最初に本発明の実施形態を列記して説明する。本発明の食材の加熱冷却調理器は、食材を載せて加熱調理する調理面を有する加熱調理部と、前記調理面側とは反対側に設けた冷却プレートとを具備している。これにより、調理プレートの温度を急速に冷却させることが可能になり、また、調理プレートの下方の部材が過熱する問題を抑えることができる。上記した本発明の食材の加熱冷却調理器においては、前記冷却プレートが、前記加熱調理部の下面に当接する位置と前記加熱調理部の下面から離間する位置との間で往復動自在であるのが好ましい。これにより、調理プレートの温度をより急速に冷却させることが可能になる。また、前記冷却プレートは、前記加熱調理部に当接する側の面に介在層を有してもよい。これにより、当接面が有する隙間によって生じる伝熱抵抗を減らすことができる。
次に、本発明の加熱冷却調理器の一具体例を図1を参照しながら説明する。図1に示す加熱冷却調理器は、食材Fを載せて加熱調理する調理面10aを有する加熱調理部10と、この加熱調理部10における調理面10aとは反対側に設けられた冷却プレート20とからなる。この加熱冷却調理器は、1又は複数の支持部材30によって支持されている。支持部材30は、加熱調理部10の下面で支持するのが好ましく、支持部材30の位置に応じて図1に示すように冷却プレート20に貫通孔を設けてその中に支持部材30を挿通させる。
加熱調理部10は、例えば図2(a)に示すように、上面に調理面が形成された調理プレート11と、該調理プレート11の調理面11a側とは反対側に設けられ、調理プレート11を下から支持する支持プレート12と、これら調理プレート11と支持プレート12との間に挟持された面形状の発熱部13とで構成することができる。調理プレート11を上から見た時の平面視形状は特に限定するものでなく、円形、楕円形、矩形などの任意の形状を有することができる。また、支持プレート12を上から見た時の平面視形状は、調理プレート11と同じ平面形状を有しているのが好ましく、これにより調理プレート11の下面を全面に亘って均等に支持することができる。
あるいは、加熱調理部10は、例えば図2(b)に示すように、上面に調理面111aが形成された調理プレート111と、この調理プレート111において調理面111aとは反対側の下面にメタライズ法などで成膜した層状の発熱部113とで構成してもよい。調理プレート111を上から見た時の平面視形状は上記した調理プレート11と同じように、円形、楕円形、矩形などの任意の形状を有することができる。
上記した調理プレートや支持プレートの材質は、加熱調理部10の調理面10aで調理する調理メニューの内容により適宜選定してもよいが、セラミックスやセラミックスを含む複合体、あるいは金属を用いるのが好ましい。セラミックスやセラミックスを含む複合体は機械加工精度に優れることから、調理プレートに使用することによって、調理面の平坦性を良好に維持できるからである。また、セラミックやその複合体は、剛性(ヤング率)に優れ、板厚を薄くしても変形しない等の特徴があり、従来の分厚い鉄系材料に比較して調理プレートとしての熱容量を小さくし、昇降温速度を速めることが可能となる。特に、セラミックスやその複合体の中でも比較的熱伝導率の高い材質を選定するのがより好ましく、これにより調理面の平坦性や熱容量小を維持しながら、良好な温度均一性を実現することができる。
一方、金属は汎用的でコストパフォーマンスに長ける他、熱伝導率の高い材質を選定することで調理面において特に優れた温度均一性を確保することができる。調理プレートに金属を使用する場合、調理温度によっては平坦性の維持のため従来は分厚くする必要があったが、例えば図2(a)のように支持プレート12を設けて、その材質に剛性に優れるセラミックスプレートを選定することにより、調理プレートが金属であっても平坦性を良好に維持することが可能になる。
上記したように、加熱調理部10を構成する調理プレートや支持プレートには、調理面での高い温度均一性の確保の観点から熱伝導率の高い材料を使用するのが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、金属では銅やアルミニウムを挙げることができ、セラミックやその複合体では炭化珪素、窒化アルミニウム、及びこれらを含む例えばSi−SiC、Al−SiCなどの複合体を挙げることができる。
特に、図2(a)のように調理プレート11と支持プレート12とを組み合わせる場合は、少なくともどちらかが剛性の高い材料からなるのが好ましく、例えば上記した材質の中では窒化アルミニウム、炭化珪素、又はこれらのセラミックスを含む複合体であることが好ましい。これは、調理プレート11と支持プレート12とを組み合わせる場合、これらの材質を両方共たとえばアルミニウムなどの比較的剛性の低い材料同士で構成すると、ヒートサイクルがかかった時に変形等の問題が発生し易くなるからである。このように、調理プレートや支持プレートが変形すると、後述する冷却プレートや面状ヒーターとの密着性が変化したり、調理面の平面度が変化したりして、調理面の温度が局所的に不均一になるおそれがある。
