JP6059875B2 - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

圧電素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6059875B2
JP6059875B2 JP2012038334A JP2012038334A JP6059875B2 JP 6059875 B2 JP6059875 B2 JP 6059875B2 JP 2012038334 A JP2012038334 A JP 2012038334A JP 2012038334 A JP2012038334 A JP 2012038334A JP 6059875 B2 JP6059875 B2 JP 6059875B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
electrode layer
substrate
lower electrode
piezoelectric element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012038334A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013175539A (ja
Inventor
洋平 遠藤
洋平 遠藤
大西 洋平
洋平 大西
宏樹 小林
宏樹 小林
木村 勲
勲 木村
弘綱 鄒
弘綱 鄒
神保 武人
武人 神保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ulvac Inc
Original Assignee
Ulvac Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ulvac Inc filed Critical Ulvac Inc
Priority to JP2012038334A priority Critical patent/JP6059875B2/ja
Publication of JP2013175539A publication Critical patent/JP2013175539A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6059875B2 publication Critical patent/JP6059875B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、窒化アルミニウムを用いた圧電素子の製造方法及び圧電素子に関する。
近年、優れた圧電特性を有し、かつ鉛を含まず環境安全性も高い窒化アルミニウム(AlN)が圧電体として着目されている。AlNを含む圧電素子は、例えば振動センサ、圧電スピーカ等としての応用が研究されているが、小型の発電装置としての応用も検討されている。特許文献1には、AlNが含まれる圧電体薄膜を、例えばモリブデン(Mo)等の電極層で挟んだ圧電素子及びそれを備えた発電装置が記載されている。この圧電素子は、高分子化合物等の薄く歪みやすい基板を用いることで、小型でかつ多量の電荷を発生させる。
特開2008−211095号公報
一般的に、発電装置等として所望の素子構造を得るために、下部電極層をパターン加工することがある。パターン加工の方法として、典型的には、レジストマスクを用いたエッチングを行い、その後、当該レジストマスクを剥離するために酸素系プラズマを用いたアッシングを行う。しかしながら、この酸素系プラズマによって下部電極層の表面が酸化し、下部電極層とその上に形成されたAlN膜との密着性が低下するという問題があった。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、パターン加工された下部電極層とAlN膜との間の密着性を向上させることができる圧電素子の製造方法及び圧電素子を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る圧電素子の製造方法は、基板上に形成された第1の電極層上にレジストマスクを形成する工程を含む。
上記レジストマスクを介して上記基板の一部を露出させるように上記第1の電極層がエッチングされる。
上記レジストマスクが、酸素系プラズマを用いたアッシングによって除去される。
上記第1の電極層の表面がエッチングによって除去される。
上記基板の一部と上記第1の電極層上とを被覆するように窒化アルミニウム層が形成される。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る圧電素子は、基板と、第1の電極層と、窒化アルミニウム層とを具備する。
上記第1の電極層は、上記基板上に形成され、上記基板の一部が露出するようにパターン加工され、表面がエッチングされる。
上記窒化アルミニウム層は、上記基板の一部と上記第1の電極層とを被覆して形成される。
