以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、第1実施形態に係る非接触給電システムを説明するための図であり、図1(a)は全体構成を示し、図1(b)は回路図を示している。
図1(a)に示すように、非接触給電システムCは、電気自動車などの車体に備えられた受電装置Bと、駐車場などの床面に埋設された送電装置Aとを備えている。送電装置Aは床面に配置された送電コイルを備えており、受電装置Bは車体底面に配置された受電コイルを備えている。送電コイルと受電コイルとが磁気結合することで、受電装置Bは、送電装置Aから送電される高周波電力を受電する。すなわち、送電コイルに高周波電流が流れることで磁束が変化し、この磁束に鎖交する受電コイルに高周波電流が流れる。これにより、送電装置Aから受電装置Bに、非接触で電力を供給することができる。受電装置Bは、高周波電流を整流回路31で整流して、バッテリDに供給する。なお、実際には、後述するように、整流回路31の出力側に平滑回路が設けられており、整流回路31の出力電流は、平滑されたうえで、バッテリDに供給される。
送電コイルおよび受電コイルは、渦巻状に巻回された平面コイルであり、それぞれコイル面が床面に対して略平行になるように配置されている。給電を行う場合は、図1(a)に示すように、受電装置Bが送電装置Aの真上にきて、受電コイルが送電コイルに上方から見て重なり合うように、車体を配置する。図1(b)は、受電コイルが送電コイルに磁気結合した状態を示している。
図1(b)に示すように、送電装置Aは、高周波電源装置4、伝送線路6、リアクタンス素子7、および、送電ユニット11を備えている。
高周波電源装置4は、一定の大きさの高周波電圧を出力するものであり、いわゆる定電圧源である。高周波電源装置4は、図示しない電力系統から入力される交流電力を図示しない整流回路で直流電力に変換し、図示しないインバータで高周波電力に変換して、送電ユニット11に出力する。当該インバータは、出力電圧を目標電圧に一致させるように、フィードバック制御を行う。なお、高周波電源装置4の構成は限定されず、所定の高周波電圧を出力するものであればよい。
伝送線路6は、高周波電源装置4と送電ユニット11とを接続する配線であり、本実施形態においては、特性インピーダンスが50[Ω]の同軸ケーブルである。なお、伝送線路6は、これに限られず、例えば、平行二線式フィーダやストリップラインであってもよい。また、伝送線路6の特性インピーダンスも限定されず、例えば、75[Ω]であってもよい。伝送線路6は、抵抗成分が無視でき、特性インピーダンスがZ0、位相定数がβ=2π/λ(λ:伝送線路6で伝送される高周波の波長)、長さがLTとすると、伝送線路6のインピーダンスZaは、
Za=jZ0・tan(β・LT)
となる。
リアクタンス素子7は、伝送線路6のリアクタンス成分を打ち消すための素子であり、伝送線路6と送電ユニット11との間に直列接続されている。リアクタンス素子7のインピーダンスZbは、
Zb=−Za=−jZ0・tan(β・LT)
としている。本実施形態では、伝送線路6のリアクタンス成分が誘導性のリアクタンスなので、コンデンサとしている。なお、伝送線路6のリアクタンス成分が容量性のリアクタンスであれば、インダクタとする。伝送線路6のリアクタンス成分が誘導性であるか容量性であるかは、伝送線路6の長さLTによって異なる。伝送線路6の長さLTが波長λの1/4未満の場合、インピーダンスZaのリアクタンス成分の極性はプラスになり、誘導性になる。したがって、この場合、リアクタンス素子7は、コンデンサとする。伝送線路6の長さLTが波長λの1/4より大きく、1/2未満の場合、インピーダンスZaのリアクタンス成分の極性はマイナスになり、容量性になる。したがって、この場合、リアクタンス素子7は、インダクタとする。また、伝送線路6の長さLTが(1/2)λだけ長くなる毎に、インピーダンスZaは同じ値になる。したがって、より一般的に記載すると、
(n/2)λ<LT<{(2n+1)/4}λ
の場合、インピーダンスZaのリアクタンス成分が誘導性になるので、リアクタンス素子7はコンデンサとし、
{(2n+1)/4}λ<LT<{(n+1)/2}λ
の場合、インピーダンスZaのリアクタンス成分が容量性になるので、リアクタンス素子7はインダクタとする(ただし、n=0,1,2,3,…)。
送電ユニット11は、送電コイルL11および共振コンデンサC11を備えている。送電コイルL11は、高周波電源装置4より供給される高周波電力を、受電装置Bに送電するものである。共振コンデンサC11は、送電コイルL11に直列接続されて、直列共振回路を構成するためのものである。
送電コイルL11および共振コンデンサC11は、共振周波数が高周波電源装置4より供給される高周波電力の周波数f0(例えば、13.56MHz)と一致するように設計される。すなわち、送電コイルL11の自己インダクタンスLRと、共振コンデンサC11のキャパシタンスCRとが、下記(1)式の関係になるように設計される。
また、図1(b)に示すように、受電装置Bは、受電ユニット21、および、整流回路31を備えている。
受電ユニット21は、受電コイルL21、および、共振コンデンサC21を備えている。受電コイルL21は、送電コイルL11と磁気結合して、非接触で受電するものである。共振コンデンサC21は、受電コイルL21に直列接続されて、直列共振回路を構成するためのものである。
受電コイルL21および共振コンデンサC21は、送電コイルL11および共振コンデンサC11と同様に、共振周波数が高周波電源装置4より供給される高周波電力の周波数f0と一致するように設計される。
