JP6059643B2 - 減速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、減速装置に関する。
例えば特許文献1に、図5に示されるような、モータと連結して使用される減速装置が開示されている。この減速装置911の入力軸913は、一端部915の端面915Aにモータ軸917が挿入されるモータ軸挿入穴919を有している。又、他端部921の外周921Bに、減速装置911の歯車923と噛合するピニオン925が設けられている。さらに、他端部921の端面921Aには、モータ軸917と連結するための連結ボルト927が挿入されるボルト挿入穴929を有している。
そして、図5の想像線で示すように、ボルト挿入穴929に挿入された連結ボルト927を、モータ軸917の減速装置側の端面917Aに螺合させることによって、入力軸913をモータ軸917と連結している。
特開2012−57672号公報(図2)
しかしながら、上記のような構造の入力軸913を有する減速装置911にあっては、入力軸913の反モータ側のピニオン925等を潤滑するための減速装置911内の潤滑剤が、ボルト挿入穴929を介して入力軸913の内部に入り込み、モータ側に漏出してしまう虞があるという問題があった。
本発明は、このような従来の問題を解消するためになされたものであって、減速装置内の潤滑剤が入力軸の内部を介してモータ側に漏出する虞れを低減できる減速装置を提供することをその課題としている。
本発明は、一端部にモータ軸が挿入されるモータ軸挿入穴を有し、他端部に減速装置の歯車と噛合するピニオンが設けられた入力軸を有する減速装置であって、前記入力軸の前記他端部の端面から前記モータ軸挿入穴へ貫通し、かつ、モータ軸と連結するためのボルトが挿入されるボルト挿入穴を有し、該ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部が配置される大径部と、該ボルトの軸部が挿通される小径部と、を有し、前記大径部の反モータ側の内周縁に第1面取り部、前記小径部の反モータ側の内周縁に第2面取り部がそれぞれ形成され、前記第1面取り部の面取り量が、前記第2面取り部の面取り量よりも大きく、前記ボルトの頭部と前記大径部の底面との間に、シールワッシャが配置される構成とすることにより、上記課題を解決したものである。
本発明においては、入力軸の端面からモータ軸挿入穴へ貫通するボルト挿入穴は、ボルトの頭部が配置される大径部と、ボルトの軸部が挿通される小径部とを有する。大径部の反モータ側の内周縁の第1面取り部の面取り量は、小径部の反モータ側の内周縁の第2面取り部の面取り量よりも大きい。そして、ボルトの頭部と大径部の底面との間に、シールワッシャが配置される。
これにより、入力軸のボルト挿入穴から潤滑剤が漏出する虞れを低減できるようになる。
本発明によれば、減速装置内の潤滑剤が入力軸の内部を介してモータ側に漏出する虞れを低減することができる。
本発明の実施形態の一例に係る減速装置の構成を示す全体断面図 図1の入力軸の近傍の拡大断面図 図1の減速装置をモータ側から見た側面図 上記減速装置の入力軸を取り出して示した一部に拡大断面を含む断面図 従来の減速装置の一例を示す全体断面図
以下、図面に基づいて本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例に係る減速装置の構成を示す全体断面図である。また、図2は、図1の入力軸の近傍の拡大断面図、図3は、図1の減速装置をモータ側から見た側面図である。
この減速装置10は、いわゆる振り分けタイプと称される偏心揺動型の減速機構11を有し、図示せぬロボットの関節を駆動するために使用される。
この実施形態に係る減速装置10では、モータ13の動力は、いわゆる継軸タイプの入力軸12を介して入力される。入力軸12の周辺の構造については、後に詳述する。
入力軸12は、複数(この例では3個:1個のみ図示)の振り分け歯車16と噛合するピニオン18が設けられている。つまり、ピニオン18は、減速装置10の3個の振り分け歯車16と同時に噛合している。各振り分け歯車16は、それぞれクランク軸22に連結されている。
各クランク軸22は、この実施形態では3本(図3参照)設けられ、後述する内歯歯車24の軸心O1からR1だけオフセットした円周上において、それぞれ円周方向に120度の間隔で配置されている。