この様に、調理プレート11と支持プレート12の材質が異なる場合もあり、また、後述するように冷却プレート20を加熱調理部10の下側で往復動させる際や、低温の食材を調理面に投下した際は、調理プレート11と支持プレート12と間に一時的に温度差が生じるため、調理プレート11と支持プレート12と間で熱膨張量や熱収縮量に差が生じて反りなどの問題が生じうるため、調理プレート11と支持プレート12とは機械的に結合するのが好ましい。具体的な結合方法としては、例えば両部材をネジ止めしたり、両部材にバネを架け渡したりすることによる固定が挙げられ、安定性という面でネジ止めが最も好ましい。
ネジ止めでは、例えば調理プレート11の下面に1又は複数のネジ穴を設けると共に、支持プレート12及び発熱部13においてこのネジ穴に対応する位置に貫通孔を設ける。そして、支持プレート12の下側からボルトを挿通して上記ネジ穴に螺合させることで調理プレート11と支持プレート12とを機械的に結合することができる。
調理プレート11に設けるねじ穴は止まり加工とし、貫通させないように留意する。このネジ穴が貫通していたり、また調理面11aからボルトの先端部が露出したりすると、当該部位から油分や水分が入り込み、発熱部13のショート等の問題が生じうるからである。なお、調理プレート11及び支持プレート12が各々の熱膨張係数に応じて自在に熱膨張や熱収縮ができるように、機械的結合部に例えばベアリングを介在させることが好ましい。
具体的には、図3に示すように、ボルト14の頭部14aと支持プレート12の下面とをベアリング15を介して係合させるのが好ましい。これにより、調理プレート11と支持プレート12とが互いの対向面に対して略平行な方向に相対移動することが可能になる。なお、図2にはボルト14の頭部14a側にベアリング15用の溝を設ける例が示されているが、支持プレート12の下面にベアリング15用の溝を設けてもよい。また、支持プレート12及び発熱部13に設けるボルト14挿通用の孔の内径は、調理プレート11と支持プレート12との熱膨張差を考慮してボルト14の先端部の外径よりも大きくするのが好ましい。
発熱部13は、導体に電気を流したときに発生するジュール熱によって調理面11aに載せられた食材を加熱する層状の抵抗発熱体からなり、ステンレスやニッケル−クロムなどからなる金属箔にエッチングやレーザー加工を施すことにより、渦巻状や蛇行状等の発熱体回路パターンを有する抵抗発熱体が得られる。この発熱体回路パターンは、調理する食材の種類や調理プレートの設置環境を考慮して調理面11a内で相対的に密度変化を与えるように構成することができる。例えば、円板状の調理プレートでは外周縁からより多く放熱することを考慮して、外周部の発熱密度を中央部の発熱密度よりも高く設計することで、より均一な面内温度分布を得ることができる。
このような局所的に異なる発熱密度の設計は、例えば発熱体回路パターンのピッチを外周部が中央部より密にすることで実現できる。あるいは、このように一つの発熱回路内で設計する場合の他、円板状の調理プレート11の場合は、同一面内の例えば中央部と外縁周に別々の抵抗発熱体を設けたり、周方向に分割した角度領域毎に抵抗発熱体を設けたりすることでも実現可能である。この場合、分割した領域毎に温度を検知して制御を行うべく、領域毎に温度センサを設けてもよい。
温度センサの取り付け方法としては、例えば熱電対を使用する場合は、その先端部が調理プレート11内の所定の位置に到達するように、調理プレート11の裏面に凹部を設けると共に、発熱部13においてこの凹部に対応する位置に貫通孔を設けてそこから凹部に向けて温度センサを挿通するのが好ましい。なお、温度センサは熱電対でもよいし、測温抵抗体でもよい。また、支持プレート12を設ける場合は、この支持プレート12にも凹部に対応する位置に貫通孔を設けることになる。
発熱部13は、単層だけで構成してもよいし、複数層で構成してもよい。複数層で構成する場合は、例えば温度制御を目的とした層状の抵抗発熱体に加えて、これと厚み方向で異なる位置に、設定温度の変更時にのみ電力を供給するための層状の抵抗発熱体を別途設けることができる。この場合、二つの抵抗発熱体の間には、電気的な絶縁を目的とした絶縁シートを介在させることが好ましい。
更に、発熱時に抵抗発熱体で発生した熱の伝達や冷却時の調理プレートの熱の伝達を速やかにするため、調理プレート11や支持プレート12との間に空隙が生じないように配置することが望ましい。この部分に空隙が生じていると、発熱部13で加熱する時に空隙部が膨張し、抵抗発熱体の剥離や絶縁破壊の原因となる上、熱媒体がない状態になり異常発熱の原因にもなる。
