JP2018100705A - デファレンシャル装置 - Google Patents

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Eiji Isogai
英二 磯貝
鈴木 義視
Yoshimi Suzuki
義視 鈴木
真登 吉川
Masato Yoshikawa
真登 吉川
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Abstract

【課題】ピニオンシャフトに対するピニオンギアの潤滑を図り、それに伴う諸問題を解決する。【解決手段】デファレンシャル装置10は、ピニオンシャフト13と、ピニオンシャフト13に対して回転可能な形で装着されるピニオンギア14と、ピニオンシャフト13が固定され且つピニオンシャフト13の軸線方向と直交する回転軸周りに回転可能なデファレンシャルケース12と、ピニオンシャフト13の側面を凹ませる形で設けられ、軸線方向に沿って延在してピニオンシャフト13の端面に開口する潤滑油流動溝21と、デファレンシャルケース12とピニオンギア14との間に介在するワッシャ17であって、ピニオンシャフト13を通すシャフト挿通孔17aと、シャフト挿通孔17aの孔縁に設けられて潤滑油流動溝21内に突出する溝内突出部22と、を有するワッシャ17と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、デファレンシャル装置に関する。
従来、車両に搭載されるデファレンシャル装置として、例えば特許文献1に記載のものが知られている。下記特許文献1には、回転駆動力を受けるデフケースと、このデフケースにピニオンシャフトを介して回転自在に取り付けられ、一対のサイドギアと噛合するピニオンギアと、このピニオンギアとデフケースとの間に介装されたワッシャとを備えた差動装置において、前記ワッシャに潤滑溝を設け、またこの潤滑溝に潤滑油を掻き込んで流入させるフィンを配し、このワッシャと前記ピニオンギアとの摺動部分に潤滑油を強制的に流入させるようにしたデファレンシャル装置が記載されている。
実開平2−4041号公報
上記したデファレンシャル装置においては、ワッシャに設けた潤滑溝から流入させた潤滑油によってワッシャに対するピニオンギアの潤滑を図るようにしている。その一方、ピニオンギアがピニオンシャフトに対して回転(自転)する際の潤滑を図ることが求められる場合があり、その対応に苦慮していた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ピニオンシャフトに対するピニオンギアの潤滑を図り、それに伴う諸問題を解決することを目的とする。
本発明のデファレンシャル装置は、ピニオンシャフトと、前記ピニオンシャフトに対して回転可能な形で装着されるピニオンギアと、少なくとも前記ピニオンギア及び潤滑油を収容するとともに前記ピニオンシャフトが固定され且つ前記ピニオンシャフトの軸線方向と直交する回転軸周りに回転可能なデファレンシャルケースと、前記ピニオンシャフトの側面を凹ませる形で設けられ、前記軸線方向に沿って延在して前記ピニオンシャフトの端面に開口する潤滑油流動溝と、前記デファレンシャルケースと前記ピニオンギアとの間に介在するワッシャであって、前記ピニオンシャフトを通すシャフト挿通孔と、前記シャフト挿通孔の孔縁に設けられて前記潤滑油流動溝内に突出する溝内突出部と、を有するワッシャと、を備える。
このようにすれば、デファレンシャルケース及びそれに固定されたピニオンシャフトが、ピニオンシャフトの軸線方向と直交する回転軸周りに回転されると、ピニオンシャフトの側面を凹ませる形で設けられて軸線方向に沿って延在する潤滑油流動溝内の潤滑油には遠心力が作用する。潤滑油は、上記遠心力によって潤滑油流動溝内を流動し、ピニオンギアとピニオンシャフトとの間に入り込むことで、ピニオンシャフトの軸線周りに回転するピニオンギアの潤滑を図ることができ、もって焼き付きが生じ難くなる。また、デファレンシャルケースとピニオンギアとの間には、ワッシャが介在されているので、ピニオンギアとデファレンシャルケースとが直接接触することが避けられる。これにより、ピニオンギアの回転によってデファレンシャルケースが摩耗する事態を抑制することができる。
上記した潤滑油流動溝は、ピニオンシャフトの軸線方向に沿って延在してピニオンシャフトの端面に開口しているので、ピニオンシャフトの製造に際しては引っ張り加工や押し出し加工などを行うことで潤滑油流動溝を形成することが可能となっている。従って、仮に潤滑油流動溝を切削加工などにより形成した場合に比べると、ピニオンシャフトの製造コストを低下させることが可能とされる。その一方、潤滑油流動溝がピニオンシャフトの端面に開口していると、潤滑油流動溝内の潤滑油がデファレンシャルケースの回転に伴って作用する遠心力によってデファレンシャルケースの外部へと漏れ出すおそれがある。その点、デファレンシャルケースとピニオンギアとの間に介在するワッシャは、ピニオンシャフトを通すシャフト挿通孔の孔縁から潤滑油流動溝内に突出する溝内突出部を有しているから、潤滑油流動溝内の潤滑油がデファレンシャルケースの回転に伴って作用する遠心力によってピニオンシャフトの端側へ向けて流動するのを溝内突出部によって規制することができる。これにより、潤滑油がデファレンシャルケースの外部へと漏れ出す事態が生じ難くなる。また、潤滑油流動溝内に突出した溝内突出部が潤滑油流動溝の溝縁に係合することで、ピニオンギアの回転に伴ってワッシャが連れ回りする事態が生じ難くなり、もってワッシャによってデファレンシャルケースが摩耗する事態が生じ難くなる。
本発明の実施態様として、次の構成が好ましい。
(1)前記ワッシャは、前記溝内突出部の突出先端から前記潤滑油流動溝に沿って延出する延出部を有する。このようにすれば、潤滑油流動溝内には、溝内突出部に加えて潤滑油流動溝に沿って延出する延出部が入ることになるから、潤滑油がピニオンシャフトの端側へ向けて流動するのをより好適に規制することができる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をより確実に発揮することができる。
