分野
本発明は、主に新規な化合物および方法に関する。具体的に、本発明は、プロテインキナーゼ阻害活性を有する新規なスピロ環状分子、およびその化合物の合成方法と用途を提供する。好ましい化合物は、細胞の成長の異常、例えば癌の治療のために使用される、c-Met及び/又はALK阻害薬である。
関連の従来技術
プロテインキナーゼは、多くの細胞プロセスの調節において中心として働き、且つ細胞機能をコントロールしつづける巨大な蛋白質ファミリーである。このキナーゼは、一部として、ALK、abl、Akt、bcr-abl、Blk、Brk、c-kit、c-met、c-src、CDKl、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK1O、bRaf、cRafl、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Erk、Pak、fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、flt-1、flt-3、Fps、Frk、Fyn、Hck、IGF-1R、INS-R、Jakl、Jak2、Jak3、KDR、Lck、Lyn、FAK、MEK、p38、PDGFR、PDC、PKC、PYK2、ros、tie、tie2、Pim-1、P13k、TRKおよびZap70を含むが、これらに限定されない。異常のプロテインキナーゼ活性は、乾癬のような命を脅かさない疾患から、癌のような非常に重篤な疾患まで、多くの疾患に関連する。
本発明は、c-Met及び/又はALK阻害薬である一連の新規なスピロ環状化合物およびこれらの癌および他の疾患の治療のための応用に関する。意外なことに、本発明の新規なスピロ環状化合物のクリゾチニブ耐性がより強いALK突然変異酵素に対する阻害活性は向上するため、ALK酵素異常による疾患により有効的な治療方法を提供する。
概要
一つの実施形態において、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
(ただし、環Aは、3-12員炭素環、あるいはその一個又は複数個の炭素環原子がO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換されてもよい、3-12 員炭素環でもよい。
ここで、環Aは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
環Bは、3-12員炭素環、あるいはその一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換されてもよい、3-12員炭素環でもよい。
ここで、環Bは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
R1は、独立に、水素、C1-12アルキル基、一個又は複数個の炭素原子がSi、O、Sの原子に置換されてもよい、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-C(O)R4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5又は-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つここで、R1における各水素原子は、無置換で、又はRCで置換されてもよく、あるいはR1の一個の水素が-P(O)(OR9)2-で置換されてもよい。
RCは、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5、-NH2、SF5、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)から選ばれてもよい。ここで、RCにおける各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよい。ここで、隣接の原子にあるRC基は、結合せず、あるいは結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成している。
R2は、
から選ばれてもよい。
ここで、Xは、NまたはCR12でもよい。
Arは、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族でもよく、且つArは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
は、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族から選ばれてもよい。ここで、
は、無置換で、あるいは一個、二個又は三個のRCで置換されてもよい。
R3は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族基、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つR3における各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよい。
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環である。
あるいは、同一の窒素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、これらに結合する窒素といっしょに3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環、またはN、O又はSから選ばれる1-3個のヘテロ原子を含有する3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してもよい。
あるいは、同一の炭素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してもよい。
そして、R4、R5、R6およびR7における各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよく、あるいはR4、R5、R6およびR7における同一の炭素原子にある二個の水素原子は、無置換で、又はオキソ置換基でもよい。
R8は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-NH2、-CN、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)から選ばれてもよい。ここで、R8における各水素原子は、無置換で、又はR11で置換されてもよい。
R9は、独立に、無置換または置換のヘテロアリール基、C1-12アルキル基、アリール基から選ばれてもよい。
R10は、独立に、無置換または置換のC1-12アルキル基から選ばれてもよい。
R11は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)、-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)、-CNから選ばれてもよく、且つR11における各水素原子は、無置換で、あるいはハロゲン、-OH、-CN、-無置換または一部ハロゲン化または全ハロゲン化のC1-12アルキル基、無置換または一部ハロゲン化または全ハロゲン化のまたは-C(O)-で置換された-O-C1-12アルキル基で置換されてもよい。
R12は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つR12における各水素原子は、無置換で、又はR3で置換されてもよい。
RaおよびRbは、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つRaまたはRbは結合せず、あるいはRaおよびRbはこれらに連結する炭素原子といっしょに3-12員環またはNR、O、SもしくはSiから選ばれる一個または複数個のヘテロ原子を含有する3-12員環を形成する。
あるいは、RaおよびRbはArの環原子またはArの置換基と結合してArと縮合した5-12員の複素脂肪族環、C5-12シクロアルキル基を形成してもよく、且つRaおよびRbにおける各水素原子は、無置換で、又はRCで置換されてもよい。
各mは独立に0、1または2でもよい。
各nは独立に0、1、2、3または4でもよい。
qは1、2、3または4でもよい。
は、
あるいは無置換でまたは一個、二個もしくは三個の上述の定義のRC基で置換されたアリール基、ビシクロアリール基、ビシクロヘテロアリール基から選ばれてもよい。)
前記化合物は、
(ただし、環Aは、3-12員炭素環、あるいはその一個又は複数個の炭素環原子がO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換されてもよい、3-12員炭素環でもよい。ここで、環Aは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
環Bは、3-12員炭素環、あるいはその一個又は複数個の炭素環原子がO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換されてもよい、3-12員炭素環でもよい。ここで、環Bは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
R1は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-C(O)R4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つR1における各水素原子は、無置換で、又はRCで置換されてもよい。
Xは、NまたはCR12でもよい。
Arは、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環でもよく、且つここで、Arは、無置換で、あるいは一個又は複数個のRCで置換されてもよい。
R3は、独立に、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つここで、R3における各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよい。
RCは、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5、-NH2、SF5、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)から選ばれてもよい。 ここで、RCにおける各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよい。ここで、隣接の原子にあるRC基は、結合せず、あるいは結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成している。
R4、R5、R6およびR7は、それぞれ独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環である。あるいは、同一の窒素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、これらに結合する窒素といっしょに3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環、またはN、O又はSから選ばれる1-3個のヘテロ原子を含有する3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してもよい。
あるいは、同一の炭素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つはその炭素とC3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してもよい。そして、R4、R5、R6およびR7における各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されてもよく、あるいはR4、R5、R6およびR7における同一の炭素原子にある二個の水素原子は、無置換で、又はオキソ置換基でもよい。
R8は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-NH2、-CN、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)から選ばれてもよい。ここで、R8における各水素原子は、無置換で、又はR11で置換されてもよい。
R11は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)、-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)、-CNから選ばれてもよく、且つR11における各水素原子は、無置換で、あるいはハロゲン、-OH、-CN、-無置換または一部ハロゲン化または全ハロゲン化のC1-12アルキル基、無置換または一部ハロゲン化または全ハロゲン化のまたは-COで置換された-O-C1-12アルキル基で置換されてもよい。
R12は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つR12における各水素原子は、無置換で、又はR3で置換されてもよい。
RaおよびRbは、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、または-C(O)NR4R5から選ばれてもよく、且つRaまたはRbは結合せず、あるいはRaおよびRbはこれらに連結する炭素原子といっしょに3-12員環またはNR、O、S、Siから選ばれる一個または複数個のヘテロ原子を含有する3-12員環を形成する。
あるいは、RaおよびRbはArの環原子またはArの置換基と結合してArと縮合した5-12員の複素脂肪族環、C5-12シクロアルキル基を形成してもよく、且つRaおよびRbにおける各水素原子は、無置換で、又はRCで置換されてもよい。
各mは独立に0、1または2でもよい。
各nは独立に0、1、2、3または4でもよい。
qは1、2、3または4でもよい。)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物から選ばれてもよい。
前記化合物は、
(ただし、X、環A、環BおよびR3の定義は上述通りである。)
から選ばれてもよい。
前記化合物は、
(ただし、R3、環Aおよび環Bの定義は上述通りである。)
から選ばれてもよい。
は、
からなる群から選ばれてもよい。
前記化合物は、
(±)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン、
(R)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン、
(R)-5-(1-(7-アザスピロシクロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン、
(R)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.5]ノナン-7-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン、および
(R)-5-(1-(6-アザスピロシクロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンでもよい。
