JP6062782B2 - 車体前部構造 - Google Patents

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Description

本発明は、車高の異なる車種に使用される車体前部構造に関する。
一般に、自動車車両の前部にはバンパを構成するバンパビームが配設される。バンパビームは左右方向へ延び、ステーを介して、前後へ延びる各サイドフレームの前端に固定される(例えば、特許文献1参照)。車両の大衝突の際には、バンパビームに全体に比較的大きな荷重が入力され、バンパビーム、各ステー及び各サイドフレームが変形することにより、車両のキャビンが保護される。また、車両の軽衝突の際には、バンパビームの左右中央の所定高さに比較的小さな荷重が入力され、バンパビーム及び各ステーが変形することにより、各サイドフレームが変形しないようになっている。
特開2012−6513号公報1
近年、自動車車両においては、異なる車種での車体の共用化が進んでおり、車高の異なる車種で同一の車体が使用されることがある。しかし、比較的車高の低い車種では、軽衝突の入力が上方へずれるため、衝突時の荷重はバンパビーム全体でなく、バンパビームの上側にオフセットした状態で作用することとなる。これにより、バンパビームに衝突対象物へ潜り込む方向の力が作用して、各ステーの上面部が変形するおそれがあった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的車高の低い車種であっても、要求される軽衝突性能及び大衝突性能を満たすことのできる車体前部構造を提供することにある。
本発明によれば、前後方向へ延び、板状の上面部を有する左右一対のサイドフレームと、前記サイドフレームの前方に配置され、左右方向へ延びるバンパビームと、前記サイドフレームの前端から前方へ延び、板状の上面部を有し、前記バンパビームを支持するステーと、を備える車体前部構造であって、前記ステーの上面部の左右内側を、前記サイドフレームの上面部より高く配置し、前記ステーの上面部の左右外側を、前記サイドフレームの上面部の高さとほぼ一致させ、前記サイドフレームにおける上面部の左右内側前端に、前記ステーから後方への荷重入力に抗する支持部材を設けた車体前部構造が提供される。
この車体前部構造によれば、車高の高さによらず、要求される軽衝突性能及び大衝突性能を満たすことができる。
比較的車高の低い車種においては、軽衝突の入力が上方へずれるため、衝突時の荷重はバンパビーム全体でなく、バンパビームの上側にオフセットした状態で作用することとなる。また、軽衝突では、衝突時の荷重はバンパビームの左右中央側に作用する。そうすると、軽衝突時に、ステーにはバンパビームを介して、左右内側に上方へオフセットした荷重が作用する。
ここで、ステーの左右内側の上面部が、サイドフレームの上面部よりも高く形成されていることから、ステーの上面部にてバンパビームからの入力荷重を的確に受けることができる。このとき、ステーの上面部がサイドフレームの上面部よりも高いことから、サイドフレームの上面部でステーの上面部からの入力を受け止めることはできないが、サイドフレームの左右内側の上面部上に設けられた支持部材により、ステーの上面部から後方への荷重入力に抗することができる。これにより、バンパビーム及びステーの上側が過度に変形することを抑制し、軽衝突のダメージがサイドフレーム側へ及ばないようにすることができる。
尚、比較的車高の高い車種においては、軽衝突時に特に問題となることはない。
一方、大衝突の場合は、車高が比較的低い車種であっても、車高が比較的高い車種と同様に、衝突時の荷重はバンパビーム全体に作用し、ステーにはバンパビームを介して全体的に荷重が作用する。大衝突の場合も、ステーの左右内側については、サイドフレームの左右内側の上面部上に設けられた支持部材により、ステーの上面部から後方への荷重入力に抗することができる。また、ステーの左右外側については、ステーの上面部がサイドフレームの左右外側の上面部の高さとほぼ一致していることから、サイドフレームの上面部により後方への荷重入力に抗することができる。これにより、ステー及びサイドフレームの特定部分に応力が集中するようなことはなく、ステー及びサイドフレームを均一に圧潰させて、大衝突時のエネルギーを的確に吸収することができる。
