JP6060102B2 - インクジェットインク及びその作製方法並びにインクジェットインクを用いた印字方法 - Google Patents
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Description
上記において、前記水溶性有機溶剤は、グリセリン、プロピレングリコール及びエタノールから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
上記において、前記分散機としてビーズミルを用い、前記ビーズミルの分散メディアがガラスビーズであることが好ましい。
なお、前記水溶性有機溶剤に、あらかじめ樹脂を溶解させた後、前記第三の工程を経て作製することとしてもよい。また、前記水溶性有機溶剤は、グリセリン、プロピレングリコール及びエタノールから選択される1種又は2種以上であることが好ましい。
また、本発明の印字方法においては、前記インクジェットインクを前記インクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させる際に、脱泡、温度調整などを行うことができる。
さらに、本発明の印字方法においては、前記ドロップオンデマンドインクジェット装置としてインクジェットヘッドを少なくとも2台備えたものを用い、前記インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に供している間、他の少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に適した状態で待機させておくことができる。
そして、所定の時間内にインクを吐出しないノズルに、一定間隔の時間でプリカーサをすることが好ましい。
また、インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に適した状態に維持しておくために、フラッシングやワイピングを行うことが好ましい。
また、当該循環の際には、温度調整、脱気、消泡を行うことにより、インクジェット装置中を循環するインクジェットインクの物性の変化や劣化を防ぐことができる。さらに、インクへの振動や圧力変動等に伴う、泡の発生や、気泡の発生を制御できるので、インクの吐出を安定化することができる。
さらに、ドロップオンデマンドインクジェット装置としてインクジェットヘッドを少なくとも2台備えたものを用い、前記インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に供している間、他の少なくとも1台は印字を行わせずにインクジェットインクの吐出に適した状態で待機させておくこととし、印字させるインクジェットヘッドと、印字させずに待機させるインクジェットヘッドとを所定の時間ごとに変更することで、吐出不良や飛び曲りを回避し、印字品質を保ち、さらに長期の連続した印字が可能となる。
これらの顔料は、平均粒子径が0.01〜10μmのものが好ましい。例えば、顔料の平均粒子径が10μmよりも大きいと、分散処理に時間がかかる、又は、安定に分散しにくくなるなどの問題が生じる恐れがある。とりわけ、分散処理では熱を発生し、分散処理を長時間行うと過剰に熱の影響を受けて、顔料を分散させるための高分子分散剤の特性を変えてしまう恐れがある。
これらの乳化剤は水や水溶性溶剤への溶解性を鑑みると、インクジェットインク全量を100重量部とするとき、0.1〜9重量部の範囲で使用することが好ましく、1〜5重量部で使用することがより好ましい。これらの範囲内では十分な分散効果を得ることができる。
また、これらの乳化剤のうち、非イオン活性剤は、印字対象物の種類に応じてインクジェットインクの親水親油バランス(HLB)を考慮して選択することが好ましい。例えば、印字対象物が食品等を包む包装用のフィルムである場合、HLBが8〜16、油脂分の多い食品に対しては、HLBが1〜2のようなインクジェットインクに調整すると印字の質が良好になる。
すなわち、まず、水、又は、水と水溶性有機溶剤との混合液に高分子分散剤を分散させる。とりわけ、高分子分散剤としてセルロース系樹脂を用いる場合には、水のみ、又は、水とアルコール(好ましくはエタノール)との混合溶液にセルロース系樹脂を溶解させる。その後、当該セルロース系樹脂溶液に顔料を分散させる。セルロース系樹脂を溶解させる溶液としては、インクジェットインク全量を100重量部とするとき、水の含有量が50重量部以上、エタノールの含有量が50重量部未満であることが好ましい。エタノールを50%以上含有する溶液での分散は、顔料の分散が安定しなくなる恐れがある。
目的外成分の混入(コンタミネーション)を避けるためには、メディアレスの分散機が好ましいが、処理量に制限がある、処理時間が長い、顔料の粒子径を小さくすることができない、などにより、生産性が低くなるという短所がある。また、分散時の発熱の影響で分散剤の効果が発揮されにくく、十分な分散効果が得られにくいという短所もある。