一つの実施形態において、本発明の任意の化合物と、細胞毒性薬、抗有糸分裂薬、抗代謝薬、プロテアソーム阻害薬、HDAC阻害薬および他のキナーゼ阻害薬から選ばれる抗癌剤とを含む組成物を提供する。
一つの実施形態において、患者に治療有効量の本発明の化合物、または本発明の組成物、または両者を投与する、必要とする患者の癌を治療する方法を提供する。ここで、前記癌は、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮癌、慢性リンパ性白血病、大腸癌、食道癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、黒色腫、悪性血液病、骨髄腫、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、およびB細胞由来の悪性リンパ腫から選ばれる。
一つの実施形態において、患者への治療有効量の本発明の化合物の投与と放射線療法とを併用する、癌患者を治療する方法を提供する。
一つの実施形態において、癌を治療するための本発明の化合物もしくは組成物、または両者の応用を提供する。
前記癌は、膀胱癌、脳癌、乳癌、子宮癌、慢性リンパ性白血病、大腸癌、食道癌、肝臓癌、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、黒色腫、悪性血液病、骨髄腫、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、およびB細胞由来の悪性リンパ腫から選ばれる。
下述の用語は以下のように定義されている。
本明細書で用いられる略称は、化学および生物学の分野で汎用の意義を有する。
特に断らない限り、「アルキル基」とは、自身でまたは別の置換基の一部として、所定の数の炭素原子を有する(即ち、C1-C10とは1〜10個の炭素原子)直鎖(即ち、分岐鎖がない)または分岐鎖、または環状炭化水素基、またはその組み合わせで、完全飽和、単不飽和または多不飽和でもよく、2価または多価の基を含んでもよい。
飽和炭化水素基の例として、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、シクロプロピルメチルなどの基、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの同族体および異性体を含むが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は、一個または複数個の二重結合または三重結合を有する。不飽和アルキル基の例として、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-iso-ペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル基、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及びより高級の同族体と異性体を含むが、これらに限定されない。炭化水素基に限定されるアルキル基を「ホモアルキル基(homoalkyl)」と言う。
「フッ化アルキル基」とは、その一個または複数個の水素原子がフッ素原子で置換された上述のように定義されているアルキル基である。
「アルキレン基」とは、自身でまたは別の置換基の一部として、アルキル基から誘導される2価の基で、例えば、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-、-CH2C≡CCH2-、-CH2CH2CH(CH2CH2CH3)CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基(又はアルキレン基)は、通常、1〜24個の炭素原子を有するが、中でも、本発明では、10個またはそれよりも少ない炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル基」又は「低級アルキレン基」とは、短い鎖のアルキル基またはアルキレン基で、通常、8個またはそれよりも少ない炭素原子を有する。
「アルキニル基」とは、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含有する炭素鎖で、直線鎖または分岐鎖、またはその組み合わせでもよい。アルキニル基の例として、エチニル、プロパギル、3-メチル-1-ペンチニル、2-ヘプチニルなどが含まれる。
「シクロアルキル基」とは、単環または二環の飽和炭素環で、それぞれ3〜10個の炭素原子を有する。シクロアルキル基の「縮合類似物」とは、連結位置が非芳香族部分にある、アリール基またはヘテロアリール基と縮合した単環である。シクロアルキル基および縮合類似物の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロへプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニルなどが含まれる。
「アルコキシ基」とは、示された炭素原子数を有する直鎖または分岐鎖のアルコキシ基である。例えば、C1-6アルコキシ基は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを含む。
特に断らない限り、「ヘテロアルキル基」とは、自身でまたは別の用語と合わせて、1個以上の炭素原子および1個以上のO、N、P、Si、Sから選ばれるヘテロ原子からなる、安定した直鎖または分岐鎖、または環状炭化水素基、またはその組み合わせで、ここで、窒素原子、リン原子および硫黄原子は任意に酸化されてもよく、窒素のヘテロ原子は第四級アンモニウム化されてもよい。ヘテロ原子のO、N、P、SおよびSiは、ヘテロアルキル基における任意の位置またはアルキル基と分子の残りの部分との連結位置にあってもよい。
例えば、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、-CH=CH-N(CH3)-CH3、-O-CH3,-O-CH2-CH3および-CNが含まれるが、これらに限定されない。多くても二個または三個のヘテロ原子が連続してもよく、例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH3)3が挙げられる。同じように、用語の「ヘテロアルキレン基」とは、自身でまたは別の置換基の一部として、アルキル基から誘導される2価の基で、例えば、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子は、鎖の両端または一端に位置してもよい(例えば、アルキレンオキソ基、アルキレンジオキソ基、アルキレンアミノ基、アルキレンジアミノ基など)。また、アルキレン基とヘテロアルキレン基の連結基では、連結基の分子式の書く方向は連結基の配向を示していない。
例えば、分子式の-C(O)OR'-は、-C(O)OR'-および-R'OC(O)-を示す。上述のように、本明細書で用いられるヘテロアルキル基は、ヘテロ原子で分子の他の部分と連結する基を含むが、例えば、-C(O)R'、-C(O)NR'、-NR'R"、-OR、-SR'及び/又は-SO2R'が挙げられる。「ヘテロアルキル基」、そして-NR'R''のような具体的なヘテロアルキル基が記載された場合、用語のヘテロアルキル基と-NR'R''は、重複または互いに排他的なものではないことが理解される。逆に、これらの具体的なヘテロアルキル基は、分かりやすいようにするために記載されたものである。そのため、本明細書において、用語の「ヘテロアルキル基」は、-NR'R''のような特定のヘテロアルキル基を除いたものとは理解されない。
「シクロアルコキシ基」とは、酸素原子と結合した上述のように定義されているシクロアルキル基で、例えばシクロプロポキシが挙げられる。
「フッ化アルキレン基」とは、その一個または複数個の水素原子がフッ素で置換された上述のように定義されているアルキレン基である。
「アリール基」とは、炭素原子を含有する単環または二環の芳香族環である。アリール基の「縮合類似物」とは、単環のシクロアルキル基または単環の複素環状基と縮合したアリール基で、その連結位置がアリール基の部分にある。アリール基およびその縮合類似物の例として、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4-ベンゾジオキサニルなどが含まれる。
「ヘテロアリール基」とは、少なくとも1個のN、OまたはSから選ばれるヘテロ原子を含有する単環または二環の芳香族環で、各環は5-6個の原子を含有する。ヘテロアリール基の「縮合類似物」とは、単環のシクロアルキル基または単環の複素環状基と縮合したヘテロアリール基で、その連結位置がアリール基の部分にある。ヘテロアリール基の例として、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3-b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリルなどが含まれる。
前記アルキル基、シクロアルキル基、アルキニル基、アルケニル基、アリール基およびヘテロアリール基は、無置換で、または下述の群から選ばれる一個以上の置換基で置換されている。
前記置換基は、ハロゲン原子、1-4個の炭素原子を有するアルキル基、1-4個の炭素原子を有するアルコキシ基、1-4個の炭素原子を有するハロアルキル基、1-4個の炭素原子を有するハロアルコキシ基、シアノ基、2-6個の炭素原子を有するアルキニル基、1-5個の炭素原子を有するアルカノイル基、3-7個の環原子を有するシクロアルキル基、ヘテロアリール基、アリール基、7-10個の炭素原子を有するアラルコキシ基、アリールカルボニル基、2つの隣接のX基が任意に連結してなる3または4個の炭素原子を有するアルキレン基またはアルケニレン基、アミノカルボニル基、2-5個の炭素原子を有するアルケニル基、1-4個の炭素原子を有するアルキルチオ基、アミノスルフィニル基、アミノスルホニル基、ヒドロキシ基、1-4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシ基、2-5個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基、1-4個の炭素原子を有するアルコキシアルキル基、1-4個の炭素原子を有するアルキルスルホニル基、1-4個の炭素原子を有するアルカノイルアミノ基、1-6個の炭素原子を有するアルカノイル(アルキル)アミノ基、アルカノイル基とアルキル基の部分にいずれも1-6個の炭素原子を有するアルカノイルアミノアルキル基、アルカノイル基と各アルキル基の部分にいずれも1-6個の炭素原子を有するアルカノイル(アルキル)アミノアルキル基、1-4個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基、1-6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニル基またはジアルキルアミノカルボニル基、1-6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノスルフィニル基またはジアルキルアミノスルフィニル基、1-6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノスルホニル基またはジアルキルアミノスルホニル基、1-4個の炭素原子を有するアミノアルキル基、1-6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基、各アルキル基の部分にいずれも1-6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノアルキル基またはジアルキルアミノアルキル基、7-10個の炭素原子を有するアラルキル基、アルキル基の部分に1-4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルキル基、アルコキシ基の部分に1-4個の炭素原子を有するヘテロアリールアルコキシ基および1-4個の炭素原子を有するアルキルスルホニルアミノ基からなる群から選ばれる。
「複素環状基」とは、少なくとも1個のN、SまたはOから選ばれるヘテロ原子を含有する単環または二環の飽和環で、前記の各環は3-10個の原子を含有し、連結点が炭素原子または窒素原子でもよい。複素環状基の「縮合類似物」とは、連結位置が非芳香族部分にある、アリール基またはヘテロアリール基と縮合した単環の複素環である。「複素環状基」及びその縮合類似物の例として、ピロリジニル、ピぺリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3-ジヒドロフロ(2,3-b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリルなどが含まれる。この用語は、窒素原子で連結した2-または4-ピリドンやN-置換の(1H,3H)-ピリミジン-2,4-ジオン系(N-置換のウラシル)のような非芳香性の一部不飽和の単環も含む。
特に説明しない限り、「ハロ」または「ハロゲン」とは、自身でまたは別の置換基の一部として、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の原子である。また、用語の「ハロアルキル基」とは、モノハロアルキル基とポリハロアルキル基である。例えば、用語の「ハロ(C1-C4)アルキル基」とは、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含む。
「プロドラッグ」とは、体内で親薬物に変換する物質である。ある場合では、プロドラッグは、親薬物よりも投与しやすいため、プロドラッグを使用することが多い。例えば、プロドラッグは、経口投与によって生物学的に利用可能であるが、親薬物は不可能である。医薬品組成物において、プロドラッグも親薬物よりも高い溶解度を有してもよい。プロドラッグの例として、これに限定されないが、ある式Iの化合物は、細胞膜貫通の輸送を早くするために、エステル(プロドラッグ)の形態で投与する場合、水溶性は流動性に不利であるが、一旦細胞内で代謝してカルボン酸の活性化体に加水分解すると、水溶性が有利になる。プロドラッグのもう一つの例として、酸基が結合した短いペプチド(ポリアミノ酸)が挙げられるが、ペプチドは代謝によって活性部分が解放される。
発明の詳述
本発明は、新規なスピロ環状分子およびその製造方法ならびにこれらの新規な化合物の潜在の治療用途を提供する。本発明の化合物は、癌や神経系疾患のようなクリゾチニブ耐性がより強い増殖性疾患を有効的に治療することができる。
本発明は、c-Met及び/又はALK阻害剤として、一部の式Iの化合物、
(ただし、環Aは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Aも、任意に一個又は複数個のRCで置換されている。
環Bは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Bも、任意にRCで置換されている。
R1は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-C(O)R4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR1における各水素原子は、任意にRCで置換されている。R1は、一個の炭素原子が任意にSi、O、Sの原子に置換され、またはR1における一個のプロトンが任意に-P(O)(OR9)2で置換されたC1-12アルキル基でもよい。
