JP6059455B2 - 酸素製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、空気等の酸素含有ガスから酸素を選択的に分離して高濃度の酸素を製造することが可能な酸素製造装置に関する。
高濃度酸素は種々の産業分野で利用されている。例えば、高濃度酸素を用いることで製鉄所の高炉や工業用バーナー、またはエンジン等の内燃機関における燃焼効率を向上させることができ、また、輸送機関の排ガスに含まれる有害成分(CO、NO)を削減することもできる。或いは、高濃度酸素は医療分野等にも利用されている。
高濃度酸素を製造する方法としては、例えば、空気を冷却して液体空気として窒素と酸素の沸点の差を利用して酸素を分離精製する深冷分留法、吸着剤のガスに対する吸着特性の違いを利用して加圧と減圧とを交互に繰り返しながら酸素を連続的に分離する圧力スイング吸着法(特許文献1)、酸素透過膜を用いた膜分離法(特許文献2〜5)、或いは酸素吸収放出材料を用いる方法(特許文献6〜8)等がある。
このうち深冷分留法については、装置の規模が大きく、また、空気を冷却するための多量の電力が必要となる。圧力スイング吸着法については、圧力を調節する設備が必要となる等装置構成が複雑となり、また、得られるガスには通常Arが含まれるため酸素濃度は95%程度にとどまる。膜分離法については、有機高分子膜を用いる方法と無機セラミックス膜を用いる方法とに大別されるが、有機高分子膜を用いる場合は使用温度が室温付近に限られるため燃焼プロセスなどに直接用いることができず、無機セラミックス膜を用いる場合は緻密膜を得ることが困難であるうえに作動のためには酸素濃度勾配が必要となる。
一方、酸素吸収放出材料を用いる方法によれば上記したような問題が解消される。例えば、酸素不定比性を有する金属酸化物は、温度変化によって酸素を可逆的に吸放出することができる。これを利用し、所定温度において酸素含有ガスから当該金属酸化物中に酸素を吸収させ、温度をスイングさせて当該金属酸化物から酸素を放出させることで、高濃度の酸素を容易に得ることができる。
例えば特許文献6にはLa0.3Sr0.7CoO3−δ等の酸化物における酸素欠陥量を変化させ、その酸素欠陥量の変化に応じて放出された酸素を収集することにより、大気から高濃度の酸素ガスを製造することができる酸素製造装置が開示されている。或いは、特許文献7、8には、酸素濃縮に好適な酸素吸収放出材料が開示されている。
しかしながら、特許文献6に記載された酸素製造装置は、バッチ式に酸素を製造するものであり効率的に高濃度酸素を製造することができない。特許文献6には、複数の容器を用いて容器毎に異なるタイミングで酸素の吸収放出を実施する形態も開示されてはいるが、装置が大型化し、やはり生産性に劣る。また、特許文献7、8には、酸素濃縮に好適に用いられる酸素不定比性を有する所定の金属酸化物が記載されているものの、具体的な装置構成については何ら記載されていない。すなわち、高濃度な酸素を効率的に製造可能な酸素製造装置が求められていた。
特開平6−142431号公報 特開昭61−101225号公報 特開2003−063808号公報 特開2003−144867号公報 特開2008−296162号公報 特開2006−169070号公報 国際公開第2007/004684号 特開2011−121829号公報
そこで本発明は、高濃度な酸素を効率的に製造可能な酸素製造装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
(1)酸素吸収放出材料が酸素吸収領域(例えば低温領域)と酸素放出領域(例えば高温領域)との間を行き来可能なように装置を構成することで、連続的に酸素を製造することができる。すなわち、生産性の観点から高濃度の酸素を効率的に製造することができる。
(2)特に、ローター等の回転体を用いて酸素吸収領域と酸素放出領域との間を酸素吸収放出材料が連続的に行き来するような形態とすることで、連続運転が容易に可能となる。
(3)酸素吸収放出材料を用いた場合、酸素吸収時に発熱が生じる。この場合、発生した熱は気体の流通方向に除去するか、或いは、回収して熱源として使用すると良い。断続運転の場合は熱の発生も断続的となり熱エネルギーを有効に利用することは困難であるが、連続運転の場合は常に一定の熱エネルギーを得ることができ、例えば装置作動用の熱エネルギーとして利用可能である。すなわち、エネルギー効率の観点から高濃度の酸素を効率的に製造することができる。
(4)この場合、例えば、気体の流通方向下流側に熱交換器を設置することで、容易に熱を回収・利用することができる。
本発明は上記知見に基づいてなされたものである。すなわち、
本発明は、複数の通気部を有するとともに、当該通気部に酸素吸収放出材料を備えた、酸素吸収放出素子、酸素吸収放出素子の一部が酸素吸収領域、一部が酸素放出領域となるように温度を調整可能な、温度調整手段、酸素吸収領域にある酸素吸収放出材料に酸素含有ガスを供給する、供給手段、および、酸素放出領域にある酸素吸収放出材料から放出された酸素を酸素吸収放出素子から追い出す、放出手段、を備え、上記複数の通気部が酸素吸収領域と酸素放出領域との間を移動可能とされている、酸素製造装置である。