上記車体前部構造において、前記サイドフレームの上面部は、ほぼ水平に配置され、前記ステーの上面部は、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成されることが好ましい。
この車体前部構造によれば、ステーの上面部を左右方向に傾斜させることで、左右方向について断面の変化を緩やかにして応力の集中を回避することができる。
上記車体前部構造において、前記バンパビームは、板状の上面部を有し、前記ステーの上面部は、前記バンパビームの上面部に接続され、前記バンパビームの上面部は、前記ステーの上面部と左右方向にわたって正面視形状がほぼ一致するように、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成されることが好ましい。
この車体前部構造によれば、バンパビーム及びステーの各上面部の正面視形状が左右方向にわたってほぼ一致しているので、バンパビームに加わる入力荷重をステー側へ的確に伝達することができる。
上記車体前部構造において、前記ステーの上面部の後端と、前記支持部材の上面部の前端及び前記サイドフレームの左右外側における上面部の前端と、の高さが、正面視にて左右方向にわたってほぼ一致するよう構成することが好ましい。
この車体前部構造によれば、ステーの上面部からサイドフレーム及び支持部材の上面部へより的確に荷重を伝達することができる。
上記車体前部構造において、前記ステーの上面部の後端から少なくとも上方へ延びるフランジと、前記サイドフレームの上面部の前端から少なくとも上方へ延びるフランジと、前記ステー及び前記サイドフレームの前記各フランジを、前記ステー及び前記サイドフレームの上方左右内側で挿通する内側締結部材と、前記ステー及び前記サイドフレームの前記各フランジを、前記ステー及び前記サイドフレームの上方左右外側で挿通する外側締結部材と、を備え、前記内側締結部材の高さを前記外側締結部材よりも高くしてもよい。
本発明によれば、比較的車高の低い車種であっても、要求される軽衝突性能及び大衝突性能を満たすことができる。従って、車体の共通化を図って製造コストの低減を図ることができる。
図1は、本発明の一実施形態を示す車体前部構造の外観斜視図である。 図2は、車体前部構造の一部拡大斜視図である。 図3は、バンパビーム及びステーの正面図である。 図4は、図3のA−A断面図である。 図5は、図3のB−B断面図である。 図6は、軽衝突時の作用を示す説明図である。 図7は、大衝突時の作用を示す説明図である。
図1から図7は本発明の一実施形態を示すものであり、図1は車体前部構造の外観斜視図、図2は車体前部構造の一部拡大斜視図、図3はバンパビーム及びステーの正面図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図、図6は軽衝突時の作用を示す説明図、図7は大衝突時の作用を示す説明図である。
図1に示すように、車体1は、例えば鋼板をプレス成型したパネル状の部材を集成し、スポット溶接等で接合して構成されている。車体1は、前後方向へ延びる左右一対のサイドフレーム10と、各サイドフレーム10の前方に配置され左右方向へ延びるバンパビーム20と、各サイドフレーム10の前端から前方へ延びバンパビーム20を支持するステー30と、を備えている。この車体1は、比較的車高の高い車種と、比較的車高の低い車種で共用となっている。
また、車体1は、車室とエンジンルームを仕切るトーボード40と、前輪側とエンジンルームを仕切る左右一対のホイールエプロン50と、を備えている。さらに、車体1は、各サイドフレーム10の前端側を連結し左右へ延びるラジエータロアサポート60と、ラジエータロアサポート60の両端側から上方へ延びる左右一対のラジエータパネル70と、ラジエータパネル70の上端を連結し左右へ延びるラジエータアッパサポート80と、ラジエータアッパサポート80の両端から左右外側へ向かって斜め後方へ延びる左右一対のヘッドライトサポート90と、を備えている。
図2に示すように、各サイドフレーム10は、正面視の断面が矩形状の閉断面となるよう形成されている。本実施形態においては、各サイドフレーム10は、インナパネル11とアウタパネル12を接合して構成されている。また、各サイドフレーム10の上側には、ステー30から後方への荷重入力に抗する支持部材としてのレインホースメント13が固定される。
