JP6059617B2 - 光電変換材料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、縮合芳香環を構成単位とするポリマーからなる光電変換材料の製造方法に関する。
ロールツーロール法等のコストが低廉なプロセスによって作製することが容易な太陽電池として、有機材料を用いた有機薄膜太陽電池が着目されている。この種の有機薄膜太陽電池として、バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池(以下、「BHJ太陽電池」ともいう)が知られている。
BHJ太陽電池は、電子供与体(ドナー)として作用する光電変換材料からなるドナードメインと、電子受容体(アクセプタ)として作用する光電変換材料からなるアクセプタドメインとが混在し、光を電気に変換する機能を営む光電変換層を具備する。具体的には、該光電変換層は正極及び負極に介装されており、正極を介して太陽光が光電変換層に入射し、励起子が発生する。
この励起子は、ドナードメインとアクセプタドメインとの界面に到達すると、電子と正孔に分離する。この中、電子は、アクセプタドメイン内を移動して負極に到達する。一方、正孔は、ドナードメイン内を移動し、正極に到達する。これら正孔及び電子は、負極及び正極に電気的に接続された外部回路を付勢する電気エネルギーとなる。
以上のような機能を営む光電変換層における光電変換材料、すなわち、ドナー及びアクセプタの代表的な例としては、特許文献1に示されるように、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT、図7参照)、フェニルC61酪酸メチルエステル(PCBM、図8参照)がそれぞれ挙げられる。
ここで、P3HT、PCBMの各々の最高被占軌道(HOMO)及び最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位は、図9に示すようになる。上記のようにして光電変換層に光が入射すると、先ず、ドナーであるP3HTのHOMOからLUMOへ電子が遷移する。すなわち、P3HTのHOMOとLUMOとのエネルギー準位差がバンドギャップ(Eg)に対応する。
P3HTのLUMOに遷移した電子は、次に、アクセプタであるPCBMのLUMOに電子移動することで電子と正孔が発生する。すなわち、P3HTとPCBMのLUMO同士のエネルギー準位差によってエネルギーの損失が生じ、P3HTのHOMOとPCBMのLUMOとのエネルギー準位差が開放電圧(Voc)に対応する。
ところで、太陽電池では、同一の発電量を得ようとする場合、光電変換効率が大きいものほど面積を小さくすることができる。これにより重量が低減するとともに、設置面積が小さくなるので設置レイアウトの自由度が大きくなるという利点が得られる。
BHJ太陽電池等の有機薄膜太陽電池において、光電変換効率をさらに向上させるためには、(a)光の吸収量を高め、励起子の生成を活発化する、(b)長波長(近赤外側)の光の吸収を高め、太陽光の利用効率を高める、(c)開放電圧Vocを大きくする等すればよい。そして、これら(a)〜(c)を実現するべく、(A)吸光係数が大きい、(B)HOMOとLUMOとのエネルギー準位差(バンドギャップEg)が小さい、(C)LUMOのエネルギー準位がアクセプタのLUMOの準位に近いドナーを選定することが考えられる。
上記(A)〜(C)を満足する可能性がある物質として、特許文献2〜5に記載される縮合芳香環、すなわち、π電子共役化合物が想起される。なお、この種の縮合芳香環は、「グラフェン」と呼称されるときもある(特許文献4参照)。
特開2007−273939号公報 特許第4005571号公報 特開2010−56492号公報 特開2007−19086号公報 特表2010−508677号公報
特許文献2記載の技術は、ヘキサベンゾコロネン(HBC)に官能基を結合するとともに、この官能基を介して自己集積化させることで、いわゆるナノチューブ状の集積体を得ようとするものである。従って、最終的な半導体を得るための工程数が多く、しかも、得られた集積体がp型(ドナー)であるのか、又はn型(アクセプタ)であるのかが明確ではない。
特許文献3には、HBCの集積体であるナノチューブは、正孔及び電子の伝導経路を同時に有する、との示唆がある。この特許文献3記載の技術は、ナノチューブの内面及び外面をフラーレンで被覆するとともに、その被覆率でHBCにおける正孔移動度を制御するものであるが、このことから諒解されるように、特許文献2、3記載の技術では、HBCそれ自体のドナーとしての特性を向上させることはできない。
また、特許文献4記載の技術は、グラフェン誘導体に対し、フッ素原子を有する官能基を結合させ、これにより、n型半導体を得るものである。すなわち、この技術では、アクセプタが得られるに留まり、ドナーを得ることはできない。
さらに、特許文献2〜5のいずれにおいても、低分子有機化合物が開示されるのみである。周知のように、低分子有機化合物は有機溶媒に溶解し難く、このため、光電変換層を得る際にロールツーロール法等を行うことが困難となるという不具合が顕在化している。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、ドナー(電子供与体)あるいはアクセプタ(電子受容体)として優れた特性を示し、しかも、光電変換層を簡便且つ容易に得ることが可能となる光電変換材料の製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、電子を供与する電子供与体あるいは電子を受容する電子受容体として機能する光電変換材料であって、