なお、調理プレート11や支持プレート12の材質が導電性の場合は、抵抗発熱体との電気的絶縁を目的とした絶縁シートを介在させる必要がある。この絶縁シートは可能な限り高熱伝導率のものを使用することが望ましい。絶縁シートの熱伝導率が高ければ、抵抗発熱体の発熱体回路パターンや調理プレートの形状、構造、設置環境などによって生じうる温度分布を小さくすることができ、より均熱性の高い加熱調理器を提供することができるからである。この絶縁シートに熱伝導率が低いものを選択する場合は、その厚みを絶縁性が確保される範囲で極力薄くするのが好ましい。このように、絶縁シートの厚みを薄くすることで、熱抵抗を抑えて速やかな熱伝達が期待できる。なお、図4には発熱部13の上下に絶縁シート16を設けて調理プレート11及び支持プレート12の両方から発熱部13を電気的絶縁した例が示されている。
絶縁シートは、調理プレート11や支持プレート12に比較して柔軟であるのが好ましい。このように柔軟であれば、調理プレート11や支持プレート12において、発熱部との対向面における平面度のばらつきなどにより生じる僅かな空隙を埋めることができ、この空隙に起因する局所的な伝熱抵抗を減らすことができる。その結果、調理プレート11や支持プレート12が有する高い熱伝導や熱容量等の特性を最大限に引き出し、調理面での均熱性が高く、設置環境などの外乱に対して安定性のある加熱調理器を実現することができる。
絶縁シートの材質には、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、セラミックス繊維シート、マイカなどから選択することが出来る。シリコーン樹脂はその柔軟性を活かして加熱調理器の均熱性の向上に寄与することができ、フッ素樹脂やポリイミド樹脂、セラミックス繊維シート、マイカなどは200℃を超える温度域であっても用いることが出来る。特にマイカは500℃を超える温度域であっても用いることができる上、電気絶縁性に優れることから高温域で用いるのに好適である。
マイカと抵抗発熱体とは、熱圧着により一体化させることが出来るという点にもいても好ましい。このように一体化することにより、絶縁シートと抵抗発熱体との密着性が増し、これらの界面の伝熱抵抗を下げることができる。その結果、局所的な伝熱抵抗を減らして調理プレート11や支持プレート12が有する優れた熱伝導性や熱容量の効果を最大限に引き出すことができる。更に、一体化によって抵抗発熱体が熱的負荷により膨張収縮を繰り返す際、平面方向の位置ずれなどが生じにくくなり、信頼性の高い加熱調理器を製造することが出来る。
また、抵抗発熱体において、発熱体回路パターンの隣接するライン同士の間の空隙が伝熱抵抗の原因に成り得るため、この空隙を充填することが望ましい。この場合、上述したような柔軟な絶縁シートで充填してもよいが、発熱体回路パターンのラインや空隙が密になればなるほど、絶縁シートによる充填は困難になる。この場合は、絶縁シートと抵抗発熱体との間、及び隣接するライン同士の間の空隙を接着性材料で充填するのが好ましい。この接着性材料には、熱可塑樹脂やポリイミドなどの熱硬化性樹脂を含有したフィルム、ワニスなどが有効である。これらを絶縁シートと抵抗発熱体との間に配置して最適な温度、圧力条件で熱圧着することで、良好な熱接触を維持した発熱部13を製造することが出来る。
また、例えばエッチング加工で発熱部13の発熱体回路のパターンを作製する際、隣接する両ラインの間の空隙を埋めるように、発熱体回路から電気的に絶縁した金属箔層を形成してもよい。この金属箔層は、発熱体回路と同じ素材、同じ肉厚で形成することができるので、前述した絶縁シートよりも熱伝導率を高くすることができる。よって、調理プレート11と支持プレート12とで挟持された発熱部が持つ伝熱抵抗を小さくすることができる。また、前述したように調理プレート11と支持プレート12とを機械的結合する際、ねじ止め部の周辺に金属箔層を設けておくことで、発熱部13が設けられている部分における厚みを均一化し、ねじ止め時のネジの軸方向の力によるプレートの変形を防止することにも寄与する。
なお、上記した絶縁シートと支持プレート12もしくは調理プレート11との間に、調理プレート11や支持プレート12に比較して柔軟で且つ平面方向の熱伝導率が高い高熱伝導シートを配置しても良い。この高熱伝導シートには、例えばアルミシート(100〜250W/m・K)、銅シート(400W/m・K)、グラファイトシート(200〜1700W/m・K)などを使用することができる。
本発明の加熱調理器は、上記した加熱調理部10の調理面10aとは反対側に冷却プレート20を有している。冷却プレート20は、例えば加熱調理部10の平面視形状と略同一の平面視形状を有する金属製の板状部材で構成されている。冷却プレート20には冷媒の流路が形成されており、これにより加熱調理部10を効率的に冷却することができる。