(2)前記延出部は、前記溝内突出部の突出先端から前記ピニオンギア側へ延出し、前記ピニオンギアの一部と対向する形で配される。このようにすれば、潤滑油流動溝内を流動する潤滑油は、延出部によってピニオンシャフトの端側への流動が規制されるとともにピニオンシャフトとピニオンギアとの間に滞留することになる。これにより、ピニオンシャフトとピニオンギアとの間に潤滑油を常在させることが可能となり、ピニオンギアの潤滑がより良好なものとなる。
(3)前記延出部は、その厚み寸法が前記潤滑油流動溝の深さ寸法よりも大きい。このようにすれば、延出部による潤滑油流動溝の閉塞がより確実なものとなる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をさらに確実に発揮することができる。
(4)前記ピニオンシャフト及び前記ワッシャの前記シャフト挿通孔は、前記潤滑油流動溝及び前記溝内突出部を除いた断面形状がそれぞれ非円形とされる。このようにすれば、潤滑油流動溝内に突出した溝内突出部が潤滑油流動溝の溝縁に係合するのに加えて、ワッシャのシャフト挿通孔の孔縁に対してピニオンシャフトの外縁が係合することで、ピニオンギアの回転に伴ってワッシャが連れ回りする事態がより生じ難くなる。これにより、ワッシャによってデファレンシャルケースが摩耗する事態がより生じ難くなる。
(5)前記ピニオンシャフトの側面を凹ませる形で設けられ、前記ピニオンギアに対して前記軸線方向について中央側に配されて前記潤滑油流動溝に連通し、前記潤滑油流動溝よりも幅広な幅広連通凹部を備える。このようにすれば、ピニオンギアに対して軸線方向について中央側に配される幅広連通凹部内に存在する潤滑油は、デファレンシャルケースの回転に伴って作用する遠心力によって潤滑油流動溝を流動してピニオンギアとピニオンギアとの間に入り込んでピニオンギアの潤滑に供される。幅広連通凹部は、潤滑油流動溝よりも幅広であるから、潤滑油流動溝内に潤滑油を効率的に供給することができる。これにより、ピニオンギアの潤滑がより良好なものとなる。
(6)前記ピニオンシャフトは、前記軸線方向についての端部を前記軸線方向と交差する方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、前記デファレンシャルケースは、前記ピニオンシャフトの前記端部が挿通される端部挿通孔を有する壁部と、前記壁部から外部に突出する形で設けられて前記端部挿通孔に連通する第1連通孔及び前記貫通孔に連通する第2連通孔を有するシャフト取付部と、を有しており、前記貫通孔及び前記第2連通孔に通されることで前記ピニオンシャフトを固定するシャフト固定部材を備える。このようにすれば、ピニオンシャフトは、軸線方向についての端部がデファレンシャルケースの壁部の端部挿通孔及びシャフト取付部の第1連通孔に通される。壁部とピニオンギアとの間に介在する形でワッシャが取り付けられると、ピニオンシャフトの潤滑油流動溝内にワッシャの溝内突出部が突出することで、ピニオンシャフトが周方向について位置決めされる。このとき、ピニオンシャフトにおける軸線方向についての端部を貫通する形で設けられた貫通孔に関してもピニオンシャフトの周方向について位置決めされるので、貫通孔がデファレンシャルケースにおけるシャフト取付部の第2連通孔に連通する形で整合する。これにより、互いに整合した貫通孔及び第2連通孔に対してシャフト固定部材を容易に通すことができるので、ピニオンシャフトの固定を図る際の作業性に優れる。
本発明によれば、ピニオンシャフトに対するピニオンギアの潤滑を図り、それに伴う諸問題を解決することができる。
本発明の実施形態1に係るデファレンシャル装置の概略構成を示す平断面図 ピニオンシャフト、ピニオンギア及びワッシャの側断面図 図1におけるワッシャ付近を拡大した平断面図 ピニオンシャフトの斜視図 ピニオンシャフトの側面図 ピニオンシャフトの正面図 ワッシャの正面図 本発明の実施形態2に係るワッシャ付近を拡大した平断面図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図7によって説明する。本実施形態のデファレンシャル装置10は、自動車などの車両に搭載されるものであって、例えば車両がカーブを曲がる時などにおいて、左右の車輪に同じトルクを与えつつ、左右の車輪の回転数を調整するための差動装置である。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。また、車両の左右方向がX軸方向と、車両の前後方向がY軸方向と、車両の高さ方向(鉛直方向)がZ軸方向と、それぞれ一致している。
デファレンシャル装置10は、図1に示すように、図示しないエンジンからプロペラシャフト1に伝達された動力を、左右の車輪の回転軸である一対のドライブシャフト(アスクルシャフト)2に対して伝達するものであり、車両の走行に伴って各ドライブシャフト2に作用する負荷に応じて各ドライブシャフト2に対して適切な回転数を付与するものとされる。デファレンシャル装置10は、プロペラシャフト1の端部に装着されるドライブピニオン3に対して噛み合うリングギア11と、リングギア11が装着されるデファレンシャルケース(デフケース)12と、デファレンシャルケース12内に収容されてデファレンシャルケース12に固定されるピニオンシャフト(デファレンシャルピニオンシャフト、デフピニオンシャフト)13と、デファレンシャルケース12内に収容されてピニオンシャフト13に対して回転可能に装着される一対のピニオンギア(デファレンシャルピニオンギア、デフピニオンギア)14と、デファレンシャルケース12内に収容されて一対のピニオンギア14に対して噛み合うとともにドライブシャフト2に装着される一対のサイドギア15と、ピニオンシャフト13を固定するためのシャフト固定部材16と、デファレンシャルケース12と各ピニオンギア14との間に介在する一対のワッシャ17と、を少なくとも備える。なお、プロペラシャフト1とドライブシャフト2とは、互いに軸線方向が直交する関係とされており、具体的にはプロペラシャフト1の軸線方向がY軸方向(車両の前後方向)と、ドライブシャフト2の軸線方向がX軸方向(車両の左右方向)と、それぞれ一致している。