本発明の一実施形態に係る圧電素子の構成を示す概略断面図である。 本発明の一実施形態に係る圧電素子の製造方法を示す概略断面図であり、(A)は、下部電極層の形成工程を示し、(B)は、レジストマスクの形成工程を示し、(C)は、第1の電極層のパターン加工工程を示す。 本発明の一実施形態に係る圧電素子の製造方法を示す概略断面図であり、(A)は、アッシングによるレジストマスクの除去工程を示し、(B)は、第1の電極層表面のエッチング工程を示し、(C)は、窒化アルミニウム層の形成工程を示す。 基板上にMoからなる層を約50nm形成した後、異なる時間アッシングした際の基板面内における抵抗値を示すグラフであり、横軸は、基板面内での位置を示し、縦軸は、基板面内の各位置におけるMoからなる層(Mo層)の抵抗値を示す。 Mo層上にAlNからなる層(AlN層)を形成した例における模式的な断面図であり、(A)は、アッシングを行っていないMo層上にAlN層を形成した例を示し、(B)は、酸素系プラズマを用いたアッシングを2分間行った後のMo層上にAlN層を形成した例を示す。 酸素系プラズマを用いたアッシングを2分間行ったMo層の表面を異なる厚みでエッチングにより除去し、それぞれのMo層上にAlN層を形成した例における基板周縁の模式的な断面図であり、(A)は、約5nm除去したMo層上にAlN層を形成した例を示し、(B)は、約20nm除去したMo層上にAlN層を形成した例を示す。
本発明の一実施形態に係る圧電素子の製造方法は、基板上に形成された第1の電極層上にレジストマスクを形成する工程を含む。
上記レジストマスクを介して上記基板の一部を露出させるように上記第1の電極層がエッチングされる。
上記レジストマスクが、酸素系プラズマを用いたアッシングによって除去される。
上記第1の電極層の表面がエッチングによって除去される。
上記基板の一部と上記第1の電極層上とを被覆するように窒化アルミニウム層が形成される。
上記圧電素子の製造方法においては、窒化アルミニウム(AlN)層の形成工程の前に、酸素系プラズマを用いたアッシングによって、第1の電極層上のレジストマスクを取り除く工程が行われる。このアッシング工程により、第1の電極層の表面が酸化され、第1の電極層とAlN層との密着性が低下する。
そこで、上記圧電素子の製造方法では、アッシング工程後に第1の電極層の表面をエッチングし、第1の電極層の酸化された部分を除去する。このことによって、第1の電極層とAlN層との密着性の低下を抑制することができる。
上記第1の電極層は、例えば、モリブデン(Mo)及び白金(Pt)のいずれかからなる。
第1の電極層としてこれらの金属を用いた場合は、その上に形成されるAlN層の結晶配向性が良好となり、圧電特性に優れたAlN層を形成することができる。
上記基板は、第1の層と、上記第1の層上に形成され窒化アルミニウムからなる第2の層とを有してもよい。
このような基板を用いることによって、第2の層上に形成されモリブデンからなる第1の電極層の結晶配向性を高めることが可能となる。
上記圧電素子は、上記窒化アルミニウム層上に、上記第1の電極層と対向するように第2の電極層を形成してもよい。
このような構造の圧電素子は、例えば、発電デバイス等への応用が可能となる。
本発明の一実施形態に係る圧電素子は、基板と、第1の電極層と、窒化アルミニウム層とを具備する。
上記第1の電極層は、上記基板上に形成され、上記基板の一部が露出するようにパターン加工され、表面がエッチングされる。
上記窒化アルミニウム層は、上記基板の一部と上記第1の電極層とを被覆して形成される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[圧電素子の構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る圧電素子の構成を示す概略断面図である。圧電素子1は、基板2と、下部電極層(第1の電極層)5と、窒化アルミニウム(AlN)層6と、上部電極層(第2の電極層)7とを具備し、これらが積層された構造を有する。圧電素子1は、図示しない複数の素子領域を有する。これらの素子領域は個々に分離され、それぞれ別個の圧電素子として機能させることができる。
基板2は、本実施形態において、ベース層(第1の層)3と、シード層(第2の層)4とを有する。ベース層3の形状、材料は特に制限されないが、本実施形態において、例えば円形状又は矩形状のシリコン基板、酸化膜付シリコン基板、ガラス基板等からなる。
シード層4は、ベース層3の上に形成される。シード層4は、本実施形態においてAlNからなり、厚みは例えば約10〜50nmである。シード層4は、積層される下部電極層5のモリブデン(Mo)の結晶配向性を高めるために形成される。
下部電極層5は、シード層4上に形成され、本実施形態において基板2の表面の一部が露出されるようにパターン加工される。下部電極層5は、本実施形態においてMoで形成される。Moを下部電極層5として用いることによって、下部電極層5上に積層されるAlN層6の結晶配向性は良好となる。
また、後述するように、下部電極層5の表面は所定の厚みになるまで全面エッチバックされる。例えば、全面エッチバック後の厚みが30nm以上であれば、AlN層6の結晶配向性を維持するために十分な厚みが確保される。
AlN層6は、基板2の一部と、下部電極層5とを被覆するように形成される。AlN層6を形成するAlNは、六方晶系のウルツ鉱型の結晶構造を有し、外部からの応力に対して電荷を発生することが可能な圧電特性を有する。本実施形態において、AlN層6は、下部電極層5を構成するMoによって良好な結晶配向性を有するため、優れた圧電特性を有する。