このため、本発明のインクジェットインクを作製する場合にも、分散メディアを用いる分散機、とりわけ、ビーズミルを用いる方法が好ましい。用いるビーズの直径は0.1〜2mmが好ましい。
上記の課題に記載したジルコニアや、ジルコニウムの混入を避けるため、分散メディアのビーズとしては、ガラスビーズ、アルミナビーズ、スチールビーズなどを用いることが好ましい。
また、ジルコニアビーズは、主として酸化ジルコニウムからなるが、酸化ケイ素や酸化イットリウムなども含まれている場合がある。そのため、ガラスビーズ、アルミナビーズ、スチールビーズなどを分散メディアとして用いれば、イットリウムなどの成分の混入も避けられることになる。
ガラスビーズは、主としてSiO2からなる。例えば、SiO2、Al2O3、Na2O、K2O、CaO及びMgOの組成からなるガラスビーズ、SiO2、Al2O3、B2O3、Na2O、K2O、CaO及びMgOの組成からなるガラスビーズ、SiO2、CaO、Al2O3、B2O3及びMgOの組成からなるガラスビーズ、SiO2、CaO、Al2O3、B2O3、MgO、K2O及びNa2Oの組成からなるガラスビーズ、SiO2、Na2O、MgO及びAl2O3の組成からなるガラスビーズなどが挙げられる。
上に例示したいずれのガラスビーズも、分散メディアとして、顔料を粉砕するのに十分な性能を発揮するとともに、ジルコニウム化合物を含まないので、分散体やインクにジルコニウムが混入することが避けられる。
このようなバインダーとして、特に食品に添加可能な樹脂としては、セラック樹脂はもとより、ダンマル樹脂、コーパル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、水溶性有機溶剤、とりわけアルコール系溶剤への溶解性が高いことからインクジェットインクに用いやすい。
その他に、バインダーとして、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、結晶セルロース、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白、アラビアゴム、シクロデキストリン等の樹脂、とりわけ水溶性の樹脂が好ましく挙げられる。これらの樹脂は、バインダーとしてのみならず、分散剤としての機能を有するものもあり、これらはインクジェットインクに用いる溶剤への可溶性に応じて選択し用いることができる。
本発明の印字方法では、本発明の上記インクジェットインクをドロップオンデマンドインクジェット装置より吐出させて、被印字対象物に前記インクジェットインクを付着させて印字するに当たり、ドロップオンデマンドインクジェット装置より吐出される前記インクジェットインクを、前記ドロップオンデマンドインクジェット装置のインクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させておく。
このようにインクをインクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させるためのドロップオンデマンドインクジェット装置としては、例えば、インクジェットヘッドとインクタンク筐体との間にインク循環経路を有するものを用いる。
また、ドロップオンデマンド型のインクジェットヘッド内にもインクの循環流路を設けることで、インクジェットヘッド内においてもインクを循環させることが好ましい。これにより、インクジェットヘッド内でのインクの滞留を防止して、顔料の堆積によるトラブルを防ぐことができる。
インクの循環は、インク供給経路にインク循環用のポンプを設け、インクがノズル(又はオリフィスともいう)から吐出(ないし排出)しないような条件、環境下で行う。このようなインクジェット装置は、一般的にコンティニアス型インクジェット(CIJ)と呼ばれるインクジェットとは異なり、インクの循環はヘッドのノズルからインクを吐出することなく行われる。
このような温度調整は、例えば、インク循環経路の少なくとも一部において、循環インクを加熱及び/又は放熱するための加熱手段(ヒーター)及び/又は放熱手段を配置することで実施することができる。
このような温度調整は、インクジェット装置が設置されている環境の温度変化が激しいと、インクジェットヘッド内のインクの温度が変化するという点を考慮したものである。すなわち、インクジェットヘッド内のインクの温度が変化するとインクの体積や粘度等の物性が変化し、印字の乱れを生じることがある。本実施の形態では、インクジェットヘッド内の温度を一定に保つため温度調整を可能とすることで、インク粘度を一定にし、印字の精度、印字品質を一定にすることができる。