送電ユニット11および受電ユニット21は、いずれも共振回路であり、共鳴して結合される。すなわち、送電ユニット11から受電ユニット21へは、磁界共鳴方式により、非接触給電が行われる。
整流回路31は、受電ユニット21より出力される高周波電流を整流して、直流電流に変換するものである。整流回路31は、4つのダイオードをブリッジ接続した全波整流回路である。なお、整流回路31の構成は限定されず、高周波電流を直流電流に変換するものであればよい。整流回路31から出力される直流電流は、バッテリDに供給される。
以下に、図2〜図4を参照して、バッテリD(負荷)のインピーダンスが変化した場合でも、負荷へ出力される電流が変化しないことを説明する。
図2(a)は、非接触給電システムCにおいて、整流回路31とバッテリDとをまとめて、交流の負荷Lとした回路図である。
高周波電源装置4の出力電圧をV1、出力電流をI1とし、負荷Lに印加される電圧をV2、負荷Lに流れる電流をI2とする。なお、各電圧および電流は交流なので、V1,I1,V2,I2は、いずれもベクトルである。
一般的に、非接触給電システムの等価回路は、図3(a)のようになる。送電装置において、高周波電源装置の電圧をV、送電コイルの自己インダクタンスをLS、共振コンデンサのキャパシタンスをCSとし、受電装置において、受電コイルの自己インダクタンスをLL、共振コンデンサのキャパシタンスをCL、負荷の抵抗をRLとしている。また、送電コイルと受電コイルとの間の磁気結合による相互インダクタンスをMとしている。
図3(a)に示す回路は、図3(b)に示す等価回路に変換することができる。
すなわち、送電装置を流れる電流をISとし、受電装置を流れる電流をILとすると、高周波電源装置の電圧Vは、下記(2)式で表すことができ、また、下記(3)式も成立する。
上記(2)および(3)式をそれぞれ変形して下記(4)および(5)式とすると、この(4)および(5)式より、図3(b)の等価回路が得られる。
図3に示す等価回路の変換を用いて、図2(a)に示す回路を、T型回路を用いて表した等価回路に変換すると、図2(b)に示す回路になる。T型回路において並列接続されているコイルのインダクタンスは、送電コイルL11と受電コイルL21の相互インダクタンスM1になる。また、T型回路における送電側(図2(b)においては左側)のコイルのインダクタンスは、送電コイルL11の漏れインダクタンスになり、T型回路における受電側(図2(b)においては右側)のコイルのインダクタンスは、受電コイルL21の漏れインダクタンスになる。
図2(b)において、伝送線路6のインピーダンスをZa、リアクタンス素子7のインピーダンスをZb、送電コイルL11の漏れインダクタンスおよび共振コンデンサC11のキャパシタンスに基づくインピーダンスをZ1、受電コイルL21の漏れインダクタンスおよび共振コンデンサC21のキャパシタンスに基づくインピーダンスをZ2、送電コイルL11と受電コイルL21の相互インダクタンスM1に基づくインピーダンスをZ3とする。図2(b)に示す回路の入出力の電流と電圧の関係をFマトリックスを用いて表すと、下記(6)式のようになる。なお、各インピーダンスZ1,Z2,Z3,Za,Zbは、いずれもベクトルである。
リアクタンス素子7のリアクタンス成分は伝送線路6のリアクタンス成分を打ち消すものであり、どちらも抵抗成分は無視できるので、Zb=−Zaである。また、送電ユニット11から受電ユニット21へは、磁界共鳴方式により非接触給電が行われるので、磁界共鳴の条件式であるZ1+Z3=Z3+Z2=0が成り立つ。これらの式を、上記(6)式に代入すると、下記(7)式になる。これより、下記(8)式が求められる。
ここで、Z3は、送電コイルL11と受電コイルL21の相互インダクタンスM1によるインピーダンスである。送電コイルL11と受電コイルL21の距離が変化しなければ、結合係数が変化せず、相互インダクタンスM1は変化しない。したがって、Z3は変化しない。よって、高周波電源装置4の出力電圧V1の大きさが一定の場合、受電ユニット21から出力され負荷Lに流れる電流I2の大きさも一定である。すなわち、受電ユニット21の出力は、負荷Lのインピーダンスに関係なく、一定の大きさの電流I2を出力する定電流源と考えることができる。
また、定電圧源が定電流源に変換されることを、図4を用いて、スミスチャートで説明する。
図4(a)は、図2(b)の等価回路である。図2(b)におけるインピーダンスZ1およびインピーダンスZ2の部分の回路は、1つの素子で表すとコンデンサと等価なので、図4(a)においてはコンデンサのみの記載としている。高周波電源装置4は定電圧源であり、内部インピーダンスが0[Ω]と考えることができる。したがって、高周波電源装置4の出力端1−1’から電源側をみたインピーダンスZ1-1'をスミスチャート上で表すと、図4(b)のようになる。伝送線路6の出力端a−a’から電源側をみたインピーダンスZa-a'は、伝送線路6のインピーダンスZaに等しくなる。本実施形態では、伝送線路6の特性インピーダンスZ0が50[Ω]であり、伝送線路6の長さLTが0.031λなので、Za=j50・tan(0.062π)≒+j10[Ω]になる。したがって、Za-a'をスミスチャート上で表すと、図4(b)のようになる。送電ユニット11の入力端b−b’から電源側をみたインピーダンスZb-b'は、Zb=−Za≒−j10[Ω]としているので、0[Ω]になる。したがって、Zb-b'をスミスチャート上で表すと、図4(b)のように、Z1-1'と同じになる。そして、送電ユニット11および受電ユニット21がT型の1/4波長のハイパスフィルタと等価な回路となるので、受電ユニット21の出力端2−2’から電源側をみたインピーダンスZ2-2'は、インピーダンスZb-b'に対して位相を180°変化させた+j∞[Ω]になる。したがって、Z2-2'をスミスチャート上で表すと、図4(b)のようになる。つまり、受電ユニット21の出力端2−2’から電源側をみた等価回路は、内部抵抗無限大の定電流源と等価になる(図4(a)の右下の図参照)。