インナパネル11は、前後方向へ延び、ほぼ水平に形成される上面部11aと、上面部11aの左右方向内端から下方へ延びる内面部11bと、内面部11bの下端から左右外側へ延びる下面部11cと、を有している。また、インナパネル11は、上面部11aの左右方向外端から上方へ延びる上側接合フランジ部11dと、下面部11cの左右方向外端から下方へ延びる下側接合フランジ部11eと、を有している。さらに、インナパネル11は、上面部11aの前端から上方へ延びる上側前端フランジ部11fと、内面部11bの前端から左右方向内側へ延びる内側前端フランジ部11gと、下面部11cの前端から下方へ延びる下側前端フランジ部11hと、を有している。また、図4に示すように、上側前端フランジ部11fには上部内側取付孔11kが形成され、下側前端フランジ部11hには下部内側取付孔11lが形成されている。
図5に示すように、アウタパネル12は、前後方向へ延び、ほぼ水平に形成される上面部12aと、上面部12a左右方向外端から下方へ延びる外面部12bと、外面部12bの下端から左右内側へ延びる下面部12cと、を有している。また、アウタパネル12は、上面部12aの左右方向内端から上方へ延びる上側接合フランジ部12dと、下面部12cの左右方向内端から下方へ延びる下側接合フランジ部12eと、を有している。さらに、アウタパネル12の前側では、外面部12bの上下寸法が前端へいくほど小さくなり、外面部12bと上面部12aとの間に上側斜面部12iが形成され、外面部12bと下面部12cとの間に下側斜面部12jが形成される。さらにまた、アウタパネル12は、上面部12aの前端から上方へ延びる上側前端フランジ部12fと、外面部12bの前端から左右方向外側へ延びる外側前端フランジ部(図示せず)と、下面部12cの前端から下方へ延びる下側前端フランジ部12hと、を有している。また、上側前端フランジ部12fには上部外側取付孔12kが形成され、下側前端フランジ部12hには下部外側取付孔12lが形成されている。
図2に示すように、レインホースメント13は、インナパネル11の上面部11aに沿って形成される上面接続部13aと、上面接続部13aから前方へ向かって斜め上方に延びる上面部13bと、上面部13bの前端から上方へ延びる前端フランジ部13cと、上面部13bの左右外端から上方へ延びる上部フランジ部13dと、上面部13bの左右内端から下方へ延びる内面部13eと、内面部13eの前端から左右内側へ延びる内側フランジ部13fと、を有している。上面接続部13aはインナパネル11の上面部11aと、前端フランジ部13cはインナパネル11の上側前端フランジ部11fと、上部フランジ部13dはインナパネル11の上側接合フランジ部11dと、内面部13eはインナパネル11の内面部11bと、内側フランジ部13fはインナパネル11の内側前端フランジ部11gと、それぞれ重ねて設けられ溶接等により固定される。また、上面部13bは、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成されている。また、図4に示すように、前端フランジ部13cには、サイドフレーム20の上部内側取付孔11kと対応する取付孔13gが形成される。
各サイドフレーム10は、インナパネル11とアウタパネル12の各上側接合フランジ11d,12d及び各下側接合フランジ11e,12eを接合することで、閉断面をなしている。インナパネル11とアウタパネル12の各上面部11a,12aは同じ高さであり、各サイドフレーム20の上面は全体としてほぼ水平に配置されている。
図1に示すように、バンパビーム20は、左右方向について、中央部が各端部よりも前方へ張り出すように、湾曲して形成されている。図4及び図5に示すように、バンパビーム20は、側面視の断面が閉断面となるよう形成されている。本実施形態においては、バンパビーム20は、フロントパネル21とリアパネル22を接合して構成されている。