AlN層6の厚みは、例えば約1.5μmである。すなわち、AlN層6は、パターン加工された下部電極層5上に、下部電極層5等と比較して厚く形成され、圧電素子1全体に対して大きな体積を占める。一般的には、ある圧電体が一定の応力に対して発生し得る電荷は、体積とほぼ比例する。したがって、AlN層6を有する圧電素子1は、効率よく電荷を発生させることが可能となる。
上部電極層7は、AlN層6上に形成され、下部電極層5と同様にMoで形成される。上部電極層7の厚みは特に制限されず、例えば約50nmである。また、本実施形態において上部電極層7は厚みが均一な層で形成され、パターン加工されてもよい。
次に、以上のような構成の圧電素子1の製造方法について説明する。
[圧電素子の製造方法]
図2、図3は、圧電素子1の製造方法を示す概略断面図である。圧電素子1の製造方法は、以下の工程を有する。すなわち、(1)下部電極層の形成工程、(2)レジストマスクの形成工程、(3)下部電極層のパターン加工工程、(4)アッシングによるレジストマスクの除去工程、(5)下部電極層表面のエッチング工程、(6)窒化アルミニウム層の形成工程、(7)上部電極層の形成工程、である。以下、各工程について説明する。
(下部電極層の形成工程)
図2(A)は、下部電極層5Aの形成工程を示す概略断面図であり、基板2上に下部電極層5Aが形成された態様を示している。基板2は、ベース層3上に、シード層4が、例えば約10〜50nmの厚みで形成される。シード層4は、後述するAlN層6と同様のスパッタ法等を用いて形成することができる。
シード層4上には、Moからなる下部電極層5Aが、例えば真空蒸着法、スパッタ法等を用いて形成される。下部電極層5Aの成膜条件等は特に限られない。本実施形態においてはDCマグネトロンスパッタ法を採用し、例えば、Moターゲットが配置された真空チャンバ内で、Arガス等を導入することにより行われる。成膜条件は特に限られないが、例えば圧力は0.5Pa、ガス導入量は50sccm、DCパワーは6kW、バイアスパワーは100Wである。下部電極層5Aの厚みも特に限定されず、本実施形態においては約50nmに形成される。
(レジストマスクの形成工程)
図2(B)は、レジストマスクの形成工程を示す概略断面図であり、下部電極層5A上にレジストマスク8が形成された態様を示している。下部電極層5A上には、図2(B)に示すようなレジストマスク8が形成される。レジストマスク8は、本実施形態において、感光性有機フォトレジストであり、ポジ型レジストでも、ネガ型レジストでもよい。レジストマスク8は、下部電極層5A上へのレジスト樹脂の塗布、露光、現像等の処理を経ることによって所定形状にパターン形成される。レジストマスク8の厚みは、後述の下部電極層のパターン加工工程の際にレジストマスクがオーバーエッチされない限り、特に制限されない。
(下部電極層のパターン加工工程)
図2(C)は、下部電極層のパターン加工工程を示す概略断面図である。この工程では、レジストマスク8を介して基板2の一部を露出させるように下部電極層5Aをエッチングする。この工程によって、下部電極層5Aが所定形状にパターン加工される。
この際のエッチング方法は特に制限されず、ウェットエッチング法でもドライエッチング法でも可能であるが、本実施形態では、Arガスを用いたICP(誘導結合型)プラズマエッチング法を採用する。この際のエッチング条件は特に制限されず、本実施形態では、例えば、圧力は0.5Pa、Arガス導入量は50sccm、アンテナパワー(アンテナコイルに供給される電力)は800W、バイアスパワー(基板2に供給される電力)は300Wに設定した。
(アッシングによるレジストマスクの除去工程)
図3(A)は、アッシングによるレジストマスクの除去工程を示す概略断面図である。この工程は、本実施形態において、酸素系ガスをマイクロ波によってプラズマ化した酸素系プラズマを用いて、例えば真空チャンバ内でアッシングを行う。酸素系ガスとしては、酸素(O)と窒素(N)の混合ガス等を用いることが可能である。アッシング条件としては、例えば本実施形態では、圧力は0.5Pa、酸素ガス導入量は2000sccm、窒素ガス導入量は480sccm、アンテナパワー(マイクロ波生成のための電力)は2000Wに設定することができる。上記条件の下、2分〜4分程度アッシングすることによりレジストマスク8が酸素系プラズマと反応し、除去される。なお、アッシング条件はレジストマスク8が除去されれば特に制限されない。
図3(A)に示すように、アッシング工程後の下部電極層5Aの表面には、酸化モリブデン(MoO)からなる酸化物層5Bが形成される。酸化物層5Bの厚みは、アッシング条件、基板面内の位置等によって異なるが、本実施形態においては、5nmより大きく20nm以下である。次に、酸化物層5Bを取り除くためのエッチング工程を行う。
(下部電極層表面のエッチング工程)
図3(B)は、下部電極層表面のエッチング工程を示す概略断面図である。この工程では、下部電極層5Aの表面に形成された酸化物層5Bを全面エッチバックによって除去し、下部電極層5を形成する。エッチング方法としては、本実施形態では、ICP(誘導結合型)プラズマエッチング法が採用される。