各クランク軸22には、それぞれの軸方向同位置に第1偏心体26が形成され、該第1偏心体26と隣接してそれぞれの軸方向同位置に第2偏心体28が形成されている。各クランク軸22の第1偏心体26同士および第2偏心体28同士は、偏心位相が揃えられている。第1偏心体26と第2偏心体28の偏心位相差は180度である(互いに離反する方向に偏心している)。
各クランク軸22の第1偏心体26の外周には、ころで構成された第1偏心体軸受30を介して第1外歯歯車32が組み込まれている。各クランク軸22の第2偏心体28の外周には、やはりころで構成された第2偏心体軸受34を介して第2外歯歯車36が組み込まれている。
これにより、3本のクランク軸22上の第1偏心体26が同期して回転することで第1外歯歯車32を揺動させ、同様に、3本のクランク軸22上の第2偏心体28が同期して回転することで第2外歯歯車36を揺動させることができる。第1外歯歯車32と第2外歯歯車36の偏心位相差は、(第1偏心体26と第2偏心体28の偏心位相差を受けて)180度である。
第1、第2外歯歯車32、36の軸方向両側には、第1、第2キャリヤ40、42が配置されており、各クランク軸22は、この第1、第2キャリヤ40、42に一対の円錐ころ軸受44、46を介して支持されている。第1、第2キャリヤ40、42は、一対の円錐ころ軸受48、50を介してケーシング52に支持されている。なお、第1、第2キャリヤ40、42は、第1キャリヤ40に圧入されると共に第1、第2外歯歯車32、36を貫通するキャリヤピン54を介して、キャリヤボルト56により連結・一体化されている。
第1、第2外歯歯車32、36は、内歯歯車24に内接噛合している。内歯歯車24は、この実施形態ではケーシング52と一体化された内歯歯車本体24Aと、該内歯歯車本体24Aに回転自在に組み込まれ、該内歯歯車24の内歯を構成する外ピン24Bとで構成されている。内歯歯車24の歯数(外ピン24Bの本数)は、第1、第2外歯歯車32、36の歯数よりも僅かだけ(この例では1だけ)多い。
本実施形態では、ケーシング52にはボルト(ボルト孔52Aのみ図示)を介してロボットの第1アーム(図示略)が連結され、第1キャリヤ40には、ボルト(タップ穴40Aのみ図示)を介してロボットの第2アーム(相手機械:図示略)がそれぞれ連結される。
この減速装置10の減速機構11は、潤滑剤(この例ではグリース、但し、グリース、オイルのいずれによる潤滑であってもよい)によって潤滑された状態で運転される。減速装置10内を封止するため、入力軸12とモータアダプタ60との間にはオイルシール62が配置され、第1キャリヤ40とケーシング52との間には、オイルシール64が配置されている。
又、第1キャリヤ40の軸方向端面40Bとロボットの第2アーム(相手機械)との連結に当たっては、この実施形態では、該第1キャリヤ40の軸方向端面40Bと第2アームとの間に、液状ガスケット(図示略)等を塗布することによって封止するようにしている。また、ケーシング52と第1アームとの連結部についても、液状ガスケット等で封止されている。なお、符号66は、第1キャリヤ40のクランク軸孔40Fを覆うシールキャップ、符号68は、入力軸孔40Gを覆うシールキャップである。
そして、入力軸12のピニオン18を含む減速装置10の内部空間P1は、モータ13の内部を含む減速装置10の外部空間P2に対して以下のような構成で封止されている。
図4は、上記減速装置10の入力軸12を取り出して示した、一部に拡大断面を含む断面図である。以下、主に図2および図4を参照して、本実施形態に係る減速装置10の入力軸12の周辺の構造について詳細に説明する。
上述したように、この実施形態に係る減速装置10では、モータ13の動力は、入力軸12を介して入力される。
入力軸12のモータ13側は径が太く、第2キャリヤ42よりも軸方向外側(モータ側)に突出している。入力軸12は、一端部、つまりモータ側端部12Aの径方向中央に、モータ13のモータ軸14が挿入されるモータ軸挿入穴12Bを有している。
モータ軸14は、入力軸12の該モータ軸挿入穴12Bの底面12Cに当接するまで挿入され、キー76を介して入力軸12と円周方向に一体化されている。モータ軸14の軸方向端面14Aには、後述する連結ボルト80が螺合するタップ穴14Bが形成されている。