図4及び図5に示すように、フロントパネル21は、左右方向へ延び、ほぼ垂直に形成される第1前面部21aと、第1前面部21aの上端から後方へ延びる第1上面部21bと、第1前面部21aの下端から後方へ延びる第1下面部21cと、を有している。また、フロントパネル21は、第1上面部21bの後端から上方へ延びるフランジ部21dと、第1下面部21cの後端から下方への延びる接続部21eと、を有している。さらに、フロントパネル21は、第1前面部21aの下方に間隔をおいてほぼ垂直に形成される第2前面部21fと、第2前面部21fの上端と接続部21eの下端とを接続し前後へ延びる第2上面部21gと、第2前面部21fの下端から後方へ延びる第2下面部21hと、を有している。尚、第1上面部21b、第1下面部21c、第2上面部21g及び第2下面部21hは、厳密に水平に形成されているわけでなく、水平方向から若干傾斜して形成されている。
図4及び図5に示すように、リアパネル22は、左右方向へ延び、ほぼ垂直に形成される第1後面部22aと、第1後面部22aの上端から前方へ延びる第1上面部22bと、第1後面部22aの下端から後方へ延びる第1下面部22cと、を有している。また、リアパネル22は、第1上面部22bの前端から上方へ延びるフランジ部22dと、第1下面部22cの後端から下方への延びる接続部22eと、を有している。さらに、リアパネル22は、第1後面部22aの下方に間隔をおいてほぼ垂直に形成される第2後面部22fと、第2後面部22fの上端と接続部22eの下端とを接続し前後へ延びる第2上面部22gと、第2後面部22fの下端から前方へ延びる第2下面部22hと、を有している。尚、第1上面部22b、第1下面部22c、第2上面部22g及び第2下面部22hは、厳密に水平に形成されているわけでなく、若干傾斜して形成されている。
本実施形態においては、フロントパネル21とリアパネル22は、各フランジ部21d,22dと、各第2下面部21h,22hとで接合される。これにより、フロントパネル21とリアパネル22の間に、閉空間23が形成される。尚、バンパビーム20の断面は左右にわたって同一ではなく、閉空間23の形状は左右方向で変化する。
各ステー30は、正面視の断面が矩形状の閉断面となるよう形成されている。本実施形態においては、各ステー30は、ロワパネル31及びアッパパネル32を接合して構成されている。また、各ステー30は、前端にサイドフレーム20の各フランジ部11f,11g,11h,12f,12hと接続するための接続パネル33を有している。
図4及び図5に示すように、ロワパネル31は、ほぼ水平に形成される下面部31aと、下面部31aの左右内端から上方へ延びる内面部31bと、下面部31bの左右外端から上方へ延びる外面部(図示せず)と、を有している。また、ロワパネル31は、内面部31bの上端から外側へ延びる内側フランジ部と、外面部31cの上端から外側へ延びる外側フランジ部と、を有している。
図4及び図5に示すように、アッパパネル32は、上面部32aと、上面部32aの前端から上方へ延びるフランジ部32bと、を有している。上面部32aは、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成される。上面部32aの後端は、レインホースメント13の上面部13bの前端及びサイドフレーム10の左右外側に位置するアウタパネル12の上面部12の前端の高さと、正面視にて左右方向にわたってほぼ一致するよう構成されている。尚、バンパビーム20の第1上面部21b及び第2上面部22bは、アッパパネル32の上面部32aと左右方向にわたって正面視形状がほぼ一致するように、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成されている。また、上面部32aは、ロワパネル31の内側フランジ部及び外側フランジ部と溶接により接続される。また、上面部32aの後側は、バンパビーム20のリアパネル22の第1後面部22a上に重ねられ、当該第1後面部22aと溶接等により接続される。フランジ部32bは、サイドフレーム20の上部内側取付孔11kと対応する内側取付孔32cと、上部外側取付孔12kと対応する外側取付孔32dと、が形成される。
図4に示すように、アッパパネル32の上面部32aの左右内側は、サイドフレーム20の上面部11aより高く配置されている。一方、図5に示すように、アッパパネル32の上面部32aの左右外側は、サイドフレーム20の上面部12aの高さとほぼ一致している。
接続パネル33は、正面視にて四角形状に形成され、サイドフレーム20の各フランジ部11f,11g,11h,12f,12hと当接する。接続パネル33は、サイドフレーム20の上部内側取付孔11kと対応する上部内側取付孔33aと、上部外側取付孔12kと対応する上部外側取付孔33bと、下部内側取付孔11lと対応する下部内側取付孔33cと、下部外側取付孔12lと対応する下部外側取付孔33dと、が形成されている。
