JP6059421B2 - 自動車の車体後部構造 - Google Patents

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本発明は、自動車の車体後部構造に関する。
従来、リヤパーシェルパネルの閉断面のメンバ部に連続させた補強メンバによって、リヤサスペンションのショックアブソーバの取付部周りに前後二股に分岐した閉断面を形成した自動車の車体後部構造がある(特許文献1参照)。これにより、前記ショックアブソーバの取付部の内倒れ剛性や車体後部の捩れ剛性を高めることができるようになっている。
特開平10−7026号公報
しかしながら、かかる従来の自動車の車体後部構造は、サスペンションからの入力荷重を、補強メンバを介して主にリヤパーシェルパネルのメンバ部で受けるため、車体剛性を上げるために補強メンバを大きくしたり、補強メンバの板厚を厚くする結果、車体重量が増大するおそれがあった。
そこで、本発明は、かかる従来の実状に鑑みて、車体重量の増大を抑制しつつサスペンションからの入力荷重に対する車体剛性を効率的に向上させることができる自動車の車体後部構造を提供するものである。
本発明の自動車の車体後部構造にあっては、ホイールハウスインナと、該ホイールハウスインナの外側に結合したホイールハウスアウタと、前記ホイールハウスインナの頂部に車幅方向外側の端部を固定したサイドレインフォースと、該サイドレインフォースの車幅方向内側の端部、車幅方向内側の端部を結合したサイドガスケットと、前記ホイールハウスアウタに下端部をルーフサイドレール部に上端部をそれぞれ結合した上下方向に延在するリヤピラーレインフォースと、車幅方向内側で前記リヤピラーレインフォースと結合すると共に前記ホイールハウスインナとも接合されたリヤピラーインナと、を有し、前記サイドレインフォースの前記車幅方向外側の端部および前記サイドガスケットの車幅方向外側の端部を前記リヤピラーインナを介して前記リヤピラーレインフォースに結合し、前記ホイールハウスインナの頂部は、サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持し、前記サスペンションから前記サイドレインフォースに入力された荷重は、前記リヤピラーレインフォースに伝達される一方、当該サイドレインフォースに結合された前記サイドガスケットを介して前記リヤピラーレインフォースに伝達され、さらに当該リヤピラーレインフォースから前記ルーフサイドレール部及び前記ホイールハウスアウタに伝達されるように構成したことを主要な特徴とする。
本発明によれば、ホイールハウスインナの頂部に入力されたリヤサスペンションからの上下荷重は、サイドレインフォースを介してリヤピラーレインフォースに伝達されると共に、サイドガスケットを介してリヤピラーレインフォースに伝達される。このリヤピラーレインフォースは、骨格部材であるホイールハウスアウタおよびルーフサイドレール部に結合されているため、車体重量の増大を抑制しつつ荷重入力時における車体剛性を向上させることができる。
図1は、本発明にかかる自動車の車体後部構造の要部を室内側から見た斜視図である。 図2は、図1に示す自動車の車体後部構造の要部を車外側から見た斜視図である。 図3は、図1に示す自動車の車体後部構造のホイールハウスインナの頂部からリヤパーシェルパネルのメンバ部に至る結合部を分解して示す斜視図である。 図4は、図1に示す自動車の車体後部構造のホイールハウスアウタの頂部からルーフサイドレール部に至る結合部を分解して示す斜視図である。 図5は、図1に示す自動車の車体後部構造のリヤピラーレインフォースからルーフサイドレール部に至る結合部を分解して示す斜視図である。 図6は、図1中A−A線に沿った断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1〜図6は本発明にかかる自動車の車体後部構造の一実施形態を示し、図1に示すように、車体後部の下部両側にはホイールハウスインナ1が配置されている。このホイールハウスインナ1の頂部は、図3に示すように、車外側が開放された略U字状の突出部1Sが形成され、この突出部1Sの先端部に別体形成されたショックアブソーバ取付ブラケット2を接合してストラットタワーが構成されている。このショックアブソーバ取付ブラケット2は、ホイールハウスインナ1の頂部を構成している。以下、ショックアブソーバ取付ブラケット2は単に取付ブラケット2として述べるものとする。
取付ブラケット2には、図外のリヤサスペンション(以下、サスペンションという)のショックアブソーバの上端部が結合され、ショックアブソーバからの入力荷重を直接支持するようになっている。ショックアブソーバは、サスペンションメンバとしても機能するストラットを含めるものとする。