一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくともいずれか1つを構成単位とするポリフェニレンがさらに反応したポリマーからなることを特徴とする。
Figure 0006059617
Figure 0006059617
Figure 0006059617
ただし、一般式(1)〜(3)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
一般式(1)〜(3)で示すポリフェニレンが反応することで、全体にわたってπ電子雲が広がった縮合芳香環からなるπ共役系ポリマーが形成される(以下、「ナノグラフェンポリマー」ともいう)。このナノグラフェンポリマーでは、主鎖に沿ってπ電子雲が広がっているので、吸光係数が大きく、励起子が活発に生成される。また、HOMOとLUMOとの間のエネルギー準位差であるバンドギャップEgが小さい。さらに、極大吸収波長が長波長側にシフトし、長波長(近赤外側)の光が良好に吸収されるようになる。つまり、太陽光の利用効率を良好に向上させることができる。
また、ナノグラフェンポリマーのLUMOのエネルギー準位は、P3HT等に比して低い(深い)。従って、PCBMをアクセプタとし、ナノグラフェンポリマーをドナーとする場合、P3HTをドナーとする場合に比してエネルギー損失が小さくなる。すなわち、ナノグラフェンポリマーを光電変換層のドナーとする有機薄膜太陽電池では、開放電圧Vocが大きくなる。
以上のような理由から、ナノグラフェンポリマーを光電変換材料とする有機薄膜太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
一般式(1)〜(3)で示すポリフェニレンが、R1〜R8の少なくともいずれか一つに、側鎖としてアルキル基及びアルコキシ基の少なくとも一方を備える場合、一層容易に上記のナノグラフェンポリマーを得ることが可能になる。つまり、上記の側鎖は、ナノグラフェンポリマーを形成するべくポリフェニレンが反応する際、複数のポリフェニレンの構成単位同士が接近することを抑制する立体障害となる。これによって、複数のポリフェニレンの構成単位同士の間に架橋結合が形成されることを抑制しつつ、各構成単位内の反応を十分に進行させることができる。その結果、全体にわたって十分にπ電子雲が広がった縮合芳香環を構成単位とするナノグラフェンポリマーが形成される。また、このナノグラフェンポリマーは、可溶性のアルキル基及びアルコキシ基の両方又は一方が導入された状態で得られる。
これによって、有機溶媒に対するナノグラフェンポリマーの溶解度を高めることができる。特に、ナノグラフェンポリマーが側鎖としてアルコキシ基を備える場合、すなわち、側鎖としてアルコキシ基を備えるポリフェニレンからナノグラフェンポリマーが形成される場合、上記の溶解度を一層良好に高めることができる。
その結果、ナノグラフェンポリマーについて、上記の通り太陽光の利用効率を向上させるべく縮合芳香環の分子量を増大させても、有機溶媒に容易に溶解することができる。従って、スピンコート法やロールツーロール法等を用いて光電変換層を簡便且つ容易に形成することができる。
なお、アルコキシ基の炭素数を1〜20とすることで、ポリフェニレンの構成単位同士の接近を抑制しつつ、ナノグラフェンポリマーの有機溶媒に対する溶解性を十分に高くすることができる。すなわち、アルコキシ基の炭素数を上記の範囲内に設定することにより、ドナーとして優れた特性を示し、且つ良好に有機溶媒に溶解させて容易に成膜可能なナノグラフェンポリマーを効率よく得ることができる。
上記のナノグラフェンポリマーの好適な例としては、下記の一般式(4)〜(7)で表されるグラフェンの少なくともいずれか1つを構成単位とするものが挙げられる。
Figure 0006059617
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ただし、一般式(4)〜(7)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
なお、本発明においては、前記特許文献4と同様に、縮合芳香環を「グラフェン」といい、一般式(4)〜(7)に示されるような構成単位がナノメートルスケールであるグラフェンを「ナノグラフェン」ともいう。
ナノグラフェンポリマーの重合度(構成単位の個数)は、2〜150であることが好ましい。重合度を2以上とすることで、吸光係数を十分に高くすることや、Egを十分に小さくすることができる。一方、150以下とすることで、重合に要する時間を短縮でき、ナノグラフェンポリマーの生産効率を向上させることができる。すなわち、重合度を上記の範囲内に設定することにより、ドナーとして優れた特性を示すナノグラフェンポリマーを効率よく得ることができる。
ここで、ナノグラフェンポリマーの構成単位が上記したグラフェンである場合、該ナノグラフェンポリマーの分子量は1900〜500000である。
また、本発明は、電子を供与する電子供与体(ドナー)あるいは電子を受容する電子受容体(アクセプタ)として機能する光電変換材料を製造する方法であって、