上記エッチング工程は、例えば、Arを含むエッチングガスが導入された真空チャンバ内で行われる。エッチング条件は特に限定されず、本実施形態では、圧力は0.5Pa、Arガス導入量は50sccm、アンテナパワーは800W、バイアスパワーは300Wに設定される。
上記条件下で所定時間、下部電極層5Aの全面エッチバックを行うことで、下部電極層5Aの表面に形成された酸化物層5Bが取り除かれる。取り除く厚みは、下部電極層5Aの厚み、アッシング条件等で異なるが、本実施形態において、5nmより大きく20nm以下である。例えば、上記エッチング条件の下、約5nm取り除く場合は約12秒間、約20nm取り除く場合は約48秒間、エッチングを行う。
以上のエッチング工程によって、下部電極層5Aの表面から酸化物層5Bが除去された下部電極層5が形成される。次に、下部電極層5上に、AlN層6が形成される。
(窒化アルミニウム層の形成工程)
図3(C)は、窒化アルミニウム層の形成工程を示す概略断面図である。AlN層6は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法等で形成することが可能である。本実施形態においては反応性pulse-DCマグネトロンスパッタ法を採用し、例えば、アルミニウム(Al)ターゲットが配置された真空チャンバ内で、NガスとArガスの混合ガス等を導入することにより行われる。成膜条件は特に限られないが、例えば圧力は0.5Pa、ガス導入量は50sccm、DCパワーは6kW、バイアスパワーは100Wである。
上記条件の下、所定時間成膜を行うことにより、基板2の一部と下部電極層5とを被覆するようにAlN層6が形成される。本実施形態でのAlN層6の厚みは、約1.5μmである。
次に、AlN層6上に上部電極層7を形成し、図1に示す圧電素子1を作製する。
(上部電極層の形成工程)
上部電極層7は、例えばMoからなり、真空蒸着法、スパッタ法等を用いて、AlN層6上に例えば約50nmの厚みで形成される。上部電極層7の成膜条件等は特に限られず、例えば下部電極層5と同様の成膜方法及び条件で形成することができる。以上の各工程によって、圧電素子1が作製される。
なお、レジストマスクの形成工程を除き、以上の各工程は、真空チャンバ内で行われる。この際、同一のチャンバを用いることも、それぞれ別個のチャンバを用いることも可能である。例えば、マルチチャンバ型の成膜装置等で連続的に行うことも可能である。
以上のように、本実施形態に係る圧電素子1の製造方法では、下部電極層5とAlN層6との間の密着性を向上させることができる。これは、アッシングによって酸化した下部電極層5Aの表面を、エッチングによって除去したためと考えられる。このことを検証するため、以下の実験を行った。
図4は、アッシングによるMo層の酸化について検証した結果を示すグラフであり、下部電極層5Aに対応するMoからなる層(Mo層)を、直径が約200mmの円形状の酸化膜付シリコン基板上に約50nm形成した後、異なる時間アッシングした際の基板面内におけるシート抵抗値を示す。横軸は、基板の中心を0mmとした場合の、基板中心を通る直線上での位置を示しており、縦軸は、基板面内の各位置におけるMo層のシート抵抗値を示している。
また、図4に係る第1の例は、アッシングを行っていない例である。第2の例は、上記アッシング条件の下、2分間アッシングを行った例である。第3の例は、上記アッシング条件の下、2分間アッシングを行った後、さらに2分間アッシングを行った例である。なお、この実験では、Mo層のパターン加工は行っておらず、また、Mo層上にはレジストマスクを形成することなく上記アッシング条件と同一の条件でアッシング処理を行った。
図4より、第1の例、第2の例、第3の例の順で、基板面内全体のシート抵抗値が上昇することが示された。これは、アッシングに用いる酸素系プラズマによってMo層が酸化し、Moよりも高い抵抗値を有する酸化モリブデン(MoO)が形成されたためと考えられる。また、第1の例と第2の例とのシート抵抗値の差は、第2の例と第3の例とのシート抵抗値の差よりも大きい。このことから、最初の2分間のアッシングによって、Moの酸化が急激に進み、その後は飽和傾向にあると考えられる。
なお、図4より、第1の例、第2の例及び第3の例のいずれも、基板中央の方が基板周縁よりもシート抵抗値が低い傾向となることが示された。このことは、基板面内の膜厚等の影響と考えられる。すなわち、基板中央の膜厚は基板周縁の膜厚よりも若干厚いため、膜厚と反比例関係にあるシート抵抗値は基板中央において低くなると考えられる。
また、上記第1〜第3の例についてX線回折測定を行った。その結果の図示は省略するが、Mo層全体におけるMoの結晶配向性を示すロッキングカーブについて分析したところ、上記第1の例に対して、第2の例及び第3の例のピーク強度はいずれも15%程低下していることが分かった。さらに、上記第1〜3の例のいずれにおいても、半値幅に大きな変化はなかった。このことから、Mo層の全体にわたってMoが酸化されているのではなく、Mo層の一部、すなわち表面付近のみ酸化されていると考察された。