図1に示すように、ホイールハウスインナ1は、車外側に設けた側縁フランジ1aを介してリヤピラーインナ3およびホイールハウスアウタ4に突き合わせて接合されている。また、取付ブラケット2は、これの車外側に設けたフランジ2aを介してリヤピラーインナ3に接合されている。
左右のリヤピラーインナ3の上部間には、車幅方向に延在するリヤパーシェルパネル6が位置している。そして、図3に示すように、上述した取付ブラケット2がサイドレインフォース7を介してリヤパーシェルパネル6の端部に結合され、ショックアブソーバの内倒れを抑えている。
サイドレインフォース7は、前縁部を下方に折曲した前壁7aと、後縁部を上方に折曲した後壁7bとが形成されている。また、このサイドレインフォース7の車外側端部には、取付ブラケット2の上面に形成された作業穴2bに連通する開口7cが形成され、それら作業穴2bおよび開口7cの周縁部で両部材がボルト等の締結部材によって相互に結合される。
リヤパーシェルパネル6は、図1に示すように、前縁部を下方に折曲した前壁6aが形成される。また、後縁部には断面U字状の溝状凹部6bが車幅方向に延在させて形成されている。そして、リヤパーシェルパネル6の前縁部内側には、前壁6aとの間で閉断面を形成するL字状レインフォース61が接合されて、この閉断面部分がリヤパーシェルパネル6の主メンバ部62となっている。
一方、リヤパーシェルパネル6の後縁部は、溝状凹部6bの上方を覆って扁平なチャンネル状レインフォース63が接合されることにより閉断面が形成され、この閉断面部分がリヤパーシェルパネル6の副メンバ部64となっている。
また、リヤパーシェルパネル6の車外側端部には、図3に示すように、連続する溝状凹部65bを設けたサイド部材65が接合され、このサイド部材65の前縁部がサイドレインフォース7の後壁7bのフランジ7dに接合されるようになっている。
ホイールハウスアウタ4は、図2に示すように、ホイールハウスインナ1に結合してリヤホイールハウスが構成される。このホイールハウスアウタ4は、図4に示すように、ホイールハウスインナ1に結合する室内側にリヤフェンダパネルインナ8が一体成形されている。また、ホイールハウスアウタ4の頂部には、それの外側面を一段落として後述のリヤピラーレインフォース11を取り付けるためのレインフォース取付部4aが形成されている。
そして、リヤフェンダパネルインナ8の上部にはリヤピラーインナ3が接合され、このリヤピラーインナ3の上部前側にはルーフサイドインナ91が接合される。このとき、リヤピラーインナ3とルーフサイドインナ91との接合部には、この接合部を補強するために両者に跨がってルーフサイドレールブレース10を重ね合わせて接合してある。
また、図2に示すように、リヤピラーインナ3の外側面には、このリヤピラーインナ3に沿ってリヤピラーレインフォース11が上下方向に配設される。このリヤピラーレインフォース11は、下方から上方のルーフサイドレールインナ91に向かって徐々に前後幅が縮小する形状となり、その前縁部および後縁部を室内側に折曲して前壁11aおよび後壁11bが形成されている。これによりリヤピラーレインフォース11は、図6に示すように、前壁11aおよび後壁11bによって室内側が開放される断面略コ字状となっている。
そのリヤピラーレインフォース11は、図2に示すように、下端部がホイールハウスアウタ4のレインフォース取付部4a(図4参照)を覆うように取り付けられ、かつ、前壁11aおよび後壁11bの先端がリヤピラーインナ3の外側に沿って配置される。そして、この状態でリヤピラーレインフォース11の下部がホイールハウスアウタ4にボルト結合され、かつ、前壁11aおよび後壁11bの各先端フランジ11c、11dがリヤピラーインナ3に結合される。
また、リヤピラーレインフォース11の上端部前側には、図5に示すように、前方に延在するルーフサイドレールレインフォース92の後端部が接合される。ルーフサイドレールレインフォース92は、図1および図2に示すように、ルーフサイドレールインナ91の車外側に接合されて閉断面を形成し、この閉断面部がルーフ骨格部となるルーフサイドレール部9を構成している。尚、図1および図2中に示すRはルーフパネルである。
更に、リヤパーシェルパネル6の主メンバ部62の前壁6aと、この主メンバ部62と取付ブラケット2とを連結したサイドレインフォース7の前壁7aとがサイドガスケット12を介して連結される。
即ち、サイドガスケット12は、図3に示すように、本体部分が略垂直方向に配置され、その上下幅が車体センター側に向かって拡幅する略扇状に形成される。そして、そのサイドガスケット12の上側縁部には、後方に折曲した上壁12aが形成されており、上下および左右方向に延在する縦壁12cが設けられている。また、サイドガスケット12の縦壁12cおよび上壁12aの車外側端部にはそれぞれフランジ12bが設けられている。