フェニレン誘導体を重合して、一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくともいずれか1つを構成単位とするポリフェニレンを生成する工程と、
前記ポリフェニレンを反応させて、光電変換材料であるポリマーを生成する工程と、
を有することを特徴とする。
Figure 0006059617
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ただし、一般式(1)〜(3)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
このような過程を経ることで、光電変換材料(ドナーあるいはアクセプタ)として機能するナノグラフェンポリマーを構造上のばらつきなく且つ容易に作製することができる。
この際、アルコキシ基の炭素数を1〜20とすることで、ドナーとして優れた特性を示し、且つ良好に有機溶媒に溶解させて容易に成膜可能なナノグラフェンポリマーを効率よく得ることができる。
上記のナノグラフェンポリマーの構成単位は、典型的には、下記の一般式(4)〜(7)で表されるグラフェンの少なくともいずれか1つである。
Figure 0006059617
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ただし、一般式(4)〜(7)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
本発明によれば、例えば、先ず、アルコキシ基が導入されたフェニレン誘導体を得て、該フェニレン誘導体を重合することでアルコキシ基を備えるポリフェニレンを得る。このポリフェニレンをさらに反応させることで、アルコキシ基を備えるナノグラフェンを構成単位とするナノグラフェンポリマー(光電変換材料)を生成することが可能である。
上記した理由から、ナノグラフェンポリマーの重合度が2〜150となるように制御することが好ましい。このためには、例えば、重合反応時の反応温度や反応時間を、重合度が2〜150となるような条件に設定すればよい。
さらに、本発明は、前記光電変換材料を用いた有機薄膜太陽電池であって、該光電変換材料を電子供与体として含む光電変換層を具備することを特徴とする。
この有機薄膜太陽電池では、例えば、PCBMをアクセプタとしたときのドナーとしてナノグラフェンポリマーを用いることで、P3HTを用いる場合に比して、光電変換層の吸光係数を大きくし、極大吸収波長を長波長側にシフトすることができる。また、ドナーのバンドギャップEgを小さくすることができる。その上、ドナーのLUMOのエネルギー準位を、アクセプタであるPCBMのLUMOの準位に近くすることができる。
従って、この有機薄膜太陽電池では、励起子の生成の活発化、太陽光の利用効率の向上、開放電圧Vocの増大が可能となり、光電変換効率を向上させることができる。
このように光電変換効率が大きな有機薄膜太陽電池では、同一の発電量が得られる太陽電池に比して、その面積を小さくすることができる。従って、重量を低減させることができるため、設置場所に加わる負荷も小さくすることができる。また、設置面積が小さくなるので、設置レイアウトの自由度も向上する。
また、ナノグラフェンポリマーが、アルキル基及びアルコキシ基の少なくとも一方を有する場合、有機溶媒に対する溶解度が良好に高められる。このため、上記の通り、太陽光の利用効率を向上させるべく縮合芳香環の分子量を増大させたナノグラフェンポリマーであっても、簡便且つ容易に成膜して光電変換層を得ることができる。すなわち、光電変換効率に優れた有機薄膜太陽電池を簡便且つ容易に得ることができる。
有機薄膜太陽電池の好適な例は、ドナードメインとアクセプタドメインが混在する光電変換層を備えるバルクへテロ接合型のものである。この場合、例えば、ドナーからなる層と、アクセプタからなる層とが個別に形成される平面ヘテロ接合型のものに比して、ドナードメインとアクセプタドメインとの接触面積が大きい。有機薄膜太陽電池では、主にドナードメインとアクセプタドメインの界面で励起子が電子と正孔に分離して発電に関与するので、両者の接触面積が大きいバルクへテロ接合型として構成することにより、光電変換効率を向上させることが可能となる。
特にアルコキシ基を備えるナノグラフェンポリマーを用いてバルクへテロ接合型の有機薄膜太陽電池の光電変換層を作製する場合、該ナノグラフェンポリマーが有機溶媒に易溶であるため、容易に成膜を行うことができる。これによって、良好に相分離したドナードメインとアクセプタドメインとが互いに混在した光電変換層を得ることができる。すなわち、光電変換層における電荷の分離効率を向上させることができるため、光電変換効率を向上させた有機薄膜太陽電池を得ることができる。
本発明によれば、π電子雲の広がりが大きいπ共役系ポリマー(ナノグラフェンポリマー)を構成して光電変換材料とする。これによって、光電変換材料の吸光係数を大きくできるとともに、HOMOとLUMOとのエネルギー準位差(バンドギャップEg)を小さくすることができる。また、極大吸収波長を長波長側にシフトさせて、光の吸収領域を可視光側へ広くすることができる。
さらに、HOMOのエネルギー準位が低いドナーとして用いることができるため、PCBMをアクセプタとしたとき、ドナー及びアクセプタのLUMOのエネルギー準位を互いに近づけることができる。