以上の結果から、酸素系プラズマを用いたアッシングによってMo層が酸化され、Mo層表面付近にMoOが形成されると考えられる。次に、アッシングを行ったMo層と、アッシングを行っていないMo層との上に、AlN層をそれぞれ形成し、これらのMo層とAlN層との密着性を検証した。
図5は、アッシングを行ったMo層と、アッシングを行っていないMo層との上に、それぞれAlN層を形成した例における基板周縁の断面図であり、光学顕微鏡によって基板周縁を上面から観察した結果に基づく模式的な図である。図5(A)は、アッシングを行っていないMo層51上にAlN層61を形成した例の断面図であり、図5(B)は、上記条件の下、アッシングを2分間行ったMo層52上にAlN層62を形成した例の断面図である。ここで、Mo層51,52は、それぞれ約50nmの厚みで形成されている。
AlN層61,62は、それぞれ反応性pulse-DCマグネトロンスパッタ法によって、上記条件の下、約1.5μmの厚みで形成された。なお、Mo層51,52のパターン加工は行っておらず、図5において基板の図示は省略している。
図5(A)より、アッシングを行わずにMo層51上にAlN層61を形成した場合は、基板全面にわたってMo層51とAlN層61との密着性は良好であった。一方、図5(B)より、アッシングを2分間行った後Mo層52上にAlN層62を形成した場合は、基板周縁においてMo層52とAlN層62との間に膜剥がれが見られた。
このことから、アッシングによってMo層52の表面にMoOが形成されたことによって、Mo層52とAlN層62との密着性が低下し、特に基板周縁でAlN層62が剥がれやすくなることが確認された。
さらに、アッシング後のMo層の表面を異なる厚みで全面エッチバックし、その上にAlN層を形成した場合の、Mo層とAlN層との密着性について検証した。
図6は、上記条件の下2分間アッシングを行ったMo層の表面を異なる厚みで全面エッチバックし、それぞれのMo層上に上記条件の下AlN層を約1.5μm形成した例における基板周縁の断面図であり、光学顕微鏡によって基板周縁を上面から観察した結果に基づく模式的な図である。図6(A)は、約5nmエッチバックしたMo層53上に、AlN層63を形成した例を示す。(B)は、約20nmエッチバックしたMo層54上に、AlN層64を形成した例を示す。
Mo層53,54は、それぞれ約50nmの厚みで形成され、その後上記厚みで全面エッチバックされる。また、Mo層53,54のパターン加工は行っておらず、図6において基板の図示は省略している。
エッチングの条件としては、圧力は0.5Pa、ガス導入量は50sccm、アンテナパワーは800W、バイアスパワーは300Wである。図6(A)では、上記条件の下、12秒エッチングを行い、図6(B)では、同様に48秒エッチングを行った。
図6(A)より、約5nmエッチバックした場合には、基板周縁において若干の膜剥がれが見られたが、エッチバックしていない図5(B)と比較すると、密着性について改善が見られた。一方、図6(B)より、約20nmエッチバックした場合には、基板全面において膜剥がれがなく、良好な密着性が得られた。
このことから、上記条件のアッシング後に、Mo層の表面を所定の厚みで全面エッチバックすることによって、AlN層とMo層との密着性が改善され、膜剥がれを抑制できることが確認された。また、約50nmの厚みのMo層に対して上記条件の下2分間アッシングした場合、エッチングによって除去されるMo層の厚みは、5nmより大きく20nm以下であればよいと考えられる。
以上の結果より、本実施形態に係る圧電素子1の製造方法によれば、下部電極層5とAlN層6との間の密着性を向上させ、基板周縁における膜剥がれ等を抑制することができる。したがって、製品の歩留まりを高めることができる。さらに、膜剥がれが生じた基板による製造ラインの汚染等を抑制し、生産性を向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば、以上の実施形態では、基板2がベース層3とシード層4からなると説明したが、これに限られず、ベース層3のみからなる構成とすることも可能である。
例えば、以上の実施形態では、下部電極層5がMoで形成されていると説明したが、例えば白金(Pt)で形成することも可能である。Ptを下部電極層として用いた場合には、下部電極層を全面エッチバックする工程において、上記エッチング条件とは異なる所定のエッチング条件を用いることができる。
また、上部電極層7の材料は特に制限されず、Mo、Ptその他の金属材料を用いることが可能である。
以上の実施形態に係る圧電素子1は、小型でかつ発電効率の高い発電デバイスとしての応用が可能である。圧電素子1を用いた発電デバイスは、例えば、発電床や、小型化が要求されるモバイル機器等の電力供給源等として応用することができる。なお、発電床は、建物の床等に敷設され、人がその上を歩行すること等により歪みが生じて電荷を発生する装置であり、人通りの多い駅や商業施設等における新たな電力供給源として期待される。
1・・・圧電素子
2・・・基板
3・・・ベース層(第1の層)
4・・・シード層(第2の層)
5,5A・・・下部電極層(第1の電極層)
6・・・AlN層(窒化アルミニウム層)
7・・・上部電極層(第2の電極層)
8・・・レジストマスク