そして、図1に示すように、サイドガスケット12は、それの車体センター側端部の上部をリヤパーシェルパネル6の前壁に重ね合わせ、かつ、上壁12aの車体センター側端部をリヤパーシェルパネル6の上面に重ね合わせる。そして、それぞれの重ね合わせ部分をボルト結合するようになっている。
また、サイドガスケット12の車体センター側端部の下部は、サイドレインフォース7の前壁7aにボルト結合するようになっている。このとき、サイドガスケット12の車外側端部は、フランジ12bをリヤピラーインナ3の内側面に突き合わせてボルト結合してある。
また、本実施形態では、上述したようにリヤピラーレインフォース11がリヤピラーインナ3の外側面に結合され、かつ、サイドレインフォース7およびサイドガスケット12がリヤピラーレインフォース11の内側面に結合されている。このとき、本実施形態では、図6に示すように、サイドレインフォース7の後壁7bとリヤピラーレインフォース11の後壁11bとの前後位置を略一致させており、これによって両者の面方向を連続させてある。また、サイドガスケット12の縦壁12cとリヤピラーレインフォース11の前壁11aとの前後位置を略一致させており、これによって両者の面方向を連続させてある。尚、図6中P部はショックアブソーバの取付位置を示す。
更に、本実施形態では、図6に示すように、リヤパーシェルパネル6の主メンバ部62内に、サイドガスケット12とリヤパーシェルパネル6との結合部において主メンバ部62の閉断面内を閉塞するようにブレース13が結合される。
即ち、前述したようにサイドレインフォース7は、これの車体センター側端部が、リヤパーシェルパネル6の閉断面となった主メンバ部62内に重ね合わされて結合され、更に、主メンバ部62の前壁6aにサイドガスケット12が結合されている。そして、そのサイドガスケット12の結合部分に位置するようにして、ブレース13を主メンバ部62の閉断面内に配置する。
ブレース13は主メンバ部62の閉断面内の形状に略沿った矩形状を成し、その周縁部にはフランジ13aが折曲形成されている。そして、図6に示すように、ブレース13の周縁のフランジ13aを、リヤパーシェルパネル6の下面および前壁6aの後面と、サイドレインフォース7の本体部分の上面および後壁7bの前面とに結合してある。これにより、主メンバ部62の閉断面内がブレース13によって閉塞される。
このようにブレース13をリヤパーシェルパネル6およびサイドレインフォース7に結合する際、ブレース13のフランジ13aがサイドレインフォース7にスポット溶接等により接合(図中×印で示す)される一方、リヤパーシェルパネル6にはボルト結合される。尚、ブレース13とリヤパーシェルパネル6とが結合される際、フランジ13aがリヤパーシェルパネル6とサイドガスケット12とのボルト結合部分に共締めされるようになっている。
また、サイドレインフォース7は、それの車体センター側端部がL字状レインフォース61に接合(図中×印)され、かつ、車外側のフランジ7dがリヤピラーレインフォース11の後壁11bと共にリヤピラーインナ3に接合(図中×印)される。他方、サイドガスケット12の車体センター側端部は、上述したようにリヤパーシェルパネル6にボルト結合されるとともに、車外側のフランジ12bがリヤピラーレインフォース11の前壁11aと共にリヤピラーインナ3にボルト結合される。
次に、本実施形態による作用効果を説明する。
(1)本実施形態による車体後部構造は、ホイールハウスインナ1の頂部(ショックアブソーバ取付ブラケット2)に固定したサイドレインフォース7と、該サイドレインフォース7に結合したサイドガスケット12と、これらのサイドレインフォース7およびサイドガスケット12の車幅方向端部にリヤピラーインナ3を介して結合したリヤピラーレインフォース11と、を備えている。
前記ホイールハウスインナ1の頂部は、サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持すると共に、前記リヤピラーレインフォース11は、上下方向に延在し、下端部はホイールハウスアウタ4に結合され、上端部はルーフサイドレール部9に結合されている。
従って、前記サスペンションからサイドレインフォース7に入力された荷重は、リヤピラーレインフォース11に伝達される一方、サイドガスケット12を介してリヤピラーレインフォース11に伝達される。ここで、リヤピラーレインフォース11は、ホイールハウスアウタ4およびルーフサイドレール部9に結合されているため、リヤピラーレインフォース11に伝達された荷重はホイールハウスアウタ4およびルーフサイドレール部9に更に伝達される。
このように、サスペンションからの入力荷重をルーフサイドレール部9などの車体骨格部材に効率的に伝達して分散することができるため、車体重量の増大を抑制しつつ荷重入力時における車体剛性を向上させることができる。