このため、ナノグラフェンポリマーをドナー、PCBMをアクセプタとして有機薄膜太陽電池を構成すると、励起子が活発に生成される。また、長波長(近赤外側)の光が良好に吸収されるようになり、太陽光の利用効率が向上する。さらに、開放電圧Vocが大きくなる。従って、光電変換効率が大きく、小面積で軽量な有機薄膜太陽電池を構成することができる。
また、このナノグラフェンポリマーは、アルキル基及びアルコキシ基を備える場合に、有機溶媒に一層容易に溶解するので、光電変換層の成膜作業を容易且つ高精度に行うことができる。これによって、この光電変換層を備える有機薄膜太陽電池の製造効率及び光電変換効率を良好に向上させることができる。
本実施形態に係るバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池の要部概略縦断面図である。 無置換のポリフェニレンが反応して得られる化合物の構造を示す説明図である。 アルコキシ基を導入したポリフェニレンにおける構成単位と該アルコキシ基との関係を示した模式的構造図である。 図3に示すポリフェニレンと、該ポリフェニレンを反応させて得られた本実施形態に係る光電変換材料(ナノグラフェンポリマー)との1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。 図3に示すポリフェニレンと、該ポリフェニレンを反応させて得られたナノグラフェンポリマーとについて、紫外・可視分光法で得られた吸収スペクトルである。 図3に示すポリフェニレンを反応させて得られたナノグラフェンポリマー、P3HT、PCBMの各HOMO、LUMOのエネルギー準位を示すエネルギー準位図である。 P3HTの構造式を示す説明図である。 PCBMの構造式を示す説明図である。 P3HTのHOMOからLUMO、さらにPCBMのLUMOへと電子が遷移することを示した模式説明図である。
以下、本発明に係る光電変換材料及びその製造方法につき、該光電変換材料を含む光電変換層を具備するバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池との関係で好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るバルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池(BHJ太陽電池)10の要部概略縦断面図である。このBHJ太陽電池10は、透明電極12に対し、正孔輸送層14、光電変換層16、裏面電極18が下方からこの順で重畳されることで構成される。
透明電極12は、正極として機能する。すなわち、該透明電極12には、正孔24が移動する。なお、透明電極12としては、例えばインジウム−スズ複合酸化物(ITO)等、太陽光をはじめとする光を十分に透過するものが選定される。
正孔輸送層14は、光電変換層16にて生成した正孔24が透明電極12に移動することを支援する層である。この正孔輸送層14は、一般的には、ポリスチレンスルホン酸でドープされたポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、すなわち、いわゆるPEDOT:PSSから形成することができる。
光電変換層16は、電子供与体(ドナー)として作用する光電変換材料からなるドナードメイン26と、電子受容体(アクセプタ)として作用する光電変換材料からなるアクセプタドメイン28とが混在する層として形成されている。この中、アクセプタとなる光電変換材料の好適な例としては、上記のPCBMが挙げられる。
一方、ドナーとなるp型半導体、すなわち、本実施形態に係る光電変換材料は、一般式(1)〜(3)で示す化合物の少なくともいずれか1つを構成単位とするポリフェニレンがさらに反応したナノグラフェンポリマーからなる。
Figure 0006059617
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なお、一般式(1)〜(3)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
すなわち、ポリフェニレンは、一般式(1)〜(3)で示す化合物のうち、少なくともいずれか1つを構成単位とする。従って、このポリフェニレンは、一般式(1)〜(3)で示す化合物のいずれか1つのみが互いに結合したものに限定されることなく、例えば、一般式(1)〜(3)で示す化合物がランダムに結合したものであってもよい。
ここで、式(1)中のR1〜R8として、水素を備えるポリフェニレンを反応させてナノグラフェンポリマーを形成する例について説明する。この場合、図2の(a)に示すように、一つの構成単位内の芳香環同士が全て反応してナノグラフェン構造を形成することが好ましい。
例えば、図2の(a)に示すナノグラフェンポリマーでは、図2の(b)に示すように、構成単位内に反応していない芳香環が含まれるナノグラフェンポリマーに比べて、π電子雲の広がりを一層良好に得ることができる。また、図2の(a)に示すナノグラフェンポリマーでは、図2の(c)に示すように、複数の構成単位同士が架橋結合したナノグラフェンポリマーに比べて、有機溶媒に対するナノグラフェンポリマーの溶解度を効果的に高めることができる。すなわち、ナノグラフェンポリマーの溶液を用いた成膜を容易にすることができる。