また、インクジェットインクをインクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させる際に、循環インクの脱気や脱泡を行うようにして気泡の発生を防止し、あるいはフィルタ等を設けてゴミの混入を除去することが好ましい。
そのためには、例えば、少なくとも1台のインクジェットヘッドが印字のために稼働している間、他の少なくとも1台のインクジェットヘッドを、所定の領域(以下、これを「メンテナンス領域」あるいは「メンテステーション」と称する)にて待機させるようにすればよい。そして、印字のために駆動しているインクジェットヘッドと、メンテナンス領域で待機しているインクジェットヘッドとが、所定の時間ごとに交換されるようにする。
メンテナンス領域(メンテステーション)に待機させたインクジェットヘッドは、フラッシング、ワイピング、プリカーサ等を行って、インクジェットインクの吐出に適した状態に維持しておくようにすることができる。
ここで、フラッシングとは、インクジェットヘッドのノズル近傍の付着物をとりのぞき、飛行の曲りをなくすためのものであり、ヘッドの全ノズルからインクを強制的に吐出させることをいい、ワイピングとはノズルに付着したごみや飛びはねたインクを払拭することをいう。また、プリカーサとは、インクジェットヘッドのノズルからインクが吐出しない程度の微振動を発生させ、インクメニスカスを振動することをいう。
このようなメンテステーションでの工程は、インクの乾燥性を発揮させるようなインク組成において、特に、効果が発揮される。メンテステーションでのフラッシング、ワイピング、プリカーサ等の実施の間隔も、インクの乾燥性の許容値に応じた対応が必要となる。
また、少なくとも2台以上のインクジェットヘッドを設け、少なくとも1台のインクジェットヘッドが印字を行う稼働中に、他の少なくとも1台のインクジェットヘッドは印字を行わせずにメンテナンス領域に待機させることとし、メンテナンス領域にあるインクジェットヘッドは、フラッシング、ワイピング、プリカーサを一定間隔で実施する。そして、印字させるインクジェットヘッドと、メンテナンス領域で待機するインクジェットヘッドとを、所定の時間ごとに変更することで、吐出不良やとび曲りを回避し、印字品質を保ち、さらに長期の連続した印字が可能となる。
本実施例1では、インクジェットインク作製の中間工程で得られる顔料分散体として、表1に示す分散体1を作製した。
具体的には、水にヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」と記載)を溶解させた樹脂溶液中に、うばめかしを原料とする備長炭を混合し、ガラスビーズ(ビーズ組成:SiO2が70〜73重量%、Al2O3が1〜3重量%、Na2Oが12〜15重量%、K2Oが0〜1.5重量%、CaOが7〜12重量%、MgOが1〜4.5重量%、ビーズ粒径:φ0.3〜0.5mm(分布あり))を充填した横型サンドミル(ウレタン樹脂製のビーズ撹拌ディスクを備え、ウレタンライニングを施したアシザワファインテック社製のスターミルLMZ06)にて2時間分散処理して分散体1を作製した。
本実施例で作製した分散体1では、顔料である備長炭の平均粒子径は0.33μmであった。この分散体1について、ジルコニウム濃度を、高周波誘導結合プラズマ(ICP)発光分析装置(堀場製作所製型式ULTIMA2)にて測定した。分散体1のジルコニウムの含有量は検出限界5mg/kg以下、百万分率で表すと5ppm以下であった。
下記の表1に示すように、顔料として酸化チタンを20重量部用い、実施例1と同様の分散処理を行い、分散体2を作製した。本実施例2で作製した分散体2について、上記実施例1と同様にジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界以下であった。さらに、この分散体2を用いて、実施例1と同様に表2に記載された処方に基づき、分散体2を5重量部、グリセリン20重量部、プロピレングリコール25重量部、エタノール10重量部、精製水40重量部を攪拌混合、濾過し、インクジェットインクを作製した。このインクジェットインクについてもジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界の5ppm以下であった。
下記の表1に示すように、顔料として三二酸化鉄を20重量部用い、実施例1と同様の分散処理を行い、分散体3を作製した。本実施例3で作製した分散体3について、上記実施例1と同様にジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界以下であった。さらに、この分散体3を用いて、実施例1と同様に表2に記載された処方に基づき、分散体3を5重量部、グリセリン25重量部、プロピレングリコール25重量部、エタノール10重量部、精製水35重量部を攪拌混合、濾過し、インクジェットインクを作製した。このインクジェットインクについてもジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界の5ppm以下であった。