リングギア11は、図1に示すように、ドライブシャフト2の軸心とほぼ同心の環状をなしており、自身の外周面に形成された歯がドライブピニオン3の歯に噛み合うとともに、ドライブシャフト2の軸線周りに回転可能とされる。このリングギア11によってドライブピニオン3の回転力がデファレンシャル装置10に伝達される。
デファレンシャルケース12は、例えば鋳造などによって成形されることで略箱状をなしており、図1に示すように、X軸方向についての一端側に外向きに張り出すフランジ部18を有している。このフランジ部18には、上記したリングギア11が装着・固定されており、それによりデファレンシャルケース12は、ドライブピニオン3によってリングギア11が回転されるのに伴ってドライブシャフト2の軸線周りに回転される。デファレンシャルケース12は、その内部の収容空間S1を取り囲む複数の壁部12aを有している。デファレンシャルケース12を構成する複数の壁部12aのうち、Y軸方向及びZ軸方向(ドライブシャフト2の軸線方向と直交する方向)に沿う一対の壁部12aには、ドライブシャフト2を挿通する一対のドライブシャフト挿通孔12bが貫通形成されている。
デファレンシャルケース12は、図1及び図2に示すように、複数の壁部12aのいずれかが開口しており、それにより製造に際しては上記開口を通すことで各種部品などを外部から収容空間S1内に収容することが可能とされる。具体的には、デファレンシャルケース12の収容空間S1には、ピニオンシャフト13、ピニオンギア14、サイドギア15及びワッシャ17が収容されるのに加えて、図示しない潤滑油が収容されている。デファレンシャルケース12を構成する複数の壁部12aのうち、X軸方向及びZ軸方向(ピニオンシャフト13の軸線方向と直交する方向)に沿う一対の壁部12aには、ピニオンシャフト13における軸線方向についての両端部13aを挿通する一対の端部挿通孔(ピニオンシャフト挿通孔)12cが貫通形成されている。端部挿通孔12cは、正面から視て円形状をなしている。
デファレンシャルケース12において一対の端部挿通孔12cが設けられた一対の壁部12aのいずれか一方(図1及び図2に示す上側の壁部12a)には、図1及び図2に示すように、外部に突出する形でシャフト取付部19が設けられている。シャフト取付部19は、上記壁部12aのうち端部挿通孔12cの孔縁を外向きに突出させることで全体として短筒状をなしており、Y軸方向に沿って外部に開口して端部挿通孔12cに連通する第1連通孔19aを有している。このシャフト取付部19には、X軸方向に沿って外部に開口する第2連通孔19bを有しており、この第2連通孔19bが後述するピニオンシャフト13の貫通孔13bに連通している。第2連通孔19bの内周面の一部は、壁部12aの外面と面一状をなしている。第1連通孔19a及び第2連通孔19bは、それぞれ正面から視て円形状をなしている。
ピニオンシャフト13は、金属製とされており、図1及び図4に示すように、X軸方向と直交する方向(Y軸方向、Z軸方向など)に沿って延在する棒状をなしている。ピニオンシャフト13は、その軸線方向と直交する方向に沿って切断した断面形状(後述する潤滑油流動溝21を除いた断面形状)が非円形状をなしており、より詳しくは真円における約180°の角度間隔を空けた一対の弓形状の部分をそれぞれ切り欠いたような断面形状とされる。従って、ピニオンシャフト13における軸線方向に沿う側面(外周面)は、その大部分が正面から視て円弧状をなす曲面13cとされるものの、一部が正面から視て直線状をなす真直面13dとされる。ピニオンシャフト13は、その軸線方向についての両端部13aがデファレンシャルケース12における一対の端部挿通孔12cにそれぞれ挿通され、そのうちの一方の端部13aが後述するシャフト固定部材16によって固定されている。詳しくは、ピニオンシャフト13における一方の端部13aには、X軸方向(ピニオンシャフト13の軸線方向と直交(交差)する方向)に沿って貫通する貫通孔13bが設けられており、この貫通孔13bがデファレンシャルケース12におけるシャフト取付部19の第2連通孔19bに連通するものとされ、これら貫通孔13b及び第2連通孔19bに対してシャフト固定部材16が通されることで、ピニオンシャフト13の固定が図られている。これにより、ピニオンシャフト13は、デファレンシャルケース12の回転に伴ってドライブシャフト2の軸線(X軸)周りに回転されるようになっている。また、貫通孔13bは、正面から視て円形状をなしている。図1から図3及び図5では、ピニオンシャフト13の軸線方向がY軸方向と一致した状態を例示しているが、これ以外にもピニオンシャフト13の軸線方向は例えばZ軸方向と一致した状態やY軸方向及びZ軸方向の双方に対して傾いた状態などにもなり得る。なお、ピニオンシャフト13の詳しい構成については後に改めて説明する。
一対のピニオンギア14は、図1に示すように、ピニオンシャフト13の軸線方向について間隔を空けて対向配置されている。各ピニオンギア14は、ピニオンシャフト13の外周面に沿う環状をなしており、自身の外周面に形成された歯がサイドギア15の歯に噛み合うものとされる。各ピニオンギア14は、それぞれピニオンシャフト13に対してその軸線周りに回転可能な形で装着されており、自身の内周面とピニオンシャフト13の外周面との間に潤滑油の油膜が介在するものとされる。つまり、各ピニオンギア14は、いわゆる「すべり軸受構造」でもってピニオンシャフト13によって回転可能に軸支されている。各ピニオンギア14は、ピニオンシャフト13がデファレンシャルケース12と共に回転するのに伴ってドライブシャフト2の軸線周りに回転可能とされる。このように、各ピニオンギア14は、ピニオンシャフト13の軸線周りに自転可能とされるとともに、ドライブシャフト2の軸線周りに公転可能とされる。従って、ピニオンシャフト13が各ピニオンギア14の自転軸を、ドライブシャフト2が各ピニオンギア14の公転軸を、それぞれ構成している。各ピニオンギア14は、ピニオンシャフト13のうち、端部挿通孔12cに通された両端部13aに対してピニオンシャフト13の軸線方向についてそれぞれ中央側に隣り合う部分に対して装着されている。ピニオンシャフト13において各ピニオンギア14が装着される部分が一対のギア装着部20とされる。