本実施形態によると、リアクタンス素子7のリアクタンス成分は、伝送線路6のリアクタンス成分と大きさが等しく、極性が反対である。また、高周波電源装置4は、定電圧源であり、一定の大きさの高周波電圧を、送電ユニット11に出力する。送電ユニット11は、受電ユニット21に磁界共鳴方式で送電を行う。この場合、受電ユニット21の出力は定電流源と等価になる。受電ユニット21が出力する高周波電流は一定なので、これを整流回路31で整流した直流電流も一定になる。したがって、バッテリD(負荷)のインピーダンスが変化した場合でも、受電装置Bから一定の電流を出力することができる。
図5は、非接触給電システムCが負荷のインピーダンスに関係なく一定の電流を出力できることを確認するためのシミュレーションを説明するための図である。
図5(a)に示す回路でシミュレーションを行った。当該回路においては、周波数13.56MHzの電圧を出力する電源Vaに、送電コイルL11および共振コンデンサC11を備えている送電ユニットを接続し、その間に、伝送線路6およびリアクタンス素子7を直列接続している。また、送電コイルL11に結合係数k1で磁気結合する受電コイルL21および共振コンデンサC21を備えている受電ユニットに整流回路を接続して、負荷に接続している。伝送線路6は、特性インピーダンス50[Ω]、長さ0.086λとしている。また、リアクタンス素子7は、コンデンサとし、静電容量を390[pF]としている。リアクタンス素子7のリアクタンスは、伝送線路6のリアクタンスと大きさが等しく、極性が反対になっている。送電コイルL11および受電コイルL21の自己インダクタンスは、いずれも1[μH]とし、共振コンデンサC11,C21の静電容量は、いずれも137.7[pF]としている。また、結合係数は、k1=0.2としている。そして、負荷を抵抗として、抵抗値を5[Ω]、10[Ω]、15[Ω]、20[Ω]と変化させた。
図5(b)は、シミュレーション結果を示している。上段は、電源Vaの出力電圧波形を示している。電源Vaの出力電圧は、振幅を100[V]とし、周波数を13.56[MHz]としている。
図5(b)の中段は、受電ユニットの出力電流I2の電流波形を示している。図5(b)の下段は、受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I3(負荷に流れる電流)の電流波形を示している。抵抗値を変化させても、出力電流I2および出力電流I3の電流波形は変化しなかった。
図6は、図5のシミュレーションとの比較を行うためのシミュレーションを説明するための図である。
図6(a)に示す回路は、比較のシミュレーションのための回路であり、図5(a)に示す回路からリアクタンス素子7をなくしたものである。その他の条件は、図5のシミュレーションと同じである。
図6(b)は、シミュレーション結果を示している。上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、図5のシミュレーションと同じ条件なので、同じ波形になっている。
図6(b)の中段は、受電ユニットの出力電流I2の電流波形を示している。図5(b)の下段は、受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I3の電流波形を示している。出力電流I2および出力電流I3の電流波形は、抵抗値によって異なる波形になった。抵抗値が大きくなるほど、出力電流I2および出力電流I3の大きさが小さくなっている。つまり、図6(a)に示す回路の場合、負荷が変動することにより、負荷に供給される電流の大きさが変化する
以上より、リアクタンス素子7を追加したことで、負荷に供給される電流の大きさが一定になることが確認された。また、図5(b)および図6(b)の各下段の波形が示すように、リアクタンス素子7を追加したことで、出力電流I3の大きさが大きくなっていることも確認できる。
次に、伝送線路6のリアクタンス成分が容量性のリアクタンスになる場合について、シミュレーションを行った。図7は、当該シミュレーションを説明するための図である。
図7(a)に示す回路でシミュレーションを行った。図7(a)に示す回路は、電源Vaの出力電圧の周波数を40.68[MHz]とし、伝送線路6の長さを0.3λとしている。この場合、伝送線路6のリアクタンス成分が容量性となるため、直列接続するリアクタンス素子7は、インダクタとし、自己インダクタンスを0.602[μH]としている。リアクタンス素子7のリアクタンスは、伝送線路6のリアクタンスと大きさが等しく、極性が反対になっている。また、共振条件を満たすために、共振コンデンサC11,C21の静電容量を、いずれも15.3[pF]としている。その他の条件は、図5のシミュレーションと同じである。
図7(b)は、シミュレーション結果を示している。上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、中段は、受電ユニットの出力電流I2の電流波形を示しており、下段は、受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I3の電流波形を示している。抵抗値を変化させても、出力電流I2および出力電流I3の電流波形は変化しなかった。