本発明において「酸素吸収領域」とは、例えば、低温で酸素を吸収し、高温で酸素を放出する酸素吸収放出材料を用いる場合、酸素を吸収可能な温度となるように相対的に低温とされた領域を意味する。この場合「酸素放出領域」とは、酸素を放出可能な温度となるように相対的に高温とされた領域を意味する。「複数の通気部が酸素吸収領域と酸素放出領域との間を移動可能とされている」とは、酸素吸収領域において酸素を吸収した酸素吸収放出材料が、通気部の移動によって酸素放出領域へと移動し、当該酸素放出領域において酸素を放出し、その後、さらに通気部の移動によって酸素吸収領域へと移動し、再び酸素を吸収するように、通気部が酸素吸収領域(供給手段と接続する領域)と酸素放出領域(放出手段と接続する領域)との間を行き来可能とされていることを意味する。
本発明において、酸素吸収放出材料が、酸素不定比性を有する金属酸化物であることが好ましい。
この場合、特に、酸素不定比性を有する金属酸化物が、下記(1)または(2)で表される金属酸化物であることが好ましい。
7+δ ・・・(1)
(上記式(1)において、
Aは、3価の希土類元素およびCaの1種または2種以上の元素、
Dは、アルカリ土類金属元素の1種または2種以上の元素、
Mは、酸素4配位元素の1種または2種以上の元素で、そのうち少なくとも1種は遷移金属元素であり、
j>0、k>0、m>0であり、かつj+k+m=6を満たし、
0<δ≦1.5である。)
(Ca2−p)(Mn2−q)O5+β…(2)
(式(2)において、
E:Ca以外のアルカリ土類金属の1種または2種以上、
G:Al、Fe、CoおよびGaのうちの1種または2種以上、
p:0≦p≦2.0、
q:0≦q≦2.0、
β:0≦β≦0.5である。)
本発明において、供給手段および/または放出手段の酸素吸収放出素子よりも下流側に熱交換器を備えることが好ましい。
「供給手段…の酸素吸収放出素子よりも下流側」とは、供給手段を介して酸素吸収放出素子に酸素含有ガスを流通させて酸素吸収放出材料に酸素を吸収させる場合に、ガスの流通方向において素子よりも下流側(素子の出側)となる位置を意味する。「…放出手段の酸素吸収放出素子よりも下流側」とは、放出手段を介して酸素吸収放出素子にキャリアガス等の流体を流通させて酸素吸収放出材料から放出された酸素を素子外へと追い出す場合に、流体の流通方向において素子よりも下流側(素子の出側)となる位置を意味する。
本発明において、酸素吸収放出素子が回転可能とされることで、複数の通気部が酸素吸収領域と酸素放出領域との間を連続的に移動可能とされていることが好ましい。これにより、酸素吸収放出の連続的運転が可能となり、多量のガスを連続的に処理することができる。
この場合、酸素吸収放出素子の回転軸と、通気部における流体の流れ方向とが、略平行とされていることが好ましい。これにより、流体の圧力損失を低減することができ、スムーズに流体を流通させることができる。また、装置設計も容易で、且つ、装置を簡略化することもできる。
本発明において、酸素吸収領域にある通気部における流体の流れ方向と、酸素放出領域にある通気部における流体の流れ方向とが、互いに対向していることが好ましい。すなわち、酸素吸収領域における気体の入側が、酸素放出領域における気体の出側となることが好ましい。酸素吸収ラインの出側と酸素放出ラインの入側とを一致させることで、酸素吸収時に発生した熱エネルギーを酸素吸収ラインの出側で回収し、熱損失を低減しつつ、酸素放出ラインの入側における熱エネルギーとして効率的に利用することができる。
本発明において、酸素吸収放出素子がセラミック製ハニカム構造体を用いて構成されていることが好ましい。セラミックは熱伝導性が低いため、素子内において低温領域と高温領域とが区分される。すなわち、高温領域における熱が不要に低温領域に伝わることがないので、素子内において酸素吸収領域と酸素放出領域とを明確に区分できる。
本発明において、温度調整手段は、供給手段の酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源と、放出手段の酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源と、を有するものであることが好ましい。すなわち、素子をヒーターで直接加熱・保持するのではなく、上流側で酸素含有ガス或いはキャリアガスを加熱し、加熱されたガスが酸素吸収放出材料と接触することで、当該材料の温度が保持される形態が好ましい。これにより、素子を外部から直接加熱する形態よりも装置構成が簡易で、素子の内部温度制御も容易であり、温度分布の偏りを抑制することができる。
具体的には、「供給手段の酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源」を設けることで、例えば、供給手段において流通させる気体を、酸素吸収放出素子よりも上流側で加熱することができ、加熱された当該気体が酸素吸収放出素子に供給されることで、酸素吸収放出素子の一部が酸素吸収領域となる程度の温度にまで加熱され、酸素吸収放出材料に酸素を吸収させることができる。同様に「放出手段の酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源」を設けることで、例えば、放出手段において流通させる気体を、酸素吸収放出素子よりも上流側で加熱することができ、加熱された当該気体が酸素吸収放出素子に供給されることで、酸素吸収放出素子の一部が酸素放出領域となる程度の温度にまで加熱され、酸素吸収放出材料から酸素を追い出すことができる。