下記の表1に示すように、顔料として食用青色1号レーキを7重量部用い、実施例1と同様の分散処理を行い、分散体4を作製した。本実施例4で作製した分散体4について、上記実施例1と同様にジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界以下であった。さらに、この分散体4を用いて、実施例1と同様に表2に記載された処方に基づき、分散体4を45重量部、プロピレングリコール15重量部、精製水40重量部を攪拌混合、濾過し、インクジェットインクを作製した。このインクジェットインクについてもジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界の5ppm以下であった。
下記の表1に示すように、顔料として食用黄色5号レーキを7重量部用い、実施例1と同様の分散処理を行い、分散体5を作製した。本実施例5で作製した分散体5について、上記実施例1と同様にジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界以下であった。さらに、この分散体5を用いて、実施例1と同様に表2に記載された処方に基づき、分散体5を45重量部、プロピレングリコール15重量部、精製水40重量部を攪拌混合、濾過し、インクジェットインクを作製した。このインクジェットインクについてもジルコニウムの濃度を測定したところ、ジルコニウムの含有量は検出限界の5ppm以下であった。
「平均粒子径」は、日機装株式会社製の粒度分布計(UPA型)を用いてインクジェットインク中の顔料のメジアン径(d50)を測定した。
「粘度」(20℃、mPa・s)は、TOKI産業社製の粘度計(EHコーン型)を用いて測定した。
「pH」は、pHメータを用いて測定した。
「再分散性」は、作製後24時間以上放置したインクジェットインクを、人の手によって20回振とうさせたのちに濾過し、その濾紙に顔料が残留するか否かで評価した。
「耐水性(溶出)」は、各実施例にて作製したインクジェットインクで印字した印字対象物の印字面を、水で湿らせたときのインクの溶け出しの有無とその水への着色により確認した。
「密着性(剥離)」は、印字対象物を疑似錠剤とし、当該錠剤に対して各実施例にて作製したインクジェットインクを用いて印字し、印字部分を綿棒で擦ったときの剥離の有無により確認した。
「高温環境での印字性能」は、室温を45℃に保持した環境室内にてインクジェットプリンタでの印字テストを行なったときの、連続吐出性及び印字性能を評価した。
「低温環境での印字性能」は、室温を5℃に保持した環境室内にてインクジェットプリンタでの印字テストを行なったときの、連続吐出性及び印字性能を評価した。
「連続吐出性」は、ノズルの詰り、印字不良、フォント異常等の有無で判定した。
本比較例1では、実施例1の分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりにジルコニアビーズ(ビーズ組成:ZrO2を95重量%含有する他、HfO2及びY2O3を微量含有、ビーズ粒径:φ0.3mm)を用いて横型サンドミル(ジルコニア製のビーズ撹拌ディスクを備え、ジルコニア強化アルミナライニングを施したウィリー・エ・バッコーフェン社製のダイノーミルリサーチラボ)にて2時間分散し、その後、実施例1と同様の処方及び工程にてインクジェットインクを作製した。本比較例1にて作製したインクジェットインクのジルコニウムを実施例1と同様の測定方法で測定したところ、ジルコニウムの含有量は55mg/kg、つまり55ppmであった。
本比較例2では、実施例2の分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりに比較例1と同様のジルコニアビーズを用いて比較例1と同様の横型サンドミルにより分散処理し、その後、実施例2と同様の処方及び工程にてインクジェットインクを作製した。本比較例2にて作製したインクジェットインクのジルコニウムを実施例1と同様の測定方法で測定したところ、ジルコニウムの含有量は60mg/kg、百万分率で60ppmであった。なお、本比較例2にて作製した分散体及びインクジェットインクの分散性、ならびに連続式インクジェットを用いた本比較例2のインクジェットインクの印字特性には、とりわけ問題はなかった。