以上のように構成された車体前部構造では、バンパビーム20は、ステー30を介してサイドフレーム10と締結部材としての複数のボルト34を利用して着脱自在に固定される。これにより、軽衝突時にバンパビーム20側が損傷した場合、バンパビーム20側を新品に交換することで、サイドフレーム10側に何ら影響を与えることなく修理を行うことができる。
本実施形態においては、図4及び図5に示すように、サイドフレーム10のレインホースメント13の取付孔13gと、サイドフレーム10のインナパネル11の上部内側取付孔11kと、ステー30の接続パネル33の上部内側取付孔33aと、ステー30のアッパパネル32の内側取付孔32cと、がボルト34及びナットにより固定される。また、サイドフレーム10のアウタパネル12の部外側取付孔12kと、ステー30の接続パネル33の上部外側取付孔33bと、ステー30のアッパパネル32の外側取付孔32bと、がボルト34及びナットにより固定される。また、サイドフレーム10のインナパネル11の下部内側取付孔11lと、ステー30の接続パネル33の下部内側取付孔33cと、がボルト34及びナットにより固定される。また、サイドフレーム10のアウタパネル12の下部外側取付孔12lと、ステー30の接続パネル33の下部外側取付孔33dと、がボルト34及びナットにより固定される。
ここで、図3に示すように、サイドフレーム10の上部内側取付孔11k及びステー30の接続パネル33の上部内側取付孔33aは、サイドフレーム10の上部外側取付孔12k及びステー30の上部外側取付孔33bよりも高く設定されている。すなわち、各上部内側取付孔11k,33aを挿通するボルト34の高さは、各上部外側取付孔12k,33bを挿通するボルト34よりも高くなっている。尚、バンパービーム20のフランジ部21d,22dにおける、各取付孔33a,33bと正面視にて重なる部分には、切欠24が形成されている。
以上のように構成された車体前部構造によれば、比較的車高の高い車種に用いられている各サイドフレーム10等の車体1を比較的車高の低い車種に用いても、要求される軽衝突性能及び大衝突性能を満たすことができる。
図6に示すように、比較的車高の低い車種においては、軽衝突の入力が上方へずれるため、衝突時の荷重はバンパビーム20全体でなく、バンパビーム20の上側にオフセットした状態で作用することとなる。また、軽衝突では、衝突時の荷重はバンパビーム20の左右中央側に作用する。そうすると、軽衝突時に、ステー30にはバンパビーム20を介して、左右内側に上方へオフセットした荷重が作用する。
ここで、ステー30の左右内側の上面部32aが、サイドフレーム10の上面部11aよりも高く形成されていることから、ステー30の上面部32aにてバンパビーム20からの入力荷重を的確に受けることができる。すなわち、図6中の矢印に示すように、バンパビーム20には衝突時に衝突対象物へ潜り込む方向の力が作用するが、ステー30の上面部32aが転ぶ方向へ変形することはない。このとき、ステー30の上面部32aがサイドフレーム10の上面部11aよりも高いことから、サイドフレーム10の上面部11aでステー30の上面部32aからの入力を受け止めることはできないが、サイドフレーム10の左右内側の上面部11a上に設けられたレインホースメント13により、ステー30の上面部32aから後方への荷重入力に抗することができる。これにより、バンパビーム20及びステー30の上側が過度に変形することを抑制し、軽衝突のダメージがサイドフレーム10側へ及ばないようにすることができる。尚、比較的車高の高い車種においては、軽衝突時に特に問題となることはない。
一方、図7に示すように、大衝突の場合は、車高が比較的低い車種であっても、車高が比較的高い車種と同様に、衝突時の荷重はバンパビーム20全体に作用し、ステー30にはバンパビーム20を介して全体的に荷重が作用する。大衝突の場合も、ステー30の左右内側については、サイドフレーム10の左右内側の上面部11a上に設けられたレインホースメント13により、ステー30の上面部32aから後方への荷重入力に抗することができる。また、ステー30の左右外側については、ステー30の上面部32aがサイドフレーム10の左右外側の上面部12aの高さとほぼ一致していることから、サイドフレーム10の上面部12aにより後方への荷重入力に抗することができる。これにより、ステー30及びサイドフレーム10の特定部分に応力が集中するようなことはなく、ステー30及びサイドフレーム10を均一に圧潰させて、大衝突時のエネルギーを的確に吸収することができる。