入力軸12の反モータ側は、モータ側より径が細く、減速装置10の減速機構11の径方向中央に配置されている。
入力軸12の他端部、つまり反モータ側端部12Dには、前述したように、3個の振り分け歯車16と同時に噛合するピニオン18が設けられている。つまり、この実施形態は、減速装置10が、複数のクランク軸22を有する偏心揺動型の減速装置であって、入力軸12のピニオン18と噛合する歯車が、該クランク軸22に設けられた振り分け歯車16である構成例に相当している。
入力軸12の反モータ側端部12Dの端面(他端部の端面)12Fには、該端面12Fからモータ軸14が挿入されるモータ軸挿入穴12Bへ貫通するボルト挿入穴12Gが設けられている。ボルト挿入穴12Gには、入力軸12とモータ軸14とを連結するための前記連結ボルト80が挿入される。ボルト挿入穴12Gは、該連結ボルト80の頭部80Aが配置される大径部12G1と、該連結ボルト80の軸部80Bが挿通される小径部12G2と、を有している。なお、本実施形態に係る連結ボルト80では、軸部80Bの先端側にのみねじ部80Cが形成されているが、連結ボルトの種類によっては、軸部80Bの全てにねじ部80Cが形成されているものもある。連結ボルトのねじ部80Cの形成長さは、特に限定されない(先端側のみにねじ部が形成されている連結ボルトであってもよいし、頭部から直にねじ部が形成されている連結ボルトであってもよい)。
図4を参照して、入力軸12の大径部12G1の反モータ側の内周縁には第1面取り部CH1が形成されている。また、小径部12G2の反モータ側の内周縁には第2面取り部CH2が形成されている。
第1面取り部CH1は、この実施形態では、軸断面(図2、図4の断面)において、大径部12G1の反モータ側の内周縁を、入力軸12の軸心(=内歯歯車24の軸心)O1から30度の形成角度を有する平面CH1cで切削したものである。第1面取り部CH1の径方向の形成代は、Hch1である。
一方、第2面取り部CH2は、この実施形態では、軸断面において、小径部12G2の反モータ側の内周縁を、入力軸12の軸心O1から45度の形成角度を有する平面CH2cで切削したものである(いわゆるC面取り処理)。第2面取り部CH2の径方向の形成代は、Hch2である。なお、第1面取り部CH1、第2面取り部CH2の形成角度は、30度や45度に限定されず、軸心O1に対し、所定の角度で傾斜していればよい。
この実施形態では、径方向の形成代Hch1、Hch2を面取り量と定義する。この定義によれば、大径部12G1の反モータ側の内周縁に形成した第1面取り部CH1の面取り量(径方向の形成代Hch1)の方が、小径部12G2の反モータ側の内周縁に形成した第2面取り部CH2の面取り量(径方向の形成代Hch2)よりも大きい(Hch1>Hch2)。
具体的には、この実施形態では、約3倍(Hch1≒3・Hch2)に設計されている。定性的には、第1面取り部CH1の面取り量の方が、第2面取り部CH2の面取り量より大きければよいが、「第1面取り部CH1の面取り量(径方向の形成代Hch1)の方が、第2面取り部CH2の面取り量(径方向の形成代Hch2)よりも2.0倍以上大きい」という大小差(Hch1≧2.0・Hch2)が確保されるのがより好ましい。
ちなみに、大径部12G1のモータ側の内周縁には、第3面取り部CH3が形成されている。第3面取り部CH3は、軸断面において、該大径部12G1の内周と底面12G1aとに丁度接するような円弧CH3rで切削したものである(いわゆるR面取り処理)。第3面取り部CH3の径方向の形成代は、Hch3である。
また、モータ軸挿入穴12Bの内周縁には、第4面取り部CH4が形成されている。この実施形態では、軸断面が軸心O1に対して30度の形成角度の平面CH4c’で径方向寸法がHch4c’まで拡開され、さらに60度の形成角度の平面CH4c”が径方向寸法Hch4c”まで拡開されることにより、合計で径方向の形成代がHch4となるまで切削した処理が施されている。すなわち、この実施形態では、Hch4>Hch1>Hch3>Hch2である。すなわち、面取り量(径方向の形成代)は、モータ軸挿入穴12Bの内周縁の第4面取り部CH4が最も大きく、次いで、大径部12G1の反モータ側の内周縁の第1面取り部CH1、大径部12G1のモータ側の内周縁の第3面取り部CH3の順に小さくなり、小径部12G2の反モータ側の内周縁の第2面取り部CH2が最も小さい。