本比較例3では、実施例3の分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりに比較例1と同様のジルコニアビーズを用いて比較例1と同様の横型サンドミルにより分散処理し、その後、実施例3と同様の処方及び工程にてインクジェットインクを作製した。本比較例3にて作製したインクジェットインクのジルコニウムを実施例1と同様の測定方法で測定したところ、ジルコニウムの含有量は55mg/kg、百万分率で55ppmであった。なお、本比較例3にて作製した分散体及びインクジェットインクの分散性、ならびに連続式インクジェットを用いた本比較例3のインクジェットインクの印字特性には、とりわけ問題はなかった。
本比較例4では、実施例4の分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりに比較例1と同様のジルコニアビーズを用いて比較例1と同様の横型サンドミルにより分散処理し、その後、実施例4と同様の処方及び工程にてインクジェットインクを作製した。本比較例4にて作製したインクジェットインクのジルコニウムを実施例1と同様の測定方法で測定したところ、ジルコニウムの含有量は58mg/kg、百万分率で58ppmであった。なお、本比較例4にて作製した分散体及びインクジェットインクの分散性、ならびに連続式インクジェットを用いた本比較例4のインクジェットインクの印字特性には、とりわけ問題はなかった。
本比較例5では、実施例5の分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりに比較例1と同様のジルコニアビーズを用いて比較例1と同様の横型サンドミルにより分散処理し、その後、実施例5と同様の処方及び工程にてインクジェットインクを作製した。本比較例5にて作製したインクジェットインクのジルコニウムを実施例1と同様の測定方法で測定したところ、ジルコニウムの含有量は61mg/kg、百万分率で61ppmであった。なお、本比較例5にて作製した分散体及びインクジェットインクの分散性、ならびに連続式インクジェットを用いた本比較例5のインクジェットインクの印字特性には、とりわけ問題はなかった。
本実施例6では、実施例1にて作製した分散体1を10重量部、エタノールを10重量部、グリセリンを10重量部、プロピレングリコールを25重量部、精製水45重量部をガラス製のビーカーへ入れ、ステンレス製のプロペラ撹拌機にて攪拌、混合した後、遠心分離機を用いて沈降物を除去し、濾過精度1μmのフィルタにて濾過を行い、ドロップオンデマンド式インクジェット装置用のインクジェットインクを作製した。本実施例6にて作製したインクジェットインクのジルコニウム濃度を、実施例1と同様の方法にて測定したところ、ジルコニウムの含有量は、検出限界の5ppm以下であった。さらに、このインクジェットインクを、サーマル方式のインクジェット装置に充填し、上記実施例1〜5と同様の連続印字検査をおこなったところ、にじみのない、また、耐光性の良好な印字物が得られた。
本実施例7では、実施例1で分散体を作製する工程において、ガラスビーズの代わりにスチールビーズ(ビーズ組成:鉄のみ、ビーズ粒径:φ0.3mm)を用いて横型サンドミル(ジルコニア製のビーズ撹拌ディスクを備え、ジルコニア強化アルミナライニングを施したウィリー・エ・バッコーフェン社製のダイノーミルリサーチラボ)にて分散体を作製し、その後、同様の処理を経てインクジェットインクを作製した。
本実施例7にて作製したインクジェットインクのジルコニウム濃度を、実施例1と同様の方法にて測定したところ、ジルコニウムの含有量は、検出限界の5ppm以下であった。
ただし、本実施例7では、ジルコニアビーズ又はガラスビーズを使用した場合に比べ、分散処理時間を長くしても、顔料粉体が微細にならなかった。この分散体を用いてインクジェットインクを作製したところ、濾過精度1μmのフィルタが顔料粉体による目詰まりを起こし、何度もフィルタを交換しなければならないという濾過工程に支障があった。
本実施例8では、上記実施例1〜6において作製したインクジェットインクを、ドロップオンデマンド型インクジェット装置に充填し、連続した印字を実施した。使用したドロップオンデマンド型インクジェット装置は、インクジェットヘッドとインクタンク筐体との間及びインクジェットヘッド内にインク循環経路を有する(循環型DOD)。このような循環機構を有するインクジェット装置を使用することにより、インクジェットヘッド内にインクの滞留や顔料の沈降がなくなり、長時間安定した吐出及び高精細な印字を得た。このインク循環経路には、加熱手段及び放熱手段が設けられており、このような温度調整機構を利用することにより、環境温度変化、また、稼働状況でのインク温度の変化をなくすことができ、安定した吐出及び高精細な印字を継続することができた。