Claims (3)

  1. 基板上に形成されたモリブデンからなる第1の電極層上にレジストマスクを形成し、
    前記レジストマスクを介して前記基板の一部を露出させるように前記第1の電極層をエッチングし、
    前記レジストマスクを、酸素系プラズマを用いたアッシングによって除去し、
    前記第1の電極層の表面をエッチングによって5nmより大きく20nm以下除去することで、前記第1の電極層の表面に形成された酸化物層を除去し、
    前記基板の一部と前記第1の電極層上とを被覆するように窒化アルミニウム層を形成する
    圧電素子の製造方法。
  2. 請求項1に記載の圧電素子の製造方法であって、
    前記基板は、第1の層と、前記第1の層上に形成された窒化アルミニウムの第2の層からなる
    圧電素子の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の圧電素子の製造方法であって、さらに
    前記窒化アルミニウム層上に、前記第1の電極層と対向するように第2の電極層を形成する
    圧電素子の製造方法。
JP2012038334A 2012-02-24 2012-02-24 圧電素子の製造方法 Active JP6059875B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012038334A JP6059875B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 圧電素子の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012038334A JP6059875B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 圧電素子の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013175539A JP2013175539A (ja) 2013-09-05
JP6059875B2 true JP6059875B2 (ja) 2017-01-11