一対のサイドギア15は、図1に示すように、ドライブシャフト2の軸線方向であるX軸方向(ピニオンシャフト13の軸線方向と直交する方向)について間隔を空けて対向配置されている。各サイドギア15は、ドライブシャフト2の外周面に沿う環状をなしており、自身の外周面に形成された歯がピニオンギア14の歯に噛み合うものとされる。各サイドギア15は、それぞれドライブシャフト2に対してスプライン嵌合などによって連結・固定されており、ドライブシャフト2と共にその軸線周りに回転可能とされる。各サイドギア15は、デファレンシャルケース12及びピニオンシャフト13と共にドライブシャフト2の軸線周りに回転(公転)される各ピニオンギア14から伝達された回転力によって各ドライブシャフト2の軸線周りに回転される。各サイドギア15の回転に伴って各ドライブシャフト2も同じ軸線周りに回転され、もって車両における左右の車輪が所定の回転数でもって回転される。
ここで、車両の走行状態に応じて各ドライブシャフト2に作用する負荷は変化するものとされ、例えば車両が右にカーブするときは右側のドライブシャフト2の負荷が高くなり、逆に車両が左にカーブするときは左側のドライブシャフト3の負荷が高くなる。このように各ドライブシャフト2に作用する負荷に差異が生じた場合には、各ピニオンギア14が各ドライブシャフト2の軸線周りに回転(公転)するのに加えてピニオンシャフト13の軸線周りにも回転(自転)し、それにより一対のサイドギア15のうちの高負荷側には相対的に少ない回転数が、一対のサイドギア15のうちの低負荷側には相対的に多い回転数がそれぞれ付与される。これにより、高負荷側の車輪が空転することなどが避けられ、車両の安定的な走行が担保される。なお、各ドライブシャフト2に作用する負荷が同等であれば、各ピニオンギア14は、各ドライブシャフト2の軸線周りに回転(公転)するものの、ピニオンシャフト13の軸線周りには殆ど回転(自転)せず、各サイドギア15に対して同等の回転数を付与する。
シャフト固定部材16は、図1に示すように、X軸方向(ピニオンシャフト13の軸線方向と直交する方向)に沿って延在する棒状をなしている。シャフト固定部材16は、互いに連通(整合)したシャフト取付部19の第2連通孔19bと、ピニオンシャフト13の貫通孔13bと、に対してシャフト取付部19が設けられた壁部12aの外壁面に沿って差し込まれている。これにより、ピニオンシャフト13がデファレンシャルケース12に対して軸線方向について相対変位するのを規制することができ、もってデファレンシャルケース12に対するピニオンシャフト13の固定を図ることができる。
ワッシャ17は、図1に示すように、デファレンシャルケース12における端部挿通孔12cが設けられた一対の壁部12aと、一対のピニオンギア14と、の間にそれぞれ介在する形で一対が配置されている。従って、各ピニオンギア14がピニオンシャフト13の軸線周りに回転(自転)した場合、各ピニオンギア14は、各ワッシャ17に対して摺接するものの、デファレンシャルケース12の壁部12aに対しては摺接することがないものとされる。これにより、各ピニオンギア14の自転に伴ってデファレンシャルケース12の壁部12aの内壁面が摩耗することが避けられている。ワッシャ17は、図7に示すように、外形が正面から視て略円形状をなしており、その中央位置にピニオンシャフト13が挿通されるシャフト挿通孔17aが自身の板厚方向(Y軸方向)に沿って貫通する形で設けられている。シャフト挿通孔17aは、正面から視た形状(後述する溝内突出部22を除いた断面形状)がピニオンシャフト13の外形に沿って非円形状とされており、その孔縁は、その大部分(曲面13cに沿う部分)が正面から視て円弧状をなす円弧状部分17bとされるものの、一部(真直面13dに沿う部分)が正面から視て直線状をなす直線状部分17cとされている。このような構成によれば、ワッシャ17のシャフト挿通孔17aの孔縁における直線状部分17cに対してピニオンシャフト13の外周面における真直面13dが係合することで、ワッシャ17の回り止めが図られ、ピニオンギア14の回転(自転)に伴ってワッシャ17が連れ回りする事態が生じ難くなる。これにより、ワッシャ17が当接されるデファレンシャルケース12の壁部12aの内壁面が摩耗する事態が生じ難くなる。
ピニオンシャフト13には、図1,図4から図6に示すように、軸線方向に沿う側面を凹ませる形で潤滑油流動溝21が設けられている。詳しくは、潤滑油流動溝21は、ピニオンシャフト13の側面のうち、正面から視て直線状をなす一対の真直面13dにおける中央部をそれぞれ凹ませることで、一対が約180°の角度間隔を空けた位置(背中合わせの位置)に配されている。潤滑油流動溝21は、断面形状(図6に示される正面から視た形状)が方形状をなしていて、その幅寸法が上記真直面13dの幅寸法よりも小さくされる。この潤滑油流動溝21には、図1に示されるデファレンシャルケース12の収容空間S1に存在する潤滑油が入るようになっている。潤滑油流動溝21内の潤滑油にデファレンシャルケース12の回転に伴う遠心力が作用すると、その潤滑油は、潤滑油流動溝21内をピニオンシャフト13の軸線方向に沿って中央側から端側へと流動し、やがてピニオンシャフト13とピニオンギア14との間に入り込むことで、ピニオンシャフト13の軸線周りに回転(自転)するピニオンギア14の潤滑を図ることができる。これにより、ピニオンシャフト13とピニオンギア14との摺接箇所に焼き付きが生じ難くなっている。