そして、連結ボルト80の頭部80Aと大径部12G1の底面12G1aとの間に、シールワッシャ90が配置される。シールワッシャ90は、座面の径方向一部または全部の全周に亘ってシール機能を有する弾性体が組み込まれたワッシャである。すなわち、シールワッシャ90は、第2面取り部CH2を塞ぐような態様で、連結ボルト80と入力軸12との間の隙間をシールしている。
大径部12G1の軸方向長さL12G1は、該大径部12G1の底面12G1aが、前記ピニオン18と振り分け歯車16とが噛合している部位L18(図2)よりも軸方向モータ側に位置するように設定されている。本実施形態では、さらに、ピニオン18の歯幅W18の軸方向最もモータ側の位置(終端)P18よりも、さらにδL18だけ軸方向モータ側に位置するように設定されている。すなわち、ピニオン18と振り分け歯車16とが噛合している部位L18と頭部80Aが、径方向から見て重ならないように配慮されている。
次に、この偏心揺動型の減速装置10の作用を説明する。
モータ13が回転すると、入力軸12の反モータ側端部(他端部)12Dに形成されたピニオン18が回転する。ピニオン18は、3個の振り分け歯車16と同時に噛合しているため、該ピニオン18と振り分け歯車16の噛合により、3本のクランク軸22がピニオン18と振り分け歯車16との歯数比に減速された状態で同一の方向に同一の回転速度で同期して回転する。
この結果、各クランク軸22の軸方向同位置にそれぞれ形成された3個の第1偏心体26が同期して回転して第1外歯歯車32を揺動させると共に、クランク軸22の軸方向同位置にそれぞれ形成された3個の第2偏心体28が同期して回転して第2外歯歯車36を揺動させる。
第1、第2外歯歯車32、36は、それぞれ内歯歯車24に内接噛合しているため、第1、第2外歯歯車32、36が1回揺動する毎に、該第1、第2外歯歯車32、36は、内歯歯車24に対して歯数差分(この実施形態では1歯分)円周方向の位相がずれる(自転する)。この自転成分は、各クランク軸22の内歯歯車24の軸心O1周りの公転として第1、第2キャリヤ40、42に伝達される。
第1、第2キャリヤ40、42はキャリヤピン54およびキャリヤボルト56を介して互いに連結されているため、結局、入力軸12の回転によって、ケーシング52に連結された第1アームに対して、第1キャリヤ40に連結された第2アームを相対的に回転させることができる。
ここで、この減速装置10においては、潤滑剤によって種々の摺動面あるいは転動面が潤滑される。潤滑剤は、オイルシール62、64によって、あるいは相手機械との間に塗布された液状ガスケット等で減速装置10の内部空間P1に封止されており、(モータ13内を含む)減速装置10の外部空間P2に漏出しないように構成されている。
しかし、従来、種々の悪条件が重なったときに、まれに入力軸(913:図5)のボルト挿入穴(929)を介して潤滑剤がモータ側に漏出することがあるという問題があった。そして、この問題を解決し得る技術を開発するに当たって、発明者らが、従来の入力軸(913)周りの構造を検証したところ、以下のような知見を得ることができた。
この知見に関する理解を容易にするために、従来の入力軸913周りの構成を、図5を用いて再び説明する。
従来、入力軸913を製造する場合、該入力軸913の軸方向両端部の軸心部を、(工作機械の)一対のセンター(先端が円錐状に尖った支持具:図示略)によって挟持し、入力軸913を回転させた状態で、該入力軸913の外周を切削したりピニオン925を形成したりする加工方法が採用されている。従来のセンターによる被支持部は、具体的には、図5の例で言えば、モータ軸挿入穴919の内周縁の面取り部CH919、およびボルト挿入穴929の内周縁の面取り部CH929とされていた。
面取り部CH919、CH929を挟持して入力軸913を加工する場合、該入力軸913を安定して支持するには、これらの被支持部となる面取り部CH919、CH929の面取り量を大きく確保する必要がある。そのため、従来は、特にボルト挿入穴929の内周縁の面取り部CH929の面取り量が、該ボルト挿入穴929に対して本来必要とされる面取り量よりも大きめに設定されていた。