また、本発明において、供給手段および/または放出手段の酸素吸収放出素子よりも下流側に熱交換器を備え、当該熱交換器から放出手段および/または供給手段の酸素吸収放出素子よりも上流側に熱を供給可能とされていることが好ましい。特に、供給手段を介して酸素吸収放出素子に酸素含有ガスを流通させて酸素吸収放出材料に酸素を吸収させた場合に発生する熱エネルギーについて、熱交換器を用いて、酸素吸収放出素子の温度調整のための熱源として回収・利用することが好ましい。これにより、酸素吸収熱を有効利用することができエネルギー効率を向上させることができる。
本発明に係る酸素製造装置は、通気部に備えられた酸素吸収放出材料が酸素吸収領域(例えば低温領域)と酸素放出領域(例えば高温領域)との間を行き来可能なように構成されているため、高濃度な酸素を連続的に製造することができる。また、酸素吸収放出材料は酸素を吸収するときに大きな発熱を伴うものであるが、断続運転の装置においては、このような酸素吸収時に発生する熱を作動エネルギーに再利用することは難しい。一方、本発明では、連続運転が可能とされた形態であるため、酸素吸収時に生じる熱エネルギーを有効に利用することができる。すなわち、本発明によれば、製造効率およびエネルギー効率の双方の観点から、高濃度な酸素を効率的に製造可能な酸素製造装置を提供することができる。
本発明の概念を説明するための図である。 本発明の概念を説明するための図である。 一実施形態に係る本発明の酸素製造装置100の内部構造を説明するための概略図である。 一実施形態に係る本発明の酸素製造装置100の動作を説明するための概略図である。 熱交換器を備えた一実施形態に係る本発明の酸素製造装置を動作させる場合において、温度条件の設定例を説明するための概略図である。
まず図1を参照しつつ、本発明に係る酸素製造装置の概念について説明する。
図1(A)〜(C)に示すように、本発明の酸素製造装置は、複数の通気部1、1、…(1xa、1xb、1ya、1yb)を有するとともに、当該通気部に酸素吸収放出材料を備えた、酸素吸収放出素子10、酸素吸収放出素子の一部が酸素吸収領域10a、一部が酸素放出領域10bとなるように温度を調整可能な、温度調整手段40a、40b、酸素吸収領域10aにある酸素吸収放出材料に酸素含有ガスを供給する、供給手段20、および、酸素放出領域10bにある酸素吸収放出材料から放出された酸素を酸素吸収放出素子10から追い出す、放出手段30、を備え、複数の通気部1xa、1xb、1ya、1ybが酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を移動可能とされていることに特徴を有する。
本発明の酸素製造装置は、例えば、以下のように動作する。
図1(A)に示すように、供給手段20から酸素吸収放出素子10へと酸素含有ガスが供給される。酸素含有ガスは温度調整手段40aによって所定の温度αまで加熱された後、酸素吸収放出素子10の通気部1xa、1xbに到達する。ここで、通気部1xa、1xbには所定の温度αにて酸素を吸収する酸素吸収放出材料が備えられている。そのため、酸素含有ガスと接触した酸素吸収放出材料は温度αに加熱されるとともに、ガスに含まれる酸素が酸素吸収放出材料へと吸収される。酸素吸収の後、ガスはそのまま通気部の出側(図1紙面右側)から排出される。
一方、放出手段30からは通気部1ya、1ybに備えられた酸素吸収放出材料から放出された酸素を素子10から追い出すため、キャリアガスが流される。ガスは温度調整手段40bによって所定の温度βまで加熱された後、酸素吸収放出素子10の通気部1ya、1ybに到達する。ここで、通気部1ya、1ybには所定の温度βにて酸素を放出する酸素吸収放出材料が備えられている。そのため、キャリアガスと接触した酸素吸収放出材料は温度βに加熱されるとともに、酸素吸収放出材料に蓄えられた酸素が放出される。放出された酸素はキャリアガスとともに通気部の出側(図1紙面右側)から排出される。
このように、本発明の酸素製造装置においては、酸素吸収領域10aで酸素が吸収される一方で、酸素放出領域10bで酸素が放出されるように構成される。ここで、本発明の酸素製造装置は、複数の通気部1xa、1xb、1ya、1ybが酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を移動可能とされていることに特徴を有する。
例えば、図1(B)に示すように、通気部1xa、1xb、1ya、1ybを順に移動させ、酸素吸収領域10aに通気部1ybおよび1xaを、酸素放出領域10bに通気部1xbおよび1yaを配置する。ここで、酸素吸収領域10aにある酸素吸収放出素子10には、引き続き、温度αの酸素含有ガスが流通しており、通気部1ybに備えられた酸素放出済みの酸素吸収放出材料は、温度βから温度αへと温度が調整されるとともに、再び酸素を吸収する。一方、酸素放出領域10bにある酸素吸収放出素子10には、引き続き、温度βのキャリアガスが流通しており、通気部1xbに備えられた酸素吸収済みの酸素吸収放出材料は、温度αから温度βへと温度が調整されるとともに、酸素を放出する。
続いて、図1(C)に示すように、通気部1xb、1ya、1yb、1xaを順に移動させ、酸素吸収領域10aに通気部1yaおよび1ybを、酸素放出領域10bに通気部1xaおよび1xbを配置することで、通気部1yaの酸素吸収放出材料において酸素吸収がなされるとともに、通気部1xaの酸素吸収放出材料において酸素放出がなされる。