RCは、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5、-NH2、SF5、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)から選ばれる。ここで、RCにおける各水素原子は、無置換で、又はR8で置換されている。ここで、隣接の原子にあるRC基は、結合せず、あるいは結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成している。
nは、1-4から選ばれる。
R2は、
から選ばれる。
ここで、Xは、NまたはCR12である。
Arは、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環で、且つArは、任意に一個又は複数個のRC基で置換されている。
は、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環から選ばれ、任意に一個、二個又は三個のRCC基で置換されている。
R3は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5から選ばれ、且つR3における各水素原子は、任意にR8で置換されている。RCCは、独立に水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つRCにおける各水素原子は、任意にR8で置換されている。
隣接の原子にあるRC基は、結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成してもよい。R4、R5、R6およびR7は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環である。あるいは、同一の窒素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、これらに結合する窒素と3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよく、複素脂肪族環または複素芳香族環は任意に1-3個のN、O、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
あるいは、同一の炭素原子に連結するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは結合してC3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよい。R4、R5、R6およびR7における各水素原子は、任意にR8で置換され、あるいはR4、R5、R6およびR7における同一の炭素原子にある二個の水素原子は、任意にオキソ置換基である。R8は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-NH2、-CN、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)である。R8における各水素原子は、任意にR11で置換されている。
R9は、独立に、任意に置換されたヘテロアリール基、C1-12アルキル基、アリール基である。
R10は、独立に、任意に置換されたC1-12アルキル基である。
R11は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)、-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)、-CNで、且つR11における各水素原子は、任意にハロゲン、-OH、-CN、一部ハロゲン化または全ハロゲン化の-C1-12アルキル基、一部ハロゲン化または全ハロゲン化のまたは-COで置換された-O-C1-12アルキル基で置換されている。
R12は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR12における各水素原子は、任意にR3で置換されている。
RaおよびRbは、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-(CR6R7)nOR4、-C(O)R4、-OC(O)R4、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、または-C(O)NR4R5で、且つRaおよびRbはこれらに連結する炭素原子といっしょにNR4、O、S、Siから選ばれる一個または複数個のヘテロ原子を含有する3-12員環を形成している。RaまたはRbはArの環原子またはArの置換基と結合してC5-12シクロアルキル基、5-12員の複素脂肪族環を形成しており、且つRaおよびRbにおける各水素原子は、任意にRCで置換されている。
各mは独立に0、1または2で、各nは独立に0、1、2、3または4で、qは1、2、3または4である。)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
本実施形態の具体的な一面では、
は、
あるいは一個、二個又は三個のRC基で置換されたアリール基、ビシクロアリール基、ビシクロヘテロアリール基から選ばれる。
もう一つの実施形態において、本発明は、R2が以下の(R)立体配置を有する一連の化合物を提供する。
(ただし、Ar、Cy、XおよびR3の定義は上述通りである。)
もう一つの実施形態において、本発明は、以下の化合物
(ただし、環Aは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Aも、任意に一個又は複数個のRCで置換されている。
環Bは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Bも、任意に一個又は複数個のRCで置換されている。
R1は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nOR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR1における各水素原子は、任意にRCで置換されている。
Xは、NまたはCR12である。
Arは、C6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環で、且つAは、任意に一個又は複数個のRC基で置換されている。
R3は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR3における各水素原子は、任意にR8で置換されている。
RCは、独立に水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つRCにおける各水素原子は、任意にR8で置換されている。隣接の原子にあるRC基は、結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成してもよい。
R4、R5、R6およびR7は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環である。
あるいは、同一の窒素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、これらに結合する窒素と3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよく、複素脂肪族環または複素芳香族環は任意に1-3個のN、O、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
あるいは、同一の炭素原子に連結するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは結合してC3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよい。
R4、R5、R6およびR7における各水素原子は、任意にR8で置換され、あるいはR4、R5、R6およびR7における同一の炭素原子にある二個の水素原子は、任意にオキソ置換基である。
R8は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-NH2、-CN、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)で、且つここで、R8における各水素原子は、任意にR11で置換されている。
R11は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)、-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)、-CNで、且つR11における各水素原子は、任意にハロゲン、-OH、-CN、一部ハロゲン化または全ハロゲン化の-C1-12アルキル基、一部ハロゲン化または全ハロゲン化のまたは-COで置換された-O-C1-12アルキル基で置換されている。
R12は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR12における各水素原子は、任意にR3で置換されている。
Ra和Rbは、独立に、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、RaおよびRbはこれらに連結する炭素原子といっしょに一個または複数個のNR4、O、S、Siのようなヘテロ原子を含有する3-12員環を形成している。
RaおよびRbはAの環原子またはAの置換基と結合してAと縮合した5-12員の複素芳香族環または、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、C3-12シクロアルキル基を形成しており、且つRaおよびRbにおける各水素原子は、任意RCで置換されている。
各mは独立に0、1または2で、各nは独立に0、1、2、3または4で、qは1、2、3または4である。)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
もう一つの実施形態において、本発明は、以下の化合物
(ただし、環Aは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Aも、任意に一個又は複数個のRCで置換されている。
環Bは、その一個又は複数個の炭素環原子が任意にO、S、-C(O)-、-C(S)-およびNR1のうちの一個又は複数個で置換された、3-12員炭素環である。環Bも、任意に一個又は複数個のRCで置換されている。
R1は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-C(O)R4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR1における各水素原子は、任意にRCで置換されている。
Xは、NまたはCR12である。
R3は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、SF5、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR3における各水素原子は、任意にR8で置換されている。
RCは、独立に水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-S(O)2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nOR4、-(CR6R7)nC(O)NR4R5、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つRCにおける各水素原子は、任意にR8で置換されている。隣接の原子にあるRC基は、結合してC6-12アリール基、5-12員の複素芳香族環、C3-12シクロアルキル基または3-12員の複素脂肪族環を形成してもよい。
R4、R5、R6およびR7は、独立に、水素、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環である。
あるいは、同一の窒素原子に結合するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは、これらに結合する窒素と3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよく、複素脂肪族環または複素芳香族環は任意に1-3個のN、O、Sから選ばれるヘテロ原子を含有する。
あるいは、同一の炭素原子に連結するR4、R5、R6およびR7のうちの任意の二つは結合してC3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、または5-12員の複素芳香族環を形成してよい。
そして、R4、R5、R6およびR7における各水素原子は、任意にR8で置換され、あるいはR4、R5、R6およびR7における同一の炭素原子にある二個の水素原子は、任意にオキソ置換基である。
R8は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-NH2、-CN、-OH、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)または-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)で、且つここで、R8における各水素原子は、任意にR11で置換されている。
R11は、独立に、ハロゲン、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-O-C1-12アルキル基、-O-(CH2)nC3-12シクロアルキル基、-O-(CH2)nC6-12アリール基、-O-(CH2)n(3-12員の複素脂肪族環)、-O-(CH2)n(5-12員の複素芳香族環)、-CNで、且つR11における各水素原子は、任意にハロゲン、-OH、-CN、一部ハロゲン化または全ハロゲン化の-C1-12アルキル基、一部ハロゲン化または全ハロゲン化のまたは-COで置換された-O-C1-12アルキル基で置換されている。
R12は、水素、ハロゲン、C1-12アルキル基、C2-12アルケニル基、C2-12アルキニル基、C3-12シクロアルキル基、C6-12アリール基、3-12員の複素脂肪族環、5-12員の複素芳香族環、-S(O)mR4、-SO2NR4R5、-S(O)2OR4、-NO2、-NR4R5、-(CR6R7)nOR4、-CN、-C(O)R4、-OC(O)R4、-O(CR6R7)nR4、-NR4C(O)R5、-(CR6R7)nC(O)OR4、-(CR6R7)nNCR4R5、-C(=NR6)NR4R5、-NR4C(O)NR5R6、-NR4S(O)2R5または-C(O)NR4R5で、且つR12における各水素原子は、任意にR3で置換されている。
各mは独立に0、1または2で、各nは独立に0、1、2、3または4である。)
またはその薬学的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物を提供する。
もう一つの実施形態において、本発明は、以下の立体配置を有する化合物を提供する。
(ただし、環A、環B、XおよびR3の定義は上述通りである。)
もう一つの実施形態において、本発明は、安定した同位元素で標識された式Iの化合物を提供する。