冷却プレート20の冷媒流路は、例えば図5(a)に示すように、金属製の板状部材21において加熱調理部10に当接する当接面21aとは反対側の面に金属製のパイプ22を配置し、このパイプを覆うように押さえ板23を設けて該押さえ板と板状部材とをネジなどの機械的結合手段24により機械的に結合することで形成することができる(以下、パイプ式と称する)。
あるいは、図5(b)〜(c)に示すように、金属製の略同形状の2枚の板状部材25a、25bを用意し、その一方の片面に機械加工で流路となる溝26を形成し、この流路形成面を覆うように他方を重ね合わせ、これらを例えばロウ付けなどの結合手段で一体化することで形成することができる(以下、ロウ付け方式と称する)。
このロウ付け方式では、図5(b)〜(c)に示すように、重ね合わせる2枚の板状部材25a、25bの内の一方にのみ流路となる溝26を加工しても良いし、図5(d)に示すように、両方の板状部材25a、25bに流路となる溝26を加工しても良い。なお、このロウ付け方式では冷媒が直接板状部材に接するため、パイプ方式に比べて熱交換の効率が高く、高速に冷却するのに好適である。
冷媒流路にパイプを用いる場合は、上記したパイプ式の他、図5(e)に示すように、金属製の板状部材27において加熱調理部10に当接する当接面27a
とは反対側の面にリング状や渦巻き状のザグリ溝28を設け、この中に例えば渦巻き状に成形したCuパイプ29を設置してもよい。このCuパイプ29は、金属製の板状部材との良好な熱伝達を確保するため、コーキング材、シーラント、接着剤などによりCuパイプの外表面とリング状ザグリ加工面とを接着固定するのが好ましい。Cuパイプ29の終端の開口部には、例えばステンレス製の継ぎ手(図示せず)を取り付けて、ここから水などの冷媒を流通させることで冷却プレートの温度を一定に保つことが出来る。
あるいは、加熱調理部10が調理プレート及び支持プレートと、これらに挟持される発熱部とで構成される場合は、図6(a)〜(b)に示すように、支持プレート212内に冷媒流路226を形成してもよい。この流路付き支持プレート212の作製は、上記した冷媒流路を備えた冷却プレートの作製の際に行ったロウ付け方式を適用することができる。この場合、発熱部213は調理プレートおよび支持プレートの発熱部213と接する面が絶縁体または絶縁膜が施されている場合に限り、図6(a)に示すように絶縁シートを介さずに設けてもよいし、図6(b)に示すように絶縁シート216を上下に設けてもよい。この場合、図6(a)の発熱体の取り付け方を回路焼成法と称することがあり、図6(b)の発熱体の取り付け方を回路積層法と称することがある。
上記した冷却プレート20の材質は、熱伝導性の良い銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、チタン、及びこれらを主成分とするステンレスなどの合金からなる群から選択することが好ましい。これらの中では、特にアルミニウムが、優れた熱伝導率を有していることに加えて、比重が小さくて機器の軽量化が可能になるのでより好適である。なお、冷却プレートには必要に応じて耐食性や耐酸化性の高いNiめっきなどの表面処理を施してもよい。また、冷却プレート20には、前述した抵抗発熱体への給電配線や温度センサを挿通するための貫通孔や切り欠きを設けてもよい。
冷却プレート20は、図7(a)〜(b)に示すように、上下方向に往復動自在となるように構成してもよい。このように冷却プレート20を往復動自在にすることで、図7(a)に示すように冷却プレート20を加熱調理部10から離間させたり、図7(b)に示すように冷却プレート20を加熱調理部10に当接させたりすることができ、より効率的に加熱及び冷却を行うことができる。冷却プレート20の往復動は手動でもよいが、エアシリンダやモータ駆動などを用いた昇降機構を用いて自動的に往復動するのが好ましい。
図8に示すように昇降機構31を用いて冷却プレート20を往復動させる場合は、加熱調理部10の設置環境や許容される重量や寸法などの制約の下、なるべく加熱調理部10への接触推力が大きいのが好ましい。これにより、冷却プレート20と加熱調理部10との当接面に生じる伝熱抵抗を小さくすることができ、所要冷却時間を短縮することができる。更に、局所的な伝熱抵抗を排除することで面内温度分布を向上することが可能になる。具体的には、エアシリンダなどの昇降機構31の推力が、冷却プレート20の重量以上であることが望ましい。エアシリンダの昇降機構31に加えて、冷却プレート20が加熱調理部10に当接した直後に、これらの当接面同士の間を真空吸着により吸着して密着性を高めてもよい。これにより、より速やかに冷却することができる。
冷却プレート20を往復動させる場合は、冷却プレート20の材質に銅を使用するのが好ましい。銅は熱容量が大きいため、当接/分離する構造に於いては被冷却物から奪う熱量が大きく、高速に冷却するのに好適であるからである。なお、銅は比重が高く重量が大きくなるので、重量制限がある場合やハンドリングの観点から好ましくないケースがある。このような場合はアルミニウムを用いればよい。