図2の(a)に示すナノグラフェンポリマーを容易且つ効率的に得るためには、ポリフェニレンが式(1)〜(3)中のR1〜R8の少なくとも一つに、アルキル基及びアルコキシ基の少なくとも一方を備えることが好ましい。このアルキル基及びアルコキシ基は、例えば、図3に示すように、ポリフェニレンの構成単位同士の反応において立体障害となる。これによって、該構成単位同士が互いに接近することを抑制できる。なお、図3に例示のポリフェニレンでは、一般式(1)中のR1〜R8にアルコキシ基としてOC1021が導入されているが、これに限定されるものではない。
すなわち、アルコキシ基R1〜R8が導入されたポリフェニレンでは、複数の構成単位同士の間で反応が生じることが抑制され、1つの構成単位内における芳香環同士の反応を効果的に進行させることができる。つまり、複数の構成単位間が架橋構造で結合されたポリマーが発生することを抑制し、十分にπ電子雲が広がったナノグラフェンポリマーを容易且つ効率的に得ることができる。
以上から、側鎖としてアルキル基及びアルコキシ基の少なくとも一方が導入されたポリフェニレンを反応させてナノグラフェンポリマーを得ることで、該ナノグラフェンポリマー自体にも上記の側鎖を導入することができる。これによって、ナノグラフェンポリマーの有機溶媒に対する溶解度を高めることができる。このように、ナノグラフェンポリマーの溶解度を向上させる観点から、ポリフェニレンが側鎖としてアルコキシ基を備えることが特に好ましい。この場合、上記溶解度を一層効果的に高めることができる。
アルコキシ基としては、炭素数が1〜20個であるものが好ましい。アルコキシ基の炭素数を上記の範囲とすることで、ポリフェニレンの構成単位同士の接近を抑制しつつ、ナノグラフェンポリマーの有機溶媒に対する溶解性を向上させることができる。すなわち、ドナーとして優れた特性を示し、且つ有機溶媒に易溶であり良好に成膜することが可能なポリマーを効率よく得ることができる。
一般式(1)〜(3)で示す化合物は互いに構造異性体の関係にある。従って、これらの化合物を構成単位とするポリフェニレンを反応させることで得られるナノグラフェンポリマーは、互いに構造異性体の関係にある下記の一般式(4)〜(7)で示されるナノグラフェンが構成単位となる。
Figure 0006059617
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なお、一般式(4)〜(7)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
すなわち、本実施形態に係る光電変換材料は、一般式(4)〜(7)で示すナノグラフェンのうち、少なくともいずれか1つを構成単位とするナノグラフェンポリマーである。このナノグラフェンポリマーは、一般式(4)〜(7)で示すナノグラフェンのいずれか1つのみが互いに結合したものに限定されるものではなく、例えば、一般式(4)〜(7)で示すナノグラフェンがランダムに結合したものであってもよい。
なお、このナノグラフェンポリマーの重合度は、2〜150であることが好ましい。重合度を2以上、すなわち、互いに結合したナノグラフェンの個数nを2個以上とすることによって、吸光係数を大きくすることができる。また、重合度を150以下、すなわち、互いに結合したナノグラフェンの個数nを150個以下とすることによって、ナノグラフェンポリマーを得るまでの重合に要する時間を短縮して、生産効率を向上させることができる。従って、重合度を上記の範囲に設定することで、吸光係数が十分に向上した光電変換材料を効率よく作製することができる。
一般式(4)〜(7)で示すナノグラフェンのいずれにおいても、分子量は962〜3333である。従って、ナノグラフェンポリマーの重合度を2〜150としたとき、該ナノグラフェンポリマーの分子量は1900〜500000の範囲内となる。
BHJ太陽電池10(図1参照)においては、このようなナノグラフェンポリマーからなる光電変換材料を含む光電変換層16上に、裏面電極18が重畳される。この裏面電極18は、電子30が到達する負極として機能する。なお、光電変換層16と裏面電極18の間には、バトクプロインやフッ化リチウム等からなる電子輸送層(不図示)を介在させてもよい。これによって、光電変換層16にて生成した電子30が裏面電極18に移動することを促進させることができる。
本実施形態に係るBHJ太陽電池10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、その作用効果につき説明する。
BHJ太陽電池10の透明電極12に光(例えば、太陽光)が照射されると、該光は、正孔輸送層14を通過して光電変換層16に到達する。その結果、該光電変換層16において、励起子32が生成する。
生成した励起子32は、ドナードメイン26内を移動して、該ドナードメイン26とアクセプタドメイン28との界面に到達する。そして、この界面において、電子30と正孔24に分離する。上記と同様に、この中の電子30は、アクセプタドメイン28内を移動し、電子輸送層を経由した後、負極である裏面電極18に到達する。一方、正孔24は、ドナードメイン26内を移動し、正孔輸送層14を経由した後、正極である透明電極12に到達する。
ここで、本実施形態では、光電変換層16中のドナードメイン26が、一般式(4)〜(7)で示すナノグラフェンの少なくともいずれか1つを構成単位とするナノグラフェンポリマー(光電変換材料)からなる。