図8は、図7のシミュレーションとの比較を行うためのシミュレーションを説明するための図である。
図8(a)に示す回路は、比較のシミュレーションのための回路であり、図7(a)に示す回路からリアクタンス素子7をなくしたものである。その他の条件は、図7のシミュレーションと同じである。
図8(b)は、シミュレーション結果を示している。上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、中段は、受電ユニットの出力電流I2の電流波形を示しており、下段は、受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I3の電流波形を示している。出力電流I2および出力電流I3の電流波形は、抵抗値によって異なる波形になった。抵抗値が大きくなるほど、出力電流I2および出力電流I3の大きさが小さくなっている。つまり、図8(a)に示す回路の場合、負荷が変動することにより、負荷に供給される電流の大きさが変化する
以上より、伝送線路6のリアクタンス成分が容量性のリアクタンスになる場合でも、リアクタンス素子7を追加したことで、負荷に供給される電流の大きさが一定になることが確認された。また、図7(b)および図8(b)の各下段の波形が示すように、リアクタンス素子7を追加したことで、出力電流I3の大きさが大きくなっていることも確認できる。
本実施形態においては、受電装置Bに平滑回路を設けていない場合について説明したが、これに限られない。整流回路31の出力側に、平滑回路51を備えるようにしてもよい。この場合、平滑回路51としてコイルを直列に接続するようにしてもよいし(図9(a)参照)、平滑回路51として平滑コンデンサを並列に接続するようにしてもよい(図9(b)参照)。また、平滑回路51として、直列コイルのあとに並列にコンデンサを設けるようにしてもよい(図9(c)参照)。
上記第1実施形態においては、送電ユニットと受電ユニットとを1つずつ備えた場合について説明したが、これに限られない。送電ユニットと受電ユニットの組を複数備えていてもよい。
扱う高周波電流が大きい場合、送電ユニットと受電ユニットとが1つずつだと、整流回路を構成する各ダイオードに流れる電流が大きくなり、ダイオードが故障する場合がある。ダイオードに流れる電流を分散させるために、複数のダイオードを並列接続して用いることが考えられるが、高周波電流の周波数が6.78MHz〜40.68MHzの高周波の場合、配線のインピーダンスの影響などにより、並列接続させたダイオードに流れる電流のバランスを取ることが難しいので、並列接続を実現することは困難である。ダイオードを並列接続しない整流回路を用いる場合、整流回路に流れる電流を抑制するために、受電装置に複数の受電コイルを設け、各受電コイルにそれぞれ整流回路を接続する方法がある。この場合、高周波電源装置が出力する電力が複数の受電コイルに分散されて受電されるため、各整流回路に流れる電流を分散させることができる。
送電ユニットと受電ユニットの組を3組備えている場合を、第2実施形態として、以下に説明する。
図10および図11は、第2実施形態に係る非接触給電システムを説明するための図であり、図10は全体構成を示し、図11は回路図を示している。図10および図11において、第1実施形態に係る非接触給電システムC(図1参照)と同一または類似の要素には、同一の符号を付している。
図10および図11に示す非接触給電システムC’は、送電ユニットと受電ユニットの組を3組備えている点で、第1実施形態に係る非接触給電システムCと異なる。
図11に示すように、非接触給電システムC’の送電装置Aは、送電ユニット11に加えて、送電ユニット12,13を備えている。送電ユニット12は、送電ユニット11と同様の構成であり、送電コイルL12および共振コンデンサC12を備えている。送電ユニット13も、送電ユニット11と同様の構成であり、送電コイルL13および共振コンデンサC13を備えている。送電ユニット11,12,13は、それぞれ、高周波電源装置4に並列接続されている。送電ユニット12,13も、それぞれ伝送線路6によって、高周波電源装置4に接続されており、伝送線路6との間にリアクタンス素子7が直列接続されている。各リアクタンス素子7のインピーダンスZbは、それぞれ接続される伝送線路6のインピーダンスZaに応じて決定されており、伝送線路6のリアクタンス成分と大きさが等しく、極性が反対にされている。
また、図11に示すように、非接触給電システムC’の受電装置Bは、受電ユニット21に加えて、受電ユニット22,23を備えている。受電ユニット22は、受電ユニット21と同様の構成であり、受電コイルL22、および、共振コンデンサC22を備えている。受電ユニット23も、受電ユニット21と同様の構成であり、受電コイルL23、および、共振コンデンサC23を備えている。給電を行う場合は、図10に示すように、受電装置Bが送電装置Aの真上にきて、各受電コイルがそれぞれ対応する送電コイルに上方から見て重なり合うように、車体を配置する。図11は、各受電コイルがそれぞれ対応する送電コイルに磁気結合した状態を示している。受電コイルL22は送電コイルL12と磁気結合する。送電ユニット12および受電ユニット22も、いずれも共振回路であり、共鳴して結合される。すなわち、送電ユニット12から受電ユニット22へも、磁界共鳴方式により、非接触給電が行われる。また、受電コイルL23は送電コイルL13と磁気結合する。送電ユニット13および受電ユニット23も、いずれも共振回路であり、共鳴して結合される。すなわち、送電ユニット13から受電ユニット23へも、磁界共鳴方式により、非接触給電が行われる。