このように、本発明の酸素製造装置は、複数の通気部1xa、1xb、1ya、1ybが酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を移動可能とされていることによって、酸素吸収領域10aにおいて酸素の吸収がなされる間、酸素放出領域10bにおいて酸素の放出がなされ、高濃度の酸素を連続的に製造することが可能である。
1.酸素吸収放出素子
本発明に係る酸素製造装置は酸素吸収放出素子10を備えている。酸素吸収放出素子10は、酸素吸収放出材料を備えた複数の通気部1、1、…を有し、且つ、当該複数の通気部1、1、…が酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を移動可能とされるものであれば、その形態は特に限定されるものではない。特に、酸素吸収放出素子10が回転可能とされることで、複数の通気部1、1、…が酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を連続的に移動可能とされる形態が好ましい。これにより、より容易に酸素吸収放出の連続的運転が可能となり、多量のガスを連続的に処理することができる。例えば、ハニカムローター等の一方向に複数の貫通孔を有する構造体において、当該貫通孔の内壁に酸素吸収放出材料を配置或いは担持させることで、酸素吸収放出素子10とすることができる。
酸素吸収放出素子10を回転体とする場合は、酸素吸収放出素子10の回転軸と、通気部1、1、…における流体の流れ方向とが、略平行とされていることが好ましい。言い換えれば、図1(A)〜(C)に示すように、複数の通気部1、1、…の移動方向と通気部1、1、…における流体の流れ方向とが略直交していることが好ましい。これにより、流体の圧力損失を低減することができ、スムーズに流体を流通させることができる。
酸素吸収放出素子10の最も好ましい形態としては、内壁に酸素吸収放出材料を備えたセラミック製ハニカム構造体が挙げられる。セラミックは熱伝導性が低いため、素子内において低温領域と高温領域とを区分することができる。すなわち、高温領域における熱が不要に低温領域に伝わることがないので、素子内において酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとを明確に区分できる。また、セラミック製であれば、酸素製造時の使用温度にも十分耐え得る。
酸素吸収放出素子10に備えられる酸素吸収放出材料は、温度変化に応じて可逆的に酸素を吸収・放出可能な材料であれば特に限定されるものではない。好ましくは酸素不定比性を有する金属酸化物であり、特に、下記(1)または(2)で表される金属酸化物を用いることが好ましい。
7+δ ・・・(1)
(上記式(1)において、
Aは、3価の希土類元素およびCaの1種または2種以上の元素、
Dは、アルカリ土類金属元素の1種または2種以上の元素、
Mは、酸素4配位元素の1種または2種以上の元素で、そのうち少なくとも1種は遷移金属元素であり、
j>0、k>0、m>0、であり、かつj+k+m=6を満たし、
0<δ≦1.5である。)
(Ca2−p)(Mn2−q)O5+β…(2)
(式(2)において、
E:Ca以外のアルカリ土類金属の1種または2種以上、
G:Al、Fe、CoおよびGaのうちの1種または2種以上、
p:0≦p≦2.0、
q:0≦q≦2.0、
β:0≦β≦0.5である。)
式(1)に係る金属酸化物において、Aは3価の希土類元素およびCaの1種または2種以上の元素であり、好ましくはYである。Dはアルカリ土類金属元素の1種または2種以上の元素であり、好ましくはBaまたはSrである。Mは、酸素4配位元素の1種または2種以上の元素で、そのうち少なくとも1種は遷移金属元素であり、好ましくはCo、Fe、ZnおよびAlのいずれかである。j、k、mは、j>0、k>0、m>0であり、かつj+k+m=6を満たすものである。好ましくはj=1、k=1、かつm=4である。式(1)に係る具体的な金属酸化物としては、好ましくはYBaCo7+δである。
式(2)に係る金属酸化物において、EはCa以外のアルカリ土類金属の1種または2種以上であり、Srが好ましい。GはAl、Fe、CoおよびGaのうちの1種または2種以上であり、好ましくはAlである。pは0≦p≦2.0であり、好ましくは0≦p≦1.0、より好ましくはp=0である。qは0≦q≦2.0であり、好ましくは0≦q≦1.5、より好ましくはq=1である。酸素量βは、0〜0.5の範囲で任意の値をとる。式(2)に係る具体的な金属酸化物としては、好ましくはCaAlMnO5+βである。
式(1)または(2)に係る金属酸化物は、例えば、国際公開第2007/004684号や特開2011−121829号公報に開示された方法により、複雑な処理を必要とすることなく容易に得ることができる。具体的には、式(2)に係るCaAlMnO5+βを錯体重合法により得る場合は、CaCO、Al、Mn等の錯体重合法に適した出発原料を濃硝酸に溶かし、EDTA/NH溶液を加えて錯体化する。EDTA錯体溶液のpHを調整した後、加熱して乾燥し、さらに燃焼して前駆体を得る。得られた前駆体をか焼した後で焼成することで、単相のCaAlMnO5+βを得ることができる。また無機塩分解法により得る場合は、Ca、Al、Mnの各塩を出発原料とし、水等の溶媒に溶解させて混合溶液を得る。混合溶液を蒸発乾固し、得られた前駆体を焼成することでCaAlMnO5+βを得ることができる。各無機塩としては、酢酸塩、硝酸塩や塩化物などが挙げられ、特に限定されないが、焼成工程で有害な副生ガスが生じない酢酸塩が好ましい。