もう一つの実施形態において、本発明は、以下の構造の化合物を提供する。
ただし、
は以下の基からなる群から選ばれる。
光学異性体-ジアステレオマー-幾何異性体-互変異性体:
式Iの化合物に不斉中心が1個また数個あるため、ラセミ体およびラセミ混合物、エナンチオマー、ジアステレオマー混合物および単一ジアステレオマーが生成する場合がある。本発明は、式Iの化合物のすべてのこのような異性体を含む。
本明細書に記載の化合物がオレフィン二重結合を有する場合、特に断らない限り、EとZの二種の幾何異性体を含む。
本明細書に記載の化合物は、異なる水素原子と連結する位置が存在する場合、互変異性体と呼ばれる。このような例として、ケト-エノール互変異性体のケトンおよびそのエノールの形態が挙げられる。単独の互変異性体およびその混合物は、いずれも式Iの化合物に含まれる。
式Iの化合物は、例えば、メタノール、または酢酸エチル、またはこれらの混合物のような適切な溶媒から分別結晶することで、エナンチオマーのジアステレオ異性体対に分離することができる。このように得られたエナンチオマーの対は、通常の方法、例えば、光学活性のアミンまたは酸を分割試薬として使用し、またはキラルHPLCカラムで、単独の立体異性体に分離することができる。
あるいは、光学的に単一の原料、または配置が既知の試薬を使用して立体特異的合成をすることで、式Iの化合物の任意のエナンチオマーを得ることができる。
安定した同位元素で標識された類似物:
式Iの化合物における一個または一個以上のプロトンを重水素元素に換えることによって、薬理的活性が改善された重水素系類似物を得ることができる。
塩と剤形
用語の「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される無毒の無機塩基または有機塩基や無機酸または有機酸を含む塩基または酸で得られた塩である。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、2価のマンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。
薬学的に許容される有機無毒塩基から誘導される塩は、第一、第二および第三級アミン、自然に存在する置換アミンを含む置換アミン、シクロアミンや塩基性イオン交換樹脂の塩を含み、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが挙げられる。
本発明の化合物が塩基性である場合、塩は、薬学的に許容される無機酸および有機酸を含む無毒酸から製造してもよい。このような酸は、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸などを含む。特に、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、コハク酸、硫酸および酒石酸が好ましい。
本明細書で用いられるように、式Iの化合物という場合、薬学的に許容される塩も含むことが理解される。
経口投与の製剤は、活性成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウムやカオリンのような不活性固体希釈剤が混合した硬ゼラチンカプセルでもよく、または活性成分が水もしくは落花生油、流動パラフィンやオリーブオイルのような油媒体が混合した軟ゼラチンカプセルでもよい。
水性懸濁液は、水性懸濁液の調製に適する賦形剤と混合した活性物質を含む。このような賦形剤は、懸濁剤で、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルピロリドン、トラガカント及びアラビアゴムが挙げられる。分散剤や湿潤剤は、レシチンのような天然のリン脂質、ポリオキシエチレンステアレートのようなアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物、ヘプタデカエチレン-オキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートのようなエチレンオキシドと脂肪酸およびへキシトールから誘導される部分エステルの縮合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートのようなエチレンオキシドと脂肪酸およびへキシトール無水物から誘導される部分エステルの縮合物であってもよい。
水性懸濁液は、さらに、一種または複種のパラヒドロキシ安息香酸エチルやパラヒドロキシ安息香酸-n-プロピルのような防腐剤、一種または複種の着色剤、一種または複種の矯味剤、一種または複種のショ糖、サッカリンやアスパルテームのような甘味料を含んでもよい。
油性懸濁液は、活性成分を落花生油、オリーブオイル、ゴマ油やヤシ油のような植物油、または流動パラフィンのような鉱物油に懸濁させて調製することができる。油性懸濁液は、ミツロウ、固形パラフィンやセタノールのような増粘剤を含んでもよい。味のいい経口投与製剤を提供するために、上述の甘味料や矯味剤を配合してもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を入れて保存してもよい。
水の添加による水性懸濁液の調製に適する分散可能な粉末や顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤や一種または複種の防腐剤との混合物として活性成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤は、上述の例が挙げられる。また、甘味料、矯味剤や着色剤のようなほかの賦形剤も存在してもよい。
本発明の医薬品組成物は、水中油型乳剤の形態でもよい。油相は、オリーブオイルや落花生油のような植物油、または流動パラフィンのような鉱物油、またはこれらの混合物でもよい。適切な乳化剤は、大豆レシチンのような天然のリン脂質、ソルビトールモノオレアートのような脂肪酸とへキシトール無水物から誘導されるエステルや部分エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートのような上述部分エステルとエチレンオキシドの縮合物でもよい。この乳剤は、甘味料や矯味剤を含んでもよい。
シロップ剤やエリキシル剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールやショ糖のような甘味料によって調製することができる。このような製剤は、緩和剤、防腐剤、矯味剤や着色剤を含んでもよい。この医薬品組成物は、無菌の注射可能な液体や油性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は、上述適切な分散剤または湿潤剤を使用する既知技術で調製することができる。無菌の注射製剤は、無毒の非経口的に許容される希釈剤や溶媒による無菌の注射溶液または懸濁液でもよく、例えば1,3-ブタンジオールによる溶液が挙げられる。
使用できる許容されるビヒクルと溶媒は、水、リンガー溶液や等張塩化ナトリウム溶液である。また、通常、無菌の不揮発性油は、溶媒や懸濁媒体として使用される。このために、安定した不揮発性油であれば、合成のモノまたはジグリセリドを含め、いずれも使用できる。また、オレイン酸のような脂肪酸は、注射剤の調製に使用することができる。
本発明の化合物は、鼻腔内にまたは吸入で、典型的には、ドライパウダー吸入器からの乾燥粉末(単独で、または乳糖との乾燥配合物のような混合物、もしくはホスファチジルコリンなどのリン脂質のような配合顆粒との混合物として)、1,1,1,2-テトラフルオレンエタンや1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパンのような適切な推進剤を使用しない、または使用する、加圧容器、パンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気流体力学で精細の噴霧を提供するIアトマイザー)や噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で投与することもできる。鼻腔内に使用する場合、粉末は、キトサンやシクロデキストリンのような生物接着剤を含んでもよい。
加圧容器、パンプ、スプレー、アトマイザーや噴霧器は、活性物質の放出を分散、可溶化または遅延するために、エタノール、含水エタノール、または適切な代替試薬、溶媒である推進剤やソルビタントリオレアート、オレイン酸もしくはオリゴ乳酸のような任意の界面活性剤を含有する本発明の溶液や懸濁液を含む。
乾燥粉末または懸濁液製剤の形態で使用する前に、医薬品の製品を吸入による投与に適する大きさに微粉化する(典型的に5ミクロンよりも小さい)。
これは、例えば、スパイラルジェットミル、流動層ジェットミル、ナノ粒子を形成する超臨界流体プロセス、高圧均質化や噴霧乾燥などの適切な粉砕方法のいずれかでも実現できる。
吸入器や吹きつけ器に使用されるカプセル剤(例えばゼラチンやヒドロキシプロピルメチルセルロースから製造される)、ブリスターやカートリッジは、本発明の化合物、乳糖やデンプンのような適切な粉末基質、L-ロイシン、マンニトールやステアリン酸マグネシウムのような機能調整剤の粉末混合物を含むように配合してもよい。乳糖は、無水で、または一水和物の形態でもよいが、後者が好ましい。ほかの適切な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースやトレハロースを含む。
電気流体力学で精細の噴霧を提供するアトマイザーに使用される適切な溶液製剤は、一回あたりに本発明の化合物をlog〜20 mg含んでもよく、投与体積は、11〜1001でもよい。典型的な製剤は、式1の化合物、プロピレングリコール、無菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含んでもよい。プロピレングリコールの代りに使用できる代替溶媒は、グリセリンやポリエチレングリコールを含む。
本発明の吸入/鼻腔内投与用のそれらの製剤には、メントールやレボメントールのような適切な矯味剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムのような適切な甘味料を入れることができる。
吸入/鼻腔内投与用の製剤は、例えばポリ(DL-乳酸-グリコール酸)(PGLA)を使用して、速放及び/又は放出制御に調製することができる。放出制御型製剤は、遅延放出、持続放出、プルス放出、制御放出およびプログラム化放出を含む。
乾燥粉末吸入器とエアロゾルの場合、投与量単位は定量の量を伝達するバルブで決まる。本発明によれば、単位は、通常、式Iの化合物を1fig〜10mg含有する定量の投与量または「噴霧」とされる。毎日の合計投与量は、通常1 lag〜10mgで、一回で、または通常、一日に数回に分けて投与する。
式Iの化合物は、坐剤の形態で医薬品の直腸投与を行ってもよい。これらの組成物は、医薬品と適切な無刺激性賦形剤を混合することによって調製することができるが、この賦形剤は、常温で固体であるが、直腸の温度で液体であるため、直腸で溶解して医薬品を放出する。このような物質は、カカオ脂やポリエチレングリコールである。
局所の使用では、式Iの化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、溶液や懸濁液などを使用する。(本出願の目的では、局所の使用は口内洗浄液とうがい薬を含む)
上述条件の治療では、毎日約0.01mg〜約140mg/kg体重、または一人の患者に毎日約0.5mg〜約7gの投与量レベルは有用である。
担体材料と合わせて単一の剤形とする活性成分の量は、治療する患者と具体的な投与形態によってかわる。例えば、ヒトの経口投与用製剤は、活性試薬を0.5mg〜5g含み、活性試薬は適切で便利な量の担体材料と複合し、担体材料は、全組成物の約5%〜約95%の範囲で変化する。投与量単位は、一般的に、約1mg〜約500mgの活性成分を含むが、通常は25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mgまたは1000mgである。
図面に示すように、下述の実施例の詳述によって、本発明の趣旨の特徴と利点がさらに明らかになる。開示されて保護を主張される対象は、各面で修正できるが、これらはいずれも請求の範囲に含まれることが理解される。そのため、図面と詳述は、制限するものでなく、説明のためで、対象のすべての範囲は、請求項によって示される。
応用
本発明の化合物は、cMETとALKの活性異常に関連する疾患の治療に有用である。
本発明は、さらに、患者に治療有効量の式lの化合物を投与することを含む、患者の疾患を治療する方法を含む。
特に、本発明の化合物は、異常の細胞成長及び/又は失調したアポトーシスによる疾患の治療に有用で、たとえば、中皮腫、膀胱癌、すい臓癌、皮膚癌、頭部や頸部の癌、皮膚や眼内の黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、骨癌、子宮頸部癌、大腸癌、直腸癌、肛門癌、胃癌、消化器癌(胃、大腸や十二指腸)、慢性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞癌(肝臓や胆管)、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓癌および尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、繊維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
もう一つの実施形態は、患者に治療有効量の式lの化合物を投与することを含む、患者の中皮腫、膀胱癌、すい臓癌、皮膚癌、頭部や頸部の癌、皮膚や眼内の黒色腫、卵巣癌、乳癌、子宮癌、卵管癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、骨癌、子宮頸部癌、大腸癌、直腸癌、肛門癌、胃癌、消化器癌(胃、大腸や十二指腸)、慢性リンパ性白血病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、副腎癌、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、精巣癌、肝細胞癌(肝臓や胆管)、原発性または続発性中枢神経系腫瘍、原発性または続発性脳腫瘍、ホジキン病、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、リンパ芽球性白血病、濾胞性リンパ腫、T細胞またはB細胞由来のリンパ系腫瘍、黒色腫、多発性骨髄腫、口腔癌、卵巣癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、小細胞肺癌、腎臓癌および尿管癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系腫瘍、原発性中枢神経系リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、骨髄軸腫瘍、脳幹グリオーマ、下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、脾臓癌、胆管癌、繊維肉腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、または上述の一種もしくは複種の癌の組み合わせが挙げられる。
また、本発明は、少なくとも一種の式Iの化合物、または少なくとも一種の式Iの化合物と一種もしくは複種の医学的に許容される賦形剤からなる医薬品組成物に関する。