受電ユニット22の出力側には整流回路32が接続されており、受電ユニット23の出力側には整流回路33が接続されている。整流回路32,33は、整流回路31と同様の構成である。整流回路31,32,33は、それぞれ、バッテリDに並列接続されている。整流回路31,32,33から出力される電流は、足し合わされて、バッテリDに供給される。
以下に、図12〜図15を参照して、整流回路31,32,33から出力される電流が足し合わされることを説明する。
図12は、非接触給電システムを一般化した回路図であり、n個の送電ユニットを備える送電装置A’と、n個の受電ユニットを備える受電装置B’とを備えている。当該非接触給電システムは、交流の負荷Lに交流電力を供給する。
高周波電源装置4の出力電圧をV1、出力電流をI1とし、負荷Lに印加される電圧をV2、負荷Lに流れる電流をI2とする。また、送電ユニット1k(k=1,2,…,n)に流れる電流をI1kとし、受電ユニット2kに流れる電流をI2kとする。なお、各電圧および電流は交流なので、V1,I1,V2,I2,I1k,I2kは、いずれもベクトルである。
図3に示す等価回路の変換を用いて、図12に示す回路を、T型回路を用いて表した等価回路に変換すると、図13に示す回路になる。各T型回路において並列接続されているコイルのインダクタンスは、送電コイルL1kと受電コイルL2kの相互インダクタンスMkになる。
図14(a)は、図13に示す回路を、インピーダンスZを用いて表した等価回路を示す図である。各送電ユニットに接続される伝送線路6とリアクタンス素子7とは、インピーダンスが打ち消し合うので、図14(a)においては省略できる。なお、各インピーダンスZ1k,Z2k,Z3k(k=1,2,…,n)は、いずれもベクトルである。
図14(b)は、図14(a)に示す回路を、Fパラメータを用いて表した等価回路を示す図である。なお、各Fパラメータの各要素Ak,Bk,Ck,Dk(k=1,2,…,n)は、いずれもベクトルである。
例えば、図14(b)の最上段のFパラメータは、下記(9)式のようになる。
磁界共鳴の条件式であるZ11+Z31=Z31+Z21=0を、上記(9)式に代入すると、下記(10)式になる。これより、下記(11)式から、下記(12)式が求められる。
ここで、Z31は、送電コイルL11と受電コイルL21の相互インダクタンスM1によるインピーダンスである(図13参照)。送電コイルL11と受電コイルL21の距離が変化しなければ、結合係数が変化せず、相互インダクタンスM1は変化しない。したがって、Z31は変化しない。よって、高周波電源装置4の出力電圧V1の大きさが一定の場合、受電ユニット21から出力される電流I21の大きさも一定である。すなわち、受電ユニット21の出力は、負荷Lのインピーダンスに関係なく、一定の大きさの電流I21を出力する定電流源と考えることができる。
同様に、下記(13)式が算出され、下記(14)式が求められる。
また、下記(15)式が算出され、下記(16)式が求められる。
上記(12)、(14)、(16)式より、各受電ユニット2k(k=1,2,…,n)から出力される電流I2kの大きさは、負荷Lのインピーダンスに関係なく一定であり、各受電ユニット2kの出力は、定電流源と考えることができる。定電流源を並列接続した場合、各出力電流は足し合わされて出力される。したがって、高周波電源装置4を定電圧源として動作させ、電圧V1を一定の電圧とした場合、出力電流I21,I22,…,I2nを合成した電流I2は、出力電流I21,I22,…,I2nを足し合わせたものになり、下記(17)式で表すことができる。また、各出力電流I21,I22,…,I2nの大きさは一定であり、電流I2の大きさも一定になる。つまり、図12における受電装置B’の出力は定電流源と等価であり、負荷Lのインピーダンスに影響されない。また、下記(17)式と、上記(12)、(14)、(16)式より、電流I2を下記(18)式で表すことができる。
以上より、図12に示す非接触給電システムでは、各受電ユニットの出力電流を足し合わせた電流を、負荷Lに供給することができる。
次に、図12に示す非接触給電システムの各受電ユニットの出力側にそれぞれ整流回路を追加した非接触給電システムについて説明する。
図15は、図12に示す回路に整流回路を追加した回路を示す図である。
図15に示す受電装置B’においては、各受電ユニット2k(k=1,2,…,n)の出力側に、それぞれ整流回路3k(k=1,2,…,n)が追加されている。整流回路3kの出力電流をI3kとし、直流の負荷L’に印加される電圧をV3、負荷L’に流れる電流をI3とする。
各受電ユニット2kの出力は定電流源と等価なので、各整流回路3kの出力電流I3kの大きさは、各受電ユニット2kの出力電流I2kの大きさに比例する。したがって、上記(17)式より、出力電流I31,I32,…,I3nを合成した電流I3は、出力電流I31,I32,…,I3nを足し合わせたものとして、下記(19)式で表すことができる。
以上より、図15に示す非接触給電システムでは、各整流回路の出力電流を足し合わせた電流を、負荷L’に供給することができる。
第2実施形態において、各送電ユニット11,12,13と高周波電源装置4との間に接続されたリアクタンス素子7のリアクタンス成分は、それぞれの伝送線路6のリアクタンス成分と大きさが等しく、極性が反対である。また、高周波電源装置4は、定電圧源であり、一定の大きさの高周波電圧を、送電ユニット11,12,13にそれぞれ出力する。送電ユニット11,12,13は、それぞれ、受電ユニット21,22,23に、磁界共鳴方式で送電を行う。したがって、各受電ユニット21,22,23の出力は定電流源と等価になり、各整流回路31,32,33をそれぞれ含めた回路も、定電流源と等価になる。したがって、各整流回路31,32,33が出力する電流は足し合わされて、負荷(バッテリD)に供給される。これにより、バッテリD(負荷)のインピーダンスが変化した場合でも、受電装置Bから一定の電流を出力することができる。