更に、図9に示すように冷却プレート20を加熱調理部10の下面から離間させた位置に固定し、加熱調理部10の下面に当接する位置と冷却プレート20の上面に当接する位置との間で板状の冷却ブロック32を往復動させてもよい。これにより、熱調理部10をより急速に冷却することが可能になる。すなわち、流路のない冷却ブロック32を加熱調理部10と冷却プレート20との間で頻繁に往復動させることで冷却ブロック32の温度を低温状態に維持することができ、よって加熱調理部10と冷却ブロック32との温度差を十分に大きくとることができるので、より急速に冷却することができる。なお、このような冷却方法を間接冷却方式と称する。
冷却ブロック32の材料やサイズには上記した冷却プレート20と同様のものを使用することができるが、具体的な冷却ブロック32のサイズは調理器に与えられたスペースやコストを考慮して適宜選定される。なお、加熱調理部10と冷却プレート20との間を往復動させる冷却ブロック32に冷媒流路を設けないことにより、冷却ブロック32の当接の際、当接面の全面に亘って均等に伝熱を行うことが可能になり、よって冷却時に調理面において温度分布が付きにくくなるという効果も期待できる。
上記した冷却プレート20の冷媒流路に流す冷媒には、水の他にエアやフッ素系冷媒等、所望の温度範囲を得るために適宜選定することができる。調理器具の設置される例えば厨房等を考慮すれば、最も汎用的に利用できる冷媒は水である。この他、コンプレッサー等で連続的に送風したり、フッ素系冷媒等の不凍液を低温仕様のチラー等で温調することにより冷却能力や零下を含む温度帯を選定できる。
冷却プレート20において加熱調理部10と当節する面には、図5(a)〜(e)に示すように、厚み方向に変形可能なクッション性に富んだ介在層33を設けてもよい。介在層33は冷却プレート20において加熱調理部10に当接する面に配置してもよいし、加熱調理部10において冷却プレート20に当接する面に配置してもよいし、或いはその両面に配置してもよいが、冷却プレート20において加熱調理部10に当接する面に設けるのが好ましい。これは、加熱調理部10において冷却プレート20と当接する面では、常に一定の熱負荷が加わることにより、熱履歴による介在層33の損耗やヒーターの使用温度によっては連続的な耐熱性の観点から、介在層33やその取付方法が限定されてしまうためである。
介在層33は、発泡金属あるいは金属メッシュ、グラファイトシート、フッ素樹脂、ポリイミド、シリコーン樹脂等の耐熱性を有する材料が好ましい。この介在層33は熱伝導率が高いことが望ましい。特に熱伝導率は1W/m・K以上であることが好ましい。1W/m・K未満であれば、熱抵抗が大きくなり冷却速度が遅くなってしまうためである。例えばカーボンなどの熱伝導フィラーを含有した樹脂を用いることで、熱抵抗が小さくなり高速に冷却するには好適である。
更に、介在層33は柔軟性を有していることが好ましい。柔軟性がなければ、冷却プレート20を加熱調理部10に当接させた際、各当接面の平面度などを充分に吸収することができず、局所的に空隙が残ることで冷却時の温度ばらつきを抑えることが出来なくなるからである。これらにより、柔軟性を有し、加熱調理部10および冷却プレート20の当接面の平面度や、機械加工によって発生する部分的な凹凸、突起、傷、ばり、かえり、異物などの表面状態を吸収することができる材質として、上述の中でも特にシリコーン樹脂が好ましい。
介在層33の厚みは加熱調理部10において冷却プレート20に当接する面の平面度と、冷却プレート20において加熱調理部10に当接する面の平面度の和よりも厚いことが好ましく、且つ0.1mm〜3mm以内であれば尚良い。0.1mmを下回ると、加熱調理部10において冷却プレート20と当接する面の平面度および冷却プレート20において加熱調理部10と当接する面の平面度の総和を0.1mm未満にしなければ局所的な空隙を生じさせることになり好ましくない上、このようにシビアな管理が必要であることは、機械加工精度やコストの観点から量産性に優れず、また介在層33そのものが薄すぎてハンドリングが困難になるなど、安定して製造することに支障をきたすためである。また、3mmを越えると冷却時の伝熱抵抗が増え過ぎ、冷却速度が遅くなる上、ユニットをコンパクトにする上で律速となり得るためである。
加熱調理部10において冷却プレート20と当接する面の平面度と、冷却プレート20において加熱調理部10と当接する面の平面度は各々0.5mm以下にすることが好ましい。0.5mmを越えると介在層との接触性の維持が困難なことと、接触性を維持するために介在層を厚くすることがかえって伝熱抵抗を増大させ、冷却速度が遅くなる恐れがあるためである。尚、加熱調理部10において冷却プレート20と当接する面の平面度と、冷却プレート20において加熱調理部10に当接する面の平面度の総和が0.1mm以下であれば好適である。このようにすることにより、介在層の厚みは理論上0.1mmまで薄くすることができ、そうすることで熱抵抗が小さく高速で冷却できるようになるためである。