そして、潤滑油流動溝21は、図4及び図5に示すように、ピニオンシャフト13の軸線方向に沿って直線状に延在し、ピニオンシャフト13の端面に開口している。従って、ピニオンシャフト13の製造に際しては引っ張り加工(または押し出し加工など)を行うことで潤滑油流動溝21を形成することが可能となっている。これにより、仮に潤滑油流動溝の形成に際して例えば細径のエンドミルを用いた切削加工を行った場合に比べると、ピニオンシャフト13の製造コストを低下させることが可能とされる。その一方、潤滑油流動溝21がピニオンシャフト13の端面に開口していると、潤滑油流動溝21内の潤滑油がデファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によってピニオンギア14を超えてピニオンシャフト13の端面における開口に達し、デファレンシャルケース12の外部へと漏れ出すおそれがある。
そこで、本実施形態に係るワッシャ17には、図3及び図7に示すように、シャフト挿通孔17aの孔縁から潤滑油流動溝21内に突出する溝内突出部22が設けられている。なお、図7には、ピニオンシャフト13の外形を二点鎖線により図示している。溝内突出部22は、シャフト挿通孔17aの孔縁のうち、正面から視て直線状をなす一対の直線状部分17cにおける中央部をそれぞれ内向きに(シャフト挿通孔17aの中心に向けて)突出させることで、一対が約180°の角度間隔を空けた位置(背中合わせの位置)に配されている。溝内突出部22は、断面形状(図7に示される正面から視た形状)が潤滑油流動溝21と同じ方形状をなしていて、シャフト挿通孔17aの孔縁からの突出寸法が、ピニオンシャフト13とピニオンギア14との間に空けられた隙間(クリアランス)の寸法と、潤滑油流動溝21の深さ寸法と、を足し合わせた大きさとほぼ等しくされている。また、溝内突出部22は、その幅寸法が潤滑油流動溝21の幅寸法とほぼ等しくされている。従って、溝内突出部22は、潤滑油流動溝21をその幅方向及び深さ方向についてほぼ全域にわたって閉塞するものとされる。一方、この溝内突出部22は、ワッシャ17の板面に沿って内向きにほぼ真っ直ぐに突出する形態であるから、ピニオンシャフト13のうち、ピニオンギア14が装着されるギア装着部20と、デファレンシャルケース12の端部挿通孔12cに通される端部13aと、の間となる位置にて潤滑油流動溝21を閉塞している。従って、潤滑油流動溝21内の潤滑油は、デファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によってピニオンシャフト13の中央側から端側へ向けて流動したとき、ギア装着部20には到達するものの、ギア装着部20を超えて端部13aに至る手前の位置にて溝内突出部22によって流動が規制される。これにより、潤滑油が潤滑油流動溝21を通ってピニオンシャフト13の端部13aに到達することが避けられるとともに、デファレンシャルケース12の外部へと漏れ出す事態が生じ難くなっている。しかも、溝内突出部22が潤滑油流動溝21の溝縁に係合することで、ワッシャ17の回り止めが図られ、ピニオンギア14の回転に伴ってワッシャ17が連れ回りする事態が生じ難くなっているので、ピニオンシャフト13及びワッシャ17のシャフト挿通孔17aにおける正面から視た形状がそれぞれ非円形状とされることも相まって、ワッシャ17が当接されるデファレンシャルケース12の壁部12aの内壁面が摩耗する事態がより生じ難くなっている。
ピニオンシャフト13には、図4から図6に示すように、軸線方向に沿う側面を凹ませる形で潤滑油流動溝21に連通する幅広連通凹部23が設けられている。幅広連通凹部23は、ギア装着部20(ピニオンギア14)に対してピニオンシャフト13の軸線方向について中央側に配されるとともに、潤滑油流動溝21よりも幅寸法が大きくて幅広とされる。詳しくは、幅広連通凹部23は、ピニオンシャフト13の側面のうちの軸線方向についての中央部を選択的に凹ませて設けられており、軸線方向について一対のギア装着部20の間に挟まれた配置とされる。つまり、幅広連通凹部23は、ピニオンギア14及びギア装着部20に対して中央側にオフセットした(非重畳の)配置とされている。従って、仮に幅広連通凹部がギア装着部20の一部または全域と重なり合う(重畳する)範囲に設けられた場合に比べると、ピニオンギア14に対するピニオンシャフト13の接触範囲(支持範囲)を十分に確保することができ、ピニオンギア14を適切に軸支することが可能とされている。
詳しくは、幅広連通凹部23は、図4から図6に示すように、ピニオンシャフト13における軸線方向についての中央部を、潤滑油流動溝21の底面に沿って直線状に切り欠くことで形成されており、潤滑油流動溝21と同様に一対が約180°の角度間隔を空けた位置(背中合わせの位置)に配されている。幅広連通凹部23は、幅寸法が上記真直面13dの幅寸法よりも大きなものとされているので、潤滑油流動溝21の幅寸法の3倍以上となっている。幅広連通凹部23は、深さ寸法が潤滑油流動溝21の深さ寸法とほぼ等しくなっているので、底面が潤滑油流動溝21の底面と面一状をなしている。従って、潤滑油流動溝21は、幅広連通凹部23によって一対の分割潤滑油流動溝21Sに分割されている。幅広連通凹部23は、ピニオンシャフト13の軸線方向について一対の分割潤滑油流動溝21Sの間に挟み込まれて同軸線方向について中央側に配されている。従って、ピニオンシャフト13の軸線方向について中央側に位置する幅広連通凹部23内に入った潤滑油は、デファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によって同軸線方向について端側に位置する一対の分割潤滑油流動溝21Sのそれぞれに対して供給された後にピニオンシャフト13とピニオンギア14との間に入り込んでピニオンギア14の潤滑に供される。このとき、幅広連通凹部23は、一対の分割潤滑油流動溝21Sよりも幅広となっているから、潤滑油の供給が円滑なものとなっている。以上により、ピニオンギア14の潤滑がより良好なものとなる。なお、上記した幅広連通凹部23は、ピニオンシャフト13の製造に際して、ピニオンシャフト13の側面に例えばエンドミルを用いた切削加工を施すことで形成されているが、その形成幅が潤滑油流動溝21よりも十分に広いので、切削加工費用が安価なものとなっており、それによりピニオンシャフト13の製造コストが低く抑えられる。また、幅広連通凹部23は、図4及び図6に示すX軸方向及びZ軸方向(ピニオンシャフト13の軸線方向と直交する両方向)に沿って外部に開放されている。