また、各受電ユニット21,22,23の出力が定電流源と等価になるので、各送電ユニット11,12,13や、各受電ユニット21,22,23の仕様が異なっていたり、結合係数が異なっていて、各受電ユニット21,22,23の出力がそれぞれ異なっていても、出力電流は足し合わされる。これにより、各受電ユニット21,22,23から負荷に適切に給電することができる。
また、高周波電源装置4から出力された高周波電流が、整流回路31,32,33に分散されて流れ、バッテリD(負荷)に供給される。したがって、各整流回路31,32,33を構成する各ダイオードに流れる電流を抑制することができる。
図16は、非接触給電システムC’において、各整流回路31,32,33の出力電流が足し合わされて負荷に供給されることを確認するためのシミュレーションを説明するための図である。
図16(a)に示す回路でシミュレーションを行った。当該回路においては、周波数13.56MHzの電圧を出力する電源Vaに、送電コイルL11および共振コンデンサC11を備えている送電ユニットと、送電コイルL12および共振コンデンサC12を備えている送電ユニットと、送電コイルL13および共振コンデンサC13を備えている送電ユニットとを接続している。各送電ユニットと電源Vaとの間には、伝送線路6およびリアクタンス素子7を直列接続している。また、送電コイルL11に結合係数k1で磁気結合する受電コイルL21および共振コンデンサC21を備えている受電ユニットと、送電コイルL12に結合係数k2で磁気結合する受電コイルL22および共振コンデンサC22を備えている受電ユニットと、送電コイルL13に結合係数k3で磁気結合する受電コイルL23および共振コンデンサC23を備えている受電ユニットとに、それぞれ整流回路を接続して、負荷に並列接続している。各伝送線路6は、特性インピーダンス50[Ω]、長さ0.086λとしている。また、各リアクタンス素子7は、コンデンサとし、静電容量を390[pF]としている。リアクタンス素子7のリアクタンスは、伝送線路6のリアクタンスと大きさが等しく、極性が反対になっている。送電コイルL11,L12,L13、受電コイルL21,L22,L23の自己インダクタンスは、いずれも1[μH]とし、共振コンデンサC11,C12,C13,C21,C22,C23の静電容量は、いずれも137.7[pF]としている。また、結合係数は、k1=k2=k3=0.2としている。そして、負荷を抵抗として、抵抗値を5[Ω]、10[Ω]、15[Ω]、20[Ω]と変化させた。
図16(b)は、シミュレーション結果を示している。最上段は、電源Vaの出力電圧波形を示している。電源Vaの出力電圧は、振幅を100[V]とし、周波数を13.56[MHz]としている。
図16(b)の2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示している。各出力電流I21,I22,I23の電流波形は、同じ波形になっている。図16(b)の3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示している。各出力電流I31,I32,I33の電流波形は、同じ波形になっている。抵抗値を変化させても、各出力電流I21,I22,I23および各出力電流I31,I32,I33の電流波形は変化しなかった。
図16(b)の最下段は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。各整流回路から出力された電流I31,I32,I33が足し合わされて、負荷に流れることが分かる。
図17は、図16のシミュレーションとの比較を行うためのシミュレーションを説明するための図である。
図17(a)に示す回路は、比較のシミュレーションのための回路であり、図16(a)に示す回路から各リアクタンス素子7をなくしたものである。その他の条件は、図16のシミュレーションと同じである。
図17(b)は、シミュレーション結果を示している。上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、図16のシミュレーションと同じ条件なので、同じ波形になっている。
図17(b)の2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示している。各出力電流I21,I22,I23の電流波形は、同じ波形になっている。図16(b)の3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示している。各出力電流I31,I32,I33の電流波形は、同じ波形になっている。図16(b)の最下段は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。各出力電流I21,I22,I23、各出力電流I31,I32,I33および出力電流I3の電流波形は、抵抗値によって異なる波形になった。抵抗値が大きくなるほど、各出力電流I21,I22,I23、各出力電流I31,I32,I33および出力電流I3の大きさが小さくなっている。つまり、図17(a)に示す回路の場合、負荷が変動することにより、負荷に供給される電流の大きさが変化する。