ただし、本発明において上記の金属酸化物を得る方法は、これらに限定されるものではない。固相法やゾル・ゲル法、水熱合成法、共沈法等、複合酸化物の合成方法として公知の方法をいずれも採用することができる。
このような特定の酸素吸収放出材料は、重量当たりの酸素吸収放出量が極めて大きく、例えば1kgあたり14Lもの酸素を得ることができるため、装置を小型化することができる。また、酸素吸収放出の作動温度が低い(700℃以下の中温域)ため、例えば工場における廃熱なども利用することができ、省エネルギー化が可能である。さらに、酸素透過膜のような成型加工が不要であり、簡便で生産性に優れている。
なお、本発明者らの知見によれば、酸素不定比材料は酸素を吸収するときに大きな発熱を伴う。これは式(1)〜(2)で表される酸素吸収放出材料を用いた場合に特に顕著となる。断続運転の装置においては、このような酸素吸収時に発生する熱を作動エネルギーに再利用することは難しいが、本発明では、上述の通り連続運転が可能とされた形態であるため、酸素吸収時に生じる熱エネルギーを有効に利用することができる。
酸素吸収放出素子10の通気部1、1、…に酸素吸収放出材料を設ける方法は特に限定されるものではない。例えば、粉体の酸素吸収放出材料を溶媒に分散させ、ここに複数の通気部1、1、…を有する構造体を浸漬することにより、通気部1、1、…の内壁に酸素吸収放出材料を付着させ、その後蒸発乾固、任意に焼成等することにより、複数の通気部1、1、…に酸素吸収放出材料を備えた酸素吸収放出素子10を得ることができる。前記溶媒中には、必要に応じて無機バインダーを含んでいてもよく、固着性を向上させる観点からは無機バインダーを含んでいる方が好ましい。前記無機バインダーとしては、特に限定されないが、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾルなどから酸素吸収放出材料と構造体の材質に適したものを適宜用いればよい。或いは、酸素吸収放出材料そのものを成型して複数の通気部1、1、…を有する構造体とし、これをそのまま酸素吸収放出素子10として用いてもよい。
2.供給手段、放出手段
本発明に係る酸素製造装置は、酸素吸収領域10aにある酸素吸収放出材料に酸素含有ガスを供給する、供給手段20を備えている。酸素含有ガスとしては、特に限定されるものではないが、特に空気を用いることが好ましい。供給手段20は、酸素含有ガスを酸素吸収領域10aにある通気部へと流通させ得る手段であれば、その形態は特に限定されるものではない。例えば、酸素含有ガスを貯蔵した高圧ボンベから配管を介して酸素含有ガスを流通させる形態、コンプレッサー、ブロワー、送風ファン等を用いて配管を介して空気を流通させる形態等が挙げられる。
本発明に係る酸素製造装置は、酸素放出領域10bにある酸素吸収放出材料から放出された酸素を酸素吸収放出素子10から追い出す、放出手段30を備えている。放出手段30は、酸素放出領域10にある通気部から酸素を追い出すことが可能なものであれば、その形態は特に限定されるものではなく、キャリアガスを流通させる形態や圧力勾配や濃度勾配を設ける形態等、種々の形態を挙げることができる。キャリアガスとしては、特に限定されるものではないが、例えば空気、窒素、アルゴン、純酸素等が挙げられ、好ましくは空気や純酸素が挙げられる。例えば、放出手段30においてキャリアガスとして空気を用いた場合、素子10の下流側で酸素富化空気を得ることができる。また、キャリアガスとして純酸素を流すことにより、純酸素のままガスを増産できる。これは、特に式(1)〜(2)で表される酸素吸収放出材料を用いた場合に効果が顕著であることから好ましく、工業的に非常に意義深い。
本発明においては、酸素吸収領域10aにある通気部における流体の流れ方向と、酸素放出領域10bにある通気部における流体の流れ方向とが、互いに対向していることが好ましい。すなわち、酸素吸収領域10aにおける流体の入側が、酸素放出領域10bにおける流体の出側となることが好ましい。後述するように、酸素吸収ラインの出側と酸素放出ラインの入側とを一致させることで、酸素吸収時に発生した熱エネルギーを酸素吸収ラインの出側で回収し、熱損失を低減しつつ、酸素放出ラインの入側における熱エネルギーとして効率的に利用することができる。
3.温度調整手段
本発明に係る酸素製造装置は、酸素吸収放出素子10の一部が酸素吸収領域10a、一部が酸素放出領域10bとなるように温度を調整可能な、温度調整手段を備えている。温度調整手段としては、酸素吸収放出素子10の一部をヒーター等の熱源によって直接加熱する形態のほか、供給手段20の酸素吸収放出素子10よりも上流側を加熱する熱源40aと、放出手段30の酸素吸収放出素子10よりも上流側を加熱する熱源40bとを用いて酸素吸収放出素子10を間接的に加熱する形態等が挙げられる。特に、酸素吸収放出素子10の上流側で酸素含有ガス或いはキャリアガスを加熱し、加熱されたガスを素子の通気部1、1、…内に流通させ、酸素吸収放出材料と接触させることで、当該材料の温度が保持される形態が好ましい。酸素吸収放出素子10を直接加熱する形態よりも装置構成が簡易で、また酸素吸収放出素子10の内部温度制御も容易であり、温度分布の偏りを抑制することもできるためである。