一般式(4)〜(7)から諒解される通り、ナノグラフェンにおいては、その全体にπ電子雲が広がっている。ドナードメイン26は、このナノグラフェンを構成単位とするナノグラフェンポリマーからなる。つまり、ドナードメイン26では、ナノグラフェン単体(モノマー)からなる場合に比して、π電子雲がより一層広範囲にわたって広がっている。
このようにπ電子雲の広がりが大きいドナードメイン26では、極大吸収波長が長波長側にシフトするとともに吸光係数が大きくなる。すなわち、HOMO−LUMO間のエネルギー準位差に相当するバンドギャップ(Eg)が小さくなる。従って、ドナードメイン26において、励起子32の生成が活発となるとともに、太陽光の利用効率が向上する。
以上のことが相俟って、BHJ太陽電池10は、優れた光電変換効率を示す。このため、該BHJ太陽電池10では、同一の発電量が得られる他の太陽電池に比して面積を小さくすることができる。従って、重量が低減するので設置場所に加わる負荷が小さくなり、また、設置レイアウトの自由度が向上する。
次に、本実施形態に係る光電変換材料の製造方法、すなわち、ナノグラフェンポリマーの製造方法について説明する。
上記した通り、ナノグラフェンポリマーは、アルコキシ基を備えるポリフェニレンの反応生成物として得ることができる。以下、図3に示すポリフェニレンを反応させて、ナノグラフェンポリマーを得る場合を例に挙げて説明する。すなわち、この場合のポリフェニレンは、一般式(1)中のR1〜R8にOC1021が導入された化合物を構成単位とするものである。また、このポリフェニレンから得られるナノグラフェンポリマーは、一般式(4)中のR1〜R8にOC1021が導入されたナノグラフェンを構成単位とするものである。
なお、一般式(1)に係るポリフェニレンと構造異性体の関係にある一般式(2)、(3)に係るポリフェニレンも、一般式(1)に係るポリフェニレンと同様にして得られることは勿論である。また、一般式(1)に係るポリフェニレンから一般式(4)に係るナノグラフェンポリマーを得る場合と同様に、一般式(2)、(3)に係るポリフェニレンから、一般式(5)〜(7)に係るナノグラフェンポリマーを得ることができる。
また、一般式(1)〜(3)中のR1〜R8をアルコキシ基に代えて、水素又はアルキル基とすることで、該水素及びアルキル基を備えるナノグラフェンポリマーも同様にして得ることができる。
先ず、上記のアルコキシ基を導入したポリフェニレンを得るべく、(A)アルコキシ基(OC1021)を導入したジベンジルケトンと、(B)アルコキシ基(OC1021)を導入した1,4−ビスベンジルとを形成する。
具体的には、(A)アルコキシ基(OC1021)を導入したジベンジルケトンとして、1,3−ジデシルオキシベンゼン−2−プロパノンを形成する。このため、先ず、反応式(8)で示すように、4−ヒドロキシベンゼン酢酸メチルと1−ヨードデカンとを反応させて4−デシルオキシベンゼン酢酸メチルを得る。
Figure 0006059617
次に、反応式(9)で示すように、4−デシルオキシベンゼン酢酸メチルに、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)を加え、これによって得られる中間生成物にさらに塩酸を加える。その結果、アルコキシ基を導入したジベンジルケトンとして、1,3−ジデシルオキシベンゼン−2−プロパノンが形成される。
Figure 0006059617
これとは別に、(B)アルコキシ基を導入した1,4−ビスベンジルを形成するべく、先ず、反応式(10)で示すように、ヨードフェノールとブロモデカンとを反応させて、1−デキシルオキシ−4−ヨードベンゼンを得る。
Figure 0006059617
次に、反応式(11)で示すように、1−デキシルオキシ−4−ヨードベンゼンと、1,4−ジエチニルベンゼンとを反応させて、1,4−ビス(デシルオキシフェニルエチニル)ベンゼンを得る。
Figure 0006059617
次に、反応式(12)で示すように、パラジウム(Pd)錯体等を触媒に用いて、1,4−ビス(デシルオキシフェニルエチニル)ベンゼンを酸化反応させることでアルコキシ基を導入した1,4−ビスベンジルを得る。
Figure 0006059617
上記のように形成した、(A)1,3−ジデシルオキシベンゼン−2−プロパノンと、(B)アルコキシ基を導入した1,4−ビスベンジルとを反応させる。すなわち、反応式(13)で示すように、1,3−ジデシルオキシベンゼン−2−プロパノン、アルコキシ基を導入した1,4−ビスベンジル、n−ブタノールを混合した溶液を加熱しながら、TritonBのメタノール溶液を添加する。なお、TritonBは、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムである。これによって、(C)アルコキシ基を備える3,3’−(1,4−フェニレン)ビス(2,4,5,−トリフェニル−2,4−シクロペンタジエン−1−オン)(フェニレン誘導体)を得ることができる。
Figure 0006059617
そして、反応式(14)で示すように、(C)アルコキシ基を備える3,3’−(1,4−フェニレン)ビス(2,4,5,−トリフェニル−2,4−シクロペンタジエン−1−オン)と、(D)4,4’−ビス(デシルオキシフェニルエチニル)ビフェニルとをディールスアルダー重合させる。これによって、アルコキシ基を備えるポリフェニレンを得ることができる。
Figure 0006059617