以上より、リアクタンス素子7を追加したことで、負荷に供給される電流の大きさが一定になることが確認された。また、図16(b)および図17(b)の各最下段の波形が示すように、リアクタンス素子7を追加したことで、出力電流I3の大きさが大きくなっていることも確認できる。
次に、各送電ユニットと電源Vaとを接続する各伝送線路の長さが異なる場合について、シミュレーションを行った。図18は、当該シミュレーションを説明するための図である。
図18(a)に示す回路でシミュレーションを行った。図18(a)に示す回路は、伝送線路61の長さを0.031λとし、伝送線路62の長さを0.063λとし、伝送線路63の長さを0.086λとしている。また、リアクタンス素子71の静電容量を1200[pF]とし、リアクタンス素子72の静電容量を560[pF]とし、リアクタンス素子73の静電容量を390[pF]としている。リアクタンス素子71,72,73のリアクタンスは、それぞれ伝送線路61,62,63のリアクタンスと大きさが等しく、極性が反対になっている。また、結合係数は、k1=0.1、k2=0.2、k3=0.3としている。その他の条件は、図16のシミュレーションと同じである。
図18(b)は、シミュレーション結果を示している。最上段は、電源Vaの出力電圧波形を示している。図18(b)の2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示している。図18(b)の3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示している。図18(b)の最下段は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。抵抗値を変化させても、各出力電流I21,I22,I23、各出力電流I31,I32,I33および出力電流I3の電流波形は変化しなかった。また、各整流回路から出力された電流I31,I32,I33が足し合わされた電流I3として負荷に流れることが分かる。また、各結合係数が異なる場合、すなわち、送電コイルと受電コイルとの距離がそれぞれ異なる場合でも、各受電ユニットの出力電流の整流後の電流が足し合わされていることが分かる。
図19は、図18のシミュレーションとの比較を行うためのシミュレーションを説明するための図である。
図19(a)に示す回路は、比較のシミュレーションのための回路であり、図18(a)に示す回路からリアクタンス素子71,72,73をなくしたものである。その他の条件は、図18のシミュレーションと同じである。
図19(b)は、シミュレーション結果を示している。最上段は、電源Vaの出力電圧波形を示している。図19(b)の2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示している。図19(b)の3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示している。図19(b)の最下段は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。各出力電流I21,I22,I23、各出力電流I31,I32,I33および出力電流I3の電流波形は、抵抗値によって異なる波形になった。抵抗値が大きくなるほど、各出力電流I21,I22,I23、各出力電流I31,I32,I33および出力電流I3の大きさが小さくなっている。つまり、図19(a)に示す回路の場合、負荷が変動することにより、負荷に供給される電流の大きさが変化する.
以上より、各送電ユニットと電源Vaとを接続する各伝送線路の長さが異なる場合でも、各伝送線路に応じたリアクタンス素子を追加することで、負荷に供給される電流の大きさが一定になることが確認された。また、図18(b)および図19(b)の各最下段の波形が示すように、リアクタンス素子を追加したことで、出力電流I3の大きさが大きくなっていることも確認できる。
次に、負荷をコンデンサとした場合について、シミュレーションを行った。図20は、当該シミュレーションを説明するための図である。
図20(a)に示す回路でシミュレーションを行った。図20(a)に示す回路は、負荷をコンデンサに変更した以外は、図18のシミュレーションと同じである。負荷コンデンサの静電容量は10[μF]としている。その他の条件は、図18のシミュレーションと同じである。
図20(b)は、シミュレーション結果を示している。最上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示しており、3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示しており、4段目は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。これらの波形は、図18(b)の各波形とほぼ同様である。つまり、負荷が抵抗であっても、コンデンサであっても、負荷に出力される電流は同様になる。なお、最上段から4段目までの波形は、時間軸が199.7μ秒〜200.0μ秒の間のものを示している。
図20(b)の最下段は、負荷であるコンデンサの充電電圧を示している。当該波形の時間軸は最上段から4段目までの波形のものとは異なり、当該波形は、時間軸が0μ秒〜200.0μ秒の間のものを示している。充電電圧は上昇していき、300[V]に達している。
図21は、図20のシミュレーションとの比較を行うためのシミュレーションを説明するための図である。
図21(a)に示す回路は、比較のシミュレーションのための回路であり、図20(a)に示す回路からリアクタンス素子71,72,73をなくしたものである。その他の条件は、図20のシミュレーションと同じである。