上記したようにピニオンシャフト13の潤滑油流動溝21内には、図3及び図7に示すように、ワッシャ17の溝内突出部22が突出し、潤滑油流動溝21の溝縁に係合することで、ピニオンシャフト13の周方向についての位置決めが図られるようになっている。このとき、ピニオンシャフト13における軸線方向についての端部13aを貫通する形で設けられた貫通孔13bに関してもピニオンシャフト13の周方向について位置決めされるので、貫通孔13bがデファレンシャルケース12におけるシャフト取付部19の第2連通孔19bに連通する形で整合することになる。これにより、互いに整合した貫通孔13b及び第2連通孔19bに対してシャフト固定部材16を容易に通すことができるので、ピニオンシャフト13の固定を図る際の作業性に優れる。また、ピニオンシャフト13において貫通孔13bは、図5に示すように、潤滑油流動溝21の全幅範囲にわたって重なり合う配置となっているので、貫通孔13bに通されるシャフト固定部材16によって潤滑油流動溝21が全幅にわたって閉塞されることになる。従って、シャフト固定部材16は、図3に示すように、ワッシャ17の溝内突出部22と協働して潤滑油の漏れ出しを防ぐ機能を発揮し得るものとされる。
以上説明したように本実施形態のデファレンシャル装置10は、ピニオンシャフト13と、ピニオンシャフト13に対して回転可能な形で装着されるピニオンギア14と、少なくともピニオンギア14及び潤滑油を収容するとともにピニオンシャフト13が固定され且つピニオンシャフト13の軸線方向と直交する回転軸周りに回転可能なデファレンシャルケース12と、ピニオンシャフト13の側面を凹ませる形で設けられ、軸線方向に沿って延在してピニオンシャフト13の端面に開口する潤滑油流動溝21と、デファレンシャルケース12とピニオンギア14との間に介在するワッシャ17であって、ピニオンシャフト13を通すシャフト挿通孔17aと、シャフト挿通孔17aの孔縁に設けられて潤滑油流動溝21内に突出する溝内突出部22と、を有するワッシャ17と、を備える。
このようにすれば、デファレンシャルケース12及びそれに固定されたピニオンシャフト13が、ピニオンシャフト13の軸線方向と直交する回転軸周りに回転されると、ピニオンシャフト13の側面を凹ませる形で設けられて軸線方向に沿って延在する潤滑油流動溝21内の潤滑油には遠心力が作用する。潤滑油は、上記遠心力によって潤滑油流動溝21内を流動し、ピニオンギア14とピニオンシャフト13との間に入り込むことで、ピニオンシャフト13の軸線周りに回転するピニオンギア14の潤滑を図ることができ、もって焼き付きが生じ難くなる。また、デファレンシャルケース12とピニオンギア14との間には、ワッシャ17が介在されているので、ピニオンギア14とデファレンシャルケース12とが直接接触することが避けられる。これにより、ピニオンギア14の回転によってデファレンシャルケース12が摩耗する事態を抑制することができる。
上記した潤滑油流動溝21は、ピニオンシャフト13の軸線方向に沿って延在してピニオンシャフト13の端面に開口しているので、ピニオンシャフト13の製造に際しては引っ張り加工や押し出し加工などを行うことで潤滑油流動溝21を形成することが可能となっている。従って、仮に潤滑油流動溝を切削加工などにより形成した場合に比べると、ピニオンシャフト13の製造コストを低下させることが可能とされる。その一方、潤滑油流動溝21がピニオンシャフト13の端面に開口していると、潤滑油流動溝21内の潤滑油がデファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によってデファレンシャルケース12の外部へと漏れ出すおそれがある。その点、デファレンシャルケース12とピニオンギア14との間に介在するワッシャ17は、ピニオンシャフト13を通すシャフト挿通孔17aの孔縁から潤滑油流動溝21内に突出する溝内突出部22を有しているから、潤滑油流動溝21内の潤滑油がデファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によってピニオンシャフト13の端側へ向けて流動するのを溝内突出部22によって規制することができる。これにより、潤滑油がデファレンシャルケース12の外部へと漏れ出す事態が生じ難くなる。また、潤滑油流動溝21内に突出した溝内突出部22が潤滑油流動溝21の溝縁に係合することで、ピニオンギア14の回転に伴ってワッシャ17が連れ回りする事態が生じ難くなり、もってワッシャ17によってデファレンシャルケース12が摩耗する事態が生じ難くなる。
また、ピニオンシャフト13及びワッシャ17のシャフト挿通孔17aは、潤滑油流動溝21及び溝内突出部22を除いた断面形状がそれぞれ非円形とされる。このようにすれば、潤滑油流動溝21内に突出した溝内突出部22が潤滑油流動溝21の溝縁に係合するのに加えて、ワッシャ17のシャフト挿通孔17aの孔縁に対してピニオンシャフト13の外縁が係合することで、ピニオンギア14の回転に伴ってワッシャ17が連れ回りする事態がより生じ難くなる。これにより、ワッシャ17によってデファレンシャルケース12が摩耗する事態がより生じ難くなる。
