において、支持部は、剛体の棒部材を含み、棒部材の一端が、コ字形状の中央部に接続され、棒部材の他端が配管の中央部に接続されてもよい。
第4の発明にかかる配管の支持装置は、一局面から第3のいずれかの発明にかかる配管の支持装置において、支持部は、複数点で中央部を支持してもよい。
第5の発明にかかる配管の支持装置は、一局面から第4の発明のいずれかにかかる配管の支持装置において、支持架台の端部の延在方向に沿って、支持架台を摺動可能に保持する摺動部材をさらに含み、摺動部材は、建築物に固設されてもよい。
ここで、摺動部材は、ガイドシュー、ガイドパイプ、ローラ支持部材のいずれかまたは複数からなってもよい。
第6の発明にかかる配管の支持装置は、一局面から第5の発明のいずれかにかかる配管の支持装置において、支持架台は、コ字形状を含むH字形状からなってもよい。
他の局面に従う配管の支持方法は、建築物のエキスパンション部における配管の支持方法であって、支持架台を水平面内で摺動可能に保持する摺動工程と、少なくともコ字形状を有する支持架台により湾曲部を有する配管の中央部を支持する支持工程と、を含むものである。
特に、支持架台自身の接続部にスライド機構を取り入れた場合(特許文献1、特開平11−44382号公報記載参照)、外力の方向を変化させる必要があるので、原点復帰しないおそれがある。
本発明においては、外力の方向を変化させずに、当該方向に従って移動するため、原点復帰が容易となる。
図1は、第1の実施の形態にかかる配管200の支持装置100の一例を示す模式的斜視図である。なお、以下の説明においては、図1に示すxy軸に基づいて説明を行なう。
図1に示すように、配管200の支持装置100は、H字形状からなる支持部110、支持部110に取り付けられる保持部120、および保持部120から鉛直下方に固定された支持部材130を含む。
図1の支持部110は、H字形状からなる。支持部110は、支持棒111および支持棒112がy方向に延在し、かつ互いに平行に配設される。さらに支持棒111,112の間でx方向に支持棒113が固設される。すなわち、支持棒111の中央部に支持棒113の一端が垂直に接続され、支持棒112の中央部に支持棒113の他端が垂直に接続される。
支持部110は、例えば、腐食防止のために、外面防食鋼管(消防用の外防VS管、または、外面被覆付硬質塩化ビニルライニング鋼管)を用いる。また、支持棒111および支持棒113、支持棒112および支持棒113は、それぞれ溶接または転造ねじにより固定される。
また、上記の金属を用いる場合には、表面に防食用の樹脂塗膜または樹脂被膜を設けてもよい。
図1に示すように、保持部120は、xy方向の十字形状からなり、x方向の両端部にローラ121を有する。図1の保持部120は、支持部110の上に載置される。保持部120は、ローラ121により支持棒113上をx方向に移動することができる。
また、保持部120のy方向の両端部には、支持部材130が固設される。
本実施の形態において、支持部材130は、剛性を有する円柱状の棒部材からなる。
支持部材130の一端側が保持部120に固定される。また、支持部材130の他端側が配管200に固定される。支持部材130の他端側と配管200とは、吊りバンドにより締結される。
また、上記の金属を用いる場合には、表面に防食用の樹脂塗膜または樹脂被膜を設けてもよい。
図1に示すように、H字形状からなる支持部110には、スライド装置140が設けられる。スライド装置140は、一対のスライド装置141および一対のスライド装置142を含む。スライド装置140は、建築物、より具体的には建築物の基礎部に固設される。また、スライド装置140は、具体的には、ローラ金物からなるガイドシューである。
なお、以下の各実施の形態においては、スライド装置140がローラ金物からなるガイドシューである場合について説明を行なうが、これに限定されず、スライディングタイプのガイドシューなど摺動可能な他の任意の部材であってもよい。
本実施の形態にかかる配管200は、高性能ポリエチレン管からなる給水配管である。高性能ポリエチレン管は、例えば、高耐震性、クリープ性能および強度が飛躍的に高い『PE100グレード』のポリエチレン材からなる。具体的には、ポリエチレン管(エスロハイパー[登録商標]AW)が挙げられる。その他、配管200としては、合成ゴム管、ステンレスフレキ管、ブレードホース管、ステンレスメッシュ管が挙げられる。
配管200の第1配管部210はx方向に延在して設けられ、第1配管部210の端部に湾曲部215が設けられ、湾曲部215がy方向に延在した第2配管部220の一端に接続される。第2配管部220の他端に湾曲部225が設けられ、x方向に延在した第3配管部230に接続される。
図1に示すように、本実施の形態においては、配管200の重心位置Gを中心としてy方向の等距離の位置にある位置A1,A2それぞれに吊りバンドが設けられ、当該吊りバンドに支持部材130が設けられる。
次に、図2および図3は、建築物に対して外力が作用した場合における配管200の支持装置100の動作を説明するための模式的斜視図である。図2はx方向に外力が働いた場合を示し、図3はy方向に外力が働いた場合を示す。
すなわち、配管200にx方向にかかる力を、支持装置100のx方向への動きのみで吸収させるので、容易に原点復帰を行なうことができる。
すなわち、配管200にy方向にかかる力を、支持装置100のy方向への動きのみで吸収させるので、容易に原点復帰を行なうことができる。
また、配管200の支持装置100の動作時の周囲空間の余裕度について説明を行なう。外力が加わった場合に、配管200の想定される水平方向の移動半径をR(以下、移動半径Rと略記する。)とする。
具体的には、移動半径Rは、5cm以上15cm以下の範囲を想定している。建築物の層間変位は、1/100乃至1/200である。すなわち、100mmに対して1mmの変位勾配から200mmに対して1mmの変位勾配までの範囲内の程度である。この場合、鉛直上下方向(z方向)の変位は1mm未満であるため、鉛直上下方向の変位は無視できる。したがって、この場合、配管200の支持装置100は、水平方向の移動半径Rの移動を吸収する必要がある。
また、支持棒112および支持棒113の接続部と、保持部120との間の距離は、1.1R以上であることが望ましく、支持棒112および支持棒113の接続部と一対のスライド装置142の一方との間の距離は、1.1Rであることが望ましい。
すなわち、移動半径Rに対して10パーセント以上の余裕度を設けることが望ましい。