本実施例9では、上記実施例1〜6において作製したインクジェットインクを、循環型DODに充填し、連続した印字を実施した。本実施例9では、インクジェットインクをインクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させる際に、循環インクの脱気や脱泡を行うようにした。具体的には、循環経路に、カートリッジ状の中空糸繊維を使用した脱気機構、及び、多孔質部材を使用した脱泡機構を付した。これにより、インク圧力変化による気泡の発生、インクの流動に伴う振動や、外部からの振動による泡の発生があった場合にも、当該脱気機構及び消泡機構によりインクジェットインク中の気体や気泡を除去することができ、高速での印字を安定に継続できた。
本実施例10では、上記実施例1〜6において作製したインクジェットインクを用い、インクジェット装置で印字対象物へ印字するために、循環型DODのインクジェットヘッドを2台設置した。インクジェット装置が稼働し、上記2台の内、一方のインクジェットヘッドが印字対象物へ印字を行っている間、他方のインクジェットヘッドをメンテステーションに待機させ、待機中に、プリカーサ、フラッシング、ワイピングを一定間隔にて実施した。そして、2台のインクジェットヘッドの内、印字に用いるインクジェットヘッドと、メンテナンスステーションに待機させるインクジェットヘッドとを、所定の時間ごとに変更することで、さらに、長時間安定した吐出及び印字を継続することができた。また、印字の精度、印字品質共に良好であった。
Claims (11)
- 少なくとも、水、水溶性有機溶剤、高分子分散剤及び顔料を含む錠剤用のドロップオンデマンド用インクジェットインク(但し、セラック樹脂を含むものを除く)であって、
前記高分子分散剤が、ヒドロキシプロピルセルロースであり、
前記顔料が酸化チタン及び/又は酸化鉄であり、
前記水溶性有機溶剤、前記高分子分散剤及び前記顔料のいずれもが可食材料から選択され、
ジルコニウム濃度が50ppm以下である、
錠剤用のドロップオンデマンド用インクジェットインク。 - 前記水溶性有機溶剤が、グリセリン、プロピレングリコール及びエタノールから選択される1種又は2種以上である、請求項1に記載のインクジェットインク。
- いずれもが可食材料から選択される水溶性有機溶剤、高分子分散剤及び顔料を用い、
少なくとも、水に前記高分子分散剤としてヒドロキシプロピルセルロースを溶かした高分子分散剤溶液を作製する第一の工程と、前記高分子分散剤溶液に前記顔料として酸化チタン及び/又は酸化鉄を混合し分散機を用いて顔料分散体を作製する第二の工程と、前記顔料分散体、水及び前記水溶性有機溶剤を攪拌混合する第三の工程とを経て、ジルコニウム濃度が50ppm以下である錠剤用のドロップオンデマンド用インクジェットインク(但し、セラック樹脂を含むものを除く)を作製する、インクジェットインクの作製方法。 - 前記分散機としてビーズミルを用い、前記ビーズミルの分散メディアがガラスビーズである、請求項3に記載のインクジェットインクの作製方法。
- 請求項1又は2に記載のインクジェットインクをドロップオンデマンドインクジェット装置より吐出させて、錠剤に前記インクジェットインクを付着させて印字するに当たり、ドロップオンデマンドインクジェット装置より吐出される前記インクジェットインクを、前記ドロップオンデマンドインクジェット装置のインクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させておき、この循環の際に、循環インクの脱気を行う、印字方法。
- 前記インクジェットインクを前記インクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させる際に、循環インクの脱泡を行う、請求項5に記載の印字方法。
- 前記インクジェットインクを前記インクジェットヘッドとインクタンク筐体との間で循環させる際に、循環インクの温度調整を行う、請求項5又は6に記載の印字方法。
- 前記ドロップオンデマンドインクジェット装置としてインクジェットヘッドを少なくとも2台備えたものを用い、前記インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に供している間、他の少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に適した状態で待機させておく、請求項5から7までのいずれかに記載の印字方法。
- 所定の時間内にインクを吐出しないノズルに、一定間隔の時間でプリカーサをする、請求項5から8までのいずれかに記載の印字方法。
- インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に適した状態に維持しておくためにフラッシングを行う、請求項5から9までのいずれかに記載の印字方法。
- インクジェットヘッドの少なくとも1台をインクジェットインクの吐出に適した状態に維持しておくためにワイピングを行う、請求項5から10までのいずれかに記載の印字方法。
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