更に、介在層33の配置領域は冷却プレート20において加熱調理部10との当接面の面積の10%以上90%以下であることが好ましい。これは10%未満であれば当接面積が小さくなりすぎて冷却速度が遅くなるためである。また、90%を越える場合においては、面内で必要な分布を形成することが困難になるためである。
介在層33の取付方法としては、固定できれば特に制約はないが、例えば接着剤、両面テープ、粘着性樹脂などの群から選択して接着により取り付けることができる。何れも、薄く熱伝導率が高く熱抵抗が小さいものが望ましい。また、シートなど一定の寸法を有したものに関しては、ねじ止めなどにより機械的に固定しても構わない。
冷却プレート20と加熱調理部10との間で先述した冷却ブロック32を往復動させる場合は、当該冷却ブロック32において冷却プレート20に当接する面や加熱調理部10に当接する面にも介在層を配置してもよい。これにより、冷却ブロック32と冷却プレート20もしくは加熱調理部10との間の伝熱がより均一に行われるため、冷却時の過渡的な温度分布を軽減するという効果が得られる。なお、図1に示すように、加熱冷却調理器の周囲をステンレス製の容器34で囲ってもよい。
以上、本発明の加熱冷却調理器について具体例を挙げて説明したが、本発明は係る具体例に限定されるものではなく、本発明の主旨から逸脱しない範囲内で種々の変形例や代替例を考えることができる。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲及びその均等物に及ぶものである。
[実施例1、比較例1]
本発明に係る実施例として、図1に示すような加熱冷却調理器を製作した。加熱調理部10は図4に示す構造を採用した。具体的には、調理プレート11として縦600mm、横450mm、厚さ6mmのSi−SiC製の矩形板状部材を用意し、この調理プレート11の裏面に結合用のM3のめねじ穴を設けた。また、温度をモニタするための温度センサを埋設した。一方、支持プレート12として縦600mm、横450mm、厚さ6mmのアルミニウム製の矩形板状部材を用意し、支持プレート12に結合用のM3ねじ用の貫通穴を設けた。また、発熱部13としてステンレス製の金属箔に発熱体回路のパターンを形成し、その終端部に給電ケーブルを取り付けた後、絶縁シート16としてポリイミドで絶縁被覆したものを用意した。
調理面側より、これら6mm厚の調理プレート11、発熱部13、及び6mm厚の支持プレート12を重ね合わせ、調理プレート11と支持プレート12とをM3ねじで機械的に結合することで加熱調理部10を作製した。なお、熱膨張量差から生じるプレートの変形を防止するため、上記M3ねじには図3に示すようなベアリングを備えたねじを使用した。
冷却プレート20としては、縦600mm、横450mm、厚さ10mmのアルミニウム合金板の矩形板状部材を用意し、その片面に直径6mm、内径4mmのリン脱酸銅パイプを配置し、ねじにより固定した。また、このパイプの両端には冷媒を供給・排出するための継ぎ手を取り付けた。さらに、上記した加熱調理部10の給電配線及び温度センサを挿通させる貫通孔と、加熱調理部10を支持する支持部材30を挿通させる貫通孔とを形成し、冷却プレート20を完成させた。この冷却プレート20を支持プレート12に当接させたり、支持プレート12から離間させたりできるように、エアシリンダを取り付けた。
更に、加熱調理部10及び冷却プレート20の周囲を囲うステンレス製の容器34を作製した。この容器34の側壁部分は厚さ1.5mm、底面部分は厚さ3mmとした。また、上記した加熱調理部10の給電配線及び温度センサを挿通させる貫通孔を設けた。そして、支持部材30を容器34の底面に固定し、給電配線等を挿通させて実施例1の調理器を完成させた。なお、この加熱冷却調理器では、支持プレート12の下面と冷却プレート20の上面との距離(クリアランス)を10mmとした。
比較のため、図10に示すように、支持プレート12の下面から10mm離間した位置に、冷却プレート20に代えて縦600mm×横450mm×厚み2mmのステンレス板を遮熱板40として設け、更に遮熱板40の下面から8mm離間させた位置が上記と同様のステンレス製の容器34の底部となるようにこれら加熱調理部10及び遮熱板40を設置した以外は上記した実施例1と同様にして比較例1Aの調理器を完成させた。また、支持プレート12と遮熱板40の間の離間距離を20mmとした以外は上記した比較例1と同様にして比較例1Bの調理器を完成させた。