例えば、上記式(1)の具体例であるYBaCo7+δは、200〜350℃で酸素を吸収し、400〜500℃で酸素を放出する。或いは、上記式(2)で表される酸素吸収放出材料も同様に低温にて酸素を吸収し高温にて酸素を放出する。そのため、温度調整手段40a、40bにより、酸素吸収領域10aの温度αが相対的に低温(例えば、200〜350℃)、酸素放出領域10bの温度βが相対的に高温(例えば、400〜500℃)となるように調整される。
本発明に係る酸素製造装置においては、酸素の濃度勾配によらず、上記の通り酸素吸収放出素子10における温度を調整するだけで酸素を得ることができるため、高濃度の酸素を容易に得ることができる。
4.熱交換器
本発明の酸素製造装置は、上記構成に加えてさらに、熱交換器を備えることが好ましい。装置からの廃熱を有効に利用することができるためである。或いは、熱交換器を設けることで、工場廃熱を利用して本発明の酸素製造装置を容易に作動させることもできる。
熱交換器の設置箇所としては、例えば、上記の供給手段20や放出手段30の酸素吸収放出素子10よりも下流側が挙げられる。これにより、酸素吸収放出素子10からの廃熱を利用することが可能となり、エネルギー効率に優れるシステムとすることができる。特に、本発明者らが鋭意研究したところ、酸素吸収放出材料は酸素吸収時に発熱を伴うことを知見した。これは、上記式(1)〜(2)に係る酸素吸収放出材料を用いた場合に顕著となる。この場合、図2(A)に示すように、供給手段20の酸素吸収放出素子10よりも下流側に熱交換器50を備える形態とすることで、酸素吸収領域10aにて生じた発熱による熱エネルギーを熱交換器50にて回収して他の熱源に利用することができ、エネルギー効率により優れたシステムとすることができる。
熱交換器により得られる熱エネルギーの利用先は特に限定されるものではないが、特に、図2(B)に示すように、酸素吸収領域10aにおける流体の入側が、酸素放出領域10bにおける流体の出側となるように、供給手段20からの流体の流れ方向と放出手段30からの流体の流れ方向とを対向させるとともに、供給手段20の酸素吸収放出素子10よりも下流側に熱交換器50を設け、熱交換器50から放出手段30の酸素吸収放出素子10よりも上流側へと熱を供給可能とされた形態が好ましい。すなわち、酸素吸収により生じた熱エネルギーを、酸素放出領域10bを加熱するための熱として利用することで、熱源40bによる加熱が少量で済み、エネルギー効率に一層優れたシステムとすることができる。
なお、放出手段30の酸素吸収放出素子10よりも下流側に熱交換器50を設けた場合は、例えば、酸素放出ラインからの廃熱を酸素供給ラインに利用することができる。すなわち、放出手段30の下流側の熱交換器が供給手段20の酸素吸収放出素子10よりも上流側へと熱を供給可能とされた形態とすることで、放出手段30の廃熱を、酸素吸収領域10aを加熱するための熱として利用することができる。
熱交換器の形態については特に限定されるものではなく、ローター式熱交換器やプレート型の熱交換器等、種々の形態をいずれも適用することができる。
以下、本発明の酸素製造装置の具体例について説明するが、本発明は以下の形態に限定されるものではない。
図3(A)、(B)に一実施形態に係る本発明の酸素製造装置100の分解斜視図を概略的に示す。酸素製造装置100は、複数の通気部1、1、…を有するとともに、通気部1、1、…に酸素吸収放出材料が塗布・固着された、酸素吸収放出素子(ハニカムローター)10、酸素吸収放出素子10の一部が酸素吸収領域10a、一部が酸素放出領域10bとなるように温度を調整可能な、温度調整手段(不図示)、酸素吸収領域10aにある酸素吸収放出材料に酸素含有ガスを供給する、供給ライン20x−20y、および酸素放出領域10bにある酸素吸収放出材料から放出された酸素を酸素吸収放出素子10から追い出す、放出ライン30x−30yを備えている。供給ライン20x−20yや放出ライン30x−30yは、筒状体23、32および酸素吸収放出素子10の通気部1、1、…により構成される。供給ライン20x−20yと放出ライン30x−30yとは、筒状体23、32においては仕切り部材25、35によって、酸素吸収放出素子10においては通気部1、1、…の内壁によって、互いに隔てられている。
酸素製造装置100において、酸素吸収放出素子10は、ベルト2を介して動力源3と接続されて回転可能とされており、通気部1、1、…、供給ライン20x、20y、放出ライン30x、30yにおける流体の流れ方向と、素子10の回転軸とが略平行とされている。酸素製造装置100においてはこのように酸素吸収放出素子10の回転によって複数の通気部1、1、…が酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの間を移動可能とされている。
図3(B)に示すように、酸素製造装置100においては、仕切り部材25、35の形状により、放出ライン30x、30yよりも供給ライン20x、20yのほうが、流路断面積が大きくされており、これにより、酸素吸収領域10aを酸素放出領域10bよりも大きくすることができる。すなわち、酸素製造装置100において、酸素吸収放出素子10を一定速度で回転させる場合、通気部1、1、…は、酸素放出領域10bよりも酸素吸収領域10aに長時間存在することとなる。通常、酸素吸収放出材料は酸素吸収速度が酸素放出速度よりも小さいため、このように設計することで、通気部1、1、…の酸素吸収放出材料が酸素吸収領域10aにおいて長時間をかけて十分な量の酸素を吸収し、酸素放出領域10bにおいて速やかに酸素を放出することができ好ましい。ただし、酸素吸収領域10aと酸素吸収領域10bとは、仕切り部材25の形状によって、容易にその比率を変更することができる。酸素吸収放出材料の特性に合わせて、酸素吸収領域10aと酸素放出領域10bとの断面積比率を決定すればよい。上記では酸素吸収放出材料は酸素吸収速度が酸素放出速度よりも小さい場合について記述したが、酸素吸収速度よりも放出速度が小さい場合は、酸素放出領域10bを酸素吸収領域10aよりも大きくすればよい。