なお、(D)4,4’−ビス(デシルオキシフェニルエチニル)ビフェニルは、以下のようにして得ることができる。すなわち、先ず、上記の反応式(10)で示すように、ヨードフェノールとブロモデカンとを反応させて、1−デキシルオキシ−4−ヨードベンゼンを得る。
そして、反応式(15)で示すように、1−デキシルオキシ−4−ヨードベンゼンと、4,4’−ジエチニルビフェニルとを溶媒中、触媒存在下で反応させる。ここで、溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF:C48O)を用いることができる。また、触媒としては、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド((Ph3P)2PbCl2)と、ヨウ化銅(CuI)と、ジエチルアミン(Et2NH)とを用いることができる。これによって、4,4’−ビス(デシルオキシフェニルエチニル)ビフェニルが形成される。
Figure 0006059617
上記のようにして得られたアルコキシ基を備えるポリフェニレンを、例えば、反応式(16)で示すように、塩化鉄(FeCl3)等のルイス酸触媒を用いて反応させる。その結果、アルコキシ基が導入されたナノグラフェンポリマーを得ることができる。
Figure 0006059617
この際、上記の通りポリフェニレンには、アルコキシ基が導入されているため、複数の構成単位間のカップリング(分子間カップリング)が抑制される。従って、例えば、触媒としての塩化鉄の量を調整することで、構成単位内の芳香環を全て反応させつつ、複数の構成単位間に架橋構造が形成されることを抑制できる。これによって、構成単位全体にわたって十分にπ電子雲が広がった縮合芳香環からなるナノグラフェンポリマーを得ることができる。なお、ポリフェニレンが側鎖としてアルキル基を備える場合も同様の効果が得られる。
また、ナノグラフェンポリマーの重合度は、例えば、重合反応時の反応温度や反応時間を設定することで調整することが可能であり、上記したように2〜150とすることが好ましい。これによって、吸光係数が十分に向上した光電変換材料(ナノグラフェンポリマー)を効率よく作製することができる。
図4は、上記のアルコキシ基を備えるポリフェニレン(図3に示すポリフェニレン)と、該ポリフェニレンが反応して得られたナノグラフェンポリマーの1H−核磁気共鳴(NMR)スペクトルである。スペクトル中、0〜2ppmに現れているピークは、アルコキシ基の水素に由来している。また、6〜8ppmに現れているピークは、フェニル基の水素に由来している。
図4から、ポリフェニレンのスペクトル中に出現しているアルコキシ基の水素に由来するピークは、ナノグラフェンポリマーのスペクトル中にも出現していることが分かる。すなわち、上記のように、アルコキシ基を備えるポリフェニレンを反応させることで、該アルコキシ基を備えるナノグラフェンポリマーが生成されていると判断し得る。
また、フェニル基の水素に由来するピークは、ポリフェニレンのスペクトル中には出現しているが、ナノグラフェンポリマーのスペクトル中には出現していない。このため、上記のように得られたナノグラフェンポリマーでは、ポリフェニレンの構成単位内のフェニル基が互いに反応して縮合芳香環が形成されていること、つまり、ナノグラフェンポリマーがπ共役系ポリマーであることが分かる。
図5は、上記のアルコキシ基を備えるポリフェニレン(図3に示すポリフェニレン)と、該ポリフェニレンが反応して得られたナノグラフェンポリマーの紫外・可視分光法(UV−Vis)の吸収スペクトルである。
図5から、長波長側の吸収端が、ポリフェニレンでは略330nmであるのに対し、ナノグラフェンポリマーでは、略650nmであることが分かる。すなわち、ナノグラフェンポリマーでは、ポリフェニレンに比して、極大吸収波長が長波長側にシフトしている。π電子共役系では、その分子量が増え、π電子の数が増大するにつれて、極大吸収波長が長波長側にシフトし、光の吸収領域が可視光側へ広くなる。従って、図5からも、上記のように得られたナノグラフェンポリマーは、構成単位全体にわたって十分にπ電子雲が広がった縮合芳香環からなるπ共役系ポリマーであると判断し得る。
図6に、上記のナノグラフェンポリマー、P3HT、PCBMのそれぞれについて、紫外・可視分光法(UV−Vis)、光電子収量分光法(PYS)を用いて測定したHOMO及びLUMOのエネルギー準位を示す。
図6に示すように、HOMOとLUMOとのエネルギー準位差であるバンドギャップEgは、ナノグラフェンポリマーが1.9eVであり、P3HTが2.2eVである。従って、ナノグラフェンポリマーのバンドギャップEgは、P3HTに比して、小さいことが分かる。
また、ナノグラフェンポリマーのLUMOのエネルギー準位は約−3.2eVであり、P3HTのLUMOのエネルギー準位(約−2.5eV)に比して深い。すなわち、ナノグラフェンポリマーのLUMOのエネルギー準位は、P3HTに比して、PCBM(フラーレン誘導体)のLUMOのエネルギー準位に近い。この理由は、ナノグラフェンポリマーの構成単位であるナノグラフェンが炭化水素芳香環を基本骨格とする縮合芳香環であり、PCBMの構造に類似するためであると推察される。このため、ナノグラフェンポリマーをドナーとし、PCBMをアクセプタとして光電変換層16を形成したBHJ太陽電池10では、P3HTをドナーとする場合に比して、開放電圧Vocを大きくすることができる。
