JP6059458B2 - チョークコイル - Google Patents

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本発明は、軟磁性コアにコイルを巻線したチョークコイルに関する。
ラインフィルタを構成する複数のインダクタがある場合、インダクタが相互に磁気干渉を起こすことでラインフィルタのノイズ除去特性が低下する。
特許文献1では、隣接するインダクタ間に金属からなる遮蔽部材を設けることで磁気的に分離する技術が開示されている。
特開2006−186620号公報
しかしながら、特許文献1のようにインダクタ間へ遮蔽部材を設けるためには、遮蔽部材とインダクタの間を接着剤等を用いて結合する工程が必要となり、接着剤を硬化させる時間等の余分な工程時間が掛かるために量産性が低下するという課題がある。
さらに、遮蔽部材とインダクタの間を接着すると、インダクタの軟磁性コアに接着剤の硬化応力が働く可能性があり、この場合はインダクタンスがばらついたり、低下するためにチョークコイルとして用いられるインダクタの特性が不安定になるという課題がある。
従って本発明の目的は、量産性が高く、特性の安定したチョークコイルを提供することにある。
本発明は、少なくとも2つの閉磁路部及び少なくともつの結合部を有する軟磁性コアと、少なくとも2つのコイルと、つの導電性環状部材を備え、閉磁路部にはそれぞれコイルが巻回され、一方の閉磁路部と、隣接する他方の閉磁路部とは結合部により結合され、一方の閉磁路部、他方の閉磁路部、及び結合部は一体成型され、結合部の1つを周回するよう導電性環状部材を設置するチョークコイルにより上記課題を解決する。
さらに、互いに隣接する閉磁路部間の領域における、領域の近傍にある閉磁路部内磁束方向の両端部に結合部が配されているチョークコイルであってもよい。ここで、閉磁路部内の磁束方向とは、コイルへの通電により閉磁路部内に誘起される磁束の向きのことである。
また、互いに隣接する前記コイルは、巻き軸が互いに直交するチョークコイルであってもよい。
本発明によって、量産性の高い、特性の安定したチョークコイルを提供することが可能となる。
本発明における第1の実施形態を示す平面図である。 本発明における第1の実施形態を示す断面図であり、図1におけるAA面の断面図を示している。 第1の参考例を示す平面図である。 第1の参考例を示す等価回路図である。 第2の参考例を示す平面図である。 第2の参考例を示す断面図であり、図5におけるBB面の断面図を示している。 本発明における第の実施形態を示す平面図である。
本発明における実施形態の一例について、図と共に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明における第1の実施形態を示す平面図である。
図1では、2つの閉磁路部11、12及び結合部20、21を有する軟磁性コアと、2つのコイル31、32と、導電性環状部材4を備え、閉磁路部11、12にはそれぞれコイル31、32が巻回され、一方の閉磁路部11と、隣接する他方の閉磁路部12とは結合部20、21により結合され、一方の閉磁路部11、他方の閉磁路部12、及び結合部20、21は一体成型され、結合部20を周回するよう導電性環状部材4を設置するチョークコイルを構成している。 ここで導電性環状部材4とは、トランス等に用いられているショートリングのように、金属等の導電体を環状に構成した部材のことである。
図2は、本発明における第1の実施形態を示す断面図であり、図1におけるAA面の断面図を示している。
導電性環状部材4は、結合部20を周回するよう構成している。
導電性環状部材4は、導体線の両端部を半田付け、ねじ止め等により導電接続することで構成しても良く、結合部20の表面にめっきによって導体膜を直接形成しても良い。
図1、図2に示される本実施形態の構成は、特許文献1における構成とは異なり、閉磁路部11、12と結合部20、21を軟磁性コアとして一体成型している。すなわち、軟磁性コアを成型した時点で既に複数の閉磁路部11、12は結合部20、21を介して結合している。
従って、本実施形態では、特許文献1の構成を実現する上での閉磁路部を遮蔽部材により結合する工程は不要となる。
なお、本実施形態では軟磁性コアの一部として結合部20、21が構成されているが、導電性環状部材4を結合部20に周回させるよう設置することで、磁気的に分離する作用をもたらすため、隣接する閉磁路部11、12間が磁気干渉を起こすことはない。
すなわち、図1の構成では、2つの結合部20、21があることにより、コイル31とコイル32を結合する磁路が構成されているように見えるが、結合部20に設置された導電性環状部材4によりコイル31とコイル32を結合する磁路が断ち切られている。
また、磁気的な分離を確実に行うため、導電性環状部材4の電気抵抗は可能な限り低いことが望ましく、導電性環状部材4が導体線により構成されている場合は、線径は結合部20へ巻きつけ時の作業性を考慮し、0.1mm以上1.0mm以下であることが望ましい。さらに、結合部20へ導電性環状部材4を5個まで設けることが望ましい。
なお、導電性環状部材4と結合部20は接触しても接触しなくとも良く、接合していても良い。