本発明の医薬品組成物において、経口投与、胃腸外、経鼻、経皮、経直腸、経舌、眼部または気管投与に適するものでもよく、特に錠剤または糖衣錠剤、舌下錠剤、サシェ剤、パケット剤、ゼラチンカプセル剤、グロセット剤、甘味入り錠剤、坐剤、クリーム剤、軟膏剤、皮膚用ゲル剤、飲用または注射に適するアンプル剤でもよい。
投与量は、患者の性別、年齢や体重、投与経路、適応症の性質、あるいは他の関連治療によって異なるが、一回または数回の投与で、毎日0.01mg〜1gの範囲である。
さらに、本発明は、式Iの化合物と細胞毒性薬、抗有糸分裂薬、抗代謝薬、プロテアソーム阻害薬およびキナーゼ阻害薬から選ばれる一種または複種の抗癌剤との組み合わせ、および癌治療薬の製造のためのこのような組み合わせの用途に関する。
本発明の化合物は、癌を治療する放射線療法と併用することができる。
式Iの化合物は、化学治療薬として、治療薬と併用してもよいが、治療薬は、血管新生阻害薬、抗増殖薬、他のキナーゼ阻害薬、他の受容体チロシンキナーゼ阻害薬、オーロラキナーゼ阻害薬、ポロ様キナーゼ阻害薬、bcr-ablキナーゼ阻害薬、成長因子阻害薬、COX-2阻害薬、EP4受容体拮抗薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、抗有糸分裂薬、アルキル化剤、抗代謝薬、挿入性抗生物質、プラチナ含有試薬、成長因子阻害薬、イオン化放射、細胞周期阻害薬、酵素、トポイソメラーゼ阻害薬、生体応答調節剤、免疫製剤、抗体、ホルモン療法、レチノイド/テルトイド、植物アルカロイド、プロテアソーム阻害薬、HSP-90阻害薬、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬、プリンアナログ、ピリミジンアナログ、MEK阻害薬、CDK阻害薬、ErbB2受容体阻害薬、mTOR阻害薬、Bcl阻害薬、Mcl阻害薬およびこれらの組み合わせ、ならびに他の抗腫瘍剤を含むが、これらに限定されない。
血管新生阻害薬は、EGFR阻害薬、PDGFR阻害薬、VEGFR阻害薬、TTE2阻害薬、IGF1R阻害薬、マトリックスメタロプロテアーゼ-2(MMP-2)阻害薬、マトリックスメタロプロテアーゼ-9(MMP-9)阻害薬、トロンボスポンジン-1やN-Ac-Sar-Gly-Val-D-alloIle-Thr-Nva-IIe-Arg-Pro-NHCH2CH3のようなトロンボスポンジン類似体またはその塩、およびN-Ac-GlyVal-D-AIle-Ser-GIn-Ile-Arg-ProNHCH2CH3のようなN-Ac-Sar-Gly-Val-D-alloIle-Thr-Nva-Ile-Arg-PrO-NHCH2CH3の類似体またはその塩を含むが、これらに限定されない。
EGFR阻害薬の例として、イレッサ(ゲフィチニブ)、タルセバ(エルロチニブまたはOSI-774)、イコチニブ、アービタックス(セツキシマブ)、EMD-7200、ABX-EGF、HR3、IgA抗体、TP-38(IVAX)、EGFR融合蛋白質、EGF-ワクチン、抗EGFr免疫リポゾームおよびタイケルブ(ラパチニブ)を含むが、これらに限定されない。
PDGFR阻害薬の例として、CP-673、451およびCP-868596を含むが、これらに限定されない。
VEGFR阻害薬の例として、アバスチン(ベバシズマブ)、スーテント(スニチニブ、SUl1248)、ネクサバール(ソラフェニブ、BAY43-9006)、CP-547、632、アキシチニブ(AG13736)、アパチニブ、カボザンチニブ、ザクティマ(バンデタニブ、ZD-6474)、AEE788、AZD-2171、VEGFトラップ、バタラニブ(PTK-787,ZK-222584)、マクジェン、M862、パゾパニブ(GW786034)、ABT-869、BC-00016およびアンギオザイムを含むが、これらに限定されない。
マトリックスメタロプロテアーゼ類似体の例として、ABT-510を含むが、これに限定されない。
BCL阻害薬の例として、ABT263、ABT199およびGX-015を含むが、これらに限定されない。
オーロラキナーゼ阻害薬の例として、VX-680、AZD-1152およびMLN-8054を含むが、これらに限定されない。ポロ様キナーゼ阻害薬の例として、BI-2536を含むが、これに限定されない。
bcr-ablキナーゼ阻害薬の例として、グリベック(イマチニブ)およびダサチニブ(BMS354825)を含むが、これらに限定されない。
プラチナ含有試薬の例として、シスプラチン、パラプラチン(カルボプラチン)、エプタプラチン、ロバプラチン、ネダプラチン、エロキサチン(オキサリプラチン)またはサトラプラチンを含むが、これらに限定されない。
mTOR阻害薬の例として、CCI-779、ラパマイシン、テムシロリムス、エベロリムス、RAD001、INK-128およびリダフォロリムスを含むが、これらに限定されない。
HSP-90阻害薬の例として、ゲルダナマイシン、ラディシコール、17-AAG、KOS-953、17-DMAG、CNF-101、CNF-1010、17-AAG-nab、NCS-683664、Mycograb、CNF-2024、PU3、PU24FC1、VER49009、IPI-504、SNX-2112およびSTA-9090を含むが、これらに限定されない。
ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬の例として、スベロイラニリド・ハイドロザミック酸(SAHA)、MS-275、バルプロ酸、TSA、LAQ-824、トラポキシン、ツバシン、ツバスタチン、ACY-1215およびデプシペプチドを含むが、これらに限定されない。
MEK阻害薬の例として、PD325901、ARRY-142886、ARRY-438162およびPD98059を含むが、これらに限定されない。
CDK阻害薬の例として、フラボピリドール、MCS-5A、CVT-2584、セリシクリブ(CYC-202、R-ロスコビチン)、ZK-304709、PHA-690509、BMI-1040、GPC-286199、BMS-387,032、PD0332991およびAZD-5438を含むが、これらに限定されない。
COX-2阻害薬の例として、セレコキシブ、パレコキシブ、デラコキシブ、ABT-963、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、BMS347070、RS57067、NS-398、バルデコキシブ、パラコキシブ、ロフェコキシブ、SD-8381、4-メチル-2-(3,4-ジメチルフェニル)-1-(4-スルファモイル-フェニル-1H-ピロール、T-614、JTE-522、S-2474、SVT-2016、CT-3、SC-58125およびエトリコキシブ。
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の例として、サルサレート(アミゲシク)、ジフルニサル(ドロビッド)、イブプロフェン(モトリン)、ケトプロフェン(オルヂス)、ナブメトン(レラフェン)、ピロキシカム(フェルデン)、ナプロキセン(アリーブ、ナプロシン)、ジクロフェナク(ボルタレン)、インドメタシン(インドシン)、スリンダク(クリノリル)、トルメチン(トレクチン)、エトドラク(ロジン(Lodine))、ケトロラク(トラドール))およびオキサプロジン(ダイプロ)を含むが、これらに限定されない。
ErbB2受容体阻害薬の例として、CP-724-714、CI-1033、(カネルチニブ(canertinib))、ハーセプチン(トラスツズマブ)、オミタルグ(Omitarg)(2C4、ペツズマブ(petuzumab))、TAK-165、GW-572016(イオナファミブ(Ionafamib))、GW-282974、EKB-569、PI-166、dHER2(HER2ワクチン)、APC8024(HER2ワクチン)、抗HER/2neu二重特異性抗体、B7.her2IgG3、AS HER2の三官能性二重特異性抗体、mAB AR-209およびmAB 2B-1を含むが、これらに限定されない。
アルキル化剤の例として、ナイトロジェン・マスタードN-オキサイド、シクロホスファミド、イホスファミド、トロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン、ブスルファン、ミトブロニトール、カルボコン、チオテパ、ラニムスチン、ニムスチン、テモゾロマイド、AMD-473、アルトレタミン、AP-5280、アパジクオン(apaziquone)、ブロスタリシン(brostallicin)、ベンダムスチン、カルムスチン、エストラムスチン、フォテムスチン、グルフォスファミド、KW-2170、マフォスファミドおよびミトラクトール、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、ブスルファン、トレオスルファン、ダカルバジンおよびテモゾロマイドを含むが、これらに限定されない。
抗代謝薬の例として、メトトレキセート、6-メルカプトプリン・リボシド、メルカプトプリン、5-フルオロウラシル(5-FU)のようなウラシル類似体単独もしくはロイコボリンとの併用、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、シタラビン、シタラビン、エノシタビン、S-1、アリムタ(ペメトレキセド(premetrexed)・2ナトリウム、LY231514、MTA)、ジェムザール(ゲムシタビン)、フルダラビン、5-アザシチジン、カペシタビン、クラドリビン、クロファラビン、デシタビン、エフロルニチン、エチニルシチジン、シトシン・アラビノシド、ヒドロキシ尿素、TS-1、メルファラン、ネララビン、ノラトレキセド、オクホセート(ocfosate)、2ナトリウムペメトレキセド、ペントスタチン、ペリトレキソール(pelitrexol)、ラルチトレキセド、トリアピン(triapine)、トリメトレキサート、ビダラビン、ビンクリスチン、ビノレルビン、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR、ヒドロキシ尿素およびデフェロキサミンを含むが、これらに限定されない。
抗生物質の例として、挿入抗生物質、アクラルビシン、アクチノマイシンDのようなアクチノマイシン類、アムルビシン、アンナマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシンa、ブレオマイシンb、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エルサミトルシン、エピルブシン(epirbucin)、グラルブイシン(glarbuicin)、イダルビシン、マイトマイシンC、ネモルビシン、ネオカルチノスタチン、ペプロマイシン、ピラルビシン、レベッカマイシン、スチマラマー、ストレプトゾシン、バルルビシン、ジノスタチンおよびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
トポイソメラーゼ阻害薬の例として、アクラルビシン、アモナフィド、ベロテカン(belotecan)、カンプトセシン、10-ヒドロキシカンプトセシン、9-アミノカンプトセシン、ジフロモテカン、イリノテカンHCl(カンプトサル)、エドテカリン、エピルビシン(エレンス)、エトポシド、エキサテカン、ジマテカン、ルルトテカン、オラテシン(orathecin)(スーパージェン)、BN-80915、ミトキサントロン、ピラルブシン(pirarbucin)、ピキサントロン(pixantrone)、ルビテカン、ソブゾキサン、SN-38、タフルポシド(tafluposide)およびトポテカンからなる群から選ばれる一種または複種の試薬を含むが、これらに限定されない。
抗体の例として、リツキシマブ、セテュキマブ、ベバシズマブ、トラスツジマブ(Trastuzimab)、特異的CD40抗体および特異的IGF1R抗体を含むが、これらに限定されない。
ホルモン療法の例として、エキセメスタン(アロマシン)、酢酸ロイプロリド、アナストロゾール(アリミデックス)、フォスレリン(fosrelin、ゾラデックス)、ゴセレリン、ドキセルカルシフェロール、ファドロゾール、フォルメスタン、クエン酸タモキシフェン(タモキシフェン)、カソデックス、アバレリクス、トレルスター、フィナステリド、フルベストラント、トレミフェン、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、レトロゾール、フルタミド、ビカルタミド、メゲステロール、ミフェプリストン、ニルタミド、デクサメタゾン、プレドニゾンおよび他の糖質コルチコイドを含むが、これらに限定されない。
レチノイド/テルトイドの例として、セオカルシトール(EB1089、CB1093)、レクサカルシトール(lexacalcitrol)(KH1060)、フェンレチニド、アリレチノイン(Aliretinoin)、ベキサロテンおよびLGD-155を含むが、これらに限定されない。
植物アルカロイドの例として、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビンを含むが、これらに限定されない。
プロテアソーム阻害薬の例として、ボルテゾミブ(ベルケイド)、MGL32、NPI-0052およびPR-171を含むが、これらに限定されない。
免疫製剤の例として、インターフェロンおよび多くの他の免疫促進剤を含むが、これらに限定されない。インターフェロンは、インターフェロンα、インターフェロンα−2a、インターフェロンα−2b、インターフェロンβ、インターフェロンγ−1a、インターフェロンγ−1b(アクトイミューン(Actimmune))またはインターフェロンγ−n1およびこれらの組み合わせを含む。
他の免疫促進剤は、フィルグラスチム、レンチナン、シゾフィラン、セラシス(TheraCys)、ウベニメクス、WF-10、アルデスロイキン、アレムツズマブ、BAM-002、デカルバジン、ダクリズマブ、デニロイキン、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、イブリツモマブ、イミキモド、レノグラスチム、レンチナン、メラノーマワクチン(コリザ)、モルグラモスチム、OncoVAC-CL、サルガラモスチム(sargaramostim)、タソネルミン、テクロイキン(tecleukin)、チマラシン(thymalasin)、トシツモマブ、ビルリジン、Z-100、エプラツズマブ、ミツモマブ(mitumomab)、オレゴボマブ、ペムツモマブ(pemtumomab、Y-muHMFG1)、プロヴェンジ(デンドレオン)、CTLA4(細胞毒性リンパ球抗原4)抗体およびMDX-010のようなCTLA4を遮断できる試薬を含む。
生体応答調節剤の例として、生体の防御機構または組織細胞の生存、成長もしくは分化などの生体応答を調節してそれらに抗腫瘍活性を持たせる試薬が挙げられる。このような試薬は、クレスチン、レンチナン、シゾフィラン、ピシバニールおよびウベニメクスを含む。
ピリミジン類似体の例として、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド(Ratitrexed)、シタラビン(アラC)、シトシン・アラビノシド、フルダラビンおよびゲムシタビンを含むが、これらに限定されない。
プリン類似体の例として、メルカプトプリンおよびチオグアニンを含むが、これらに限定されない。
抗有糸分裂薬の例として、パクリタキセル、ドセタキセル、エポチロンD(KOS-862)およびZK-EPOを含むが、これらに限定されない。
合成