図21(b)は、シミュレーション結果を示している。最上段は、電源Vaの出力電圧波形を示しており、2段目は、各受電ユニットの出力電流I21,I22,I23の電流波形を示しており、3段目は、各受電ユニットに接続された整流回路の出力電流I31,I32,I33の電流波形を示しており、4段目は、負荷に流れる電流I3の電流波形を示している。なお、最上段から4段目までの波形は、時間軸が199.7μ秒〜200.0μ秒の間のものを示している。図21(b)の最下段は、負荷であるコンデンサの充電電圧を示している。当該波形は、時間軸が0μ秒〜200.0μ秒の間のものを示している。充電電圧は約78[V]までしか上昇しなかった。
以上より、負荷をコンデンサとした場合、各伝送線路に応じたリアクタンス素子を追加することで、各出力電流を大きくして、充電電圧を上昇させられることが確認できる。
上記第2実施形態においては、送電ユニットと受電ユニットの組を3つ備えた場合について説明したが、これに限られない。送電ユニットと受電ユニットの組を2つ備えていてもよいし、4つ以上備えていてもよい。
上記第2実施形態においては、1つの送電ユニットと1つの受電ユニットとが対になっている場合について説明したが、これに限られない。例えば、図22(a)に示すように、送電装置Aが1つの送電ユニット11のみを備え、受電装置Bの各受電ユニットの受電コイルL21,L22,L23が、送電コイルL11に磁気結合するようにしてもよい。この場合、送電コイルL11と各受電コイルL21,L22,L23との結合係数が異なるようになっても、各整流回路31,32,33が出力する電流は足し合わされて、負荷(バッテリD)に供給される。
上記第2実施形態においては、各送電ユニット11,12,13が1つの高周波電源装置4に並列接続している場合について説明したが、これに限られない。例えば、図22(b)に示すように、各送電ユニット11,12,13が、それぞれ別の高周波電源装置4に接続するようにしてもよい。また、図22(c)に示すように、送電ユニット11,12が1つの高周波電源装置4に並列接続し、送電ユニット13が別の高周波電源装置4に接続するようにしてもよい。これらの場合、各高周波電源装置4の出力電圧の大きさ、周波数、位相が異なっていてもよい。各高周波電源装置4の出力電圧の設定が異なっていても、各整流回路31,32,33が出力する電流は足し合わされて、負荷(バッテリD)に供給される。
上記第2実施形態においては、受電装置Bに平滑回路を設けていない場合について説明したが、これに限られない。例えば、図23(a)に示すように、各整流回路31,32,33の出力側に、それぞれ平滑回路51,52,53を備えるようにしてもよい。なお、平滑回路として直列にコイルを設ける代わりに、並列に平滑コンデンサを設けるようにしたり、直列コイルのあとに並列にコンデンサを設けるようにしてもよい。また、図23(b)に示すように、各整流回路31,32,33の出力を並列接続した後に、平滑回路50を備えるようにしてもよい。なお、この場合も、平滑回路として直列にコイルを設ける代わりに、並列に平滑コンデンサを設けるようにしたり、直列コイルのあとに並列にコンデンサを設けるようにしてもよい。これらの場合、平滑回路によって、出力電流の脈動を抑制することができる。
なお、上記第1および第2実施形態においては、リアクタンス素子7が、伝送線路6と送電ユニット11(12,13)との間に接続された場合について説明したが、これに限られない。例えば、リアクタンス素子7は、伝送線路6と高周波電源装置4との間に接続するようにしてもよいし、送電ユニット11(12,13)や高周波電源装置4の内部に接続するようにしてもよい。伝送線路6に対して直列になるように接続されていればよい。
上記第1および第2実施形態においては、送電コイルおよび受電コイルが床面に対して略平行となるように設けられている場合について説明したが、これに限られない。例えば、図24(a)に示すように、受電装置Bが車体の後部に配置され、送電装置Aが車庫の壁面に配置され、送電コイルおよび受電コイルが床面に対して略垂直になるようにしてもよい。また、図24(b)に示すように、受電装置Bが車体の側面に配置され、送電装置Aが車庫の壁面に配置され、送電コイルおよび受電コイルが床面に対して略垂直になるようにしてもよい。要するに、送電コイルと受電コイルとが略平行で向かい合う位置に配置できるように、それぞれ、車体と車庫(駐車場)に配置されていればよい。
上記第1および第2実施形態においては、本発明に係る非接触給電システムを、電気自動車に内蔵されたバッテリの充電に利用する場合を例として説明したが、これに限られない。例えば、工場内の搬送に用いられるAGV(automatic guided vehicle:無人搬送車)のバッテリや電気二重層キャパシタなどへの充電にも、利用することができる。また、その他の電気製品のバッテリに充電を行う場合にも、本発明を適用することができる。また、バッテリに充電するのではなく、受電装置に接続された電気製品などの負荷に直接、電力を供給する場合にも、本発明を適用することができる。この場合、負荷に高周波電力をそのまま供給するのであれば、整流回路を設けないようにしてもよい。また、整流後の直流電力を、インバータ回路で適切な交流電力に変換して用いるようにしてもよい。
本発明に係る非接触給電システムおよび送電装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る非接触給電システムおよび送電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。