また、ピニオンシャフト13の側面を凹ませる形で設けられ、ピニオンギア14に対して軸線方向について中央側に配されて潤滑油流動溝21に連通し、潤滑油流動溝21よりも幅広な幅広連通凹部23を備える。このようにすれば、ピニオンギア14に対して軸線方向について中央側に配される幅広連通凹部23内に存在する潤滑油は、デファレンシャルケース12の回転に伴って作用する遠心力によって潤滑油流動溝21を流動してピニオンギア14とピニオンギア14との間に入り込んでピニオンギア14の潤滑に供される。幅広連通凹部23は、潤滑油流動溝21よりも幅広であるから、潤滑油流動溝21内に潤滑油を効率的に供給することができる。これにより、ピニオンギア14の潤滑がより良好なものとなる。
また、ピニオンシャフト13は、軸線方向についての端部13aを軸線方向と交差する方向に沿って貫通する貫通孔13bを有しており、デファレンシャルケース12は、ピニオンシャフト13の端部13aが挿通される端部挿通孔12cを有する壁部12aと、壁部12aから外部に突出する形で設けられて端部挿通孔12cに連通する第1連通孔19a及び貫通孔13bに連通する第2連通孔19bを有するシャフト取付部19と、を有しており、貫通孔13b及び第2連通孔19bに通されることでピニオンシャフト13を固定するシャフト固定部材16を備える。このようにすれば、ピニオンシャフト13は、軸線方向についての端部13aがデファレンシャルケース12の壁部12aの端部挿通孔12c及びシャフト取付部19の第1連通孔19aに通される。壁部12aとピニオンギア14との間に介在する形でワッシャ17が取り付けられると、ピニオンシャフト13の潤滑油流動溝21内にワッシャ17の溝内突出部22が突出することで、ピニオンシャフト13が周方向について位置決めされる。このとき、ピニオンシャフト13における軸線方向についての端部13aを貫通する形で設けられた貫通孔13bに関してもピニオンシャフト13の周方向について位置決めされるので、貫通孔13bがデファレンシャルケース12におけるシャフト取付部19の第2連通孔19bに連通する形で整合する。これにより、互いに整合した貫通孔13b及び第2連通孔19bに対してシャフト固定部材16を容易に通すことができるので、ピニオンシャフト13の固定を図る際の作業性に優れる。
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図8によって説明する。この実施形態2では、ワッシャ117の構成を変更したものを示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
本実施形態に係るワッシャ117は、図8に示すように、溝内突出部122の突出先端から潤滑油流動溝121に沿って延出する延出部24を有する。このようにすれば、潤滑油流動溝121内には、溝内突出部122に加えて潤滑油流動溝121に沿って延出する延出部24が入ることになるから、潤滑油流動溝121内の潤滑油がピニオンシャフト113の端側へ向けて流動するのをより好適に規制することができる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をより確実に発揮することができる。
延出部24は、溝内突出部122の突出先端からピニオンギア114側へ向けて延出し、ピニオンギア114の一部と対向する形で配されている。詳しくは、延出部24は、ピニオンシャフト113の軸線方向についての長さ寸法が、ピニオンギア114におけるピニオンシャフト113の軸線方向についての寸法よりも小さくなっており、具体的には約半分程度の大きさとされる。従って、延出部24は、その延出先端がピニオンギア114におけるピニオンシャフト113の軸線方向についての中央側の端面よりも端寄りに位置しており、言い換えると同延出先端がピニオンシャフト113とピニオンギア114との間に挟まれた空間内に位置している。従って、デファレンシャルケース112の回転に伴って作用する遠心力によって潤滑油流動溝121内を流動する潤滑油は、延出部24によってピニオンシャフト113の端側への流動が規制されるとともにピニオンシャフト113とピニオンギア114との間に滞留することになる。これにより、ピニオンシャフト113とピニオンギア114との間に潤滑油を常在させることが可能となり、ピニオンギア114の潤滑がより良好なものとなる。しかも、延出部24は、その厚み寸法が潤滑油流動溝121の深さ寸法よりも大きいから、延出部24による潤滑油流動溝121の閉塞がより確実なものとなる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をさらに確実に発揮することができる。
以上説明したように本実施形態によれば、ワッシャ117は、溝内突出部122の突出先端から潤滑油流動溝121に沿って延出する延出部24を有する。このようにすれば、潤滑油流動溝121内には、溝内突出部122に加えて潤滑油流動溝121に沿って延出する延出部24が入ることになるから、潤滑油がピニオンシャフト113の端側へ向けて流動するのをより好適に規制することができる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をより確実に発揮することができる。
また、延出部24は、溝内突出部122の突出先端からピニオンギア114側へ延出し、ピニオンギア114の一部と対向する形で配される。このようにすれば、潤滑油流動溝121内を流動する潤滑油は、延出部24によってピニオンシャフト113の端側への流動が規制されるとともにピニオンシャフト113とピニオンギア114との間に滞留することになる。これにより、ピニオンシャフト113とピニオンギア114との間に潤滑油を常在させることが可能となり、ピニオンギア114の潤滑がより良好なものとなる。