本発明の化合物は、以下のような反応プロセスによって製造することができる。
標準状態下で、アルコール1と2を光延反応させ、アニリンに還元できるアリールエ-テル3を得る。NBSで4を臭化して臭化物5を得る。臭化物5のNH2は、BOC基で保護し、化合物6を得ることができる。6を4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)およびパラジウム触媒と反応させ、ボロン酸エステル7を得る。7のBOC基は、酸性条件下で除去し、化合物8を得ることができる。8をスピロ環を有する適切なカップリング剤9とクロスカップリグ反応させ、所要の産物10を得る。脱保護の工程は、異なる塩の形態の最終産物の製造に用いられる。
本発明の化合物は、合成化学プロセスで製造することができ、その例を後述に示す。必要により、プロセスにおける各工程の順番の変更、試薬、溶媒および反応条件の記載された具体的なものへの変更、反応しやすい部分の保護および脱保護が可能である。
下述の略称は、以下のような意味を有する。DBUは1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7-を、DIBALは水素化ジイソブチルアルミニウムを、DIEAはジイソプロピルエチルアミンを、DMAPはN,N-ジメチルアミノピリジンを、DMEは1,2-ジメトキシエタンを、DMFはN,N-ジメチルホルムアミド、DMPEは1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタンを、DMSOはジメチルスルホキシドを、DPPBは1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンを、dppeは1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンを、dppfは1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンを、dppmは1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)メタンを、DIADはジイソプロプルアゾジカルボキシレートを、EDCIは1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドを、HATUは2-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、HMPAはヘキサメチルホスホルアミドを、IPAはイソプロピルアルコールを、LDAはリチウムジイソプロピルアミドを、LHMDSはリチウムビス(トリメチルジシリルアミド)を、LAHは水素化リチウムアルミニウムを、NCSはN-クロロスクシンイミドを、PyBOPはベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファートを、TDA-Iはトリス(2-(2-メトキシエトキシ)エチル)アミンを、DCMは塩化エチレンを、TEAはトリエチルアミンを、TFAはトリフルオロ酢酸を、THFはテトラヒドロフランを、NCSはN-クロロスクシンイミドを、NMMはN-メチルモルホリンを、NMPはN-メチルピロリジンを、PPh3はトリフェニルホスフィンを、RBFは丸底フラスコを指す。
以下の製造および実施例は、本発明を説明するためのものであるが、本発明は、これらに限定されない。以下の実施例を参照して本発明をよりわかりやすく説明するが、その範囲を限定するものではない。
実施例1
(±)5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
工程1 (±)1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノール
0℃で、2',6'-ジクロロ-5'-フルオロアセトフェノン(10.4g、50mmol)のMeOH(無水、80mL)溶液にNaBH4(3.78g、100mmol)を分けて入れた。NaBH4を入れた後、溶液を0℃で10分間撹拌し、さらに室温に上昇させ、そして室温で30分間撹拌した。反応溶液を濃縮させ、溶媒を除去して残留物を得た。ゆっくりNH4Cl飽和溶液(60mL)を入れた。水相をEtOAc(3×65mL)で抽出した。合併した有機相をH2O(50mL)と塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発して濃縮させ、無色の油状物として(±)1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノールを得た(11g、100%)。
工程2 (±)3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-2-ニトロピリジン
0℃で窒素雰囲気で、トリフェニルホスフィン(24.29g、92.6mmol)のTHF(乾燥、160mL)溶液にDIAD(18.23mL、92.6mmol)を滴下した。DIAD滴下後、1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノール(13.35g、63.86mmol)および3-ヒドロキシ-2-ニトロピリジン(10.29g、73.44mmol)のTHF(無水、160mL)溶液を滴下した。氷浴を外し、反応混合物を室温に上昇させ、且つ4時間撹拌した。反応混合物を蒸発して濃縮させ、黄色の残留物を得た。
NH4Cl飽和溶液(200mL)を入れた。水相をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合併した有機相を塩水(2×80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発して濃縮させ、得られた黄色の残留物をCombiFlashで精製し(220gシリカゲルカラム、ヘキサン/EtOAc)、白い固体として(±)3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-2-ニトロピリジンを得た(21.1g、100%)。
工程3 (±)3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-2-ニトロピリジン(10g、30mmol)のエタノール/酢酸(200/250mL)懸濁溶液に一回で鉄粉(16.75g、300mmol)を入れた。混合物を75分間還流させた。反応混合物を室温に冷却した。沈殿物を濾過して収集した。ろ液をエバポレーターで減圧濃縮し、黒色の残留物を得た。黒色の残留物と収集した固体を合併した。
水(300mL)を入れ、水性混合物をNa2CO3で中和した後、エチルエーテル(3×200mL)で抽出した。合併したエーテル溶液を飽和のNaHCO3溶液(2×60mL)、H2O(60mL)および塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発して濃縮させ、灰白色の固体として3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンを得た(8.67g、96%)。
工程4 (±)-5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
0℃で、3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンを得た(7.49g、24.87mmol)のCH3CN/DCM(100/30mL)溶液にNBS(4.43g、24.87mmol)を分けて入れた。反応溶液を0℃で10分間撹拌した。沈殿物をろ過で除去した。黒色のろ液を濃縮し、得られた黒色の残留物をCombiFlashで精製し(80gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン)、浅黄色の固体として5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンを得た(7.8g、82%)。
工程5 (±)-ジ(Boc)保護の5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンを得た(5.7g、15mmol)の乾燥DMF(50mL)溶液にジカルボン酸ジ-t-ブチル(9.82g、45mmol)とDMAP(367g、3.0mmol)を入れた。得られた黄色の溶液を室温で18時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム(150mL)溶液を入れた。水相をEtOAc(3×100mL)で抽出した。合併した有機相を水(3×80mL)、飽和NaHCO3溶液(80mL)、塩水(80mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮させ、泡沫固体としてジ(Boc)保護の5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンを得た(8.69g、100%)。
工程6 (±)-ジ(Boc)保護の3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン
火で乾燥した丸底フラスコに窒素で充填した。DMSO(15mL)、ジ(Boc)保護の5-ブロモ-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン(4.34g、7.5mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(2.29g、9.0mmol)および酢酸カリウム(2.5g、25.5mmol)を入れた。溶液を減圧吸引して、また窒素を充填した。一回でPd(dppf)Cl 2 DCM(306mg、0.375mmol)を入れた。再び溶液を減圧吸引して、また窒素を充填し、80℃で2時間撹拌した。EtOAc(100mL)を入れた。混合物をセライトでろ過し、EtOAc(100mL)で溶離させた。
合併した有機溶液を水(3×60mL)、塩水(60mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、得られた粗製残留物をCombiFlashで精製し(80gシリカゲルカラム、ヘキサン/EtOAc)、泡沫状で(±)-ジ(Boc)保護の3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミンを得た(3.83g、81%)。
工程7 (±)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン
(±)-ジ(Boc)保護の3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン(3.83g、6.1mmol)のDCM(15mL)溶液にHClのジオキサン溶液(4.0N、7.6mL)を入れた。溶液を室温で18時間撹拌し、そして40℃で8時間撹拌した。溶液を濃縮し、残留物を得た。残留物をEtOAc(180mL)に溶解させた。この溶液を飽和NaHCO3溶液(2×50mL)、塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、さらに真空下で濃縮させ、浅黄色の固体として(±)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミンを得た(2.6g、100%)。
工程8 t-ブチル 6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
0℃で、窒素雰囲気で、t-ブチル 6-オキソ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(507mg、2.4mmol)のMeOH(5.0mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(182mg、4.8mmol)を入れた。0℃で、30分間撹拌した。この溶液を減圧濃縮し、粗製固体を得た。飽和炭酸水素ナトリウム(30mL)溶液を入れた。水性混合物をDCM(4×30mL)で抽出した。合併した有機溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発して濃縮させ、白い固体としてt-ブチル 6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを得た(5mg、100%)。
工程9 t-ブチル 6-((メチルスルホニル)オキシ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
t-ブチル 6-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(505mg、2.37mmol)をDCM(6.0mL)に溶解させた。外部氷浴で溶液を0℃に冷却した。トリエチルアミン(330μL、2.37mmol)とDMAP(3.0mg、0.0237mmol)を入れた。注射器で一滴ずつメタンスルホニルクロリド(184μL、2.37mmol)を入れた。この溶液を0℃で2.0時間撹拌した後、室温に上昇させ、室温で18時間撹拌した。飽和NH4Cl(20mL)溶液を入れて室温で10分間撹拌した。層分離し、水相をDCM(3×30mL)で抽出した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空下で蒸発して濃縮させ、白い固体としてt-ブチル 6-((メチルスルホニル)オキシ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを得た(684mg、99%)。
工程10 t-ブチル 6-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
窒素雰囲気で、0℃で、4-ブロモピラゾール(111mg、0.755mmol)のDMF(無水、2.5mL)溶液にNaH(油における60%(重量)、33mg、0.82mmol)を分けて入れた。混合物を0℃で15分間撹拌した後、氷浴を外した。混合物を室温で90分間撹拌した。一回でt-ブチル 6-((メチルスルホニル)オキシ)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(200mg、0.686mmol)を入れた。混合物を室温で1時間撹拌した後、80℃で18時間撹拌した。混合物を減圧で濃縮し、得られた残留物をDCM(30mL)に溶解させた。
飽和塩化アンモニウム(30mL)溶液を入れた。層分離した。水相をDCM(2×30mL)で抽出した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた粗製残留物をCombiFlashで精製し(40gシリカゲルカラム、ヘキサン/EtOAc)、白い固体としてt-ブチル 6-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを得た(74mg、31%)。
工程11 t-ブチル (±)-6-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート
t-ブチル 6-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(145mg、0.42mmol)と(±)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン(268mg、0.63mmol)を丸底フラスコに入れた。減圧吸引して窒素を充填した(3回)。順番にDME(2.0mL)と炭酸ナトリウム(2.0M、1.0mL)溶液を入れた。減圧吸引して窒素を充填した(3回)。Pd(PPh3)2Cl2(14.7mg、0.021mmol)を入れた。再び吸引して窒素を充填した(2回)。混合物を90℃(加熱浴)で16時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却して水(30mL)を入れた。
水相をEtOAc(30mL)とDCM(3×30mL)で抽出した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、得られた黒色の残留物をCombiFlashで精製し(40gシリカゲ ルカラム、ヘキサン/EtOAc)、灰白色の固体としてt-ブチル (±)-6-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレートを得た(106mg、45%)。
工程12 (±)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンギ酸塩
t-ブチル (ア)-6-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-カルボキシレート(53mg、0.094mmol)をギ酸(3mL)に溶解させた。溶液を室温で1.0時間超音波処理した後、減圧で蒸発して濃縮させ、残留物を得た。トルエン(2×5mL)を入れて蒸発させた。
エチルエーテル(10mL)を入れ、混合物を室温で1.0時間撹拌した。濾過で固体を収集し、エチルエーテル(10mL)で洗浄した後、高度減圧で乾燥し、灰白色の固体として(±)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンギ酸塩を得た(29mg、61%)。
実施例2
(R)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
工程1 (S)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノール
-45℃で、(R)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン(Aldrich社やCallery Chemical社、トルエンにおいて1M、1当量)にBH3・Me2S(1.06当量)を入れた。-30℃で、先の溶液に1Mの1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノンの塩化メチレン溶液を入れた。反応終了後、過剰なメタノールを入れた後、1N塩酸を入れた。室温に上昇させた後、得られた混合物をセライトとシリカゲルのパッドでろ過し、且つ30%EtOAc含有ヘキサンで洗浄した。減圧で溶媒を除去し、得られた油状物をフラッシュクロマトグラフィーで精製し(20%EtOAcのヘキサン溶液)、(S)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エタノールを得た(光学的に富化)。
工程2 (R)-5-(1-(2-アザスピロシクロ[3.3]ヘプタン-6-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミンは実施例1で説明された方法によって製造することができる。
実施例3
(R)-5-(1-(7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
工程1 t-ブチル 4-メチレンピペリジン-1-カルボキシレート
窒素雰囲気で、0℃で、メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(36.3g、101.6mmol、1.35当量)のエチルエーテル懸濁液(乾燥、300mL)に一回でカリウム t-ブトキシド(11g、98mmol、1.3当量)を入れた。混合物を還流させて2時間撹拌した。外部の氷浴で熱い反応混合物を0℃に冷却し、t-ブチル 4-オキソピペリジン-1-カルボキシレート(15g、75.3mmol、1.0当量)のエチルエーテル懸濁液(60mL)を滴下した。混合物を室温に上昇させ、そして室温で1時間撹拌した。その後、混合物を還流させて一晩撹拌した(16時間)。混合物を室温に冷却し、ヘキサン(300mL)を入れた。混合物を10分間撹拌し、濾過してヘキサン/EtOAc(100/100mL)で溶離した。合併した有機溶液を濃縮し、得られた残留物をCombiFlashで精製し(100gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン=0〜30%)、無色の油状物としてt-ブチル 4-メチレンピペリジン-1-カルボキシレートを得た(収率94%)。
工程2 t-ブチル 2-オキソ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート
真空で、火で乾燥した丸底フラスコにt-ブチル 4-メチレンピペリジン-1-カルボキシレートを得た(2.96g、15mmol、1.0当量)とZn/Cuカップリング剤(6.54g、172.5mmol、11.5当量)を入れ、そしてt-BuOMe(60mL)を入れ、改めてフラスコに窒素を充填した。15℃で得られた混合物を撹拌し、この混合物に2,2,2-トリクロロアセチルクロリドのDME(20mL)溶液を滴下した。滴下終了後、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を外部の氷浴で撹拌し、ゆっくり飽和塩化アンモニウム(60mL)溶液を入れた(特に最初の数滴)。
添加終了後、混合物を室温で4時間撹拌し、ろ過で固体を除去した。各相を分離させた。水相をEtOAcで抽出した。合併した有機相を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた残留物をCombiFlashで精製し(40gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン=0〜40%)、619mg(15%)のt-ブチル 2-オキソ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレートを得た。
工程3 t-ブチル 2-ヒドロキシ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート
0℃で、窒素雰囲気で、t-ブチル 2-オキソ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(600mg、2.5mmol、1.0当量)のMeOH(6.0mL)溶液に水素化ホウ素ナトリウム(190mg、5.0mmol、2.0当量)を分けて入れた。混合物を室温で2.0時間撹拌した。溶液を濃縮し、白色の固体を得た。飽和のNaHCO3溶液(40mL)を入れた。水相をDCM(4×30mL)で抽出した。合併した有機相を無水Na2SO4で乾燥し、濃縮し、得られた粗製品をCombiFlashで精製し(24gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン=0〜60%)、白色の固体としてt-ブチル 2-ヒドロキシ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート334mg(収率57%)を得た。
工程4 t-ブチル 2-(メチルスルホニルオキシ)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート
t-ブチル 2-ヒドロキシ-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(392mg、1.62mmol、1.0当量)をDCM(6.0mL)に溶解させた。外部氷浴で溶液を0℃に冷却した。Et3N(237μL、1.706mmol、1.05当量)とDMAP(2.0mg、1mol%)を入れた。注射器で一滴ずつメタンスルホニルクロリド(132μL、1.706mmol、1.05当量)を入れた。この溶液を0℃で2.0時間撹拌した後、室温に上昇させ、室温で18時間撹拌した。
Et3N(23μL、0.1当量)とメタンスルホニルクロリド(13μL、0.1当量)を入れ、且つこの混合物をさらに6時間撹拌した。飽和NH4Cl(20mL)溶液を入れて室温で10分間撹拌した。層分離した。水相をDCM(3×30mL)で抽出した。合併した有機相をHCl(1N、20mL)と水(20mL)で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウムで乾燥し、真空濃縮し、白色の固体としてt-ブチル 2-(メチルスルホニルオキシ)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート482mg(収率93%)を得た。
工程5 t-ブチル 2-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート
0℃で、窒素雰囲気で、4-ブロモピラゾール(141mg、0.729mmol、1.2当量)のDMF(無水、3mL)溶液にNaH(油において、29mg60%(重量)、0.729mmol、1.2当量)を分けて入れた。混合物を0℃で15分間撹拌した後、氷浴を外した。混合物を室温で90分間撹拌した。一回でt-ブチル 2-(メチルスルホニルオキシ)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(200mg、0.607mmol、1.0当量)を入れた。
混合物を室温で1.0時間撹拌した後、80℃で18時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し(30mL)、飽和NH4Cl(30mL)溶液で洗浄した。層分離した。水相をEtOAc(30mL)で抽出した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し、得られた粗製残留物をCombiflashで精製し(40gシリカゲルカラム、ヘキサン/EtOAc)、無色油状でt-ブチル 2-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレートを得た225mg(収率88.8%)。
工程6 t-ブチル 2-(4-(6-アミノ-5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート
(R)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミン(104mg、0.244mmol、1.0当量)、t-ブチル 2-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(112mg、0.268mmol、1.1当量)をRBF(25mL)に入れた。減圧吸引して窒素を充填した(3回)。順番にジオキサン(1.0mL)と炭酸ナトリウム(2.0M、0.4mL)溶液を入れた。再び減圧吸引して窒素を充填した(3回)。最後にPd(PPh3)2Cl2触媒(9mg、5mol%)を入れた。
減圧吸引して窒素を充填した(3回)。混合物を80℃に加熱し(油浴)、且つ窒素雰囲気で24時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮し、得られた黒色の残留物を水(30mL)で処理した。水相をEtOAc(4×30mL)で抽出した。合併した有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた黒緑色の残留物をCombiFlashで精製し(12gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜100%)、淡黄色の固体としてt-ブチル (R)-2-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-7-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート105mg(収率73%)を得た。
工程7 (R)-5-(1-(7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
t-ブチル (R)-2-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレート(105mg、0.178mmol、1.0当量)をギ酸(6mL)に溶解させた。この溶液を室温で90分間超音波処理した(90分間後超音波処理浴の温度が約40℃に達した)。溶液を室温に冷却し、そして濃縮し、回転蒸発させ、残留物を得た。EtOAc(20mL)に溶解させた。
炭酸ナトリウム(2.0M、20mL)溶液を入れた。混合物を室温で30分間撹拌した。水(10mL)を入れた。層分離した。水相をDCM(3×30mL)で抽出した。合併した有機相を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた浅黄色の固体をCombiFlashで精製し[12gシリカゲルカラム、(MeOH/NH4OH=10/1)/DCM:0〜20%]、灰白色の泡沫状の固体として(R)-5-(1-(7-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン77mg(収率88%)を得た。
実施例4
(R)-5-(1-(2-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
工程1 4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキサミド
-20〜-10℃で、窒素雰囲気で、4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボン酸(5.4g、23mmol、1.0当量)とトリエチルアミン(4.82mL、34.57mmol、1.5当量)のDCM(乾燥、40mL)溶液にクロロギ酸エチル(3.0mL、31.1mmol、1.35当量)を滴下した。白い沈殿が出た。混合物を約-15℃で10分間撹拌し、溶液にすぐ乾燥したアンモニアを20分間バブリングした。混合物を-15℃で30分間撹拌した後、冷蔵庫(-20℃)に一晩入れた。
フラスコにおける圧力を開放して室温に上昇させた。水(100mL)を入れた。層分離し、水相をDCM(3×100mL)で抽出した。合併した有機溶液を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、灰白色の固体として4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキサミド5.2g(収率96.7%)を得た。
工程2 4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボニトリル
室温で、4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボキサミド(2.33g、10mmol、1.0当量)のTHF懸濁液(無水、50mL)に無水トリフルオロ酢酸(4.16mL、30mmol、3.0当量)を滴下した。得られた清澄溶液を室温で30分間撹拌した後、濃縮し、残留物を得た。水(50mL)を入れた。水相をMTBE(3×50mL)で抽出した。合併した有機溶液を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、浅黄色の油状物として4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボニトリル2.1g(収率97%)を得た。
工程3 4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキサンカルボン酸エチル
窒素保護下で、-78℃で4-(ベンジルオキシ)シクロヘキサンカルボニトリル(1.26g、5.85mmol、1.0当量)のTHF溶液(乾燥、30mL)にLDA溶液(3.95mL、2.0Mヘプタン/テトラヒドロフラン/トルエン、1.35当量)を滴下した。得られた黄色の溶液を-78℃で2時間撹拌した。その後、注射器で一滴ずつクロロギ酸エチル(2.79mL、29.26mmol、5.0当量)を入れた。溶液を-78℃で撹拌し、ゆっくり室温に上昇させて一晩撹拌した。水(20mL)を入れ、塩酸(1.0N、20mL)で反応を中止させた。EtOAc(3×40mL)で抽出した。
合併した有機溶液を塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し、浅黄色の残留物を得た。エチルエーテル(40mL)を入れて5分間撹拌し、ろ過で白い固体を除去した。エチルエーテル溶液を濃縮し、得られた黄色の油状物をCombiFlashで精製し(25gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜20%)、淡黄色の油状物として4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキサンカルボン酸エチル565mg(収率33%)を得た。
工程4 4-(ベンジルオキシ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボニトリル
水素化ホウ素ナトリウム(186mg、4.92mmol、2.5当量)のTHF/H2O(5/0.5mL)溶液に4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキサンカルボン酸エチル(565mg、1.97mmol、1.0当量)のTHF(乾燥、3mL)溶液を滴下した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。それを濃縮し、白色の固体を得た。水(20mL)を入れた。水相をEtOAc(4×30mL)で抽出した。合併した有機溶液を塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し、粗製の4-(ベンジルオキシ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボニトリルを565mg得たが、無色の粘稠の油状物で、精製せず、直接次の反応に入った。
工程5 (4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキシル)メチル-4-メチルベンゼンスルホナート
4-(ベンジルオキシ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボニトリル(粗製品770mg、1.0当量)のDCM(7mL)溶液にp-トルエンスルホニルクロリド(898mg、1.5当量)、トリエチルアミン(1.44mL、3.3当量)およびDMAP(38mg、0.1当量)を入れた。この溶液を室温で一晩撹拌した。それを濃縮し、残留物を得た。EtOAc(120mL)を入れた。
合併した有機溶液を飽和NaHCO3溶液(30mL)、水(30mL)および塩酸(1.0N、30mL)、塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、濃縮し、得られた黄色の固体をCombiFlashで精製し(24gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜30%)、白色の固体として(4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキシル)メチル-4-メチルベンゼンスルホナート450mgを得た(収率36%)。
工程6 t-ブチル 7-(ベンジルオキシ)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート
窒素雰囲気で、0℃で、(4-(ベンジルオキシ)-1-シアノシクロヘキシル)メチル-4-メチルベンゼンスルホナート(450mg、1.126mmol、1.0当量)のTHF(乾燥、10mL)溶液にLiAlH4(51mg、1.352mmol、1.2当量)を分けて入れた。添加終了後、反応混合物をゆっくり室温に上昇させた。反応混合物を室温で4時間撹拌した後、外部の氷水浴で約0℃に冷却した。順番に、水(0.05mL)、NaOH溶液(0.05mL、15%重量)と水(0.1mL)を入れた(注意!)。
添加終了後、混合物を室温で10分間撹拌した後、セライトパッドでろ過し、THF(40mL)で溶離した。合併した有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた浅黄色の液体をDCM(10mL)に溶解させ、一回でBoc酸無水物(295mg、1.352mmol、1.2当量)を入れた。この溶液を室温で16時間撹拌した。混合物を濃縮してDCMを除去した。炭酸ナトリウム溶液(10mL、2.0M)と飽和NaHCO3(10mL)溶液を入れた。混合物を室温で10分間撹拌した後、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合併した有機溶液を塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、得られた浅黄色の油状物をCombiFlashで精製し(24gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜25%)、無色油状物としてt-ブチル 7-(ベンジルオキシ)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート290mgを得た(収率77%)。
工程7 t-ブチル 7-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート
t-ブチル 7-(ベンジルオキシ)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート(290mg、0.96mmol、1.0当量)のMeOH(8mL)にPd(OH)2(43.5mg、15重量%)を入れた。混合物を注意して減圧吸引した後、水素を充填した。混合物を水素雰囲気で室温で2時間撹拌した。混合物をセライトパッドでろ過し、MeOH(50mL)で溶離させた。合併したメタノール溶液を濃縮し、浅黄色の固体としてt-ブチル 7-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート218mgを得た(収率94%)。
工程8 t-ブチル 7-(メチルスルホニルオキシ)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート
標題化合物を実施例3の工程4で説明した条件でt-ブチル 7-ヒドロキシ-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレートから製造した。
工程9 t-ブチル 7-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート
4-イオド-1H-ピラゾールとt-ブチル 7-(メチルスルホニルオキシ)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート(70mg、0.219mmol、1.0当量)と4-イオド-1H-ピラゾールのDMF(1mL)溶液に炭酸セシウム(79mg、0.241mmol、1.1当量)を入れた。混合物を80℃で3時間撹拌した。
ロータリーエバポレーターで減圧濃縮し、得られた残留物をCombiFlashで精製し(12gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜40%)、灰白色の固体としてt-ブチル 7-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート74mgを得た(収率81%)。
工程10 t-ブチル 7-(4-(6-アミノ-5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレート
標題化合物は、灰白色の固体で、実施例3の工程6で説明された条件で、(R)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミンとt-ブチル 7-(4-イオド-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-2-カルボキシレートから製造した。
工程11 5-(1-(2-アザスピロ[3.5]ノナン-7-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
標題化合物は、灰白色の固体で、実施例3の工程7で説明された条件で、t-ブチル (R)-7-(4-(6-アミノ-5-((R)-1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-2-アザスピロ[3.5]ノナン-7-カルボキシレートから製造した。
LC-MS: 490 (M++H+) C24H26Cl2FN5O 精確質量: 489.15。
実施例5 (R)-5-(1-(6-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
工程1 t-ブチル 3-オキソピペリジン-1-カルボキシレート
0℃で、t-ブチル 3-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(5g、24.84mmol、1.0当量)のDCM(125mL)溶液にデス-マーチンペルヨージナン(11.59g、27.33mmol、1.1当量)を分けて入れた。この溶液を0℃である程度撹拌し、且つゆっくり室温に上昇させた。この溶液を室温で18時間撹拌した。大量の白い固体が懸濁した。白い固体をろ過で除去し、EtOAc(100mL)で溶離させた。合併した有機相を飽和NaHCO3(50mL)溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、白い固体としてt-ブチル 3-オキソピペリジン-1-カルボキシレート4.28gを得た(収率86%)。
工程2 t-ブチル 3-メチレンピペリジン-1-カルボキシレート
標題化合物を実施例3の工程1で説明された条件でt-ブチル 3-オキソピペリジン-1-カルボキシレートから製造した。
工程3 t-ブチル 2-オキソ-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート
標題化合物は、油状物で、実施例3の工程2で説明された条件でt-ブチル 3-メチレンピペリジン-1-カルボキシレートから製造した。
工程4 t-ブチル 2-ヒドロキシ-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート
標題化合物は、油状物で、実施例3の工程3で説明された条件でt-ブチル 2-オキソ-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレートから製造した。
工程5 t-ブチル 2-(メチルスルホニルオキシ)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート
標題化合物は、油状物で、実施例3の工程4で説明された条件でt-ブチル 2-ヒドロキシ-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレートから製造した。
工程6 t-ブチル 2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート
4-ブロモ-1H-ピラゾール(210mg、1.428mmol、1.2当量)とt-ブチル 2-(メチルスルホニルオキシ)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート(380mg、1.19mmol、1.0当量)のDMF(2.5mL)溶液に炭酸セシウム(465mg、1.428mmol、1.2当量)を入れた。混合物を80℃で3時間撹拌した。それを回転蒸発で濃縮し、得られた残留物をCombiFlashで精製し(25gシリカゲルカラム、EtOAc/ヘキサン:0〜40%)、無色の油状物としてt-ブチル 2-(4-ブロモ-1H-ピラゾール-1-イル)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート(シスとトランスの異性体)110mgを得た(収率25%)。
LC-MS: 370 (M++H+), C16H24BrN3O2 精確質量: 369.11。
工程7 t-ブチル (R)-2-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレート
標題化合物は、浅黄色の固体で、実施例3の工程6で説明された条件で(R)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン-2-アミンから製造した。
工程8 (R)-5-(1-(6-アザスピロ[3.5]ノナン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル)-3-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-2-アミン
標題化合物は、灰白色の固体で、実施例3の工程7で説明された条件で、t-ブチル (R)-2-(4-(6-アミノ-5-(1-(2,6-ジクロロ-3-フルオロフェニル)エトキシ)ピリジン-3-イル)-1H-ピラゾール-1-イル)-6-アザスピロ[3.5]ノナン-6-カルボキシレートから製造した。
LC-MS: 490 (M++H+). C24H26Cl2FN5O 精確質量: 489.15。
生物化学評価
式Iの化合物の阻害活性は、米国のペンシルベニア州のMalvern市のOGV通りのReaction Biology社(Reaction Biology Corporation, One Great Valley Parkway, Malvern, PA, USA)で検出された。ヒトALKおよびcMet酵素が使用され、基質がペプチドで、ポリ[Glu:Tyr](4:1)の濃度が0.2mg/mlであった。ATPのテスト濃度が10μMで、基準物としてスタウロスポリンを使用し、ALKおよびcMetでは、IC50はそれぞれ2.3nMおよび75nMであった。
以上、好ましい実施例が記載され、且つ図面に示されたが、当業者なら、本発明の範囲内で変更を行えることが当然である。このような変更は、本発明の範囲内に含まれる可能な変更とされる。