ここで、図1において、コイル31、32の巻き軸方向、すなわち閉磁路部11と閉磁路部12の間の領域5における長手方向両端部に結合部20、21が設けられているため、軟磁性コア全体にねじり応力が加えられた場合でも、2つの結合部20、21により閉磁路部11、12が強固に結合していることから、軟磁性コア全体としての強度も確保する構成となる。
なお、本実施形態では2つのコイル31、32の場合を示したが、コイルの数は2つに限られず、3つ以上のコイルについて、隣接するコイル間に結合部と導電性環状部材を設ける構成を取ることで、本実施形態と同様にコイル間の磁気的な分離を行うことができる。
第1の参考例
図3は、第1の参考例を示す平面図である。
第1の実施形態とは、コイル31がコイル311とコイル312に、コイル32がコイル321とコイル322に分割され、結合部21にも導電性環状部材41が設置されている点が異なる。
結合部20、21の全てに導電性環状部材4、41が設置されているため、より確実に閉磁路部11と閉磁路部12を磁気的に分離する構成となる。
図3のチョークコイルにおけるコイル311とコイル312、コイル321とコイル322の巻き数を互いに等しく、コイル通電により生じる磁束の向きを互いに逆となるよう構成することで、コイル311とコイル312、並びにコイル321とコイル322は互いに回路部品として独立なコモンモードチョークコイルを構成することができる。
図4は、第1の参考例を示す等価回路図である。
図4は、図3のチョークコイルをコモンモードチョークコイルとして構成し、YコンデンサCy1、Cy2によりノーマルモードノイズを除去するよう配置されたノイズフィルタの構成を示している。
すなわち、コイル311からコイル321へ通電される経路と、コイル312からコイル322へ通電される経路による2相回路を構成し、コモンモードノイズは図3のチョークコイルで除去し、ノーマルモードノイズはYコンデンサCy1、Cy2により除去するよう構成されている。
第2の参考例
図5は、第2の参考例を示す平面図である。
第1の参考例における導電性環状部材とは異なり、本参考例では導電性環状部材4が結合部20と結合部21を周回する部分を有しつつ、閉磁路部11、12間を遮蔽する導電性環状部材結合体42を設けている。
図6は、第2の参考例を示す断面図であり、図5におけるBB面の断面図を示している。
導電性環状部材結合体42は、閉磁路部11、12の間を遮るよう板状に構成され、閉磁路部11と閉磁路部12が対面する領域における漏洩磁束が導電性環状部材結合体42により遮られることとなる。
(第の実施形態)
図7は、発明における第の実施形態を示す平面図である。
第1の実施形態における図1とは、閉磁路部12が日の字型コアであり、コイル32が閉磁路部12の中脚部に装着され、コイル31とコイル32の巻き軸が直交している点が異なる。
コイル31とコイル32の巻き軸が直交しているため、漏れ磁束が互いに干渉しないため、互いの磁気的な分離効果をより高めることができる。
また、閉磁路部12を日の字型コアとして構成しているため、磁路の断面積を大きく取ることができ、コイル32へ通電する際には閉磁路部11のロの字型コアよりも大きなインダクタンスを得ることができる。
なお、コイル31、32は第1、第2の参考例と同様にコモンモードチョークコイル及びノイズフィルタを構成しても良い。
第1の参考例における図3及び図4の構成から導電性環状部材41を除いたノイズフィルタを作成した。
コイル311、312、321、322への通電によるインダクタンスは6.5mH、YコンデンサCy1、Cy2はいずれも4700pFとしてノイズフィルタの減衰量を測定した。
周波数300kHzにおいて、導電性環状部材4を設けない場合には減衰量が−60dBであったのに対し、導電性環状部材4を設けた場合には減衰量が−80dBまで改善された。
4、41 導電性環状部材
5 領域
11、12 閉磁路部
20、21 結合部
31、311、312、32、321、322 コイル
42 導電性環状部材結合体
Cy1、Cy2 Yコンデンサ

Claims (3)

  1. 少なくとも2つの閉磁路部及び少なくともつの結合部を有する軟磁性コアと、
    少なくとも2つのコイルと、
    つの導電性環状部材を備え、
    前記閉磁路部にはそれぞれ前記コイルが巻回され、
    一方の前記閉磁路部と、隣接する他方の前記閉磁路部とは前記結合部により結合され、
    一方の前記閉磁路部、他方の前記閉磁路部、及び前記結合部は一体成型され、
    前記結合部の1つを周回するよう前記導電性環状部材を設置することを特徴とするチョークコイル。
  2. 互いに隣接する前記閉磁路部間の領域における、前記領域の近傍にある前記閉磁路部内磁束方向の両端部に前記結合部が配されていることを特徴とする請求項1記載のチョークコイル。
  3. 互いに隣接する前記コイルは、巻き軸が互いに直交することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のチョークコイル。
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