また、延出部24は、その厚み寸法が潤滑油流動溝121の深さ寸法よりも大きい。このようにすれば、延出部24による潤滑油流動溝121の閉塞がより確実なものとなる。これにより、潤滑油の漏れ出し防止機能をさらに確実に発揮することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記した各実施形態では、溝内突出部が潤滑油流動溝を幅方向及び深さ方向についてほぼ全域にわたって閉塞するよう形成された場合を示したが、溝内突出部が潤滑油流動溝を幅方向と深さ方向とのいずれか一方についてのみほぼ全域にわたって閉塞するよう形成されていても構わない。また、溝内突出部が潤滑油流動溝を幅方向及び深さ方向についていずれも部分的に閉塞するよう形成されていても構わない。
(2)上記した各実施形態では、潤滑油流動溝の深さ寸法と幅広連通凹部の深さ寸法とがほぼ等しい場合を示したが、前者が後者よりも大きくても構わない。その場合は、潤滑油流動溝が幅広連通凹部によって途中で分割されることなくピニオンシャフトの全長にわたって延在することになる。また、上記とは逆に潤滑油流動溝の深さ寸法が幅広連通凹部の深さ寸法よりも小さくても構わない。
(3)上記した各実施形態以外にも、溝内突出部及び潤滑油流動溝に関するピニオンシャフトの軸線方向や周方向についての配置や形成範囲、設置数、断面形状、寸法(大小関係)などは適宜に変更可能である。例えば、溝内突出部及び潤滑油流動溝における断面形状(正面から視た形状)は、方形状以外にも台形状(等脚台形状を含む)などであっても構わない。また、溝内突出部及び潤滑油流動溝における断面形状が互いに異なっていても構わない。同様に、幅広連通凹部に関するピニオンシャフトの軸線方向や周方向についての配置や形成範囲、設置数、断面形状、寸法(大小関係)などは適宜に変更可能である。
(4)上記した各実施形態では、ピニオンシャフトの側面に幅広連通凹部を設けるようにした場合を示したが、幅広連通凹部を省略することも可能である。
(5)上記した実施形態2では、延出部が溝内突出部の突出先端からピニオンギア側に向けて延出する場合を示したが、延出部が溝内突出部の突出先端からデファレンシャルケース側に向けて延出する構成であっても構わない。
(6)上記した実施形態2では、延出部の厚みが潤滑油流動溝の深さよりも大きい場合を示したが、延出部の厚みと潤滑油流動溝の深さとが同一であってもよく、また延出部の厚みが潤滑油流動溝の深さよりも小さくても構わない。
(7)上記した各実施形態では、貫通孔、各連通孔及び端部挿通孔などの正面から視た形状が円形状とされる場合を示したが、貫通孔、各連通孔及び端部挿通孔などの正面から視た形状は、円形状以外(方形状、楕円形状など)にも変更可能である。
(8)上記した各実施形態以外にも、ピニオンシャフト及びシャフト挿通孔は、潤滑油流動溝及び溝内突出部を除いた断面形状が円形状であっても構わない。
(9)上記した各実施形態以外にも、ピニオンシャフトの具体的な固定構造は適宜に変更可能であり、それに伴ってシャフト固定部材などを省略することも可能である。
10…デファレンシャル装置、12,112…デファレンシャルケース、12a…壁部、12c…端部挿通孔、13,113…ピニオンシャフト、13a…端部、13b…貫通孔、14,114…ピニオンギア、16…シャフト固定部材、17,117…ワッシャ、17a…シャフト挿通孔、19…シャフト取付部、19a…第1連通孔、19b…第2連通孔、21,121…潤滑油流通溝、22,122…溝内突出部、23…幅広連通凹部、24…延出部

Claims (7)

  1. ピニオンシャフトと、
    前記ピニオンシャフトに対して回転可能な形で装着されるピニオンギアと、
    少なくとも前記ピニオンギア及び潤滑油を収容するとともに前記ピニオンシャフトが固定され且つ前記ピニオンシャフトの軸線方向と直交する回転軸周りに回転可能なデファレンシャルケースと、
    前記ピニオンシャフトの側面を凹ませる形で設けられ、前記軸線方向に沿って延在して前記ピニオンシャフトの端面に開口する潤滑油流動溝と、
    前記デファレンシャルケースと前記ピニオンギアとの間に介在するワッシャであって、前記ピニオンシャフトを通すシャフト挿通孔と、前記シャフト挿通孔の孔縁に設けられて前記潤滑油流動溝内に突出する溝内突出部と、を有するワッシャと、を備えるデファレンシャル装置。
  2. 前記ワッシャは、前記溝内突出部の突出先端から前記潤滑油流動溝に沿って延出する延出部を有する請求項1記載のデファレンシャル装置。
  3. 前記延出部は、前記溝内突出部の突出先端から前記ピニオンギア側へ延出し、前記ピニオンギアの一部と対向する形で配される請求項2記載のデファレンシャル装置。
  4. 前記延出部は、その厚み寸法が前記潤滑油流動溝の深さ寸法よりも大きい請求項2または請求項3記載のデファレンシャル装置。
  5. 前記ピニオンシャフト及び前記ワッシャの前記シャフト挿通孔は、前記潤滑油流動溝及び前記溝内突出部を除いた断面形状がそれぞれ非円形とされる請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデファレンシャル装置。
  6. 前記ピニオンシャフトの側面を凹ませる形で設けられ、前記ピニオンギアに対して前記軸線方向について中央側に配されて前記潤滑油流動溝に連通し、前記潤滑油流動溝よりも幅広な幅広連通凹部を備える請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデファレンシャル装置。
  7. 前記ピニオンシャフトは、前記軸線方向についての端部を前記軸線方向と交差する方向に沿って貫通する貫通孔を有しており、
    前記デファレンシャルケースは、前記ピニオンシャフトの前記端部が挿通される端部挿通孔を有する壁部と、前記壁部から外部に突出する形で設けられて前記端部挿通孔に連通する第1連通孔及び前記貫通孔に連通する第2連通孔を有するシャフト取付部と、を有しており、
    前記貫通孔及び前記第2連通孔に通されることで前記ピニオンシャフトを固定するシャフト固定部材を備える請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のデファレンシャル装置。
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