酸素製造時の酸素製造装置100の動作について説明する。
図4に示すように、酸素製造装置100を動作させる際は、筒状体23、32の間に酸素吸収放出素子10をほぼ隙間なく配置し、酸素吸収ライン20x−20yおよび酸素放出ライン30x−30yを形成する。酸素吸収ライン20x−20yにおいては、供給口側(20x側)から酸素吸収放出素子10へと、温度調整手段(不図示)により所定の温度αに加熱された酸素含有ガスが供給され、酸素吸収領域10aにて、酸素含有ガスから酸素吸収放出材料へと酸素が吸収されたのち、ガスはそのまま排出口側(20y側)から系外へと排出される。一方、酸素放出ライン30x−30yにおいては、供給口側(30x側)から酸素吸収放出素子10へと、温度調整手段(不図示)により所定の温度βに加熱されたキャリアガスが供給され、酸素放出領域10aにて酸素吸収放出材料から放出された酸素がキャリアガスとともに排出口側(30y側)から系外へと追い出される。
酸素吸収放出素子10は、動力源3およびベルト2を介して、回転軸が通気部1、1、…における流体の流れと平行となるようにして回転しており、酸素吸収領域10aにて酸素を吸収した酸素吸収放出材料は酸素放出領域10bへ、酸素放出領域10bにて酸素を放出した酸素吸収放出材料は酸素吸収領域10aへと連続的に移動している。これにより、酸素製造装置100の放出ライン30x−30yからは、連続的に高濃度な酸素を得ることができる。
なお、酸素吸収素子10を駆動させる手段は上記した形態に限定されるものではなく、上記のベルト2とともに、或いはベルト2に替えて、図示はしないがギア式の駆動手段を用いてもよい。
また、上記した形態では、供給ラインにおける流体の流れ方向と放出ラインにおける流体の流れ方向とが略同一方向とされているが、供給ラインにおける流体の流れ方向と放出ラインにおける流体の流れ方向とが対向するようにしてもよい。供給ラインにおける流体の流れ方向と放出ラインにおける流体の流れ方向とを対向させた場合、熱交換器を用いる態様において、例えば以下の利点がある。
本発明に係る酸素製造装置において、熱交換器を利用した場合の温度設定条件の一例について説明する。用いる酸素吸収放出材料は500℃において酸素を吸収し700℃において酸素を放出するものとする。
この場合、図5(A)に示すように、酸素供給ライン20x−20yにおいては、酸素吸収放出素子10よりも上流側に設置された熱源40aによって500℃程度に加熱された後、酸素含有ガスが酸素吸収放出素子10へと供給される。酸素含有ガスと接触した酸素吸収放出材料は、500℃に加熱保持されるとともに酸素含有ガスから酸素を吸収する。ここで、酸素吸収の際に発熱が生じ、当該発熱による熱エネルギーは、排出ガスとともに酸素吸収放出素子10の下流側へと伝達され、当該下流側に備えられたローター式の熱交換器50を介して、酸素放出ラインの酸素吸収素子10の上流側へと供給される。ここで、酸素供給ライン20x−20yの下流側と酸素放出ライン30x−30yの上流側とが一致しているため、熱損失を低減しつつ熱交換器50において効率的に熱交換が可能となる。
一方、酸素放出ライン30x−30yにおいては、酸素吸収放出素子10よりも上流側(図示した形態においては、酸素供給ライン20x−20yの下流側と一致)に設置された熱源40cによって500℃程度に加熱された後、キャリアガスが熱交換器50を通過する。熱交換器50は、上述の通り、酸素供給ラインからの熱エネルギーを供給するものとされており、熱交換器50の出側においてキャリアガスの温度を上昇させることができる(600℃)。その後、キャリアガスは熱源40bによって追加で熱が供給され、温度が700℃程度とされた後、酸素吸収放出素子10へと供給される。キャリアガスと接触した酸素吸収放出材料は、700℃に加熱保持されるとともに酸素を放出し、放出された酸素はキャリアガスとともに酸素吸収放出素子10の下流側(図示した形態においては、酸素供給ライン20x−20yの上流側と一致)へと追い出される。
なお、熱交換器50の形態は上記したようなローター式のものに限定されるものではない。図5(B)に示すようにプレート型の熱交換器を用いることもできる。この場合、プレートの一面側と他面側とで隔てられて設けられた酸素供給ラインと酸素放出ラインとが、プレートを介して熱交換する形態が好ましい。また、プレート型熱交換器において、図示したように、酸素供給ラインの流れ方向と、酸素放出ラインの流れ方向とが交差する、特に略直交するものとすることが好ましい。
このように、熱交換器50を設けて、酸素吸収領域10aにおいて酸素吸収により生じた熱エネルギーを、酸素放出領域10bを加熱するための熱として利用することで、熱源40bや40cによる加熱が少量で済み、エネルギー効率に一層優れたシステムとすることができる。