そして、この大きめに設定された面取り部CH929が、潤滑剤がモータ側に漏出する要因となっていた、という知見が得られたものである。
しかし、このボルト挿入穴929の内周縁の面取り部CH929の面取り量は、加工時の支持の安定性を確保する必要上、さらに小さく設定するのは、現実には困難である。
そこで、本実施形態では、ボルト挿入穴12G自体に対して本来必要な第2面取り部CH2の機能と、入力軸12の加工時の被支持部としての第1面取り部CH1の機能を位置的に分離して形成し、それぞれの機能を別々の部位にて確保する構成としたものである。
具体的には、本減速装置10の入力軸12では、反モータ側端部(他端部)12Dの軸方向端面12Fに、該端面12Fからモータ軸挿入穴12Bへ向けて貫通するボルト挿入穴12Gが設けられる。このボルト挿入穴12Gは、該連結ボルト80の頭部80Aが配置される大径部12G1と連結ボルト80の軸部80Bおよびねじ部80Cが挿通される小径部12G2とを有した構造とされている。そして連結ボルト80をボルト挿入穴12Gに挿入してモータ軸14の軸方向端面14Aに形成したタップ穴14Bと螺合させ、連結ボルト80の頭部80Aをシールワッシャ90を介して大径部12G1の底面12G1aに当接するまでねじ込むことで、入力軸12とモータ軸14とを連結する。
そのため、本実施形態では、入力軸12を加工するときの被支持部となる第1面取り部CH1および第4面取り部CH4の面取り量を、それぞれ径方向の形成代がHch1、Hch4となるように、(潤滑剤の漏出を考慮することなく)大きく設定することができる。また、ボルト挿入穴12Gに対する第2面取り部CH2の面取り量(径方向の形成代Hch2)については、(入力軸12の加工時の支持の安定性の確保を考慮することなく)必要最小限の面取り量に小さく抑えることができる(Hch4>Hch1>Hch2)。そして、この状態で、連結ボルト80の頭部80Aと大径部12G1の底面12G1aとの間に、シールワッシャ90が配置される。この結果、入力軸12の加工時の支持を良好に維持しつつ、減速装置10の内部空間P1とモータ13内を含む減速装置10の外部空間P2とのシール性能をより向上させることができる。換言するならば、第2面取り部CH2の面取り量が小さいため、シールワッシャ90で連結ボルト80と入力軸12との間を十分に封止することができる。
また、従来は、入力軸913の反モータ側の端面921A自体に連結ボルト927が取り付けられるため、連結ボルト927の頭部927Aが入力軸913の端面921Aから露出せざるを得なかったが、本実施形態によれば、連結ボルト80の頭部80Aを、完全に大径部12G1内に配置・収容することができるため、連結ボルト80の頭部80Aが入力軸12の端面12Fから突出することがない。
また、この頭部80A(927A)の位置に関連し、従来は、連結ボルト927の頭部927A全体が入力軸913の端面921Aから露出していたため、何らかの原因で、潤滑剤が強い圧力で連結ボルト927の面取り部CH929に降り掛かることがあった。しかし、本実施形態によれば、潤滑剤は、先ず、大径部12G1に入り込んだ後、連結ボルト80の頭部80Aの外周と大径部12G1の内周との間の僅かな隙間を通り、さらに浸入角度を径方向に変えて初めて連結ボルト80の第2面取り部CH2に至ることになる。そのため、該第2面取り部CH2に潤滑剤が到達したときには、該潤滑剤の勢いは著しく弱められており、この点でも潤滑剤は漏出しにくくなっている。
さらには、この実施形態においては、ボルト挿入穴12Gの大径部12G1の軸方向長さL12G1が、該大径部12G1の底面12G1aがピニオン18と振り分け歯車16とが噛合している部位L18、さらにはピニオン18の歯幅W18(の軸方向最もモータ側の位置P18)よりもさらにδL18だけ軸方向モータ13側に位置するように設定されている。そのため、ピニオン18の歯幅W18の全域に亘って入力軸12の径方向の厚さが均一であるため、ピニオン18と振り分け歯車16との歯当たりも均一化され、良好な噛合を維持することができる。
尤も、この構成は、必ずしも必須の構成ではなく、入力軸の軸方向寸法や振り分け歯車の軸方向位置との関係等によっては、例えば、大径部の底面が、ピニオンと振り分け歯車とが噛合している軸方向位置に位置するように設計してもよい。