Family

ID=49268212

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012038334A Active JP6059875B2 (ja) 2012-02-24 2012-02-24 圧電素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6059875B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180053031A (ko) 2016-11-11 2018-05-21 삼성전자주식회사 압전 미소 기계식 공진기

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4328853B2 (ja) * 2003-01-22 2009-09-09 独立行政法人産業技術総合研究所 圧電素子およびその製造方法
JP2005117313A (ja) * 2003-10-07 2005-04-28 Fujitsu Ltd 圧電素子およびタッチパネル装置
JP2006346962A (ja) * 2005-06-15 2006-12-28 Seiko Epson Corp パターンの形成方法及び液滴吐出ヘッド
JP4756461B2 (ja) * 2005-10-12 2011-08-24 宇部興産株式会社 窒化アルミニウム薄膜およびそれを用いた圧電薄膜共振子
JP2008236671A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Toshiba Corp 薄膜圧電共振器及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013175539A (ja) 2013-09-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI450317B (zh) 光罩圖案之形成方法及半導體裝置之製造方法
US20170032955A1 (en) Plasma processing apparatus and plasma processing method
US9911607B2 (en) Method of processing target object
US8053955B2 (en) Piezoelectric device and method of production thereof
JP2007005381A (ja) プラズマエッチング方法、及びプラズマエッチング装置
US10319899B2 (en) Method of forming a semiconductor device
US10707088B2 (en) Method of processing target object
JP2014063866A (ja) シリコン基板の加工方法及び荷電粒子線レンズの製造方法
TWI445080B (zh) Manufacturing method of semiconductor device
US10658192B2 (en) Selective oxide etching method for self-aligned multiple patterning
CN107180754A (zh) 等离子体处理方法
US20090223931A1 (en) Dry etching method and apparatus
CN107564803B (zh) 刻蚀方法、工艺设备、薄膜晶体管器件及其制造方法
JP6059875B2 (ja) 圧電素子の製造方法
JP4654811B2 (ja) エッチングマスクおよびドライエッチング方法
JP5326404B2 (ja) モールドの製造方法
WO2012161026A1 (ja) ドライエッチング方法及びデバイス製造方法
JP2012243992A5 (ja)
TWI810181B (zh) 使用硫及/或碳基化學品之有機膜循環電漿蝕刻方法
JP2013058523A (ja) 半導体装置の製造方法
JP2015088696A (ja) プラズマ処理方法
US20130078815A1 (en) Method for forming semiconductor structure with reduced line edge roughness
US10607852B2 (en) Selective nitride etching method for self-aligned multiple patterning
CN102122112A (zh) 形成图案的方法
KR100776487B1 (ko) 플라즈마 식각 방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150123

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160225

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160509

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160809

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161006

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6059875

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250