これら3種類の調理器を常温から250℃まで昇温させた後、250℃で保持した。この際、実施例1の冷却プレート20にはチラーで25℃に設定した水を1L/minの流量で通水した。保持してから1時間後の定常状態でのステンレス製の容器34の下部温度を測定した。次に、250℃定常状態である調理プレート11の下面に冷却プレート20の上面を当接させて急冷させた。この際の250から150℃までの所要時間を計測した。この際、150℃に到達した際の調理プレート11の調理面11aの温度を接触式温度計を用いて計測し、面内30ヶ所の最大温度−最小温度=温度ばらつき(均熱レンジ、℃)を算出した。なお、比較例1及び2の調理器は冷却プレート20を具備していないため自然放冷させた。
更に、冷媒に不凍液を使用し、これをチラーで−20℃に温調して冷却プレート20に循環しながら、調理プレート11の調理面11aでチルド調理を行った。この際、結露防止のためドライエアを供給した。また、支持プレート12の代わりに冷媒を流水させていない状態の冷却プレート20を配置して調理プレート11と連結した以外は上記実施例1と同様にして温調しながら調理を行った。上記の実施例1及び比較例1A、1Bの結果を下記表1に示す。
上記表1からわかるように、比較例1A及び1Bでは、調理プレート11の温度が250℃における定常状態で、ステンレス容器の下部の温度が65〜90℃と高温となった。これに対し、冷却プレート20を設けた実施例1では同温度が35℃となった。
比較例1A及び1Bの結果からわかるように、遮熱板40と支持プレート12との離間距離を大きくとってもステンレス容器の下部温度が高温になることが判った。これは対流や容器側壁からの熱伝達の影響であり、これら高温環境は、調理プレートを制御するための温度調節器等の電子機器の設置環境としては好ましくない。一方、冷却プレート20を設置した実施例1では、ステンレス容器の下部温度は35℃となり、コンパクトで簡易な構造で電子機器類の設置環境を良好に維持できることがわかった。
[実施例2、比較例2]
比較例2として、上記実施例1で作製した加熱調理部10に冷却プレート20を具備せずに、自然放冷により250から150℃までの冷却を行った場合の所要時間を測定した。また、実施例2A〜2Lとして、上記実施例1で作製した加熱調理部10の下方に設ける冷却プレート20に、パイプ方式、ロウ付け方式、及び間接方式の3種類の冷却方式と、AlとCuの2種類の材質と、介在層の有無とを組み合わせた12通りの冷却プレート20を用意し、これら12通りの冷却プレート20でそれぞれ冷却した場合の同様の所要冷却時間を測定した。それらの測定結果を、3種類の冷却方式の構造、材質、及び冷却プレート20と支持プレート12との当接面のクッションシートによる介在層の有無と共に下記表2に示す。ここで、クッションシートはフィラー入りシリコーン樹脂シート(熱伝導率=5W/m・K)を使用した。
上記表2からわかるように、比較例2では調理プレートを250から150℃までのΔ100℃の冷却に1207秒、凡そ20分間掛かっていた。これに対し、冷却プレート20を具備した実施例2A〜2Lの場合は冷媒流路の構成により多少異なるものの、全て75〜130秒の範囲内に収まっており、比較例2に比較して凡そ10倍程度高い冷却性能を示した。
冷却プレート20を用いて冷却させた実施例2A〜2Lの場合に於いては、冷却方式がロウ付け方式>パイプ方式>間接方式の順に高性能を示した。ロウ付け方式は、冷媒として流水している水が冷却プレート20の熱を直接奪うように熱交換がなされる上、当接時も常にフレッシュな水が供給されるので最も顕著な冷却効果が得られた。更に、冷却プレート20の材質は、AlよりCuの方が冷却速度が早いことがわかった。これは、AlよりもCuの方が熱容量が大きいため、一度に奪える熱量が大きいことによるものと考えられる。
また、クッションシートの有無については、クッションシート無しの方が、クッションシート有りよりも冷却速度が僅かに速くなることがわかった。これは、クッション層を介在することにより、支持プレート12と冷却プレート20の互いの当接面間の僅かな空隙を埋め、当接時の有効的な接触面積が増えるという効果が得られるものの、クッション層が伝熱抵抗となったことによると考えられる。
これら実施例2A〜2L及び比較例2の結果より下記のことが分かる。すなわち、従来の加熱調理器では冷却は自然放冷に頼るのみであり、また、調理施設(厨房等)では調理メニューにより温度を変更することが一台の機器では出来ず、複数台準備する必要があった。また、一台でこなそうとすると温度変更に掛かる時間が長くなり、消費者を待たせる等の不都合があった。これに対して本発明の加熱調理器は、冷却プレート20を具備することにより、一台の機器で素早く温度変更が可能となり、調理温度の異なる複数のメニューを短時間で提供することが可能になる。また、閉店のための後始末の際、従来の加熱調理器では室温近傍まで冷めるのに何時間も待つ必要があったが、本発明では短時間で室温にまで温度を下げることが出来るようになり、業務の効率化に寄与する。