また、ステー30の上面部32aと、バンパビーム20の第1上面部21b,22bと、レインホースメント13の上面部13bと、を左右方向に傾斜させることで、左右方向について断面の変化を緩やかにして応力の集中を回避することができる。さらに、バンパビーム20の第1上面部21b,22b及びステー30の上面部32aの正面視形状が左右方向にわたってほぼ一致しているので、バンパビーム20に加わる入力荷重をステー30側へ的確に伝達することができる。さらにまた、ステー30の上面部32aの後端と、レインホースメント13の上面部13bの前端及びサイドフレーム10の左右外側における上面部12aの前端と、の高さが、正面視にて左右方向にわたってほぼ一致しているので、ステー30の上面部32aからサイドフレーム10及びレインホースメント13の上面部11a,13bへより的確に荷重を伝達することができる。
尚、前記実施形態においては、バンパビーム20の前面及び後面にそれぞれ凹部が形成されたものを示したが、いずれか一方に凹部が形成されたものであったり、いずれにも凹部が形成されていないものであってもよいことは勿論である。また、サイドフレーム10及びバンパビーム20の板組等のような細部構造についても適宜変更することができる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
10 サイドフレーム
11 インナパネル
11a 上面部
12 アウタパネル
12a 上面部
13 レインホースメント
13b 上面部
20 バンパビーム
21 フロントパネル
21b 第1上面部
22 リアパネル
22b 第1上面部
30 ステー
32 アッパパネル
32a 上面部

Claims (4)

  1. 前後方向へ延び、板状の上面部を有する左右一対のサイドフレームと、
    前記サイドフレームの前方に配置され、左右方向へ延びるバンパビームと、
    前記サイドフレームの前端から前方へ延び、板状の上面部を有し、前記バンパビームを支持するステーと、を備える車体前部構造であって、
    前記ステーの上面部の左右内側を、前記サイドフレームの上面部より高く配置し、
    前記ステーの上面部の左右外側を、前記サイドフレームの上面部の高さとほぼ一致させ、
    前記サイドフレームにおける上面部の左右内側前端に、前記ステーから後方への荷重入力に抗する支持部材を設け
    前記サイドフレームの上面部は、ほぼ水平に配置され、
    前記ステーの上面部は、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成される車体前部構造。
  2. 前記バンパビームは、板状の上面部を有し、
    前記ステーの上面部は、前記バンパビームの上面部に接続され、
    前記バンパビームの上面部は、前記ステーの上面部と左右方向にわたって正面視形状がほぼ一致するように、左右内側から左右外側へ向かって下るよう傾斜して形成される請求項に記載の車体前部構造。
  3. 前記ステーの上面部の後端と、前記支持部材の上面部の前端及び前記サイドフレームの左右外側における上面部の前端と、の高さが、正面視にて左右方向にわたってほぼ一致するよう構成した請求項1または2に記載の車体前部構造。
  4. 前記ステーの上面部の後端から少なくとも上方へ延びるフランジと、
    前記サイドフレームの上面部の前端から少なくとも上方へ延びるフランジと、
    前記ステー及び前記サイドフレームの前記各フランジを、前記ステー及び前記サイドフレームの上方左右内側で挿通する内側締結部材と、
    前記ステー及び前記サイドフレームの前記各フランジを、前記ステー及び前記サイドフレームの上方左右外側で挿通する外側締結部材と、を備え、
    前記内側締結部材の高さを前記外側締結部材よりも高くした請求項1から3のいずれか1項に記載の車体前部構造。
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