(2)前記リヤピラーレインフォース11における前縁部および後縁部を室内側に折曲してそれぞれ前壁11aおよび後壁11bを形成すると共に、前記サイドレインフォース7に後壁7bを設け、前記サイドレインフォース7の後壁7bとリヤピラーレインフォース11の後壁11bとの前後位置を断面で略一致させている。
このように、サイドレインフォース7の後壁7bとリヤピラーレインフォース11の後壁11bとを断面において繋げることにより、入力荷重が後壁7bから後壁11bに効率的に伝達される。従って、荷重入力時における車体剛性を更に向上させることができる。
(3)前記リヤピラーレインフォース11における前縁部および後縁部を室内側に折曲してそれぞれ前壁11aおよび後壁11bを形成すると共に、前記サイドガスケット12に縦壁12cを設け、前記サイドガスケット12の縦壁12cとリヤピラーレインフォース11の前壁11aとの前後位置を断面で略一致させている。
このように、サイドガスケット12の縦壁12cとリヤピラーレインフォース11の後壁11bとを断面において繋げることにより、入力荷重が縦壁12cから前壁11aに効率的に伝達される。従って、荷重入力時における車体剛性を更に向上させることができる。
更にまた、本実施形態によれば、リヤパーシェルパネル6の主メンバ部62内に、サイドガスケット12とリヤパーシェルパネル6との結合部において主メンバ部62の閉断面内を閉塞するようにブレース13が結合されている。これにより、サイドガスケット12から主メンバ部62の前壁6aに荷重が入力された際に、主メンバ部62の潰れ変形をブレース13によって抑制できるため、サスペンションの入力荷重を効率良く主メンバ部62で受け止めることができる。従って、サスペンションからの入力荷重の分散効果がより高まるため、車体剛性を更に高めることができる。
ところで、本発明の自動車の車体後部構造は、前記実施形態に例をとって説明したが、これに限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種変更が可能である。
1 ホイールハウスインナ
2 ショックアブソーバ取付ブラケット(頂部)
3 リヤピラーインナ
4 ホイールハウスアウタ
7 サイドレインフォース
7a サイドレインフォースの前壁
7b サイドレインフォースの後壁
9 ルーフサイドレール部
11 リヤピラーレインフォース
12 サイドガスケット

Claims (3)

  1. ホイールハウスインナと、該ホイールハウスインナの外側に結合したホイールハウスアウタと、前記ホイールハウスインナの頂部に車幅方向外側の端部を固定したサイドレインフォースと、該サイドレインフォースの車幅方向内側の端部、車幅方向内側の端部を結合したサイドガスケットと、前記ホイールハウスアウタに下端部をルーフサイドレール部に上端部をそれぞれ結合した上下方向に延在するリヤピラーレインフォースと、車幅方向内側で前記リヤピラーレインフォースと結合すると共に前記ホイールハウスインナとも接合されたリヤピラーインナと、を有し、
    前記サイドレインフォースの前記車幅方向外側の端部および前記サイドガスケットの車幅方向外側の端部を前記リヤピラーインナを介して前記リヤピラーレインフォースに結合し、
    前記ホイールハウスインナの頂部は、サスペンションのショックアブソーバの上端部を支持し、
    前記サスペンションから前記サイドレインフォースに入力された荷重は、前記リヤピラーレインフォースに伝達される一方、当該サイドレインフォースに結合された前記サイドガスケットを介して前記リヤピラーレインフォースに伝達され、さらに当該リヤピラーレインフォースから前記ルーフサイドレール部及び前記ホイールハウスアウタに伝達されるように構成したことを特徴とする自動車の車体後部構造。
  2. 前記リヤピラーレインフォースにおける前縁部および後縁部を室内側に折曲してそれぞれ前壁および後壁を形成すると共に、前記サイドレインフォースに後壁を設け、
    前記サイドレインフォースの後壁とリヤピラーレインフォースの後壁との前後位置を断面で略一致させたことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体後部構造。
  3. 前記リヤピラーレインフォースにおける前縁部および後縁部を室内側に折曲してそれぞれ前壁および後壁を形成すると共に、前記サイドガスケットに縦壁を設け、
    前記サイドガスケットの縦壁とリヤピラーレインフォースの前壁との前後位置を断面で略一致させたことを特徴とする請求項1または2に記載の自動車の車体後部構造。
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