[実施例3、比較例3]
比較例3として、上記実施例1で作製した加熱調理部10に冷却プレート20を具備せずに自然放冷により250から150℃までの冷却を行い、150℃で静定した際の調理プレート11の調理面11aの温度分布を測定した。また、実施例3A〜3Lとして、加熱調理部10に上記実施例2で作製した12種類の冷却プレート20を下方に設けた場合において、それぞれ上記比較例3と同様の条件下での温度分布を測定した。これらの結果を、実施例3A〜3Lの冷却機構、冷却プレートの材質、及び冷却プレート20の支持プレート12との当接面のクッションシート介在層の有無と共に下記表3に示す。ここで、クッションシートは実施例2と同様のフィラー入りシリコーン樹脂シート(熱伝導率=5W/m・K)を使用した。
上記表3からわかるように、比較例3では、調理プレート11を250から150℃まで冷却した後の調理プレート11の調理面11aの温度分布が12.2℃となり、その温度分布は外周が低く、内周、特に中心が高い傾向にあった。これは、調理プレート11の調理面11aの中心に対して外周の方が相対的に外気に触れている表面積が大きく、且つ側壁からの温度垂れ、放熱が影響しているものと考えられる。
これに対し冷却プレート20を具備した実施例3A〜3Lの場合は、冷却プレート20の構成により多少異なるものの、2.2〜6.7℃と比較例3に比べて凡そ2倍〜6倍の高い均熱性能を示した。また、冷却プレート20の冷却方式については、間接方式>パイプ方式>ロウ付け方式の順に高性能を示した。これは、外乱因子となる水が直接流れていない間接方式に用いた冷却ブロックが、熱板として温度分布低減に寄与したことが考えられる。
更に、冷却プレート20の材質がCuの方が、Alに比較して温度分布を低減できることが判った。これは、冷却プレート20の熱容量はCuの方が大きく、外乱への耐性があること、またCuの高熱伝導率により、面内温度分布低減に寄与したことと考えられる。また、クッションシートの有無については、クッションシートを介在させた方がクッションシート無しに比較して良好な結果が得られた。これは、クッションシートの弾力性が、当接面の平面形状のミスマッチによる僅かな空隙を充填し、均一な熱伝達を実現した結果と考えられる。
これら実施例3A〜3L及び比較例3の結果より下記のことが分かる。すなわち、従来の自然放冷で冷却させる調理プレートでは、冷却後の温度分布が生じていることから、単に冷却時間だけではなく、冷却後に温度分布を安定させるための時間が必要である。これに対し、本発明では冷却プレートを具備することにより素早く温度変更を行いつつ、面全体が金属の均熱板が当接していることも寄与して、温度変更後の調理面の温度分布が良好となる。これにより、温度変更直後に調理面全体を使い、例えばパンケーキを複数枚焼く等の調理を行っても、調理プレート面内の温度分布が安定していることから焼きムラや焦げ等がなく、面内で均質な調理を同時に行える。
[実施例4、比較例4]
上記実施例1の支持プレート12に代えて図6(b)のように冷媒流路226を備えた支持プレート212を配置した以外は上記実施例1と同様にして実施例4A〜4Hの調理器を作製した。この冷媒流路226には冷媒を循環させずに250℃まで昇温させた。250℃で安定した状態で接触式温度計を用いて調理プレート表面内30ヶ所の温度を測定し、その最大温度−最小温度=面内温度分布(定常均熱レンジ、℃)を算出した。
続いて、250から150℃の冷却を行い、Δ100℃冷却の所要時間を計測した。この際、冷媒として水を供給した場合と、エアを供給した場合の2通りの実験を行った。また、水を冷媒とした場合に於いては、冷却終了時にエアに切り替え、流路内の残留水を排出させた。また、比較例4として、上記実施例1で作製した加熱調理部10に冷却プレート20を具備しないものを用意し、上記実施例4A〜4Hと同様に昇温、冷却を行った。これらの結果を下記表4に示す。
上記表4からわかるように、比較例4では250℃定常で均熱レンジ8.9℃であったのに対し、実施例4A〜4Hではパイプ式、ロウ付け式の何れに於いても良好な結果となった。比較例4の支持プレートが6mm厚であるのに対し、実施例4A〜4Hの支持プレート兼冷却プレートでは10mm厚と厚くなり、熱容量が増し外乱への耐性が向上したことが寄与したものと考えられる。更に、支持プレート兼冷却プレートの材質をCuとした場合、上述の他、アルミニウムに比較して2倍弱となる高熱伝導性が均熱レンジ低減に寄与したものと考えられる。
冷却速度に関しては、水を冷媒とした場合は比較例に対し凡そ9倍の冷却性能を示した。また、エアを冷媒とした場合は比較例に対し凡そ4倍の冷却性能を示した。以上の結果より、冷却性能を重視したい場合は冷媒に水を用いることが好適であるが、高温域、且つ冷却温度範囲が広い場合は、冷却プレートの温度が高温になり水の沸点を超えて突沸する可能性がある点を念頭においておく必要がある。