また、上記実施形態においては、減速装置10が複数のクランク軸22を有する偏心揺動型の減速装置であって、ピニオン18と噛合する歯車が、クランク軸22に設けられた複数の振り分け歯車16である構成例が示されていた。このような構成の減速装置10にあっては、入力軸12のピニオン18と振り分け歯車16との噛合点が多く、また、潤滑剤はピニオン18周りの複数の振り分け歯車16の自転およびピニオン18周りの公転によって大きく攪拌される。また、入力軸12の微振動も生じ易い。そのため、もともと入力軸12のボルト挿入穴12Gから潤滑剤が漏出し易い構造となっている。そのため、入力軸12の加工性と良好なシール特性の確保を両立させることができるメリットは特に大きい。
しかし、本発明に係る減速装置は、必ずしもこのような構成の減速機構を有する減速装置でなければならない訳ではなく、単純遊星減速機構、平行軸減速機構、あるいは直交減速機構等の減速機構を有する減速装置であってもよい。当然、ピニオンと噛合する歯車も、振り分け歯車に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、モータ軸14自体が、モータ軸挿入穴12Bに直接挿入・連結される構成とされていた。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、モータ軸14にカップリング等を介して連結された軸が、該モータ軸挿入穴12Bに挿入・連結される構成であってもよい。すなわち、本発明のモータ軸には、モータの出力軸にカップリング等を介して連結され、モータの出力軸と一体的に回転する軸が含まれる。
10…減速装置
12…入力軸
12A…モータ側端部(一端部)
12B…モータ軸挿入穴
12C…底面
12D…反モータ側端部(他端部)
12F…端面
12G…ボルト挿入穴
12G1…大径部
12G2…小径部
14…モータ軸
16…振り分け歯車
18…ピニオン
22…クランク軸
62、64…オイルシール
80…連結ボルト

Claims (6)

  1. 一端部にモータ軸が挿入されるモータ軸挿入穴を有し、他端部に減速装置の歯車と噛合するピニオンが設けられた入力軸を有する減速装置であって、
    前記入力軸の前記他端部の端面から前記モータ軸挿入穴へ貫通し、かつ、モータ軸と連結するためのボルトが挿入されるボルト挿入穴を有し、
    該ボルト挿入穴は、前記ボルトの頭部が配置される大径部と、該ボルトの軸部が挿通される小径部と、を有し、
    前記大径部の反モータ側の内周縁に第1面取り部、前記小径部の反モータ側の内周縁に第2面取り部がそれぞれ形成され、
    前記第1面取り部の面取り量が、前記第2面取り部の面取り量よりも大きく、
    前記ボルトの頭部と前記大径部の底面との間に、シールワッシャが配置される
    ことを特徴とする減速装置。
  2. 請求項1において、
    前記大径部の軸方向長さは、該大径部の前記底面の軸方向位置が、前記ピニオンと前記歯車とが噛合している部位よりも軸方向モータ側に位置するように設定されている
    ことを特徴とする減速装置。
  3. 請求項2において、
    前記大径部の軸方向長さは、該大径部の前記底面の軸方向位置が、前記ピニオンの終端よりもモータ側に位置するように設定されている
    ことを特徴とする減速装置。
  4. 請求項2または3において、
    前記大径部の軸方向長さは、前記ボルトの頭部と前記ピニオンと前記歯車とが噛合している部位とが径方向から見て重ならないように設定されている
    ことを特徴とする減速装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、
    当該減速装置が、複数のクランク軸を有する偏心揺動型の減速装置であって、前記ピニオンと噛合する前記歯車は、該クランク軸に設けられた歯車である
    ことを特徴とする減速装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかにおいて、
    前記第1面取り部の面取り量が、前記第2面取り部の面取り量の2倍以上とされている
    ことを特徴とする減速装置。
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