以上のように、本発明の酸素製造装置は、通気部1、1、…に備えられた酸素吸収放出材料が酸素吸収領域10a(例えば低温領域)と酸素放出領域10b(例えば高温領域)との間を行き来可能なように構成されているため、高濃度な酸素を連続的に製造することができる。また、酸素吸収放出材料は酸素を吸収するときに大きな発熱を伴うものであるが、断続運転の装置においては、このような酸素吸収時に発生する熱を作動エネルギーに再利用することは難しい。一方、本発明の酸素製造装置は連続運転が可能であるため、酸素吸収時に生じる熱エネルギーを有効に利用することができる。すなわち、本発明によれば、製造効率の観点およびエネルギー効率の双方の観点から、高濃度な酸素を効率的に製造可能な酸素製造装置を提供することができる。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う酸素製造装置もまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の酸素製造装置は高濃度の酸素を効率的に製造する装置である。本発明により製造された高濃度の酸素は、熱機関の燃焼効率を向上させるため、或いは、排ガス中の有害成分を削減するための酸素富化源として、さらには、医療用の高濃度酸素、健康機器用酸素等として、種々の産業分野において利用することができる。
10 酸素吸収放出素子
1 通気部
2 ベルト(もしくはギア)
3 動力源
20 供給手段
20x−20y 酸素供給ライン
30 放出手段
30x−30y 酸素放出ライン
40a〜40c 温度調整手段(熱源)
50 熱交換器
100 酸素製造装置

Claims (9)

  1. 複数の通気部を有するとともに、該通気部に酸素吸収放出材料を備えた、酸素吸収放出素子、
    前記酸素吸収放出素子の一部が酸素吸収領域、一部が酸素放出領域となるように温度を調整可能な、温度調整手段、
    前記酸素吸収領域にある前記酸素吸収放出材料に酸素含有ガスを供給する、供給手段、および
    前記酸素放出領域にある前記酸素吸収放出材料から放出された酸素を前記酸素吸収放出素子から追い出す、放出手段、
    を備え、
    前記複数の通気部が前記酸素吸収領域と前記酸素放出領域との間を移動可能とされており、
    前記温度調整手段は、前記供給手段の前記酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源と、前記放出手段の前記酸素吸収放出素子よりも上流側を加熱する熱源と、を有する、
    酸素製造装置。
  2. 前記酸素吸収放出材料が、酸素不定比性を有する金属酸化物であることを特徴とする、請求項1に記載の酸素製造装置。
  3. 前記酸素不定比性を有する金属酸化物が、下記(1)または(2)で表される金属酸化物であることを特徴とする、請求項2に記載の酸素製造装置。
    7+δ ・・・(1)
    (上記式(1)において、
    Aは、3価の希土類元素およびCaの1種または2種以上の元素、
    Dは、アルカリ土類金属元素の1種または2種以上の元素、
    Mは、酸素4配位元素の1種または2種以上の元素で、そのうち少なくとも1種は遷移金属元素であり、
    j>0、k>0、m>0、であり、かつj+k+m=6 を満たし、
    0<δ≦1.5 である。)
    (Ca2−p)(Mn2−q)O5+β…(2)
    (式(2)において、
    E:Ca以外のアルカリ土類金属の1種または2種以上、
    G:Al、Fe、CoおよびGaのうちの1種または2種以上、
    p:0≦p≦2.0、
    q:0≦q≦1.5
    β:0≦β≦0.5である。)
  4. 前記供給手段および/または前記放出手段の前記酸素吸収放出素子よりも下流側に熱交換器を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の酸素製造装置。
  5. 前記酸素吸収放出素子が回転可能とされることで、前記複数の通気部が前記酸素吸収領域と前記酸素放出領域との間を連続的に移動可能とされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素製造装置。
  6. 前記酸素吸収放出素子の回転軸と、前記通気部における流体の流れ方向とが、略平行とされている、請求項5に記載の酸素製造装置。
  7. 前記酸素吸収領域にある前記通気部における流体の流れ方向と、前記酸素放出領域にある前記通気部における流体の流れ方向とが、互いに対向している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の酸素製造装置。
  8. 前記酸素吸収放出素子がセラミック製ハニカム構造体を用いて構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸素製造装置。
  9. 前記供給手段および/または前記放出手段の前記酸素吸収放出素子よりも下流側に熱交換器を備え、該熱交換器から前記放出手段および/または前記供給手段の前記酸素吸収放出素子よりも上流側に熱を供給可能とされている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸素製造装置。
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