次に、図4は、第1の実施の形態の他の例であり、第2の実施の形態にかかる配管200の支持装置100aの一例を示す模式的斜視図である。なお、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態における配管200の支持装置100と異なる点についてのみ説明を行なう。
また、保持部120aの中央には、支持部材130aが固設される。
支持部材130aの一端側が保持部120aに固定される。また、支持部材130aの他端側が配管200の重心位置Gに固定される。支持部材130aの他端側と配管200とは、吊りバンドにより締結される。
次に、図5は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、第3の実施の形態にかかる配管200の支持装置100bの一例を示す模式的斜視図である。なお、第3の実施の形態においては、第1の実施の形態における配管200の支持装置100と異なる点についてのみ説明を行なう。
また、本実施の形態においては、支持部材130が設けられない。なお、本実施の形態においては、支持部材130を設けないこととしているが、これに限定されず、支持装置100bと配管200との間に距離がある場合には、支持部材130b(図示せず)を保持部120bから鉛直上方向に配管200を支持するように設けてもよい。
なお、支持部材130を設けないことから、保持部120bは、配管200の材質よりも硬度が同等以下の材質を用いることが望ましい。
次に、図6は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、第4の実施の形態にかかる配管200の支持装置100cの一例を示す模式的斜視図である。なお、第4の実施の形態においては、第1の実施の形態における配管200の支持装置100と異なる点についてのみ説明を行なう。
次いで、図7は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、第5の実施の形態にかかる配管200の支持装置100dの一例を示す模式的斜視図である。なお、第5の実施の形態においては、第1の実施の形態における配管200の支持装置100と異なる点についてのみ説明を行なう。
支持装置100dは、支持棒113に保持部120dが設けられる。保持部120dは、y方向に延在し、両端部にローラ121dが設けられる。保持部120dは、ローラ121dにより支持棒113上をy方向に移動することができる。
また、保持部120dのy方向の両端部には、支持部材130が固設される。
次いで、図8は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、第6の実施の形態にかかる配管200の支持装置100eの一例を示す模式的斜視図である。なお、第6の実施の形態においては、第1の形態における配管200の支持装置100と異なる点についてのみ説明を行なう。
すなわち、支持棒111の中央部の一端に支持棒113が垂直に接続され、支持棒112の中央部の他端に支持棒114が垂直に接続される。
支持棒113および支持棒114は、平行に配設される。
図9は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、配管200の支持装置100fの一例を示す図である。図10は、第1の実施の形態のさらなる他の例であり、配管200の支持装置100gの一例を示す図である。
したがって、配管200に対して地震などの外力が加わった場合でも、支持部110,110a,〜,110gにより配管200を支持しつつ、支持部110,110a,〜,110gが、保持部120,120a,〜,120eおよびスライド装置140の少なくともいずれかで摺動移動する。その結果、配管200に負担を与えない配管200の支持装置100,100a,〜,100gを実現できる。
また、外力の方向を変化させずに、当該外力の方向に従って移動するため、ねじれまたはスライド不良が生じ難く、原点復帰が容易となる。すなわち、x方向からの力をy方向で吸収させるためには、外力の方向を変化させる必要があるが、本発明の支持装置100,100a,〜,100gでは、x方向の外力をx方向で吸収させ、y方向の力をy方向で吸収させるため、原点復帰が容易となる。
さらにスライド装置140は、摺動可能であれば、U字ボルトを用いてもよい。
110,110a,〜,110g 支持部
120,120a,〜,120e 保持部
130,130a,130c,130e 支持部材
140 スライド装置
200 配管
215,225 湾曲部
A1,A2 位置
G 重心位置
Claims (7)
- 建築物のエキスパンション部における配管の支持装置であって、
湾曲部を有する配管と、
少なくともコ字形状部と支持部とを有する支持架台と、
建築物に固設され、前記少なくともコ字形状部を含む前記支持架台全体を水平方向に摺動可能に保持する摺動部材と、を含み、
前記コ字形状部の支持架台は、前記配管の直線中央部を前記支持部により支持する、配管の支持装置。 - 前記支持部は、前記コ字形状部の鉛直上方に前記配管の直線中央部を載置する、請求項1記載の配管の支持装置。
- 前記支持部は、剛体の棒部材を含み、前記棒部材の一端が、前記コ字形状部の中央部に接続され、前記棒部材の他端が前記配管の前記直線中央部に接続された、請求項1記載の配管の支持装置。
- 前記支持部は、複数点で前記直線中央部を支持する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の配管の支持装置。
- 前記支持架台の端部の延在方向に沿って、前記支持架台を摺動可能に保持する摺動部材をさらに含み、
前記摺動部材は、前記建築物に固設された、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の配管の支持装置。 - 前記支持架台は、前記コ字形状部を含むH字形状からなる、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の配管の支持装置。
- 建築物のエキスパンション部における配管の支持方法であって、
少なくともコ字形状部を含む支持架台全体を水平面内で摺動可能に保持する摺動工程と、
前記少なくともコ字形状部を含む支持架台により湾曲部を有する配管の中央直線部を支持する支持工程と、を含む、配管の支持方法。
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