なお、上記のナノグラフェンポリマーを含む光電変換層16は、以下のようにして形成することができる。
先ず、トルエン、クロロホルム、クロロベンゼン等の適切な溶媒に、ナノグラフェンポリマーとPCBMとを混合して、又はそれぞれ個別に添加する。ナノグラフェンポリマー及びPCBMは有機溶媒に良好に溶解するため、混合溶液を容易に調整することができる。
次に、この混合溶液を、スピンコーティング、インクジェット印刷、ローラキャスティング、ロールツーロール法等のいずれかの手法によって、正孔輸送層14上に塗布する。
次に、該正孔輸送層14上の混合溶液を加熱すると、該混合溶液が硬化し、光電変換層16が得られる。必要に応じて、アニール処理を施すことでドナードメイン26とアクセプタドメイン28との相分離をさらに促進することが可能である。その結果、ドナードメイン26とアクセプタドメイン28の接合界面の面積が増大し、発電性能を向上させることも可能である。
ドナーとしてモノマーを用いる場合、モノマーが有機溶媒に溶解し難いことから、光電変換層16を得る際に上記したような手法を採用することは困難である。これに対し、本実施形態では、上記のように可溶性基が導入されたナノグラフェンポリマーをドナーとして用いる。ナノグラフェンポリマーが所定の溶媒に容易に溶解することから、上記したプロセスによって、光電変換層16を容易且つ簡便に、しかも、低コストで形成することが可能である。また、ドナードメイン26とアクセプタドメイン28との相分離を一層良好に促進することができるため、BHJ太陽電池10の光電変換効率を向上させることができる。
以上の通り、本実施形態に係るナノグラフェンポリマーは、π電子雲の広がりが大きいπ共役系ポリマーからなるため、吸光係数が大きい。また、長波長(近赤外側)の光が良好に吸収されるようになり、太陽光の利用効率が向上する。さらに、バンドギャップEgが小さく、HOMOのエネルギー準位が低い。すなわち、LUMOのエネルギー準位が、PCBMのLUMOのエネルギー準位に近い。
このため、ナノグラフェンポリマーをドナー、PCBMをアクセプタとしたBHJ太陽電池10では、励起子32が活発に生成される。また、開放電圧Vocが大きくなる。従って、光電変換効率を良好に向上させることができる。
なお、本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、上記した実施形態では、光電変換層16にドナーとアクセプタが混在するBHJ太陽電池10を例示して説明している。しかしながら、ナノグラフェンポリマー(光電変換材料)は、ドナーからなる層と、アクセプタからなる層とが個別に形成された光電変換層を有する平面ヘテロ接合型の有機薄膜太陽電池に用いることもできる。この場合、ドナーからなる層を、ナノグラフェンポリマーから形成するようにすればよい。
また、この実施形態では、ナノグラフェンポリマーを有機薄膜太陽電池のドナーとして用いる例について説明したが、特にこれに限定されるものではない。ナノグラフェンポリマーを有機薄膜太陽電池のアクセプタとして採用することも可能である。
さらに、ナノグラフェンポリマーの用途は、有機薄膜太陽電池の光電変換層16に限定されるものではない。例えば、光センサに採用することも可能である。
10…バルクヘテロ接合型有機薄膜太陽電池 12…透明電極
14…正孔輸送層 16…光電変換層
18…裏面電極 24…正孔
26…ドナードメイン 28…アクセプタドメイン
30…電子 32…励起子

Claims (4)

  1. 電子を供与する電子供与体あるいは電子を受容する電子受容体として機能する光電変換材料を製造する方法であって、
    フェニレン誘導体を重合して、一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくともいずれか1つを構成単位とするポリフェニレンを生成する工程と、
    前記ポリフェニレンを反応させて、光電変換材料であるポリマーを生成する工程と、
    を有することを特徴とする光電変換材料の製造方法。
    Figure 0006059617
    Figure 0006059617
    Figure 0006059617
    ただし、一般式(1)〜(3)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
  2. 請求項記載の光電変換材料の製造方法において、
    一般式(1)〜(3)中のR1〜R8は、炭素数が1〜20個のアルコキシ基であることを特徴とする光電変換材料の製造方法。
  3. 請求項又は記載の製造方法において、
    前記ポリマーとして、一般式(4)〜(7)で表されるグラフェンの少なくともいずれか1つを構成単位とするものを生成することを特徴とする光電変換材料の製造方法。
    Figure 0006059617
    Figure 0006059617
    Figure 0006059617
    Figure 0006059617
    ただし、一般式(4)〜(7)中のR1〜R8は、それぞれ独立に、水素、アルキル基又はアルコキシ基のいずれかである。
  4. 請求項のいずれか1項に記載の製造方法において、
    前記ポリマーを、重合度が2〜150であるものとして得ることを特徴とする光電変換材料の製造方法。

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